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ナチスドイツの安楽死思想 : ヒトラーの安楽死計画

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(1)ナチスドイツの安楽死思想(宮野). 二. 鰯.   結ナヒ序    チト    スラ    ド1 一嘱   イの    ツ安   論の楽論 序 世葬    界計    観画     の     実     態 払 面冊. 一119一一・. 宮 野. 彬. ナチス ドイツの安楽死思想. 三.  ーヒトラーの安楽死計画ー. 生命に関する刑法上の難問の一つに安楽死がある。通例、その対象として任意的安楽死︵ぎ一轟§矯。暮富髭器︶が論議. 四.

(2) 説. 論. の中心に据えられその許容の限界をめぐって深刻に争われている。しかし、最近においては、附随的に非任意的安楽死. ︵ぎぎぎ旨餌遷Φ9ざ暴路︶にも言及せられる場合が多い。もっとも、後者については、安楽死を是認するための要件が明. 白に具備されていないために、学説は一義的に違法と解し、しかもそれ以上のたちいった解明をなさずに、簡単に問題を. 片附けてしまっている。だが、同じ安楽死という言葉が使用されるにしても、両者の間には性格上本質的な相違がみられ. る。いうまでもなく、非任意的安楽死とは、一口でいえば、被殺者の意思とは無関係に﹁安楽な死﹂を与えることを指す. が、その実態は、われわれが安楽死について抱くイメージとは著しく異なる。そこで、本稿においては、この非任意的安. 楽死が現実の社会の中においていかなる形で登場し、それを支援する背景は何かということの実情を、ある歴史的な事実 を通して探ってみようとおもうのである。.  この非任意的安楽死については、一般的にさまざまな呼び方がなされている。たとえば、わが国では、つぎのごとくで. ある。すなわち﹁生存が無価値な生命の殿滅﹂︵林瓢翫蔽醗覇範鋸霞鴫醐羅転薫雛欝説鰐癖解醗獣逝舳簸、恥蚤縣雛羅備秘. 諜︶一驚塾一曙讃酬灘運羅輪瀞慕羅鞭耀麹鞭甑逐奪難上薦毒趨繍雛議難獲饗難︶、耽臨齪噸翻轟麟鶴響鱗. 騙跡﹂︵鍋︶﹁生存が無価値な者の生命の殿滅﹂︵鰭嚢譲鱗翻竪器翻︶﹂蘇難獺鎗熱鍛=訣顛︶﹁生存の価値なき生命の否定﹂. ︵轄掛㎝踏塞羅巻︶﹁生存の価値のない生命の抹殺﹂︵鯨陛刑騒誰蕪︶﹁生存の価値なき生命をたつことの許容﹂︵輔難蒲. 獣謡︶︶﹁生存に価しない生命の殿滅﹂︵酵輪︶鑑擁覇響濫魏離翠酷警砿鯛藷舞︶︶﹁生きる価値のない生命の否定﹂︵縮謝騨. 編瀟蟹編転締︶是だ訴署蘇︶﹁生きるに値しない生命の抹殺﹂︵郵騨薮ソ一齢鄭甑顯難嚢凱羅窺讃矯酬響︶﹁生ぎる価値のな. い生命︵精神病者︶を消滅させること﹂︵灘醐獣翻蹴げ煮驚鰍︶︸﹁鞍︶﹁社会的に無益な生命の根絶﹂︵彫暫匙蒜説簿禰. 譲判盤砿藪夢法饗雛伍︶﹁価値なき生命の破壊﹂︵麟墾奪制擢務稀碑︶ド彬翫︶﹁不任意の安楽死﹂︵慧窺藩論騨熔騒京霧禰灘︵匙 購禮匙惣ハ︶など。. 一120一一.

(3) ナチスドイツの安楽死思想(宮野).   また、外国では、つぎのような用語が使用されている。すなわち、﹁<R巨99凝一魯窪ω蓉毒Φ旨窪 ピ量ω﹂︵監馨. 閑。BB聲翼睾導ω蕾凝①ωΦ首ビ9嘗鼠ωu。三ω9・寄喜鳩一5墜‘匿N。一。8ω●塗・“区・臣且一凝ロ且︾ 頃OO﹃Φ︸一︾陣①司﹃O博ひq曽げO α震<。彗陣9g畠喜窪ω暮壽幕ロピ①び窪ω●写︼≦毬琶山酵。閃。馨し旨。●旨●gm鴇gω欝坤8冥︾=槻・ ↓亀●レO蜜ω●嵩o。●“譲。. U9ω α①¢什ωOげ① ω什﹃勢hH①Oゲ叶︸国一口O. N一N.咽園● 竃餌q履四〇び博 同︾①仁酔ωOげΦω ω什吋四眺﹃OOげ叶堕. 一8ρω・認9. 嚇 O ︾G恥一4 一〇①㎝り ω●Nq㎝●“︾●ωO﹃α昌犀O. 田口常鐸び自ぴωΦの●↓①F。。︾魯●﹂。㎝。博ω﹂㎝●苫︾亀 一 ‘お碑ω﹂㎝●嚇毘●. ω窪oぴ ≧一鴨日ΦぼΦω需9。坤09けω一。冥ρω︾鼠一‘一〇翻 ω●置ご凶o包ぺ貰ω9−審轟ρω#帥凝①ωΦgげ8F亀︾鼠一‘ ご㎝ρω●島ω●嚇ω魯・ o ︾ρ賄一’︸ωα 鱒矯 器︷①び ぎ”ω霞餌凝Φ馨①Nビ9リピ①一冒一ひqR民oヨ旨o旨醇 ︵穿。§亀Φ撃ピoげ。肉。ω①昌げ。品︶①・刈︾邑。b含㍉。切どω● 一〇N。脳O 一〇㎝o o噂ω●.  一  ω  O  げ  O  一︾鱒目ω仲O一一¢口箇り刈︾鐸団一。︸ の矯ω什①日”什. ゑ① 一 N ① 一 り. o●. !N①吋一簿旨鵬Oづ︸ 一昌 ”. ℃。閃●︾ωo寓o暮仁ロq. 鴇  ω。㊤刈凶。咽≦●菊”μOげu 00Q“ 一ω ︾眞臨一G 一〇①刈 . 一〇①ω︸ ω。0. ↓α什qβ鵬蝉仁︷. 国暮富葛の凶Φα巴茜巴暮ゆ①焦①3且欝.  筈  o     窪  ︸    臨  宥  菊①ぼび9 0同血<o昌  ㎎    >嵩汁信βαω#鉱冨o ぎ  ”  男Φω薦 ω。Q QO癖●⋮一。=①頃日びO吋 Φ  吋矯.   ︾信︷一こ ω。刈ωO。嚇一一 >仁協一。矯 qロα頃。 ωo穿ま①ぴω需鉱鴨の①gげβ魯国oBB①旨鐸  o ︾び冨且一琶鐙窪窪ω国9罠q区蜜03一98一〇〇Q一ρ 一〇㎝①噂ω● 一〇㎝,一 〇●肉9ユび円qOげ矯. 閏α。剛くOげ一周山qωOげ一国①︷O同B 畠①ω ωけ﹃四囲﹃①Oげ件ω一 一〇N⑦讐.  鶴  昌  鵬  M▽ピΦびΦbω麟β名O﹃什O旨︽ハ UOびO口のり 国q什げ偶昌僧ω一Φ仁]口α <O﹃ロ一〇  げ什. oづ鵬一 一〇qO● 嚇 国● 一鋤げ吋伊qo.   閣轟一ω。F団暮富葛の繭o q口山 くO同β一〇ザけqβ㎎ 一Φび①口ωq口毒Φ吋けO昌.          ℃8三Φ臼儀R 閏H鋤昌屏N¢B刈OOΦげ広同什のけ蝉鵬矯ωユ 一矯一〇ωO︸ω・劇一G o●一 閃●Φα櫛N①一〇嘱い︵ΨΦα餌”犀①口 Nqヨ ωOゲ毒Φ一NΦN圃ωOげO N①幽酔のOげ噌一馬け 暁燐壁 ω稗目鎚h﹃ΦOび件℃ ①㎝. ピΦびΦ霧ぎω什冨坤8算一一30﹃︼W巴①8げ言轟﹂逡oo●馴=①一旨暮国ぼ富民“.    汁  N   ℃  O  吋   〇  げ  屏   昌     α   O  償  け       U  Φ営 声  鉱ω Φ  昌   勾  N  Φ  H  一  ω  O  げ      票     国   国鋤隔け①円矯 も りOげ  毒  O一 Φ  のωけ﹃鋤臨吋ΦOび“ 閃Oω●↓①一一●℃  o  貯   o  げ  ① 讐 ぎ 脚 ω  O  げβ    α  ①  ﹃  の  α  P  一一 O  一  什   一 Φ  吋     目︶ ω  O  げ  O口.      ■仁O一① 閃吋Φ口N①一 ¢口  α  頃きの白①びgURの嘗織おo窪一一魯o           ぎ     3        筏     8     芭       国。 9 且冨口鵬窪   ぎω胃畦09“お紹● 咽 お ① ㎝ ● ⋮ 出 Φ ユ 悔 & 堕 国 ω 旨 一 ①. 酬鱒醐臨雛囎弗晒の牌涛甲オ跡醜鵠雛ω雅舗⑳ぜ⑩蹄聴雛甑離和、一細認臨蝿%%、馨曜㌔鵬傭凱跨仲噸頃陣︶      ﹁∪一①<R艮畠9轟きσqΦ霞9. ・Φび・きき邑婁﹂︵智露①鑑露ω罪鰐離器罪が﹄臨翰、、影跨鑑㎝。∞、紫卿影誌︶﹁U、・. 一肖帥昌の く。 国①口け一磯︸.  犀q一け9﹃鵬OωO冒一ー. U一〇 ωけ﹃9 D︷O一 悶﹃,. ﹁蒙o<①毒一畠欝躍9。&RΦ二〇び・. ω・鵬Φ§件①<貫ぎα−︸︸一Φ醇⋮馨冨bの、.﹂︵塑葬讐緯護搾昌黙、曜Φ羅一剛囎N題︶﹁U一Φぎ帥・﹃薦.      ・・げ塁︵野蛋認.融難ω霧⑳鍛同ゆ爵聾露露︶. 山ゲ隔O吋旨口①昌  信口α. ︵喫.露艶鋤岬難.羅設簿麟雛魏齢翻¢羅U. ︵騨鋸羅鴇齢%①碑蝶︶﹁u凶①ぎ一・げ募莚一・ω①旨霧﹂ ﹁9。︾ぴ譲旨琶鳴一〇びo霧qロ類R什g冨げo拐﹂. (. αoωωo磯の 4一のげΦPω口⇒妻ONけΦ昌、帆. 窪雲p毒Φ旨Rピoび窪﹂. ㎜爆部恥噌雛鞄︶. 一121一. o.

