発表ファイル 数理物理・物性基礎論セミナー Hukushima

全文

(1)

. . . .

.

... スピングラスのレプリカ理論とその周辺

福島孝治

東京大学 大学院総合文化研究科

広域科学専攻 相関基礎科学系

2013 6 1

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 1 / 77

(2)

. . . . 0:はじめのまえに

今日のお話し

• 1

• ランダム系の統計力学における一つの手法であるレプリカ法について

の説明

2部

.

.

1 レプリカ極限を有限のレプリカ数に注目してみる

.

.

2 有限のレプリカ数に対する統計力学模型

(3)

. . . .

Outline

.

.

1 ランダム系の統計力学概論

スピングラス実験

.

.

2 ランダムネスの取扱いとレプリカ法

レプリカ法の最も簡単な例

.

.

3 スピングラスの平均場理論

スピングラスの平均場理論

.

.

4 1 段階レプリカ対称性の破れだけでよい系

.

.

5 平均場理論を越えて , 有限次元系の結果を少しだけ

有限次元の世界にレプリカ理論の予想は生き残るのか?

.

.

6 有限レプリカ数での相転移

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 3 / 77

(4)

. . . . ランダム系の統計力学概論

Outline

.

.

1 ランダム系の統計力学概論

スピングラス実験

.

.

2 ランダムネスの取扱いとレプリカ法

レプリカ法の最も簡単な例

.

.

3 スピングラスの平均場理論

スピングラスの平均場理論

.

.

4 1 段階レプリカ対称性の破れだけでよい系

.

.

5 平均場理論を越えて , 有限次元系の結果を少しだけ

有限次元の世界にレプリカ理論の予想は生き残るのか?

.

.

6 有限レプリカ数での相転移

(5)

. . . .

実検結果:交流帯磁率の温度依存性

. Cannella–Mydosh(1972), 希薄磁性合金 (CuMn) の帯磁率

..

...

• ある温度でカスプが見られる.

• そのカスプ温度は,微妙に交流磁場の振動数に依存している.

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 5 / 77

(6)

. . . . ランダム系の統計力学概論 スピングラス実験

実検結果:比熱の温度依存性

..

.

転移温度の近傍で鈍感な比熱

..

...

• 発散やカスプのような特異的な振るまいはしない.

• 転移といっても,エントロピーをがっさり捨てるわけではない.

(7)

. . . .

実験的検証 ??

.

非線形帯磁率の発散

..

...

Miyako et al (1979).

M.Suzuki の現象論の検証.

.

磁場中相転移

..

...

Tabata et al(2010).

RKKY スピングラス

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 7 / 77

(8)

. . . . ランダム系の統計力学概論 スピングラス実験

低温相における slow dynamics: 履歴

..

.

履歴現象: 2 つの磁化の違い

..

...

.

.

1 磁場中冷却磁化:

磁場をかけたまま温度を冷やした

時の磁化

.

.

2 ゼロ磁場冷却磁化:

ゼロ磁場のまま低温まで冷やして,

その後磁場を印加して誘起した

磁化

ゼロ磁場で安定な状態に,磁場を印

加しても,なかなか磁場中で安定な

状態に緩和しない.

おそーい緩和現象

. T < T c での異常長緩和現象

..

...

• 低温相の性質を知るには緩和現象を理解するのが鍵.

• 低温相では熱平衡状態が実現しているのか?

(9)

. . . .

低温相における slow dynamics: エージング現象

.

待ち時間依存性

..

...

低温相で過ごした時間にその後の応

答が依存

external field h

0 M(t,tw)=M(t)

t

log(time) temperature

Tm

T

g

Tref

t

w

L. Lundgren et al. (1983)

待てば待つほど,ゆっくり成長.

待っている間にどんどん深みにはまっ

て,抜け出せないような. . .

.

...

34

36

38

40

42

44

t (s)

M (arb. units)

10 0

−1

10

0

10

1

10

2

10

3

10

4

0.5

1

1.5

t (s)

S(t) (arb. units)

tw=30s tw=300s tw=3000s

(b)

(a)

Ag (11at% Mn)

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 9 / 77

(10)

. . . . ランダム系の統計力学概論 スピングラス実験

実験事実: Memory and Chaos Effects in Spin Glasses

.

温度サイクリング過程

..

...

高温から急冷 T 1 → T 2 → T 1

. Rejuvenation(chaos) 効果

..

...

ある温度 T 1 で長く待ち、緩和が進ん

だことが低温で役に立っていないよう

に見える。

温度に依存して,様々なスピングラス

状態.

. Memory 効果

..

...

先程の温度 T 1 で長く待ったことを覚

えているように見える。

J. Hammann, et al : J.Phys.Soc.Jpn. 69 (2000)Suppl. A, 206–211. (Saclay-Uppsala experiments, 1992)

(11)

. . . .

連続的温度サイクル過程

.

温度スケジュール

..

...

T

t T1

T2 Tg

t w1 t w2

降温を途中で一旦停止 → 再び降温

停止中の緩和は継続されていない

• 再度昇温すると、以前の “一旦停

” を覚えている

.

...

