教職大学院修了生の研究ネットワーク組織の形成と情報交流の役割
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(2) 北海道教育大学大学院高度教職実践専攻研究紀要 創刊号. 教職大学院修了生の研究ネットワーク組織の形成と情報交流の役割. 小野寺基史*・竹本 克己*1・山瀬 一史*2. 北海道教育大学教職大学院は創設3年目を迎え、本年(平成22年)3月、その第1期生が本大学院 の課程を修了し巣立っていった。修了生が本教職大学院で学んだ確かな理論と優れた実践的能力をい かんなく発揮しながら、勤務校において確かな教育実践を行っているものと期待しているところであ る。 寺本ら(2003)は「実践なき理論は空虚であるが、理論なき実践は妄動である。本来、理論と実践 とは別々のものではない。両者の相互作用を通じて、それぞれがいっそう高度化するという『共進化』 あるいは『相互進化』の関係にある」と述べている。本教職大学院が目指す「理論と実践の往還」は、. 大学院の教育課程を修了した時点で完結するものではなく、むしろそこから始まるものである。教職 大学院は、2年間の教育課程において、院生一人ひとりが現場で生起する諸課題を自覚し、その課題 解決に向けた力量や技量を身につける場であると同時に、修了生が卒業後、大学院で学んだ教育実践 構想等を勤務地でいかんなく発揮できるよう「理論と実践を振り返り、確認する場」「学びなおしの場」 として、継続して支えていくための場であることを自覚することが大切である。 本大学院ではそのような認識に立ち、修了生の振り返りの場として、平成22年9月11日(土)、「第. 1回 高度教職実践発表・交流会(以下、交流会)」を札幌、旭川、釧路の3キャンパスを会場に開 催した。. 本稿は、今回開催された交流会での提言や発表内容・意見等を振り返ることから、本教職大学の役 割を再認識するとともに、修了生による卒業後の研究組織及びネットワークづくりの意義について述 /ヾる。. 1 本教職大学院創設における背景 中央教育審議会は、平成16年10月、「今後の教員養成・免許制度の在り方について」文部科学大臣 から諮問を受け、特に、①「教員養成における専門職大学院の在り方」、②「教員免許制度の改革、 とりわけ教員免許更新別の導入」について検討することとなった。本審議会は、平成17年2月「義務 教育特別部会」を設置するとともに、「教員養成部会」を初等中等教育分科会に付託し、部会の下に、 「教職大学院ワーキンググループ」及び、「教員免許制度ワーキンググループ」を設置して集中的に 審議を行い、12月に中間報告、その後パブリックコメントを経て、平成18年7月、本答申をとりまと めた。答申内容としては、特に「『教職大学院』制度の創設」と「教員免許更新別の導入」が強く提 言され、その時代的背景の中、北海道教育大学では平成20年4月、教職大学院「高度教職実践専攻」 *北海道教育大学教職大学院(大学院教育学研究科高度教職実践専攻)札幌 *1北海道教育大学教職大学院(大学院教育学研究科高度教職実践専攻)旭川 *2北海道教育大学教職大学院(大学院教育学研究科高度教職実践専攻)釧路. 67.