(4) 説. 論. %寧︶﹁。R↓α.藷§§ぽ①、.び§。・、の馨き至︵曙藷瞭・轟継謀Φ贈鶏誰器。襲襲踏、緩器畢. 帥一.︶﹁。一・↓..q轟一・びgの§・澄昌ピ・び塁︵蟹襲⑦誰ω贈難壁蒙§頓儀・歪婁§且羅賭鞭α. 鞭露、鍵、一。 ω器.騒﹁ω・騨。量α①§α﹂︵脚総羅毒講鱗.略縄讐寵毒㎎讐函鋸斜・襲・繋碓瞬︶.   ﹁U。¢酔・仁。什凶。”。賄ピ、騰g。け≦gけげピ凶く.畠﹂︵騨贈譜轡鞭総闘誰”降輸け甑畿ヂ留%℃鑓け器o ρ 露紺㎎雛騨什露輔︶. ﹁↓げ⑦両図けΦ触臼、ロ鋤け、。昌。︷ω8.四一.矯dω。、。ωのい、︿。ω﹂︵昨密縮醐①睡瀞覇ザ鑓嚇距∼蜜離⑳、離儀窮醜、混雛臥鵡蔚酬郎も.融鈍一.稽. 響け︶釜..  それではここで、従来、学者が右のような形式の安楽死に対して与えている意味内容を紹介することにしよう。つぎの. ごとく説明している。 ﹁強度の精神薄弱者や精神病者のように、その生存が社会の負担となり社会的に無価値である者の. 生命を殿滅する場合﹂である。︵瀟翁醐誰総譜驚朗︵禦蝿灘鞠翻酸誌ハ一一一槻胆鯛繍網灘叢諸欲訴岬葡繍鮮鞭舞る︶﹁不治の. 精神病のため社会的に価値の少ない人間の除去と解され、生きる価値のない者の生命の意思を無視しておこなわれるも. の﹂である。︵舗輪響調︶﹁恢復のみこみのない精神病者であるがために社会に有効な貢献をすることができず、社会的. に価値なきものとして、そのような精神病者の生命を、そのものの意思いかんにかかわりなく否定してしまう行為﹂をい. う。︵籍翻掲課羅︶﹁不治の精神病者のようにその生存が社会の負担となり社会的に無価値な者を殺害する場合﹂である。. ︵穣繭罐︶﹁社会功利主義的見地.優生学的見地から、癌患者、白痴、死をまつばかりの傷害者などを、社会に生存すべ. き価値なき者ときめつけその生命を奪うことに安楽死の名を冠するもの﹂である。︵躍㌦講酷︶﹁精神病者の殺害の場合﹂. である。︵譜鴨蠕議要︶﹁生存が社会的負担を伴い、社会的に無価値な者、例えば精神病者、精神薄弱者等の生命を鍛滅. 一122一.

(5) ナチスドイツの安楽死思想(宮野). する場合﹂である。︵鶴萄醐︶﹁幼児遺棄または嬰児殺害と老齢者および虚弱者の遺棄または殺害﹂ ﹁共同社会から資産で. はなく負担または危険であるにすぎない成員を除去すること﹂である。︵鵬臨鰹講龍矧窪炉碑︶﹁不治の白痴を殺害する. こと﹂をいう。︵胞聾暢鴎餌猪臨U︶﹁高度の精神薄弱者あるいは重症の精神病者を殺害すること﹂をいう。 ︵團鱒.窯齢毘昨. 螺搾墜︶﹁精神病者などを殺害すること﹂をいう。︵鋼隷紬、一.ポ誌飾.囲舘鱒.︶﹁不治の精神病者を殺害すること﹂をいう。 ︵罰確鍛︷①。︶.  いささか羅列する結果となってしまったが、要するに、高度の精神病などのために単に生息しているにすぎない存在. を、共同社会の成員たる資格なしとみなして、この者を排除することを指す。いわゆる通常の安楽死と対比させる驚め. に、一応非任意的安楽死と名付けたが、実は、前記の呼称などからすでに判断されるごとく、学説は、実情に即応して安. 楽死という言葉を用いていない。ビンディング、エンギツシュ、ゲッツェラ!、E・シュミット、マウラッハ、メルツァ. ーおよびその他の多くのドイッの学者たち、あるいはH・マンハイム、H・シルヴィソグなどの英米の学者たちも、かよ. うな形式の殺人をまったく安楽死とは異質のものとして扱っている。主としてドイッの学者などが呼び慣わす﹁<R巳。窪、. q凝一⑦富冨琶壽旨窪冨冨房﹂という用語自体からもわかるように、そこからは、激しい苦痛に苦悩する病人に同情してな. んとか苦痛から救ってやりたいという、慈悲にもとづく差し迫った強い個人的倫理的な感情の動きは、なんら読みとれな い。. 表として主として精神病者を挙げているが、かような殺害の是非をはじめて世に問うたビンディングとホッヘの著書に.  ところで、かような殺害につい・ての前記の学者の説明はやや簡略にすぎ、しかも、いわゆる社会的に無価値なものの代                                                      ︵1︶.                                                      ︵2︶ は、被害者の実態が克明に描き出されている。わたくしは、この点についてすでに別の機会にとりあげて紹介しておいた。. ビンディソグとホッヘが、この種の殺害に安楽死の語を冠さなかったのは適切だったと考えている。少なくともその当時. 一123一.

(6) 説. 論. までは、いわゆる安楽死の場合と明確に区別し、概念の混同をきたさない態度を維持していたことは充分にうかがえる。. しかも、ビンディングらの提唱も個人的生命の尊厳についての基本的な鉄則をわきまえつつ、だが、社会環境の異常さ、. 重大さなどの右の鉄則を上廻るとかれらなりに思料せられる諸々の原因を理由に、一つの学説として殺害実施についての. 考慮を示したものであって、そこには、かれらの主張内容と矛盾しない限度における最少限の生命尊重に対する節度は、. 守られていたのである。周知のごとく、かれらの学説の中心をなす思想は、混乱する異常な社会環境の中において、無価. 値と判断される存在を、長期間養育するにともなう莫大な財政上の負担を免れたいという経済的事由であり、それに附随. するものとして、看護労力上の無益な浪費に対する憂慮などが包含せられていた。そのいわんとするところは、社会秩序. が回復された時点において冷静にふりかえってみるならば、たしかに、法律学者または医者の唱えるべきことがらではな. いかもしれない。しかし、その内容の当否は別としても、戦後の混乱した社会環境の下においては、かれらの主張も充分. な説得力を有していたのである。しかもそこには、学者としての真摯で慎重な態度がうかがわれ、社会的にみた一つの救 済策としての意味に欠けるところはなかった。.  一見唐突にみえるその学説も、被害者およびその親族の実情ならびに国内事情などあらゆる事実を綜合した結果、止む. に止まれぬ真情からもたらされたものであって、もしもそこから功利的事由のみを抽出するならば、かれらの真意を誤り. なく理解することは不可能であろう。精神病者などに﹁情けの死﹂を与えるという意味において、安楽死の事例と広義に. おいて共通の基盤にたつものといいうるように、その学説は、一面では、死が被害者にとってもっとも望ましい解決方法. であるという信念から発しており、そのことに関してはなんら功利的要素はみられない。ビンディングは殺害許容のため. の諸要件を注意ぶかく定めたが、結局、学説の提唱だけに終り、実施にふみ出すまでには至らなかった。.  さて、この生きる価値のない生命を否定するという考えに、慈悲という安楽死に不可欠な要素を結びつけて、本来の安                          ︵3︶ 楽死の概念そのものを異質な内容に変化してしまったものに、ナチスドイッ時代におけるヒトラーの安楽死計画︵国三富、. 一124一一.

