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ジャワ島中部地震 -- 地域社会と図書館 (特集 災害と図書館)

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(1)

ジャワ島中部地震 -- 地域社会と図書館 (特集 災

害と図書館)

著者

東川 繁

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

210

ページ

21-22

発行年

2013-03

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00003749

(2)

  二〇〇六年五月二七日午前六時 直 前〔 イ ン ド ネ シ ア 西 部 時 間 〕、 イ ン ド ネ シ ア・ ジ ャ ワ 島 中 部 の ジ ョ グ ジ ャ カ ル タ 特 別 州 を 中 心 に、マグニチュード六・三の地震 が発生した。この地区にある活断 層 の 働 き に よ る も の と さ れ て い る。津波による大きな被害を招い た二〇〇四年一二月のスマトラ島 沖地震がマグニチュード九・一と いわれているから、それだけ比較 すれば巨大地震とはいえないのか もしれない。しかし、震源地が内 陸寄りであったため直下型地震と なり、被害が拡大したといわれて いる。被害の正確な規模はいまだ に把握しきれていないが、六〇〇 〇人前後の死者が出たと考えられ る。 全 半 壊 し た 家 屋 数 も 報 告 に よってばらつきがあるが、二〇万 戸以上になるもようである。地震 の規模に比較して被害が拡大した もうひとつの理由は、単に煉瓦を 積み上げただけの低耐震構造住宅 が多かったためとされている。   現 地 の 人 た ち は 、 こ の 地 震 を 「 ジ ョ グ ジ ャ カ ル タ 地 震 」 と 呼 ん で い る 。 ジ ョ グ ジ ャ カ ル タ 特 別 州 は 州 と同 格 の 特 別 行 政 区 域 で 、 州 都 で あ る ジ ョ グ ジ ャ カ ル タ 市 の ほ か 四 つ の 県 ( ka bu pa te n か ら 成 る が 、 今 回 の 地 震 の 被 害 が 最 も 大 き か っ た の は 、そ の な か の バ ン ト ゥ ル ( B an tu l ) 県 で あ る 。 実 際 、 死 者 の 三 分 の 二 は こ の 県 で 生 じ て い る と い う 。 建 物 の 倒 壊 率 は 五 割 か ら 七 割 で 、 八 割 と い う 報 告 も あ る 。

●震災被害報告会

  筆 者 は イ ン ド ネ シ ア に お け る 資 料 収 集 お よ び 資 料 事 情 調 査 の 一 環 と し て 二 〇 一 二 年 一 一 月 当 初 に ジ ョ グ ジ ャ カ ルタ を 訪 問 す る こ と に な っ て い た が 、 こ れ に 合 わ せ て 当 地 区 図 書 館 の ジ ャ ワ 島 中 部 地 震 に よ る被 災 状 況 の 聞 き 取 り を 計 画 し た 。 さ い わ い 当 地 区 図 書 館 界 の 重 鎮 で あ る 前 ガ ジ ャ マ ダ 大 学 図 書 館 長 イ ダ 氏 ( Id a F aja r P riy an to か ら 仲 介 の 労 を いた だ き 、 現 地 で 震 災 被 害 の 報 告 会が 開 催 さ れ る こ と な っ た 。 報 告 会 は ジ ョ グ ジ ャ カ ル タ 地 区 司 書 協 会 主 催 に よ り 、 一 一 月 一 日 に 開 催 さ れ た 。 イ ダ 氏 は 当 日 ア メ リ カ 出 張 中の た め 、 ウ ェ ブ 会 議 シ ス テ ムを 利 用 し て の 参 加 と な っ た 。 会 議 に は 、 同 地 区 の 各 種 図 書 館 から 二 〇 名 ほ ど が 参 加 し た 。 報 告 の 詳 細 をこ こ に 述 べ る こ と はで き な い が 、 被 害 の 概 要 、 復 旧 作 業 の 内 容 と 進 行 、 図 書 館 サ ー ビ ス の 再 開 と 評 価 に 大 別 で き る 。 特 に 印 象 的 で あ っ た の は 、 通 信 網 が 大 き な 被 害 を 受 け た た め コ ン ピ ュ ー タ シ ス テ ム の 復 旧 が 遅 れ 、 オ ン ラ イ ン で の 作 業 が 長 期 間 不 可 能 に な っ た と い う 点 で あ る 。 オン ラ イ ン 業 務 が 完 全 に 再 開 し た の は 、 地 域 全 体 と し て は 二 〇 一 〇 年 に 入 っ て か ら と い う 。 そ れ ま で の 期 間 は 、 カ ー ド 目 録 を 作 成 し た り し て マ ニ ュ ア ル 業 務 に 頼 ら ざ る を え な か っ た と い う 。   報告によると、ジョグジャカル タ地区内で最大の被害を被ったの は、専門図書館のインドネシア芸 術研究所図書館と公立図書館のバ ントゥル図書館である。前者は海 岸に近いため、地震よりも津波の 被 害 が 大 き か っ た と い う。 バ ン トゥル図書館は実際に訪問し、復 旧の状況を確認することができた (写真参照) 。 震災被害報告会の様子。画面はイダ氏(筆者撮影)

