生徒の自分づくり,夢づくりのための組織的な教育活動の展開 一信頼関係の構築を基軸とする学校組織マネジメントを活用してー 高度学校教育実践専攻 実 習 責 任 教 員 佐 古 秀 学校・学級経営コース 実 習 指 導 教 員 久 我 直 人 明 神 通 恭 1 実習課題設定の理由 2 実習の計画 (1)学校アセスメントによる置籍校の現状把握 (1)教育改善の基本設計 アセスメントの結果、生徒と教員の実態とし 佐 古 (2011)の学校組織開発理論及び生徒の て次のことがわかった。 成長のプロセスに基づいた、置籍校における組 《生徒の実態》 織的教育改善の基本設計を以下に示す。 よさ 自分の仲間を大切にする気持ち 課題・信頼関係の希薄化・意欲や主体性の停滞 《教員の実態》 よさ.教育実践に対する誠実さ 課題・他律的な教育実践・個業化の進行 (2)実習課題の設定 学校アセスメントを基に、生徒の課題・教員 の課題を以下のように考え、全教員での確認・ 共有の上、共通理解を図った。 1)教員の課題 『こなす教育』に起因した学校マネジメント への参画意識の低さと『組織性の低下』による 個業化の進行・『部分最適型の教育活動』による 学校教育カの弱体化を教員の課題と捉えた。 2)生徒の課題 中学校での生活を経験するにしたがって、信 頼関係の希薄化、自尊感情の低下、意欲や主体 性の停滞、学習理解の困難さ、目標や夢の喪失 が進行しており、生徒の中心課題を『周りに依 存してしまい、自分のよさを発揮できない主体 性のなさ』と捉え、基本課題を『自らを律し、 主体的に行動できる生徒の育成』とした。 1 図1 教育改善の基本設計 (2)組織体制の整備 組織的・協働的教育活動推進のために、企画 員会を「プロセスファシリテート機能」、生徒指 導部会・教科指導部会・学年部会を「コア・シ ステム」として システムに位置 づけ、それを機 能させるために、 カリキュラムの 中に会議の時間 を設定した。 図2 組織図と位置づけ
3 実 習 の 実 践 (1)Research期の実践 1)生徒の実態認識の把握と共有
(
H
2
5
.L
3
0
)
整理した学校アセスメント資料を基に研修を 行い、生徒の実態を全教員で確認した。I
確認した実態:信頼関係の希薄化・自尊感情 の低下・学習理解不足主体性の停滞他]2
)
生徒の課題の分析と共有(
H
2
5
.2
.
1
3
)
アセスメント資料を再度提示たうえで、w
s
型 研修を行い、データと教員の実感を摺り合わせ て生徒の中心課題について意見収集を行った。3
)
中心課題と基本課題の明確化(
H
2
5
.3
.
7
)
教員から出された意見を基に企画委員会(プ ロセスファシリテートチームの前身)で検討し て、生徒の実態傾向から中心となる課題を見出 し、教育によって目指すべき方向性となる基本 課題を明確にした。4
)
中心課題と基本課題の共有(
H
2
5
.3
.