K. Jonason, et al : Phys. Rev. Lett. 81, 3243 (1998). K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 11 / 77

(12)

. . . . ランダム系の統計力学概論 スピングラス実験

スピングラスの標準模型

. 1975 年: Edwards-Anderson の平均場理論

..

...

希釈磁性合金 (CuMn, AuFe,...): 金属ホストにわずかに (数%) の磁性原

子がある系

• 磁性原子間の有効相互作用: RKKY 相互作用

H = − J eff (R ij )S i · S j , J eff (R) ∝ cos(2k F R)

(2k F R) 3 .

.

.

1 磁性原子は金属中にランダ

ムに埋め込まれている.

.

.

2 相互作用の符合が磁性原子

間に依存して,正負になる

(13)

. . . .

Edwards-Anderson 理論 … スピングラスとは

• ランダムネスとフラストレーションの混在した磁性体

.

.

1 ランダムネス: 並進対称性がない

.

.

2 フラストレーション:低励起状態が多数になる.秩序の候補が沢山

ある.

M (q) = 1

N

i

e i q · r

i

⟨S i ⟩ = 0

どんな波数 q にも秩序は引っかからない.しかし,どうやらスピンは

固まっているように見える ( 交流帯磁率がある温度で折れ曲がる )

ランダムに好きな方向に凍結する相転移 ( スピンのガラス化 )

• Edwards-Anderson 理論:秩序変数 q EA = Q(t → ∞)

Q EA (t) ≡ N 1 i ⟨S i (t = 0) · S i (t)⟩ −→ N 1 ⟨S i2 ̸= 0

相の判別

常磁性相 q EA = 0 M(q) = 0

強磁性相 q EA ̸= 0 M(q) ̸= 0

スピングラス相 q EA ̸= 0 M(q) = 0

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 13 / 77

(14)

. . . . ランダム系の統計力学概論 スピングラス実験

Edwards-Anderson 模型

• Edwards-Anderson Hamiltonian ( エネルギー関数 ): S i = ±1

H(S) = −

⟨ij⟩

J ij S i S j ; P (J ij ) : ガウス分布, ±J 分布 ,...

• ランダムネスを独立な確率変数 . 不純物でなく,熱力学的に有為な

乱れ.

• エネルギー的に得なスピン

配位はランダム

• ( ほとんど ) エネルギーの変

わらない状態が多数出現

温度 ( ノイズ ) が低くてもフ

ラフラするスピンがいる

(15)

. . . .

Outline

.

.

1 ランダム系の統計力学概論

スピングラス実験

.

.

2 ランダムネスの取扱いとレプリカ法

レプリカ法の最も簡単な例

.

.

3 スピングラスの平均場理論

スピングラスの平均場理論

.

.

4 1 段階レプリカ対称性の破れだけでよい系

.

.

5 平均場理論を越えて , 有限次元系の結果を少しだけ

有限次元の世界にレプリカ理論の予想は生き残るのか?

.

.

6 有限レプリカ数での相転移

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 15 / 77

(16)

. . . . ランダムネスの取扱いとレプリカ法

ランダムネスの取扱い : ボンドランダム系を例に

H(S, J) = −

ij

J ij S i S j −H

i

S i , P (J ij ) = xδ(J ij −J)+(1−x)δ(J ij ).

アニール系 ( 焼き鈍し,徐冷 ) : ボンド変数 J もスピン変数 S と同様

に熱的に揺らげると考えると,

Z A =

DJ ij P (J ij )Tr S e −βH(S,J) =

DJ ij P (J ij )Z J = ⟨Z J J ,

自由エネルギーは,

F A = − 1

β ln⟨Z J J

自由度が増えた {S i } + {J ij } スピン系とも見なせる.

スピン系と協力 ?しながら,エネルギーの低い J ij の配位のサンプルの

重みが多いことになる.

• フラストレーションの解消

(17)

. . . .

ランダムネスの取扱い 2

クエンチ系 ( 急冷 ) :ボンド変数 J が固定された一つのサンプルで自

由エネルギー,物理量 E を評価,

F J (β) = − 1

β ln Z J (β), E J =

1

Z J Tr s E(S, J)e

−βH(S,J) =

∂β (βF J (β))

• J ij はランダム変数と考える. . . 本当はランダムかどうかはわからないこ

ともある.例えば,合金の場合は磁性原子は凝集しやすいこともある.

熱力学量の自己平均性 : ln Z の平均が難しい ( とされている )

F = ⟨F J (β)⟩ J = − 1

β ⟨ln Z J (β)⟩ J

E = ⟨E J (β)⟩ J =

⟨ 1

Z J

Tr s E(S, J)e −βH(S,J)

J

= ⟨ ∂

∂β (βF J (β))

J

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 17 / 77

(18)

. . . . ランダムネスの取扱いとレプリカ法

クエンチ系の扱い方

時間スケールの分離 現実的には. .

.

...

( 欠陥や非磁性原子が動く時間スケール )

.

...

(スピン変数の動く時間スケール)

ランダムネスはクエンチ変数と見做す方がよい.

