在宅看取りについて 在宅における看取りの実際 〜最期まで自分らしくを支える〜
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(2) 公益財団法人在宅医療助成勇美記念財団の助成による. 在. 司会. 1、主催者挨拶. 宅. 看 取 り に つ い て. 公益社団法人船橋地域福祉・介護・医療推進機構 理事 鵜澤 龍一 公益社団法人船橋地域福祉・介護・医療推進機構 代表理事. 2、来賓挨拶. 菅谷 和夫. 船橋市健康福祉局長 伊藤 誠二氏 一般社団法人船橋市医師会 会長 寺田 俊昌氏. 3、基調講演. 「在宅における看取りの実際 ~ 最期まで自分らしくを支える ~」 [講師] 神田 敏博 氏 つばさ在宅クリニック西船橋 院長. 4、シンポジウム [コーディネーター] 土居 良康 氏 (土居内科医院 副院長) [シンポジスト] 神田 敏博 氏 (医師 つばさ在宅クリニック西船橋 院長) 武井 泉 氏 (訪問看護師 セコム船橋訪問看護ステーション 所長) 4、閉会挨拶. 222. 公益社団法人船橋地域福祉・介護・医療推進機構. 主催:公益社団法人船橋地域福祉・介護・医療推進機構 後援:船橋市・一般社団法人船橋市医師会・公益社団法人船橋歯科医師会 一般社団法人船橋薬剤師会・船橋在宅医療ひまわりネットワーク、 船橋南部在宅療養研究会、船橋市介護支援専門員協議会.
(3) 在宅における看取りの実際 ~最期まで自分らしくを支える~. つばさ在宅クリニック西船橋. 院長. 神田. 敏博.
(4) 1. つばさ在宅クリニックについて 2. 3. 船橋市の在宅看取りの現状. 実際の症例報告 4. 人生の最終場面の数々.
(5) つばさ在宅クリニック (東船橋) つばさ在宅クリニック 西船橋. つばさ在宅クリニック 平成23年7月開業の 在宅療養支援診療所. 総勢75名. 医師. 東船橋 41名 常勤 : 9名 西船橋 34名 非常勤: 14名. 看護師 診療部 :21名 訪問看護部:11名. MSW: 4名 医療事務:16名.
(6) つばさ在宅クリニックが大事にしていること. 手をのばせばあなたがいる. . 安心感を感じてもらう医療。. ▶ 患者様・ご家族の思いに寄り添う医療。 ▶ 住み慣れた我が家で、自分らしく生き、逝ける場を作ること。 多職種連携チームでその場を作ること。.
(7) 1. つばさ在宅クリニックについて 2. 3. 船橋市の在宅看取りの現状. 実際の症例報告 4. 人生の最終場面の数々.
(8) 平均寿命と健康寿命 平均寿命 87.14歳. 女 性. 健康寿命 74.79歳. 13年間. 平均寿命 80.98歳. 男 性. 健康寿命 72.14歳. 9年間. 生活障害. 人生ラスト10年問題. 2016年健康寿命は厚生労働省「2016年簡易生命表」と「2016年国民生活基礎調査」を使って 厚生労働科学研究「健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用対効果に関する研究」による計算法で計算. 生活障害から要介護となった原因 1.脳血管障害 2.認知症. 3.骨折、関節疾患.
(9) 万一,あなたが治る見込みがない病気になった場合、 最期はどこで迎えたいですか? 1.1. 0.7 27.7. 総数(1919). 54.6. 病院. 4.14.5 6.9. 自宅. 0.4 子供の家. 1.3. 0.2 23. 男性(865). 62.4. 兄弟姉妹などの親戚の家. 2.53.5 6.6. 高齢者向けのケア付き住宅. 0.5 1.3. 1. 特別養護老人ホームなどの福祉施 設 その他. 31.6. 女性(1054). 48.2. 5.3 5.4 7.2 分からない. 0.3 0%. 10%. 20%. 30%. 40%. 50%. 60%. 70%. 80%. 90%. 100%. 自宅で最期を迎えることを希望する人は54.6%(男性62.4%、女性48.2%) 平成24年. 「高齢者の健康に関する意識調査」.