(3) 小野寺基史・竹本 克己・山瀬 一史. が設置されることとなった。. 2 教職大学院の意義と役割 本答申では、「教職大学院」制度の基本的な考え方として、「研究者養成と高度専門職業人養成の機 能が不分明だった大学院の諸機能を整理し、専門職大学院制度を活用した教員養成教育の改善・充実 を図るため、教員養成に特化した専門職大学院としての枠組み、すなわち「教職大学院」制度を創設 することが必要である」とした。. これは、今までの教育大学が必ずしも高度な専門性と豊かな人間性・社会性を備えた力量ある教員 の養成に特化したものになっていないという反省にも立っている。答申の中では、i)「教員養成に 対する明確な理念(養成する教員像)の追求・確立がなされていない大学があるなど、教職課程の履. 修を通じて、学生に身に付けさせるべき最小限必要な資質能力についての理解が必ずしも十分ではな いこと」、ii)「教職課程が専門職業人たる教員の養成を目的とするものであるという認識が、必ずし. も大学の教員の間に共有されていないため、実際の科目の設定に当たり、免許法に定める「教科に関 する科目」や「教職に関する科目」の趣旨が十分理解されておらず、講義概要の作成が十分でなかっ たり、科目間の内容の整合性・連続性が図られていないなど、教職課程の組織編成やカリキュラム編 成が、必ずしも十分整備されていないこと」、iii)「大学の教員の研究領域の専門性に偏した授業が多 く、学校現場が抱える課題に必ずしも十分対応していないこと。また、指導方法が講義中心で、演習 や実験、実習等が十分ではないほか、教職経験者が授業に当たっている例も少ないなど、実践的指導 力の育成が必ずしも十分でないこと。特に修士課程に、これらの課題が見られること」などと、今ま での教育大学が必ずしも望ましい教員養成大学として機能していないことを鋭く指摘している。. また、このことは、先般実施された中央教育審議会の教員資質向上特別部会で文部科学省が実施し た大規模なアンケート調査(平成22年)でも明らかになった。 調査では、教員養成について、「現在の学部段階の教育課程の課題」として、約6割の学校関係者 が「担当する大学数真の学校現場経験が不十分」、「内容・カリキュラムが学校現場に即していない」 と回答しているのに対して、大学側の回答はそれが3割程度となっている。また、「教員に求められ. る資質能力について」は、学校現場や教育委員会は、学校の実態に適応できる「即戦力」を求めてい るのに対し、大学側は広い教養や基礎的な専門知識を重視しており、その認識に大きな隔たりがある ことがわかった。. 交流会で大久保理事は「今、教育養成の大学が6年あるいは4年プラス2年にシフトすることが検 討されている。教職大学院はそのモデルであり、その役割はますます重安である」と述べている。教. 職大学院は、研究職教員と実務家教員がチームを組んで指導に当たっているばかりでなく、現職教員 とストレートマスターが混在して学びを深めることができるという非常に望ましい環境が整ってい る。交流会での「私が教職大学院で学んだこと」の提言において、修了生である箕田(札幌)は「校 種の違う先生と学び合え,優れた実践,文献,その道のプロと出会えたことは大変良かった」と感想 を述べた。また、山川(旭川)は、「小学校・中学校・高校・ストレートマスターといった、それぞ. れの校種や立場から具体的な意見を聞けただけでなく、各校種間の連携協力を意識しながら、学ぶこ とに変化させることができた。さらに、多角的な視点から、分掌や学年、学級経営や授業の分析とい うことにもつながっていった」と述べ、校種や立場の違う者同士の交流が何よりも自分の学びに大き な影響を与えたと述べている。また、最後に提言に立った照井(釧路)は大学院で「問題解決の習慣」. 68.
(4) 教職大学院修了生の研究ネットワーク組織の形成と情報交流の役割. が身についたとして、その中で一番大事なのは、「検証の方法」だと思うようになった。そして、最 後に「実際には、自分一人ではなく、たくさんの仲間のおかげでこのような考えに至った」と、仲間 との交流が何よりも大きなものであったと述べている。. このように、教職大学院はまさに、答申で提言された「高度な専門性と豊かな人間性・社会性を備 えた力量ある教員の養成」を目指す先駆的なモデルとしての使命感を自覚することが大切であると思 われる。. 3 教職大学院で学ぶ院生に求められる資質 学校数肯の抱える課題が複雑・多様化する今日、学校現場においては、より高度な専門性と豊かな 人間性・社会性を備えた力量ある教員が求められている。 