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ケイヒ類生薬に関する研究 (第1報) : 西スマトラにおけるケイヒの栽培状況について [Studies on Commercial Cinnamon Barks. I. : Cultivations of Indonesian Cinnamon Trees in West Sumatra]

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(1)

東南 ア ジア研究 12巻1号 1974年6月

ケ イ ヒ類生薬 に関す る研究 (

1

報)

西 ス マ トラに お け るケ イ ヒの栽 培 状 況 に つ い て

-吉

而 *

St

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nnamon Barks.

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YosHIDA

Thisarticle is dealing with the cinnamon tree eultivations in Batusangkar, Padang High lands,W estSumatrabased onwriter'sfieldsurveyinApri1971.

In western Sumatra,threeareas,Mt・Kerinci,Padang High landsand SouthTapanuliare famousforc]'nnamon tree(Cinnamomum burmanniBL.)cultivation.Theproductsareknownas Padang Cinnamonsorcassiavcrain Crudedrugmarkets・Mt・Kerinciareasaresaidtoproduce t

hecinnamonsofbestqualityand almostthehalfofthetotalamountofPadang Cinnamons. In Batusangker,Padang Highlands.cinnamon treeswereorlglnallycultivatedin thewider areasabove500m in altitude,however,recently the cinnamons were replaced by the clove treesin thelowerpartsthan800m.

Usual methods fらr stock multiplication are to raise seedlings in nursery・ Techniques devidingtheshootsfrom oldstumpsarealsopractised.PruninglSadopted in orderto obtain aclearlong bolewithsmooth barkandtostimulatehigh growth.

Theharvested barksaregradedintothreeclassesaccording totheirqualitybycultivaters・ Villagebrokersand wholesaledealersin Padangputthecollected barksinto seven grades・

A greatdea一ofPadan gCinnamonsareexported directlyto U.S.A.

1974年4月か ら5月 にか けて, ジ ャカル タ とスマ トラにおいてケイ ヒに関す る調査 を行 な う 機会 を得 た。本稿 で は, その内で西 スマ トラにおけ るケ イ ヒの栽培 につ いて,現在 の状 況 を紹 介 したい。 イ ン ドネ シア産ケイ ヒは, 中国産やベ トナム産ケ イ ヒな ど とと もに産 出量 も多 く,重要 なケ イ ヒ群 で,各地 苗場 のケ イ ヒをあつか うにあた って イ ン ドネシア産ケ イ ヒの全 体的 な状 況 およ び栽培地 の状 況 を知 る ことは,欠かせ ない要素 で あ る。 それ らにつ いてはすで にい くつか の報 告 が あるが,1,2)いずれ も戦前 の もので, そのた め現在 の 状 況 を正 しく伝 えて い るか ど うか再

*

京都大学薬学部生薬学教室

(2)

東南 ア ジア研 究 12巻1号

TableI FJXPOrtOfcinnamonbarksbyportofshipment

(Sumatra) Uleeheue Langsa Belawan Lhokseumawe Tapatuan Sibolga unlt:ton 3 2 157 88 5 12 1,302 432 242 Jambi Palembang WestSumatra toJava* (∫ava) Jakarta Cirebon Tegal Semarang Surabaya Cilacap (Others) Balikpapan Makassar Manado Bitung Waingapu Sumbawa Ende Kupang 17 72 44 4 11 一 2 6 15 5 8 1 0 8 1 3 5 4 0 3 4 11 1 5 2 r: r: 5 1 9 5 1 3 6 5 1 8 4 8 2 7 1 2 3 1 1 24 10 47 5 14 37 91 132 1,244 11 8 9 44 21 55 2 6 0 1717 2 7 9 7 1 7 9 0 8 8 2 2 6 2 5 6 5 *西スマ トラからジャワ-の国内輸送量を示す。他は国外輸出量を示す。 検討か らは じめなけれ ばな らない。 Ⅰで は貿易統計 を用 いて最近 の輸 出状況 を検討 した。 Ⅱで はイ ン ドネ シア産ケ イ ヒの基原植 物 について最近 の研究 を加 えて概説 した。 Ⅲでは栽培 につ いて, Batusangkar近辺 の栽培民 か らの聴取資料 お よび観察資料 お よび ジ ャカル タのケ イ ヒの卸商,小売 商,パダ ンの卸 商の聴 取資料 を もとに して紹介 した。 Ⅳで は,全 体 のま とめ と若干 の考 察 を加 えておいた。 Ⅰ イ ン ドネシアにおけ るケイ ヒの貿易 戦前 お よび最近 の積 出港別輸 出量 を Tablelに示 した。1,3) 最近 にな って積 出量 はやや減少 してい るが,パダ ンが イ ン ドネ シア最大 の栽培地 で ある こと は今 日において も変 わ らない。 しか しその他 の地域 では多少 の変動が み られ る。戦前ではジ ャ