(7) ナチスドイツの安楽死思想(宮野). 醤路冥。讐弩B葛9富轟器震。讐弩馨︶がある。通例、非任意的安楽死の事例としてビンディング・ホッヘの学説が指. 摘せられるが、他方においては、それに対比されるものとしてこのヒトラ!の安楽死計画が挙げられる。しかし、両者の. 内容は著しく異なる。従来、学説は、刑法上からみた殺害の当否のみに関心を向け、双方の性格上の根本的な相違につい. ての検討をおろそかにしていた。そこで本稿においては、不当にも安楽死の語が付けられているこの計画を通じて、ナチ.                            ︵ 4 ︶. スドイッにおける安楽死思想を究明することによって、生命問題の一つの側面につき考えてみたいとおもうのである。.                                                        ︵5︶. 。恥茸2騨・司。琶殺旨9 ︵−︶凶曽呂一認二区︾麟09ρ黛。即。一鴨びΦαR<R艮9ε凝一①び睾ω騒蓄旨窪い①び窪ω。一ぼo客p. ︵2︶拙稿・﹁生きる価値のない生命を絶つことの許容性﹂鹿児島大学法学論集三号︵昭和四二年︶二二四頁以下。. ︵3︶この点につき、E・シュミットは、 つぎのごとく説明している。 ﹁強大な国力を誇っていた時代の悲しむべき出来事を顧みて、な. お残されているのは、政治上の事由からもたらされる選択の場合である。 ﹃厄介もの﹄ ︵ω巴一器$臨鴇窪N窪︶の殺害のケースに対して. は、政治上の根拠にもとづく概念の混乱から安楽死という名称が横取りされてしまった。 ヒトラ!の安楽死計画以前には、われわれは. 決してそのようには決めつけていなかった。﹂︵即○¢培岨診%︶安楽死の概念を不当にも横取りしてしまったとみるものに、このほか、K.. エンギッシュ︵騨.鱒媚鋒︶がある。なお、平野・前掲刑法の基礎一八一頁、同・前掲生命︵鹸漱幽︶ 一七一頁参照。. ︵4︶ビンディング・ホッヘの間題もナチスドイッの安楽死の問題も、ともに刑法上の根本思想と一見して明瞭に相反するものであるた. めに、従来は、これらの問題がなぜ提示せられるのかという原因面での分析にまでたちいたらないうちに片付けられてしまっていた。. もっとも、この問題については、原因の解明がなされても、刑法の解釈面に顕著な影響を及ぼさないために一般的な関心をひかないの かもしれない。. ︵5︶このナチスドイッの安楽死の問題については、つぎの文献を参照されたい。.  荒正人・﹁安死術﹂科学圏三巻五号︵昭和二三年︶、南沢十七・﹁ドイッの公認自殺﹂世界知識六巻五号︵昭和九年︶、三浦岱栄・﹁. 一125一.

(8) 一126一. 医師は安楽死をどう見るか﹂世紀一五号︵昭和二五年︶、安田徳太郎・﹁不治の病人は殺してよいか﹂︵ナチスの新刑法覚書︶中央公論. 四八年十号五五〇号︵昭和八年︶、 山名正太郎・安楽死︵アテネ文庫瓢︶昭和二六年、同・世界自殺物語・昭和三九年。.    一●富ぎび。≦け。 。﹂。且昏窯。象8一卑嘗。9N且●a﹂。①N∴ORヨき9ぎ。のぎ勺o一9。民︵国①審誘鴨びΦ吋“O①糞轟一〇〇ぢ巨ωの凶2ho噌. 。誘o富F一緯ご竃畏ぎ臣き国oΦω巴9団暮富醤ω㌶ぎ爵Φ頃9。審彗貰 hβ︿霧ユひQ呂曾o剛OR臼弩9首。ω貯−oご包︶<o一。鱒≦9. ωき魯oユ道鋸塁α言$旨pのけ一〇5巴富ヨ↓ぎ︸◎信旨9。一〇時ρぎぴ巴冨ヨ9誉貯o一〇〇Q矯9。且℃o一凶8ω息窪oρ<o〆参お㎝ω∴ピo呂. 国9 。艮。ざぎ一三8逼冨一ω§α閏鐸oβお㎝OこOど﹃3箕↓冨蹄岡言①ω什頃o畦噂一逡O∴客国8艶g︾旨Φユ8旨≦9。樋9冒①ω. ?芭巴ロ国霞8ρ08同ひQo8巧”雰毒︸。q導辞一〇〇ー目b。■ωO︸一。㎝O∴嶺飴興9ぎ㊦ωギ芭齢<o一。黒”↓冨欝富医9の村ギ芭場一。お。“. 。︸ピ署因6。円什ωo︷炉芭のo協譲銭9ぎぎ鋤一ωり一。お”P冨≦閑go旨ω。︷ ピ署勾8。辞ω。臨炉芭ωo協名9ゆ村9ゆ鼠き一の噂一緯o。”o. 2犀一ρ一〇お。二︸冨≦閑20辞の9↓旨一¢o団毒霧9冒冒筥ω㍉O幾”ρ富名悶80二ωo断⇒芭ωo協譲舞9ぼぎ9。一ω篇漣o。”8. 憲一富曼早害§印江漣刈●篇リギ芭の◎h名霧9ぎ帥醤一ω望︷oお静¢2信旨び①茜憲一ぎ蔓炉ぎ§ω一のd鼠RO8霞o一〇〇琶畠冨名. 乞。毒曽ひQ一帥&一〇q簑巴o賄蜜a一〇ぎρ<o一D漣一ンo。鱒甘蔓一aOお“⋮一り早芭o騰寓蕊o﹃白舞9ぎぎm一ωω無03浮巴暮①導畿8巴. ヨ蝕80三α9≦與U①冨吋琶①暮評ぼ嘗一。鉾20●ω一ー旨ρ一漣①■遇Φ。≧。釜&g鼠Φ象8一ω。一魯8琶α震9。翼o粧圧℃矯醤Φ. ︿。9ユ畠鯨①霞9鋤一‘o曲o一包鼠巴#きωR一讐。↓ぎω欝言8曼ρぎ冒母ピ薗妻o暁OR目§ざ冒葭富蔓Oo<Φ導BΦ算H旨o吋・. >rUO窪ヨ9貫昌肉90罫O由80臨些①d.ω.国蒔げOO導巨塗8震暁90①Hヨき只U8醇琶①讐O賄ω鼠8︶レO㎝ごq三酔aω欝件8. 乞o︿oBぴg一30.⋮Oo&09q三<Φ諾蟄なo︷冒ユω島&opO︿忠≦震9ぎΦ即ωω︵おa︶O餌謀o毎壁富零図Φ≦①多一刈ご富且ω冨お︸. ぎ審簑簿一〇b巴9ぎぎ巴富ヨO畦器糞冨魑一ギ。げ一Φヨの矯一〇㎝O∴訟g且貫↓冨↓o尊o摩芭鳩一旨o旨蝕g巴Oo糞旨豊o旨︸. 冒匹8識8︶﹂逡㎝∴国。窪弩鋤区卑◎毒戸9ぎ。ω︾伊qmぎω二三〇導豊8巴冨ヨ一忠㎝.嚇ω魯零巽Ngび㊦茜霞り↓竃寄o露①30︷き. 国o簿琶。 。るΦ§き○選oω窪自8頃三g一〇戯o。。為富守覧o一馨一〇昌o協閃o惹讐富びg冨OΦ§餌昌︵一三。還豊o”巴富び03曲8. 。ユ牢程魯Φg一も浮簡巴什旨一留議鼠讐・嚇 ↓。g毒㎎ゆ無<&9。轟窪︵ω息。崔①鎖&竃R昌国ま凝︶一露q●⋮d艮&ω聾Φω︿蝕9. 墨諾9。議9曽&一くざU88携o=嘗鋤琶ざ↓ゲΦω8曙。協夢ΦZ9。筥竃a一8一9首Φω矯一虐O●旧国8。りω一gω。一ぴω薮。a鶴&. 、. 説 論.

