対策内容を考慮したゾーン 30 の評価に関する研究
― 2019年度 タカタ財団助成研究論文 ―
ISSN 2185-8950
研究実施メンバー
研究代表者
豊田工業高等専門学校
環境都市工学科
報告書概要
住居系地区の生活道路における交通安全対策として,ゾーン 30 の整備が全国的に急速 に進んでいる。しかし,整備されたゾーン 30 の多くが,ゾーン内を 30km/h に速度規制 しただけで(出入口の 30km/h ゾーン標識の設置やゾーン 30 を示す路面標示は整備),ハ ンプや狭さく等の物理的デバイスの設置による対策を実施していない.多くを占める物 理的デバイスの設置等の交通静穏化対策を整備していないゾーン 30 の整備効果,特に自 動車走行速度が 30km/h 以下に抑制されているのか,確かめる必要がある.そこで本研究 では,物理的デバイスの整備に着目し,その整備の有無や内容の異なるゾーン 30 の整備 効果を比較評価し,自動車走行速度調査と住民の意識調査データから対策内容と速度抑 制効果の関係性を明らかにした.また,住民のゾーン 30 整備地区に対する満足度と地区 全体の総合満足度に影響を与える評価要因,さらに,狭さく,ハンプ,シケインに対す る住民の受容性についても明らかにした. その結果,物理的デバイスの設置路線の多くは自動車走行測速度を 30km/h 以下に抑制で きているものの,未設置路線においては 30km/h を超過している傾向にあることを確認し た。また,物理的対策実施地区の方が未実施地区に比べてゾーン 30 に対する認知度と住 民の各種評価が高い傾向にあることが分かった. 物理的対策に対する住民の受容性につ いては,ハンプとコミュニティ道路(シケイン)で「反対」よりも「賛成」の割合が大 きいことを確認できた.しかし,一定数の反対住民も存在することから,交通静穏化対 策の導入の難しさも確認できた.目 次
対策内容を考慮したゾーン 30 の評価に関する研究 第 1 章 はじめに 1.1 研究背景 1.2 研究目的 第 2 章 調査方法 2.1 調査対象地区 2.2 自動車走行速度調査 2.3 アンケート調査 第 3 章 自動車走行速度の実態と住民意識 3.1 自動車走行速度の実態 3.2 住民の自動車走行速度に対する意識 第 4 章 ゾーン 30 整備地区に対する住民意識・評価 4.1 住民のゾーン 30 の認知度 4.2 居住するゾーン 30 整備地区に対する住民意識 4.3 居住するゾーン 30 整備地区に対する住民の満足度評価 4.4 住民のゾーン全体の総合評価に影響を与える評価項目 第 5 章 物理的対策に対する住民の受容性 第 6 章 まとめと今後の課題 6.1 本研究のまとめ 6.2 本研究の課題 参考文献1
第 1 章
はじめに
1.1 研究背景 近年,我が国における交通事故件数は減少傾向にある.しかし,幹線道路と比較して生活 道路の交通事故件数の減少率は小さく,生活道路対策の一層の推進が必要とされる.我が国 では,これまで様々な地区交通安全対策を実施してきた.例えば昭和 54 年からのコミュニテ ィ道路事業,昭和 58 年から始まった住区総合交通安全モデル事業(ロードピア事業),平成 7 年に創設された面的交通静穏化対策であるコミュニティ・ゾーン形成事業,平成 23 年から のゾーン 30 等が挙げられる.その中でもゾーン 30 は,住居系地区内の生活道路対策として, 歩行者等の通行が優先され,通過交通が限りなく抑制されるべき地域を柔軟に設定ができる ことから全国各地で急速に整備が進められている.区域内にある生活道路では歩行者が安全 に通行できるように時速 30km の速度規制等を都道府県警が実施すること,路側帯の設置や交 通静穏化対策等の各種対策を市町村等の道路管理者が実施することから成り立っている.ゾ ーン 30 を整備した効果として,「交通事故件数の減少」や「自動車走行速度の低下」が警察 庁より報告されている 1).しかし,整備されたゾーン 30 の多くが,ゾーン内を 30km/h に速 度規制しただけで(出入口の 30km/h ゾーン標識の設置やゾーン 30 を示す路面標示は整備), ハンプや狭さく等の物理的デバイスの設置による対策を実施していない.実際に,ゾーン 30 における選択的対策の実施状況 2)によると,図 1.1 に示すように標識や路面標示などのゾー ン出入口の明確化対策の実施率が 86.3%と多く,それに対しハンプや狭さくなどの物理的デ バイスの設置対策の実施率は 4.2%と圧倒的に対策を行っている地区は少ない.そのため,各 種事後調査での整備効果は物理的デバイスの設置等の交通静穏化対策を十分に実施した地区 の結果が大きく影響している可能性が考えられる. このことから,対策内容によって各ゾーン 30 整備地区の整備効果に差があると考えられ ゾーン30(3,105か所)での選択的対策 実施箇所数 実施率 ○ゾーン入口の明確化対策 2,679 86.3% シンボルマーク入り看板 583 18.8% 路面標示(「ゾーン30」) 2,606 83.9% 路面標示(「ゾーン30」以外) 214 6.9% 入口カラー化 401 12.9% ○物理的デバイスの設置 129 4.2% ハンプ 37 1.2% 狭さく 69 2.2% スラローム・クランク 32 1.0% ○交通規制の実施 320 10.3% 大型通行禁止等 77 2.5% 一時停止 174 5.6% 横断歩道 157 5.1% ○路側帯の設置・拡幅及び中央線の抹消 650 20.9% 表1.1 ゾーン 30 のおける選択的対策の実施状況(平成 28 年度末時点)2)2 る.三村ら3)は,豊田市元城地区のゾーン 30 を対象に調査を実施した結果,住民の約半数が ゾーン 30 を認知していないことを指摘しており,ゾーン出入口の対策だけでは速度抑制効果 が小さくなることが懸念される.しかしながら,ゾーン 30 における対策内容と整備効果の関 係性は明らかではない. また,高齢化の急速な進行や人々の価値観・生活スタイルの多様化等から,住民のゾーン 30 に対するニーズや考えも多様化していると考えられる.そのため,ゾーン 30 に対する住 民のニーズや考えを把握し,今後の整備内容に反映させていく必要がある.特に,効果的な 速度抑制手法であるハンプ等の物理的交通静穏化対策に対する住民の捉え方は様々で,対策 手法としての導入が困難となるケースも見られ,これらの受容性について確認することは重 要だと言える. 1.2 研究目的 本研究では,物理的デバイスの整備に着目し,その整備の有無や内容の異なるゾーン 30 の 整備効果を比較評価し,自動車走行速度調査と住民の意識調査データから対策内容と速度抑 制効果の関係性を明らかにする.また,住民の生活道路に対する満足度と地区全体の総合満 足度に影響を与える評価要因,重要度を明らかにする.さらに,狭さく,ハンプ,シケインに 対する住民の受容性についても明らかにする.
