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成因について胃粘膜防御因子である粘膜血流を中心に
検討した.
対象:胃潰瘍症例10例,肝硬変症例15例,胃潰瘍合
併肝硬変(LC・GU)症例15例,慢性胃炎症例12例の計
52例である.
方法:胃粘膜血流は臓器反射スペクトル法により測
定し,胃粘膜血液量,粘膜内ヘモグロビン酸素飽和度
を指標とした.測定部位は胃前庭部大蛮および小蛮,
胃体中部小冊および大学り計4ヵ所とした.次に防御
因子の改善を目標に塩酸セトラキサートの直接散布に
より血流の改善率を検討した.
結果:LC−GU群では対照群に比較し胃粘膜血流の
低下を認め,胃潰瘍発生には血流の低下による防御因
子の低下と攻撃因子の比較的高値の関与が考えられ,
塩酸セトラキサートは防御因子の改善に有効と考えら
れた.
13.特発性炎症性腸疾患の免疫学的解析一町梢血中
リンパ球の且・2産生能について一
(消化器内科) 馬場 理加
目的:IBDの免疫学的異常を解析するために末梢
血中リンパ球(PBMN)のIL・2産生能を測定した.
対象・方法:健常人対照7例,UC 10例, CD 11例よ
りPBMNを分離し,培養しないもの,4日間したも
の,7日間したもの,の3群に分け,mitogenとして
PHAを添加し24時間培養しIL−2産生能をELISA
キットで測定した,
結果:①健常人,IBDともに培養期間が長いほど
IL−2産生能は増加した.②活動期UCは,非活動期UC
に比べ増加していた。③UCの同一症例の三時的検討
からも活動性とIL−2産生能の充進との関係が確かめ
られた.④活動期CDのIL・2産生能は培養早期に健常
人に比し低下していた.
まとめ:UCとCDはIL−2産生能の観点より免疫学
的に異なる病態で,活動期CDのIL2産生能の低下は
培養により正常化するためリンパ球自体ではなく他の
要因が考えられた.
14.高周波超音波プローブ(20コ口z)による大腸壁
基本層構造および大腸小病変の検討
(消化器内科) 大原 昇
目的:経内視鏡的超音波プローブ(20MHz)による
大腸壁基本層構造および大腸小病変の描出能を内視鏡
超音波(7.5MHz)と比較検討した.
検討項目:実験的に大腸壁基本層構造を,臨床的に
腫瘍の厚み別描出能を検討した.
対象:実験対象は正常大腸壁5例,sm層にゼラチ
ン5例,p搬層を剥離2例,臨床的には過形成性ポリー
プ9例,腺腫27例,m癌16例, sm癌4例, pm癌4例
を対象とした.
結果:経内視鏡的超音波プローブ(20MHz)では大
腸壁は9層に分離され,第4層は粘膜筋板と思われた.
従来の内視鏡超音波では描出不能であった腫瘍の厚み
1mm以下の表面型腫瘍の描出は80%に可能であった.
まとめ:高周波超音波プローブ(20MHz)は粘膜筋
板の描出も可能となり,表面型早期大腸癌の深達度診
断に有用であった.
15.再燃を繰り返すe抗体陽性B型慢性肝炎の
HBV DNA変異に関する研究
(消化器内科) 安部 康二
B型慢性肝炎e抗体陽性例で急性増悪を繰り返す症
例のHBV DNA precore領域について塩基配列を検
索した.8例の患者血清より抽出したHBV DNAを
用い,PCR法にてprecore−core領域の増幅を行い,直
接塩基配列決定法と一部クローニングし塩基配列を決
定した.1,896番目の塩基がGからAに変異しストッ
プコドンとなっているものを変異型,θのものを野性
型,両者の混在するものを混在型とし分類したところ,
変異型5例,混在型1例,野性型2例であった.野性
型を示した1例はDNA−P陰性のためHBV以外の関
与が疑われ,野性型を示した他の1例と変異型を示し
た1例はcore領域にアミノ酸変異を持つ特異な
HBVであった. e抗体陽性で再燃する肝炎ではpre二
core変異HBVがその原因として関与していること
が考えられた.
16.B型肝炎発症におけるHBV・Pre S領域の役割
に関する研究一クラス1分子との関連一
(消化器内科) 中村 哲夫
HBV・Pre S2ペプチドがB型肝炎発症に重要な役割
を果たす細胞障害性T細胞に認識される標的分子と
なる可能性を検討することを目的としクラス1分子と
Pre S2ペプチドの組合せが肝炎活動度と相関するかを
検討した.
結果:Pre S2領域を血清学的HBVサブタイプ
adr, adw, aywの同領域のアミノ酸配列との類似性に
基づき3タイプ(adr, adw, aywタイプ)に分類した.
活動性肝炎の内,Pre S2領域がadrタイプである
HBVが感染した14例中12例はクラス1分子として
A24を有しPre S2領域がadw, aywタイプのHBVが
感染した7例中7例にA2がみられた.非活動性肝炎
一508一
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8例中この組合せは1例にみられたのみでありPre
S2ペプチドとクラス1分子の組合せがB型肝炎発症
に重要である可能性が示唆された.
