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ケアマネジメントの特性についての研究 : 支援機能の先行研究に基づく考察: 沖縄地域学リポジトリ

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Academic year: 2021

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(1)

Author(s)

玉木, 千賀子

Citation

沖縄大学人文学部紀要 = Journal of the Faculty of

Humanities and Social Sciences(17): 13-24

Issue Date

2015-03-03

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/19003

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〈論文〉

ケアマネジメントの特性についての研究

―支援機能の先行研究に基づく考察―

玉木 千賀子

要 約  ケアマネジメントの特性と実践上の検討課題を整理するために,ケアマネジメントに 含まれる機能,ソーシャルワーク理論からみたケアマネジメント機能の考え方,ソーシャ ルワーク機能とケアマネジメント機能の関係について先行研究に基づいて分析した。  ケアマネジメントに含まれる機能に関しては,アウトリーチ,合意,アセスメント, 評価・終結に見解の違いが見出された。ソーシャルワーク理論およびソーシャルワー ク機能からみたケアマネジメント機能については,ケアマネジメントをソーシャルワー クの一部と捉えるものの,相互の関係性や位置づけに関する見解には違いがあること が確認され、ケアマネジメント機能の効果的な発揮のためには,支援状況に応じて, 限定的にソーシャルワークの諸機能を用いることの必要性が示唆された。 キーワード:ケアマネジメント,ケアマネジメント機能,ソーシャルワーク はじめに  社会構造,人間関係等の変化に伴い,人々の生活問題は複雑化・多様化している。そのよう な状況において,人々の社会生活上のニーズを複眼的な視点でとらえ,個人の内的・外的社会 資源を活用して社会生活機能の維持・向上を図ることがソーシャルワークに求められている。  ソーシャルワークにおける個別援助の一方法として位置づけられているケアマネジメントは, 複数の社会生活上のニーズに対応するために,必要とされる社会資源を動員して,地域におけ る自立生活のためのケアパッケージをおこなうことをその役割としており,今日のソーシャル ワークにおいては欠かすことができない援助技術である。  ところが,特定の対象や場に特化したモデルの形成,制度運用のツールとして活用されてき たことなどの要因から,ケアマネジメント過程やそこに含まれる機能の見解には違いがみられ る。  そこで本論では,ソーシャルワークにおけるケアマネジメントの特性と実践上の検討課題を 整理するために,ケアマネジメント機能について論述した先行研究に基づき,①ケアマネジメ ントに含まれる機能,②ソーシャルワーク理論からみたケアマネジメント機能,③ソーシャル ワーク機能とケアマネジメント機能の関係について考察する。 1.ケアマネジメント1)に含まれる機能 (1) 先行研究にみるケアマネジメント機能