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第 2 章
調査方法
2.1 調査対象地区 本研究での調査対象地区を表 2.1 に示す.研究対象地区の選定方法として,広島県と愛知 県内のゾーン 30 を 50 地区候補に挙げ,対策内容や土地の起伏等を考慮して表 2.1 に示す 7 地区を選定した.なお,主な対策内容には物理的デバイスを記載しており,図 2.1 に示すよ うなゾーン 30 の標準的な対策であるゾーン 30 標識と入口路面標示はすべての調査対象地区に おいて実施されている. 各調査対象地区の地図を図2.2~2.8 に示す.図中の路線の番号は自動車走行速度調査を実施し, アンケート調査において住民に交通実態について回答いただいた路線である.また,表 2.2~ 表 2.8 に各路線の車道幅員と路線長を示す. 表2.1 調査対象地区(ゾーン 30 整備地区) 図2.1 ゾーン 30 標識と入口路面標示(新西) ゾーン30 標識 入口路面表示 物理的デバ イスの設置 主な対策内容 ゾーン30 指定年度 広島県 呉市西中央三丁目・四丁目(西中央) 〇 シケイン(コミュニティ道路) 平成29年 豊田市浄水町原山地区(浄水) 〇 ハンプ(スピードバンプ) 平成25年 名古屋市東区白壁・主税町(白壁・主税町) 〇 シケイン(コミュニティ道路) 平成27年 名古屋市守山区大森四丁目・元郷二丁目(大森) 〇 イメージ狭さく,イメージシケイン 平成24・25年 平成28年 平成29年 平成30年 × × × 調査地区(略称) 愛知県 名古屋市千種区新西一丁目・二丁目(新西) 名古屋市瑞穂区御劔地区(御劔) 名古屋市瑞穂区妙音通(妙音通)4 図 2.2 呉市西中央三丁目・四丁目(西中央) 表 2.2 呉市西中央三丁目・四丁目(西中央)の調査対象路線の車道幅員と路線長 路線 車道幅員(m) 路線長(m) ① 3.5 117.8 ② 3.5 82.8 ③ 3.5 200.0 ④ 3.5 75.4 ⑤ 3.5 116.1 ⑥ 3.5 305.2 ⑦ 6.0 116.7
③
②
①
⑤
④
⑥
⑦
調査日時:平成30 年 11 月 27 日(火) AM7:00~AM9:005 図 2.3 豊田市浄水町原山(浄水) 路線 車道幅員(m) 路線長(m) ① 5.2 229.0 ② 3.2 269.5 ③ 4.3 111.1 ④ 4.8 162.4 ⑤ 5.0 164.9 ⑥ 5.0 246.5 表 2.3 豊田市浄水町原山(浄水)の調査対象路線の車道幅員と路線長 調査日時:平成30 年 10 月 10 日(木) AM7:00~AM9:00
6 図 2.4 名古屋市東区白壁・主税町(白壁・主税町) 路線 車道幅員(m) 路線長(m) ① 3.0 324.4 ② 4.1 236.4 ③ 2.0 142.4 ④ 3.0 172.1 ⑤ 5.6 171.2 ⑥ 3.0 232.2 表 2.4 名古屋市東区白壁・主税町(白壁・主税町)の車道幅員と路線長 調査日時:平成30 年 10 月 25 日(木) AM7:00~AM9:00
7 図 2.5 名古屋市守山区大森四丁目・元郷二丁目(大森) 路線 車道幅員(m) 路線長(m) ① 3.0 47.1 ② 4.5 106.3 ③ 4.5 175.9 ④ 3.0 140.0 ⑤ 4.0 102.0 ⑥ 4.0 101.8 表 2.5 名古屋市守山区大森四丁目・元郷二丁目(大森)の車道幅員と路線長
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調査日時:平成30 年 11 月 7 日(水) AM7:00~AM9:00
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①
図 2.6 名古屋市千種区新西一丁目・二丁目(新西) 路線 車道幅員(m) 路線長(m) ① 3.8 125.0 ② 3.7 78.0 ③ 3.8 85.0 ④ 4.3 110.1 ⑤ 2.9 17.9 表 2.6 名古屋市千種区新西一丁目・二丁目(新西)の車道幅員と路線長 調査日時:令和元年9 月 25 日(水) AM7:00~AM9:009
⑤
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②
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図 2.7 名古屋市瑞穂区妙音通(妙音通) 路線 車道幅員(m) 路線長(m) ① 7.0 94.5 ② 5.0 151.8 ③ 4.6 119.1 ④ 4.5 109.0 ⑤ 5.4 69.2 表 2.7 名古屋市瑞穂区妙音通(妙音通)の車道幅員と路線長 調査日時:令和元年10 月 23 日(水) AM7:00~AM9:0010 図 2.8 名古屋市瑞穂区御劔地区(御劔)
③
②
①
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路線 車道幅員(m) 路線長(m) ① 3.5 114.7 ② 4.1 117.2 ③ 5.4 115.9 ④ 3.8 132.5 ⑤ 3.3 109.1 ⑥ 2.7 152.9 表 2.8 名古屋市瑞穂区御劔地区(御劔)の車道幅員と路線長 調査日時: 令和元年10 月 30 日(水) AM7:00~AM9:0011 2.2 自動車走行速度調査 表 2.1 に示す対象地区において,自動車走行速度調査を実施した.調査員がスピードガン を用いて, 7:00~9:00 の朝のピーク時に実施した.対象路線において最高速度となる地点 (交差点と交差点の中央地点)の速度を計測した.計測の対象は歩行者や自転車,路上駐車 車両,先行車両,対向車両等の影響を受けない自由に走行できる車両である.調査対象路線 は事前に視察を行い,交通量や対策内容,道路幅員等を参考に,図 2.2~2.8 に丸数字で示す 各地区 5~7 路線を選定した. 