《CFD特 集-2:先
端 的技 術 開発 と実 用 化 》
〔
展 望 ・解 説 〕
熱流 体 解 析 プロ グ ラ ム
SCRYU / Tetra for Windows
の特徴及 び適応事例紹介
黒 石 浩 之*1 栗 林 真 一*2 1.は じ め に 最 近 の コ ン ピ ュ ー タ ー の 高 性 能 化 、 低 コ ス ト 化 を背 景 に 製 造 業 に お い て 三 次 元CADを 使 用 し た 設 計 が 盛 ん に な っ て き て い る 。 こ れ は 設 計 の 段 階 で 問 題 点 を 把 握 し解 決 す る こ と に よ り、 開 発 期 間 の 短 縮 化 と高 品 質 な 製 品 を 市 場 に い ち は や く投 入 す る とい う 目 的 の た め だ が 、 こ れ を 背 景 に 設 計 段 階 で の 流 体 解 析 シ ュ ミ レー シ ョ ン は ます ま す 重 要 な 役 割 を担 っ て い る 。 こ れ に 伴 い 、 ① 手 動 に よ る 計 算 格 子 作 成 な ど の 特 殊 技 能 を必 要 とせ ず ウ ィ ザ ー ドに 従 っ て 必 要 項 目 を設 定 す れ ば 格 子 の 自 動 作 成 か ら解 析 ま で が で き 、 初 心 者 で も簡 単 な 導 入 研 修 で す ぐ に 使 い こ な せ る こ と ② 修 正 発 生 が 少 な い 自動 格 子 の 為 、 複 雑 な 製 品 形 状 で も 短 期 間 で 解 析 が 出 来 る こ と ③ パ ソ コ ン を 用 い て 少 メ モ リ で 高 速 計 算 が で き、 解 析 精 度 が 実 用 に 十 分 で あ り安 定 に 解 け る こ と 等 の 特 徴 を持 つ 汎 用 解 析 シ ス テ ム が 望 ま れ て い る 。 こ れ ら の ニ ー ズ に 応 え 、SCRYU/Tetraは 熱 流 動 解 析 を専 門 と し な い 設 計 者 が 実 用 設 計 ツ ー ル と して 使 用 で き る こ と を 目標 に 開 発 さ れ た 熱 流 体 解 析 シ ス テ ム で あ る 。 2.3次 元CADデ ー タ か ら の 自 動 格 子 生 成 SCRYU/Tetraは 設 計 用CADと の 連 携 を 意 識 して い る た め プ リ プ ロ セ ッ サ は モ デ ラ ー 機 能 を も た ず 、CADか らの 形 状 入 力 が 前 提 と な る 。 現 在 対 応 し て い る 入 力 イ ン タ フ ェ ー ス はSTL、 DXF(3DFACE)、NASTRANバ ル クデ ー タ 、I― DEASユ ニ バ ー サ ル 形 式 な ど三 角 形 パ ッチ をベ ー ス に し た フ ォ ー マ ッ トで あ る 。 入 力 さ れ た 表 面 三 角 形 パ ッチ は 形 状 が 悪 く そ の ま ま解 析 用 格 子 の 表 面 と して 使 用 で き な い こ とが あ り 、 プ リ プ ロ セ ッサ ヒで 品 質 の 良 い 計 算 用 格 子 の 表 面 を 高 速 に 再 作 成 す る 機 能 を 持 た せ た 。 従 来 の6面 体 主 体 の 流 体 解 析 と比 較 し 自 動 格 子 生 成 機 能 を有 す る こ と に よ り飛 躍 的 な 解 析 期 間 の 短 縮 を 可 能 に して い る 。 こ の よ う な 背 景 か ら 近 年 で は 系 全 体 を 意 識 した 流 体 解 析 が 実 用 化 さ れ つ つ あ る 。 3.系 全 体 に よ る 流 体 解 析 機 械 部 品 に 組 み 込 ま れ る 回 転 機 械 は 、 単 品 に よ る 性 能 曲 線 は フ ァ ン メ ー カ ー な どか ら供 給 さ れ る が 、 最 終 的 に は 組 み 付 け た 状 態 に よ り系 と し て そ の 性 能 の 是 非 が 決 定 さ れ る 。 し た が っ て 設 計 現 場 で は 、 回 転 機 械 の 取 り付 け 状 態 に お け る 風 量 、 騒 音 、 系 全 体 の 流 れ な ど が 計 画 ど お り に 作 用 して い る か ど う か に 関 心 が あ る 。 