Title
Effects of High NaCl Diet on Arterial Pressure in Sprague-
Dawley Rats with Hepatic and Sinoaortic Denervation( 内容の要
旨(Summary) )
Author(s)
高, 双
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第663号
Issue Date
2006-03-15
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14481
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氏 名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 高 双(中華人民共和国) 博 士(医学) 甲第 663 号 平成18 年 3 月15 日 学位規則第4条第1項該当
Effects of High NaC!Diet on ArterialPressurein Sprague-Dawley Rats With Hepatic and Sinoaortic Denervation
(主査)教授 森 田 啓 之 (副査)教授 伊 藤 和 夫 教授 竹 村 博 文 論文内容の要旨 門脈一肝臓領域にNa+受容器が存在し,この受容器が食後のNa+排泄増加及びNa+バランス調節に関与してい ることを報告してきた。この受容器が障害されると,高食塩食負荷によりNa+が蓄積して,動脈血圧が上昇する 可能性が考えられる。実際,食塩感受性ラットを用いた研究では,門脈一肝臓領域Na+受容器が動作しない状態 では,高食塩負荷時の動脈血圧上昇が大きくなる。しかし,食塩非感受性ラットにおいては,門脈一肝臓領域 Na+受容器の長期動脈血圧調節における役割は不明である。従って,本研究の目的は,食塩非感受性ラットを用 い,門脈一肝臓領域Na+受容器の長期動脈血圧調節における役割を調べることである。動脈血圧は多くの調節系 により一定に保たれており,最も重要なものは圧受容器反射である。従って,動脈血圧調節における門脈一肝臓 領域Na+受容器の役割は,圧受容器存在下ではマスクされる可能性があり,圧受容器を働かなくした状態で調べ る必要がある。本研究では,門脈一肝臓領域Na+受容器からの求心神経の除神経と圧受容器除神経を組み合わせ, 長期間の高食塩食負荷に対する動脈血圧の応答を調べることにより,門脈一肝臓領域Na+受容器と圧受容器の役 割を分けて調べた。 方法 Sprague-Dawley(8週齢)雄ラット(250∼280g)を用い,次の4群に分けて実験を行った。 *正常群(Intact,n=7):圧受容器反射と肝臓神経とも正常。 *肝臓神経切除群(HD,n=6):肝動脈周囲の神経叢(門脈一肝臓領域Na+受容器からの求}L、神経)を切断。 *圧受容器除神経群(SAD,n=6):頚動脈洞神経切断+大動脈神経切断。 *SAD+HD群(n=7)。 無麻酔無拘束で長期にわたり動脈血圧を測定するため,これら4群のラットの腹部大動脈に動脈血圧測定用の テレメトリー装置を埋め込んだ。1週間の回復期問の後,4週間にわたり,動脈血圧と心拍数を連続的に記録した。 4週間のうち最初の1週間は正常食塩食(NaClを0.4%含有),次の3週間は高食塩食(NaClを8%含有)を与えた。 飲水量と食餌摂取量はドロップカウンターとフードカウンターにより自動記録した。24時間毎に体重,尿量,尿 中Na+,K+,Cl 排泄量を測定した。動脈血圧と心拍数のデータは毎分10秒間のサンプルを自動測定し,その平 均値を1分間の代表値としてコンピュータに蓄積した。各変量につき,群と食餌を要因とし2-Way ANOVAで検 定した。 結果 高食塩食負荷後,摂食量はすべでの群で減少傾向が見られ,Intact群とHD群の減少は統計的に有意であった。 高食塩食負荷後,SAD+HD群はIntact群より摂食量が多い傾向が見られたが,その差は有意レベルには達しな かった。飲水量,尿量,尿中Na+,Cl 排泄量はすべでの群で高食塩食負荷直後から増加したが,尿中E+排泄量
-75-はすべでの群で低下した。正常食塩食期間において,4群間で平均動脈血圧に有意な差はなかった。高食塩食負 荷後も,Intact群とHD群では平均動脈血圧に変化は見られなかったが,SAD群とSAD+HD群では高食塩食負 荷直後から増加した。高食塩食第3週の平均値はSAD群では110±3mmHg(正常食塩食の平均値100±3mmHg), SAD+HD群では114±3mmHg(正常食塩食の平均値101±2mmHg)と有意に増加した。SAD群とSAD+HD 群の平均動脈血圧はIntact群(93±1mmHg)およびHD群(92±1mmHg)に比較し,有意に高かった。高食塩 食負荷により,SAD群とSAD+HD群では心拍数の増加傾向が見られたが,Intact群とHD群では逆に有意に減 少した。高食塩食第3週の,Intact群(330±8bpm)とHD群(317±3bpm)の心拍数はSAD群(368±13bpm) とSAD+HD群(366±7bpm)に比較し有意に低かった。 考察 高食塩食負荷時の動脈血圧において,Intact群とHD群問およびSAD群とSAD+HD群間に有意差はなかった が,Intact群とSAD群問およびHD群とSAD+HD群問には有意差があった。すなわち,食塩非感受性である Sprague-Dawleyラットでは,門脈一肝臓領域Na+受容器は長期の動脈血圧調節に重要な役割を果たしていない が,圧受容器は高食塩食負荷時の長期の動脈血圧調節に重要な役割を果たしていることが分かった。門脈一肝臓 領域Na'受容器は長期間のNaCl負荷により,発現がdown regulationされることを我々は報告しており,長期 の高食塩食負荷によりIhtact群でも門脈一肝臓領域Na+受容器の調節力が低下する。このことがHDの効果が有 意に出なかった原因であると考えられる。 圧受容器を除神経しても長期間にわたる動脈血圧の平均値は変化しないという実験結果から,圧受容器反射は 短期の動脈血圧調節には重要な役割を果たしているが,長期の動脈血圧調節には重要でないと考えられていた。 しかし,今回の実験で,圧受容器除神経と高食塩食負荷を組み合わせると動脈血圧が上昇したことから,圧受容 器は長期の動脈血圧調節にも重要な役割を果たしていると考えられる。実際,圧受容器が動作しないSAD群お よびSAD+HD群では,高食塩食負荷により心拍数は有意な変化を示さないが,圧受容器が動作するIntact群お よびHD群では心拍数は有意に減少した。これは,Intact群およびHD群では高食塩食負荷により,動脈血圧が上 昇し,その上昇を圧受容器が感知し,圧受容器反射を介して上昇した動脈血圧を元のレベルに保っているためと 考えられる。しかし,これらの変化はフィードバックループが閉じている状態では観察することができず, SADによりループを開くことにより動脈血圧上昇として観察できたものと考えられる。 論文審査の結果の要旨 申請者 高 双は,高食塩食負荷時の動脈血圧調節における門脈一肝臓領域Na+受容器と圧受容器の役割を食 塩非感受性ラットにおいて検討し,門脈一肝臓領域Na+受容器は長期の血圧調節に重要な役割を果たしていない こと,および食塩非感受性ラットに高食塩食負荷を行っても動脈血圧が上昇しないのは圧受容器反射が働いてい るためであることを明らかにした。この知見は循環生理学の発展に少なからず寄与するものと認める。 〔主論文公表誌〕
Effects of HighNaCIDiet on ArterialPressurein Sprague-Dawley Rats with Hepatic and Sinoaortic Denervation
JapaneseJournalof Physiology55,229-234(2005).