2.3 アンケート調査 表 2.1 に示す対象地区のうち白壁・主税町以外の 6 地区において,ゾーン内の住民を対象 にアンケート調査を実施した.調査概要を表 2.9 に示す.アンケート票はゾーン 30 内の各世 帯に配布した.浄水町原山地区では,戸建住宅には 3 部ずつ,マンション・アパートには 2 部 ずつ,大森地区では各世帯に 1 部ずつ,その他の地区では各世帯に 2 部ずつ配布した.配布 方法として,呉市西中央地区と大森地区,新西地区,妙音通地区では地区内のすべての世帯 に配布する配達地域指定郵便を利用した.それ以外の地区に関しては,調査員が各世帯にア ンケート票を配布した.表 2.10 に示すようにゾーン内における自動車の交通量や走行速度な ど道路の状況や,それらを踏まえた上でゾーン全体の評価や交通静穏化対策に対する考え方 等を調査した.また,回答者の年齢構成と性別を表 2.11 に示す. 回収部数 個人 個人 12% 12% 実施期間 回収部数 個人 個人 世帯 個人 11% 11% 24%(305世帯) 15% 実施期間 世帯 18%(182世帯) 世帯 17%(138世帯) R1 12/01~12/18 御劔 1275世帯に2部ずつ 384部 R1 12/01~12/18 西中央 973世帯に2部ずつ 241部 世帯 21%(200部) H30 11/28~12/21 228部 回収率 169部 配布部数 1022世帯に2部ずつ 新西 794世帯に2部ずつ H30 11/09~11/19 H30 12/05~12/26 妙音通 274部 251部 回収率 世帯 世帯 20%(182世帯) 23%(251世帯) 浄水 大森 配布部数 509世帯に3部ずつ 423世帯に2部ずつ 1108世帯に1部ずつ R1 12/01~12/18 表 2.9 アンケート調査の概要
12 ・性別・年齢・職業・家族構成・住居形態・居住年数 ・運転免許の所持・自動車の保有数・ゾーン30の認知 ・自動車の交通量・自動車の走行速度・原付、二輪車の走行速度 ・路上駐車・歩道の歩きやすさ・交通事故の危険性 ・自動車の運転のしやすさ・交通安全性・快適性・利便性 ・バリアフリー・景観・総合的に見て 個人属性 各路線について, ゾーン30内の道路全 般について ゾーン30内における 重要度(順位) ・交通安全性・快適性・利便性・バリアフリー・景観 物理的デバイスに対 する意識 ・ハンプ・コミュニティ道路・狭さく 表 2.10 アンケート調査の内容 項目 選択肢 西中央 浄水 大森 新西 妙音通 御劔 男性 48% 51% 53% 49% 51% 44% 女性 52% 49% 47% 52% 49% 56% 10代 1% 3% 1% 0% 1% 0% 20代 5% 7% 3% 4% 4% 4% 30代 6% 28% 12% 9% 7% 11% 40代 20% 23% 18% 19% 15% 15% 50代 25% 19% 24% 12% 21% 19% 60代 12% 10% 19% 27% 18% 20% 70代以上 30% 11% 25% 30% 34% 32% 性別 年齢 表 2.11 アンケート調査の回答者の性別と年齢
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第3章
自動車走行速度の実態と住民意識
表 3.1 に各地区の計測路線における「平均走行速度(㎞/h)」,「通過台数(台/2h)」,「計測 台数(台/2h)」,「標準偏差(km/h)」,「平均速度 30km/h を超えた自動車の割合(%)」,「住民が 自動車の走行速度を速いと感じる割合(%)」を示す.なお「住民が自動車の走行速度を速いと 感じる割合(%)」は,アンケート調査において各計測路線の自動車走行速度について“速い”, “やや早い”,“どちらでもない”,“やや遅い”,“遅い”の 5 段階の選択肢で尋ねており, “速 い”と“やや速い”を足し合わせた回答比率で示している. 3.1 自動車走行速度の実態 表 3.1 から物理的対策が適用されている路線では,平均走行速度 30km/h を超える路線が 14 路線中 1 路線であり,物理的対策の効果が確認できる.一方,物理的対策が行われていない路 線では,27 路線中 21 路線と約 78%の路線において平均走行速度が 30km/h を超過している結 果となった.また,30km/h を超えた自動車の割合においても物理的対策を適用している路線 では低い傾向にある.このことから,適切な物理的デバイスを設置・整備することが重要であ り,ゾーン出入口への最高速度 30km/h 標識表示の設置やゾーン入口におけるゾーン 30 の路 面標示のみを整備するのみでは,自動車走行速度を 30km/h 以下に抑えることが困難であると 考えられる. 3.2 住民の自動車走行速度に対する意識 表 3.1 の「住民が自動車の走行速度を速いと感じる割合(%)」から,住民は物理的対策が行 われている路線では,自動車の走行速度を速いと感じている人の割合が低く,物理的対策の 行われていない路線では,自動車の走行速度を速いと感じている人の割合が高いことが明ら かとなった. また,図 3.1 は自動車の平均走行速度と,アンケート調査より得た住民の自動車走行速度 に対する住民意識(“速い”,“やや速い”の回答比率)の関係を示したものである.図 3.1 よ り,平均自動車走行速度と住民の自動車走行速度に対する意識にはやや正の相関があること が明らかとなった.したがって,住民は自動車の走行速度を正しく認識している傾向にある と考えられる. 