2015地域協働夏季セミナー地域包括ケアシステムの構築方法 〜住民が主役の地域づくり〜
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(2) ■背景と目的 高齢化がピークを迎える 2025 年を目処に、地域包括ケアシステムの構築をそれぞれの市 町村の課題に応じた形で進めていかなければならない。北海道の後志管内は人口規模も小 さく地域資源の少ない町村が多く、地域包括ケアシステムの構築に向けては困難が多い。 なかでも大きな課題となるのが認知症の人へのケアである。後志管内でも施策に応じた取 組みがいくつかの町村で行われているが、そこから見えた効果や課題について考える必要 がある。 このたび、在宅医療助成勇美記念財団から助成を受け、次の3点の目的のもと研修会を 実施した。 1.自分たちの町の地域包括ケアシステムのあり方を探り、システム構築に向けて地域 に即した具体策が講じられる。 2.行政・医療・福祉・住民のネットワークが構築される。 3.地域包括ケアシステムの一端を担う専門職として必要な技術が向上し、地域におけ る様々な生活課題を住民との協働の視点でマネジメントする力がつく。 ■方法 1.保健・医療・福祉に従事する職員向けの研修会を実施 2.保健・医療・福祉関係者と住民向けにシンポジウムを実施 ■準備・運営 町内関係機関の多職種 8 名で企画委員会を結成し準備・運営の中心を担う。全 6 回の企 画会議により内容の詳細を決定。当日は社会福祉協議会、クリニック職員、一般の方 2 名 がボランティアスタッフとして運営に加わった。 ■結果 1.保健・医療・福祉に従事する職員向けの研修会 後志管内 19 町村の役場担当課、社会福祉協議会、地域包括支援センター、特別養護 老人ホーム、介護老人保健施設、病院、診療所の職員向けに、地域包括ケアシステム の一端を担う専門職として、必要な知識・技術を習得するための研修会を行った。は じめに地域包括ケアシステムの実際の取組みと課題についての講義のあと、認知症の 人への支援をテーマに事例検討を 2 事例行った。 (1) 「アザレアンさなだの取組みから地域包括ケアの課題を考える」 宮島 渡 氏(日本社会事業大学大学院特任教授).
(3) 長野県上田市の高齢者総合福祉施設「アザレアンさなだ」の地域包括ケアの取組 みの実際。特養を中心に民家サイズの小規模な施設が地域にバランスよく分散し て生活を支えている。ケアマネジメントにおいては日常の健康管理を重要とし、 伴走型ケアマネジメントの実践、軽度から重度までのシームレスなケアについて 述べる。住民参画を進める上で大切なのがスティグマの解消であるとし、住民講 座などではネガティブな要素を取り除くこと、疾病観が変わる講座を意識的に行 うこと。さらに、当事者の参加・共同作業で進めて行くことも困難ではあるが重 要であると述べた。 (2) 「レビー小体型認知症とは」 鶴岡 浩樹 氏(栃木県つるかめ診療所所長、日本社会事業大学大学院教授) 事例2に関連してミニレクチャーで、パーキンソン症状、幻視、薬剤過敏性など レビー小体型認知症の特徴についての解説があった。 (3)事例検討「初期認知症の人への支援」 ファシリテーター 新津 ふみ子 氏(特定非営利活動法人メイアイヘルプユー代表理事) アドバイザー 井上 由起子 氏(日本社会事業大学大学院教授) 大塚 眞理子 氏(千葉大学大学院特任教授) 事例1「複雑な家族関係の中にある認知症の人にどこでどう寄り添うか」 認知症のご本人を不十分ながら夫がささえてきた。ご本人は医療や福祉 の介入を拒否し生活環境は荒れている。夫も高齢で健康に不安があり、 近くに住む息子との関係も介護問題をきっかけに悪化。介護に限界を感 じ施設入所を進めている事例。 「ご本人が望む在宅生活には、どのような条件が必要か」を課題に検討。 ご本人の望む自宅とはどのような場所か、本人らしい暮らしができる場 所がどこであっても自宅となり得るのではないか等自宅の考え方につい て深く掘り下げる意見があったほか、夫への支援の必要性、家族関係へ の介入について多くの視点で検討できた。.