(3)

吉田 :ケ ヒイ類生薬 に関す る研究 (第1報) Table2 Maindestinationsofexport destination U.S.A. Holland Germany Scandinavia Balkan Malaysia Canada destination U.S.A. Singap()re Holland IIongkong England WestGermany Yugoslavia 1935 1936 1,996 1,621 665 607 90 109 221 140 134 83 85 73 63 41 1963 5,478 162 132 19 911 179 161 64 38 一 72 93 一 〇〇 一 9 ︻ 8 0 3 4 r= 65 , 24 一 39 97 ︻ 47 9 9 " 2 8 1 1 1 ㌦ 5 unlt:ton 1938 1939 1,249 1,563 750 910 116 190 104 96 85 29 70 86 52 58 1966 1967 3,242 3,570 210 494 233 331 215 33 142 33 61 1,033 39 ワ島においては各地 か ら積 出されていたが, 最近ではスマ ラン港一つ に集 中 している。 しか も

,1

9

6

7

年 には

1

,

2

4

4

トン (戦前では年 間約

1

0

トン) も積 出され, パダ ンか らの積 出量の

3

分 の 1にまで増加 している。 この ことは, ジャヮ島で のケイ ヒの栽培地 が中部 ジャワの山中に集 中 し,かつ相 当の規 模で栽培 されてい ることを示 している。 また戦前ではパダ ンおよびジャワ 島 を除 く他 の島 々か らは少崖 (年間約

2

0

-3

0

トン) が積 出されていたにす ぎないが,最近では ス ラウェシのマカ ッサルか ら約

4

5

0

トン, フロー レスのエ ンデか ら 約

7

0

トン, カ リマ ンタ ンの パ リックパパ ンか ら

5

0

トンなど,東部 イ ン ドネ シアか らの積 出量が増大 してい る。特 にス ラウ ェシの増加 は願著 で,今後ケイ ヒの栽培地 の中心地 にな る可能性 も充分 にあ り,現地 の詳細 な 報 告が待たれ る。 なお, これまで産地 による市場 での品質 について は触 れ られていないが,現在 の ジャカル タ 市 場では,パダ ン産が最上級品で,つ いでマカ ッサル産。 ジ ャヮ島産 は これ らよ りも劣 るとさ れている。 さて,輸 出先 国別 にみ る と(Table2),2・3) 戦後 において もアメ リカ合衆 国が最大 の輸 出先 国 で ある。 しか し, その他 の輸 出先 国をみ ると戦前では ヨー ロ ッパ諸国が ほ とん どを しめている のに対 して,最近 では シンガポールやホ ンコ ンのよ うな中継港が新 しく進 出 して きてい る。そ して これ らの港 の介在 によ って, よ り広 く世界各国にイ ン ドネ シア産ケイ ヒが輸 出され るよ う にな ってい る。4,5) 日本 において もわずか にイ ン ドネ シア産ケイ ヒが輸入 されている。 rl イ ン ドネシア産 ケイ ヒの基原植物

(4)

東南 アジア研究 12怨 l号

あ る。 イ ン ドネ シア各地 で栽培 されて い るケ イ ヒの多 くは この種 で あろ うと推測 され る。 しか し, これまでにい くつかの変種 が報 告 されてお り*, 各地 で栽培 されて い るケイ ヒが同一変種 で あるか ど うか は今後検 討 され るべ き問題で あ ろ う。 また,他 に もさまざまの Cinna.momum 属植 物か らケ イ ヒが生 産 されて い る。 た とえば, ス ラウェ シ南部では C.burmanniBL.のほ か に C.pilosum CAHMERLOHERが利用 されて いた し,1)フロー レスで は,C.burmannilil..

以外 に もう1種,別 の種 か らケ イ ヒが生 産 されて いた。1)また ジ ャヮ島 の Kebumen村 (Pur

-wokerto省) で は Blumeが導入 した C.cassiaBL.が Heyneらによ って栽培が試 み られて いた。3) C・Zeylanicum BREYN.も導 入 されてお り実際 に生 産 されて いた。1)さ ら に kulit lawang とよばれ る一群 のケイ ヒが あ り, Kostermansに よれば この基原植物 は12種以 上 にお

よぶ とい う。ア ンボ ン産 の kulitlawang は C.culilaban(1,.)PRESL

(

I

-C.culilawan BI,.) といわれ, ジャヮ産 は C.sintoc BLリ ニ ューギニ ア産 は C.cugenolifcrum KosTERM., C. xanthoneurum liL,C・massoiaScHEWEな ど, また ボル ネオ産 は C.pendulum CAMMERL.