以上より,住民の自動車走行速度に対する意識は実際の自動車走行速度の状況を比較的正 しく認識している傾向にあり,ゾーン 30 の整備においては住民の認識や意見等を参考にして 進める必要があるといえる.14 表 3.1 自動車走行速度と住民意識 ①/クランク 25.8 37 37 4.34 5 19 ②/クランク 22.7 50 6 5.43 0 23 ③/クランク 28.6 71 48 7.42 35 27 ④/クランク 28.7 70 41 4.73 41 25 ⑤/クランク 27.8 87 70 4.47 26 31 ⑥/なし 32.3 139 124 7.2 59 43 ⑦/なし 29.8 111 61 5.96 41 38 ①/なし 35.9 99 97 5.64 80 43 ②/ハンプ 24.7 13 11 3.65 0 13 ③/ハンプ 23.5 9 8 5.39 13 18 ④/なし 35.9 510 443 6.82 76 71 ⑤/なし 32.6 53 51 5.78 67 45 ⑥/なし 36.9 34 30 8.39 88 40 ①/クランク 29.1 102 71 7.22 29 ②/クランク 34.5 43 33 8.53 58 ③/クランク 26.1 161 142 4.7 17 ④/クランク 29.9 185 94 5.27 39 ⑤/なし 32.6 37 37 4.56 66 ⑥/クランク 31.7 31 31 5.52 42 ①/イメージ狭さくシケイン 26.0 113 95 6.31 12 32 ②/なし 34.4 166 122 5.55 76 51 ③/なし 34.0 355 321 6.09 67 61 ④/イメージ狭さくシケイン 20.7 30 27 3.71 0 29 ⑤/なし 27.3 103 90 4.54 15 27 ⑥/なし 25.9 26 23 4.51 13 19 ①/なし 34.3 73 54 6.73 70 55 ②/なし 25.5 37 22 6.87 14 18 ③/なし 31.2 61 41 4.59 46 40 ④/なし 30.4 26 23 5.05 32 45 ⑤/なし 29.2 21 14 6.95 15 30 ①/なし 31.5 59 47 4.87 56 38 ②/なし 37.4 386 258 6.05 87 65 ③/なし 33.1 154 84 4.73 68 60 ④/なし 31.7 386 255 3.96 59 61 ⑤/なし 36.1 26 23 5.16 95 36 ①/なし 29.9 299 236 5.24 40 46 ②/なし 30.3 100 88 4.14 45 37 ③/なし 31.6 104 87 4.35 62 43 ④/なし 35.1 246 115 5.72 78 60 ⑤/なし 33.2 149 127 5.27 64 27 ⑥/なし 33.7 406 231 5.04 71 74 :平均走行速度が30km/hを上回った路線 西中央 新西 浄水 自動車の走行速 度を速いと感じ る人の割合(%) 30km/hを超 えた自動車 の割合(%) 地区 路線/物理的対策内容 平均走 行速度 (km/h) 通過 台数 (台/2h) 計測 台数 (台/2h) 標準 偏差 (km/h) アンケート調査 未実施 妙音通 御劔 白壁・ 主税町 大森
15 図3.1 平均走行速度と住民の速度意識の関係 y = 2.666x - 42.204 R² = 0.716 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 15 20 25 30 35 40 速い と 感じ る 割合 ( % ) 平均走行速度(km/h)
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第4章
ゾーン 30 整備地区に対する住民意識・評価
本章では,ゾーン 30 整備地区全体に対する住民の各種意識や評価について考察する.なお, 表 2.1 に示すように西中央,浄水,大森が物理的対策を整備している地区であり,新西,御 劔,妙音通が物理的対策未整備地区である.両者の比較を意識しながら考察する. 4.1 住民のゾーン 30 の認知度 図 4.1 に各地区において回答者自身の住んでいる地域がゾーン 30 に指定されていること の認知度の割合を示す.どの地区でも半数以上の回答者が自分の住む地域がゾーン 30 の区間 内であることを「知っている」・「なんとなく気づいていた」と回答した.物理的対策が導入 されている呉市西中央地区,大森地区,浄水地区を見ると,その他の物理的対策が導入され ていない地区よりも住民のゾーン 30 認知度が少し高くなっていた.しかし,どの地区も自分 の住む地域がゾーン 30 の区間内であることに全く気付いていない人が 2 割~4 割ほど存在す ることが明らかになった. ゾーン 30 に対する住民の認知度を向上させることが,ゾーン 30 整備の目的の理解につな がると考えられる.そして,住民自身の最高速度 30km/h の遵守等の安全運転の促進,通過交 通対策への協力意識の向上につながっていくと考えられる.そのため,ゾーン 30 の周知を徹 底する必要があるといえる.また,物理的対策のような目立つ対策を導入している地区の方 が,認知度が向上する傾向にあることから,ゾーン出入口の標識や入口の路面標示以外のゾ ーン 30 区域のドライバーへの伝達手段を検討することも課題といえる. 4.2 居住するゾーン 30 整備地区に対する住民意識 4.2.1 自動車走行速度 図 4.2 に地区別の自動車の走行速度に対する住民意識を示す.図 4.2 より,全体を通して 走行速度が「速い」・「やや速い」と答えている割合が全体を通して 3 割~6 割あり,ゾーン内 の自動車走行速度は速いと感じている人が多いといえる.物理的対策整備地区でも西中央地 42.3 39.5 49.4 50.6 61.6 51.7 17.9 13.2 18.5 15.4 15.5 23.9 39.8 47.3 32.1 34 22.9 24.4 0% 20% 40% 60% 80% 100% 御劔 妙音通 新西 大森 浄水 西中央 1.知っている 2.なんとなく気づいていた 3.