• 検索結果がありません。

強会の報告を行いました ( 実は これが一番楽しかった ) 人事院に就職したのは 地方大学出身者が国家公務員の採用で不利にならない扱いを実現したい もっと民主的な試験制度を作りたいとの思いからで したが 結果的に人事院での勤務は四年間だけとなりました 参議院に出向して法制局と各委員会調査室 ( 労働

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "強会の報告を行いました ( 実は これが一番楽しかった ) 人事院に就職したのは 地方大学出身者が国家公務員の採用で不利にならない扱いを実現したい もっと民主的な試験制度を作りたいとの思いからで したが 結果的に人事院での勤務は四年間だけとなりました 参議院に出向して法制局と各委員会調査室 ( 労働"

Copied!
24
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

信州大学と公務員試験

荒井達夫(1978 年入学)

私は長野市生まれで松本市内に実家がありますが、家の事情から各地を

転々としており、高校まで信州の学校に通ったことがありませんでした。中

央大学法学部を卒業して仕事が決まらず、自分の将来に迷っていたところ、

信州大学に経済学部が新設されることになり、私は学士入学試験による「経

済学部一期生」として学ぶことを許されたのです。四月のはじめ、経済学部

の大講義室でカリキュラムの説明を受けた時の感動は、今でも忘れられませ

ん。実家のある街の大学に通うことができ、自分もこれで信州人の一人だと

いう思いでした。

授業では平山祐次先生(経済企画庁出身)の経済政策の話がダイナミック

で非常に面白く、ゼミにも入れていただきました。ゼミ生の中では数年年を

とっていたことから何となく場違いな感じもありましたが、皆さん親切で本

当に良くしていただき、実に楽しい学生生活でした。自由な雰囲気の中、

「大

学は学問研究が重要だが、学生にとっては就職が一番大事」という平山先生

の言葉に強く共感した記憶があります。先の見えない不安定な暮らしをして

いた私にとって、平山ゼミは学びの場であるとともに、大きな癒しの場でも

ありました。

ある時、平山先生から「自分は公共的な仕事をしたくて国家公務員になっ

た。あなたは法学も経済学も幅広く勉強したのだから、中央官庁で働くのが

良いのではないか」と言われ、私はそれをきっかけに真剣に国家公務員試験

の受験を考えるようになりました。とはいえ三十数年前、東京から遠く離れ

た松本では、受験情報を得るにも実務教育出版の「過去五年試験問題集」く

らいしかなく、受験の環境としては最悪でした。独学の受験勉強は試行錯誤

の連続であり、自分一人で受験の技術を開発し実践するに等しいものでした。

指導教授が中央官庁出身であることが心の支えになり、この際公務員試験

を究めてみようという思いで受験勉強に向かったところ、幸運にも国家公務

員上級試験(行政)、外務省専門職員試験、労働基準監督官試験、国税専門

官試験に合格し、人事院に採用が決まりました。同時に受験のためだけの勉

強を長期間続けると、かえって頭が悪くなることを知りました。

四つの公務員試験に合格したことから、平山先生に後輩の面倒を見てほし

いと頼まれ、学生だけの勉強会を作って受験指導を行うことになりました。

秋から冬にかけての二ヶ月間、毎週二回、三時間ずつ、「近代経済学の基礎

知識」(有斐閣)を使い問題演習を行うというハードな内容。学生達はヘト

ヘトでしたが、経済学の基礎知識がしっかり身につき、最終的に受験したほ

ぼ全員が地方公務員上級試験等に合格することができました。平山先生には

(2)

2

強会の報告を行いました。(実は、これが一番楽しかった。)

人事院に就職したのは、地方大学出身者が国家公務員の採用で不利になら

ない扱いを実現したい、もっと民主的な試験制度を作りたいとの思いからで

したが、結果的に人事院での勤務は四年間だけとなりました。参議院に出向

して法制局と各委員会調査室(労働、総務、行政監視)で二十五年間。私は、

立法府で行政の組織・人事の専門家となり、旧キャリア制度の廃止と採用試

験改革の重要性について主張し続けています。退職が近くなった現在、憲法

審査会事務局の調査員として改憲論議の最前線で働いていますが、私の関心

の中心は憲法第十五条の「公務員は全体の奉仕者」にあります。

民主的な公務員の育成は、採用試験の段階から行うべき。税金の恩恵を受

け、公共性の著しく高い国立大学は、社会が必要とする本当の公務員(=全

体の奉仕者)の育成に積極的に関与すべき、ではないだろうか。信大経済学

部のおかげで今がある卒業生として、私はそのように考えるようになりまし

た。信州大学に深く感謝し、日本の中心である信州から一人でも多くの本当

の公務員が生まれることを心から願っております。

(3)

