• 検索結果がありません。

新学習指導要領にみる中学校外国語(英語)科と特別の教科道徳の関係

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "新学習指導要領にみる中学校外国語(英語)科と特別の教科道徳の関係"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

新学習指導要領にみる中学校外国語(英語)科と

特別の教科道徳の関係

The Relationships Between English and Moral Education Classes

A new Course of Study for junior high schools was published in 2017. There are a lot of new educational items or proposed teaching methods written in it which teachers have to try and/or use. Among them, one of the biggest changes was the importance of combining English classes and Moral Education classes.

In this paper, key words for reading the new Course of Study will be explained and ideas to combine those two different areas when we use officially published English textbooks for junior high school students will be proposed.

キーワード:新学習指導要領、特別の教科道徳、外国語科 1 新学習指導要領  本学科では2019年度入学生より適用される新しい教員免許課程運営に伴い、学科内の教 職免許課程に関する授業間の新しい連携のあり方について再考してきた。その結果、いくつ かの新しい試みを行うこととなったが、その1つに「各領域の枠を超えた授業間であっても、 内容の関連性を可能な限り相互に持たせる」という項目が挙げられる。具体的には『教科及 び教科の指導法に関する科目』『道徳、総合的な学習の時間及び生徒指導、教育相談等に関 する科目』『教育の基礎理論に関する科目』『大学が独自に設定する科目』『教育実習』『教職 実践演習』にそれぞれ属する授業間の連携を(配置されている枠を超えて)強化する、とい うことを意図している。  具体例の1つとして「総合的な学習の時間」と「外国語科(英語)」の連携についての考 え方や協同授業実施に向けた提案が石渡(2017)で述べられた。本論文は、その続編として 「特別の教科道徳」と「外国語科(英語)」の連携についての考え方や案を示すものである。尚、 以下解説や提案については(特別な注意書きが無い場合)、道徳という特別の教科としての

石 渡 雅 之

Masayuki ISHIWATA

(2)

学校での位置づけや、著者が担当している英語科教育法が主として中学校授業を想定してい るものであることから、中学校授業を想定したものであることを記しておく1 2 中央教育審議会答申と学習指導要領  石渡(ibid.)でも触れた通りであるが、2015年の「チームとしての学校のありかたと今後 の改善方策について」「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」「新しい 時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協議の在り方と今後の推進方策に ついて」と題された中央教育審議会からの各答申、及び2016年に出された答申の「幼稚園, 小学校,中学校,高等学校,及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等に ついて」は新学習指導要領の内容にかなり大きな影響があったと捉えられている(時事通信 出版局:2017他)。ここでは以下に、これらの答申の特徴や、それを受けた新学習指導要領 の内容に見られる特徴を「特別の教科道徳」と「外国語科」に分けて整理することとする2 2-1 新学習指導要領にみる特別の教科道徳の考え方  改訂の基本的な考え方としては「道徳的価値を自分の事として理解し,多面的・多角的に 深く考えたり,議論したりする道徳教育への転換により,生徒の道徳性を育む」という内容 で、このことが目標に記されていると考えられる。  学習内容の改善・充実という観点で新旧の学習指導要領を比較してみると「情報モラルに 関する指導の充実,生命倫理や社会の持続可能な発展などの現代的課題に対応」という事項 が修正、または加筆されていることが分かる3  学習指導の改善・充実という観点で同じく新旧の学習指導要領を比較してみると「(検定 教科書導入がなされるものの)地域独自の郷土教材等も平行して活用する」「問題解決的な 学習や体験的な学習などを取り入れ,指導方法を工夫する」という各事項が修正、または加 筆されていることが分かる4 2-2 各答申と学習指導要領から見られる外国語科(英語科)の考え方  改訂における基本的な考え方、各観点としては石渡(ibid.)にもまとめてあるが、次の様 に述べることができる。  基本的な考え方…「①音声,文字,語彙,表現,言語の働きなどの知識及び技能, ②コミュ ニケーションを行う目的,場面,状況などに応じて自分の考えや気持ちなどを伝え合う思考 力,判断力,表現力等, ③外国語の背景にある文化に対する理解を深め,他者に配慮しな がら主体的にコミュニケーションを図ろうとする学びに向かう力,人間性等の育成すべき資 質・能力を明確化」「児童生徒が,何ができるようになるかという観点から,国際基準(CEFR) を参考に,小・中・高等学校を通した五つの領域別の目標や言語活動等を明記」した、とま とめることが可能である。

(3)