答申では、その期待に答えるために、①「学部段階での資質能力を修得した者の中から、さらによ. り実践的な指導力・展開力を備え、新しい学校づくりの有力な一員となり得る新人教員の養成」と② 「現職教員を対象に、地域や学校における指導的役割を果たし得る教員等として不可欠な確かな指導. 理論と優れた実践力・応用力を備えたスクールリーダーの養成」を掲げており、前者に「ストレート マスター」、後者に「現職教職大学院生」を想定している。本大学院でも、前者に「学校経営力、学 級経営力、生徒指導力等を身につけさせ、将来学校教育を担う中堅教師として活躍できる人材」、後 者に「理論と実践の往還を通して学校経営、学級経営、生徒指導、教科指導等の確かな理論と優れた. 実践的能力を身につけさせ、学校や地域社会で中核となって活躍できる人材」を期待し、その育成を 目指している。 また、中教審が平成17年10月に公表した「新しい時代の義務教育を創造する(答申)」では、優れ. た教師の条件として、①「教職に対する強い情熱」、②「教育の専門家としての確かな力量」、③「総 合的な人間力」を重要な要素とした。. 交流会の講演で金山部長は「理論と実践の往還を考える際、ストレートマスターにはかなりハード ルが高い。学級経営を想定するのは難しいかもしれない」と指摘した。まさに、理論に基づいて実践. をし、実践を振り返ることから理論に基づいて客観的に評価するといった営みは、実践の経験が乏し いストレートマスターにはハードルが高いかもしれない。そのような弱点を克服するべく、教職大学 院では、ストレートマスターに対して、2年間で約450時間(10単位)、現場での実地研究を課し、終. 了後、それを整理、検証したマイオリジナルブックの作成(2単位)を義務付けており、理論と実践 が互いに往還できるよう教育課程の検討を行っている。. 金山部長はさらに「修養の場としての教職大学院」として、幼■小■中■高■大の校種の違う教員 が接続・交流・連携を図り、学ぶことができることは非常に重要なことであると指摘した。現場での. 実践経験が少ないストレートマスターにとって、また、校種の違う現職教員にとって、互いが日常的 に交流し、講義やゼミをとおして討議を重ねることの意味は非常に大きなものであるし、むしろ、そ の環境は教職大学院であるからこそ提供できるものであるかもしれない。. 実際、教職大学院の講義後の院生の感想の中には、「頭ではわかっていても、現職教員から具体的・ 実際的な話を聞けることが何よりも勉強になる(ストレートマスター)」との感想がある一方、現職 教員からは「具体的な指導の手立てを考える際、自分たちでは思いもつか. なかった独創的な発想にハツ. とさせられることがある」「指導に慣れてくると、それが一番だと思って深く考えなかったり、通り 一遍の指導しか思いつかなかったりすることがあるが、ストレートマスターの発想に、そんな見方も. 69.
(5) 小野寺基史・竹本 克己・山瀬 一史. あるのかとびっくりすることがある」「特別支援教育の発想や障害のある子どもたちへのきめの細か. い関わり方を知り、改めて自分の指導を振り返ることができた」「高校の生徒指導の大変さと難しさ を知ることができた」など、本大学院で学ぶ学生たちが、日常的な取り組みや交流の中から、様々な 気付きや学びを深めていることを実感している。. 4 修了生による卒業後の研究組織づくり及びネットワークづくりの意義 交流会の挨拶で福井教職大学院長は修了生による卒業後の研究組織づくり及びネットワークづくり. の意義として、「教職大学院は教員養成と現職教育の場が混在しているという面白さを発展させ、修 了生と院生が日常的に研究を深め、交流することによって、より理論が実践に生かされ、実践が理論. として体系づけられる」とした。そのうえで、今回のような「高度教職実践発表・交流会」はそのた めの布石であるとし、この交流会の発展型として、①「今年度創刊される研究紀要と合わせて、修了. 生の実践と研究を発表・交流する場」、②「修了生と院生とのネットワーク構築の場」とし、「同じ職 場の連携も大切だが、同時に、専門家としてのネットワークを作ることが大切。それが本来の同僚性 である」とした。さらに、③「ティーチヤーズセンターとして機能する場」として、大学に入ってく. る最先端の知見や情報を日常的に収集したり、時には、指導上の悩み等をいつでも相談できるいわゆ る「駆け込み寺」的な教師としての生涯成長を支える場として位置付くことを願っていると提言した。. 