知らない・気づいていない N=238 N=241 N=271 N=369 N=162 N=220 図 4.1 住民のゾーン 30 に対する認知度17 区では走行速度が「遅い」・「やや遅い」という回答と「速い」・「やや速い」という回答が同じ ぐらいの割合であるが,浄水地区,大森地区では「速い」・「やや速い」という回答比率が「遅 い」・「やや遅い」を上回った. 4.2.2 原付・二輪車の走行速度 図 4.3 に地区別の原付・二輪車の走行速度に対する住民意識を示す.図 4.3 より,物理的 対策整備地区では未整備地区に比べて全体的に「遅い」・「やや遅い」の回答の割合が高い. ハンプやシケインなどの物理的デバイスは自動車だけではなく,原付や二輪車の速度抑制に も効果があるといえる. 図 4.2 ゾーン 30 内における自動車走行速度に対する住民意識 図 4.3 ゾーン 30 内における原付・二輪車の走行速度に対する住民意識 1 2 3 2 5 2 8 10 13 10 24 10 32 37 36 27 37 40 48 40 39 49 25 39 11 11 9 12 8 8 0% 20% 40% 60% 80% 100% 妙音通 御劔 新西 浄水 西中央 大森 1.遅い 2.やや遅い 3.どちらでもない 4.やや速い 5.速い N=240 N=219 N=259 N=161 N=350 N=204 1 2 2 11 3 7 7 9 10 40 17 31 41 44 45 32 45 46 44 36 33 9 27 9 6 9 10 2 8 1 0% 20% 40% 60% 80% 100% 妙音通 御劔 新西 浄水 西中央 大森 1.遅い 2.やや遅い 3.どちらでもない 4.やや速い 5.速い N=251 N=220 N=274 N=160 N=348 N=203
18 4.2.3 自動車交通量 図 4.4 に地区別の自動車の交通量に対する住民意識を示す.図 4.4 より,物理的対策整備地 区では交通量が「少ない」・「やや少ない」の割合が高く,物理的対策未整備地区では交通量 が「多い」・「やや多い」と思っている人が多いことが分かる.これよりハード的対策によって 抜け道として通行する車両を地区全体として抑えられている可能性が示唆される.しかし,交 通量はゾーン周辺の幹線道路の交通状況,人口や土地利用等の地域特性によるところも大き いため,これらの地域特性データと関連分析が必要であり,今後の課題としたい. 4.2.4 歩きやすさ 図 4.5 に地区別の歩きやすさに対する住民意識を示す.図 4.5 より,西中央で「良い」・「やや 良い」の回答比率が高く,「やや悪い」・「悪い」の回答比率が低くなっている.これは,他の 5 地 区では整備されていない地区内の多くの路線がコミュニティ道路(シケイン)に整備されており, 歩道と車道がボラードで仕切られているなど,歩きやすい道路と評価されていると考えられる. また,地区によってばらつきがあり,物理的対策の有無よりも他の要因で歩きやすさが評価され ているとも考えられる. 3 3 4 15 5 14 11 11 14 49 29 43 25 29 33 20 33 26 50 46 39 8 23 10 10 12 9 2 10 3 0% 20% 40% 60% 80% 100% 妙音通 御劔 新西 浄水 西中央 大森 1.少ない 2.やや少ない 3.どちらでもない 4.やや多い 5.多い N=251 N=220 N=274 N=161 N=349 N=205 図 4.4 ゾーン 30 内における自動車交通量に対する住民意識 7 3 6 3 13 6 16 15 22 12 30 22 42 33 43 32 38 35 25 38 25 36 15 26 9 11 4 11 4 7 0% 20% 40% 60% 80% 100% 妙音通 御劔 新西 浄水 西中央 大森 1.良い 2.やや良い 3.どちらでもない 4.やや悪い 5.悪い N=251 N=222 N=274 N=161 N=349 N=204 図 4.5 ゾーン 30 内における歩きやすさに対する住民意識
19 4.2.5 交通事故の危険性 図 4.6 に地区別の交通事故の危険性に対する住民意識を示す.図 4.6 より,物理的対策整 備地区では「低い」・「やや低い」の回答が 2~3 割,「やや高い」・「高い」の回答が 2 割~4 割 ほどであった.物理的対策未整備地区では,「低い」・「やや低い」の回答が 2 割を切っており, 「やや高い」・「高い」の回答が 4 割~5 割ほどあった.この結果から物理的対策の有無によっ て住民の交通事故に対する危険度意識にも差が出る傾向にあることが分かった.ただ,実際 の交通事故件数を把握しきれていないので,交通事故件数と住民の危険度意識の関係分析は 今後の課題としたい. 4.2.6 自動車の運転しやすさ 図 4.7 に地区別の自動車の運転のしやすさに対する住民意識を示す。なお、この質問は運 転免許保有者のみの回答である。図 4.7 より、物理的対策整備地区では、未整備地区に比べ て「良い」・「やや良い」の回答比率が高く、「やや悪い」・「悪い」の比率が低い。これより、 物理的対策は運転者にとって運転し辛くなると考えられがちだが、それを否定する結果とな った。 3 2 4 5 10 6 11 10 14 17 24 15 32 31 36 28 39 36 40 43 35 40 20 34 14 14 11 11 6 9 0% 20% 40% 60% 80% 100% 妙音通 御劔 新西 浄水 西中央 大森 1.低い 2.やや低い 3.どちらでもない 4.やや高い 5.高い N=240 N=219 N=259 N=161 N=350 N=204 図 4.6 ゾーン 30 内における交通事故の危険性に対する住民意識 2 1 3 3 6 5 11 8 15 24 20 24 44 34 50 42 53 39 34 48 28 16 17 16 9 10 4 3 4 4 0% 20% 40% 60% 80% 100% 妙音通 御劔 新西 浄水 西中央 大森 1.良い 2.やや良い 3.どちらでもない 4.やや悪い 5.悪い N=251 N=222 N=274 N=144 N=285 N=167 図 4.7 ゾーン 30 内における自動車の運転しやすさに対する住民意識