二重平均 : 平均をとる順番が問題

熱平均 スピン変数に関する和 : Tr S

i

· · · 条件付き確率 :P (S|J)

ランダム平均 ランダム変数に関する和 : ∫ DJ ij · · · 事前分布 :P (J )

.

.

1 順方向:熱平均からランダム平均へ

• ランダムネスの個性は残したまま

.

.

2 逆方向:ランダム平均から熱平均へ

• ランダムネスの個性を消した典型的評価

(19)

. . . .

クエンチ系の料理の仕方 : 順方向

手順: できるだけランダム平均は後の方に. . .

.

.

1 まず,ランダム変数を与えて,熱平均,すなわち物理量の解析をする.

それぞれのサンプル {J ij } で何が起きているかがわかる.

A J

1

, A J

2

, · · ·

.

.

2 その後で,ランダム平均をする.

手法

.

.

1 級数展開等の各種近似理論

e.g. 高温展開: χ(β) = ⟨χ J ⟩ J = ⟨f 0 J ⟩ J + ⟨f 1 J ⟩ J β + ⟨f 2 J ⟩ J β 2 +

.

.

2 数値計算:モンテカルロ法,数値的転送行列法, . . .

→ これらは,直接自由エネルギーを評価しているわけでは

ないので,一見ランダム系であることの困難は見えない.

.

.

3 平均場模型については,状態方程式を解く.

スピングラスでの, TAP(Touless-Anderson-Palmer) 理論

→ こっちは結構解析は難しい

特徴

• 順方向なので,問題の難しさ (e.g. ln Z の平) 均をそのまま連れて来

ている.

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 19 / 77

(20)

. . . . ランダムネスの取扱いとレプリカ法

クエンチ系の料理の仕方 : 逆方向

• まずランダム平均をとることができれば,残りは pure 系の問題に.

手順 :レプリカ法を用いてランダム平均を先にとってしまう

ln x = lim n→0 x

n

n −1

=⇒ −βF = ⟨ln Z J ⟩ J =

n→0 lim

Z J n − 1

n

J

= lim

n→0

⟨Z J nJ − 1

n

良いところ: pure 系に焼き直せれば,好きに解析ができる.これまで

に pure 系で培われて来た技術が使える.

不安なところ:

焼き直した pure 系とはどんな系なのか ?

レプリカ極限 n → 0 の問題

(21)

. . . .

レプリカ法の最も簡単な例 –0 次元問題

.

ランダムな磁場中の独立なイジングスピン

..

...

ハミルトニアン: H = − N i=1 σh i

ランダムな磁場 h の分布:P (h) = √ 1

2 πh

20

exp

( − 2 h h

220

)

.

クエンチ自由エネルギー密度

..

...

−βf(h

0

, β) = ln

[

σ=±1

exp(−βσh)

]

=

dhP (h) ln(2 cosh βh)

= 1

√2πh

20

+∞

−∞

e

h2

2h20

ln(e

−βh

+ e

βh

)

=

+∞

−∞

√ dx

e

x22

ln(1 + e

2βh0x

) 相転移はない

. T → 0 極限

..

...

f (h 0 , β → ∞) = lim

β→∞

(

β 1

∫ ∞

0

√ dx

ln (1 + e

2βh

0

x )

)

= √ 2h 0

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 21 / 77

(22)

. . . .

ランダムネスの取扱いとレプリカ法 レプリカ法の最も簡単な例

わざわざレプリカ法を使ってみる

ステップ1 レプリカ法 ... レプリカ極限

−βf(h 0 , β) = log Z = lim

n→0

Z n − 1

n = lim n→0

1

n (Z n − 1

)

ステップ 2 ここで n を整数とすれば. . .レプリカスピン.

Z n =

dhP (h)

(

σ

exp(−βσh)

) n

=

dhP (h)

σ

1

,···σ

n

e −βh

nα=1

σ

α

=

σ

1

···σ

n

exp

β 2 h 0

2

(

α

σ α

) 2

この系は , ランダムネスのない n レプリカスピン系 + レプリカ間相互作用

ステップ 3 計算を続ける:レプリカスピン状態

(23)

. . . .

わざわざレプリカ法を使ってみる (cont.)

α

σ α ∈ (−n, −n + 2, · · · , −n + 2k, · · · , +n) , k = 0, · · · , n

その状態数 1, n C 1 , · · · , n C k , · · · , 1

Z n =

n

k

n C k exp

( β 2 h 2 0

2 (2k − n)

2

)

−βf = lim

n→0

1

n

[ n

k=0

n!

k!(n − k)! exp

( β 2 h 2 0

2 (2k − n)

2

)

− 1

]

k = 0 : σ = (σ 1 , · · · , σ n ) = (1, 1, · · · , 1), レプリカ転置対称性

レプリカ極限 : lim

n→0

1

n

(

e

β2h220

n

2

− 1

)

= 0

k ̸= 0 : レプリカ対称性のない配位 : ex.σ = (1, 1, −1, 1, · · · )

−βf = lim

n→0

1

n

[

k=1

Γ(n + 1)

Γ(k + 1)Γ(n − k + 1) e

β2h20

2

(2k−n)

2

− 1

]

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 23 / 77

(24)

. . . .

