138 氏名(生年月日)
本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(52) イシ バ シュン タ ロウ石場俊太郎(昭和
医学博士 乙第866号 昭和62年12月11日 学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者) 小児期発症インスリン依存型糖尿病の身体的発育および発達に関する研究第1編 身体的発育に関する研究
第2編 身体的発達に関する研究
(主査)教授 福山 幸夫 (副査)教授 平田 幸正,教授 武石 詞論 文 内 容 の 要 旨
目的 インスリン依存型糖尿病(以下IDDMと略す)では, 身体的発育および発達が遅れる傾向がある.そこでそ の実態を把握し,糖尿病治療の改善に役立てようとす るものである. 対象および方法 (A)身体的発育の調査対象は,昭和46年から61年ま での16年間に,本学小児科小児糖尿病外来にて,IDDM としてインスリン治療中の189例(男82例,女107例) である.IDDM児の身長,体重を,昭和55年度文部省 資料および昭和59年度厚生省国民栄養調査資料と比較 した.更に男女とも,思春期およびいわゆる中小児期 (middle childhood)の成長促進の時期を選び,その時 期の身長の伸び度とHbA1値との相関を検討した. (B)手根骨の発達については,サマーキャンプに参加 したIDDM児61例(男児29例,女児32例)について手 関節のX線撮影を行ない,骨年齢を計算した.初潮年 齢については,当科IDDM女児87例のうち既に初潮を 迎えていた62例を対象とした.既潮率については,昭 和56年度厚生省心身障害研究班IDDM全国調査例中 女児930例および当科通院中の女児49例を対象とした. 結果 (A)IDDM児の身体的発育.(1)静的観察では,各 年齢における身長および体重の分布は,大部分が±1 SDの範囲にあった.(2)動的観察では,中小児期の身 長発育促進は男女とも欠如していた.(3)思春期の身 長発育促進は,男女とも発現時期が遅れ,また発育促 進の度合いも小さかった.(4)しかし身長の成長は, 一般児の成長停止年齢以後も続く傾向があった.(5)IDDM患児の身長の年間伸び度とHbA1値との間に
は,性別,年齢計いずれの場合も,有意の相関を認め なかった. (B)IDDM児の身体的発達.(1)骨年齢は男女とも 10歳未満では遅れ,10歳以上では歴年齢相当であった. 14歳以上の女児では歴年齢よりやや促進していた. (2)小児の初潮年齢は13歳2.8ヵ月で,一般児より有 意に遅れていた.(3)女児の既潮率は小学校6年生か ら中学校3年生まで有意に遅れていた. 考案 中小児期における発育促進の欠如は,発達的研究で 認められた10歳未満における骨成熟の遅れと時期的に 一致しており,成長ホルモンの分泌不全あるいは未知 因子の影響による可能性がある。思春期における発育 促進現象の発現遅延および発育促進度の小ささは初潮 の遅れと符号しており,糖尿病児の性発育の遅れを示 している.即ち性ホルモン分泌不全があることが明ら かである.また,発育促進の遅れはHbA1との相関が ないことから,血糖コントロール改善のみでは,この 遅れを改善することはできないと思われた. 結語 IDDM小児では,中小児期および思春期の身長発育 促進の欠如や遅れが確認され,また骨発達(早期)の 一802一139 遅れと,初潮発現の遅れが確認された.これらはおそ らく関与するホルモンの異常を介して生ずるものと思 われ,糖尿病治療法の改善に, ことを示唆している. より広い視点が必要な