20 4.3 居住するゾーン 30 整備地区に対する住民の満足度評価 本節では,アンケート調査を実施した 6 地区における住民の「交通の安全性」,「快適性」, 「利便性」,「バリアフリー」,「景観」に対する項目別満足度,そして「総合的に見た満足度」 について考察する.アンケート調査ではこれらの項目を 5 段階(“満足”,“やや満足”,“どち らでもない”,“やや不満”,“不満”)評価していただいている.その結果を表 4.1 に示してい るが,“満足”と“やや満足”の回答を合わせて“満足”,“どちらでもない”,“やや不満”と “不満”の回答を合わせて“不満”と 3 段階にして集計しなおしている. 表 4.1 より,物理的対策が整備されている地区に比べて,未整備地区は“不満”の割合が 高い傾向にあることが分かる.具体的には,「交通安全性」において物理的対策未整備地区で ある新西,御劔,妙音通で“不満”の回答比率が高くなっている.物理的対策整備地区である 浄水も“不満”の回答比率が高くなっているが,表 3.1 に示すようにハンプ(スピードバン プ)が整備されている路線においては平均走行速度が抑えられているものの,その他の未整 地区名 回答数 満足 どちらでも ない 不満 地区名 回答数 満足 どちらでも ない 不満 西中央
217 35%
42% 23%
西中央217 37%
44% 19%
大森233 21%
42% 38%
大森233 26%
48% 26%
浄水257 21%
35% 44%
浄水257 32%
45% 23%
新西155 13%
42% 45%
新西155 19%
53% 28%
御劔337 9%
34% 57%
御劔336 9%
46% 45%
妙音通198 14%
30% 56%
妙音通198 17%
48% 35%
地区名 回答数 満足 どちらでも ない 不満 地区名 回答数 満足 どちらでも ない 不満 西中央217 41%
41% 18%
西中央216 32%
42% 26%
大森233 30%
50% 20%
大森230 16%
45% 39%
浄水255 38%
46% 16%
浄水254 31%
46% 22%
新西154 29%
53% 18%
新西153 10%
52% 38%
御劔335 11%
51% 38%
御劔333 7%
40% 53%
妙音通196 27%
47% 27%
妙音通195 12%
45% 43%
地区名 回答数 満足 どちらでも ない 不満 地区名 回答数 満足 どちらでも ない 不満 西中央217 44%
46% 10%
西中央216 40%
40% 19%
大森232 22%
53% 25%
大森230 25%
44% 31%
浄水257 39%
47% 14%
浄水258 29%
40% 31%
新西155 19%
59% 22%
新西152 19%
45% 36%
御劔337 9%
60% 31%
御劔336 10%
41% 49%
妙音通198 15%
61% 25%
妙音通197 16%
39% 45%
交通安全性 利便性 景観 快適性 バリアフリー 総合 表4.1 住民の項目別満足度評価21 備路線では 30km/h を上回っている.このことから,ゾーン全体で評価すると“不満”傾向に なっているのではないかと考えられる.「快適性」,「バリアフリー」,「景観」,「総合」におい ても物理的対策が整備されている地区に比べて,未整備地区は“不満”の割合が高い傾向が 見られる. 4.4 住民のゾーン全体の総合評価に影響を与える評価項目 本節では,総合満足度評価に影響する評価項目を数量化理論Ⅱ類で明らかにする.これに より,住民がどの評価項目を重視して地区全体を評価しているのか,つまり,ゾーン 30 整備 地区に対して住民が重要視している項目を明らかにすることができる.外的基準を「総合」と し,「交通安全性」,「快適性」,「利便性」,「バリアフリー」,「景観」といった各項目評価を説 明変数として数量化理論Ⅱ類を行う.外的基準を「総合」の“満足”,“やや満足”,“どちらで もない”を合わせて“満足評価”,“やや不満”,“不満”を合わせて“不満評価”とした. 表 4.2~表 4.7 に地区別の結果を示す.どの地区も判別的中率,相関比より分析の精度はや や良いと言える.全体として「交通安全性」の順位が 1 位あるいは 2 位と高く,総合満足度 評価に影響していることが明らかとなった.また,新西では「バリアフリー」,御劔では「快 適性」が 1 位または 2 位となっており,地区によっては重要視する項目が異なっている.ゾ ーン 30 は交通安全を主目的とした対策であるが,段差や勾配等を考慮した歩道整備等各地区 の各種課題も考慮した対策を実施し,住民の暮らしやすい地区を整備することも重要だとい える. 判別的中率:91.2% 相関比:0.654 表 4.2 総合評価への各項目評価の影響分析結果(西中央) アイテム カテゴリー n カテゴリースコア レンジ 順位 変相関係数 順位 満足 167 0.288 不満 50 -0.963 満足 175 0.073 不満 42 -0.305 満足 179 0.180 不満 38 -0.847 満足 161 0.040 不満 56 -0.115 満足 196 0.022 不満 21 -0.210 0.073 4 0.072 5 0.155 5 0.232 4 0.441 1 0.118 3 0.352 2 1.251 1 0.378 3 1.027 2 交通安全性 快適性 利便性 バリアフリー 景観
