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データストック型疑似窓とライブ型疑似窓が人間の心理に与える影響

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Academic year: 2021

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184回 月例発表会(201710月) 知的システムデザイン研究室

データストック型擬似窓とライブ型擬似窓が人間の心理に与える影響

村野 翔太

Shota MURANO

1

はじめに

窓の効用の研究は多く行われており,窓には「開放感の 向上」や「窓外情報の認知」などの効用があることが明ら かになっている1) 2) .しかし,近年,オフィスビルの大 規模化が進んでおり,地下やビルの中心部などの窓がない 執務空間が増加している.一方,窓がない執務空間におい て,執務者が窓の効用を得ることは困難である. そこで我々は,窓を模したディスプレイを用いた擬似窓 により窓がない執務空間の改善を行っている.先行研究に より,窓外風景のライブ映像を映写した擬似窓(以下,ラ イブ型擬似窓)は,執務者に窓と同等の効用を与えること が可能であると報告されている3) ライブ型擬似窓は,ライブ配信を行うためIPカメラが 必要である.しかし,IPカメラは設置を検討した場所に ネットワーク環境が構築されていない場合,設置が不可 能である.また,高解像度の映像を通信することでネット ワーク帯域に負担がかかる.そのため,既存のネットワー クは使用できず独自のネットワークを構築しなければなら ない場合がある.そこで本研究では,PCに保存した動画 を時刻,天気情報,季節により切り替え,ライブ映像を表現 する擬似窓(以下,データストック型擬似窓)を提案する. そして,データストック型擬似窓を利用することで,ライ ブ型擬似窓と同等の効用を得ることが可能か検証を行う.

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データストック型擬似窓の概要

データストック型擬似窓で映像を映写するためには,事 前に時刻・天気情報・季節に合う動画を用意する必要があ る.本研究では,動画を用意するために,ライブ型擬似窓 に使用しているIPカメラで撮影を行った.これは,ライ ブ型擬似窓とデータストック型擬似窓の効用を検証し,比 較する際に,ライブ映像とPCに保存した動画の風景や画 角,フレームレートなどを同一条件にするためである.ま た,データストック型擬似窓は用意した動画の中から現在 の時刻,天気情報,季節の条件に合う最適な映像を映写す る.映像は条件に変化がない場合,動画をループして使用 する.これは,短い動画においても,条件に合った映像を データストック型擬似窓に映写し続けることを可能にする ためである.

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ループ動画に関するアンケート調査

3.1 概要 ループ動画を視聴することにより,執務者に違和感を与 えてしまう可能性がある.そこで,執務者はループ動画に 対してどのような印象評価をするのか,被験者実験により 調査する.また,この印象評価結果により,データストッ ク型擬似窓に適した動画の条件を検証する.被験者実験 は,以下の流れで,20代前半の学生6名に行った. (1) 1分間のループ動画を10分間視聴 (2) 視聴後アンケートに回答してもらう (3) 5分間のループ動画を10分間視聴 (4) 視聴後アンケートに回答してもらう (5) 被験者実験後にヒアリングの実施 ループ動画には,日中の晴天時に撮影した,空,木,隣 の建物,人が映る映像を用いた.アンケートでは,動画が ループしていることを認知できたかを回答してもらった. さらに,認知できたと回答した被験者に対して,印象評価 を行った.評価項目は「不快」と「気になる」の2項目で ある.実験環境をFig. 1に示す.本実験で用いた擬似窓 をFig. 2に示す. 15 m 窓 9.5 m 擬似窓 N ネットワーク カメラ 被験者 Fig.1 実験環境 Fig.2 実験に用いた擬似窓 3.2 アンケート結果および考察 ループ動画に関するアンケート結果をFig. 3に示す. Fig. 3のアンケート結果より,全被験者がループ動画であ ることを認知し,不快に感じ,気になる被験者が多いとわ かった.「不快」に関して,動画の長さによる印象の変化 はなかったが,「気になる」に関しては,動画を長くする ことで高評価となった.また,被験者実験後のヒアリング では,ループ動画の印象について「同じ人が通るのが気に なる」や「人が通らない方がよい」など人に関する意見が 1