 学習内容の改善・充実という観点では「互いの考えや気持ちなどを外国語で伝え合う対話 的な言語活動を重視し,授業を外国語で行うことを基本とし,具体的な課題等を設定するな どして,学習した語彙,表現などを実際に活用する言語活動を改善・充実」すること、とま とめることができる。  ここでまとめた新学習指導要領における外国語科の改訂のポイントと、特別の教科道徳の 改訂のポイントを同時に考えながら、次章において具体的に中学校の教科書(英語)を用い て「特別の教科道徳を意識した授業展開をする場合、どの単元でどのような展開が考えられ るか?」という可能性について見ていくこととする。 3 特別の教科道徳が意識できる各学年の中学校英語教科書5の展開 3-1 情報モラルに関する事項  特別の教科道徳において、学習内容の充実という観点で新学習指導要領をみると「情報モ ラルに関する指導の充実,生命倫理や社会の持続可能な発展などの現代的課題に対応」とい う事項が新旧学習指導要領の比較において、修正、または加筆ポイントの1つであると前章 で述べた。  1年生で既に情報分野を扱うことになっている。例えば1年生の Unit 8ではインターネッ ト電話を利用する、という教科書内容になっている。またその後に出てくる Daily Scene 4で は「ウェブサイト」というテーマで授業が続くことになっている。このような単元を扱う場 合に、特別の教科道徳を意識させるような指示を出しながら、授業展開をすることが可能で あり、必要でもあると考えられる。 3-2 地域独自の郷土教材に関する事項  特別の教科道徳において、学習指導の改善・充実という観点で見ると「(検定教科書導入 がなされるものの)地域独自の郷土教材等も平行して活用する」という事項が新旧学習指導 要領の比較において、修正、または加筆ポイントの1つであると前章で述べた。  2年生の教科書を確認すると、Unit 6の後に Presentation 2として「町紹介」をテーマにし た授業展開をするところがある。この単元を扱う際に、特別の教科道徳を意識して郷土教材 活用のために協同授業的な展開を行ったり、学習者にお互いの教科を意識させるような指示 を出しながら授業展開をすることが可能になる。尚、郷土教材活用については、特別の教科 道徳だけではなく、特別活動や総合的な学習の時間との協同・合同展開も学習指導要領を見 ると可能であることが分かる。 3-3 問題解決的な学習や体験的な学習に関する事項  学習指導の改善・充実という観点で見ると前項(3-1・3-2)で述べたこと以外に「問題解 決的な学習や体験的な学習などを取り入れ,指導方法を工夫する」という内容も示されてい

(4)

ることが確認できる。

 3年生の教科書を見ると、Unit 3で Fair Trade Event というタイトルの学習が展開されてい る。この単元全般で、学習者一人ひとりが課題設定を行い、課題解決に向けたプロジェクト を具体的に考えるような授業展開が可能であるとされている。このような単元で、特別の教 科道徳とのつながりを強く意識させることも、学校教育を総合的に捉えると、必要になるこ とである。 4 特別の教科道徳と外国語科(英語)の接点を目指して  第3章においては、中学校教科書の単元の事例を出しながら、特別の教科道徳と外国語科 (英語)との接点を見てきた。本章では、接点を見つけて、授業展開をする為に必要な考え方を、 理論面からアプローチしていくこととする。  三浦・中嶋・池岡(2006)では、英語授業を「ヒューマン」ということばを用いながら展 開する為の指導理論、テクニックを紹介している。この中で英語コミュニケーション活動は 「SELF や社会性を育てる」と述べられているが、この SELF や社会性の育ちは自己が複数の 側面で形成されるという「I と ME」の自我側面概念や「生成の過程に還元する」(いずれの道 徳理論も押谷・宮川2008より引用)という道徳理論に深く関わりがあることが確認できる。  また木村(1992: 46‒62)は自文化中心主義(ethnocentrism)と異文化中心主義(foreign culture -centrism)という言葉を用いて、差別的な文化主義者を輩出することへの警鐘をなら している。木村(ibid.)は、必ずしも学校教育に焦点を当てて「道徳教育のあり方」や「英 語教育のあり方」を論じているわけではない。しかしながら、氏の解説を読むと「異文化を 道徳的に間違えていると批判する」考え方を持つ人が増えることに大きな危機感を抱いてい ることが分かり、これは学校教育においても考えるべき課題であると考えられる。  学習指導要領が新しくなり「物事に幅広い理解を示し、相手を理解する必要性が強調され たこと」が両教科に共通する特徴の1つであると筆者は考えている。具体的には、特別の教 科道徳で「物事を広い視野から多面的・多角的に考える」ことが目標の一部として述べられ ている。同時に外国語では、コミュニケーション能力や、いわゆるバランスのとれた4技能 を学習することに触れながら、さらに「外国語の背景にある文化に対する理解を深め,開き 手,読み手,話し手,書き手に配慮する」ことの重要性が目標で触れられている。  これらの記述から、木村(ibid.)の解説は現在の学校教育にも大きく訴えかけている内容 であると筆者は考える。特別の教科道徳と英語授業の両方向から「幅広く自分以外の考え方 や文化を受け入れる必要性を学習者に伝える」ことを新学習指導要領が伝えており、その実 践が多方面、多領域から強く求められていると考えている。