といわれ る。 また C.macrophyl]um M IQ.も kulitlawangの基原植物 で あ る とい う。7) さて, 西 スマ トラで は C.burmanniBL.の二つ のタイプが栽培 されてお り,一 つ は幼葉 が 紅 くな る もの, もう一 つ は幼葉 が紅 くな らない もので あ る。 前者 は後者 に比べて品質 的には良 い樹皮 を 生 産す るが 量 的には少 ない と いわれて い る。1,2)しか し, 今 回筆者 が Batusangkar 近辺 においてで きる限 り広 く観察 お よび聴取 した範 囲で は,二つの タイプは認 め られず,幼葉

の紅 くな るタイプのみが栽培 されて いた。 この ものは,Herbarium Bogorienseの標 品 と照合 した ところ,従来か らいわれて い る C.burmanniBL.で あ ったか, 変種 レベル まで は同定 で きなか った。幼葉 が紅 くな らない タイプの ものは,現在 で は もはや栽 培 されていないのか も し れ ない。 あ るいは栽培 されて いた と して も,量 的には微 々た る もので はないか と推 測 され る。 m 西 スマ トラにお け るケイ ヒの栽培 1. 西 スマ トラのケ イ ヒの栽培地 西 スマ トラのケ イ ヒは市場 では普通パダ ンケ イ ヒと称 されて い るが,パ ダ ンは集 散地 で,栽 *これまでにC・burmanniBL.の変種として次のようなものが報告されている。6

1. var.angustifolium MIHSSNER

2.var.angustifolium (HEMSI.EY)exW ti.

3. γar.chinenseMEISSNER 4. var.kiamiS(NEES)MEISSNER 5. γar.lanceolatum MIQUEL 6. var.microphyllum MIQUF.I,

7.Tar.sumatrenseTll:りSM.良 BINNFJr). 8. var.subaveneMIQUE.L

その他に LiouHoによって4変種が報告されており,それぞれα,β,γ,8としている。これ らの変種につ いては今一度検討される必要があり,恐 らくはこの内のい くつかは synonym として整理されるであろう。

(5)

吉 田 :ケイ ヒ類生薬に関す る研究 (第1報)

培地 はパダ ンの東側 の山中,標高700-1,250mあた りの高地 にある。 パダ ンの卸商 によれば, 主 た る栽培地 に三つの地域 があ り, まず Batusangkar,Bukittinggi,Pajakumbuhな どを中 心 と したいわゆ るパダ ン高地 ,Kerinci山を中心 と した地域,そ してKotanopang を中心 と し たTapanuli南部で ある。 これ らの内,Kerinci一帯 で産 出され るケイ ヒはKerintjicassiaと 称 され, 品質 は最良でかつ産 出量 も最 も多 く年間約900トンが生産 されて いる。 パダ ン高地 で 産 出され るケイ ヒが従来か らいわれてい る Cassiavera(fera)で,Kerinciについで多 く,500 -600トンが生 産 されてい るoTapanuli南部 のケイ ヒは真正のCassiaveraではないが,Cassia veraと同様にあっかわれてい る()年間約300トンで,他 よ りもやや少 ない。 これ らパダ ンに集荷 され るケイ ヒは, 自国内での消費を除 いてはほ とん どアメ リカ合 衆国に 直接輸 出されて お り, シンガポールやホ ンコンへ はほ とん ど出荷 されていないよ うで ある。 2. チ ョウジ (丁子) とケイ ヒ栽培 の下限 パ ダ ンか ら Batusangkar-旅行す ると, 高度 による 栽培植物 の"植分 げ 'が観察 され る。 海岸線 あた りでは ココヤ シの栽培がみ られ, それが切れ ると,す ぐにチ ョウジの栽培 がみ ら れ るよ うになる。 そ して, おおよそ標高 800m あた りか らチ ョウジは少 な くな り, か わ って ケ イ ヒの栽培が観察 され るよ うにな る。約800-900m の間では, チ ョウジとケイ ヒの両方が 栽培 されている ところ もあ った。 ココヤ シは問題外 と して, チ ョウジ とケイ ヒの栽培 は高度,恐 らくは気 温が重要 な要素 と思 われ るが, それ と次のよ うな関係が あ る。 す なわ ち, チ ョウジは, 西 スマ トラではおおよそ 900m以下で栽培 されてお りそれ以上 ではまれで あ る。栽培民 によればそれ以上では収穫 が減 少 し,さ らに高 くなると花がつかず,チ ョウジの収穫 がで きない とい う.一方 ケイ ヒは,800m 以下 で も充分 に育つ とい うよ りはむ しろ低地 のほ うが よ く生長す るが,樹皮 の香 りが落 ち商品 価値が急激 に低下す るとい う。 ケ イ ヒとチ ョウジの境界 が決 まるのは両方 の理 由によるよ うだが筆者 が観察 した高度 は, チ ョウジの側 によ り強 く規制 されて いると思われ る。 チ ョウジはケイ ヒの単価 の2倍(1,400Rp. /kg)もあ り, かつ7- 8年 目か ら採集 可能 にな り (ケイ ヒでは普通10年 目に収穫 され る), し か も毎年収穫 で きることな どか ら, ケイ ヒの栽培 よ りも有利で あると考 え られてい る。 そのた め,歴史 的な事情 もあ って一概 にはいえないが, チ ョウジの栽培が 可能 な ところはチ ョウジに よ って しめ られ る傾 向が あ る。その結果 チ ョウジの上限がケイ ヒの下限 とな ってい る の で あ る。 この ことは, もしチ ョウジの栽培が行 なわれて いず,ケイ ヒよ りも有利 な他 の栽培植物が ない とき,恐 らくもっと下方 までケイ ヒが栽培 され ると想像 させ る。 また一方 で,高度 が下が れば,実際にどの程度精油 畳が変化す るのか疑問が残 る。 それはさておき, ケ イ ヒの下 限は こ のよ うにむ しろチ ョウジの栽培 によ って きめ られてお り,地方 によ って さまざまの高度 で栽培 されている一つの説 明にな るであろ う。