教育基本法第9条には「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研 究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」とある。教職大学院が目指す「理論と実 践の往還」とは、この「研究と修養」のことであり、「絶えず」とは、大学院での学びだけを指して いるのではなく、まさに、一生涯をとおして実践されていくべきものである。. 本学教職大学院が3年目を迎え、本大学院の教育課程を修了した卒業生が初めて教育現場に輩出さ れた。彼らが、将来にわたって、「高度な専門性と豊かな人間性・社会性を備えた力量ある教員」と. して活躍できるよう、教職大学院は、修了生の卒業後の研究組織づくり及びネットワークづくりの意 義を踏まえ、そのための支援を惜しまずに提供していくことが大切であると考える。. く参考・引用文献〉 ・中央教育審議会(2006):今後の教員養成・免許制度の在り方について(答申) ・中央教育審議会(2005):「新しい時代の義務教育を創造する(答申)」. ・寺本義也、岡本雅秋、原田保、水尾順一(2003):経営品質の理論、生産性出版 ・文部科学省(2010):教員の資質向上方策の見直し及び教員免許更新制の効果検証に係る調査 ・高橋孝助(2010.4.5):〈提言〉 変革への視点、日本教育新聞 ・出中雄三(2010.5.24):〈提言〉 変革への視点、日本教育新聞 ・日本教育新聞(2010.6.7):社説く教員の資質向上方策〉養成・採用・研修の総合的検討を ・日本教育新聞(2010.6.14):社説〈総合的な教員資質向上〉教職大学院の整備拡充も ・日本教育新聞(2010.9.27):社説〈教員の資質向上〉社会的責任果たせる教職課程に. ・大久保和義(2010):高度教職実践発表・交流会 挨拶 ・福井雅英(2010):高度教職実践発表・交流会 挨拶 ・金山正彦(2010):高度教職実践発表・交流会 講演 ・箕田裕(2010):高度教職実践発表・交流会 提言 ・山川美千代(2010):高度教職実践発表・交流会 提言 ・照井貴幸(2010):高度教職実践発表・交流会 提言. 70.
(6) 教職大学院修了生の研究ネットワーク組織の形成と情報交流の役割 (資料1)【発表・提言概要】. ①大久保 和義 理事 ・教職大学院のねらいは、院生一人ひとりが現場で生起する諸課題を自覚し、その課題解決に向け た力量や技量を身につけることである。. ・本学教職大学院は今年で3年目。今、教育養成の大学が6年あるいは4年プラス2年にシフトす ることが検討されており、教職大学院はそのモデルであり、その役割はますます重要である。. ・定員の確保はまだまだ難しいが、OBには現場で大きな力を発揮していただき、大学院の良さを 存分に伝えてほしい。また、このような会は教員や院生にとっても大きな学びとなり、OB交流 会ができたことの意義は大きい〔. ②福井 雅美 教職大学院長 ・今回の実践発表交流会の位置づけは以下の3点である。 ・1点目は、修了生が日頃の実践と研究を互いに発表したり交流したりできる場であり、今年度か. ら研究紀要も創刊する予定である。大いに発表してほしい。 ・2点目は、修了生と院生とのネットワークの構築の場である。同じ職場の連携も大切だが、同時 に、専門家としてのネットワークを作ってほしい。それが本来の同僚性である。. ・3点目は、この教職大学院が新しいティーチヤーズセンターとして機能する場である。困ったと きいつでも相談できる駆け込み寺的な、教師としての生涯成長を支える場として育ってほしい。 ③(講演)札幌市教育委員会指導担当部長 金山 正彦 先生 ○教員の資質向上方策の抜本的な見直しに係る検討課題について(文部科学省) 1教員に求められる資質能力について. ・養成段階・採用段階・現職段階において、教員に求められる資質能力は何か。 2教員免許制度の果たすべき役割について. ・教員の資質能力を、教員免許制度及び任用制度においてどのように確保すべきか。 ・大学における養成の原則や開放性の原則についてどう考えるか。 3大学の教員養成過程の在り方について ・養成カリキュラムについて ・大学の組織体別の在り方について ■質の保証について. ・教育委員会の役割について 4現職教員の資質向上の在り方について。. ○(検討課題). ・教員の免許制度における関わり ・10年研修. ・現職教員の貿の確保の方策 ・教員研修の大学の役割. 71.