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 機能とは,はたらきを意味するが,単なる運動や活動ではなく,一定の目的を実現するため の活動である(岡村 1983:114-115)。したがって,活動に内包されているケアマネジメント の目的を捉えるためには,そこに含まれている機能をみていく必要がある。  Rose と Moor(1995:335-340)はケアマネジャーの役割に関して述べており,そのなかで ケアマネジメントの基本的な機能として,①アウトリーチまたは利用者の確定(エンゲージメ ント),②ニーズアセスメント,③サービス・支援計画,④適したサービスとの結合または送致, ⑤サービスの提供や利用の確実性についての監視,の5項目を挙げている。これらの機能を基 本としたうえで,モデルの違いによって別の機能が加わる場合や特別な実践の枠組みが加わる 場合があると述べている。  Kisthardt と Rapp(= 1997:157-173)は,強さ活用モデルにおけるケアマネジメント機能 は,①エンゲージメント(サービス利用者2)に対するケアマネジメント過程・ケアマネジャー3) の役割・ニーズ充足に対する支援の有効性等の説明・ケアマネジメントに取り組むための良好 な関係づくり),②強さ活用アセスメント(住居・生計・職業・健康・余暇・ソーシャルサポー トにおける利用者の強さや可能性についての情報収集),③プランニングと実行(サービスを利 用する人に対しての教育・カウンセリング・モデリング・ソーシャルサポートを担う人々との 仲介・目標の達成状況と設定した目標の妥当性の判断),④モニタリング(より多くの継続的な 協力),⑤アドボカシー,⑥利用者との関わりの縮小,の6項目を挙げている。モニタリングは 一般的には状況の観察または監視を意味するが,Kisthardt と Rapp はサービスの利用を必要と する人を取り巻く環境に対して,より多くの協力を継続的に求めることによって,利用者の置 かれている現状や利用者の成長に肯定的な影響を与えるものとして捉えている。アドボカシー においては資源の利用を可能にすること,利用する資源が適切であること,資源の利用のしや すさ,ニーズへの適切な対応等をサポートする。  Kisthardt と Rapp によるストレングス志向のケアマネジメント機能は,その基本原則にも謳 われているように,サービス利用者が自らの生活を築くための自己決定を積み重ねることによっ て,学習と成長を遂げることに主眼におき,さらに利用者と関わる社会資源の成長に取り組む こともその機能に含んでいる。  Orme と Glastonbury(= 1995:69-94)は,サービスのデザインと組織化がケアマネジメ ントの本質であり,①サービスニーズをもつすべての人々の確認・送致,②ケアニーズおよび ストレングスのアセスメント,データの範疇化・総合化,③プランニングとケアの提供の保障 (サービスの確定と同意・サービスの提供に伴う連携・人々とサービスとの仲介),④ケアの質 のモニタリング(サービス利用者との情報共有・アドボカシー・サービス提供者への支援・サー ビス提供者に対しての契約遵守への同意),⑤ニーズの見直し(サービスの変革・置き換え・修正・ 終了)を挙げている。ケアマネジャーはこれらの機能に関する計画の責任は負うものの,計画 のすべてを自らおこなうのではなく,機能の発揮のためにより適した技能をもつ者にその役割 を委任することが必要であると述べている。  Rubin(= 1997:21-24)は,アセスメント,計画,連結,モニターがケアマネジメントの 不可欠な機能であると述べている。①アセスメント(潜在的な強さや弱さ・ニーズの包括的把握・ インフォーマルな支援ネットワークや支援システム),②計画(サービス提供機関からの情報収 集・情報提供),③連結(サービスを利用する人と利用できるサービスや利用資格要件の仲介・ 送致・利用要件を得るためのアドボカシー),④モニター(評価機能)を挙げ,ケアマネジメン