(10) つばさ在宅クリニックの在宅看取り数 死亡患者数. 平成23年. 平成24年. 平成25年. 平成26年. 平成27年. 平成28年. 平成29年. 平成30年. 自宅. 25名. 85名. 102名. 121名. 117名. 220名. 225名. 210名. 施設. 1名. 9名. 20名. 21名. 17名. 42名. 48名. 34名. 病院. 15名. 36名. 69名. 83名. 114名. 117名. 124名. 134名. 合計患者数. 41名. 130名. 191名. 225名. 248名. 379名. 397名. 378名. 在宅看取り率(%). 63.4. 72.3. 63.8. 63.1. 54.0. 69.1. 68.8. 64.6.
(11) 平成28年当院患者での がん・非がん別の看取り場所の割合. がん (N=289人). 68.9%, 199人. 31.1%, 90人. 非がん (N=94人). 67.0%, 63人. 33.0%, 31人. 0%. 10%. 20%. 30%. 40%. 50%. 60%. 70%. 80%. 90%. 100%.
(12) 船橋市の在宅看取り率 (%) 25. 20 15.3 15. 12.6. 16.5 12.5. 17.6. 17.5. 12.8. 12.9. 18.7. 19.9. 20.3. 13. 13.2. 17.4. 12.8. 12.7. 老人ホーム(船橋市) 自宅(全国). 10. 5. 自宅(船橋市). 3.5 2.77. 4 2.4. 4.6 3.46. 5.3 4.3. 5.8 5.1. 6.3. 4.4. 6.9. 7.5. 5.7. 6.1. 老人ホーム(全国). 0 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年. 人口20万人以上の中核都市での自宅看取り率は全国7位. 厚生労働省「人口動態統計」 千葉県衛生統計年報(人口動態統計).
(13) 死について 人間の死. 特別なものではなく、恐れる必要もない 必ず全員に訪れるものである 人間にとっての自然な経過である 人生の終着点である. 看取りとは. どのように死を迎えたいか、 その方の意思を尊重し、 安らかな生の終焉を支えるもの. 「この世からの卒業」・・・私たちは、「行ってらっしゃい」 とお見送り出来たら嬉しい.
(14) エンド・オブ・ライフケアとは? 「病いや老いなどにより、. 人が人生を終える時期に必要とされるケア」 疾患・年齢を問わず受けられるケア ほとんどの人が一生に一度は受けるケア どこでも受けられるケア 特別なケアではなく、だれもが提供するケア. <特徴> ◆ その人のライフ(生活・人生)に焦点を当てる ◆ 患者、家族、医療・介護スタッフが、死を意識した頃から始まる ◆ QOLを最期まで最大限に保ち、その人にとってのよい死を 迎えられるようにすることを目標とする.
(15) 患者・家族が望むエンド・オブ・ライフケアとは? ~日本人の多くが共通して大切にしていること~. あなたが もし癌になった としたら、大切にし たいと思うことは 何ですか?. ◆. 苦痛がない. ◆. 望んだ場所で過ごす. ◆. 希望や楽しみがある. ◆. 医師や看護師(介護士)を信頼できる. ◆. 負担にならない. ◆. 家族や友人と良い関係でいる. ◆. 自立している. ◆. 落ち着いた環境で過ごす. ◆. 人として大切にされる. ◆. 人生を全うしたと感じる. Miyashita M,et al:Ann Oncol.18:1090-1097,2007.
(16) 患者・家族が望むエンド・オブ・ライフケアとは? ~人によって重要さは異なるが、大切にしていること~ あなたがもし癌になった としたら、大切にしたいと 思うことは 何ですか?. ◆ できるだけの治療を受ける ◆ 自然な形で過ごす. ◆ 伝えたいことを伝えておける ◆ 先々のことを自分で決められる. ◆ 病気や死を意識しない ◆ 他人に弱った姿を見せない. ◆ 生きている価値を感じられる ◆ 信仰に支えられている. Miyashita M,et al:Ann Oncol.18:1090-1097,2007.
(17) 在宅エンド・オブ・ライフケアの三本柱 1.身体的、精神的苦痛の緩和 2.本人、家族を支える他職種連携 3.本人、家族の病状の理解、療養場所の選択. 「自分らしく最期まで生きる」.
(18) 1.在宅での症状コントロール 携帯用のポンプやいろんな剤形の薬が発売されることで 緩和治療においては病院と同等の投薬治療ができるようになってきた。 病院で死亡した約1,600人と自宅で死亡した約500人の癌患者を比較した結果、自宅で最期を迎えた患者の 生存期間が大幅に長いことがわかった。 Hamano J,et al. Cancer. 2016 Mar 28; doi:10.1002/cncr.29844..
