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イギリスにおける財務会計概念フレームワークに関する一考察

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イギリスにおける財務

フレームヮークに関

計 概

可 児 島

I は じめに これ まで,イ ギ リスの会計基準設定機関である会計基準審議会 (ASB)は , アメ リカの財務会計基準審議会 (FASB)や 国際会計基準委員会 (IASC)に 追随するように財務会計概念 フレームワークに関する文書を公表 している。1991 年 か 亀1994年までの 「原則書」 (Statement of Princlples)草案 (以下SP案 と す る),1995年 の 「財務報告原則書」 (Statement of Principles for Financi】 Reporting)草案 (以下SPFR案 とする)211999年 3月の 「財務報告原則書」改

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1)ASB, Sけ 筋θ竹″%けげ P7ウ物C2pιθS, ED and DD, ch。 1-6, 1991-1994.

2)ASB,ED,Sけ aけθttθ物けげ P克物Cのιθs ttγ見 物a%Cづaι妃∽ ογ筋り,1995.詳 細 は次の文 献 を参照 されたい。拙稿 「イギ リスにおける財務報告の概念 フレームヮークに関する一考 察」 F彦根論叢』第306号 (1997年2月),197-219頁。

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6)IASC,F弓 粕免%屯形 をυOγ 乃 抑 γ けん θ r%々 をp6じ 角弱けぢθtt aγ みα PTesθ 物 け筋 づθれ てア F弓 ?9碗 σあaι Sけ aけ θ竹 形 物 な ,

1 9 8 9 .

(2)

構 成 要素 ,財 務諸表 にお ける認識 ・測定 お よび財務情報 の表示 について検討す の る 。

財務報告原則書」の目的と位置づけ

SPFRは ,「序文」 において,そ の 目的 と位置づ けについて次 の ように明 ら かに している (pars.2-5)。SPFRの 目的は,ASBが 会計基準 を新 たに設定 また は改訂す る場合 に基本的問題 に関する論議の必要性 を削減するために,会 計基 準の概念的な基盤 を明 らかに し,首 尾一貫 した基礎にもとづいた会計基準が新 たに設定 または改訂 されるように一貫 したフレームワークを提供することであ る。 したがって,SPFRは 会計基準ではないので,財 務諸表の作成 または表示 に関する要件 を含 まない。 しか し,基 準設定 プロセスにおいて,必 ず しもすべての会計基準がSPFRに もとづいて設定 または改訂 されるわけではない。すなわち,法 律 とSPFRと の 間 に矛盾 が存在 す る場合 や,ASBが コス ト ・ベ ネフイッ トを比較考量す るこ とによつて,SPFRに よる提案 とは異 なるアプローチ を採用す る会計基準が誕 生することがある (par.15)。しか し,法 律,会 計技術および市場の進化 によつ て,ASBは SPFRと 会計基準 との間の矛盾 を減少す ることがで きると展望 して い る (par.16)。また,SPFRは ,ASBの 実践経験 を考慮 し,会 計思考 におけ る発展 に対応 して,時 代 とともに改訂 される可能性がある (par。18)。 田 財 務諸表の 目的 S P F R に よれば,財 務諸表 の 目的 とは,「広範囲の利用者が経営者の受託責 7)な お,SPFRの 構成 は以下の とお りである。序文 (Introducはon),ch.1:財務諸表の目的 (The obiectiVe Of financial statements),ch,2:報告事業体 (The reporting entity), ch.3:財務情報の質的特徴 (The quattative characteristics of inancial information), ch.4:財務諸表の構成要素 (The elements of inancial statements),ch.5:財務諸表 にお

ける認識 (Recognition in inancial statements),ch.α財務諸表 における測定 (Measu― rement in inancial statements),ch.7財務情報の表示 (Presentation of inancial infor― mation),ch.8:その他 の事業体 における持分 に関す る会計 (Accounting for interests in other entities)。

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イギリスにおける財務会計概念フレームワークに関する一考察 167 任 を評価 した り,経 済的意思決定 (経営者の受託責任の評価 にもとづいた経済 的意思決定 を含 む)を 行 つた りするために有用である企業の財務業績や財政状 態 についての情報 を提供す ることである。」 (par。1.6)す なわち,広 範囲な利 用者のための経営者の受託責任の評価 を含めた経済的意思決定有用性 アプロー チが採用 されている。 1.財 務諸表の中心的利用者 としての投資家 SPFRに よれば,財 務諸表 は 「現存す る投資家 を超 えた範囲の人たちのため に作成 される」 (par.1.2)と 述べ,財 務諸表の利用者 として,現 在お よび将来 の投資家 (以下,投 資家 とす る),債 権者,仕 入先やその他の営業上の債権者, 従業員,得 意先,政 府や政府関連機関お よび一般大衆の7つ をあげている (par. 1.3)。SPFRは ,こ の中で,主 要な利用者 を投資家 と位置づけ,投 資家は,企 業の現金創出能力 (abihty tO generate cash)や財務適応性 (irlanci』adaptabiト ty)を 評価す ることに関心があ り,そ のために財務業績や財政状態 についての 情報 を必要 とす る (par.1.10)。 この ような投資家の関心 は,投 資家以外の利用者 にとって次の ような理由か ら重要であると述べ られている (Ibid,)。た とえば,企 業の現金創出能力や予 期せぬニーズや機会 に対応 で きる能力 は,中 ・長期的に借入金 を返済 した り, 利息の支払いに応 じた り,従 業員 に給料 を支払 った り,仕 入先 に代金 を支払 っ た り,投 資 に着手 した りする能力 を決定するか らである。 また,債 権者やその 他 の営業上の債権者 は利害が長期 にわたる場合あるいは損失の リスクが大 きい 場合 には,投 資家 と同様 の情報 を必要 とする。その理由は,債 権者は固有の情 報 を評価するため に参照する枠組み として当該情報 を利用 したい と考 えるか ら である。 したが って,SPFRは 投資家が要求す る情報 をその他の利用者 も必要 とす るとみな し,投 資家 を財務諸表の中心的利用者 と位置づけて論 じている。 2.投 資家が必要 とする情報 前述の ように,投 資家が必要 とする情報 は,財 務業績,財 政状態,現 金創出 能力お よび財務適応性 に関す る情報である。 財務業績計算書 を主 とす る企業の財務業績 に関する情報 は,企 業の資源 にも