(6)

東南 ア ジア研 究 12慧l号

3

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近辺 のケ イ ヒの栽培 a.若枝 か らの増殖 法

Ba

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近辺 で は, ケイ ヒの増殖 法 と して二つの方法 を用 いて いた。 一 つ は一種 の株 分 け法で あ る。 伐採 されたケ イ ヒの切 り株か ら若枝

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また は

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ng)

が 出て くる。 これを根 とい っ しょに切 り取 り移植 す る。 この増殖 法 によると樹 の生長が非常 に早 く,収穫 に有利 な方法 と考 え られて い る。特 に切 り株が腐 食 した りして若枝 の生長が阻害 された り, あ るいは多 くの若枝 が生 じて相互 に生 長を妨 げた りす る場合 に この方法 が用 い られ る。小規 模 な栽培 を行 な って い るかれ らに とって は,この方法 はけ っこう実用 的 な方法 で はあ るが,やは り多 くは次 に述 べ る種 Photo.1 Seed bedcoveredwithpseudo-stem s ofbanana

Photo.2 Seedlingsprotectedfrom sunshine

子か らの増殖法 によ ってい る。

b.

種子 か らの増殖 法 ケ イ ヒの果実が完熟 す るのは 3∼ 4月 頃で あ る。種子 は乾燥 に著 しく弱 く採集 後2, 3 日放 置す れば著 しく発芽能 力を失 うとい う。 そのため,果実 の採集期 と種子 の植付 け時期 とは重 な る。採集 された果 実 はただ ちに水 洗 しなが ら果 肉部を除 き,種子 を取 り出す。 こ の種子 は あ らか じめ灰 を加 えて整地 された苗 床

(

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1

粒ず つ約

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の間隔で

(7)

吉田 :ケイ ヒ類生薬 に関す る研究 (第 1報)