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ト機能へのアウトリーチの位置づけについては,利用者に対する直接サービスの提供の程度に 関係していると説明している。  Frankel と Gelman(= 2006:30-31) は,ケアマネジャーが果たすケアマネジメント機能に, 個別支援,危機介入,短期治療,ブローカー,ファシリテーター,イネイブラー,教育,仲介, 権利擁護,サービスコーディネーター,追跡・フォローアップを挙げている。これらの機能は ミクロ,メゾ,マクロの領域で発揮され,それぞれの特性に適した戦略や技能,概念的な基盤 が必要とされるという説明の内容から,ジェネラリストとしてのケアマネジャーの果たすべき 機能を示していると考えられる。  Payne(= 1998:114-115)は,①アセスメント(初期アセスメント・ニーズアセスメント), ②ケアプランの作成(利用者の状況と内的資源の把握・インフォーマルな資源の把握・これら の資源の把握を行うためのイネイブリング・保護・交渉・プランの同意),③ケアプランの実施(連 携・協働),④モニタリング(サービスの適合性の検討),⑤再検討(利用者に対する効果・ケアパッ ケージの再検討)としている。  Moxley(1989:20-22)は,アセスメント,プランの作成,実施,モニタリング,評価の基 本的な機能を適用させることによって,サービスのコーディネートや継続的な提供を行うと説 明している。具体的には,①アセスメント(利用者の対処能力・サービスニーズ・ソーシャル サポートネットワークの応答性・サービス提供者のニーズへの対応力),②プランニング(主要 なニーズの把握・ニーズのゴールやケアプランの目的あるいはサービスへの置き換え・手順の 作成・サービスの評価指標の明確化),③ケアプランの実施(直接的介入としては、コミュニケー ション・自己表現・セルフアドボカシー・危機状況における利用者への教育,間接的介入としては, 利用者間のリンケージ・サービスの仲介・アドボケイト・社会資源やソーシャルサポートの成長), ④モニタリング(利用者の状況・サービスの提供状況・ソーシャルネットワークの拡大),⑤評 価(ソーシャルサポートネットワークのメンバー・サービス提供者の対応力の変化)を挙げて いる。  白澤(1992:17-18)は,①アウトリーチを含むケース発見においては,緊急性や利用要件 のスクリーニング,ニーズの概略的な把握と支援内容の説明,ケアマネジメントの契約,②ア セスメントにおいては,利用者のニーズ・能力,インフォーマル・フォーマルなサービスの力 量の明確化,必要とされる支援の程度の把握,③ケア計画の作成においては,サービスとサポー トのパッケージ,④ケア計画の実施においては,利用者とサービス提供者の仲介,アドボカシー, 計画の修正 , ⑤ケア計画の監視・フォローアップにおいては,ケア計画の実施状況, 目標達成状 況,サービスの適正についての判断,新たなニーズの確認に整理している。なお,新たなニー ズの確認においては,利用者およびサービス提供者の変化からニーズの確認の必要性を判断し, 再アセスメントをおこなうと説明している。 (2) ケアマネジメント機能の特徴と実践上の課題に関する考察  先行研究で示されているケアマネジメント機能を,ケアマネジメント過程における機能と個 別援助における相談援助の機能に区分・整理した(表1)。  機能の整理に際しては,ケアマネジメント過程における機能と個別援助において用いられる 相談援助の機能に区別し,ケアマネジメント過程に個別援助における相談援助機能が含まれて いる場合には,相談援助機能の部分にも再掲するという方法を用いた。機能の項目設定につい

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ては,先行研究で取り上げられている機能のほかに,ケアマネジメントに必要と考えられる機 能を筆者が補足した。  機能に関しては,ケアマネジメント過程で発揮される機能のなかに個別援助で用いられる相 談援助機能を含めて説明している場合もあれば,ケアマネジメント過程とは区別して個別援助 における相談援助機能に言及しているもの,あるいは Frankle と Gelman のようにケアマネジ メント過程とは関連づけていないものなど,機能の位置づけ方に違いがみられた。  これらの先行研究の整理から,ケアマネジメント機能の捉え方に共通点が見出される一方で, 機能とみなす範囲とそこに含まれる要素に違いがあることが見出された。  共通して挙げられている機能は,アセスメント,プランニング,プランの実施,モニタリン グである。アセスメントには,含まれる要素の違いがみられ,ニーズアセスメントのみを捉え ているもの,サービス利用者の対処能力,サービス提供者やインフォーマルサービスの力量な ど多面的に捉えているものがみられた。 一方で,アウトリーチ,ケアマネジメントの合意,ケアプランの合意,評価を挙げているのは 限られており,終結については,評価に含んでいるものはみられたが,独立した機能として位 置づけるという考え方はみられなかった。  先述の岡村の指摘にあるように,ケアマネジメントに含まれる機能や,個々の機能に含まれ る具体的な内容が異なるということは,ケアマネジメントの目的の達成に影響を及ぼすことに なる。それゆえ,ケアマネジメントの特性を捉えるためには,その目的を達成するための機能 を検討することが必要になる。ここでは,先行研究の整理・分析に基づき,利用者の社会生活 機能を支援するために,利用者のもつ内的・外的資源をマネジメントするというケアマネジメ ントの目的に照らし合わせて,ケアマネジメント機能について考察する。  1点目はアウトリーチをどのように位置づけるのかという点である。アウトリーチとは,支 援が必要と判断される問題を抱えていながら,自発的に支援を求めようとしない人に対して, 援助機関や支援者の側から積極的にはたらきかけて,支援を活用するように動機づけ,問題解 決をおこなうことである(根本 2000:129)。サービスの利用を必要としているのは積極的に 支援を求めている人々ばかりではない。なかには,情報の理解が困難,判断に時間を要する, 対人関係に負担感や不安感がある,問題解決を諦めているなどの理由から,サービスの利用に 消極的な人々もいる。そのような人々の理解や判断のしかた,他者との関わりのもち方を理解し, 働きかけるというアウトリーチは,サービスの利用を必要としているものの,ケアマネジメン トの支援に結びつかないことによって,生活上の困難の持続や悪化を招くという人々の存在の 可能性を考えた場合に,重要な機能のひとつであるといえる。  しかし,Rubin が指摘するように,アウトリーチは利用者の直接サービスの提供に影響する。 問題解決を諦め,他者との関わりを閉ざしている人々に対して,問題解決に取り組む意識を喚 起するためには,利用者の態勢を考慮した時間をかけた関わりが求められる。しかし,その一 方で,ケアマネジメントの一義的な役割であるケアパッケージを中心とした支援を適切におこ なうことが求められる場合に,果たして異なる性格をもつ支援の両方を担うことができるのか, という問題が生じる。これらの状況を考慮し,アウトリーチとケアマネジメントの機能を分離し, それぞれの機能を担う専門職が連携して一連の支援をおこなうという視点を含めた検討が必要 になると考えられる。  2点目には,合意の位置づけを明確にすることの必要性である。ケアマネジメント過程にお