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とづいて得 られた利益 ,そ の構成要素お よびその特徴か ら成 る (par.1.13)と 貸借対照表 を主 とす る企業の財政状態 に関す る情報 には,企 業の経済資源, 財務構造,流 動性や支払能力, リスク ・プロファイルや リスク ・マネジメン ト お よび活動環境変化への適応能力 (財務適応性)が 含 まれる (par.1.15)。 キャッシュ ・フロー計算書 を主 とする,企 業の営業,投 資お よび資金調達活 動 における現金創 出 ・運用方法 に関す る情報 は,企 業の財務業績 に関す る発展 的な視点 を提供 し,そ れは流動性 と支払能力,利 益 とキャッシュ ・フロー との 関係 ,財 務業績か らの将来キヤッシュ ・フローに関する示唆お よびその他の財 務適応性 に関す る評価 や過去の評価 の訂正 に役立つ (pars.1.17-18)。 前述の企業の財政状態や現金創 出 ・運用状況 に関す る情報 に関わる財務適応 性 とは,予 期せぬニーズ または機会 に対応で きるように,企 業がキヤッシュ ・ フローの金額や時期 を変更する効果的な行動 をとる能力を意味する (par.1.19)。 企業 にとって財務適応性が重要である理由は,営 業活動 に関連するリスクの軽 減や営業活動か らのキ ャッシュ ・フローが低 い時期 における生 き残 りのために 役立つか らである。 しか し,即 時 に売却可能な市場性のある資産 を保有するこ とによって財務適応性 を重視する余 り,そ れに関連する利益率が流動資産 を除 く保有資産か ら得 られる利益率 よりも低 くなるという弊害 もある (par。1.20)。 企業 にとっての望 ましい財務適応性の程度 は,企 業が直面 しているリスクや投 資家の リス クに対す る欲求 に左右 される (par.1.21)。 Ⅳ 財 務情報の質的特徴 SPFRは ,財 務情報の質的特徴 を,財 務諸表が利用者 にとって有用 な情報 を 生み出すことを保証するための質 と述べ (ch,3,原 則),目 的適合性 (rdevance), 信頼性 (reliability),比較可能性 (comparabihty),理解可能性 (understandabili一 ty)の 4つ の特徴 をあげる。SP案 やSPFR案 において も上記の4つの特徴 をあげ ていたが,そ れぞれの関係付 けが異 なっている。す なわち,SP案 では,前 2者 を第一義的特徴 (primary characteristics),後2者 を第二義的特徴 (secondary characterisdcs)と2組 に区分 し,そ れぞれの特徴 を階層的に位置づけた。SPFR

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イギリスにおける財務会計概念フレームワークに関する一考察 169 案 では,前 2者 を内容 (content)に関す る質的特徴,後 2者 を表示 (presentation) に関す る質的特徴 と2組 に区分 す るが,そ れぞれの特徴 を並列的 に位置づ けた。 しか し,SPFRで は,第 1図 に示 す とお り,上 記 の4つ の特徴 を個 々 に並列 的 に 位 置づ け,各 特徴 別 に さらに種 々の特徴 を階層 的 に位 置づ けてい る。 1.目 的適合性 目的適合性 は,情 報が本U用者の経済的意思決定 にタイム リーに影響 をお よぼ す ように提供 されることを意味す る (par.3.2)。目的適合的な情報 は,予 測価 値 または確認価値 (SFAC第 2号ではフィー ドバ ック価値)の 一方あるいはそ の両方 を有する。情報が利用者 にとって過去,現 在および将来事象の予測ある いは接近 に役立つ場合,当 該情報は予測価値 を有する。また,情 報が利用者 に とって自らの過去の予測 を確認あるいは修正するのに役立つ場合,当 該情報は 確認価値 を有する (par.3.3)。 2.信 頼性 SPFRに よれば,次 の ような場合,財 務諸表 によって提供 される情報は信頼 性があるとされる (par,3.8)。す なわち,(a)情 報が表示 しようとする,ま た は利用者 によって表示することが合理的に期待 される取引やその他の事象の影 響 を忠実 に表現する場合 (表現の忠実性),(b)情 報が故意 または制度的な偏 向が ない場合 (中立性),(c)情 報 に重要な誤 りがない場合,(d)情 報が重 要性の範囲内で完全である場合 (完全性),(e)不 確実性の状況下での情報の 作成 において,あ る程度の注意 をもって判断や見積 りが行われる場合 (慎重性) である。以下,各 特徴 について詳 しく述べ る。 (1)表 現の忠実性 取引 またはその他の事象 は,財 務諸表 において認識,測 定お よび表示 される 方法が当該取引 またはその他の事象の影響 に密接 に対応する場合,財 務諸表に おいて忠実 に表現 される (par.3.10)。この ような表現の忠実性 には,取 引 また はその他の事象か ら生 じるすべての権利 と義務 を特定化 し,そ れらの商業効果 つ ま り実質 を反映する方法で表示することが ともなわれる (par.3.12)。