こ れ ら に つ い て は 、 手 法 上 や ハ ー ドウ ェ ア能 力 な どの 理 由 に よ りCFDで は な く、 試 作 に よ る 実 験 評 価 *1(株)ソ フ ト ウ ェ ア ク レ イ ドル 技 術 部 *2(株)ソ フ ト ウ ェ ア ク レ イ ドル 営 業 部 原 稿 受 付 日 平 成12年7月31日762 熱 流 体 解 析 プ ロ グ ラ ムSCRYU/Tetra for Windowsの 特 徴 及 び 適 応 事 例 紹 介 …(2) が 主 流 で あ っ た 。 近 年 の ハ ー ドウ ェ ア の 進 歩 に よ り、 回 転 機 械 を 含 ん だ 系 に つ い て もCFDを 利 用 した 評 価 が 可 能 に な り、 製 品 開 発 期 間 短 縮 と し て そ の 利 用 へ の 期 待 が 高 ま りつ つ あ る 。 自 動 格 子 生 成 機 能 を 持 つSCRYU/Tetraは 、 従 来 困 難 と さ れ て き た よ り実 際 に 近 い 組 み 付 け 状 態 で の 解 析 を 可 能 と し 、 設 計 現 場 の 要 求 を 満 た す も の で あ る。 本 編 で は 、 適 応 事 例 を以 下 に 示 す 。 4.適 応 事 例 適 応 事例1:冷 蔵庫 機 械 室 へ の 適 応 ((株)東芝 ・家 電 機 器 社 様 ご提 供) 家 庭 用 冷 蔵 庫 機 械 室 で は 、 プ ロ ペ ラ フ ァ ン を 用 い た 放 熱 設 計 が 行 わ れ て お り、 これ らの 検 討 に は 、 フ ァ ン形 状 、 ダ ク ト形 状 を 同 時 に 検 討 し て い く必 要 が あ る 。 系 全 体 を 領 域 と し た 場 合 、 従 来 の 方 法 で は メ ッ シ ュ作 成 の 為 に 多 大 な 時 間 を 要 した が 、SCRYU/Telraの 強 力 な 自動 格 子 生 成 機 能 を も い る こ と に よ り、3D-CADな ど か ら形 状 を イ ン ポ ー トす る と、 約1日 で 、 メ ッ シ ュ 作 成 を 完 了 し 、 計 算 を 開 始 す る 事 が で き る 。 実 験 に 替 わ る パ ラ メ ー タ サ ー ベ イ に も耐 え う る 仕 様 に な っ て い る 。 解 析 に は 、 不 連 続 接 合/A.L.E機 能 を 使 用 す る こ と に よ り、 プ ロ ペ ラ フ ァ ン を 回 転 さ せ た 状 態 で 流 れ 場 の 検 討 を行 う事 が で き る 。 ま た 、 テ トラ 要 素 系 ソ ル バ ー で は 壁 面 精 度 に 問 題 が あ る と さ れ て き た が 、SCRYU/Tetraは 、 自動 格 子 生 成 機 能 の 中 に 表 面 に 対 す る プ リ ズ ム 要 素 生 成 機 能 を併 せ 持 つ た め に 、 壁 面 に対 して も 精 度 良 い 解 析 が 可 能 と な っ て い る 。 冷 蔵 庫 機 械 室 内 の 羽 根 枚 数 の 異 な る プ ロペ ラ フ ァ ン につ い て 比 較 検 討 を行 っ た 。 〔解 析 条 件 〕 ●3次 元 非 定 常 解 析 ●乱 流 モ デ ル(標 準k-e方 程 式) ●移 流 項(MUSCL(2次 精 度)) ●不 連 続 接 合 及 びALE ●流 量33.2m3/h 図1冷 蔵 庫 断 面 図2冷 蔵庫機械室 図3解 析 モ デ ル ● 回 転 数1250rpm(3枚 翼)、1070rpm(5枚 翼) ● メ ッ シ ュ 数 回 転 領 域(20万 要 素) ●静 止 領 域(50万 要 素) 解 析 結 果 を 図6、7に 示 す 。 解 析 は 、 同 一 風 量 と な る よ う に 、 回 転 数 を 変 更 した 。 解 析 に よ り、5枚 羽 根 の 方 が 翼 間 の 流 れ が ス ム ー ズ に 流 れ て い る こ とが わ か っ た 。 ま た 、3 枚 羽 根 に 比 べ て 翼 端 の 逆 流 も押 さ え られ て い る 事 が わ か っ た 。 後 の 実 験 に よ り、5枚 羽 根 を 採 用 す る 事 に よ り、 扉 前 の 騒 音 が2.5dB減 少 す る こ と が わ か っ た 。 今 後 は 、 ダ ク トの 形 状 変 更 や 機 械 室 内 に つ い て 、 凝 縮 器 な ど実 際 に 近 い 部 品 58 2000年12月
