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石 原
医 学 博 士 乙第8
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6
号(
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シ ゲ キ茂
樹 昭和59 年10月
19 日 氏名(生年月日〉 本 籍 学 位 の 種 類 学 位 授 与 の 番 号 学 位 授 与 の 臼 付 学 位 授 与 の 要 件 学 位 論 文 題 目 論 文 審 査 委 員 学 位 規 則 第5
条 第2
項該当(博士の学位論文提出者〉 大動 脈 弓離 断 症 の 外科 治 療に お け る 成 績 向 上 因 子 に 関 す る 臨 床 的 研 究 ( 主 査 〕 教 授 高 尾 篤 良 ( 副 査 〕 教 授 織 畑 秀 夫 , 教 授 降 矢 焚論 文 内 容 の 要 旨
研究目的 大動脈弓離断症は稀な疾患で,①上半身への血流と 下半身への血流が分離し,②下半身への血流は動脈管 で維持され,③心内奇形(多くは心室中隔欠損症など〉 及び左室流出路狭窄の合併が多いという解剖学的特徴 がある.発症は生後早期の動脈管の狭窄・閉塞による 代謝性アシドーシスの進行及び肺血流量増加による心 肺不全によることが多い.現在までの外科治療成績は 解剖学的制約や治療レベルに問題があったため不良で あった.この状況のなかで,心研では 7例の大動脈弓 離断症の根治手術成功例を得ることができた.本研究 ではこれら症例の手術成功理由と外科治療上の問題点 を,術前状態・術中外科手技・術後遠隔期成績の面か ら検討し,成績向上のための因子を明らかにすること を試みた. 対象と方法 対象は心研外科で施行した本症の外科治療52例中, 根治手術に成功した7例で,手術時年齢は生後13 日か ら4歳7カ月である.術前状態は,発症時期・発症後 の経過・解剖学的特徴を検討し外科手技については, 補助手段・大動脈弓部再建術式などを検討した.術後 遠隔期成績は,根治手術後02 日-4 年の問に施行した 心血管造影及び心カテーテル検査結果から大動脈弓部 再建術式と肺動脈庄の推移を評価した. 結果及び考察 1)術前状態:発症に関与する動脈管の形態は 3例 が動脈管狭窄型 4例が動脈管開存型であり,発症時 期・手術時年齢とも前者が後者に比し低年齢であった. 側副血行の発育は3例で良好で, うち2例は3カ月以 下の動脈管狭窄型であった.この 2例は緊急カテーテ ル検査後,緊急手術を行なったが,動脈管の閉塞~狭 窄により発現する代謝性アシドーシスは進行性でな く,側副血行の発育の関与が示唆された.この事は, 本型でのプロスタグランディンの使用は動脈管を再開 通させ術前状態の改善により有効であることを示し, 手術成績の安定に寄与することが期待される.動脈管 開存型の4例では強心・利尿剤などの内科治療により 心肺不全はコントロールされており,待期手術が可能 であった. 7例の手術時年齢は3カ月以下2例/2( 1 5 : %生存率 13%) , 4 -12 カ月 1例0/3 : 33%) , 1 歳以上例4例 4(/7 : 57%) であった. 2 ) 外科手技:症状増悪期を内科治療で乗りこえた 症例の手術成績は良好で 1歳以上の例では一期的根 治手術成功例が 3 例あり,麻酔法・体外循環法などの 補助手段が確立されていることを示している.症状が 重篤で手術対象となる 3カ月以下例の手術成績は不良 であり,一期的手術・二期的手術とも 1例ずつの生存 例が得られたのみであった.これら症例に対する麻酔 法・体外循環などの補助手段はより重要で,麻酔法に 関してはフローセン麻酔からエーテル麻酔に変更し, 術中経過が安定した.循環停止を含む体外循環法は侵 襲が大きく,現在では大動脈弓部再建術と心内修復術 とを2回の手術に分ける二期的手術を選択している. 大動脈弓部再建術式は 1歳以上の例で、は人工血管の 使用・Bl k-Parkaloc 吻合・弓部終末部一下行大動脈直 接吻合法のいずれの術式でも生存例がえられた. 3カ780-月以下の例では,弓部終末部一下行大動脈直接吻合法 で生存例が得られ,i aBrkiock-Pa 吻合法では生存例が 得られなかった.問題は,いずれの術式でも遠隔期に 圧較差が認められていることであり,術式の工夫が必 要である.特に解剖学的制約の多い 3カ月以下の例で は,著者は,心血造影での鎖骨下動脈/下行大動脈径比 0 . 7 を指標として弓部再建術式を選択し,手技的には助 合口をできるだけ拡大するために弓部終末部 下行大 動脈吻合を行い,更に鎖骨下動脈を用い片状拡大する 方法を考察した. 3 ) 肺動脈圧の推移:肺高血庄症の改善した症例は, 検索した4 例のうち手術時年齢 4 歳 7 カ月と 1 歳 9 カ 月の2例であり,他の2例では肺高血圧症は残存した. 肺高血圧症の改善という面からみると,年長例でも肺 血管病変が可逆的な場合もあるが,術後に肺動脈圧が 正常化しない例もあり,手術時期は可及的早期に行う 1 6 1 ことが望まれる. 結論 大動脈弓離断症の外科治療では特に3カ月以下の例 での成績向上が課題であり,1)術前因子としては早期 の診断確定と動脈管狭窄の有無をふまえた心肺不全の 管理により術前状態をできる限り良好に保つこと, 2) 術中因子としては,麻酔法・体外循環などの補助手段 の改良および解剖学的特徴に基づいた術式,特に圧較 差を生じない大動脈弓部再建術式の工夫が必要であ る 豊富な臨床例の経験と,貴重な手術成功例を基に, 治療の難かしい本疾患の成績向上のための因子を検討 し具体的に示したのは本論文が最初である.また,結 論の妥当性は1))2 の吟味条件の改善が昭和85年現在更 に6例の生存に貢献したことからも推察される.