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イギリスにおける財務会計概念フレームワークに関する一考察 171 (2)中 立性 財務諸表 によって提供 される情報 は,中 立,す なわち事前 に決定 された結果 を達成す るように測定方法が選択 された り,表 示 された りとい うような故意 ま たは制度的な偏向にさらされてはいけない (par.3.15)。 (3)完 全性お よび重要 な誤 りがない こと 財務諸表 によつて提供 される情報 は,表 現の忠実性や中立性 を満 たすために は,重 要性の範囲内において完全であ り誤 りがない状態でなければならない。 さもなければ,財 務諸表 は虚偽 または判断 を誤 らせ る原因 とな り,信 頼性 に欠 けかつその 目的適合性 において も不適当である (par。3.16)。 (4)慎 重性 1真重性 とは,不 確実性の状況下 において,資 産や収益 の過大表示お よび負債 や費用の過小表示がない ようにある程度の注意が要求 されることを意味 し,特 に,資 産や収益 の存在 に関 してはより大 きな測定の信頼性が要求 される (par. 3.19)。しか し,秘 密積立金 または過度の引当金 を計上す るな ど,故 意 に資産 や収益 の過小表示,あ るいは故意 に負債や費用の過大表示 をしてはいけない。 なぜ な ら,そ の場合,財 務諸表 は中立的ではな く,す なわち信頼性がな くなる か らである (par.3.20)。 3.比 較可能性 比較可能性 とは,利 用者が期 間お よび企業間で生 じる取引 またはその他の事 象の性質や影響 における類似性や相違点 を識別 し,評 価す ることがで きるよう に情報が作成 され,表 示 されなければな らない ことを意味す る (par.3,22)。 そのため には,会 計方針の首尾一貫性 (par。3。23),会 計方針の変更や当該変 更の影響 についてのデ イス クロージヤー (pars,3.24-25)が必要である。 4.理 解可能性 財務諸表が提供す る情報 は,利 用者 にとって理解可能でなければならない と 同時 に,利 用者がその重要性 を認識で きなければな らない (par.3.26)。その ためには,取 引やその他の事象の影響が適当に集計 され,分 類 されなければな らない。また,利 用者力串情報 を理解 しようとする能力が必要である (par.3.27)。

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5.重 要性 重 要性 は,以 上 の4つ の特徴 が財 務情 報 の有 用性 を最大化 す るための特徴 で あ るの とは異 な り,結 果 的 に生 じる情報 を最終 的 に財務諸表 に含 め る必 要があ るか を判 断す る識 閉的特徴 であ る (par.3.28)。 6.質 的特徴 間の コ ンフ リク ト (1)目 的適合性 と信頼性 目的適合性 と信頼性 は トレー ドオフの関係 にあることが多いが,特 に資産や 負債 の測定 に関 しては,ま ず,信 頼性があ り,か つ 目的適合性が最大限に重要 視 された情報 を用 いることが適当である (pars.3.l and 3.34)。 目的適合性 と信頼性 との間のコンフリク トは情報の適時性 に関 して も生 じる。 す なわち,不 確実性が解消 される前の情報提供 は信頼性 に欠ける可能性がある 一方,解 消 された後の情報提供の遅れは情報を陳腐化 させ,目 的適合性に欠け る可能性がある。 しか し,不 確実性が解消 される前の情報提供 において信頼性 を考慮 して財務諸表か ら情報 を省 くことは完全性 に影響 をお よぼ し,結 果,信 頼性 に影響 をお よぼす可能性がある。企業 は財務情報 を可能な限 り迅速 に信頼 性 を有す るように作成 した上で利用者へ提供 しなければならない (par.3.35)。 (2)中 立性 と慎重性 中立性 は故意 または制度的な偏 向か らの解放 に関連する一方,慎 重性 は不確 実性 を考慮 して,資 産や収益 を過大表示せず,負 債や費用 を過小表示 しないこ とを目的 とす る潜在的に偏 向のある概念である。 このコンフリク トは,故 意 ま たは制度的な資産や収益の過少表示や負債や費用の過大表示が生 じないことを 保証す る均衡 を見出す ことによって調和 させ る (par.3.36)。 V 財 務詰表の構成要素 財務諸表の構成要素 は,資 産,負 債 ,所 有主持分 (ownership interest), 利得 (実現 または未実現 を問わずすべ ての利益 ,収 益お よび利得 を含 む),損 失 (実現 または未実現 を問わずすべ ての費用や損失 を含 む),所 有主か らの拠 出お よび所有主への分配である。