特 集

災 害 と 図 書 館

 

  地

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●地域社会への貢献

  報 告 会 に お い て 各 図 書 館 の 被 災・復興状況以上に報告の時間が 割かれたのは、地域住民に対する 図書館の貢献活動であった。その 際、象徴的に繰り返されたのはゴ ト ン・ ロ ヨ ン( gotong royong ) と い う 言 葉 で あ る。 「 相 互 扶 助 」 などと訳されるが、ジャワを中心 としたインドネシアの伝統社会の 特質を表す概念のひとつとされて いる。   地震に限らず大きな災害の発生 後はいわゆるPTSD(心的外傷 後 ス ト レ ス 障 害 ) が 問 題 に な る。 インドネシアの人口構造は若年者 の多いピラミッド型だが、それも あってか、特に子供たちの心のケ アが重視されたという。その一環 として、ジョグジャカルタ地区の 図書館が中心になり、本の読み聞 かせ会が活発に行われた。報告に よると、子供たちは熱心に聞き入 り、次回の訪問を楽しみにしてい たということである。また、図書 館の多くが施設の被害を受けたた め、従来の来館型サービス中心か ら 自 動 車 を 利 用 し た 移 動 図 書 館 ( ブ ッ ク モ ビ ー ル ) 中 心 の サ ー ビ スに切り替えたところ、住民にも 好評であったという。   図書館員としての本来の業務以 外で地域社会を支える活動も報告 された。一例として、バントゥル 県 ジ ュ テ ィ ス( Jetis ) 郡 の ブ ル スクロン( Bulus K ulon )地区で は、ガジャマダ大学図書館の職員 が地震発生の翌月に被災地に出か け、 瓦礫の撤去作業を行っている。 同図書館に勤務する職員の家族が 犠 牲 に な っ た こ と が き っ か け で あ っ た と い う。 同 僚 約 三 〇 人 は、 ス コ ッ プ、 バ ケ ツ、 く わ、 担 架、 一輪車など瓦礫収集・運搬用の道 具 類 は も ち ろ ん の こ と、 テ ン ト、 食料、飲料も持参するという「完 全装備」で現地入りした。道路に 山積した瓦礫を数カ所に集めて歩 道を確保し、住民の通行や仮設住 宅用建設資材の運搬を容易にした という。

●図書館間国際交流の重要性

  今回の訪問では、インドネシア 側が図書館災害に関連する外国の 情報や経営ノウハウを強く求めて いることを感じた。それは、被災 時の援助というよりももっと中長 期的な視点からの国際協力という べきものである。特に、同じ地震 多発国である日本に対する関心は 高い。報告会でも日本関連の質問 が多く出された。具体的には、東 日本大震災における図書館界の対 応をはじめとして、図書館の耐震 構造・設計、耐震対応書架、備蓄 用品など施設 ・ 設備に関すること、 データの保存・保守、図書館情報 ネットワークの在り方など多岐に わたる。図書館間の国際的な協力 体制の構築が望まれるところであ ろう。 ( ひ が し か わ   し げ る / ア ジ ア 経 済 研究所   図書館資料企画課) 奥が新築されたバントゥル図書館。手前は日本の援助で建設さ れた血液センター(筆者撮影) 震災前の姿に復元された旧バントゥル図書館。現在は震災記念 館となっている。右側は血液センターの屋根(筆者撮影) 震災後ガジャマダ大学内に設置された災害対応施設(筆者撮影)

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参照

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