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ける合意には,サービス利用者と支援者がニーズ解決のためにケアマネジメントの方法を用い た支援に取り組むことについての合意と,支援を開始し,アセスメント・ケアプランの検討を 経て,その内容を実施に移す時点における合意という,異なる目的をもつふたつの合意がある。 ソーシャルワークの展開過程に関する先行研究をみると,ソーシャルワークによる支援に取り 組むことについての合意に関しては,「ニーズ確定過程における利用者になることへの支援」(米 本 2001:206),「エンゲージメント過程におけるパートナーシップ形成」(中村 1999:87)と 説明されている。一方,支援計画を実施に移す時点での合意については,「支援プログラム作成 過程における支援目的達成のための有効な手段系列の共有」(米本 2001:208),「計画作成過 程におけるサービス利用者と支援者の役割,具体的な課題や行動に対する戦略の合意と契約」(中 村 1999:104)と説明されている。  これら,ソーシャルワークにおける支援の開始の合意と支援計画の実施の合意に関する説明 から,合意とはサービスを利用する者,提供する者という一方向的あるいは非対等な関係性を 排し,目標達成に向けた,両者の協働関係を内包していると読み取ることができる。サービス 利用者と支援者との間でケアマネジメントに取り組むことについての合意がなされることに よって,アセスメントの過程においては,サービス利用者が自己に内在・外在する資源により 関心を向けて,積極的にそれらを活用しようという動機づけに結びつくと考えられる。また, ケアプランの内容を実施に移す時点での合意は,利用者自身が担う役割遂行の促進に結びつく と考えられる。ソンプソン(= 2004:145-146)によれば,サービス利用者とともに仕事を進 めることは,ソーシャルワークの価値基盤に位置づけられるパートナーシップであり,パート ナーシップにおいては,問題の性質,確認されたニーズ,めざす目標,そのための行動計画に ついての同意をつくりあげることが必要であり,さらに進むとサービスの計画立案や政策展開 などにサービス利用者が参加するようになると述べている。  3点目は,アセスメントにおける情報の多面的な把握とその統合に基づいたニーズ分析の必 要性である。ICF(上田 2005:28-30)の考えに基づけば,アセスメントとは,心身機能,日 常生活行為から余暇活動などの広い範囲を含む活動,人生のさまざまな状況に関与し,そこで の役割を果たすことを含む参加についての全体的な状況を捉えるとともに,個々の因子の状況, 因子相互の関係性を包括的に理解することである。  因子相互の関係性とは,人々の生活の営みそのものである。したがってそこには,社会生活 上課題となる問題の成り立ちもあらわれてくる。これらのことから,アセスメントにおいて,サー ビス利用者の生活を構成する個々の情報のみならず,関係性も含めた全体的な状況をとらえる ことは,プランニングやそれに基づく支援活動の基盤を提供する(Johnson ・ Yanca = 2001: 354)ことにむすびつくといえる。  4点目は,評価および終結の位置づけに関する検討の必要性である。先行研究では,ケアマ ネジメントの過程に終結を位置づけているものはみられなかった。このことは,サービス利用 者のニーズがすべて充足されてケアマネジメントを終結するという状況は極めて少なく(白澤 2000:17),ケアマネジメントサイクルが継続されるという考え方によるものだと推測される。 これは実情をふまえた指摘であるといえるが,施設に生活の場が移行するためにケアマネジメ ントを終結する場合の送致,あるいは,特定の利用者のケアマネジメント支援が終結した場合 であっても,将来的な視点にたち,地域の資源の応答性を高めることをケアマネジメントの機 能のひとつとして捉えるとすれば,その前段階にある評価を含めて,終結がもつ意味と位置づ