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イギリスにおける財務会計概念フレームワークに関する一考察 173 1.資 産 SPFRは ,資 産 につ い て 「過去 の取 引 また は事象 の結果 と して,企 業 に よっ て支配 され る将来 の経 済 的便益 に対 す る権利 またはその他 の機会」働(par.4.6) と定義 し,資 産 を財 産項 目自体 よ りもむ しろ財産項 目か ら生 じる将来の経済的 便益 に対 す る権利 またはその他 の機会 であ る とみ なす (par.4.8)。 この ような権利 またはその他の機会は,財 産項 目に関する法的所有権によっ て得 られることが多い (par.4.9)。しか し,リ ース資産のように,財 産項 目か ら生 じる将来の経済的便益 に対する法的権利が,当 該財産 自体の法的所有権 を 得 ることな く得 られる場合 もある (par.4.10)。また,特 許 を受けていない発 明のように,法 的権利がな くとも資産 として認められる場合 もある (par。4.12)。 2.負 債 SPFRは ,負 債 について,「過去 の取引 または事象の結果 として経済的便益 を移転す る企業の義務」 (par.4.23)と 定義 し,こ の義務 は,企 業が資源の流 出 を回避す ることがで きないことを暗示する (par.4.25)。 負債 の多 くは法的義務 にもとづ くが,こ れは必ず しも不可欠 とい うわけでは な く,負 債 は,仮 に商業上の対価 によって契約義務ちゞ生 じる場合,法 的義務が ない場合 で も存在 しうる (par.4.26)。経済的便益 を移転する意思決定は,変 更 によって回避 され うるか ら契約義務 は生 じないが,企 業が当該意思決定 を履 行する期待が妥当であ り,か つ当該企業が当該意思決定 を取消す ことがで きな い ことを意味する事象 と関連する場合,契 約義務が生 じる (par.4.27)。 3.所 有主持分 SPFRは ,所 有主持分 について,「企業の資産全体 か ら企業の負債全体 を控 除す ることによって明 らかにされる残余額」 (par.4.37)と 定義する。所有主 は,企 業か ら配当金の支払 など後述する所有主か らの拠出に相当する利益の譲 8)将 来の経済的便益を得る能力は資産の本質ではあるが,将 来の経済的便益は確実でなけ れば認識 されない とい うわけではない (pars.4.1314)。た とえば,不 動産 をある期間で 交換す る権利 は資産である (par.4,16)。具体 的 な認識 プロセス については後述す る。 9)契 約義務の結果,将 来の経済的便益の移転が生 じることに関する確実性は必ず しも不可 欠ではな く,負 債 は不確実 な金額 を移転す る義務 をともなう可能性があ り,現 金以外の経 済的便益 を移転す る義務 をともなう可能性 もある (pars.4.2930)。

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渡 を期待 して投 資す るが,そ れは所有主持分 にお ける権利 であ って義務 で はな い (par.4.44)。所 有 主持 分 は,企 業 の資 産 に関 して,債 権者持分 であ る負債 すべ て を控 除 した後 の残余額 のみであ る (par。4 。3 8 ) 。 4 . 利 得 と損失 SPFRは ,利 得 について,「所有主か らの拠 出か ら生 じる以外 の所有主持分 の増加」 (par.4.39)と定義 し,損 失 については,「所有主への分配か ら生 じる 以外 の所有主持分の減少」 (par.4.39)と定義す る。 したがって,利 得や損失 には,収 益 や費用以外 に,た とえば,固 定資産の処分,資 産や負債の再測定か ら生 じる未実現の利得や損失が含 まれる (par.4.40)。 5.所 有主か らの拠出 と所有主への分配 SPFRは ,所 有主か らの拠 出について,「所有主 としての立場 において所有 主 による移転か ら生 じる所有主持分 における増加」 (par.4.42)と定義 し,所 有主へ の分配 については,「所有主 としての立場 において所有主への移転か ら 生 じる所有主持分 における減少」 (par.4.42)と定義する。 所有主か らの拠 出には,資 産の移転,サ ービスの提供,ま たは負債返済の際 に所有主持分 を受 けることによる拠 出が含 まれる (par.4.44)。所有主への分 配 には,配 当金の支払や資本の返還が含 まれる。た とえば,自 己株式の購入は 資本 の返還 とみなされ,所 有主持分か ら控除 される (par.4.45)。 SPFRは ,SPFR案 ,SPFR改 訂案,SFACお よびIASCフ レームワークと同様, 財務諸表の構成要素 を定義す る場合,資 産や負債の定義 にもとづいて他の構成 要素 を定義 してい く資産負債 アプローチを採 っている。 VI 財 務諸表 における認識 1.認 識 プロセス 認識 (recOgnition)とは,主 要財務諸表 における構成要素 を言葉 と貨幣的 金額 によって描写 し,当 該金額 を主要財務諸表の総額 に含めることである。認 識 は,次 の ようなプロセスを経 る (par.5。1)。すなわち,

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イギリスにおける財務会計概念フレームワークに関する一考察 175 において描 写 され る こ と (2)二 次 的 な再 測 定 (subsequent remeasurement)・…す で に認識 済 みの 項 目が主 要財 務 諸表 において計上 されてい る金額 を変更す る こと (3)認 識 中止 (derecognition)・…その時点 まで は認識 されていた項 目を 財 務諸表 か ら消去 され る (ehminated)こ と 以上 の3つ の認識 プロセス は,次 の ような認識規準 に従 う (ch.5,原 則 )。 認識規準①一資産または負債における変動が生 じたという十分な証拠の存在 認識規準② 一当該変動の十分に信頼性をもった貨幣的金額での測定可能性 SPFRは ,認 識プロセスを生 じさせる事象 として,取 引が一般的であるが, 次のような取引以外の事象をあげる。たとえば,発 見や革新による資産の増加, 裁判所による罰則の賦課による負債の増加,火 災による資産の減少や,義 務の 満了による負債の消滅など,認 識 または認識中止が生 じる (par.5。3)。 認識プロセスの起点は,関 連する取引または取引以外の事象が報告企業の資 産や負債におよぼ した影響である (par.5。4)。しか し,不 確実性によって認識 プロセスが遅延 されることが必要 となる場合がある (par.5.8)。既にIV章6節 で述べたように,不 確実性が存在する場合,目 的適合性 と信頼性にコンフリク トが生 じる。財務諸表は,全 く不確実性のない情報を提供するのではなく,許 容範囲の不確実性 を有する情報を提供することによって,互 いに トレー ドオフ の関係 にある目的適合性 と信頼性 とのバ ランスを保つ必要がある (par.5,9)古 しか し,不 確実性が許容水準 まで下が らない場合,認 識 プロセスは延期 される が,そ の代 わ り,取 引や取引以外の事象の影響 は財務諸表の注記 において報告 される (par.5。11)。 2.当 初認識 当初認識 の プロセス には,次 の2つの不確実性が生 じる可能性がある。すな わち,(a)あ る項 目が実存 し,財 務諸表の構成要素の定義 を満たすか否か と い う構成要素の不確実性,(b)当 該項 目が認識するための適当な貨幣的金額 に関係する測定の不確実性である (par.5。12デ0告 10)ま た,不 確実性が存在す る場合,Ⅳ 章で延べ たように,認 識 には慎重性が要求 される。/