図4解 析 メ ッ シ ュ図 図55枚 羽 根 図63枚 羽 根 断面 ベ ク トル 図 図75枚 羽 根 断面 ベ ク トル 図 図8凝 縮 器 を含 め た フ ァ ン解 析 を 配 置 す る 事 に よ り、 更 に 試 作 品 に近 い レベ ル で の 解 析 が 期 待 で き る 。 適 応 事 例2:斜 流 ポ ン プ へ の 適 応 ((株)電業 社 機 械 製 作 所 様 ご提 供) 斜 流 ポ ン プ は 、 先 の 事 例 に 比 す と単 品 に 近 い 形 で の 製 品 が 多 い 。 翼 設 計 か ら み る と、 逆 解 析 を 利 用 した 翼 形 状 の 作 成 が 可 能 に な っ て き て は い る が 、 要 求 仕 様 を 満 足 した も の に な っ て い る か ど う か に つ い て は 、 全 体 の 解 析 が 必 要 に な る 。SCRYU/Tetraを 用 い て 解 析 した 結 果 を 実 験 値 と比 較 した 。 メ ッ シ ュ 作 成 に 要 し た 時 間 は 2.5時 間 で あ る 。 〔解 析 条 件 〕 ●3次 元 非 定 常 解 析 ●乱 流 モ デ ル(標 準k-e方 程 式) ●移 流 項(MUSCL(2次 精 度)) ●不 連 続 接 合 及 びALE ● 回 転 数1458rpm ● メ ッ シ ュ 数 回 転 領 域(120万 要 素) ●静 止 領 域(40万 要 素) 図13に 、H-Qに よ る 実 験 と の 比 較 を 示 す 。 実 験 値 に 対 して 良 い 精 度 で 解 析 で き て い る 事 が
764 熱 流 体 解 析 プ ロ グ ラ ムSCRYU/Tetra for Windowsの 特 徴 及 び 適 応 事 例 紹 介 …(4) 図9斜 流 ポ ン プ 図10メ ッ シ ュ 図 図11ベ ク トル 図 図12流 線 図 わ か る 。 5.お わ り に SCRYU/Tetraに よ る 活 用 事 例 を 示 し た 。 図13H-Q分 布 図14SCRYU/Tetra分 散 パ ラ レ ル 速 度 倍 率 図 SCRYU/Tetraは 、 シ ス テ ム をPC上 で 構 築 で き る た め に 、CFD担 当 者 に と ど ま ら ず そ の 操 作 性 と共 に 設 計 現 場 へ の 展 開 が 容 易 に行 え る よ う に な っ て い る 。 ま た 、 プ リ ・ポ ス トと ソ ル バ ー の 分 離 販 売 に よ り柔 軟 な 対 応 を 可 能 と し て い る 。 こ の こ と は 、 エ ン ジ ニ ア リ ン グ とい う 視 点 に お い て も 、 対 費 効 果 に す ぐ れ た 能 力 を 発 揮 す る 。 更 に 大 規 模 ・高 度 な 解 析 ニ ー ズ へ の 対 応 と し て 、 分 散 パ ラ レ ル 化 を 進 め て い る 。 図14に 分 散 パ ラ レル 版 の 倍 率 を 示 す 。 現 在 理 想 倍 率 を大 き く 上 回 る 結 果 と な っ て い る。 こ の 要 因 と して はCPUが 増 え キ ャ ッ シ ュ へ の ヒ ッ ト率 が 上 が っ た た め と考 え られ る 。 60 2000年12月
図3遠 心 ポ ンプ性 能予 測 解 析 結 果 例 図7遠 心 ポ ンプ の 解 析 モ デ ル
本 文57p∼60p「 熱 流 体 解 析 プ ロ グ ラ ムSCRYU/Tetra for Windowsの 特 徴 お よ び 適 応 事 例 紹 介 」 黒 石 浩 之 ・栗 林 真 一
図11ベ ク トル 図 図12流 線 図
本 文61p∼64p「 タ ー ボ 機 械 羽 根 設 計 ツ ー ル タ ー ボ ブ レ ー ド」 林 正 基 ・毛 利 昌 康
〈参 考 図 〉