(19) PCA(Patients controlled analgesia) による苦痛コントロール. :レスキュードーズ :フェイススケール.
(20) 2.本人家族を支える他職種連携 @船橋市 かかりつけ医. 在宅専門診療所. 訪問診療. 訪問歯科. 患者. かかりつけ薬局. 在宅療養支援診療所 38か所 訪問看護ステーション 29か所 訪問歯科診療所 43か所 訪問リハビリ 23か所 訪問薬局 52か所 訪問栄養指導 3か所 居宅介護支援事業所 174か所. 訪問薬剤指導. 訪問看護. 訪問リハビリ. ケアマネジャー 訪問栄養指導. 訪問入浴. ヘルパー. 栄養士 デイサービス. 急性期入院 レスパイト入院.
(21) 平成23年~29年自宅看取り患者の在宅療養期間分布 がん患者(N=623) 平均値 102.6日 中央値 38日. 134. 140 120. 看取り患者数. 100 81. 77. 80. 70. 67. 61 60. 45. 42 40. 32. 23 20. 16 7. 7. 21 12. 32. 30. 27. がん 非がん. 14. 3. 0. 在宅期間.
(22) 3.患者・家族間での病状理解や療養場所の選択 に関する知識の共有 現在の病状と今後の病状変化について.
(23) 終末期の療養場所の選択 病院. 在宅. 病気が主体になる. <メリット> ◆医師や看護師がそばにいる安心感 ◆早い段階で処置を受けることができる ◆介護負担が少ない <デメリット> ◆殺風景な病室の中で自由がない ◆食事も味気ない ◆意思を尊重したケアの提供が難しい ◆慣れている人にケアしてもらえない ◆家族やペットが常にそばにいない. 生活が主体になる. <メリット> ◆何気ない日常を感じることのできる環境 ◆意思を尊重したケアの提供が可能 ◆本人のペースで慣れてる人にケアしてもらえる ◆家族やペットが常にそばにいる <デメリット> ◆電話はすぐつながるが往診は1時間程度かかる ◆介護負担が重い ◆独居の場合、誰もいない時間帯に呼吸が止まる 可能性がある. 本人の希望は? そして. 家族の希望は?? 「どちらのほうが安心なのか」を基準に考える.
(24) 人生の最終段階の援助について. 手を伸ばせばあなたがいる 看取りが大切なのではなく、過程が大切 人生の最終段階をどのように支えていけばよいか.
(25) 1. つばさ在宅クリニックについて 2. 3. 船橋市の在宅看取りの現状. 実際の症例報告 4. 人生の最終場面の数々.
(26) 症例:89歳 201X-7年秋頃 外出先にて転倒。. 女性 認知症 在宅療養期間2年11ヶ月 訪問歯科. 201X-6年春頃 箸が持てなくなる。. 訪問看護. 患者. 通所リハビリ. 201X-3年5月 認知症進行に、歩行困難→寝たきりへ。 当院訪問診療、通所リハビリテーション開始。 嚥下機能障害に対し、きざみ、とろみ食を摂取、訪問歯科導入。 201X-2年12月 インフルエンザ感染。点滴加療。 201X-1年12月 インフルエンザ感染症に細菌性肺炎合併。点滴加療開始、訪問看護、在宅酸素療法導入。 嚥下機能さらに低下。 201X年2月~3月 誤嚥性肺炎発症にて入院加療。胃瘻造設、中心静脈栄養を希望されず。 在宅看取り希望にて、退院、訪問診療再開。 連日→浮腫出現に伴い隔日点滴投与。 201X年4月 自宅にて逝去。.
(27) 症例:73歳 男性 腎不全末期、肝硬変、脊髄小脳変性症 在宅療養期間395日間 201X-5年5月~ 腎不全末期に対し、近医にて週3回維持透析療法。 201X-1年7月 肝硬変、多量腹水貯留にて通院困難。 当院訪問診療、訪問看護、訪問薬剤、訪問リハ開始。 腹部膨満感に対し、在宅腹水穿刺を月1回施行。 腹水再貯留速度が徐々に早まり、 201X年8月 201X年9月~. 月2回 腹水穿刺施行。 毎週腹水穿刺施行。. 201X年12月~ 倦怠感憎悪。維持透析療法中止を本人、家人希望。 近医とも連携のうえ、維持透析療法は終了。 腹部膨満感、尿毒症に伴うせん妄に対し、 鎮静剤(ドルミカム)、医療用麻薬(塩酸モルヒネ)の持続皮下注入療法開始。 201X年12月16日 自宅にて逝去。.