(7) 小野寺基史・竹本 克己・山瀬 一史. ○養成(免許)・採用・研修 1教員養成(免許取得) ・大学における養成が原則. ・教職課程の認定を受けた学科等において、教科に関する科目や教職に関する科目などを修得 2教員採用(採用試験). ・都道府県・指定都市教育委員会等において採用選考試験を実施 ・多面的な人物評価の推進、面接試験・実技試験の重視 3教員研修(初任者研修・十年経験者研修 等) ・都道府県教育委員会における研修 ・国における研修 等. ※教員の資質向上についての文部科学省の最新の取組 ・教員養成課程の改善 ・教員免許更新別の実施 ・教職大学院の設置. ※養成・採用に関しては、連携をとりながらも一線を画す必要がある。 ○教職大学院. 大学院段階のおける教員養成課程を充実し、高度かつ実践的な教員養成を行う。 〈学校現場において、より高度な専門性と豊かな人間性・社会性を備えた力量ある教員を養成〉 (理論と実践)一人一人が考えなければならない。 ・往還:行き来する. ・融合:融けてひとつになる ・結合:結びあわせてひとつになる ・結合:二つ以上のものをひとつに合わせること ○実践的指導力 〈教員の指導力〉. 1指導力=学問・学識:授業で伝える知識内容とその基盤にある学問を理解する力量 2指導力=方法・技術:学問や知識をどうやって授業へと組み立てるのか、子どもの気持ちを どうやって理解するのか 3指導力=人間力:教師の人格そのもの、教師の人間性 ※実践的指導力とは‥・/佐久間亜紀(上越教育大学). ・教師の指導力は、一般化された「教育技術」そのものの中にはない。教育の「技術」は、具 体的な個人に属し、具体的な文脈を含んで存在する。 〈学校現場において、より高度な専門性と豊かな人間性・社会性を備えた力量ある教員を養成〉 ○人間性. 人の気持ちを感じ取れる力 場の雰囲気を読み取れる力 ○社会性. 人とのかかわりを大事にする力. 72.
(8) 教職大学院修了生の研究ネットワーク組織の形成と情報交流の役割. ※実践的指導力 自分の実践を複眼的に省察する能力(苅谷剛彦:知的複眼的思考法)教職は、 不確実別犬況の中で即興的で複眼的な思考活動が求められる。 ○学校経営と生徒指導の視点から ・生徒指導(暴走族の事例から…). ひとつひとつの事例が違う 教師の経験・力量がちがう ・学校経営. 学校の風土がちがう(人が変わっても地域風土は変わらない) 教職員の構成がちがう 学校経営をするということは何なのか?を 教職大学院で(校長経験のある教員から)学ぶことが大切 目指す学校経営に向けて教員構成をどうするか ストレートマスターには難しいものはあるが…. 感性の大切さ、感性をどこまで磨けるか 難題がないとだいなし、難題が多いとありがたい 辛いは幸せの途中、憂は隣に人がいてくれると優しい ○教師として使いものになるか 教育基本法第9条 「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その 職責の遂行に努めなければならない。」 研究:よく調べて真理を究めること 修養:精神を鍛錬し、優れた人格を形成するように努めること 【修養の場としての教職大学院】. ○校種聞達携について考える ・幼小(保)連携 ・小申達携(小中一貫校) ・中高連携(中高一貫校) ・高大連携. 教職大学院では、校種のちがう先生が学び合う (⊃接続・交流・連携 接続. 教育内容や教育. 連携. 制度などシステムに係って. システムや人が繋がって次に及ぶ. 交流 人の係わり. く質問〉. Q)学校風土の問題:教員は革新的な考え方がありながら学校経営は極めて保守的 学校の伝統雰囲気に染まってしまうことも多い。 学校を変革していくためにはかなり根回し等が必要。. 73.
