126 氏名(生年月日)
本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(2) セ ト ヤマ タク ヤ也(昭
博士(医学) 甲第211号平成4年5月15日
学位規則第4条第1項該当(医学研究科専攻,博士課程修了者)
胎盤におけるgonadotropin releasing hormone(GnRH)の生理学的意義と
GnRH-hCG一性ズテロイドホルモン内分泌系の調節機能
(主査)教授 武田 佳彦 (副査)教授 高桑 雄一,村木 篁論文 内 容 の 要 旨
目的 視床下部性ホルモンである黄体化ホルモン刺激ホル モン(GnRH)は胎盤にも存在することが報告されている.外因性GnRHは胎盤組織や絨毛細胞からのhCG
分泌を促進し,またhCGは胎盤のエストラジオールと プロゲステロンの分泌を制御していることが知られて いる.これらの事実は胎盤iに視床下部一下垂体一卵巣系 に対応するGnRH-hCG一性ステロイドホルモンの内 分泌系が存在することを示唆する.本研究では妊娠初 期絨毛の単層培養を使用してこの系の調節機構の解明 を試みた. 方法,胎盤GnRH含量はRIAにて測定した.免疫組織染
色は採取直後の絨毛を抗GnRH抗体を使用しアビジ ソービオチン複合体法にて染色した.妊娠絨毛より遊離 細胞を作製し,3日間の培養後,種々7)濃度のGnRH とGnRHアンタゴニストを投与し培養液中に放出さ れたhCGをEIA法で測定した.さらに性ステロイド ホルモンのhCG分泌に与える影響を見るために,細胞 をエストラジオールまたはプロゲステロンと24時間プレインキュベートしGnRHによるhCG分泌を測定し
た.GnRHの性ステロイドホルモン産生に及ばす直接影響を見るため,絨毛細胞を抗hCG抗体存在下に
GnRHとインキュベートし,培養液中に放出された性 ステロイドホルモンを測定した. 結果 絨毛組織のGnRH濃度は妊娠初期(6~9週)に高 く,以後週数を経るにつれて減少し,免疫組織染色で はGnRHは主にサイトトロフォブラストに局在した.GnRHは絨毛細胞からのhCG分泌を用量依存性に促
進した.一方,プロゲステロンはhCGの基礎分泌と GnRHによるhCG分泌を用量依存性に抑制したが, エストラジオールは生理学的濃度を上回る高濃度にお いてのみhCG分泌を促進した.絨毛細胞を抗hCG抗体存在下でGnRHと24時間インキュベートすると
GnRHはプロゲステロンの分泌を抑制したが,エスト ラジオール分泌についてはGnRH単独投与時の促進 作用は抗hCG抗体を加えることによって消失した。 考察 胎盤にはGnRH-hCG一性ステロイドホルモンの調 節系がparacrine/autocrine機構を介して存在する. すなわち胎盤性GnRHは妊娠初期に高く,サイトトロ ホブラストのGnRHがシンシチオトロホブラストよ りhCG分泌を促進することより,妊娠初期のhCG分 泌に関与すると考えられる.また,プロゲステロンの hCG分泌に対する抑制作用は,妊娠初期に見られる hCGの分泌のピークを制御する因子として重要であ ると考えられた. 結論 胎盤にはGnRH-hCG一性ステロイドホルモン内分 泌調節系が存在し,妊娠初期のhCG分泌の制御因子と して重要な役割を営んでいると思われる. 一760一127