(9) ナチスドイツの安楽死思想(宮野). 早芭ω9≦貰9旨ぎ巴ω噂おお二ρご毛即εo旨ω9↓﹃芭ω9ゑ賃9ぎぎ巴ω”這お”蜀冨名菊83班ohギ芭ω鼠≦震 9冒冒巴ω﹂Oお”昼萄巧勾80暮ωo騰爵芭ωo団名貰9ぎ日巴の﹂罐O。.   =●国響冨鼠“野け冨壼路¢且く震艮9g畠︾ピΦげ窪ω琶蓄旨魯︽いΦぴ窪の℃ご①q●⋮国・国o讐罫UΦ﹃ωωーω欝欝㎝︾鼠一。︸一〇鐘●引. U●ω。旨oΦ留擁匂琶ぎ一逡㊤。w男●曽。ぎgU霞固俳号¢睾署。醇暮oω︸一逡㎝●騨国●U蝕。凝鐵げ。ンU霞震増。貯&ω。ぽ国仙堕お㎝㎝。︸. 国。男o巨R︵属段慧ωoQ魯R︶燭︾騨5一一。等〇三Φヨ。α。ωピ¢げ窪ωω3暮N8α段畠臼。幻。。騨ω。包目轟。ω什且一窪q鼠切。膏窪。α・. 惹30一.︾訂α。且①一﹂W鎚Φ言出①騨Nq㍉8ε国出器ρOげ﹃●<●︵頃Rき招ΦぴR︶︸国奉昌鵬①冨畠ΦU。ざヨ①鷺ΦN貰国﹃目o鼠琶㎎αg. ㌔嘗Φ蓉舞寄欝ぎ旨..彦§α霞途什一〇器一のo﹄曽一帥毘ω9窪鵠R同ω魯帥津帥ロα窪樹窪窪一。ω。1お轟一。。僻ふ中頃oぎ一蓋︾9。寄−. 。農Φ一ω。訂Φま9一8ピ噌国。寄彗N矯ピ魯窪ω<段艮。算§鵬§αピ①げ象ω壽拝ぎるΦ馨ω9読ヰ母国の9。眺導●︾ωεぼ一一8。引峯. い。まぼ餌民︵国R窪ωαqΦび段︶とB島o置。霧9Φ貰8窪①α段O。韓。ωぼ帥爵。員一逡9︾●蜜凶3畠。二凶畠きα悶.峯Φ蜀9目①島魁昌oぎo. 竃①霧g一一。算。登宰嘗諏ξ訂●冨昏山浮Bび償茜弘。8。⋮頃匙8ざ§鋤言℃切且αqΦωO①ω昏﹂霧.咽=・Z。島g導昌喜①国藻ぎ. 醗。。●蕃§琶αo①響の。冨誉凶昌ら馨ぎ鼠。琶αoΦωΦ一一ω。鼠け︵浮§ωひq。びΦコ宰旨琶丁9。。ひqあ§けΦ︶お㎝。。∴コ2。爵甲. 目p§菖汐。望。ヨα80昌毘窪8審ω&R血Rω轟げωゲ謀。kも亀。ダ鵠話。一ρ一。どおωご9①p甲く帥p穿き鴨房。冨国畦ぎ. G ・咽︾.匹m善ー出巴甲 臣.一F肝霧一鳶●“ρo。げ馨℃国ぎ響ぎ閃N§2辞暮。茜R浮N§言Φ筍忌§。﹃馨α●譲ω。ぼ●一§﹄ら。。。。. Φ§§倉g・ぎ什§鵬O。一器葵壁艮RぎuΦ暮の&§9一逡。。。嚇O●N臣鱒孚Rb暮冨葛ω陣。、.℃頃。9冨且食ωω刈㍉。お\朝。。咽国。. 菊a①冨さ︼W署跨蒔§閃山R<。お§㎎①曽葺巴ω︾急鴨び①αR冒ωけ昼]Z。︸≦‘お。倉出。壽。且“uR↓o琶凶貯畳ωヨ湯輸ω。且①学. 。轟o嘗o登一〇ωω 身8犀きFb窪匡o轟け..噂=Φ津ωo。噂一〇qご団●蜜窪以昌ユ鵠●年窪ω艮。ぎUΦ暮ω9000ω。露o犀①αΦり冒凝曾窪<①お9. 1一〇轟ご㎝O∴UR汐o器ωωoq。oq窪臼o=窪冥貯剛Φoqω<忠耳Φ畠R︿9山Φ旨同三①旨蝕8巴窪嵩筐鼠茜。ユ。耳ωぎニロ乞麟旨げ。楯<o旨. 罫2。<。旨げΦじoホ募一●O犀。ぴ。=逡①。2薗言げ。品一。囑1お評呂一−奏諏翼。冥。器ωω㌔﹃。8ぎF蜜ヨび。茜霊一=●ω一盲琶鵯寒. 08ぎ一一。dB牙8犀言ぎωけ一9焦宥NΦ一薦⑦ωo獣o窪o竃警魯窪●るoざBo旨①αΦ賊UΦ暮ω魯窪勺o一陣爵出Rき茜o鵬①びg<8℃●竃。一Rー. 頃。馨①畠窪ω鼠9び舞旨㊦一86ぎp︾●評一aユo匿い頃α●ど望Φ器ぎ話一ωoN芭一ω器魯o勾①<〇一暮一畠●おωω︸凶︾急ごお巽●義●9拐8. 一127一.

(10) 説. 論. 評ωU葺s短8Fぎの冥q魯§自≦凶邑8算。一江8一.幾。国注葡圏ω什①導芭一。浮且一§αq窪ぎωひ段3。算9。風一一。算Φ艮。臣の一8. ぎ臣9富α霞霧ぎ8喜一。︿窪囚辞こ器需声這鋒為﹃遷9ω。翻9①き鉾ーω。N向葺試ま馨首国8霞Φ箆幕円幻8算ω質8ど畠. §儀勾。。犀ω一Φ鐸9窯。轟酔ωω。ぼ一臣二辞U。5ω畠。の寄9汁﹂魯薦ト浮協叶ρお㎝ε閑●冒。犀魯玲ρ↓窪毒αq窪窪の。轟亀ω9窪. O感且露信鼠きの野昏弩婁①讐麟&。p甘冨什一の。冨国§儀ω9き﹂鎖ぴ茜鋤凝這舞嚇↓冨o冨凝矯NロB︾艮ω緯黛冒。卑gω犀9. ↓αε澱貰ω①轟豊ω9窪9薗&窪募儀窪の国暮訂醤ω一①讐冒α。員︸琶aω畠①菊巷低ω。富F冒寓αqき磯奮ω・菊・u磐辱8ω犀9 209g巴ω§旨↓冨BP国暮げき器一ρ冒ユω鼠ω畠o男信ロ房9き﹂魯おきΦq一〇㎝鯉.  菊亀3。且9毘Φω㌔窪亨。口匿幕葺①ピ、曽浮弩鼠Φ﹂。㎝q●嚇ω巨8①勺Φ一一&gUΦ一、。暮訂葛ω一巴、o附9。夢き琶。Φ二”身ω誓,. き鼠ρ勾Φ毒Φぎ8ヨ蝕o葛一。OΦU8客勺曾帥一.野一一。§α巴、匿の8一駐。口H糞Φ毎壁。琶。留穿。津℃曾巴樋器︾馨αρ一〇餌Z図.                                              ゆ              の. ー。。∴国①自圃ω①器∬ピΦ勺3三αヨ。ユ①冨竃o旨窓吋空濠.寄毒Φα①騨o一け勺曾巴gαΦ9言酵o一。ひqす昌Φ馨?霞o一ω識ヨ。聾泳①. ︵お縄1お器︶20●一〇冒旨g一〇㎝o o●“いωo信導巴リピ①の冒αqo琴。旨ω含↓ユ言轟一巨一冨冨帥目曾一8ぎα02貫oヨびR騨寄毒oαo. 。寓巴一〇蜜 U8評勺曾巴①けαΦ9ぎ50一〇臓o●霞①旨凶ΦBo彗泳o︵一〇おー㎝O︶Zo●o. ニ ヒトラーの安楽死計画の実態.  ヒトラー︵国三R︶は、一九三九年一〇月の終り頃に、同年九月一日の開戦︵楚軟諜︶の日に日付を記入せずに発した秘. 密命令に署名し、 勾①一。冨一舞霞切o昌一Rと医師民毘切壁且什博士に、とくに指名した医師に対し、つぎのことをなす非常. に広汎な権限を委任する責任を課した。すなわち、それは、指定の医師にはその権限を拡大して人智のおよぶ範囲内のも. 一.