(9) 小野寺基史・竹本 克己・山瀬 一史. どのように学校を変えていったらいいのか。. A)現状のままで何とかなるという考え、歴史的には教員集団の問題も確かにあるが… ポイントは学校経営の視点。 先生方に「ゆらぎ」(刺激)を与えること。「これでいいのか?」、「なんとかしたい!」といったゆ らぎを与えること。. 黙っていると前年踏襲主義になりがち。働きかけが大切。 Q)小中一貫校にいるが、校種聞達携について 連携はできるが、難しい課題も抱えている。 どのように連携していくといいのか。. A)本当に一貫校にするためには、理念にたった教育課程の編成が必要。 9年間で子供を育てるというビジョンが大切。. ④提言『私が教職大学院で学んだこと』. 1栗山町立角田小学校 教諭 箕田 裕先生 ○教職大学院で学ぶきっかけ 13年あまり勤務した中で自分の中で行き詰まりを感じた。 (∋授業実践に対する行き詰まり。なぜ地域と連携するのか明確にしたかった。. →自分の課題をMOBにまとめることができ、自枚の教育課程にも役立った。 ②学校に対する不信、苦情電話等への対応等を経験する中で、地域との結びつきの重要性を認 識したが、その辺を整理したかった。 →まだ、答えは見出していないが、その有用性はわかった。今後の課題である。. (多数育に対する信頼感を確かなものにしたい。自分の理想、教育観、子ども観を確かなものに したい。. →講義や仲間との討議を通して、少しずつ確かなものになってきた。 02年間を振り返って ・レポートや振り返りシートの作成を家に帰ってからやらねばならず、寝るのがいつも夜中の. 2時、3時という状態。できれば、講義の中でその時間を確保してほしかった。 以上に発展したレポート課題があった。 ・2年間よくやってこれたと思う。. ・小遣いが減り,ガソリンの高騰で通学が大変だった。 ・校種の違う先生と学び合え、優れた実践、文献、その道のプロと出会えたことは大変良かっ た。 ・私たちの頃と比べて、今はとても環境が整っていてすばらしいと思う(. 2 旭川市立近文小学校 教諭 山川 美千代先生 1学びの目的. ・教育現場の様々な課題に対応できる→高度な専門知識の必要性. 74. 講義の内容.
(10) 教職大学院修了生の研究ネットワーク組織の形成と情報交流の役割. 【研究主題】学校の教育目標の具現化を目指す校内研修と学年・学級経営の連携 ∼児童を変容させる授業改善と学級経営を連動させる協働意識∼ 2教職大学院で学んだこと (∋多角的なとらえ方. 小学校一中学校一高校−ストレートマスターそれぞれの校種や立場から、具体的な意見 を聞けただけでなく、各校種間の連携協力を意識しながら、学ぶことに変化させることが できた。さらに、多角的な視点から、分掌や学年、学級経営や授業の分析ということにも つながっていった。 (む的確な対応力・指導力. 共通科目ではスクールマネジメントから特別支援教育まで幅広く学んだ。それらの学び. から学校として教育目標を具現化するために、一つのことだけに着目するのではなく、幅 広い視点で学校内や子どもたちを見かナればならないことを改めて実感した。 さらに選択科目では、より課題を追求するための自分の目的に沿った実践的な講義を選. 択することで、自分自身の課題解決学習を実現できたように思う。講義の中には直面して いる日常の問題を解決するための方策を週ごとに学びを積み上げていくことで強い意志を 持ち問題に向き合うこともできた。 ③支える理論 学校数育と教員としての在り方、教育課程の編成実施、教科等の実践的な指導方法、生 徒指導、教育相談、学級・学校経営、特別支援教育など協働意識を高め同じ方向で教育課 題を解決することを目的とした講義や授業の効果的な方法論を学ぶ講義など実践的な講義. が充実していた。中でも、子どもたちと向き合い寄り添うためにも、実践だけではなく、. 理論という支えが必要だということを知り、実感することができた。担任として子どもた ちと接する上でも、学級への所属感や自己肯定感を養う方法を学ぶ学級経営や学校・保護. 者・地域が連携することで信頼できる学校作りができるなど、大学院で学んだことが日々 の生活に生きている。 理論と実践をどのように組み立てていくのか諸先生方の指導助言があり、専門的な視点 からのアドバイスをいただくことで、より自分の学びを深めることができたと考えている。 〈おわりに〉. 子供によりよい教育を提供していくためには、学校評価を通して意識的、継続的に学校 改善を進めていくことはもとより、学校・家庭・地域の連携協力による学校道営の改善充 実を進めることが求められている。また、教員一人ひとりが子供に正面から向き合い、子. どもの成長、発達に寄与できるよう日常実践を積み重ねていくことが信頼に応える学校作 りに不可欠である。 大学院で過ごした2年間を振り返ると、正直、勤務を終えてからの講義は、睡魔との闘. いや講義後のレポートの提出のあせりなどもあった。しかし、教育の専門家として必要な ことをこの2年間で学び、この4月に異動した新しい勤務先でも、聞く、話し合う、そし てよりよい方向へと学んだことを大切にし、すべては子どもたちのためにと気合を入れ日 常実践に励んでいる。 2年間で学んだこと、確かに体得したものは、仲間ともに学び、共に認めあい、共に高 めあい、共によりよいものを目指し歩み続けたこと。それは、互いに課題を共有できたか. 75.