植付 け られ る。 そ して, 乾燥 を防 ぐために バ ナナの偽茎 の葉鞄 をはいで, その上にかぶせ る

(Photo.1)。 あ るいはゴザ(tikar)をか ける。だいたい 1カ月後 に発芽 す る。 その頃にバ ナナの

偽茎 あるいはゴザ を除 き,高 さ50cm ほどの 日覆 いをか け,宙 を保護 しなが ら育て る (Photo.2)0 雨が非常 に多い ときには 日覆 いをはずす こともあるが,普通 はそのまま数 ヵ月間 日覆 いを した ままに してお く。 日覆 いにはヤ シの薬 な どが用 い られ るが, 自然に腐 れ落 ち徐 々に光量が増大 す る。2カ月後 には双葉 にな り, 6カ月後 には高 さ 20-30cm にな り, 葉 も 7菜 ほどがつ く よ うになる(Photo.3)。 この頃になると移植可能 にな るが,普通 は種子 の植付 け後1年 冒位に, 住居近 くあるいは山の斜 面 に移植 され る。 住 居近辺では,磨,道路 や畑 の脇,畑 の跡地 などいた るところに植付 け られてお り, しか も 相 当の密度で, 多 くは1- 2m間隔で植 え られていた。また, それ らは純林でな くバ ナナや コ ー ヒーなどとともに植 え られていた り,サ トウキ ビとさえい っ しょに植 え られていた。住居近 くで は,特定 の場所 とい うよ りもむ しろ空地 さえあればど こにで も植 え付 け られ るとい った状 況で ある。そ して, このよ うな住居近 くに植 え られて いるケイ ヒの畳 は相 当量 にのぼ り, ある いは山での栽培 よ りも多いのではないか とい う印象 を受 けた。 住 居近 く以外 に,近 くの山 々に も植 え付 け られてい る。 高度差 は村 と山の栽培地 ではそれほ ど違 わず,せ いぜ い100-200m ほどで あろ う。 山では斜面 の方 向に関係 な く栽培 されてい る が,一般 に谷筋 は さけ られて いるよ うで ある。 山において も, ドリア ンや コ- ヒ,Damarを 採集 す る樹 とい った有用樹 を混ぜなが ら,10×10m あた り9-15本 (2′-3m 間隔にあた る) ほどで植 え付 け られてお り,住居近辺 よ り規模 は大 きいに して も, 多 くはあ ちこちに数十本, 多 くて数百本程 度で植 え られているにす ぎない。家族単位の栽培 では, この程度 の規模で しか で きないのか も しれない。 住 居近辺では特 に手入 れは行 なわれないが, 山に植 え付 け られた場合 には下草刈 りが行 なわ れ る。 若 い内は年2回, ある程度大 き くなれば年1回の下草刈 りが行 なわれ る。 また時 と して 下枝 が払 われ る ことがあ り, それによ って幹 の成長が よ くな り,上級品の皮 が多 く採集 で きる と考 え られてい る。 それ以外 ほ とん ど手入 れは行 なわれず,肥料 をほどこす こともないよ うで ある。 樹 は3年 目で胸 高直径 2.5∼3cm, 4年 目で 3.5′-4cm, 6年 目で 8.5′-llcm, 8年 目で 13.5-17cm, 10年 目で 18-20cm ほ どにな る。 8年 目で樹高 10m を越 え,10年 目で 15m ほどに成長す る。 C.収穫 について 普通,収穫 は10年 目位 に行 なわれ る。 しか し価格 の変動や金 の必要がで きた ときなどは, そ れ以 前 に伐採す る ことが多 々ある。5年 目位では樹 は, 1本 の樹か ら乾燥重量で 1′-2.5kg ほ ど しか収穫 がな く,やは りやや不利で あ る。10年 目位で, 同 じく乾燥重量が 9-10kg ほどに

(8)

東南 アジア研究 12巻1号

な り,

1

級品が約

5

0

%

もしめるため,最 も有利で あると考 え られてい る

。1

0

年以 上では収量は

増加す るが,生長 は緩慢 にな り, また幹皮 も厚 くな って 2級品に ランクされ るものが多 くな る

ので,せ いぜ い12- 3年 目までに伐採 されて しま う。

収穫 は1∼ 4月頃の雨期に行 なわれ ることが多いが, それ以外 の時期 に も収穫 さ れ る と い

Photo.4 A:Cuttingbarkwithpengupas li:Peelingbarkwithpengupas

Fi虫.I Toolsforpeeling A:PengupasB:Pengikis

(9)

吉川 :ケ イL_賊生 薬 に関 す る研究 (補1洩) う。

期 に多いの は三つの理 由に よ るよ うで あ る。 第1

に雨

採集

れるケイ ヒは 香 りが

く, 品質が良 い とされて い る こと。

2に雨期 に果 実が熟 し採集 で きる こと。〕 果 実 は時 には 400Rp/kgで取 り引 きされ る。 そ して第3に労働 力の問題で あ るO栽拙 Ltは水用耕 作 を本業 と してお り, ケ イ ヒの栽培 は副業 で あ る。,そのため,水 田耕 作 の