(11) ナチスドイツの安楽死思想(宮野). っとも厳密な標準にもとづき、人道的裁量︵B窪8臣9①B騨ヨ鵠、①ロ︶の上、その病気が危険な状態に達したと判断され. る場合には、不治の精神病者に対して﹁情の死﹂ ︵O葛3筥a︶をあたえることを許すというものであった。 この秘密命.                                              でレ. 富口国暮富醤路鷺品轟旨ヨ︶と称せられるものである。この安楽死計画もヒトラーの数多くの闘争計画の中の一つの目標であ. 令による不治の精神病者の殺害計画が、ヒトラーのいわゆる﹁安楽死計画﹂ ︵田膏﹃.の①暮富醤の一帥b.品.鋤日目①”国三R$                     ハ ズ ロ. った。.  この計画を遂行するための前記の秘密命令にもとづいて、一九三九年から一九四一年にかけて秘密裡に大規模な範囲内. で、このうちとくに少数のものに対しては、病人またはその親族のものの意思とはまったく無関係に、なんら尋問するこ. となく、精神病院に入院中の患者に対し﹁情の一刺﹂が与えられた。病人の選択や輸送の際におけるひどい粗雑な取り扱.                           ︵4︶︵5︶︵6︶. い方、目につく死亡広告、後見人との間の法律上の争い、あるいは殺人のかどでの告訴などの諸事実によって、計画の具. 体的な内容が暴露され、真相の一部が明るみに出されるに及んで、広範囲にわたる国民の間に非常な憤激がおこった。. ︵蒔齢離︶ことに、有力な教会指導者たちは、身に加えられる脅迫行為をもかえりみずに勇敢に非難の声をあげた。すな. わち、教会や僧正︵空警ε︶たち、ことにぽBげ弩9亀や蜜琶圃畠︵鱗勝難.伽、鞠筋鞘︶の僧正たちは、ナチスのやり方に強い反. 対の態度を示した。かれらは、この人間の権利を無視して医学の主権をうちたてた強制命令に正式の非難を加えた。. ︵勝影講塾鈎%甑診醐齢儲蟹鋸U︶ヒトラーが最高の権力を握っていた当時の一九四〇年に、ローマ教皇庁の司教会︵醤。O。昌㎎賊。,. 鵯江呂鉱些①国oぞ。曲8︶は、つぎのような質問に公式の回答をなすよう促がされた。.  ﹁死にあたいするような犯罪をなんら犯していないにもかかわらず、それでもなお、精神的ならびに肉体的欠陥のため. に国家に対してなにもできず、かえって国家には負担となり、また国の勢力や強さには障害となるであろうとおもわれる. 人々を、公の機関からの命令にもとづいて直接殺害することは、許されるであろうか。﹂︵蟹曙鰍艶密醐源海。器雛︶. 一129一.

(12) 説 論.  右の点については、信仰や道徳に関する保護問題の係りを担当していた著名な枢機卿たちは、閑。<。器且o。霧葺。おの. 意見を問いただした後に、同年晶一月二七日の揖ーマ教皇庁の最高司教会総会において、つぎのような回答をなすことに. 決定した。﹁かような行為は、自然法にも教会法にも反するので是認せられない。﹂︵鱒銅。鷲轟︶教皇ピオコ一世︵霊島図ε. は、右の回答を認証し、同年一二月一日に、それを公布するよう命じた。そして、翌噌二月二日に、・Lマにおいて教 皇庁からの公式の回答が伝達された。.               ︵7︶︵8︾.  この恐るべき計画の実施が進行するにつれて、それに憤激して反抗する世論の力が確実な足どりをもって次第に強固に. なってゆき、ついには、司法省までもが介入するに至った。その結果、さすがのヒトラーも戦時中とはいえ法律にょって. 自己の行動をみとめることをあえてしないで、一歩後退し行為を主宰するよう委託した騨鋤且貯博士に、 一九四一年八月. の口頭の命令でこの計画を一時中止するよう指示した。律智討齢財渚餌㎡麟特餓函麗段獣顯鯵鰹瞬即甜−剛糖穿霧︸したがって、秘. 密命令にもとづく安楽死計画は、事実上はその一部分のみ実現をみたにすぎなかった。しかし、その後も小規模ながら計. 画は続行され、ことに精神病の子供に対し殺害行為が継続してなされたばかりでなく、ユダヤ人または半ユダヤ人の健康. な子供に対しても行なわれた。さらに、最終的には強制収容所内の精神病の囚人、ことにユダヤ人の囚人に対しても行な われるようになった。︵寸野筋即翻黙︶.  不治の精神病者を主たる対象におくナチスドイッのこの驚くべき安楽死計画の遂行の事実については、今日、世界的に. ひろく知れわたっている。実施の詳細については、今は右に述べたこと以上に触れないことにする。いずれにせよ、個人. 、ではなく国家が殺人の主体となって登場するという通常の理解を超越した信じ難い事態が現出されたのであった。ここに. おいてわれわれは、かような社会的、政治的現象の生起するに至った原因を徹底的に追求しなければならないのである. が、その前に、かような事実のその後の状況につきもう少し触れておかねばならないであろう。. 一130一.

(13) ナチスドイツの安楽死思想(宮野).  ヒトラーの総統としての命令によるものとはいえ、その根拠が公式に発布された法律にもとづくものではなく、しか. も、その内容が明自に人倫にもとるものである以上、行為に加担したもの︵廉に︶の刑事上の責任が間われることは当然. のことといえよう。この点については、行為者は大戦終了後ニュルンベルクのアメリヵの軍事法廷の﹁医師に関する訴訟﹂. ︵U霞財醤8鷺自&またはUR2麟旨げ①茜角財冒富冥o需奪︶ ︵慾勲.勤、♂訴畢瀧講塾稠鎚贈翻緬既瞭畝範翫賄暇賄識鞠騨鰍桑.鮮︶において、. ﹁人道に対する罪﹂ ︵<醇ぼ。9窪ひq罐象象。鼠。βω魯浮算。δにあたるとして弾劾され、また、ドイッの裁判所において. は、殺人罪として起訴され、審理︵騨窮滅溝。・︶がなされた。.  一九四七年八月一二目のフランクフルト高等裁判所︵OピO宰き箆ロ邑の詳細で徹底した判決は、生きる価値のない生                         ハ レ 命の殺害は、原則として謀殺︵鼠。議︶であると判断した。︵刑譜︶ また、一九四九年三月五日と同年七月≡二日のイギリ. ス地区最高裁判所︵OO頃冒α霞ぼ三の9窪No諾︶の判決も、病院における殺害の一般的な法律上の判断については、フ. ランクフルトの判決と同じ見解をとっていた。ヒトラ!のなした犯罪の倫理的側面を徹底的に追及した三月五日のイギリ.                    ︵10︶. ス地区最高裁判所の判決は、つぎのごとき見解を示している。.                            ハかヤ.  ﹁ある人々およびある人々の集団に対する国家社会主義国家の侮蔑は、眩惑的な思想に根ざしていた。それは、西洋の. 文化圏の道徳的および法律的見解と意識的に対立していた。この意識的な背離は、医師を重大と考えられる集団犯罪へと. かりたてていったのである。ことに、それは、人間の道徳的品位および礼節のある人間性と一般に相反するような方向へ と進むように特徴づけられていた。﹂︵鍾論飴.験就堺︶.  さらに、一九四六年八月二四日の高等法院の判例 ︵憩霜.。・準。陥撫酪開.顯.訂しも、生きる価値のない生命の鍛滅は謀殺であ. 一131一. 二.

(14) 説 論. る、 と 述 べ て い る 。 ︵ 麗 謁 ㎎ 。 曙 。 器 姥 繋 ㌔ 瀞 じ.  ところで、精神病者などに対する殺害行為の当否の直接的な検討のほかに、法律上は、なおつぎの二点につき考察を加. えなければならない。その一は、︵彫驕諮︶ ヒトラーの安楽死命令の国法上の適格性の有無についての審査をなすこと、. およびその二は、医師を主とする行為の関係者の刑事責任を判断する際に、特殊事情を勘案して、責任を阻却する超法. 規的緊急避難の法理の適用の有無が考えられなければならないことである。後者は、義務の衝突︵℃臣98爵呂葱自・良.                                  ︵12︶. 心の葛藤︶ の︸つの場合に相当する。 つまり、精神病者殺害の命令に服従せざるをえなくなった精神病院の医師たちが、. かれらに託された病人の一部を殺害することによって、他の大部分の病人の生命を救うことが可能となる場合である。こ. の際、もしも医師たちがすべての協力を拒否するならば、病人は、他の従順な医師たちによってその生命がすべて奪われ. てしまうという事情にあった。法律的には、行為者またはその親族の生命、身体が危難にさらされているのではなく、他. 人の生命、身体が危難に遭遇しているときに、行為者がある程度の道義的な責任を負わなければ回避しえないような義務. の衝突する場合が問題となるのである。しかし、以上の点は本稿においてとりあげる間題と性質が著しく異なり、ここで.  なお、この種の事件の主役を演じた医師の実情については、O・墜凝の報告が詳しい。かれは、ナチスドイッのおこな. 詳細に論述するのは適切でないので、割愛する。                                      ︵13︶. ったこの事件を研究するにあたり、安楽死の処置︵国暮訂墨路,︾霊8︶に関し多数の医師と会見し、意見の交換をなした. 結果、つぎのごとき結論を得るに至った。 ﹁ドイッの医師の圧倒的多数の人々、とくに精神病院の医師は、生きる価値の. ない生命の殺害を拒絶していたのであった、ということを確信するようになった。﹂かれはまた、﹁実際にそのような行為. に関係した医師の数は、ごく僅かで、その計画や実行には第一流の専門家はタッチしていなかった。それどころか、積極. 的にせよ消極的にであれ抵抗する態度を示していた。また、多数の管理者や医師︵治療病院や保護施設の︶は、一九三九年. 九月一日付の安楽死に対する総統命令の実行には反対していた。それで、どうしてもそうせざるをえないようになった医. 一132一.

