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30m水温 200m水温
(℃)
図1:池田湖の水温の長期変動
近年の気候変動と池田湖湖水の変動
* 長谷川直子(お茶の水女子大学), 新井正(立正大学)
はじめに
近年、世界の深い湖で、気候変動、特に地球温暖
化による影響が報告されている(たとえば熊谷・石
川2006)。中緯度の深い湖では夏季の成層の強化や
冬季の全循環欠損、湖水温の上昇による生物への影
響が顕在化する可能性があり、今後の予測が重要で
あろう。そのためには、特に温暖化が顕著に現れて
いる過去 20 年~30 年の湖の変化を詳細に検討して
いく必要があろう。
日本では、池田湖が地球温暖化の影響を深刻な問
題として内包していると考えられる。池田湖は水深
233m のカルデラ湖で、1980 年代から深層の溶存酸
素が低下していることがすでに報告されている(た
とえば熊谷・石川2006)。近年、全循環が認められ
たのは1976/77 年(佐藤ら、1984)、1986 年(、今
回の資料)に限られている。
近年の池田湖の変化
池田湖の定期観測は、鹿児島県によって 1975 年
から始まり、1977 年以降はほぼ 2 ヶ月に 1 度の頻
度で現在まで行われている。今回使用したデータは、
この中の基準点 2(31°14’N、130°33’E、最大水
深238m)における観測データである。
図1 に観測開始以来の 30mと 200mの水温の経年
変化、図 2 に同じく 30mと 200mの溶存酸素濃度
(mg/l)の経年変化を示す。30m水温は 10 年程度
の振幅を示しているように見えるのに対し、200m
の水温は特に 90 年代以降上昇傾向にある。また、
30m溶存酸素は 30 年間で減少傾向にあるようで、
特にここ 15 年間の濃度低下がはっきり見える。一
方 200mの溶存酸素濃度は 90 年代以降ほぼ0とな
っているが、1970 年代にわずかに観測された酸素濃
度は 1980 年代前半に見られた濃度よりも明らかに
低く、1980 年代前半には酸素供給があった可能性を
示している。200m深の酸素濃度がほぼ0になった
のに対応して、同深度のリン酸態リン濃度が増加し
た。
ところで、ヨーロッパアルプスにあるレマン湖(最
大水深309m)の定期観測データ(SHL2、最大
水深地点における1974 年以降のデータ)によると、
レマン湖でも、1970 年代は深層の酸素濃度が低く、
1980 年代前半に酸素濃度が回復し、その後 90 年代
から酸素濃度の低下が続いており、池田湖の酸素濃
度の長期変動と似ている。このような傾向が世界的
なものなのかどうか、今後、過去 30 年間くらいの
定期観測を行っている中緯度深水湖の長期変動を比
較研究していく必要があるだろう。
また、深層の酸素濃度がほぼ0になっている深い
湖において、数 10 年ぶりに冬季に深い循環が起こ
ると、表層の酸素濃度が激減し魚が斃死するといっ
た事態が起こる。ヨーロッパアルプスのルガノ湖は
2005/2006 年に約 40 年ぶりに循環し、表層の酸素
濃度がほぼ0になった(Simona、2007)。池田湖で
は近年、冬の循環期に表層の酸素濃度が低下してい
るため、注意が必要である。
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DO_30m DO_200m
PO4_30m PO4_200m
(mg/L_DO) (mg/L_PO4)
図2:池田湖の溶存酸素・リン酸態リン濃度の長期
変動
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