ランダムネスの取扱いとレプリカ法 レプリカ法の最も簡単な例

わざわざレプリカ法を使ってみる (cont.)

ステップ 4 解析接続

Γ(n + 1)

Γ(k + 1)Γ(n − k + 1)

1

k! (−1) n(k−1)!

k−1

=

n

k (−1)

k−1

Γ 関数の性質 : lim

z→−m (z + m)Γ(z) = (−1)

m

m!

−βf = lim

n→0

1

n

k=1

n

k (−1)

k−1 e

β2h220

(2k−n)

2

=

k=1

1

k (−1)

k−1 e

β2h220

(2k)

2

=

k=1

1

k (−1)

k−1 dx

e

x22

+2βh

0

xk

=

∫ dx

√ 2π e

x22

log ( 1 + e 2βh

0

x )

(25)

. . . .

わざわざレプリカ法を使ってみる (cont.)

とりあえず , レプリカ法を使わない結果を再現.手数は増えている. . .

• 積分の表現が全てのレプリカスピンの配位の寄与を含む

T → 0 極限では発散項の全ての和が必要

解析接続は Γ 関数の性質を使った.

• いつでもレプリカ法が正しい結果を与えているかは自明ではない. . .

.

それでも , レプリカ法を使う10の理由

..

...

とにかく計算が進む.

• レプリカ法が物理を引き出す本質的な役割を果たすことがある. . .

かも

• とても非自明な結果を導くことがある

10 こ思い浮かばない.

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 25 / 77

(26)

. . . . スピングラスの平均場理論

Outline

.

.

1 ランダム系の統計力学概論

スピングラス実験

.

.

2 ランダムネスの取扱いとレプリカ法

レプリカ法の最も簡単な例

.

.

3 スピングラスの平均場理論

スピングラスの平均場理論

.

.

4 1 段階レプリカ対称性の破れだけでよい系

.

.

5 平均場理論を越えて , 有限次元系の結果を少しだけ

有限次元の世界にレプリカ理論の予想は生き残るのか?

.

.

6 有限レプリカ数での相転移

(27)

. . . .

スピングラスの平均場理論

Sherrington-Kirkpatric model (PRL.351792(1979);PRB174384(1978) )

. Edwards-Anderson model の平均場版 (無限大次元)

..

...

H(S, J ) = −

⟨ij⟩

J

ij

S i S j − h

i

S i , P (J

ij

) ∝ exp

(

N (J ij

J0

N )

2

2J 2

)

.

相互作用 J ij の分布:平均値 J 0 /N , 分散 J/ N .

• エネルギーの全てのキュムラントが O(N ) になるように定義

J 0 /J ≫ 1 が pure 極限,J 0 /J ≪ 1 ランダムの極み

.

レプリカ法 (トリック)

..

...

−βF = ⟨ln Z J ⟩ J =

n→0 lim

1

n (Z

J n − 1)

J

= d

dn Z

Jn

⟩ J

n=0

• n の自然数だと考えると,独立な nヶのランダムスピン系 H ˜

Z

Jn

= ( Tr

S

e

−βH(S,J)

)

n

= Tr

S1

Tr

S2

· · · Tr

Sn

exp

(

−β

n

α=1

H(S

α

, J)

)

= Tre

−β ˜H

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 27 / 77

(28)

. . . . スピングラスの平均場理論 スピングラスの平均場理論

スピングラスの平均場理論 : レプリカ系

独立な n ヶのランダムスピン系 から ランダム平均へ

Z

n

≡ ⟨Z

Jn

J

= Tr

⟨ij⟩

e

−βJijnα=1SiαSαj

J

e

−βhi,αSαi

= Tre

−βHn

相互作用する n ヶの均一スピン系 H n

−βH

n

= β

2

J

2

2N

⟨ij⟩

(

α

S

iα

S

jα

)

2

+ βJ

0

N

⟨ij⟩

(

α

S

iα

S

jα

)

+ βh

i,α

S

iα

n → 0 を一瞬忘れてしま

うと. . .

• 強磁性的に相互作用する

nヶの系

• レプリカ間に四体相互作用

縮退が多数ある

n=1 n=2 n=m n=m+1 n=n

(29)

. . . .

スピングラスの平均場理論 : 補助場の導入から鞍点評価

• n ヶの磁化に相当する場 m α

n(n−1) 2 のスピングラス秩序に相当する場 q αβ

Z

n

∝ Tr

{Sα i}

αβ

Dq

αβ

α

Dm

α

exp

N β

2

J

2

2

αβ

q

2αβ

N βJ 2

0

α

m

2α

+ βJ

2

αβ

q

αβ

(

i

S

iα

S

iβ

)

+ βJ

0

α

m

α

i

S

iα

+ h

i,α

S

iα

∫ ∏

⟨αβ⟩

Dq

αβ

α

Dm

α

exp (− N ϕ

n

)

ϕ

n

= β

2

J

2

2

⟨αβ⟩

q

2αβ

+ βJ

0

2

α

m

2α

β

2

J

2

4 n

1

N log

[ Tr

Sαi

e

Heff

]