(15) ナチスドイツの安楽死思想(宮野). 師はごく内密におこなっていた﹂ということを強調している。. ︵1︶国際軍事法廷議事録、︵嬰務い離距働謁ウ︶ ・ナチスの時代︵邸似卿︶岩波新書二九六二年・一四七頁参照、刑法雑誌二巻一号︵糊闇.  ゆ軸濾︶一九五一年二九一頁参照、<αq一馬昌讐8F勲欝ρやN↑譲臨ぎ一Bω鎧段は、この一九三九年九月一日付のヒトラーの政令︵螂始.  臨鵬猪紛搬曙︶は﹁誤った権利﹂︵“畦8算蒔8因8算︶を提出したものである、と述べている。︵露働..伽.〆絶簿.魏鞭触.鵠﹁。ザ.。。、︶なお、この.  安楽死計画の実施につき、O①旨震山ωぎω睾は、本文とやや異なった説明の仕方をしている。すなわち、﹁これは、第二次世界大戦の間に.  公布された法律に依拠しておこなわれたものでないのみならず、秘密裡のうちに、一九四〇年八月二七日のギュルトナー司法大臣に委ね.  られた、戦争勃発の日に日付を実際よりも前に戻したいわゆる﹃総統命令﹄︵閏麟ぼ段ぎ富窪ω︶によって行なわれたものであった。﹂.  ︵號蹉鱒諄ボ瀞器竈罷鴻Ψ。,禰器一。.囎犯。騨転越ボ雛町︶また、2四αq一R−ωo富9Rは、﹁いわゆる医師裁判において多く扱われた一九三九年九月一.  日の秘密命令の中には、法律上の根拠は示されていなかった、﹂という。︵謳艶姻晶離.鴎雛脳器嬬麗醐雛鞭一轟.鰭。墾額讐.。い嶋鵠蹄諸略。額悔.鴨. 踏論%艶戦︶. ︵2︶この精神的ならびに肉体的に劣等なものに対する組織的に計画された撲滅政策または絶滅政策は、ヒトラーがすでに大戦の数年前.  から綿密にねっていたもので︵魍沌.噌蕪蜀︶その実施については、かれは、平時ならば教会側からの強い抵抗が予想されるであろうが、  戦時ならば円滑に摩擦なく実行できるものと考えていた。︵礪師臓判爺購裕照、粛瑚蹄魏駆︶. ︵3︶一九三五年に、国餌ユ卑§脅とOΦ審旨巽o磐Rは、かれらの製作した﹁H9竃甜o弩﹂ ︵または一わ8霧o︶という映画をナ.  チスの祝典のときに初公開した。不治の疾病に苦悩している子供の真に悲惨な情況をあますとこなく描写したこの映画は、腕曲的に.  ﹁慈悲死﹂︵↓&。詔暴号︶︵誘號踊勧醜︶と呼ばれたこの安楽死計画を実行する上に賛成の力強い口実を与えた。︵想o働貯駿蘇ビ嘱総額鱒鎚ゆ 蠕評、蛙酪騙箆醐.器偽 . 凶 鐘 噌 詣 響 ゐ 一 溜 一 げ 融 髄 。 影 ︶. ︵4︶<oqピ曽ひR一ω。ダω﹄跨窯諺魯&一9§山憲Φ豪。℃ご器9算9。梓q巽蜜8ω9①β<。轟畠ε凝り一逡ざωω●一81一G。蒔り. 一133一.

(16) 説 論. ︵5︶ドイッ国内の病院は、五年以上病床に臥して働くことのでぎなくなっている病人の氏名を提出するよう求められた。︵ψΩ㍗羅.、脚静騨. 麗射齢。曽翫解鮎酔鋸雛裾.剛鶴哨︶また、 ﹁死の権利﹂ ︵↓冨ユoq窪ε儀89︶を確立することを目的として指令された﹁質問表﹂︵書8戯o−. 糞鉱お︶には、病人の氏名、年令および病名が記入されることになっていた。ある医師は、この質間表に対する回答を、 一九四〇年一. 嚇月一四日より一二月一目までの間に、二、一〇九通作成したといわれている。なお、死を確保するために用いられた方法は、餓死とい う最も自然的で簡単なものであったという。︵齢獣騎踊避婿蝿囎︶. ︵6︶アリアソ︵︾qきω︶人種でないもの、 主としてユダヤ人に対するジェノサイド︵民族殺・O窪8箆①︶とはまったく別に、この. 安楽死計画にもとづいて、二七五、○○○人もの人間が殺害された。かような殺害における被害者は、おもに、精神的欠陥者、精神病. 者、癩痢症患者、老人病患者、および小児麻痺、パーキソソン症候群︵評詩冒8鉱ω導︶または脳腫瘍といったような、さまざまの器官. ︵絵離、護墾㍗.鰐簿軌齢取輪バ璃灘騨顎罷.露驚襲.発調.箭。噛ぎ門甲融駄竈融覧.難緊碑魏鮨器.鮮潔擁一一擁.墾蜀醤滋瀞。鵬雛肱簾.即. 的、神経的な病気に罹っているものなどであった。 かように、回復の見込みのないものと労働能力のないものは、すべて殺害された。                                                            ﹃. 駅甲酔晦評。曽顯σ①バ醜一器−︶.  なお、一九四一年八月までに、当時のナチスの計算によれば、主として精神病患老七〇、二七三名が、特別の施設内でガスその他の. 手段によって殺されたといわれている。 さらに、かような殺害によって、国費の節約が、八億八、五四三万九、八OOライヒスマルク. に達したことも、その計算には明記されていた。︵曜訓彰號㈱嗣躁靱即貌聯︶ このほか殺害の実際について、OR富こooぎの9は、ナチ. スドイッ時代に、病院の医師は、八○、○○○名もの精神病者を注射によって死亡せしめたと報告している。︵魍騨ガ酌甑醜騨遭鐘蝿び発︶. ︵7︶OhO●国Φξ︸oマ。F㌘一§U9.鱒一。お国.ρUΦRΦ90騨。9窪ぎ㎎o泣琶。8旨℃Φ誘o霧90&Ro協些①讐霞o欝夢oユな 凶の8昌霞帥蔓ε90昌讐霞薗=鋤多1︾︾ρ認”㎝㎝ω●OピUh”8●. ︵8︶この一九四〇年の・ーマ教皇庁の回答後、三年とたたない一九四三年六月二九日に、教皇ピオ一二世︵惣島図εは、﹁キリストの. 神秘体﹂︵↓富竃器怠8一ωo身90箒馨︶と題する回勅の中で、再び同じ間題をとりあげた。つぎのようにいう。. 一134一.

(17) ナチスドイツの安楽死思想(宮野).  ﹁もしも、信者たちが、かたい信仰心をもって一生懸命生きようとするならば、かれらは、救世主の中で比較的高貴な人々、 とくに. キリストの命令にしたがってわれわれの霊魂について語ってくれる人々に対し、相当の敬意と尊敬の念を払わなければならない。 そう. すれば、かれらは、同時に救世主キリストの特別の愛情の対象になっている人々、たとえば、弱い人、傷ついた人、母性的あるいは精. 神的な助けを必要とする病人、無知のために現代ではたやすく危険にさらされ、 またその心を思いのまま形作ることのできる純真な子. 供、および貧しい人︵窃齢篠槁鰯場霧第協魏砿控都れ︶にも深く心を寄せることになろう。なぜならば、使徒が正しい根拠にもとづ. いて、われわれに、つぎのような訓戒を与えるからである。﹃主の中の比較的弱いとおもわれるこれらの多くの人々は、一層避け難いも. のである。われわれはこれらの人々を主の中であまり敬意の払われない人々であると考えている。これらの人々については、われわれ. は、より多く敬意を示すようにしなければならない。﹄教皇庁の職責を認識するならば、たとえその身が社会にとって無益で重荷であっ. たとしても、われわれは、ときおり深い悲しみをもって、不具者や精神異常者や致命的な遺伝病に罹っている者を知るときには、今日、. この重大な声明を繰返す必要があると考えている。この処置︵離齢騒罰備肋臆ゆ︶は、人間の進歩のあらわれとして、また、一般の善行とま. ったく一致するものとして、ある人々に歓迎されている。しかし、正常な判断力をもつものには、このことが、万人の心の中に描かれ. ている自然の法および神の法を侵害するだけでなく、人間の最も貴い本能をも犯すものであることに気がつかれないものであろうか。. より大きな同情を寄せられるにあたいするということで、救世主のすべての親愛の情を示されているこれらの不幸な被害者の血は、地. 上から神に向って哀願している。﹂︵窃3謬%縛紹、。贈ゴ鞄.寝。肺患.、娼嘱卜知翼鉱繭塑.耀晶卿聾敗獺麺饗麹泌鵠麹.剛礁罰醜噸銑㎝飛齪熟即2Ω≦ρ︶.  同様の趣旨のことは、その後、さらに繰返され、教皇ピオ一二世は、 一九五一年一〇月二九目のイタリアのカトリヅク助産婦協会会. 議のメンバーに対してなした講演︵願囎尉鋸調謹羅躰螺膳聴紬惣踏蠣旛に的恥斯牌曲誌誌ゆ吻誰験鳴騒対翫駆胸讃鯉蕩器%誕紛源騨甦凱稽︶の中でも、生き. る価値のない者を殺害することの許容されない旨を説いている。.  ﹁しばらく前にかなりおこなわれていた、 いわゆる﹃価値のない生命﹄︵毒言巴o器謀o︶と呼ばれた者に対する直接の殺害行為は、. 決して正しいものとはいえない。 したがって、これがおこなわれたときに、教会は、正式にそれは自然の法および神の法に反する行為. 一135一.

