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2 0 1 7 . 3 V o l . 1 1 N o . 4血 液 内 科
消 化 器 内 科
皮 膚 科
消化器内科では、消化管(食道・胃・十二指腸・小腸・大腸) や肝胆膵領域(肝臓・胆嚢・胆管・膵臓)を中心に、すべての消 化器疾患に対して診断、治療を行っております。シームレスな 医療をモットーに、外科的な治療と内科的な治療の間で最も 適した治療方法を選択することを心がけています。 長年にわたり消化器内科医長一人体制で走り続けてきまし たが、日進月歩のペースで進歩を続ける医療に乗り遅れない ようにするために2015年4月に組織の変革を行いました。新た に肝臓内科部門を独立させ、松下公紀先生が初代肝臓内科 医長に昇任しました。 今後は消化器内科医長と肝臓内科医長の二頭立て(馬力 が二倍?)でますます力強く消化器内科部門を前に進めていき ます。優秀な中堅若手スタッフにも恵まれており今後も病院の 枠を超えた大いなる飛躍が期待されます。 では最近の当科の活動内容を混じえながら消化器内科の 現状を紹介させていただきます。 長年、不治の病であった、B型、C型肝炎は、劇的に治療が 進化しています。B型肝炎は、内服薬でウイルスを押さえること ができ、C型肝炎は、内服薬でウイルスを駆除できるようにな っています。当院でも多くの患者さんに治療を導入し、肝機能 が安定し、肝硬変、肝癌への進行を抑えています。 ウイルス性肝炎は、本人が自覚無く感染していることが多く、 放置されていることは問題になっています。当院は、厚生労働 省の方針である肝炎診療体制の整備拡充促進のため、岡山 県肝疾患二次専門医療機関に認定されており、医療従事者 向けの研修会や、患者に向けて健康教室などを行い、肝疾患 の正しい知識を発信し、普及啓発しています。 また、当院は全国の国立病院機構で構成される肝疾患共 同臨床研究グループに所属しており、年に2回その会議に参加 しています。研究グループでの大規模なデータは、日本のみな らず、世界でも注目されるエビデンスを発信しています。 胆管結石症に対して内視鏡を用いた結石除去術や、悪性 腫瘍に伴う閉塞性黄疸に対してステント留置術などを行って おります。胆膵疾患は、感染を伴った場合は致死性となること があり、治療に緊急を要することも少なくありません。外科との 緊密な連携のもとに診断、治療にあたっております。 さらに今年、超音波内視鏡下穿刺吸引法(Endoscopic Ultrasound-Fine Needle Aspiration:EUS-FNA)を導入 予定です。CT、MRIでは診断困難な腫瘍性病変に対して、 EUS-FNAにより組織を採取することで正確な診断が可能と なります。その診断能は76-95%と報告されており、治療法を 選択するうえで組織学的診断は非常に重要であると考えられ ます。超音波内視鏡による詳細な画像検査に加え、同時に組 織を採取し評価することが可能となることで、より胆膵疾患の 診断の質が向上すると思われます。また、胆膵疾患ばかりで はなく、上下部消化管の粘膜下腫瘍の診断にも寄与すると思 われます。Narrow Band Imaging(NBI)、拡大内視鏡の導入により リンパ節転移の可能性がほとんどないと考えられる早期病変 の発見が増え、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)による低侵 襲な治療を行う機会が増えてきています。当科でも早期食道 癌、胃癌、大腸癌に対してESDを行っており、件数も徐々に増 加し、年間100件を越えようとしています。また腹腔鏡・内視鏡 合 同 手 術(Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery:LECS)の件数も年々増加傾向にあり、より当科の治 療域が広がってきております。また、治療はもちろんのこと、内 視鏡診断にも力を注いでおり、週1回の生検カンファレンスや 月1回行う院外の先生を交えたESDカンファレンス等で研鑽 を積んでいます。 小腸については、以前は暗黒大陸とも言われ、内視鏡での 観察が不能とされる臓器でした。しかし、近年ダブルバルーン 内視鏡、カプセル内視鏡の開発により、全小腸の観察が可能 となっています。小腸癌、悪性リンパ腫、GIST等を認めた場合 に生検診断を行うことや、小腸潰瘍、angioectasis 等からの 出血に対してダブルバルーン内視鏡で止血術を行うこともあり ます。最近は抗凝固薬、抗血小板薬を内服される患者様が増 加するにつれて、小腸の粘膜障害から出血を来す患者様も増 える傾向にあります。 また消化器癌に対しては、他の多くの癌と同様に根治治療 の第一選択は手術となります。しかし、治癒切除不能な進行・ 再発癌が見つかる患者様も非常に多く、こういった方々には 化学療法が必要となります。新規抗がん剤や分子標的薬の導 入、また術前・術後の補助化学療法を含め、消化器癌治療に おいて化学療法が担う役割も非常に大きくなっています。当科 では、エビデンスに基づいた標準的な化学療法を行うと共に、 臨床試験にも積極的に参加することで標準治療の確立に貢 献していきたいと考えています。
上下部消化管部門
肝臓部門
胆膵部門
■消化器内科医師 若槻 俊之特集
診療科等紹介
日々進歩する医療に対して、常に最新の知見に基づいた医 療を提供するため、院内でのカンファレンスはもちろんのこと、 他施設も含めた次世代の育成にも力を入れています。最近で は、岡山県内の若手の育成を目的とした研究会『HERO研究 会 –Honest learning of Endoscopic diagnostics, Radiant meeting in Okayama–』を2014年に立ち上げ、年3回開催しています。 内視鏡診断学を指導、教育しており、昨 年12月には第9回を終え、岡山市内にとど まらず県外からの参加も増えてきています。 また、今年7月には、当院初となるESD live demonstration & Hands on seminarを開催予定です。当院で行われ ている早期癌に対する最先端の内視鏡診 断による Live Demonstration、また最 新の診断手技、そして内視鏡的粘膜下層 剥離術(ESD)のコツとポイントを示すいい 機会となると思います。 また研究会、学会発表等も積極的に行 っており、当科レジデントの2人だけでも年 間10回程度の発表を行っております。また昨年度は当科のデ ータをまとめ、日本消化器関連学会(JDDW)およびUnited European Gastroenterology week(UEGW)でも発表を 行いました。今後も当科の成績、自主臨床研究をもとに、新た な知見を国内外へ発信してまいります。