1
8
)
全教員から出された意見の集約を示し、企画 委員会で検討された中心課題と基本課題を提案 の上確認し、課題の共有を図った。 (2) P Ia
n
期 の 実 践 1)基本課題達成の為の取組の方向性の明確化 先行研究を基に問題を構造的に理解し、育み たいカを見出した上で、生徒の成長のプロセス 基づいて取組の方向性を明確化した。 図3 問題の構造と成長のプロセスの関連性 11 2)成長のプロセスに基づいた改善方策の策定 確認された方向性に向けて具体的な改善方策 (アクションプラン)を形成した。 以下に形成したプランを示す。 ①安心安全な集団づくり ②承認情報の共有・内面化のシステムの構築 ③学習効力感の形成 ④主体性と社会的効力感の形成 この方策を段階的に実践する事で、基本課題 である『自らを律し,主体的に行動できる生徒の 育成』に迫ることを確認した。 図4 アクションプラン実践のイメージ (3)Do前期の実践 1)安心安全な集団づくり 以下の方法で((ルールの徹底》を図った。 ①ネガティブリストによって全教員によって決 定した絶対のノレールを[大中宣言]として告示 し た 。 ま た 授 業 の 統 ル ー ル を 検 討 の 上 決 定 し て、「行為と存在を分ける」とし寸確認のもと、 指導を徹底した。②全校集会にて生徒会執行部からスローガンの 確認を行い、全校合同班長会をもって重点目標 を設定したうえで、それを基に学級レベルでポ ジティブ、ノレーノレを生徒自ら決定した。 2)承認情報の共有・内面化システムの構築 承認情報の共有と内面化のシステムの概略 を以下に示す。 ①基本的な考え方 生徒自らが気がつかないような成長やよさを 教員が見取り、生徒の実感を促すようにフィー パックすることを通じて、信頼関係を構築し生 徒の自己認識の深化を促して、自己信頼感の形 成を図る。
ユ 旦 繍 麟 劇 く
1
K
師aシート)1:(自己発見シー防毒ι"鎖関係が脊執《自分づくりが促越される! 図5 承認による自己信頼感の形成の考え方 ②承認情報のツール 承認情報の内容はa具体的な事実、 b教員の 思い、 C成長期待とし、[承認シート]に記入し てフィードパックする。また、コピーを教室に 掲示して生徒相互の承認を促す。 ③内面化と共有のツール 内面化のツール[自分発見シート]の内容は a 承認情報の感想、 b承認情報からわかったこと、 C今後の成長目標、 d友達のいいところ、 e保護 者からの応援メッセージとなっており、 a~d ま 111 でを生徒が記入して成長やよさの内面化を図る。 ④研修の工夫 校内ツアー型研修を実施し、視点生徒の成長 やよさを共有し、省察やフィードパックの工夫 など実践の交流を図ることで協働性を構築する。 ⑤保護者との共有 ドリームノートを介して、生徒の成長やよさ を共有し、[自分発見シート]に応援メッセージ を書くことで学校の取り組みに参画してもらい、 信頼関係を構築する。(③同①
j
u
m
.
.
H
i
e
e
p
w
H
ノ 図6 承認情報の共有町内面化システム 3)学習効力感の形成 生徒の学力向上の基盤である学習効力感形 成のために授業の構造化・校内研修の改善・授 業と家庭学習の連環の構築に取り組んだ。 4)生徒主体の活動による効力感の形成 教育の成果であり主体である生徒の活動を活 性化し主体性を醸成するために、生徒会組織の 改編を行い、全校合同班長会と連携を図りなが ら学級レベルの((小さなリーダーの育成》を図 った。また、ルーティン化した生徒会活動や行 事を見直し『自ら創る・自ら行う行事や自治活 動』に取り組んだ。(4) See前期の実践・・・前期実践の中間評価 5月と 7月のアンケートの結果を基に中間評 価を行った。その結果、後期の実践のポイント として、①教員聞での承認情報の共有のためシ ステムの構築、②生徒の相互承認を促すための 生徒同士を『つなぐ』フィードパックの工夫、 ③社会的効力感形成のための社会貢献活の実施 の3つの取り組みを確認-共有した。 (5)Do後期の実践 1)実践の継続 ①安心安全な集団づくり -全校集会による、絶対のルール[大中宣言] と授業の統一/レールの確認と共有 ・生徒会スローガンと重点目標の確認と共有 ②承認、情報の共有と内面化の取組 ・承認情報のフィードパック -校内ツアー型研修による情報交流 ③学習効力感の形成の取組 -授業の構造化 ・授業と家庭学習の連環の構築 ④生徒主体の活動による効力感の形成 .ルーティン化した活動の見直し -重点目標達成のための活動の企画運営 2)生徒主体の活動による効力感の形成 ボランティアグループ『元気会~ (約60名) を中心に社会貢献活動を開始した。 ①障がい者支援施設におけるボランティア ②小中連携の放課後学習支援ボランティア 生徒の主体的な活動の実践に対して、地域の 方や小学校教諭から活動の価値づけをしてもら い、社会的効力感の形成を図った。 (6) See後期の実践・・・前後期通しての評価 平成 24年 10月、平成 25年 11月の Q-Uの比 較検証及び追加アンケートによる補足から生徒 の変容についてアセスメントを行った。 lV 4 実習の成果 Q-Uとアンケートにより実習の検証を行った。 (1)教員の変容 ①目標及び取組形成過程への参画 57%→82% ②個業性縮減 67%→94% ③教員間の信頼:強い肯定 38%→65% 図7 ①②③のデータ ④コミュニケーションの活性化 63%→88%