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Multi-scale structural design of MEAs with enhanced performance and durability for PEFCs 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 石川 潤 博士の専攻分野の名称 博士(工学) 学 位 記 番 号 医工博甲第434号 学 位 授 与 年 月 日 平成30年3月23日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1 項該当 専 攻 名 グリーンエネルギー変換工学特別教育プログラム 学 位 論 文 題 目 Multi-scale structural design of MEAs with enhanced

performance and durability for PEFCs

(固体高分子形燃料電池 MEA の性能耐久性向上に向けたマルチスケール構造設計) 論 文 審 査 委 員 主査 教 授 内田 誠 教 授 柿沼 克良 教 授 宮武 健治 教 授 犬飼 潤治 大邸慶北科学技術大学(韓国)教 授 Hasuck Kim 客員准教授 大間 敦史

学位論文内容の要旨

第1・2 章では本研究の背景、目的について述べている。21 世紀に直面する地球温暖化 や化石燃料枯渇等の環境・資源問題に対し、太陽光・風力等のCO2を排出しない再生可能 エネルギーの活用と水素・燃料電池を用いたエネルギーインフラの構築が求められている。 固体高分子形燃料電池PEFCs はクリーンで高効率な発電機器として、燃料電池自動車 FCV や家庭用燃料電池エネファームとして商品化されているが、さらなる普及に向けて電池の コストを低減しつつ性能・耐久性を向上する必要があり、高価なPt 触媒使用量の低減、電 極内の反応・物質輸送性の向上と、発電時の材料劣化抑制が重要な課題となっている。本 研究では電池の構造設計に主眼を置き、電極・電解質膜・MEA(膜電極接合体)の構造と燃 料電池の性能・耐久性の関係を明らかにすることで、性能耐久を両立する新しい電池構造 の提案を行った。 第3 章では、燃料電池の運転時の乾湿サイクルにより MEA のエッジ部が機械的に劣 化・破膜することを見出し、劣化を抑制する新しいエッジ補強構造を設計した。破膜部の 分析から、補強のないエッジ部の膜は乾湿サイクルで膨潤収縮しやすく、さらに硬いペー パーGDL が締結時にエッジ部の膜を加圧していることが分かった。これに対し、エッジ部

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の膜をサブガスケット(PPS フィルム)で固定し、ペーパーGDL より 10 倍以上柔らかい soft GDL を用いたエッジ補強構造を作成しサイクル試験を行った。その結果、サイクル耐久性 が約100 倍向上し、30,000 サイクルの耐久性を示した。一方、耐久後の膜はエッジ部で大 きく塑性変形しており、依然として機械的な劣化は進行していることが分かった。これら の結果を元に、さらなるエッジ部機械応力緩和構造を提案した。 第4 章では膜の機械耐久性向上に向けて、ポリマー構造の改良を行った。分子構造が 設計しやすい炭化水素ポリマーを用いて、従来のSPK(スルホン化ポリエーテルケトン)の親 水部からケトン基を除いたSPP(スルホン化ポリフェニレン)を設計した。ケトン基を除くこ とでSPP 膜のポリマー鎖の自由度と親水性を低下させ、機械強度を約 2 倍向上、乾湿寸法 変化率を約50%低減することに成功した。これにより、SPP 膜の乾湿サイクル耐久性は、 同構造(第 3 章参照)の比較で SPK 膜の 5 倍以上を示し、市販の Nafion 膜よりも高かった。 一方、耐久後の解析ではエッジ部で分子量やイオン交換容量の低下が見られ、膜の化学分 解・劣化が示唆された。さらなる対策として、機械強度向上・寸法変化低減に加えて、ポ リマーの架橋や芯材補強構造を提案した。 第5 章では、燃料電池の性能向上に向けて触媒層構造の設計を行った。市販の Pt black(球状凝集体)とポールシェラー研究所で開発された Pt3Ni aerogel 触媒(棒状凝集体)を 使った触媒層を作成し、その電池性能を評価すると共に、触媒層構造をFIB-SEM、モデリ ングを組み合わせて解析し、構造と性能の関係を明らかにした。その結果、Pt black は球 状凝集体の立体障害により100 nm 以上の大細孔を形成するのに対し、Pt3Ni aerogel 触媒 は棒状凝集体内部に100nm 以下の小細孔を形成するが、アスペクト比が高いため大細孔が 形成されず触媒層内のO2拡散性が低いことを見出した。対策として、造孔剤K2CO3を導 入し酸洗いで除去することで、大細孔が形成・O2拡散律速が解消され電池性能が大幅に向 上した。本検討から分析・解析を組み合わせた新しい電極構造設計手法を確立した。 第6 章では、触媒層形成プロセスと触媒層構造・性能の関係を、モデリングを用いて 議論した。3 種類の異なるカーボン凝集体の充填モデル(ランダム充填・積層充填・整列充 填)を作成し、モデル触媒層構造を設計後、その細孔径分布・Pt 間距離・Ionomer 被覆率・ 被覆厚み・屈曲度を定量的に比較した。その結果、積層充填では立体障害で100 nm 以上の 大細孔が形成されるのに対し、ランダム充填では50-100 nm に均一な細孔分布を持ち、整 列充填では50 nm 以下の緻密な構造となった。また 3 種の充填方法各々で、細孔・カーボ ン・アイオノマーの屈曲度が異なり、細孔とカーボン・アイオノマーの連結性にトレード オフが存在することを見出した。これに対し、仮想的に配向したピラー触媒層を作成・評 価した結果、このトレードオフが解消され全ての物質輸送抵抗が低い最適構造を得られた。