(11) 小野寺基史・竹本 克己・山瀬 一史. らこそではないかと考えており、私にとって貴重な2年間だった。. 3 釧路市立青葉小学校 教諭 照井 貴幸先生 ・3月に大学院を卒業し、4月から職場が変わって環境の変化に戸惑っている。 ・新しい職場は21学級500人を超える大きな職場だが、かえって、この教職大学院で学んだこと がクローズアップされたきた毎日のように感じて過ごしている。. ・教職大学院に2年間通ったからわかったとか、できるようになったとか、パワーアップしたと かは、そんなに感じていないが、いろんな知識とか考え方を学びながら、そこで自分の中の「問 題解決の習慣」が養われたように思う。 ・当時は「組織の運営について」が自分のテーマだった。「学校の先生方に元気がないな」とか、. 「もう少し活気のある職場にしたいな」といった思いがあった。. ・MOBを作成するときにはこの「問題解決の習慣」が発揮されたし、毎回の討議も充実してい て、この問題解決の習慣ができていたと思う。 ・この習慣は、現場でも「課題の設定の仕方」に役立っている。例えば、自分はこれが課題だな と思ったことが本当に課題なのか、違うことが多い。ほかにも「解決の方法の選択」の仕方、「検 証の方法」など、よく課題解決というが、一番大事なのは、この「検証の方法」じゃないかと 思うようになった。実際には、自分一人ではなく、たくさんの仲間のおかげでこのような考え に至ったと思っている。 ・課題解決の習慣を通して、自分ひとりで立ち向かうことばかりではないということもわかった。 それが元気な職場、相互理解につながっているが、自分が頑張るのではなく、人を活かす、そ の人の得意分野を伸ばしてあげるといったような考え方にも至るようになった。 ・新しい職場では教務主任という立場で戸惑いもあるが、この教職大学院で学んだ問題解決の習 慣がかなり役立っている。 ・大人数の職場なので意見の違いや考え方の違いがたくさんある。これをどんなふうにまとめて いくか、みんなでわかりあえるようにしていくか、こういったことを毎日考え悩みながら、な んとかできているように思う。. ・教職大学院を通して自分なりに得たこと・・、「知識は少しの自信になる。考え方は明日への 意欲になる」ということを実践を通して職場で感じている。 ・そして、何より、大学の先生方はじめ、たくさんの仲間がいたことで、いろいろ自分ができる ようになった思う。. ⑤全体交流会. ①(札幌)教職大学院のねらっているところはどこか、どのようなメリットがあるか。具体的に知 りたい。 く回答〉福井大学院長. 教職大学院の特質を明確にするためにはどうしたらいいか。答えは、皆さんの発表や発言の中に あったと思う。それそれが何らかの課題意識を持って入学してきて、それぞれが自分の経験や実践 を振り返るいい機会になっているということ。振り返るといっても、振り返ることで確かなものなっ. ていくこともあれば、多角的なとらえ方ができるようになることもある。幅広い視点等を互いに獲. 76.