H

eff

= β

2

J

2

⟨αβ⟩

q

αβ

(

i

S

iα

S

βi

) + β

α

(J

0

m

α

+ h)

i

S

iα

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 29 / 77

(30)

. . . . スピングラスの平均場理論 スピングラスの平均場理論

この積分を鞍点評価したい.鞍点条件は有効ハミルトニアン H eff での平

均から

• q αβ について, q αβ = N 1 i S i α S i β

eff

• m α について, m α = N 1 i S i α eff

• これは元々興味のある秩序変数 q に似ている.実際に,

q ≡

[ 1

N

i

⟨S

i

2

]

J

=

[ 1

N

( TrS

i(1)

e

−βH(S(1))

Z

) ( TrS

i(2)

e

−βH(S(2))

Z

)]

J

= lim

n→0

[ Z

n

N

Tr

S(1)S(2)

S

i(1)

S

(2)i

e

−β(H(S(1))+H(S(2)))

Z

2

]

J

= lim

n→0

[

Tr

{Sα}

1

N

i

S

αi

S

iβ

e

−βna=1H(S(a))

]

J

= lim

n→0

q

αβ

鞍点 (φ(Q αβ , M α ) = min φ({q αβ }, {m α })) が見付かったら, 自由エネル

ギーが計算できる.

βf = − N 1 n→0 lim dn d Z n = lim n→0 dn d φ(Q αβ , M α )

(31)

. . . .

レプリカ対称解

仮定 : 人工的に導入したレプリカの指標には物理量は依存しない

=⇒ レプリカ ( の転置変換 ) 対称性

=⇒ 鞍点解の探索空間を

{ q αβ → q

m α → m に制限

φ RS n = β

2 J 2

2

n(n − 1)

2 q

2 + βJ 0

2 nm

2 β 2 J 2

4 n −

1

N log [Tr S

iα

e

H

eff

]

βf RS = − β

2 J 2

4 (1 − q)

2 + βJ 0

2 m

2 − ⟨2 cosh Ξ⟩ z

Ξ = β(J 0 m + h + Jq 1/2 z), ⟨· · · ⟩ z =

dz 1

(2π) 1/2 e

−z

2

/2 · · ·

鞍点条件は, m = ⟨tanh Ξ⟩ z , q = ⟨tanh 2 Ξ⟩ z

• この解析では,熱力学極限 N → ∞ を先にとり,そこで鞍点解析を

し,しかるのちにレプリカ極限 n → 0 を後からとる.鞍点の構造が

レプリカ極限 ( 解析接続 ) の途中で変化しなければよいが. . .

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 31 / 77

(32)

. . . . スピングラスの平均場理論 スピングラスの平均場理論

レプリカ対称解の結果

.

相図 ..

...

m = 0, q = 0 の不安定条件として相境界が

描ける.

T/J

J /J 0

Para

SG

F

m=0,q=0

m>0,q>0

m=0,q>0

• スピングラス相が出てきた.ラ

ンダムネス固有の相

• q に対応する感受率が発散.非

線形帯磁率 χ 3 の負に発散.

リエントラント転移

× エントロピーが負になる ??

• いい線行っているようだが,致命的な欠陥もある.

• レプリカ法に対する疑惑は沢山ある.

(33)

. . . .

スピングラスの平均場理論 : レプリカ非対称解へ向けて

. de Almeida-Thouless(AT) 解析 (J.PhysA11(1978)983)

..

...

レプリカ対称解のまわりで ( 対称性を破る摂動に対する ) の安定性解析

ϕ

n

≃ ϕ

RSn

+ 1

2

{ q

α

= q + η

αβ

m

α

= m + ϵ

α

∆ ≡

αβ

2ϕn

∂mα∂mβ RS

ϵαϵβ+ 2 α,(βγ)

2ϕn

∂mα∂qβγ RS

ϵαηβγ+ (αβ),(γδ)

2ϕn

∂qαβ∂qγδ RS

ηαβηγδ

ヘシアン行列に負の固有値

があれば, RS 鞍点解はダメ

.

安定性条件

..

...

1 − β 2 J 2 (1 − 2q + ⟨tanh 4 Ξ⟩) > 0

T/J

J /J0 Para

SG

F NG!!

H/J

T/J 1

1 RS

RSB AT line

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 33 / 77

(34)

. . . . スピングラスの平均場理論 スピングラスの平均場理論

レプリカ対称解 (RSB) の破り方 : Parisi’s ansatz 1step

. 1 段階レプリカ対称性の破れ解 (1 step RSB)

..

...

• q αβ のパラメータ空間の分割 :

n × n の行列 q αβ =⇒ m 1 × m n

1

グループ (0 ≤ m 1 ≤ n)

n

n

q

1

q

0

q

0

m

m

1 1

q

1

n=16, m=4

1 2 3 4 5 6 7 8

q

q

1 0

α,β q αβ l = n 2 q 0 l m n

1

m 2 1 (q l 0 − q 1 l ) =⇒ φ n ≃ φ 1RSB n (q 0 , q 1 , m 1 )

• “自由エネルギー” が最大化: 変分パラメータ (q

0

, q

1

, m

1

)

• その決まったパラメータ回りの AT 安定性解析

レプリカ極限 m 1 /n → x

• RS 解は,q 0 = q 1 , m 1 不定.