農閑期

にケ イ ヒの手入 れ,収穫 が行 なわれ る。, 1∼ 4月 は,

田植

え後 の稲 の収穫 までの農

期 なので あ る。 収穫 には PengupiLS と呼 ばれ る特殊 な遺艮 (Fig.i-A)が用 い られ る。 この嘩状 の とが った 部分で,地 上か ら20-30(「Inあた り, およびその位 程か ら70cm ご とに水 平方向に ぐる りと 切 り目を入 れ る。 つ いで

5-7cm で縦 方 向に樹皮 を切 り(Pl10tO・4-A),Pengupasの背 の部 分 を樹皮 と材

の間に さ しこみ,

皮 をはいでゆ く(Phot().4-1i)く)地 上か ら2m ぐらいまで は立 木のままで採集 し(Ph()I().5), それ よ り

上部

は, まず木 に 登 って枝 をは らい, そ して ノコ ギ リまたはオ ノで切 り倒 した後 に同様 に して採集 され る。太 さ1.5- 2(、111位の枝 まで皮 が はが れ るが, それ よ りも細 い枝 や栗 は

て られ る。 なお皮 をは ぎ と られた材 には特別 な用途 はな く 薪 な どに使用 されて いた(〕 は ぎと られた皮 は Pengrikis(Fig.i-1i)と呼ばれ る鍵 型にまけ られた よ うなナ イフで,外皮 がは ぎ と られ るし,外皮 を こそ ぎと られた皮 は路地 にな らべ られ,人目で乾燥され る(Phot().6)0 そ して 乾燥す る際に両側か ら巻 き込 ん だ形 に な るよ うに手が加 え られ るO 乾燥 は充分 に行 なわ れなければ な らない.

)

さ もない とカ ビが 生 じ,著 しく晶質 を落 とす とい う。 伐採 された樹 には 普通 3- 5年

E

i位二に相 当 す る若枝 が残 されて い る場合 が 多 く, この若 枝 を育て る ことによ り再 び収穫 で きるよ うに な る(〕また若枝 が ない

合で も切 り株か らひ こぼ えが 多数生 じ, この ひ こぼえか ら新 たに 櫨 に育て あげ る。

Photo.6 I)Tying()f(innilmOllI)Llrks jntlleSunShin(. ひ こぼえか ら育て るときには3年 目か ら収穫 が 可能 にな るo Lか し, これ らは収穫 を 目的 と は してい る ものの,一方 で はまび きを も目的 に して い る。普通切 り株か ら数本,多 い ものにな ると20本以 上の若枝 が牲 じ,互 いに生 長 を妨 げ るよ うにな る。 そのため, その中か ら適 当に太 い枝 を選 んで刈 り取 られ る。 太 い若枝 が選 ばれ るのは, あま りに細い若枝 か らは皮 が採集 で き ないか らで あ る。若枝 の多 い ものは, 同様 に して毎 年収穫 され なが ら, その 内の1- 2本 は10 年 目位 まで育て られ る. この よ うに,Batusangkar近辺で は3年 目位 の若枝 か ら

1

3年 目位 にお よぶ 樹 まで さま ざま の樹齢 の樹 か ら幹皮 が採集 されて い る。

(10)

東南 ア ジア研 究 12巻lE,3・

4

.

等級 につ いて 村 人 と村 の

買人 との間 で は3等 級 に分 け られて取 り引 き されて い る。 1級晶 (A);700RI) /kg, 2級昆 (A);500Rp/kg, 3級晶 (C);300Rp/kg・の価格 で取 り引 き されて い る。 この価 格 は場 所 に よ って 多少 変 動す るが, だ い た い この程 度 の価 格 で取 り引 き されて い る。 10年 目位 の樹 で は,地上 Ocmか ら20-30cm まで の極 めて厚 い皮 は2級 占封こ入 れ られ る。 これ よ り上部で,最初 の枝 まで の ま っす ぐな幹 か ら採集 され る樹皮 が1級 品 とされ る。 これ ら は枝 跡 や コブ な どが な く, ま っす ぐな美 しい樹皮 で あ る。 さ らに

部の幹 お よび太 い枝 か ら採 集 され る皮 が

2

級 晶で,

1

級 晶 よ りは皮 は薄 く, 枝 跡 や コブが み られ る もの もあ る。 普通太 さ 6cm 位 まで の杖 か ら採 集 され た皮 を い って い るO それ以 上 に細 い枝 か ら採集 され る皮 は3級

で, 太 さ1.5-2em まで の もの をい うし,

Photo.7 Somebundlesofcinnamon l)とIrksatLlbroker'shou㍉(.