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構成要素の不確実性 は,前 述の認識規準① (十分 な証拠の存在)に よって克 服 される。すなわち,あ る項 目についての金額 と質の両面 における十分 な証拠 が必要である。証拠の主要な源泉 は,将 来の資産や負債 に生 じる事象 によって 提供 される証拠,同 様 の項 目に付随する過去の経験,将 来の資産や負債 に直接 関連する現在の情報および同様の資産や負債 におけるその他の企業の取引によっ て提供 される証拠がある (pars.5.13-15)。 測定の不確実性 は,前 述の認識規準② (十分 な信頼性 をもった貨幣的金額 に よる測定可能性)に よって克服 される。ある項 目を認識するために貨幣的金額 を帰属 させ るには,当 該項 目に適当な測定基準の選択 と当該測定基準 にとって 適当な貨幣的金額の決定 とい う2つのプロセスが含 まれる (par.5。16)。測定 プ ロセスについては,次 章において考察する。 3.認 識 中止 将来的には,資 産は費消,移 転,ま たは処分 され,負 債 は決済,償 却,移 転, または消滅 される。その場合,関 連する資産 または負債の一部 または全部が認 識 中止 される (par.5。22)。 通常,過 去 に認識済みの資産や負債 を認識 中止 し,当 該時点 を決定すること は比較的単純である。 しか し,資 産 または負債 を消去するが,資 産に固有の将 来便益 に対する権利 または負債 に固有の義務 を残す場合は,取 引の影響 に関す る分析 の上,当 該資産 または負債 は一部認識 中止 される (par.5.23)。また, 資産の継続的な存在 についての不確実性が大 きい場合,慎 重性 によって,認 識 中止 されるが,負 債 については,認 識中止 される以前 に,そ の消去 に関するよ り確定的な証拠が必要 とされる (par.5,24)。 4.収 益認識 認識 プロセスの起点は,既 述の とお り取引 または取引以外の事象が資産や負 債 にお よぼす影響 であるが,対 応概念′(matching)や 営業循環 における決定 \すなわち,資 産や本U得については,負 債や損失よりも確定的な証拠と測定の大きな信頼性 が要求 される ( p a r . 5 。1 8 ) 。しか し, 慎 重性 は, 十 分 な証拠や測定の信頼性が存在す る場 合 における資産や利得の省略, あ るいはそれが存在 しない場合 に, 負 債や損失 を含めるこ とを正 当化 しない。 また, 慎 重性 は, 負 債や損失の故意お よび制度的な過大表示,あ るい は資産や示U 得の故意お よび制度的な過少表示 も正当化 しない (par.5.19)。

(13)

イギリスにおける財務会計概念フレームヮークに関する一考察 177 的事象 (cttdcal event)はこの影響を明らかにするために役立つ (pars.5.26-27)。 (1)対 応概念 対応 には,特 定の利得の発生 に直接的に関連 した支出を当該利得が認識 され たの と同 じ期 間に損失 として認識す る場合 (直接 的対応),時 の経過 に関連 し て利得や損失 を認識す る場合 (期間対応 ・間接的対応)が ある (par.5.28)。 ほ とん どの支出は便益 を得 ることを目的 として費や されるので,対 応 を認識 規準 とみなす場合,将 来便益 を得 る可能性がある限 り,財 務業績計算書 におい てほ とん どの支出項 目の認識が遅れることになる。 したがって,SPFRは 対応 を認識規準 とみなさず,次 の ように認識規準 を支援する装置 として対応 を賦課 す る。す なわち,(a)将 来使益がある時点で消滅 した場合,資 産が認識 中止 され,損 失が認識 される,(b)将 来便益 が複数の会計期 間にわたって消滅す る場合,資 産の原価 は当該会計期 間にわたって損失 として認識 される,(c) 将来便益 に対す る権利 またはその他の機会 との関連が明 らかでない支出または 損失 は,発 生期 間における損失 として認識 される,(d)将 来使益 を得 るため に賦課 されたが,当 該便益 との関係 は不確実であるため資産の認識 を保証する ことがで きない支出は,即 時に損失 として認識 される (pars.5。29-30 and 5. 32)。 (2)営 業循環 における決定的事象 決定的事象 とは,利 得 に関 して十分 な証拠が存在 し,か つ十分 に信頼性のあ る貨幣的金額 によって測定可能である営業循環 における時点である。つまり, 既述の2つの認識規準が満 た され,資 産や負債 に関連 した変動が認識 される時 点である (par.5.34)。 多 くの取引の場合,営 業循環 における決定的事象は完全履行の時点である。 しか し,た とえば次のように決定的事象がそれ以外の時点で生 じる場合や複数 存在す る場合 もある。す なわち,(a)企 業が義務のすべ てを契約 にもとづい て成 し遂 げている場合,す でにその時点で決定的事象は生 じている,(b)検 収受取基準 による売上高計上 を条件 とする場合,受 け取 り行為が,契 約義務が

(14)