(28) 患者・家族間での病状理解や療養場所の選択 に関する知識の共有.
(29) 症例:89歳. 女性. 心不全末期、慢性腎不全. 201X/10/23~11/17 慢性心不全増悪のため入院。 治療に反応せず、11/16 急変がありうる全身状態。 自宅の猫に会いたいと涙され、帰宅願望が強い。 →本人、ご家族ともに自宅での最期、強く退院を希望。 11/17 退院、訪問診療、訪問看護、訪問薬剤、在宅酸素療法導入。 退院時(病院):声をかければなんとか返答は可能。 往診時(在宅):呼吸苦、痛みなく、穏やか。 本人:痛くもないし苦しくもないです。 先生、お腹すいちゃったよ、早く食べさせて!(葛湯を飲みながら) 私子供の時から葛湯が大好きなの。美味しい。嬉しい! 訪問看護ステーションと連携し、連日皮下点滴施行。 11/18 エンシュア・リキッド 400cc、シチュー数口摂取 → 点滴中止。 11/20 以降食事はすすまず。 11/21-23 苦痛表情なく穏やか。 娘様と母である本人間で、娘様の幼少期、子育てのことなどの会話ができた。 11/23 自宅にて逝去。. 在宅療養期間7日間.
(30) 患者・家族間での病状理解や療養場所の選択 に関する知識の共有.
(31) 症例:76歳. 男性 胃癌末期 在宅療養期間414日間. 201X‐3年10月 胃癌に対して手術施行時に腹膜播腫あり。 積極的治療を望まず、緩和治療を希望。 201X-1年4月~6月 尿路感染症にて入院。 退院後当院訪問診療、訪問看護、訪問薬剤、訪問リハビリ開始。 退院時、体重39kg、歩行器が必要。自宅改修し昇降機設置。 腹痛に対して、ワントラム→オキシコンチン→フェントステープにてコントロール。 体重45kg、歩行が可能となる。 201X年5月~ 徐々に食事量低下。船橋市立医療センター外科受診。 皮下埋め込み式CVポート造設を予定していたが、 その後傾眠傾向となり、造設できず。 訪問介護、訪問入浴導入。 201X年7月 自宅にて逝去。.
(32) 症例:86歳. 女性 肺癌末期 在宅療養期間169日間. 201X‐1年10~12月 左胸痛を契機に肺癌末期の診断。緩和治療を希望。 オキシコンチンによる疼痛コントロール。. 201X-1年12月 2週の経過で食事量低下、立ち上がれない状態に。 訪問診療、訪問看護、訪問薬剤、訪問介護開始。 連日点滴投与、ステロイド剤投与開始。 4日後、食事摂取可能となり、点滴は終了。室内自力歩行が可能へ。 オキシコンチンおよびランマーク注にて疼痛のコントロールを行う。 201X年3月 次男殿が仕事のため海外在住となり、独居へ。 オキシコンチン→デュロテップパッチ、週1~3回デイサービス開始。 201X年4月~ 傾眠傾向、寝たきり、食事摂取不良へ。デイサービス以外の日に点滴施行。 長男が時々様子を見に来訪。 デイサービスでは食事もとれ、職員と外出もできていた。. 201X年5月~ 次男が帰国し同居再開。在宅酸素療法開始。 201X年6月 自宅にて逝去。.
(33) 患者・家族間での病状理解や療養場所の選択 に関する知識の共有.
(34) 症例:65歳. 女性 胃癌末期 在宅療養期間56日間. 201X‐3年9月 胃癌(type 4)・腹膜播腫と診断 201X年11月 抗がん剤治療→緩和治療へ方針転換 201X年12月5日 十二指腸狭窄によるドレナージ目的にてP-TEG造設 CVポート造設し、高カロリー輸液点滴開始 201X年12月16日 当院訪問診療開始 腫瘍熱と痛みに対してデカドロン点滴開始 201X+1年2月9日 自宅にて逝去.