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第7・8 章では、以上の結果をまとめ理想の MEA 構造を議論した。本研究では、MEA の各構造における課題を見出し、エッジ補強構造・炭化水素膜のポリマー構造制御・触媒 層の細孔構造や形成プロセス・配向性制御により、MEA 全体として高い性能と耐久性を両 立した。また、これら各材料・部材には、それぞれ性能と耐久性のトレードオフが存在し、 MEA 全体として性能耐久性を両立するためには各材料の組成・特性に加え、形状・界面・ 組み合わせとメカニズムを理解し、構造制御・設計することが重要であることを示した。 さらに構造最適化に加え、マルチスケールの構造分析・解析を組み合わせ、性能耐久性と 構造の関係を紐付けることで、理想的なMEA の構造設計指針を得る新しい MEA の設計手 法を確立した。

論文審査結果の要旨

本論文は、固体高分子形燃料電池(PEFCs)の膜電極接合体(MEA)の構造に着目し、 MEA 構造が燃料電池の性能・耐久に与える影響とそのメカニズムを解明することで、性能 耐久を両立するMEA 構造の設計を目指したものである。 第 1・2 章では、地球環境問題の現状とクリーンで持続可能な社会の実現に向けて、 PEFCs のさらなる普及の必要性について述べている。特に MEA の低コスト・高性能・高 耐久化が求められており、各材料の改良だけでなく、その組み合わせの影響とMEA 全体の 構造設計が必要であることを明確に説明し、十分な知識を有していることを確認した。 第3 章では、乾湿サイクルによる MEA の機械劣化に着目し、エッジ部の劣化メカニズ ムと新しい補強構造について述べている。劣化分析から、膜の膨潤収縮とエッジ部の締結 応力集中が劣化要因と推定され、サブガスケットとソフトGDL を用いた新規エッジ補強構 造を考案し、機械劣化を抑制することで乾湿サイクル30,000 回の優れた耐久性を得ている。 これは今後の膜や触媒層と組み合わせた設計をする上で意義深い成果であると考えられる。 第4 章では、膜の機械耐久性向上に向けてポリマー構造の改良と膜劣化メカニズムの解 明を行っている。SPK 膜からケトン基を除いた SPP 膜を開発することで、ポリマー鎖の自 由度と親水性を低下させ、機械強度を約2 倍向上、乾湿寸法変化率を約 50%低減に成功し ている。その結果、SPP 膜の乾湿サイクル耐久性は SPK 膜の 5 倍以上、Nafion 膜よりも 高い耐久性を得ている。ポリマーの分子構造、膜の機械特性と電池の耐久性を関連付け、 強度・寸法変化率などで定量化したことは今後の膜設計に対し非常に重要な意味を持つ。

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第5 章では、燃料電池の性能向上に向けて触媒層構造を設計・制御している。形状の異 なるPt black と Pt3Ni aerogel を用いた触媒層を比較し、触媒形状と触媒層構造・電池性能 の関係を解明すると共に、造孔剤を用いて細孔構造を制御し、触媒層内のO2拡散性を向上 させて大幅な性能向上に成功している。さらに、触媒層の構造評価にFIB-SEM、モデリン グを組み合わせた独自の手法を開発し、マルチスケールの構造分析・解析法を確立してい る。本手法は本系以外の電極構造設計にも応用可能であり、非常に意義深いものである。 第6 章では、実験では観察が困難な触媒層形成プロセスと触媒層構造・性能の関係を、 モデリングを用いて議論している。3 種のカーボン充填モデルを作成し、プロセスが細孔構 造や屈曲度に大きく影響を及ぼすことを見出した。さらに、触媒層内の各材料の連結性を 両立する、仮想配向触媒層を提案し物質輸送のトレードオフを解消することに成功できた ことは、実験で検討が難しいナノ構造の特性・性能予測に展開でき、意義深いものである。 第7 章では、3-6 章をまとめ MEA 全体として性能耐久を両立する構造設計指針を提案 しており、全体最適とトレードオフを考慮した非常に重要な設計思想であると言える。

以上の内容は、著名な国際学会誌Journal of The Electrochemical Society, Journal of Power Sources へ計 3 報掲載され、審査委員より高い評価を得ており PEFC の高性能・高 耐久化に寄与するものである。以上により博士論文審査委員全員の合意において、本論文 は博士(工学)の学位論文として適格と認め、合格と判断した。

参照

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