(35)

. . . .

レプリカ対称解 (RSB) の破り方 : Parisi’s ansatz 2step

. 2 段階レプリカ対称性の破れ解 (2 step RSB)

..

...

• q αβ のパラメータ空間の分割をもう一回 :

m 1 × m 1 の行列 q 1 =⇒ m 2 × m m

1

2

グループ (0 ≤ m 2 ≤ m 1 )

n

n

q 1

q 0

q 0

m

m

1 1

q 1

n

q 1

q 0

q 0

m

m

1 1

q 2

q 2

q 2

q 2

q 1

q 1

q 1

q 2

q 2

m

2

=⇒ φ n ≃ φ 2RSB n (q 0 , q 1 , q 2 , m 1 , m2)

• 自由エネルギーが最大になるように決める.変分パラメータ

(q

0

, q

1

, q

2

, m

1

, m

2

)

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 35 / 77

(36)

. . . . スピングラスの平均場理論 スピングラスの平均場理論

レプリカ対称解の破り方 : Parisi’s ansatz

• “ 安定性条件 ” が満たされるまで繰り返す.

実はこの SK 模型は無限回繰り返す必要があった.

ϕ

n

= ϕ

MnRSB

(q

0

, q

1

, · · · , q

M−1

, m

1

, m

2

, · · · , m

M−1

) → ϕ

∞RSBn

[q(x)]

1 m n

q

q

1

0

1 m n

q

q

1

0

m m m 1

q(x)

0 x

Replica Limit

• 無限回繰り返した解を完全レプリカ対称性の破れ解 :Full RSB

秩序変数は,秩序関数 q(x) になった ?!

鞍点条件は, Parisi 方程式と呼ばれる偏微分方程式になる.

(37)

. . . .

非レプリカ対称解の結果

• Parisi calculus

αβ

q l αβ = n

n

1

q(x) l dx

• 絶対零度のエントロピーの問題は改善された.

RSB 0 1 2 · · ·

S(T=0) 1 −0.01 −0.004 · · · 0.

安定性解析 (de Dominicis-Kondor, ’85)

最小固有値 λ = 0

=⇒ marginally stable

• 線形帯磁率が温度に依らず一定

何か意味ありげ.

RSB

RS

T

χ

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 37 / 77

(38)

. . . . スピングラスの平均場理論 スピングラスの平均場理論

レプリカ理論に対するギモン

物理的なギモン

• レプリカ法の計算の物理的な意味

• レプリカスピン空間と実スピン空間の関係

⟨S

iα

eff

⟨S

iα

S

jβ

eff

⇐⇒

⟨S

i

⟨S

i

S

j

秩序関数 q(x)??

数学的なギモン

• レプリカ法の正当性:解析接続と鞍点条件と熱力学極限

(39)

. . . .

スピングラスの平均場理論 : TAP 理論とその整合

ランダムネスはできるだけ,そのままにして解析したい ( 順方向の解析 )

. Thouless-Anderson-Palmer (TAP) (Phil.Mag.35593(1977)) の理論

..

...

サイト磁化 m i についての状態方程式

これができるのは平均場模型の特殊性

m i = tanh β

h i +

j

J ij m j − βm i

j

J ij (1 − m 2 j )

. Plefka 展開 (J.Phys.A151971(1982))

..

...

摂動展開: H(α) = − i h i S i + α ij J ij S i S j

• F (α, {h i }) = −T log Tre −βH(α) → G(α, {m i }) として, α の展開

• 2次の項まで計算して, α = 1 とする. TAP の自由エネルギーが出

てくる.

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 39 / 77

(40)

. . . . スピングラスの平均場理論 スピングラスの平均場理論

G ({m

i

}) = T

i

( 1 + m

i

2 log

1 + m

i

2 +

1 − m

i

2 log

1 − m

i

2

ij

J

ij

m

i

m

j

β

2

ij

J

ij2

(1 − m

2i

)(1 − m

2j

)

)

• {m

i

} についての非線形連立方程式: TAP 方程式

• 解くのが難しいが,解ければスピンの固まり具合がわかるのはうれしい.

TAP 解の安定性条件 : レプリカ理論の AT 安定性とよく似た条件が出てくる.

A

ij

=

2

G

∂m

i

∂m

j

> 0 =⇒ 1 − β

2

J

2

(1 − 2

N

i

m

2i

+ 1

N

i

m

4i

) ≥ 0

数値的にはやはり marginally stable

TAP 方程式の解の個数の評価 (Bray-Moore, J.Phys. C13 L469(1980))

N

s

=

i

dm

i

(

i

δ ( ∂G

∂m

i

) )

∼ e

Σ(T )N

• complexity Σ(T ) SG 相で有限:指数関数的な解の個数がある.

(41)

. . . .

Parisi 解釈レプリカ理論の整合性

.

レプリカ法での秩序変数

..