17.アル⊇一ル性肝障害におけるC型肝炎ウイル
スの関与に関する研究一数量化を用いた組織診断法の
試みについて一
(消化器内科) 小林 潔正
目的:大酒家でかつHCV抗体陽性の肝疾患での病
態の主因鑑別を組織学的に数量的解析をした.
対象・方法:大酒家112例の肝組織を対象としてアル
コールに特徴的所見に,+1点を,ウイルスに特徴的所
見に,一1点を与え,両者の合計を求め,正数をアル
コール性(ALD),負をウイルス性(VH)とした.
結果:ALDと診断した症例は35例でHCV抗体
17%,VHと診断した症例は53例でHCV抗体92%で
あった.このALDとVHとの間に有為な差異が認め
られた.
結語:組織所見を数量化し,その点数によって
ALD, VHを鑑別したところ, HCV抗体率陽性率とよ
く一致し,診断的意i義が高かった.
18.定期検診における上部消化管癌診断の現況
(中山メディカルクラブ) 長谷川利弘
過去15年間の中山メディカルクラブにおける上部消
化管癌の現況についてまとめ報告した.食道癌は昭和
61年以前は僅か1丁目あったが,その後平成3年まで
に14例が診断され,早期食道癌は8例であった.早期
食道癌の拾い上げ診断は1例をのぞき内視鏡検査によ
るものであった.胃癌は40例で,このうち早期胃癌は
27例であった.X線と内視鏡による経年検診者の早期
胃癌の拾い上げ率を比較すると,前者では55.6%,後
者は83.3%で内視鏡の方が確率が高かった.以上の結
果から,定期検診においては最低年1回の内視鏡検査
が望ましい.さらに加えて,一次スクリーニングとし
ての使命上,病変の詳しい性状を知ることよりも,ま
ず癌病変を拾い上げることに全力を傾けるべきであ
る.
19.当院における高齢者手術症例の検討
(梅田病院外科)太田 重久・高根 一郎
平均寿命の伸び・人口の高齢化に伴い,80歳・90歳
といった高齢老に対しても積極的に手術が行われるよ
うになり,梅田病院においてもここ数年高齢者手術症
例は増加傾向にある.今回,1988年から1991年までの
4年間の当院における高齢者手術症例の検討を行っ
た.75歳以上の高齢者手術症例は全手術例の152%,
全身麻酔手術症例の23.3%で,全身麻酔手術二二の約
4人に1人が75歳以上であった.75歳以上の術前心・
肺・腎機能評価では,65∼64歳に比べて,心合併症例,
拘束性胃障害・閉塞性肺障害例の増加,腎血漿流量・
糸球体機能の低下がみられる一方,心左室駆出率・動
脈血酸素分圧・動脈血二酸化炭素分圧は同等であった.
術前状態を確実に把握し,個々の症例に適切な合併症
対策を行うことによって,高齢者でもかなりの手術に
耐えることができ,必要な場合には積極的な手術によ
るQOL(quality of life)の向上が可能と考えられた.
20.パレット食道に発生した腺癌の1例
(尾原病院,東京女子医大消化器外科*)
亀山健三郎・林 俊之・福井博行・
飛田 洋一。尾原 徹司・井手 博子*
症例は51歳男性.主訴は心窩部鈍痛,逆流性食道炎
で2年間の投薬治療後,内視鏡検査でパレット食道お
よびそれより発生した腺癌と判明し,左開胸開腹胸部
食道→全摘後縦隔経路頚部食道胃管吻合術を施行し
た,
病変は下部食道の3.1cm×1,8cm大の潰瘍型腺癌で
深達度mpの進行癌であった.パレット上皮は中部食
道の高さまで伸展し,腺癌部以外にも異型上皮を認め
た.
X線検査でパレット食道が疑われる症例には内視
鏡検査を積極的に行い,またパレット食道は多中心性
発癌の母地となりうるため,腺癌症例では腺癌を含む
パレット食道全摘術が望ましいと考えられた.
21.シエーグレン症候群に合併した食道狭窄の1例
(濁協医科大学第2外科)
宮田 秀夫・門馬 公経・小原 二二・
門脇 淳・田島 芳雄
症例は58歳の女性.45歳頃よりつかえ感が持続して
いたが,平成元年9月,嚥下障害,前胸部痛が増強し
たため当科に入院した.入院時検査で,涙腺,唾液腺
の分泌能低下,抗核抗体が陽性で,シェーグレン症候
群と診断された.胸部食道は中部から下部にかけて全
周性の狭窄像と潰瘍形成を認め,生検で悪性所見は認
めなかった.バルーン拡張術では改善がみられず,平
成3年6月6日,非開胸食道抜去,後縦隔経路頚部食
道胃管吻合術を行った.組織学的に食道壁は肥厚し,
固有筋層にまで慢性炎症性細胞浸潤と線維化を認め
た.食道腺導管周囲にはリンパ球主体の細胞浸潤が見
られ,シェーグレン症候群による食道腺領域の慢性炎
症に逆流性食道炎が加わり,食道狭窄が惹起された可
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