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根本 利通 著『スワヒリ世界をつくった「海の市民たち」』(資料紹介)

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Academic year: 2021

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根本 利通 著『スワヒリ世界をつくった「海の市民

たち」』(資料紹介)

著者

牧野 久美子

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アフリカレポート

59

ページ

27-27

発行年

2021-03

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00052050

(2)

27 アフリカレポート 2021 年 No.59 Ⓒ IDE-JETRO 2021

スワヒリ世界をつくった「海の市民たち」

根本 利通 著 京都 昭和堂 2020 年 ix+253 p. 著者の根本利通氏は、当初は留学生として、のちには旅行会社の経営者として、2017 年に急逝 するまでの30 年以上の長きにわたり、タンザニアに暮らしていた。留学先として著者が欧米の大 学ではなくダルエスサラーム大学の大学院を選んだのは、アフリカ史をアフリカで学びたいとい う強い思いからであった。大学院を中退したのちも、著者は旅行業で生計を立てながら、在野の アフリカ史研究者として、東アフリカから見たインド洋西域史を探究すべく、歴史書を読み、イ ンド洋を行き交いスワヒリ世界を形づくった「海の市民たち」の足跡をたどる旅を重ねていた。 全5 章、18 話からなる本書の大部分は、そうした旅の記録に基づいている。 旅の目的地は、東アフリカの沿岸部や沖合の島々、そしてインド洋を北上した先のアラビア半 島オマーンにまで及ぶ。必ずしも保存状態がよいとはいえない数々の遺跡を訪れ、著者はかつて そこで営まれていた人びとの暮らしや交易の様子に、書物からの知識と照らし合わせながら想像 をめぐらせる。旅のなかで著者が出会った、現代においてその地に生きる人びととの率直な会話 や交流の内容も、本書には多く記されている。再訪となる旅では、前回訪問時からの変化や、観 光業も含めた新たな開発の動きなども描かれる。現代、数年から数十年前、さらには数世紀前と いう異なる時空を著者の筆は自在に行き来するが、アフリカの外部からではなく内側からの視点、 そしてインド洋を「隔てるものとしてではなく、結びつけるものとして」(p.11)とらえる世界観 が一貫して保たれる。 市民運動にも深く関わっていた著者は、日本とアフリカの一方的・搾取的な関係を変えようと、 日本とタンザニアの人びとの双方向の交流を目的とする「オルタナティブツアー(AT)」を 1986 年からほぼ毎年実施してきた。調査旅行の手配などで著者にお世話になった研究者や大学院生も 数多い。本書は、生前の著者と所縁の深かった研究者らから構成される編集委員会によって編ま れた。著者校正のできない遺稿集でありながら、一冊の書籍としての完成度が高いのは、編集委 員会の丁寧な作業の賜物であり、それはまた、著者がいかに友人・仲間たちから慕われていたか の証左でもある。 著者に直接案内してもらうことはもうかなわないが、本書を携え、著者の声に耳を傾けながら、 スワヒリ世界を旅してみたいものである。 牧野 久美子(まきの・くみこ/アジア経済研究所)

参照

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