...

q =

[ 1

N

i

⟨S

i

2

]

J

= lim

n→0

2

n(n − 1)

⟨αβ⟩

⟨S

α

S

β

eff

無限ステップ RSB

= lim

n→0

2

n (n − 1)

n

2

n 1

q(x)dx =

1 0

q(x)dx =

qmax 0

dq

q

dx(q

)

dq

分布関数を dx(q)

dq だと思ったときの,一次のモーメント

.

秩序変数の分布関数

..

...

q(x)

x

0 1

q

x(q)

0

1

q

EA

q

P(q)

0 q

EA

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 41 / 77

(42)

. . . . スピングラスの平均場理論 スピングラスの平均場理論

..

. TAP 理論での秩序変数

..

...

q =

[ 1

N

i

⟨S

i

2

]

J

=

[ 1

N

i

m

2i

]

J

=

[ 1

N

i

(

s

w

s

m

si

)

2

]

J

=

1

N

i

s,s

w

s

w

s

m

si

m

si

J

=

s,s

w

s

w

s

Q

ss

J

=

dQQ

[

ss

w

s

w

s

δ (Q − Q

ss

)

]

=

dQQP (Q)

.

重なりの分布関数に関する対応関係 : P (Q) ⇐⇒

x(q)

..

dq

...

. .

1

レプリカ理論の q(x) 関数から,右辺を計算

Parisi 方程式から q(x) =⇒ P (q) = dq d x(q)

.

.

2

TAP 方程式の解から左辺を計算

P (q) = αβ w α w β δ(q − N 1 i m α i m β i )withw α ∝ e −βG({m

αi

})

.

.

3

モンテカルロ法で左辺に相当する量を評価.

P (q) = ⟨δ(q − N 1 i S

(1)

i S

(2)

i )⟩

(43)

. . . .

レプリカ法の数値的検証

.

レプリカ理論と TAP 理論の間

(K.Nemoto)

..

...

.

レプリカ理論と MC の間 (A.P.Young)

..

...

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 43 / 77

(44)

. . . . スピングラスの平均場理論 スピングラスの平均場理論

状態空間の超計量性と秩序変数の分布関数の普遍的確率

秩序変数 q は相互作用 J に依存する確率変数であるが,その揺らぎには

特別な確率則が普遍的に成り立っている (M´ezard et al(1986))

.

状態空間の超計量性 (Rammal-Touless-Virasoro (RMP, 1987))

..

...

• d(α, β) ≤ max(d(β, γ), d(γ, α))

• SG 秩序変数と Hamming 距離 : q αβ = 1 − 2d(α, β)

• q αβ ≥ min(q βγ , q γα )

通常の metric は,三角不等式

d(α, β) ≤ d(β, γ) + d(γ, α)

• Ultrametric は,二等辺三角形か正三角

形だけ.

α

β

γ

α,β

h( )

β α

γ

(45)

. . . .

.

超計量性 ..

...

P (q 1 , q 2 , q 3 ) = 1

2 P (q 1 )x(q 1 )δ(q 1 − q 2 )δ(q 1 − q 3 )

+ 1

2 P (q 1 )P (q 2 )θ(q 1 − q 2 )δ(q 2 − q 3 )

+ 循環

q 1 ≤ q 2 = q 3 ...

. PJ (q 12 , q 23 , q 31 ) などの従う確率則 ( モーメント関係式 )

..

...

累積確率: Y

J

(q) =

q1

dq

P

J

(q

), 一次モーメント: y = [Y

J

(q)]

二次モーメント: [(Y

J

(q))

2

] =

13

(y + 2y

2

)

三次モーメント: [(Y

J

(q))

3

] =

151

(3y + 7y

2

+ 5y

3

)

• スピングラス相の中での普遍的な関係式

• 低次の関係式はレプリカ法以外でも求められている (Guerra)

• ランダム行列理論から言えるような気もするが , そのような知見は知らない.

• そもそもこの確率分布の名前を知らない. . .

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 45 / 77

(46)

. . . . スピングラスの平均場理論 スピングラスの平均場理論

数値検証

.

数値実験 Bhatt-Young

..

...

. MC by KH-Yoshino-Takayama

..

...

(47)

. . . .

SK モデルの平均場理論からわかったこと

.

スピングラス相転移

..

...

• ランダムな方向へのスピンの凍結相転移

• 平衡統計力学の議論から,ダイナミクスについてはほとんど言え

ない? !

• 非線形帯磁率の負の発散

磁場中相転移

.

スピングラス相の性質

..skip

..

...

• スピングラス相内では多数の準安定状態が存在する.

• 自由エネルギー構造の一谷 vs 多谷相転移

• レプリカ対称性の破れを伴う相転移

• q(x) の一定 vs x 依存性 転移

P(q) の自明な δ 関数 vs 非自明 転移

• 準安定状態の超計量性,階層構造

磁場中相転移の存在 (RS-RSB 転移 )

ぎりぎりの安定性

.

...

Parisi 解の自由エネルギーが厳密であることなど精密にわかってきている

こともある .

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 47 / 77

(48)

. . . . 1 段階レプリカ対称性の破れだけでよい系

Outline

.

.