(5)

5 今後の実践に向けて  本論文では、中学校新学習指導要領を見ながら「特別の教科道徳」と「外国語(英語)」 の接点を、発表された文言を分析することで確認する作業を行った結果を述べてきた。その 上で、考えられる具体的な指導箇所を簡単に紹介・提案した。今後、多くの具体的な指導例 を考え出し、より新学習指導要領全体を意識した教科教育の実践を考えなければいけないと 感じている。  新学習指導要領については、教科を横断する、ということ以外にもたくさんの教育改革内 容が提案されており、それらを1つ1つ意識し、学生に伝える教職課程の授業が今後一層求 められると理解している。 注 1 本学部では著者が担当する英語科教育法以外に高等学校の授業を想定する英語科教育法もあ り、学生はどちらも履修することとなっている。 2 以下、考え方のまとめに際しては、各答申と新学習指導要領を分析した他、東洋館出版編集部: 2017 を参考にした。 3 「個性の伸長」を始めとする小学校学習指導要領としては新たに加わった内容項目の諸説明は ここでは省略する。 4 「数値による評価を行わない」「記述により、励ます意図での個人内評価とする」「調査書への 記載や入試での活用はしない」ことなどもこの枠に当てはまることではあるが、本論文とのつ ながりが薄いため、ここでは省略する。 5 本論文で教科書事例を挙げる場合は、原則として東京書籍発行『NEW HORIZON』からのも のとする。 引用文献 中央教育審議会答申 (2015)「チームとしての学校のありかたと今後の改善方策について」           (2015)「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」           (2015)「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協議 の在り方と今後の推進方策について」           (2016)「幼稚園,小学校,中学校,高等学校,及び特別支援学校の学習指導要 領等の改善及び必要な方策等について」 石渡雅之 (2017)「新学習指導要領にみる外国語(英語)科と総合的な学習の時間の関係」Journal of

the School of Liberal Arts, Ohkagakuen University 9, 15‒20.

時事通信出版局 (2017)『教職教養の演習問題』東京:時事通信出版局         (2017)『教職教養の要点整理』東京:時事通信出版局

笠島準一(編) (2017)『文部科学省検定中学校用教科書 New Horizon 1/2/3』東京:東京書籍

木村英憲 (1992)「自文化中心主義と異文化中心主義」阿部美哉(編)『国際文化学と英語教育』46‒62頁  東京:玉川大学出版部

(6)

黒上晴夫 (2017)「資質・能力の三つの柱と目標の改訂」『中学校新学習指導要領の展開』(田村学編) 東京:明治図書 三浦孝・中嶋洋一・池岡伸 (2006)『ヒューマンな英語授業がしたい』東京:研究社 日本教材システム (2017)『平成27年×平成29年 中学校学習指導要領新旧比較対象表 』 押谷由夫・宮川八岐(編)(2008)『道徳・特別活動 重要用語300の基礎知識(第7版)』東京: 明治図書 東洋館出版社編集部 (2017)『中学校新学習指導要領ポイント総整理』東京:東洋館出版社

参照

関連したドキュメント

工学部の川西琢也助教授が「米 国におけるファカルティディベ ロップメントと遠隔地 学習の実 態」について,また医学系研究科

出版社 教科書名 該当ページ 備考(海洋に関連する用語の記載) 相当領域(学習課題) 学習項目 2-4 海・漁港・船舶・鮨屋のイラスト A 生活・健康・安全 教育. 学校のまわり

指導をしている学校も見られた。たとえば中学校の家庭科の授業では、事前に3R(reduce, reuse, recycle)や5 R(refuse, reduce, reuse,

 英語の関学の伝統を継承するのが「子どもと英 語」です。初等教育における英語教育に対応でき

小学校学習指導要領総則第1の3において、「学校における体育・健康に関する指導は、児

 文学部では今年度から中国語学習会が 週2回、韓国朝鮮語学習会が週1回、文学

具体的な取組の 状況とその効果 に対する評価.

 履修できる科目は、所属学部で開講する、教育職員免許状取得のために必要な『教科及び