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けについて検討をおこなうことが必要と考えられる。  社会福祉実践においては,相談援助や福祉サービスの質を問うという発想そのものが乏しい ために(副田 2005:99),評価の重要が強調されてこなかったという指摘もある。エビデンス に基づくケアマネジメント実践という視点においても重要な検討課題であるといえる。 2.ソーシャルワーク理論からみたケアマネジメントの特性 (1) ソーシャルワークとケアマネジメントの関係についての先行研究  ソーシャルワーク理論からケアマネジメント機能を検討するためには,ソーシャルワークの 理論がケアマネジメントとの関係をどのように捉えているのかという点を確認することが必要 になる。そこで,ソーシャルワークとケアマネジメントとの関係について言及している先行研 究の内容を確認する。  はじめに,ソーシャルワークとケアマネジメントの関係について,具体的に説明しているコ ミュニティソーシャルワークの理論から取りあげる。  コミュニティソーシャルワークは,1982 年,イギリスのバークレー委員会の多数派報告(= 1984:273-283)により,その概念が示された。さらに 1988 年に出されたグリフィス報告では, 地域での自立生活のために,個人のニーズをアセスメントして,ケアパッケージを作成するこ とが求められ,ケアマネジメントをコミュニティソーシャルワークの手段として用いることが 示された(大橋 2002:7)。日本においても地域での自立生活支援には,特定の分野や方法に限 定されないさまざまな状況やニーズに対応できるコミュニティソーシャルワークを基盤とした ケアマネジメントを行うことが必要であり(大橋 2005a:7),ケアマネジメント実践の基盤がソー シャルワークにあることを示している。  次にジェネラルソーシャルワークとケアマネジメントとの関係について言及している秋山, 佐藤,渡部,副田の見解をみていく。  秋山(1999:230-231)は,現実的生活維持の対応策,介護技術に焦点があてられているケ アマネジメントはソーシャルワークの周辺領域のものであることから,ソーシャルワークの一 部と見なすことは極めて難しいと述べている。ところが,ケアマネジメントは児童虐待(岡田 2000:107-120)や HIV に感染した人々の支援に用いられており(松岡 2000:121-138),必 ずしも介護の領域に限られたものではないため,秋山の見解は,ケアマネジメントを矮小化し ていると捉えることができる。  佐藤(2001:365)は,「ケアマネジャーに要求されるのは,ソーシャルワーク(社会福祉援 助技術・活動)の体系(直接援助技術,間接援助技術および関連援助技術)を熟知して介入するジェ ネラリストとしての実践である」と述べて,ケアマネジメントとジェネラリスト・ソーシャルワー クの実践基盤は同じであるというみかたをしている。そしてケアマネジメントで発揮される機 能を紹介したうえで,ライフモデルに立脚するジェネラリスト・ソーシャルワークとしてのケ アマネジメントは,生態学的視座に基づいたシステム思考による状況把握をおこない,社会生 活機能に焦点をおいた資源の結びつけと利用者の生活の質の維持・向上を図ることを重視して いる(佐藤 2001:366)とケアマネジメント実践の焦点について述べている。  渡部(2000:249-252)は,ケアマネジメントはソーシャルワーカーが習得しておくべき知 識・技術のひとつで,継続的で複合的なサービスの提供という特定の領域にソーシャルワーク のプロセスを応用したものであると述べている。そして,ケアマネジメントを効果的におこな