22 判別的中率:89.2% 相関比:0.681 判別的中率:85.1% 相関比:0.506 判別的中率:90.2% 相関比:0.632 アイテム カテゴリー n カテゴリースコア レンジ 順位 変相関係数 順位 満足 142 0.290 不満 90 -0.458 満足 171 0.124 不満 61 -0.349 満足 185 0.120 不満 47 -0.474 満足 141 0.155 不満 91 -0.240 満足 172 0.148 不満 60 -0.425 バリアフリー 0.395 5 0.228 3 景観 0.573 3 0.264 2 快適性 0.473 4 0.168 5 利便性 0.594 2 0.208 4 交通安全性 0.748 1 0.368 1 表 4.3 総合評価への各項目評価の影響分析結果(大森) アイテム カテゴリー n カテゴリースコア レンジ 順位 変相関係数 順位 満足 141 0.544 不満 114 -0.673 満足 195 0.138 不満 60 -0.449 満足 215 0.071 不満 40 -0.379 満足 198 0.067 不満 57 -0.234 満足 220 0.053 不満 35 -0.336 景観 0.389 4 0.114 3 利便性 0.449 3 0.105 5 バリアフリー 0.301 5 0.107 4 交通安全性 1.218 1 0.457 1 快適性 0.587 2 0.153 2 表 4.4 総合評価への各項目評価の影響分析結果(浄水) アイテム カテゴリー n カテゴリースコア レンジ 順位 変相関係数 順位 満足 84 0.300 不満 69 -0.365 満足 111 0.087 不満 42 -0.231 満足 125 0.113 不満 28 -0.505 満足 97 0.289 不満 56 -0.500 満足 121 0.115 不満 32 -0.436 バリアフリー 0.789 1 0.372 1 景観 0.551 4 0.236 3 快適性 0.318 5 0.121 5 利便性 0.618 3 0.231 4 交通安全性 0.665 2 0.319 2 表 4.5 総合評価への各項目評価の影響分析結果(新西)
23 判別的中率:91.0% 相関比:0.713 判別的中率:86.5% 相関比:0.666 アイテム カテゴリー n カテゴリースコア レンジ 順位 変相関係数 順位 満足 142 0.469 不満 190 -0.350 満足 183 0.415 不満 149 -0.510 満足 206 0.012 不満 126 -0.019 満足 156 0.184 不満 176 -0.163 満足 231 0.102 不満 101 -0.234 景観 0.336 4 0.188 4 利便性 0.031 5 0.016 5 バリアフリー 0.348 3 0.200 3 交通安全性 0.819 2 0.435 1 快適性 0.925 1 0.417 2 表 4.6 総合評価への各項目評価の影響分析結果(御劔) 表 4.7 総合評価への各項目評価の影響分析結果(妙音通) アイテム カテゴリー n カテゴリースコア レンジ 順位 変相関係数 順位 満足 84 0.728 不満 108 -0.566 満足 125 0.105 不満 67 -0.195 満足 142 0.041 不満 50 -0.117 満足 109 0.119 不満 83 -0.156 満足 146 0.121 不満 46 -0.385 バリアフリー 0.275 4 0.131 3 景観 0.507 2 0.218 2 快適性 0.300 3 0.110 4 利便性 0.158 5 0.061 5 交通安全性 1.294 1 0.559 1
24
第5章
物理的対策に対する住民の受容性
生活道路における交通安全対策において,ハンプや狭さく等の物理的対策は住民に受け入 れられにくい傾向にあり,整備が進まない状況となっている.表 1.1 に示したように,ゾー ン 30 においても同様の状況である.その理由としては,ハンプによる振動・騒音に対する住 民の不安や,狭さくやシケイン等の整備により車道幅員が狭くなることや道路線形が複雑化 することで,住民自身にとっても自動車の運転に不安を抱く等が挙げられる.しかし,適切 に物理的対策を採用しなければ,自動車走行速度の抑制等の効果は十分に得られないと考え られ,本研究においても 3.1 で示したように物理的デバイスの設置路線においては平均自動 車走行速度が 30km/h 未満であり,未設置路線では 30km/h を上回っていることを示している. そこで,本章では狭さく,ハンプ,コミュニティ道路(シケイン)の 3 つの物理的対策に 対する住民の受容性を確認する.図 5.1 は,全地区のデータを集計した結果である.また, 各対策における地区別の結果を図 5.3(狭さく),図 5.4(ハンプ),図 5.5(コミュニティ道 路(シケイン))に示す.なお,受容性に関しての質問では,各対策に関して説明しつつ,図 5.2 のように,整備をすることでデメリットが発生する可能性があることも記載し,住民には このことも考慮してもらい回答頂いた. 図 5.1 より,狭さくは「反対」の割合が 45%あることが明らかになった.続いてハンプで は,「賛成」の割合が 49%で「反対」割合が約 28%であり,狭さくに比べて受容性は高い結果 22% 28% 45% 22% 24% 20% 56% 49% 35% 0% 20% 40% 60% 80% 100% コミュニティ道路 N=1444 ハンプ N=1442 狭さく N=1449 反対 どちらでもない 賛成 図5.1 全地区における各種対策の受容性 図5.2 物理的対策に対する受容性に関する質問部分25 となった.コミュニティ道路(シケイン)は他の 2 つに比べて「賛成」の割合が 1 番高く約 60%で,「反対」は約 20%と受容性が高めだと言える. また,地区別に各種対策の賛否を確認すると,図 5.3,図 5.4,図 5.5 より,どの地区もコ ミュニティ道路とハンプの「賛成」の割合が高く狭さくは「反対」の割合が高いことが分か り,いずれも地区によって大きな差は見られないことも確認できた. このように,狭さく以外の対策が「反対」の割合を「賛成」が上回ったことが分かったが, 「反対」の回答者も 20%以上存在するためハード対策の導入の難しさも確認できる.