果 た されるか否か とい う実質的な不確実性 を生 まなければ,決 定的事象 は受け 取 り時点以前 に生 じる,(c)長 期請負契約の ように営業循環 には段階的に履 行 される契約が含 まれる場合があるが,そ の段階ごとに,決 定的事象が存在す る。その場合,工 事進行基準 による売上高計上の ように,契 約 において稼得 さ れると期待 される利得は決定的事象間で配分 されなければならない (par.5,36)。 WIl 財務諸表 における測定 測定 (measurement)と は,財 務諸表の構成要素 に関 して貨幣的金額 を決定 した り,そ の後,あ る一定の事象が生 じた時点で貨幣的金額 を改訂 した りする ことである。 これは,複 数の測定基準間における選択 に関する問題 に関与する。 SFACや IASCフ レーム ワークは,測 定 に関 しては複数の代替的な測定基準 を羅列す るのみ に終始 しているが,SPFRは ,結 論 か ら先 に言 えば,SPFR案 やSPFR改 訂案 と同様,測 定 システム として 「企業 にとっての価値」 (value tO the business)とい う概念 にもとづ く時価測定 システムを採用する。 1.測 定基準の選択 資産 は,取 得原価,再 調達原価 (replacement cost),あるいは正味実現可 能価額 (net realizable value)とい う複数の貨幣的属性で表示 される可能性が あ り,負 債 は,取 得原価,最 も経済的な手段 によって負債 を償還するコス ト, あるいは同様 の債券の発行 によってその時点で調達で きた金額で表示 される可 能性がある。 この ような貨幣的属性 を区別する重要な特徴 は,取 得原価か時価 かいずれを基礎 とするかである (par.6.1)。 この場合,方 法 としては,す べての資産や負債 に関 して単一の測定基準,つ ま り取得原価か時価のいずれかを採 るか,あ るいは測定基準 を個 々の資産や負 債 の範疇 ごとに別 々に選択するとい う混合測定 システム (mixed measurement system)を 採 るかが考 え られる (pars.6.2-3)。SPFRは ,混 合測定 システム を採用 し,資 産や負債の各範疇のための基礎の選択の指針 となるフレームワー クについて説明す る (par.6.4)。

(15)

イギリスにおける財務会計概念フレームワークに関する一考察 179 2.複 数 の時価尺度 か らの選択

資産 の時価 は,入 口価値 (entry value)(再調達原価),出 口価値 (exit value) (正味 実 現 可 能価 額 )ま た は使 用 価 値 (value in use)(継続 的使 用 や最 終 的 な販 売 か ら期待 され るキ ャ ッシュ ・フローの割引現在価値 )に よって決定 され る可 能性 が あ る。 た とえば,短 期保 有 の有価 証券 の場合 ,こ れ ら3つ の時価 尺 度 は取 引 コス トに よるわず か な誤差 が あ るだけでほぼ同様 の金額 となる。 しか し,固 定資産 の場 合 ,尺 度 間の差異 は重要 であ る (par.6.6)。 したがって,こ れらの複数の時価尺度から最 も目的適合的な尺度を選択する ことが必要 となる。そのような時価尺度は,企 業が関連資産を剥奪 されたなら ば被 るであろう損失 を反映 した尺度,す なわち,「剥奪価値」 (deprival value) または 「企業にとつての価値」である。「企業にとつての価値」 とは,第 2図が 示すとお り,あ る資産の現在の再調達原価か回収可能価額 (recOverable arnount) のいずれか低い方の金額である。この場合,回 収可能価額 とは,現 在の所有者 が得ることができる最高の価値,す なわち,当 該資産の正味実現可能価額か使 用価値のいずれか高い方の金額である。 第 2図 「 企業にとっての価値」概念

企業にとっての価値

=い ずれか低い方の金額

再調達原価 お

よび 回 収可能価額

=い ずれか高い方の金額

使用価値 お

よび 正 味実現可能価額

(16)

「企業 にとっての価値」の採用根拠は,以 下のように説明される (par.6.7)。 (1)企 業が資産 を収益獲得 のために利用す る場合,最 も収益性のある利用 に おける資産の価値 (すなわち,回 収可能価額)は その再調達原価 より大 き い。 この ような状況では,企 業は当該資産 を剥奪 された場合,再 調達する ので,当 該資産の時価 はその現在の再調達原価である。 (2)資 産 はその再調達原価がその回収可能価額 を上 回るならば,再 調達 され ない。 この ような状況では,当 該資産の時価 はその回収可能価額である。 (a)売 却す ることが最 も収益性 のある利用である資産の場合,そ の回収可 能価額 はそれを販売す ることによって得 られる金額か ら販売費用 を控除 した純額,す なわち正味実現可能価額である。 (b)使 用す ることが最 も収益性 のある利用である資産の場合,そ の回収可 能価額は,そ の継続的使用や最終的な処分の結果 として得 られる将来キャッ シュ ・フローの現在価値か ら賦課費用 を控除 した純額,す なわち使用価 値 である。 また,負 債 に関す る時価尺度の選択 は,「解 除価値」 (relief value)の概念 を用いることによって選択することが可能である。負債の解除価値 は,企 業が 関連債務か ら自らを解除で きる最小 限の金額,す わわち,負 債が仮定的に決済 され うる最小 限の金額である (par.6.8)。 3.測 定 プロセス 測定 プロセスの 目的は,当 期の取引や事象が企業の財務業績や財政状態 にお よぼす影響 を測定す ることである (par.6.10)。 当初認識では,取 得原価基準か時価基準かに関係 な く,資 産 または負債 は, 公正価値 (すなわち取引原価)で 測定 される (pars.6.11-13)。 二次的な再測定では,純 粋 な取得原価基準 による場合,資 産 または負債の帳 簿価額 はたえず当初認識時点の金額であ り,二 次的な再測定は生 じないが,実 際 には,こ の ような純粋 な取得原価基準 はまれに しか用い られない。取得原価 を利用者のエーズ によ り目的適合性 を有す る ものにす るためには,(a)資 産 を回収可能価額 よりも大 きい金額で報告 しない (低価基準の採用),(b)報 告