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うためには,ソーシャルワークのさまざまな技術を身につけなければならないと説明し,なか でもカウンセリング機能を適切に用いることが,サービス利用者の福利の向上に結びつく(渡 部 1999:260-264)と述べて,カウンセリング機能の重要性を指摘している。  副田(2003:25)は,ソーシャルワークは問題解決やニーズ充足(ミクロ実践)だけではなく, 広い範囲の人々の意識や文化,社会制度等の変革に結びつける ( マクロ実践 ) など,多様な方法 による問題解決を図るという幅広い目的をもち,一方のケアマネジメントは,基礎的ニーズを 問題として,その充足のためにサービス・資源調整を図るものであると両者の取り扱う範囲の 違いを指摘している。  これら先行研究の内容を整理すると,実践の視座から捉えているもの,それぞれの実践に含 まれている機能から述べているものなど,分析の切り口が異なっている。ケアマネジメントを ソーシャルワークそのもの,あるいはソーシャルワークの一部とみなすという点については概 ね一致しているが,視点や内容の具体性が異なるため,ケアマネジメントとソーシャルワーク の関係性を明確にするには更なる検討が必要になる。 3.ソーシャルワーク機能からみたケアマネジメント機能  前項では,ソーシャルワークとケアマネジメントの関係がどのように説明されているのかと いう点を捉えてきた。ここでは,ソーシャルワーク機能からケアマネジメント機能をみていく ことにする。  検討には,先述したケアマネジメント機能(表1)と,岡本(2007:21),大橋(2005b: 17-18),Pincus・Minahan(= 1980:91-96),斎藤・谷口(1999:155-200)を参考にして 筆者が整理したソーシャルワーク機能を用いた(表2)。  ソーシャルワークは,個人から社会までの範囲を含む,ウェルビーイングを目的とした実践 であり (IFSW 2014),その目的を達成するために,対象に適したソーシャルワーク機能を用いる。 一方,ケアマネジメントは,サービス利用者のニーズを充足するためのケアパッケージが中心 的な役割であることから,ソーシャルワーク機能のなかのケアマネジメント機能が重視される。 しかし,他のソーシャルワーク機能もケアマネジメントには欠かすことはできない。  たとえば,ケアマネジメントに対する関心が乏しい人に対しては,何度も出向いて,その人 の受け入れのペースに合わせた働きかけをおこなうアウトリーチ機能が求められる。あるいは, 家族関係にまつわる過去のできごとから,課題への取り組みに失敗するのではないかと恐れて, ケアマネジメントに取り組むことに躊躇している場合には,エンパワメントの技法を用いた心 理的支援機能や家族療法を用いたカウンセリング機能が必要になる。インフォーマルな社会資 源がサービス利用者に適した内容と方法で提供されるためには,ソーシャルサポート理論を用 いた仲介機能が必要になり,社会資源が不足している場合には,資源の組織化や開発機能が必 要になる。さらに,既存のサービスやインフォーマルな社会資源では,サービス利用者の地域 での自立生活支援のニーズを満たすことができない場合に,課題解決のシステムを構築するた めの機能を展開することが必要になる。  これらに示すように,ケアマネジメントは,ソーシャルワークの特定の機能(ケアマネジメ ント機能)を用いるが,その機能をより効果的に発揮するために,サービス利用者やそれを取 り巻く環境の状況に応じて,ソーシャルワークのさまざまな機能を用いるという点に特性があ ると考えることができる。