(4) 事例2「対応に困る症状への相談に対する本人・家族への支援について」 初期対応に課題を残した事例。最初の相談時に医療機関受診を勧めず経 過観察の判断をし、そのままのケアを継続。支援者がご本人と家族の深 刻な状態の変化に気づけず月日が経過した結果、認知症状の悪化、介護 の負担から家族がうつ病となり、施設入所になった。 現場で使われがちな「経過観察」という対応のあり方について考える展 開となり、予測を立てることの重要性、そのための専門職として必要な 基礎知識があったのかどうか。また、認知症の人の家族をどう支えるか について様々な意見が出された。 参加者:98名. 2.保健・医療・福祉関係者と住民向けシンポジウム 後志管内の上記関係者と住民を対象に、それぞれの町村の地域包括ケアシステム の姿を探るべくシンポジウムを開催した。住民の主体的な活躍が期待される地域サ ロンや認知症カフェの実践について、後志管内での取り組みと先進地札幌市の取組 みを報告した。 後半は雰囲気を変えてお茶やお菓子を用意し、参加者同士で気軽に話し合うカフ ェを実施した。 (1)実践報告「豊生会サロン 考流学舎」 倉貫 元美 氏(医療法人社団豊生会 地域包括ケア推進部 部長) 安心して住み続けられる地域にしたいとう理念の元、生活支援サービスと住民参加 の課題への取り組みとして、庭付き 1 戸建の地域サロンを開設した。地域の人が集 う交流の場を基本に、医療介護生活相談、ボランティア養成、年越し短期ホームス テイなど柔軟な発想で行う。その他、見守りや買い物、ゴミ出しなど生活支援サー ビスも実施している。主に 65 歳以上の地域住民がボランティアスタッフとなり、活 動者には 1 日 500 円支払う。担い手の確保がこれからの課題となる。 (2)実践報告「オレンジカフェ こでまり」 甲斐 敏則 氏(医療法人社団白樺会 認知症高齢者相談センター. センター長). 老人保健施設で認知症の人とその家族の支援を行う中で、家族がより安心して介.
(5) 護の悩みを話せる場が必要と考え、家族交流会を始めたのが最初のきっかけとな った。1 回目以降、徐々に参加者が減る事について、施設という場や、参加者同士 が初対面ということに問題を感じ、打開策として出張型カフェを行う。利用者自 宅で、近所の人と共に安心できる場で語り合うことを中心に行う。今後は新たな 展開として、介護教室やサポーター養成講座を出張型で実施する事を目指してい る。 (3)ゆうすいカフェ 司会 鶴岡 浩樹. 氏. 前沢 政次. 氏. グループごとにチーム名を付けることからはじめ、和やかな雰囲気になったとこ ろで、 「住民が主役の地域づくりには、何からはじめたらよいか」について話し合っ た。 各グループからは以下のような発表があった。 ・この地域で何かを始める場合まずは交通の課題がある ・ヒッチハイクを応用した送迎のしくみづくり ・あいさつ運動で子ども時代から種をまく ・夏は清掃、冬は除雪などボランティアイベントから広げていく ・町内に点在する空き家を活用した交流の拠点づくり ・町内会を単位とした自主的な活動を育てる ・団塊の世代を担い手とした見守り隊の結成 ・おせっかいおばさんが実は大切 ・女子会ブームを利用する ・行政に頼るのではなく、自分たちでやり始めることが大事. 参加者:85名 ■考察 過去 2 回の開催と比べ参加者が倍増したのは、テーマに「認知症の人への支援」があっ たことによるのが大きいと考える。また、昨年の実績に対する評価も概ね好評で、新しい 参加者に伝わった可能性もある。さらに社会事業大学関係者の参加も増えたことは、私た ちにとってもよい刺激になり、今後の展開に資する点が大きい。 ただし、住民の参加はまだまだ少数であり、今後さらに積極的に住民活動へ展開できる ように働きかけを行うことや協働の仕組みづくりが求められている。 地域包括ケアシステムの構築について、京極町では地域包括支援センターが地域ケア会.
(6) 議を運営し、京極方式として①実務者会議、②中堅・課長クラスによる会議、③組織トッ プによる会議を実施してきているが、まだ政策提言・実施まで進展していない現状がある。 医療側から行政に対して次のような提案がある。 (1)地域包括ケアの定義の見直し 平成 25 年度北海道総合調査会が前沢政次委員長のもとに、都会ではない地方のために次 のような定義を提案している。地方においては少ない資源の中で「住民同士のつながりや 助け合い」を基本とすべきことを強調している。 「住民がなじみの環境でその人らしい生き方を持続できるように、住まい、生活支援、医 療、介護、予防のサービスを総合的継続的に提供する仕組みを企画、実施、評価、改善し ていくこと。 過疎地ではサービス資源に乏しいため、住民同士のつながりや助け合いを基本に、行政 や広域の福祉事業者が支援する体制を構築する。 」 (2)地域包括ケアのための組織改編 2025 年問題(いわゆる団塊世代が後期高齢者に属するようになり、高齢人口がピークを 迎える)を乗り切るには、保健医療福祉教育各部門の綿密な連携と協働が求められる。機 構改革が可能であれば、その中枢機能を担う部署を設置することが必要である。そこが司 令塔となって全体を俯瞰し、運営管理、人事管理、安全管理が可能になるからである。 もし、機構改革が難しい場合は現体制の中で、いわば寄せ集めの中枢組織を設置するこ とである。それを「地域包括協働ケア推進本部」とし、次の5部門をおき、各担当者は兼 務でよいので横のつながりを重視していく。 ①住民活動支援部門:ナイトスクール、まちかど保健室、聴き書きボランティアなどの住 民活動を育成、支援する。 ②人材育成部門:保健医療福祉教育関連部門の職員の訓練、新人の募集・研修、中高生へ の啓発活動などを実施する。 ③保健予防部門:現在の健診・予防活動などの見直し、小児保健連絡会、産業保健連絡会 の開催などを進める。 ④医療部門:ひまわりクリニックは町民向けにかかりつけ医機能が十分発揮できるように していく。さらに認知症対応、リハビリテーション、福祉施設・在宅も含めた看取りにつ いては、京極町以外の町村の要望にも応えていく。予防医療の一層の充実を図り、小児や 思春期・若年期にある人たちのへ保健ニーズにも対応していく。 ⑤介護福祉部門:介護予防・日常生活支援総合事業(新しい総合事業)をいち早く取り入 れ、介護予防を一層充実させる。長期の療養を余儀なくされる患者やその家族の日常生活 を支えるために24時間対応訪問介護事業を検討し、在宅サービスの充実を図る。 また、人口規模も小さく保健医療福祉資源も限られている状況では、単独町村による包 括ケアの発展は望めず、効率も悪い。そのため複数町村が、認知症対策特に認知症初期集.