:

tの もので は, 幹皮 は

2

級 晶 に, それ よ り細い

部分 か らの皮 は3級晶 に組 み入 れ られて い る。

廿 人に よ 一つて集 荷 された ケ イ ヒは,

た に7等 級 に分 類 しな お され る。 この7等 級 の分 け方 はパ ダ ンの 卸1軒 亡も吊様 で あ った。

普通,7

等 級 は T二級 晶か ら脱 にAA,A,KA (kasilr*A),KIi,1i,KC,Cと呼 ば れて い る。AAは長 さ約 70(・m,ま っす ぐな枝 跡 や コブ の な い 厚 さ 0.8-1.5111111 で や や うす い皮 も含んで い る。 AはAAの よ うな

い皮 を 合まず, 約 1.2-1.6mm の厚 さで,

蛙形

は AA と吊等 も し くはや や劣 る。KA は コブが あ った り, 表l仙こ凹凸の あ る もの を 含んだ, 仝 娘 に整 形の悪い もので,約 2mmほ どの厚 い皮 か ら な って い るし,Kliは さ らに厚 手 で 約3mm。 時 に は Lhnm を こえ る もの もあ る(, これ.らは 一般 に 矩か く,20-

4

0

(、m ほ どの長さで, 形 も悪 く, 両 側か らきれ いに巻 き込 ん だ 形に は な らず

,

聞 いた ま まの 形の ものが 多い。 これ らは比 較的容 易に根 に近 い部分 で あ る ことが わか る。IiとKCは と もに薄 い皮 で,0.5mm以 卜013はKCよ り も凹 凸, 穴 あ きが少 な く, 長 さ も-一般 に長

いo

KCは特 に枝 のつ け根 の 部分 と推 定 され る皮 を 多 く合 ん で い る(,Cは,B,KCよ り も薄 く,外皮 が 充分 に はが され て い ない ものが多 い。 これ ら7等 級 は村 で の等 級 分 け とお お よそ対 応 して い る。 す なわ ち,AA,A,KAは1級 晶 に,K13,13は2級 品 に,KC,Cは3級品 に。 しか し, よ く観 察 して み る と, この対応 か らず れ る もの を い く らで も見 つ け る こ とがで き る。

買人 や

商 の等 級分 けは主 と して皮 の厚 さ, 長 さ, 整 形 の 美 しさ, 香 りな どに よ って独 自に行 なわ れて い るた め, 村 で の等 級分 け とはお の

*

kとlSar粗い,あるいは大 きいの意

(11)

謹,:田 :ケ イ ヒ類生薬に関す る研究 (碑 1報) ず と異 な った結果 にな るので あ ろ う。 これ ら等級 品が, 何年 目の樹 の どの部分 の樹皮 か らな って い るか を知 る ことは容易 で は な い。先 に述 べ た よ うに,3年 目の細 い若枝 か ら13年 目,時 には それを上回 ると推測 され る樹齢 の皮 を含む さま ざまの樹皮 か らな ってお り,今 回の調 査では, そ こまで お さえ る ことはで きな か った。

まとめおよ び若干の考察 a.現 在で は,パ ダ ン, スマ ランの他 にマ カ ッサル を積 出港 とす る地 方 が栽培 の中心地 で,特 に東 部イ ン ドネ シアにお ける栽培 の比 重が増大 して きて い る ことが注 目され る。 また, シンガ ポールやホ ンコ ンの よ うな申継港-の輸 出が増加 し, よ り広 くイ ン ドネ シア産 ケイ ヒが輸 出 さ れ るよ うにな った,, b.パダ ン産のケ イ ヒはパ ダ ン高地,Kerinci両近辺,T叩 ;1ntlli南部の三つ の地域 で栽培 され てお り,その中で Kerin(、i産 のケ イ ヒ(Kerincicassia)が良 質でかつ 簸的 に も多い。 また, イ ン ドネ シア国内での最良最で あ るパダ ン塵ケイ ヒは国内消 費を除 いて, ほ とん どア メ リカ合 衆 t別こ蹟輸 されて い る。 C. 西スマ トラでのケ イ ヒの栽培 は500-1500m, 特に 600- 1,200m の高度 で行 なわれてい る とされて いた。2) 上限 は さてお き,下 限 はケ イ ヒ自体 の理 由で決 ま るので はない ことを示 し たO 筆者 の観察 した例 で は チ ョウジの栽培 に押 し上 げ られ,800m がケ イ ヒの下 限 とな って いた。 この ことは,場所 によ りケ イ ヒの 高地 が ま ちま ちで あ ることの一 つ の説明にはな るで あ ろ う。 d.ケ イ ヒが低地 で も充分 に育 ち,かつ 商品的価値 のあ る樹皮 が得 られ るのではないか とい う 疑 問 を もったが, 突 はM.Saidが標 高180m のケイ ヒと800m のケ イ ヒを比 較 して, さほ ど 変 わ らない とい う報告をすで に して い る。1) しか し,原報 をみて いない山で深 く言及 で きない が, も しそ うで あ るな ら, チ ョウジ とケ イヒの相 関性 もよ り明瞭 にな る。 e.ケイ ヒの栽培法 は従来 の