(18) 説 論. であると言明した。 それゆえに、罪はないが、肉体的あるいは精神的な障害のために国家に対し無用の存在となり、あまつさえ社会に. 負担をかけるものを殺害することは、たとえそれが公の機関の指令にもとづくものであっても違法である。 罪なきものの生命は、侵す. べからざるものである。 ︵↓富属①竃目ぎ88導どヨきげ①ぎ鵬諺言≦o一菩ざ︶それに対する直接の暴力や侵害は、すべてが安全. に社会生活を営めるようにと配慮してある基本法︵甘且mB①旨曽=鋤類ω︶を破るものである。﹂︵碧酔σ磐露一㌦驚謂騨晦露㈹騨齢融曙瞬酵臨? 炉賂露く籔わ錐導湘♂馬m卵団砲凄匪鯉昌轟麗聾蕾鱗靱許轟鍔甥勲。鰭鮫蚕鰭ロ...凶。ロ.︶. o魯この判決は、生命の無価値性のゆえにナチス政権より精神病者などを殺害す 。山夏8ダω㌻爵o ︵9︶呂N﹄逡凶8一艶目・︾旨旨・∼閃9. ることを許可された行為につぎ、それは、不治の病者に救助の手を差しのべるというよりは、 むしろ人権を無視した功利主義の意をむ. かえての殺人行為であると非難した。 ︵冒凝B㊦旨鼠浮ΦOユB冒鋤一9≦匹89浮o︾署色帥800畦什oh男β嘗盆鴬勲幹ト仁印q・. 一N矯一逡Nぎ些①8ωΦo騰U撃ω畠ヨ置ρωω旨\囑︸国曾げの霞一魯8島畠Φ閣馨ω畠①置§晦曾ーω貫鋒鶏90員①o。9ωoタ︵困o言P ωo霞一凱昌伊q︸U償α窪&。一譲o o●︶9●寓・ωゆ一くぼ鯨閃暮富醤ω一僧も。ωq①。︶. ︵10︶OO国ω倉切α●一︸ω。ω曽中‘bα.ρωレ嵩中.d旨●︿。9ω・一〇お︸呂N一濾Pω℃.認8舅,︸昌B。<,国び,ω畠ヨ置“呂Nし逡O︸ω℃。㎝㎝O庸. ︵11︶この判決は、また、つぎのことを自明のこととして宣言している。 ﹁どのように無益な人命であろうとも、他人︵それがどのよう. に有益なものであろうとも︶の利益のためあるいは多数の他人の利益のために犠牲にされてよいものではない。﹂︵冒畠ヨo糞亀爵o. ρぎ首巴U一≦ω一20団浮o︾署o一一暮ΦOog昌o︷窯旨の件Φぴ霞霞9μ一逡O場ぎ爵Φ8ωoo楠U噌。Fω鉾ωお\お︸ぎ一国馨の90一α−. 琶鵯昌8ωOびR曾窪Ooユo算昌oh①ω旨﹃象o一W葺一ω畠⑦Ngoぎω窪鉱ω8げ臼器ど一逡O●O賄出●ω馨言堕国仁9目器貫℃.ω零●. ︵12︶この点に関する文献を掲げておく。 齢彫恥ザ旗卿御諏 ・目的的行為論序説︵捌雛㌫縣︶昭和四〇年・一二二頁以下、甲ω晒ぞぎ鱒. 国9ず四昌”ω冨矯やω零9●ωoρ。⋮O●ω一ヨのo量ω●一額9脳頃●譲o冒o一一9U国●一〇お﹃ω。零一頃‘Nω什譲●一Wα●①ω︸ψ覧塗乙閏び。ω07讐置計. ≦Φ一NgO器露ま国鼠αoωω什﹃mヰg簿ω亀2Φ目ρ田記国ぎ霊黛¢昌αqぎ&Φ嘗巴o頃き色自昌鴨一①ぼρ 轟︾鼠ご一〇露。“=Φぎユ3. 呂N﹂濾Pωマ零o芦嚇勺Φ貯Rω℃匂犀おおψおoヌ嚇U震Oα葺鑛R霞圃<①邑鼠薔。津§堕N冒騨撃2き鼠巷α2づ嵩\蜀⋮舅. 一136_.

(19) ナチスドイツの安楽死思想(宮野). 国p傷博国箆ω酔gユ巴一Φ=9 。pα冨βゆQ窪一Bω賃鋒30犀レO紹。脚︾竃濤ω畠Φ議畠¢昌α閃憎’鍔陣①涛ρU器U評雷けα窪鼠o霧魯s<R鋤99昌鱒. 一逡8旧↓劉図一9零FU一①昌9ゆ鉾∼ωoの●国暮げm⇒器一〇一目田ざ諏o匡qR勾Φo鐸ω℃円09仁昌閃仁昌q菊o魯房一〇鰐o噂冒U菌 實寓αq﹂自ゆ津  ㎝口ΦqO︸ω﹄㎝o o宍. ︵B︶ρNまαq急び角図暮冨きω一〇藁︽出o魯冨&︾合冒ぼ叩一〇㎝Pωω.ωq一1ω輿. 三 ナチスドイツの世界観.  それでは、本稿における最も核心的な間題である、かような計画を実施するに至ったそもそもの原因は何か、につき考察. を進めてみることにしよう。とにかく、ナチスドイッ時代には、医学を含めて﹁有益なものは、正しい﹂︵毒富二の誘卑三. 冨﹃蒔窪︶というへーゲル流の功利的思想が、名状しがたい方法で国内に感染していたことは事実である。︵担襲齢蜘駿難鴫零. 錘。箆閃窪、︶ニュルンベルクの戦争犯罪裁判︵名巽9ぎ⑦ψ曾2宥旨Φお︶の際に、主任弁護人を務めたピ8≧①臣鼠忠博士                                             ︵ユ︶ は、大戦突入前後におけるドイッの医師の考え方ならびに動向につき、つぎのような観察をなしている。.  ﹁ナチス以前に、すでに宣伝の基本的な態度は、慢性の病人に対し伝統的な慈悲深い第一九世紀的態度をとることに反. 対し、功利的なへーゲル学派流の見解をとることに賛意を示していた。慢性の精神病者に対する断種と安楽死の間題は、. 一九三一年に、ババリアの精神病医の会合︵︾竃8ユ凝9浮く畳き勺昌9聾旨芭のとぎに討議された。一九三六年ごろ. になると、肉体的あるいは社会的に無価値なものに対する絶滅が、公然と認められるようになった。そして、その実施方. 法がドイッの医学雑誌の中で附随的に述べられるようになった。﹂﹁︵生きる価値のない生命の殺害︶このような犯罪が、最後. にはどのように拡大されていったとしても、はじめは、ごく小さな事柄から出発していたことは明らかである。当初、医. 一137一. 開.