(12) 教職大学院修了生の研究ネットワーク組織の形成と情報交流の役割. 得し合っているという場になっている。 教職大学院は新しい知識を学ぶこともあるが、それが主ではない。もっと大事なことは、自分の. 実践を振り返ることで自分の考え方を深めることだ。質問者のように、もっとわかりやすい形で私 たちが打ち出していくことは大事だと思う。この教職大学院が歩み出して、1サイクル終わって. 今、このような実践発表会をやって確認できることは非常にありがたいことだ。 現職とストレートいう問題も出てきたが、実際にここは養成の場なのか、現職教育の場なのか、. 2つのねらいが混在して制度設計されているという問題はあるし、そこには矛盾も問題点もある。 でも、今やっているわけだから、それをどうプラスに生かすか、それが大事なこと。現職とストレー トが混在していることの面白さを生かし、それを発展させていきたい。. 今日のような実践の交流、発表の場をできるだけ日常的に発展させるようなことはできないかと いうのが私の思い。様々な経験を持ち、様々な実践を展開しているみなさんの分厚いネットワーク を作っていくということが非常に大事だということを確信した機会になった。. ②(旭川). ・大学院に来て良かったことは一杯あるが、それが授業の中身なのか、仲間ができたことなのか は、まだ整理できていないが…. ・時間的には厳しいし、やることもたくさんあるが、自分で決めたことなので文句は言えない。 ・危倶していることとして、現職とストレートの比率によってそれぞれのカラーができるが、現 職とストレートの関わりの意味をどう考えるか。現職が少なくなっていくとやや心配。 ・このようなOBの提言こそ、これから大学院を希望する方々に聞いてもらいたい。このような 会は、教職大学院に対してすごく具体的にイメージできるものだ。自分たちが入る時にはこの ようなものはなかった。そのあたりでも、活用していけるのではないか。. ③(釧路). ・学校の中で言えない悩みを大学院の仲間や先生方に相談できて救われたことが何度もある。 ・採用試験で旭川に行ったが、旭川のみんなにお世話になった。大学院に入らなかったら、こん. なことはなかった、たくさんの稼が持てたことはとてもよかった。 ・これからも現職の先生やOBの方にいろいろ教えていただきたい。. ④(札幌). ■卒業まであと半年くらいになってしまった。あっという間だった。 ・教職について、もう一度、自分を振り返るとはどういうことなのか今感じてい. る。. ・この教職大学院の中で学びあうことで、時間を重ねてきた今のM2の仲間というのが自分に とって貴重な仲間になったと感じている。. ・一人では煮詰まるが、何気なく話し合うことで気付かされることも多い。これからも互いにス パーバイズできる仲間として、つながり合えたらいいなと感じているし、それが学びだと思う。 ・講義の中で先生方にスーパーバイズしてもらえることも貴重な時間だった。. 77.
(13) 小野寺基史・竹本 克己・山瀬 一史 (資料2). 高度教職実践発表・交流会. 【ねらい】. 1 高度教職実践専攻の卒業生が、大学院で学んだ教育実践構想等を教員や仲間とともに振り返り、 今後の教育実践活動への活力の場とする。. 2 教職大学院の教員が、関係識者や高度教職実践専攻の卒業生による提言等から今後の教職大学 院の進むべき方向性について構想する機会とする。. 3 高度教職実践専攻で学ぶ学生が、高度な教育実践活動を行っている諸先輩から様々なアドバイ スを受けながら自らの教育実践を構想し、MOB作成のための一助とする。 日 時:平成22年9月11日(土)14:40∼ 場 所:教職大学院講義室(札幌)、第1会議室(旭川)、202講義室(釧路) 参加人数:75名. (札幌)37名:OB6、在学20、教員9、その他2(講師、取材). (旭川)25名:OB7、在学13、教員5、 (釧路)13名:OB3、在学6、教員4 内 容. 14:40 開 会 (司会 FD委員長 鈴木富士雄先生) 14:40 大久保 和義 理事 挨拶 14:45 福井 雅英 教職大学院長 挨拶 14:50. 講演. 『これからの教職大学院の学びに求められること』. 札幌市教育委員会指導担当部長 金山 正彦 先生 (前 北海道教育大学教職大学院 教授) 16:20. 休. 憩. 16:30 提言『私が教職大学院で学んだこと』. ①栗山町立角田小学校 教諭 箕田 裕(みのた ゆたか)先生 ②旭川市立近文小学校 教諭 山川美千代(やまかわ みちよ)先生 ③釧路市立青葉小学校 教諭 照井 貴幸(てるい たかゆき)先生 17:00 全体交流会. 17:30 終 了 (それ以降は、キャンパス交流・懇親会) 【準備委員会】小野寺基史(札幌)、竹本 克己(旭川)、山瀬 一史(釧路校). 78.
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