法 とそれほ ど変 わ らない。 しか し, これまで に 言及 されて いな い ことや変化 した点 もわずか にみ られ る.1 若枝 を株分 けす る方法 は これ まで明確 には言及 されて いなか った。一 つはそれ ほどよ く用 い られ る方法 で はない し, 見方 によれば, 切株か ら若枝 を甫て る- 一一一つの変法 と もとれ るか らで あ る。 しか し, これ は明 らか に増殖法 の一 つで あ る。 ∫.住屠近辺で は1′-2m 程 度 の間隔で植 え られて お り, か な り密 な植 付 けで あ る。 か つて は 2-2.5m2)で あ った とすれば, よ り密に植 え付 け られてい るとい うことにな る。 また,住 屠近 辺 で栽培 されて い る巌 は相 当の もので, いた る ところに植 え られて お り想像以 上 に これ らが し め る量が多 い と思 われ る。

(12)

東 南 ア ジ ア研究 j2巻 lrF3

-g.かつては Tephrosiacandidal)C.を緑肥 と してケイ ヒに用 いて いたが, 筆者の観察ない し聴取で は確認で きなか った。今 は もう用 いないのか, あ るいは地域 的な もので ここでは用い ていない とい うことか もしれない。 また手入 れの仕方の中で下枝払 いが行なわれてい ることも 珍 しい。

h.

収穫法 はやや詳 しく記 しておいた。 しか し基本的 な点 ではそれほ ど変わ らない。やや気 に なるのは,採集 された樹皮 の長 さがHeyneに よれば, 1m とな ってい ることであ る。1)それだ けな らば問題 はないので あるが,1級長 と2級晶をその長 さで区別 してい る,す なわ ち,1級 品は1m で2級品は75cm であるとい う。1) しか し,集荷 された市場品をみて も,だいたい70 cm 位 の長 さで,Heyneの頃 とは変わ ったので あろ うと推測 され る。 i・ また,Heyneの等 級分 けの記述 の中で, 陣の1番下 の皮 は1級甜 こ入れ られてい るが1), こは2級晶あっかいで ある。 また, その価格 も,2級晶 は1級晶 の75

%

, 3級晶は25% と定 め られてい る1)と してい るが,先に示 したよ うにそのよ うにはな っていない。 さ らに,仲買人や 卸商では 7等級 に分 け られてい る ことも記 されて いない。 これまでの報告1,2)は村での等級分 けだが対象 にされていたよ うに思 え る。 しか し, これ ら7等 級の分 け方 は筆者 に も疑問の点 が 残 り,別 の機会 に検討を加えてみたい と考えてい る。 なお本調査 に御協力下 さいま した西 スマ トラ政府 の Drs.Harin 乞ain, lr.M unar丘C,liとttu sangkarの Bupati,P・rr.Pembangunan Niagaの S.A.Sagala氏 をは じめ職員の方 々,

ジャカル タ大使館 の非東猛氏, また出国に際 して御便宜 をはか って 下さいま した上尾庄次郎京 大 名誉教授,宇野豊三京 大教授,木島正大京 大教授 に深 謝いた します。

参 考 文 献

1. HeyncK.,1927.1)eNuttih・ePlantenvan lndoneLqie,pl).649--659.

21 Deinum lik・,1949lKannel,DeLandbouw il-delnllisheAr(・hipelH B,pp.747-762.

31 BiroPusatStatistik,1968,1969・EksporMenurutDjenisI3arang,NegcriTuditlandanPelat,uhanlllk叩Or (1963.-1966),(1967).

4. censusandStatisticsI)epartme。t,1969,1970,1971.Ilol唱ko叩 TradeStatisti(、S

5. TheI)CpartmentofStatistics,1969.SingaporeF.xternalTr;i(1eStatistics

61 Kostermans,A.J・G.H,1964.BibliographiaLaur・rl(、eilrum,p,260 7・ Kostermans,A・J.G.Hリ1970,Reinwardtia8,PP.29-77

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