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表2 ソーシャルワーク機能 問題発見機能 ・アウトリーチ機能 ・送致機能 直接援助機能 ・心理的支援機能 ・カウンセリング機能 ・教育機能 ・保護機能 ・促進機能 資源との相互作用の促進を図る機能 ・権利擁護(代弁)機能 ・調整(調停)機能 ・仲介機能 ・ケアマネジメント機能 資源の組織化・開発で用いる機能 ・組織化機能 ・開発機能 ・ソーシャルサポートネットワーク機能 ・運営管理機能 ・地域課題の予防・解決のシステム構築機能 ・計画策定機能 おわりに  本論では,ケアマネジメントの特性を明らかにするために,先行研究に基づいて,ケアマネ ジメント機能の整理・分析,ソーシャルワーク理論からみたケアマネジメント機能の捉え方,ソー シャルワーク機能からみたケアマネジメント機能の検討をおこなった。  ケアマネジメント機能に関しては,アセスメント,プランニング,プランの実施,モニタリ ングについては概ね取りあげられていた。アセスメントについては含まれる内容の相違,合意 と評価・終結については見解の相違があり,それぞれの内容の分析を踏まえ,実践上の課題に ついて考察した。  ソーシャルワーク理論からみたケアマネジメント機能に関しては,先行研究によって見解が 異なることが確認された。ケアマネジメント機能をソーシャルワークの重要な機能と位置づけ ている場合もあれば,周辺領域と見なしている場合もある。この点については,ケアマネジメ ントの対人援助技術としての側面,ケアマネジメントが用いられてきた政策的背景の両面から, さらに検討をおこなうことが必要である。  ソーシャルワーク機能からみたケアマネジメント機能は,地域における自立生活支援のため のケアパッケージという限定的な方法として用いられるが,先述のようなケアマネジメント実

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践の場で想定される種々の状況に照らし合わせて考えると,ケアマネジメント機能を効果的に 発揮するためには,必要に応じて他のソーシャルワーク機能を取り入れることが必要になる。  大橋(2005a:22)は,地域における自立生活支援に求められるコミュニティソーシャルワー ク機能を,一人のソーシャルワーカーと呼ばれる人が担うというわけではなく,チーム・組織 として担うなど機能そのものが意識化され,それを展開できるシステムが重要であると指摘し ている。このような視点を含め,ケアマネジメントのあり方について検討をすすめていくことが, 今後の課題である。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 注釈 1)アメリカではケースマネジメント,ケースマネジャーという用語が用いられており,日本にお いても 1990 年代初頭までは同様に用いられていた。本論においては,ケアマネジメント , ケ アマネジャーの用語に統一して用いる。 2)支援を必要としている人,あるいは支援の対象となる人については,クライエント,利用者, 対象者などの呼称が用いられている。本論においては,サービスの提供がすでに開始している 場合には「利用者」,サービスは提供されていないが何らかの生活上の支援を要する場合には「支 援を要する人」という用語を用いる。引用文献で「クライエント」の用語が用いられている場 合にも「利用者」に統一する。 3)ケアマネジメントの提供に限定する場合には「ケアマネジャー」,ケアマネジメントとソーシャ ルワーク両者に適用する場合,支援場面が限定されない場合は,「支援者」の用語を用いる。 引用文献 秋山薊二(1999)「ジェネラル・ソーシャルワークとケースワーク,グループワーク,コミュニ ティ・ワークとの関連」太田義弘・秋山薊二編『ジェネラル・ソーシャルワーク−社会福祉 援助技術論』pp.227-233, 光生館.

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Investigation into Characteristics of Care Management

− A report based on previous studies regarding support functions −

Chikako Tamaki

Abstract

In order to identify primary characteristics of care management and examine future issues related to care management, an analysis of previous studies was conducted with regard to functions included in care management, approach to care management from the point of view of social work theory, as well as relationships between social work functions and care management functions.

As for the functions included in care management, differences in thinking were found regarding outreach, agreement, assessment, evaluation and resolution. Regarding care management from a social works point of view, differences in people’s understanding of mutual relationships and positioning were found.

In the discussion section of this paper, the author suggests that in order to conduct effective care management, social care functions should be tailored to each individual’s support structure.

参照

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