(17)

イギリスにおける財務会計概念フレームワークに関する一考察 181 通貨以外 の通貨で称 される貨幣性資産や負債 を最新の交換 レー トにもとづいた 金額で表示するとい う二次的な再測定が行 われる (pars,6.17-18)。 また,時 価基準 による場合,関 連す る資産 または負債 について,前 章で述べ た認識規準 を満たす場合,す なわち金額が変動 したという十分 な証拠が存在 し, かつ当該金額が十分 な信頼性 をもって測定可能である場合 に,当 該金額である 最新 の時価 で測定す る とい う二次的な再測定が行 われる (par.6.19)。十分 な 証拠 の内容 については,前 章で述べた当初認識 において考慮 されなければなら ない証拠の源泉 と同様であ り,測 定の信頼性 については,IV章 で述べた信頼性 の質的特徴 を有することを確認するために有用である証拠の量 と質に依存する。 一般に認め られた評価方法から導かれ,合 理的に確証的な金額によって支持 さ れた尺度 は十分 に信頼性のある尺度である (par.6.16)。 資産や負債 に関す る測定基準 を選択す る場合,重 要 なことは財務諸表の 目的 ・財務情報の質的特徴や関連する資産 または負債の性質 を念頭 に置いて最適基 準 を選択す るこ とである (par.6。23)。特 に,十 分 に信頼性があることが 目的 適合性 よ りも優先 される (par.6.27)。 Mll 財務情報の表示 1.財 務諸表 における情報の表示 財務諸表 における情報の表示の目的は,財 務諸表は伝達の手段であるので, 情報 を目的適合性や信頼性 を損 ねることな く,明 瞭,効 果的かつ可能 な限 り簡 潔 に伝達することであ り,ま た比較可能性や理解可能性 を促進するために,情 報の表示 には高い水準の説明性,簡 潔性,抽 象化お よび集合化 (つま り,詳 細 な情報の除去)が 必要である (pars.7。1-2)。 財務諸表の主要な焦点は,既 述の ように企業の現金創出能力 と財務適応性 に 1 1 ) あ る。 この 焦 点 は次 の よ うな一組 の主 要 財 務 諸 表 とそ の 注 記 に よ っ て満 た され 11)注記は,(a)主 要財務諸表の項目に関するより詳細な情報,(b)主 要財務諸表の項 目 の関連事項 または代替的観点 (たとえば,係 争中の債務やセグメント情報),(c)不 確実 性のために主要財務諸表に組み入れ不可能な関連情報 を提供する (par.7.4)。しか し,注 記における情報のデイスクロージヤーは認識の代替ではなく,主 要財務諸表における誤表 示 を訂正 しない し,ま た遺漏を正当化 しない (par.7.5)。

(18)

る。す なわち,(1)財 務業績計算書 ,た とえば損益計算書や総認識利得損失 計算書 (statement of total recognized gains and losses:以下STRGLと する), (2)財 政状態計算書 (貸借対照表),(3)キ ャッシュ ・インフロー とアウ ト フローに関する計算書 (キヤッシュ ・フロー計算書)で ある (par,7.3)。 2.望 ましい表示 (1)財 務業績計算書 単一 または複数の財務業績計算書が提供 されるべ きか否かは慣習や法律的要 請 に依存 し,SPFRに おいて根本的に重要ではない とする (par.7.10)。具体的 1 2 ) には,SP案 ,そ れにもとづ く財務報告基準 (以下FRSと する)第 3号およびSPFR 案 において作成が強制 されていたSTRGLに ついて,SPFRは 財務業績計算書の 1 3 ) 一例 としてあげるにとどめている。これは,今 後,従 来の損益計算書とSTRGL という複数の財務業績計算書のみならず,SFAC第 5号,そ れにもとづ く財務 1 4 ) 会計基準 (SFAS)第 130号の稼得利益 ・包括利益結合計算書 とい う単一の財 務業績計算書 もあ りうることを示唆 していると考 えられる。 財務業績情報 を利用者が評価する上で望 ましく表示するためには次の ような ことが必要である (par.7.10)。す なわち,(a)利 得 と損失のみの表示,(b) 各要素の機能 (たとえば,生 産,販 売お よび管理)や 項 目の性質 (たとえば, 雇用費,支 払利息お よび投資償却額)を 考慮す ることによる分類,(c)セ グ メ ン ト情報の提供や継続的活動 と非継続的活動 による利益 の個別表示,(d) 過年度の実績や将来予測 によって金額的に異常 と判断 される項 目,資 金調達 コ ス トや税金等の特殊項 目お よび研究開発費の ような将来会計期 間の利益 に関連 す る項 目を個別 に区別することである。 (2)貸 借対照表 財 政状 態 に関す る望 ま しい表示 の ため には次 の ような こ とが必 要であ る

12)ASB, Fぢ 物attcあaι妃マpο究ぢ竹9Sけ a%αaγα ハるοa 妃 マpο句ゥ竹。Ftta/2cウaι Pθづb御物attcθ, 19

9 2 .

