− 351 − 出会えそうな気がしてならない 教科・領域教育専攻 芸術系コース(美術) 吉 峯 知 里 作品の要旨 1.研究動機 筆者は打ちっぱなしのコンクリートのひび割 れや、道路の古い舗装と新しい舗装の問の段 差、壁の汚れなどに魅力を感じる。ひび割れや 段差、壁の汚れなどには時間と環境の上に素直 に身を乗せた心地よさがあるo 素直であると同 時に、時を経た力強さがあり、エネルギーに満 ちている。身の周りにあふれでいる、素朴さと 力強さを持つものの魅力を、油絵具をキャンパ スに乗せることで表現するo モチーフは民家などのありふれた風景とす る。多くの人が普段は見逃してしまうような取 り留めのない風景をモチーフとし、シンプノレな 筆跡と落書きのような自由さで表現すること で、鑑賞者が自身を取り巻く世界の面白さや美 しさを思い出す作品を制作する。整然としたも のより、身の回りにある壁の汚れや落書きに魅 力があることに気づかせたい。壁の汚れなどの ありふれたものが持つ時間と環境の上に素直に 身を乗せた心地よさを表現する。
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支 持 体 支持体は麻布、キャンパスの裏地、使い古し の雑巾、ジーンズ生地の衣服、サンドペーパー、 ダンボール、ベニヤ板などを刺繍糸で縫い繋げ、 ランダムに構成したものである。質感が違う布 や板を継ぎあわせ、素材同士の強さをぶつけた 指導教員 鈴 木 久 人 画面を作った。(図1) 画面上に風景画が散在しているように見せ、 気ままに描かれた落書きのような自由さを表現 した。描画の段階においても、布や板を継ぎ足 したり、また剥がしたりしながら自由に画面を 構成した。 素材感の強く残る支持体と、表面が凸凹とし た絵具で描かれた風景画を同時に見せることで、 単純な構成の絵でありながら重厚感や時を経た ものから感じられる懐かしさを表現できると考 えた。 図 l3
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制作について 始めに、麻布とキャンパスの布地を壁に釘で 打ち付けて組み合わせ、 2000mmX1500mm程度の 大きさの支持体をっくり、 5つほどの風景画を 描いたが、画面が整然としてしまい、研究動機 として述べた落書きのような自由さが無かった ため、再び麻布とキャンパスの布地を切り離し てランダムに見えるように再構成した。迫力の ある画面にするために、さらに布や紙などの素− 352 − 材を追加して 2400mm