また, 36% 39% 36% 36% 40% 46% 22% 22% 24% 24% 21% 24% 42% 39% 41% 40% 39% 30% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 妙音通 N=208 御劔 N=351 新西 N=160 浄水 N267 大森 N=239 西中央 N=224 賛成 どちらでもない 反対 図 5.3 地区別の受容性の実態(狭さく) 46% 50% 50% 50% 49% 47% 23% 27% 22% 20% 22% 28% 31% 24% 28% 30% 29% 26% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 妙音通 N=208 御劔 N=347 新西 N=160 浄水 N=267 大森 N=237 西中央 N=223 賛成 どちらでもない 反対 図 5.4 地区別の受容性の実態(ハンプ)
26 自由記述欄に記載された意見で,ハンプ設置に伴う振動や騒音について不安に感じているも のが複数見られた.しかし,近年の研究により4),5),騒音や振動を抑えたハンプの開発が進ん でいる.そのため,ハンプの設置による自動車走行速度抑制効果と騒音・振動が周辺環境に与 える影響が小さいこと等を客観的なデータで住民に示し,さらにハンプの仮設置実験によっ て,住民の誤解や心配を払拭する等の取組みを積極的に進めることが重要だといえる.このこ とが,ハンプをはじめとする物理的対策の推進につながると考えられる. 54% 58% 50% 59% 55% 57% 23% 22% 19% 23% 19% 23% 23% 20% 31% 19% 25% 20% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 妙音通 N=208 御劔 N=350 新西 N=160 浄水 N=266 大森 N=240 西中央 N=220 賛成 どちらでもない 反対 図 5.5 地区別の受容性の実態(コミュニティ道路(シケイン))
27
第6章
まとめと今後の課題
6.1 本研究のまとめ 本研究で得られたゾーン 30 整備地区における知見を以下に示す. ・自動車走行速度調査の結果,物理的対策が実施された路線においては平均自動車走行速度 が 30kn/h 以内に抑制されているが,未実施路線においては 30km/h を超過する傾向を確認 できた. ・自動車の走行速度に対する住民意識では,物理的対策を整備している路線において「速い」 との回答割合が低く,未実施路線については「速い」割合が高い傾向にあることが確認で きた.これは実際の平均自動車走行速度と同じ傾向であり,実際の平均自動車走行速度と 住民の自動車走行速度に対する意識の間には正の相関関係が確認できた.このことから, 住民は実際の路線別自動車走行速度を正しく認識している傾向が明らかになった. ・ゾーン 30 整備地区全体に対する住民意識については,次のような傾向が見られた.物理的 対策を整備している地区の方が未整備地区に比べて,ゾーン 30 の認知度が若干高い,交通 量が少ないと考えている割合が大きい,原付・二輪車の走行速度を低いと考えている割合 が大きい,交通事故の危険性を感じている割合が若干小さい,自動車の運転がしやすいと 感じている割合が大きい傾向が確認された.また,コミュニティ道路を複数の路線で整備 している呉中央で歩きやすいと感じている割合が大きいことも分かった. ・「交通の安全性」,「快適性」,「利便性」,「バリアフリー」,「景観」に対する項目別満足度, および「総合的に見た満足度」において,物理的対策が実施されている地区は比較的「満 足」の割合が大きいのに対して,未実施地区に関しては「不満」の割合が大きい傾向にあ ることが分かった. ・総合満足度評価に影響する評価項目には「交通安全性」が大きく影響しており,住民は交 通安全性を満足するほど総合満足度は向上する傾向にあることが言える.すなわち,ゾー ン 30 整備において交通安全性を重要目的として認識していることが分かった.また,地区 によっては「バリアフリー」や「快適性」を重要視している地区も見られ,高齢化率等の地 区特性を踏まえた総合的な整備の検討の必要性も確認できた. ・物理的対策に対する住民の受容性については,ハンプとコミュニティ道路(シケイン)で 「反対」よりも「賛成」の割合が大きいことを確認できた.しかし,一定数の反対住民も存 在することから,交通静穏化対策の導入の難しさも確認できた.また,自由記述欄に記載 された意見で,ハンプ設置に伴う振動や騒音について不安に感じているものが複数見られ たことから,物理的対策の整備効果と周辺への影響について説得力のある形で住民に説明 していくことが重要といえる. 6.2 本研究の課題 本研究の課題について以下に示す. ・物理的対策の実施路線と未実施路線での自動車走行速度を比較した.もう一つの目的であ る対策内容や道路構造,および周辺環境を考慮した自動車走行速度の予測モデルの構築も28 試みたが,説明力のあるモデル構築に至らなかった.さらにサンプル数を増加させ,今後 も引き続き検討を進めていきたい. ・アンケート調査データの分析において,回答者属性別のクロス集計分析も実施したが有意 な差を発見するまでに至っていない.さらに分析を進めたい. ・実際の交通事故発生箇所のデータの収集が困難な地区があった.取り扱いに注意しなけれ ばならないデータであるため仕方のない面もあるが,交通事故件数の推移はゾーン 30 の評 価において重要な指標であるため,交通事故発生箇所データの収集可能な地区での調査を 引き続き進めていきたい. ・本研究で得られた物理的対策実施路線における自動車走行速度抑制効果の客観データを住 民に提示し,さらにハンプ等の周辺環境への影響を説明することが,住民の物理的対策に 対する受容性へどのように影響するのかを明らかにする必要がある.
29