1 3 ) こ の ス タ ンス はす で にSPFR改 訂案 にお いてあ らわれてい る (par.7.4および脚注参照)。

14)FASB, Sけ aけθttθ物けてア Fづ句attcガaιムccο切筋 あ%。 Sけa物冴aγ冴 ハるοゴJα 妃マpο死づ句9(プ σο物―

(19)

イギリスにおける財務会計概念フレームワークに関する一考察 183 (par,7.12)。す なわち,(a)資 産,負 債お よび所有者持分のみの表示,(b) 企業の資源構造 (資産の主な分類 と金額)と 資金調達構造 (負債や所有者持分 の主 な分類 と金額)に 関す る詳細表示,(c)資 産の機能別 (販売 目的 と使用 目的)の 表示。 (3)キ ヤッシユ ・フロー計算書 キャッシュ ・フロー情報 は,営 業活動の結果生 じるキャッシュ ・フローをそ の他の活動か ら生 じるキャッシュ ・フロー と区別 して表示すれば,企 業活動の 現金創 出状況や利用状況 を最 も有益 に示す (par.7.14)。 Ⅸ む すび にかえて一 「財務報告原則書」の特徴 以上,イ ギ リスにおける財務会計概念 フレームワークであるSPFRの 内容 に ついて概観 して きたが,最 後 にSFACや IASCフ レームワークとの相違点 を指 摘す ることによってSPFRの 特徴 を抽 出 し,む すび としたい。 財務諸表の 目的に関 して,利 用者の意思決走有用性 アプローチを採 っている 点では相違 ないが,SPFRが 経営者の受託責任の評価 に役立つための有用 な情 報 の提供 に言及 してい る点が特徴 的であ る。 これは,SFAC第 1号が財務諸表 1 5 ) の中心的利用者 を投資家 と債権者 とみな したの とは異 な り,SPFRが 利用者の 中心 を投資家のみ に位置づ けることの反映である と思 われる。 財務諸表の構成要素の定義 に関 して,資 産負債 アプローチを採択する点では 相違 ないが,SFAC第 6号が 「収益 (revenues)」と 「利得 (gains)」お よび

1 6 )

費用 (expenses)」

と 「

損失 (losses)」

を区別して定義するのに対して,SPFR

1 7 )

は各 々まとめて 「利得 (gains)」「損失 (losses)」と定義す る。SFACは 理念 的には資産負債 アプローチ を採 りなが ら,実 質上,認 識 ・測定 レベルでは実現 可能性概念や対応概念 にもとづ く収益費用 アプローチを採 っているため,収 益 ・費用概念が登場 した もの と思われる。一方,SPFRは 対応概念 を認識規準 に 15)FASB, 16)FASB, 1 7 ) I A S C フ 定 義 す る

Sけaけθ切形句け てア F乱 9物 Cあaι Acco物 物けづ物9 σ οttclpけSハ 10F, 1978, par.32.

Sけαけθttθ?っけ てア ご杭 αttCづαι Accο 切物けウ物θ σ OttcマクけSハ iθ・σ, 1985, pars.78-89.

レーム ワークでは, 一 括 して 「収益 ・利得 ( i n c O m e ) 」「費用 ( e x p e n s e s ) 」と (IASC, 9p cケ ., pars.74 and 78.)。

(20)

もとづ く認識 ・測定 に役立つ もの として援用す るのみであ り,利 得や損失 を 「企業 にとっての価値」基準 にもとづいた資産負債の認識 ・測定か ら導 くとい う一貫 した資産負債 アプローチを採 っていることの反映であると思われる。 それ に関連 して,財 務諸表 における測定 に関 して,SFACや IASCフ レーム ワー クは利用可能 な測定基準 を列挙す るにとどめたが,SPFRは 測定基準の選 択 の指針 となるフレームヮークを開発することに重点 を置 き,複 数の時価尺度 間の選択 を行 うために 「企業 にとっての価値」基準 を採択する。 財務情報の表示 における財務業績計算書 に関 して,SFACは 稼得利益 ・包括 利益結合計算書 とい う単一の財務業績計算書の作成 を提案 したちS,sPFRは 損 益計算書 とSTRGLと い う複数の財務業績計算書 を示す。IASCフ レームヮーク に もとづ く国際会計基準 (IAS)第 1号改訂版 も損益計算書 と株主持分変動計 算書 (代替表示方法 としてSTRGL)と い う複数の財務業績計算書 を示す告 た だ,SPFRは SP案 やSPFR案 とは異 な り,財 務業績計算書の一例 として損益計 算書 とS T R G L を 示す に とどめる。 これは今後,STRGLの 作成が制度化 された F R S 第 3号が改訂 され,財 務業績計算書の体系が複数か ら単一へ変化す る可能 性 を示唆す る もの と考 える。すでにその布石は,1999年6月のASBの 討議資料 2 0 ) 「財務業績の報告」において議論 され,当 該討議資料 とSPFRを 基礎 としてFRS 第3号改訂案である2000年12月のASB公 開草案第22号 「財務業績の報告」ちミ公 表 されている。 これ らに関す る検討 を含め,SPFRが 財務業績の報告 にどの よ うに影響 をお よぼ し,反 映 したかについての検証 は次稿の課題 としたい。

18)FASB, Sけ aけθttθ物けてア Fぢ物attcケaサムccο切物けづ竹9 Cοttcマp体 ハ岳θσ, 1984, par.30.

19)IASC, r物 けθttaけぢο%aι ムccο切物けづ竹θ Sけattαaγα ミs.ゴ γθυあsθα, Pγθsθ物けaけづο物 りβF'物a物―

cあaι Sけaけθ竹形%体 , 1997, par.89.

20)ASB, DP, 妃 マpογけられ9Fづ 物αttcぢaι Pθりし御物αttCθf P/oposaιs」わγσんattθθ, 1999.

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