(35) 後悔の少ない看取りにつなげるために ◼ どのような最期を迎えたいか ◼ 痛みや苦しみはとって欲しい. ◼ 穏やかで静かな最期を迎えたい。延命はしたくない ◼ できることができなくなる中でどのように過ごせばおだやかになれるか ◼ 孫やペットに会いたい、酒が好き、タバコを吸いたい、お風呂が好き ◼ 納得した最期を迎えるために残された時間で何をしたいか ◼ 食べたいもの、行きたい場所、伝えたい言葉 など. 本人が人生の最後に自分らしい日々を送り、家族がその最期に十分かかわれた時、 <良い看取りだった>と感じることができる.
(36) 1. つばさ在宅クリニックについて 2. 3. 船橋市の在宅看取りの現状. 実際の症例報告 4. 人生の最終場面の数々.
(37) ご清聴ありがとうございました.
(38) 【 座. シンポジウム. 】. 長:土居. 良康. 医師 (土居内科医院). シンポジスト:神田. 敏博. 医師 (つばさ在宅クリニック西船橋). 武井. 泉. 看護師 (セコム船橋訪問看護ステーション). 土居:私は、本日の座長を勤めさせて頂きます土居と申します。シンポジウムに先立ち、 神田先生 素晴らしい基調講演をしていただきました。神田先生、ありがとうございました。 この先はこの講演の内容を反映しながら在宅医療に関わっている神田先生のお話を聞き、 そして、先生とペアを組んでいただいている訪問看護師さんの話を交えて、今現在、船橋 市の中ではどのような感じで在宅医療を進めているのかそういったことについてシンポ ジウムを進めさせていただきます。 まずはシンポジストの方々のご紹介です。まずは先ほどご講演を頂いた、つばさ在宅ク リニック西船橋の神田敏博先生です。続きまして訪問看護師さんはセコム看護ステーショ ン船橋の所長でいらっしゃいます武井泉さんです。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは早速ですが在宅医療を導入する一番初めに先生、看護師さんの立場として一番 意識して大切にしていることは何か教えていただけますか? 神田先生お願い致します。 神田:私が、がんセンターで外来や入院をやっていた時に患者様は医療職にたいして緊張 を持って接せられている方が多いと感じました。しかし私たちのモットーとしては、患者 様方の思いに寄り添って医療を展開していき、早い時期に緊張感を取れるように信頼関係 を築けるようにしたいということを最初に一番意識をしながらやっています。そして信頼 関係を築いた上でなるべく自分らしく最期を迎えられるように、ご本人がやりたいことな どの希望を、多くの専門職の方々と連携させていただきながら聞いて拾い出して、なるべ く実現できるように導くという感じです。 土居:ありがとうございます。私が聞いたところによりますと、神田先生は一番初めに患 者さん宅に伺った際は、一時間半くらい直接ご本人の話を聞いていることもあるという逸 話もうかがっております。やはりそれくらい長い時間、お互いの顔を見合わせて話をする ことによって色々なことが見えてきて、そしてそれがそのあとの在宅医療を患者様と共に つくる上で大事なことと感じていらっしゃるというわけですね。 神田:そうですね。一時間から一時間半ほどかかっています。その場に私たち医師だけで なく、可能であれば一緒に入る訪問看護師さん、ケアマネさん、福祉用具会社さんなど様々 な方に同席いただいて、皆一緒に顔をみながら信頼関係を築いていく、できればそこで患.