1 ランダム系の統計力学概論

スピングラス実験

.

.

2 ランダムネスの取扱いとレプリカ法

レプリカ法の最も簡単な例

.

.

3 スピングラスの平均場理論

スピングラスの平均場理論

.

.

4 1 段階レプリカ対称性の破れだけでよい系

.

.

5 平均場理論を越えて , 有限次元系の結果を少しだけ

有限次元の世界にレプリカ理論の予想は生き残るのか?

.

.

6 有限レプリカ数での相転移

(49)

. . . .

多体相互作用する平均場スピングラス模型

. p-spin SG model (Gross-M´ezard, 1984)

..

...

H({S i }|{J ij }) = −

i

1

>···>i

p

J i

1

···i

p

S i

1

S i

2

· · · S i

p

, S i = ±1

J i

1

···i

p

はランダム変数.

p = 2: SK 模型

• p = ∞: Random Energy Model (Derrida) と等価.

p ≥ 3 では 1 step RSB のレベルで AT 安定性が満たされる.

鞍点条件から, q

0

= 0

(1 − m) ( β

2

2 pq

p−1

1

q

1

(1 − q

1

){(m − 1)q

1

+ 1}

)

= 0

β

2

2 q

p 1

+

1

m

2

log

( 1 − q

1

1 − (1 − m)q

1

)

+ q

1

m {1 − (1 − m)q

1

} = 0

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 49 / 77

(50)

. . . . 1 段階レプリカ対称性の破れだけでよい系

. p-spin SG の相転移の一般的な性質

..

...

常磁性相 (q

0

= q

1

= 0)→ スピングラス相 (q

0

= 0, q

1

> 0, m ≤ 1)

転移温度直上 (T = T

s

) q

1

> 0, m = 1

• q

1

は転移温度で不連続. (q の平均は連続的 )

• 転移温度ですでに大きな自己重なりを 持っているが,重みがない. metastable

state の予感

q(x)

0 1

x

T>Ts

q(x)

0 1

x

T=Ts

q(x)

0 1

x

T<Ts

m

P(q)

0 1

q

P(q)

0 1

q

q 0 q 1

q

P(q)

(51)

. . . .

ポテンシャル描像

. Franz-Parisi ポテンシャル (Franz and Parisi (1997))

..

...

e

−βN VFP(q|

J

)

=

S

(1),

S

(2)

e

−β

(

H(

S

(1)|

J

)+H(

S

(2)|

J

))

δ (N q −

i

S

i(1)

S

i(2)

)

V

FP

(q) = [V

FP

(q|J)]

• レプリカ法等で計算しやすい量

RSB 一次転移 のような性質.準安定状態が出現する温度 T

d

の存在.

q

0

q

0

T<T c T>T c

q EA

q

0

T<T d

q EA

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 51 / 77

(52)

. . . . 1 段階レプリカ対称性の破れだけでよい系

p -spin SG の結果とガラスとの類似性

類似点

動的相転移 T d と静的相転移 T s < T d

• T d でエルゴード性が破れる

• TAP 方程式の解= configurational entropy?

問題点

• p-spin SG が構造ガラスのように見える?

• quench randomness の存在. 構造ガラスには埋め込まれたランダムネ

スはない.

• 平均場を越える必要がある.

• 熱活性化過程を取り込まなくてはいけない.

• 有限次元系の拡張が非自明

(53)

. . . .

連続的 RSB と1段階 RSB が接するところ

. p-spin glass model

..

...

H ({S

i

}|{J

ij

}) = −

i1>···>ip

J

i1···ip

S

i1

S

i2

· · · S

ip

, S

i

= ±1

• p > 2 で, 1RSB

. q-state Potts glass model (Elderfield-Sherrington(1983))

..

...

H({S

i

}|{J

ij

}) = −

i>j

J

ij

δ(S

i

, S

j

) − H

i

δ(S

i

, 1), S

i

= (1, 2, · · · , q)

• 2 < q < 2.8...: 1RSB+ 連続?

• q > 2.8...: 1RSB.

• どちらも低温でさらに連続 RSB への転移があると思われている.

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 53 / 77

(54)

. . . . 1 段階レプリカ対称性の破れだけでよい系

.

気づけば. . .

..

...

• 多くのスピングラス模型は1段階 RSB を示すようである.

• 最初に登場した二体相互作用する SK 模型は Full RSB

どうして、1 RSB ばかりなのか?

どうして , RSB はないのか? 二部へ

(55)

. . . .

Outline

.

.

1 ランダム系の統計力学概論

スピングラス実験

.

.

2 ランダムネスの取扱いとレプリカ法

レプリカ法の最も簡単な例

.

.

3 スピングラスの平均場理論

スピングラスの平均場理論

.

.

4 1 段階レプリカ対称性の破れだけでよい系

.

.

5 平均場理論を越えて , 有限次元系の結果を少しだけ

有限次元の世界にレプリカ理論の予想は生き残るのか?

.

.

6 有限レプリカ数での相転移

K.Hukushima (U. of Tokyo, Komaba) スピングラスのレプリカ理論とその周辺 数理物理セミナー 55 / 77

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