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多かった.アンケート結果とヒアリングより,人を映した ループ動画は被験者に不快な印象を与えた.また,不快な 印象を与える要因として,人が映っていることが関係して いる可能性がある. 「不快」 「気になる」 Fig.3 人が映るループ動画に関するアンケート結果 3.3 追加実験の概要 3章2節のアンケート結果より,人が映らないループ動 画を使用した場合,執務者のループ動画に対する印象評価 はどのように変化するのかを調査するため,被験者実験を 行った.この被験者実験は,人が映るループ動画において, 低評価をした20代の学生3名に行った. 3.4 追加実験のアンケート結果および考察 ループ動画に関するアンケート結果をFig. 4に示す. Fig. 4のアンケート結果より,人が映らない動画を使用し たところ,ループ動画を見て不快と感じる被験者がいなく なった.また,「気になる」について,1分間の動画では, 「やや気になる」と感じる被験者が多かったが,5分の動画 を使用することで,「気づかない」あるいは「気にならな い」と回答する被験者のみとなった. 以上より,ループ動画の「気になる」に関する評価は,長 い動画を使用することで高評価になることが期待される. また,ループ動画が執務者に与える「不快」についての印 象は,人が映るループ動画より,人が映らないループ動画 の方が,高評価であると明らかになった.しかし,この結 果は,撮影場所により異なる可能性がある.そのため,人 通りの多い都心などの映像を使用して,同様の調査を行う 必要があると考えられる. 「不快」 「気になる」 Fig.4 人が映らないループ動画に関するアンケート結果

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データストック型擬似窓を用いた実験

4.1 実験概要 本実験では,模擬的に無窓環境にした実験室内に擬似窓 を導入し,無窓環境における,ライブ型擬似窓とデータス トック型擬似窓の効用を検証する.そして,検証結果より, ライブ型擬似窓をデータストック型擬似窓で代替可能かを 明らかにする. 被験者実験は晴れの日において,20代前半の学生3名 に対し2日間行った.15時までを無窓環境とし,15時か ら19時までを擬似窓環境とする.1日目はライブ型擬似 窓環境,2日目はデータストック型擬似窓環境とした.15 時,16時,17時,18時,19時において,19項目について 5段階SD法を用いた印象評価を行った.15時は無窓環境 における印象評価,16時から19時は,擬似窓環境におけ る印象評価である.3章における実験結果より,データス トック型擬似窓には,5分間の人が映らない動画を使用し た.実験環境と本実験で使用した擬似窓は,3章と同様で ある. 4.2 実験結果および考察 実施した印象評価のSD法による解析結果をFig. 5に示 す.この結果は,被験者3人の印象評価を平均した結果で ある.この解析結果より,データストック型擬似窓,ライ ブ型擬似窓ともに「疲れを癒せる」,「リラックスできる」, 「気分転換できる」など18項目において,高評価になった. また,全て同様の項目において,評価が向上していること から,データストック型擬似窓は,ライブ型擬似窓に近い 効用を得ることが可能であると考えられる. Fig.5 各環境下のSD法による解析結果

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まとめと今後の展望

本稿では,晴れの日において擬似窓の効用を検証し,デー タストック型擬似窓がライブ型擬似窓に近い効用を得るこ とができる可能性があるとわかった.しかし,この検証に おいて,被験者の人数が少ないため,今後,被験者を増や し提案手法の有効性を再検討する.また,雨の日にも,同 様の被験者実験を実施し,データストック型擬似窓は,常 に,ライブ型擬似窓に近い効用を得ることが可能かを明ら かにする.

参考文献

1) 宮田紀元.窓の視覚効果について.日本建築学会建築環境工 学論文集,第1号,pp.43-50,1979. 2) 大山能永.オフィスワーカーのリフレッシュの現状につい て.日本建築学会技術報告集,Vol.9,pp.269-274,2003. 3) 川田直毅.擬似窓の有効性に関する研究-有窓環境と無窓環 境における執務者の印象評価ならびに擬似窓に映写する映像 に関する検討 -2

参照

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