(39) 者様の思いも聞き出せれば、みんなで情報を共有できますのでそれから先の介護や医療に 生かせるということです。そのためそのくらい時間をかけています。 土居:ありがとうございます。それでは訪問看護師さんの立場として導入にあたって一番 大事にしていることを教えていただけますか? 武井さんお願い致します。 武井:先生と一緒に連携するときは先生がしっかり 1 時間から 1 時間半かけて病状の説明 を細かくわかりやすくしてくださるのですが、なるべく私たちも一緒にその場に参加する ことによって「私たちも一緒に理解してますよ」そして「連携してますよ」ということを その場でわかってもらい安心してもらっています。やはり連携が一番大事と感じます。ケ アマネさん、ヘルパーさんもその場にいると、その方々が何を大事にしているか最初にわ かってそれが家族に伝わればさらに安心感が生まれる、そうすると頑張れるのかなと思い ます。そのあたりを意識しています。 それと先生が病状を説明していてご家族が難しそうな顔をしたり、不安そうな顔をした ら「何かわかりませんか?」など言葉を拾い上げ、代弁することが看護師にできることな のかなと思います。 土居:ありがとうございます。訪問看護師さんは在宅の中では中心となって患者様、ご家 族様のつなぎ役になることが多いと思います。十分コミュニケーションを取ることによっ て、そして話を拾っていただく、それは非常に大切なことだと思います。 次にもう一つお伺いしたいことがあります。 船橋市の在宅医療の現状についてですが、神田先生が病院にお勤めしていた時と在宅医と しての今の経験を合わせてみて、船橋市の在宅の看取り率は高いと感じますか? それと も低いと感じますか? 神田:ご自宅での看取りをどのくらい希望しているのかアンケートを出させていただいた のですが、だいたい半数ですね。その中で、ご自宅で実際お亡くなりになっている方は 2 割になります。これでも全国平均よりは高い数字です。 最期になって考え方が変わってくる方も多くいらっしゃいます。どうするかの決まりは ないので、病院か在宅かどちらが安心なのか選べるようにして頂いています。最期は病院 でと希望されている方が、実際の最期はやっぱり在宅でと、途中で考えが変わる方もいま す。そのような方がいると考えると 2 割からできるだけ 5 割に近づけて 3~4 割くらいま でになるといいのかなと考えています。 土居:ありがとうございます。先生は体感的に 3~4 割とおっしゃっていましたが船橋市 を 5 割の看取りにするためには何が必要と感じますか? 神田:がん末期の方々に関してですが、当院は例えば船橋市立医療センターさんなどとか なり密に連携を取らせていただいていますので年々がん末期の方の看取り率は上がって います。それ以外の慢性期疾患の方々に関してはまだそこまでではないかと思います。特 に心疾患の方に関して言うと、良くなったり悪くなったりを繰り返す病気なんですね。ど こかで末期と診断がつけば緩和医療に専念ということになり、そのまま在宅医療にという.
(40) 流れが一般的になるのですが、心疾患の方がどこで末期なのかをとらえるのは非常に難し く、そこのあたりの連携を病院ともなるべく密に取らせていただき、急性憎悪を繰り返す 前の段階で訪問診療に入らせていただくと、そのあとの生活を支えながら信頼関係を築く ことができるので展開がよりスムーズになります。また入院するタイミングも相談しあい ながらやっていくことができます。そのようにして考えてやっております。 土居:ありがとうございます。 そうすると現状ですね、船橋市の在宅医療をもう一段ステップアップするという意味で、 今おっしゃっていただいたように、がんの方は形が出来つつあるけれども慢性疾患の方は もうちょっとという風に考えると今後まだまだ伸びていくということですね。ではそのよ うな方々を実際これから在宅で見ていくという場合に、この点が大事なのではないかとい うことについて神田先生と武井さんにお話を聞いてみたいと思います。 慢性期疾患の方にはどのようなことに気を付けてこれから在宅医療を提供すればよい とお考えでしょうか? 神田:やはり我々は、ケアマネさんや病院さんから紹介を受けて訪問診療に入る場合がほ とんどです。中には患者様から直接の依頼もありますが。病院さんともケアマネさんとも なるべく密に連携を取らせていただいて通院困難になりかかる頃の、早い段階で入らせて いただければいいのかと思います。 土居:できるだけ早いうちからの介入でお互いにコミュニケーションを取りながら良くな ったり、悪くなったりを支えながらという考え方ですね。 それでは武井さんは看護師さんとしてはどうでしょうか? 武井:そうですね、慢性疾患や心疾患の方は入退院を繰り返しながら少しずつ悪くなって いくものですけれども、実際に生活面で係ってみると、塩分をすごく取りすぎていたり、 活動量がすごく多かったりということがあり、これが原因ではないかなということがわか ったりすることがあります。またヘルパーさんが入って下さり普段の生活の仕方などをお 聞きすると、これが原因かな? とわかることがあります。これをコントロールすれば 2 回の入院を 1 回にできるとか、これがわかっていたらあの入院はなかったのではないかと 思うことがあります。慢性疾患の方は、生活の工夫で症状がコントロールできることが多 いのでこのような情報を共有し、生活のスタイルを変えたり何を大事にしているのかを考 えて、どうすれば症状を悪化させないで過ごせるのかをご本人と一緒に考えながらやって いくといいのかなと思っています。 土居:ありがとうございます。そうですね、本当に日常生活を知って初めてその方が何で これが悪くなったのか? なんで入院するのかがわかってきますね。今まで話を聞いてい ただけだと「食べ物も塩分を控えてます」と言っていたのに実際在宅に行ってみたらラー メンをよく食べていたなどよくある話ですね。実際に在宅に入ってみて、さまざまな職種 の方々の情報を得てそれをまとめ上げて医療につなげていく、それが在宅医療の醍醐味で もあるのかなという風に思います。.