(20) 説. 論. 師の基本的態度には、ただ強調の微妙な変化があった。そして、根本的には、安楽死の動ぎの中で、生ぎる価値のない生. 命というものが存在するという態度から出発した。医師が、このような刺戟を気持の上で充分に受けてしまったので、だ. んだんと少しずつ無限にそのような気持が浸透してゆき、これがついに、回復の絶望な病人に対する態度となった。われ. われが、徹底的に調査しなければならないのは、医師の態度におけるこの強調の微妙な変化である。﹂.  いわゆる安楽死とは別に、この生きる価値のない生命を否定するという考え方は、ナチス以前に立法問題の中にもあら                                             ︵2︶ われたことがあった。その一つが、一九〇六年のアメリカのアイオワ州におけるOづ9藷。蔓法である。この法案は、否. 決されたが、その内容は、単に不治の病人ばかりでなく、不具で白痴の子供にまで安楽死の適用を拡大していた。かよう                                               ︵3︶ な過去の事実を勘案しつつ、U2、︾8急且・審蜜盆a器のいらo暮霧は、つぎのような見解を示している。 ﹁ニュルン. ベルクの国際軍事法廷において非難を受けた安楽死の大規模な実施は、暗に、一九〇六年の最初のアメリカの安楽死法の. 批准の中に、すでにその思想の芽生えがみられる。ドイツのおこなったことは、アメリカの意図をはるかにこえて拡げら. れたが、それでも、根本的には、一九〇六年の法律の規定に含まれたところにしたがって発展させたにすぎない。それと. ともに、医師がつねに、苦痛に悩む者に対する安楽死から不治の病人に対する安楽死へ、および個人的安楽死から集団的. 安楽死へと通ずるこの危険な道を進むのを、どのような理由をもって阻止すべきであろうか。ひとたび各個人の生命の本. 源的な価値を重んじなくなったその瞬間から、不可避的に全人類の生命に対する侮蔑へと導いてゆくようになる坂を下っ てゆくことになるのではないだろうか。﹂.  たしかに、安楽死に関する立法問題の提起される際に、ある種の人間を対象とする非任意的安楽死の是非は、常に考慮. にのぼってくる。しかし、その場合にも、やはり被殺者本人ならびにその親族に対する配慮がまず考えられているといっ. ても過言ではないし、また当然、そうであるべきであろう。そういった意味において、やはり個人的事情は大きな比重を. 占めている。︵醗謬辮が の灘誘塞蹟諮欝瞭袈凪個︶ただ、任意的安楽死のほかに非任意的安楽死の領域まで適用の範囲を拡. 一一138一.

(21) ナチスドイッの安楽死思想(宮野). 大し、しかも、それに賛意を示すものがいるといった事実は、この問題を考察する上において、気持の上で他に与える影 響は大きいであろう。.  すでにみたように、ビソディソグらの考え方の基本は、財政上の負担の増大の強調を主に、それに、看護上の労力的負. 担を免れたいという理由を附加的に主張したものであった。それでは、ナチスドイッにおける安楽死思想もまったく同じ. ような発意にもとずいているのであろうか。それに関しては、当時の政治的事情を度外視しては、真の原因をみい出すこ とはできないのではないだろうか。.  ナチスドイッ時代には、極端な全体主義政治体制がとられ、民主々義、自由主義思想に対立するものとして指導者思想. が醸成され、指導者国家が標榜せられた。その結果、すべての権力は、ただ一人の指導者であるヒトラーが掌握したので. ある。かような意味において、−ナチスドイッの世界観を知る上においては、まず、ヒトラーの個人的な考え方を究明しな. ければ、間題の本質に触れることはでぎないであろう。その手懸りを与えるものにかれの有名な著書である﹁わが闘争﹂. ︵蜜。ぽ欝目駄︶がある。その中で、かれはこの間題に関係ある事柄につき、つぎのように述べている。︵匿繕諺襲鐵蘇.                                               ︵4︶. 研認挺諮騰舞肇驚惣餓雛鰐灘難騰融鞭舗騒瑚題︶.   ﹁世界中には、いろいろの人種が存在し、その人数も非常に多い。しかし、この中で真に文化的な創造能力をそなえた優秀な民族はごく.  わずかである。 人類も太古の動物と同じように自己保存に必要な武器を発明する特定の精神的能力を欠くならば、やがて滅亡の一途を.  たどることになろう。 今仮に、地球に一大異変がおこって、地上の国家がまったく壊滅してしまったと仮定した場合、もしもこのとき.  に、一定の文化的創造力を具備した人種がわずかでも生き残るならば、長期間かかって混乱がおさまった後には、 やがて地上に再び人.  間の創造力の証明があらわれることになろう。 しかし、文化的創造力をもった人類の最後の一人が姿を消してしまうならば、地球は永.  遠に荒廃してしまうであろう。したがって、国家は、文化的創造力をもった人種を絶やさないように確保しなければならない。.   一般に、文化的創造力を与えられた人種は、その素質を現実的に発揮することが外的環境によって阻止されたとしても、潜在的には、. 一139一.

(22) 説 論. その有用性を自己の内に秘めているために、機会があれば、 いつでもその能力は顕在化される。 このすばらしい創造的な文化形成能力. は、本来、アリアン人種のみに授けられたものであり、この能力が眠ったままでおかれるか、 あるいは上手に活用されるかは、すべて. 環境のいかんによる。われわれドイッ民族は、 アリアン人種に属するものとして、ただ民族の維持だけでなく、その精神的理念的能力. をより一層育成することによって最高の自由にまで導く、民族の生き生ぎとした有機体を考えなければならない。 地球上に国家は多数. 存在するけれども、 文化を担っているアリアソ人種が死滅するならば、今日の最も優秀な民族の精神的塗口同さにふさわしい最盲同の文化 は存在しえないのである。.  かようなわけで、国家の存在目的は、ただこの文化を形成する能力をもつ人種を維持することだけにある。 国家自身は、一定の文化. 的な高さを創造しうるものではない。 国家の任務は、文化的能力を作り出すことではなく、現在ある能力を自由にのばすソ︸とができる. ようにすることである。換言すれば、国家は、文化的創造力をもった人間の共同社会において、 その能力を肉体的にも精神的にも維持. る。すなわち、肉体的生活を維持し、精神的な発展を促すことである。 国家はウツワで、人種は中味である。民族主義国家の星口同の目. し助成することである。これは、人種の中に眠っているあらゆる能力をひき出して、 これを自由に無限に発展させることであるといえ. 文化的創造力に欠ける人種によって形成されたとするならば、このような国家は、やがて没落の運命をたどることになろう。. 標は、文化の供給者として、より高い人類の美と品位を作り出す人種的元素の維持に心掛けることである。しかしもしも、国家の中味が.  ところで・国家がどんなに文化的に高くても人種的に複合されていて、文化の担い手を没落に導くならば、 その国家は、劣等な国家. といえる・人種というものは、その純粋性が保たれてこそはじめてその文化が最口同度に発揮されるのである。純粋種と雑種を比較した. 場合・後者はどんなに努力し、またその能力のかぎりをつくしたとしても、とうてい前者にはかなわない。雑種は、人種的低下をまね. くものであるし・自然は雑種を好まない。雑交のくりかえしによって生まれた新人種は、その精神的文化的な創造能力の点で劣るため. に・より優れた混血しない人種には勝ち目はない。もともと、自然は、雑種の生殖の可能性を制限し、自然の矯正をおこなうために、 雑種は繁殖を妨げられて、やがて死滅するにいたる。.  たしかに、民族的結束が要求される危機の際には、人種的な統一がなされていれば、正しい判断がでぎるが、 人種的に分裂していれ. 一140一.

(23) ナチスドイツの安楽死思想(宮野). ば、不安定で中途半端な処置しかとれない。単一の血がないときには、国家の緊急の際に共通の敵にたちむかう確固たる群集本能に欠. けることになる。このようなことは確実に不利益であるし、民族は実際に急速に没落することになってしまう。 とにかく、民族主義国 家は、人種の純粋性の保持のための配慮をしなければならない。.   それではアリアソ人種に属するドイッ民族は、これまでその純粋性を保ってきたであろうか。 残念ながらドイッ民族は、統︸的な人. 種的中核を基礎としていなかった。 これまでの種々の人種の構成要素が融合する過程において、かような新しい純粋種が作られるとい.  うところまでいっていない。 三〇年戦争︵一六一八;一六四八年︶以後、ドイッ民族が直面した血の害毒は、血の分解を導いただけで.  なく・その精神までも解体に導いた。 したがって、国家の危急の際には、一つにまとまらず四分五裂していた。これまで、血の単一な. 民族がなかったということが、ドイッ民族を名状しがたい苦難におとしいれていたのである。 今日でもドイッ民族は、内部分裂に悩ん  でいる。.   しかし、幸いなことには、ドイッ民族は、人種構成の要素の上で、完全な混血がなされておらず、 われわれの最良の血が一部分でも. 純粋に保たれていて、人種的低下を免れていたことは不幸中の幸いであった。そして、混血しないで残されていたものが、将来におい.  てもっとも価値のある宝物をうみ出す北ゲルマン系の入々であったことは、非常に喜ばしいことである。.   ドイツ民族の使命は、ドイッ民族の中に存在する全人類のもっとも貴重な無傷で残っている構成要素を維持し、促進することを最高.  の課題とするような国家を形成することである。また、国家としてのドイッは、 民族の中から人種的元素のうちのもっとも価値のある.  部分を集めて維持し、これを徐々に、確実に世界における支配的地位につきうるように導くことである。﹂.  ヒトラーは、以上のように考えて、ドイッ民族の血の純粋性を作り出し、これを保持するために、まず第一に、ドイツ. 民族と他民族との混合とくにユダヤ人との混合を禁止するようにし、さらに第二として、ドイッ民族内にある劣等分子を. 排除することを計画したのである。そして、このようなドイッ純粋民族を作ることは、ドイッ国民の中から選ばれたかれ. ら少数の闘争者に課せられた宿命であると観念する。したがって、大衆を啓蒙して、ドイッ民族の優秀性をたたき.︺み、. 人種の上での雑種化を徹底的に排斥しようと目論む。このうち、第一のドイッ民族と他民族との混合禁止政策が、実践に. 一141一.

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