(7) 中支援チーム、NST(栄養サポートチーム)、リハビリテーションチーム、在宅・福祉施設 看取り支援チームなどを共有し合う仕組みづくりが求められる。これらの仕事に従事する 職員も単独町村では確保が困難である。町村を超えた共同のスタッフ募集、人材育成事業、 中高生への働きかけやワークキャンプの実施などが必要である。 さらに認知症ケアを充実していくことは、喫緊の課題であり、次のような取り組みが求 められている。 ①認知症の人を早期発見するためのネットワークづくり ②正確な診断. 病型を決めるのでなく、治療可能な認知機能低下かどうかの判断・検査. ③本人・家族への説明 ④事例検討. 特に病気の正しい知識. 生活上の留意点. 特に本人の生き方のアセスメントとサービス資源の検討・開発. ⑤住民への啓発活動. 安心散歩のできる町づくり・ふるさとづくり. ⑥認知症予防活動の一層の充実. 今回のセミナーがこれらの展開のエネルギー源となっていくことを願っている。 早速、本年 10 月 17 日開催予定の「ほかほかまつり」では次の主旨を住民に問いかけて いる。 テーマ「人をやさしくする病気-認知症をもっと知ろう」 認知症の人は不思議な力を持っています。その一つは自分に愛情を持って接する人とた だなんとなく接する人を瞬時に区別できることです。認知症の人と良いつながりを持つに はやさしくあたたかく接することがたいせつです。つまり、認知症の人には他の人をやさ しくする力があるということです。認知症になっても人間対人間のお付き合いができるよ うに、この機会に皆で認知症の勉強をしましょう。. ■感想 頼もしい仲間、やさしくご指導くださった先生と準備を進めた時間は、楽しく学びの多 い充実したものでした。そして開催当日は、著名な先生方や様々な参加者との良い交流が でき大変貴重な経験となりました。 在宅医療助成勇美記念財団より多額の補助をいただき、この研修会を実施することがで きましたことを心から感謝申し上げます。.
(8) 2015地域協働夏季セミナー. 地域包括ケアシステムの構築方法 ~住民が主役の地域づくり(仮)~ 高齢化がピークを迎える2025年を目処に、住まい・医療・介護・生活支援が一体的に提供される 地域包括ケアシステムの構築を進めることが求められています。 このセミナーで自分たちの町の課題は何かを共有し、それぞれの町の包括ケアシステムの姿を一緒に 考えてみませんか? 日 時:2015年8月1日(土)14:00~19:00 2015年8月2日(日) 9:00~12:00 場 所:京極町福祉センター(虻田郡京極町字三崎68番地. ℡0136-42-3681). 参加費:無料. 8月1日(土) *後志管内町村の保健・医療・福祉・介護・行政関係者向け. 研修会「初期認知症の人への支援」 <ファシリテーター> 新津. ふみ子. 氏. 特定非営利活動法人メイアイヘルプユー代表理事 日本社会事業大学大学院客員教授. <講. 師> 宮島. 渡. 氏(日本社会事業大学大学院. 特任教授). 講義「地域包括ケアにおける取組みと課題」 <事例検討>. 初期認知症支援に関する事例検討 2事例. *研修会終了後、19:00から京極町内にて懇親会を開催いたします。 (参加費 1,000 円). 8月2日(日) *どなたでも参加可能. シンポジウム「地域包括ケアシステムの構築方法~住民が主役の地域づくり(仮)~」 <実践報告> <司. 会>. 倉貫 元美. 氏(医療法人社団豊生会. 地域包括ケア推進部 部長). 甲斐 敏則. 氏(医療法人社団白樺会. 認知症高齢者相談センター センター長). 前沢 政次. 氏(ひまわりクリニックきょうごく所長). <お問い合わせ先・お申し込み先>. *申込み締め切り7月17日(金). 京極町社会福祉協議会(担当:藤波) 京極町地域包括支援センター(担当:増田) TEL0136-42-3681 FAX0136-41-2031 *別紙の FAX 用紙にてお申し込みください。 主催:京極町社会福祉協議会 京極町地域包括支援センター ひまわりクリニックきょうごく 京極町 共催:後志町村地域医療人育成協議会 *この研究会は、公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団の助成を受けています。.
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