(41) 【. 質疑応答 】 それではお時間も限られておりますので、お越しの方の中で、在宅医療に関してのご質 問がある方、あるいはこの点を聞いてみたいという方がいらっしゃれば、お受け致します。 是非どうぞ。 質問者 A:本日は貴重なお話ありがとうございました。習志野台在住のものです。二点お 聞きしたいことがあります、1 点目は船橋市の看取率 20 パーセントについてですけれど も、この中には検死の方は含まれていますか? 先生(医師)と関係がとれていた方だけ ですか? 2 点目は認知症の方を看取った場合、最終の 1 か月くらいの医療費はおいくら 位、掛かるものでしょうか? 神田:検死は入っていないと思います。 質問者 A:国の資料は入っていると聞きました。 神田:検死の件はすみません、確認不足でした。 看取りの費用ですが認知症の末期でもがんの末期でも最終的には様々なサービスが入る ことが多いです。訪問介護士さん、訪問看護師さん、在宅医が入ってと、サービスが増え ていきますが、介護保険の枠内で納めるようにケアマネさんと相談しながらやっていきま す。医療に関しては多くの方が限度額になることが多いのかなと思います。限度額に関し てはその人によって違ってきます。負担になってくる方もいると思います。入院と比べて みると入院はプラスのベッド差額や食事代がかかってきますが在宅だとその部分は掛か らないです。 土居:他には何かございますか? 質問者 B:父、母が市川市で過ごしていまして、私自身はヘルパーをやっています。母は 元看護師です。父は心筋梗塞で心臓カテーテルの手術をして今は自宅にいます。ほとんど 外に出ることもないです。私は在宅での看取りに賛成ですが、母は(父が)家で亡くなる と検死が入ると言って(父が)家にいることを嫌がる、調子が悪くなれば早めに病院に行 ってほしいと言っています。実際のところ検死は入るのか教えてほしい。 神田:訪問診療に入るときはこれまでの病状は紹介状なども含めてすべて取りよせて対応 していますのでそのうえで亡くなられたということであれば、我々は 365 日 24 時間対応 してやっておりますのでとにかく電話していただき、訪問してそこで診断書を書くという ことになります。そのため我々が入らせていただいている方には検死になる方はまずいら っしゃらないです。 質問者 B:母は外部の人を受け入れないと思う、その場合は検死が入りますか? 神田:そうなると、亡くなった場合に診断書を書く作業がありますので、例えば救急車な どを呼ばれた場合などですと、救急隊にとっても医療的情報がない、じゃ病院に運ぶとし ても病院にも医療情報がないとなると、何をもって死因とするのかわからい状況になるの で検死になります。どこの医療機関にも掛かっていない、なんのサービスも入れていない となるとそのように扱われる例は多いと思います。.
(42) 土居:他には何かございますか? 質問者 C:在宅で最期を迎えたいと思っている方が 5 割で病院で最期を迎えたいと思って いる方が 5 割とお聞きしましたが、そうなるともっと在宅での看取りに関しての努力をし なくてはならないと思う。つばささんだけの努力だと難しく船橋市の医師会や市でなにか 取り組みはされていますか? 土居:この質問は船橋市医師会で理事をやっています私の方からお答えさせていただきま す。 船橋市医師会で行っている在宅医療に関する取り組みというのは、まずは「在宅医 療ひまわりネットワーク」です。多職種が行う部門や人材育成の部門、医療情報の共有の 部門、認知症の方に対する情報提供の部門、リハビリテーションの部門などで、各部門ご とに多職種が連携してできるようなことを主催しております。また 2 点目は「在宅医療ふ なぽーと」というものがこの建物の 1 階にありますが、在宅医療を導入するにはどうした らよいのかなどの相談を受けていて実際にそこから船橋市医師会の会員の中で在宅医療 をやっている訪問医師を紹介したり、訪問看護ステーションを紹介したり、そのような事 業をやっております。これから先もニーズは必ず上がりますのでどんどん拡充していく予 定です。現状船橋市医師会としてはほかの地区と比較してもしょうがないのですが遅れを 取っていることはないと思います。ふなぽーとのような拠点を作っている他の市町村はま ずないと思いますのである程度先進的な試みかと思います。 他にどなたかご質問はありますか? 質問者 D:2 つ質問があります。 1 つ目は在宅診療ではなく本当に具合が悪い時だけの往診というのはやっているのでしょ うか? 2 つ目は信頼している先生のところにこの病気だけは通いたい、そこに行くのも 家族が連れていく、だけれども総合内科的なところだけ在宅医療を使うということはでき ますか? 神田:緊急時のみの往診に関してですが、やっておりません。なぜかというと定期的な訪 問を行うことによってその方の病状変化をこちらも把握しておく必要があります。よく把 握した上でないと緊急時に適切な対応ができません。つばさとしては月に 2 回は訪問させ ていただいて、その上で何かあった時は 24 時間 365 日対応させていただくという体制を 取っています。2 つ目のご質問ですが併診ということですが可能です。我々が入っている 方も多くの方がそのような利用の仕方としています。 土居:緊急時の往診ですが、やっているところは少ないと思います。ですが普段診察に来 ている人、状況がわかっている人の場合は、もしかしたらかかりつけの先生に相談をして みたら特別に来てくれるとかあるかもしれないですね。まずはかかりつけの先生に相談し てみてください。 土居:他にご質問、ご発言のある方はいらっしゃいませんか?いらっしゃらないようでし たら、時間も迫っておりますのでここで終了とさせて頂きます。本日はお暑い中、大勢の 皆様にご参加いただき、ありがとうございました。.
(43) 午後 3 時 30 分 終了 本シンポジウムは公益財団法人在宅医療助成勇美記念財団の助成により行われた。.
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(46) 【. 感. 想. 】. 今年度のシンポジウムは、船橋市内にある「つばさ在宅クリニック」の在宅医療を一つ のモデルとして在宅看取りのスタイルについて討論した。神田先生の基調講演の看取り率 の統計スライドによれば、船橋市において在宅で看取られる方は 20%程度、全国では 13% 程度ということであった。やはり病院や施設でお亡くなりになる方がまだまだ多いのが実 情である。船橋市でも他市町村でもご自宅で自分らしく生きてそして天寿を全うするのは なかなかむずかしいものだと実感した。 討論の中で、在宅医療での現場における実情が語られたが、「連携」という言葉がやは りキーワードになる。在宅医療、在宅看取り等々の講演では必ず出てくるお馴染みの言葉 であるが、なかなか実践することは、そんなにたやすいことではない。患者さんを中心と した多職種間のチーム作りが重要であることは専門職である我々は重々承知している。し かし現実には遅々として進んでいない。これをさらに一歩も二歩も進めるにはどうしたら よいかというのが重要な課題である。 筆者が思うに、専門職が知識を共有するだけの過程はもうとうに終わってしまっている。 これからは一般住民が、将来もしかしたら自分が置かれるかもしれない状況、立場を十分 理解して、その時に自分がどのように考え振る舞うべきか、今から思いを致すことが望ま れる。そのためにも、このようなシンポジウムを繰り返し行い、住民に対して地道に啓蒙 活動を続けることが絶対的に必要である。何度も何度も似たような内容の話をしていくわ けだが、聴く側の人達は毎回変わっていく。今後も飽くことなく活動し、住民の在宅医療・ 在宅看取りに対しての認知度を高めていきたい。この重要な課題を解決するには、それ以 外に道はないと考える。 冒頭で、船橋市はかなり看取り率も高く連携システムも比較的円滑に機能しているとい う話が出たが、今後も一層発展させていくための努力を続けていきたい。 本シンポジウムは公益財団法人在宅医療助成勇美記念財団の助成により行われ た。 ここに感謝の意を表します。 公益社団法人. 船橋地域福祉・介護・医療推進機構 理事 鵜澤 龍一.
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