公共哲学と公務員倫理

∼民主制国家における公務員の本質∼

総務委員会調査室 荒井

あらい

達夫

たつお

1. 公共哲学と公務員倫理

近年、公務部門において公共哲学と公務員倫理に関する議論の重要性が指摘されている。 第 166 回国会における国家公務員法改正の審議では、公共哲学と公務員倫理に関する議論の 重要性について行政改革担当大臣がその認識を述べている。また、平成 19 年8月に人事院が 行った「公務員人事管理に関する報告」では、人事院の当面の課題の一つとして公共哲学と 公務員倫理に関する研修の充実の必要性が、次のように指摘されている。「これからの公務 員は、高い使命感や倫理観に加え、幅広い視野や洞察力、行政官としての高い専門性等を備 える必要があり、そのための体系的な人材育成は極めて重要である。これに資するよう、本 院の実施する階層別の行政研修のうち、初任者研修については、体験学習や討議・発表を通 じて公務員の心構え、基礎的素養等を習得することを中心とし、幹部級研修については、公 共哲学や公務員倫理に関する研修を充実していくなど、各階層ごとに研修の趣旨・ねらいを 明確化するとともに、職員の主体的な参加を促進するため、外国の行政官との直接対話など 内容の多様化や日程の弾力化にも取り組む。」 行政がますます複雑高度化する中、公務員にはより広い視野や洞察力とともに、高い使命 感や倫理観を備えることが求められている。また、官製談合の全国的蔓延、年金記録の消失、 年金保険料の横領、防衛省の公務員倫理違反など、重大な公務員不祥事の発生により、民主 制国家における公務員はどうあるべきか、公務員の在り方の根本が問われることとなった。 公共哲学と公務員倫理に関する議論の重要性が指摘される背景には、このような状況がある。 しかし、公務員倫理はともかく、公共哲学は一般には聞き慣れない言葉であり、それに関 する研修となると、一体何を学び習得しようとするものなのか、疑問に思う人が多いのでは ないだろうか。実は、公共哲学の学問的定義は確立しておらず、内容は極めて曖昧で不明確 である。さらに、公共哲学の通説的見解には民主制原理との関係で無視できない重大な考え 方が含まれており、学問としての公共哲学を現状のまま公務部門へ導入することは妥当でな い、と私は考えている。

2. 学問としての公共哲学

山脇直司氏(東京大学教授)は、公共哲学とは「哲学、政治、経済、その他のもろもろの 社会現象を公共性という観点から統合的に論考する学問」であると定義している1 また、佐々木毅・金泰昌他編『公共哲学』全 20 巻(東京大学出版会)では、編集方針とし て次の4点を掲げており、これらが学問としての公共哲学の代表的見解と言える。 ①公共性を、個を殺して公に仕える「滅私奉公」のような見方ではなく、個が私を活かし、

(4)

立法と調査 2008.1 No.275 13 公を開く「活私開公」という見方でとらえる。 ②従来の「公」と「私」という二元論ではなく、「公」と「私」を媒介する論理として「公共 性」を考える。 ③公共性の担い手について、国家が独占するという観点よりは、市民や中間団体の役割を重 視するという観点から議論を進める。 ④グローカル(グローバルかつローカル)なレベルでの公共性について積極的に考慮する。 なお、同書の実質的な責任編集者である金泰昌(キム・テチャン)氏は、私との直接対話 で、公共哲学を次のように説明された。(これは、私なりの理解のまとめに過ぎない。) ・金泰昌氏の論は、「公・私・公共三元論」、「活私開公」、「他者の尊重に基づく対話」 がキーワードである。特に「公・私・公共」の三次元相関思考が重要である。 ・「公(政府の公)」=官、「私」=個人であり、「公共(市民の公共)」は、「公」と「私」 を媒介する役割、また、それを果たす主体を意味する。「政府の公」と「市民の公共」は 明確に区別する必要がある。 ・今日では、「公」と「私」をつなぐ「公共」を発展させることが重要であり、そのために は「活私開公」が必要である。 ・「活私開公」とは、「私」を活かして「公」を開くことであり、滅私奉公、その正反対の 滅公奉私とは異なる第三の行動様式である。 ・「活私開公」のためには、「他者の尊重に基づく対話」が不可欠である。 ・「活私開公」が広く行われれば「公共する」世界が広がり、その媒介作用により、「公」 と「私」がむすび、つなぎ、活かされ、社会が安定、発展することになる。 このように学問としての公共哲学は、用語、表現の仕方ともに難しく、一般人には理解が 容易でないというのが正直なところである。さらに問題は、公共哲学の通説的見解である、 いわゆる「公・私・公共三元論」が、理解の仕方によっては民主制原理に反すると考えられ ることにある。公務部門において職員が保持すべき倫理や、その基礎となる哲学について議 論する場合、憲法と国家公務員法の中心思想である民主制原理を柱に展開しなければならな いことは言うまでもない。ところが、「公・私・公共三元論」では、「政府の公」と「市民 の公共」を論理上明確に区別する結果、憲法の「全体の奉仕者」や国家公務員法の「公務の 民主的運営」の解釈が著しく歪んだものになるおそれがあるからである。この点が、公務部 門に公共哲学を導入するに際して最大の論点となると思われる。

3. 現行法制と公共哲学

【憲法前文】 憲法第 99 条は、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この 憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と規定している。したがって、公務部門に公共哲学を 導入するに当たり、憲法思想は第一義的な重要性を有すると言える。その基本思想が端的に 表れているのが憲法前文であり、次のように書かれている。「日本国民は、正当に選挙され た国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和に よる成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び

(5)

戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣 言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その 権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享 受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われら は、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。(以下略)」 憲法前文は、日本国民が、世界平和という国際社会一般の利益(普遍的な市民的公共)の 実現を目指し、政府の行為による戦争を回避するため「人類普遍の原理」である民主制原理・ 国民主権原理に基づくことを明らかにしている。これが、公共哲学の議論でまず確認される べき最重要事項であると考える。 【憲法規定】 公共哲学と公務員倫理に関する議論において、とりわけ注目すべき憲法規定(第 14 条・第 15 条)がある。 第 14 条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地に より、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 第 15 条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。 2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。 民主制原理・国民主権原理を前提として、これらの憲法規定からは、民主制国家における 公務員の本質に関する解釈が導かれる。すなわち、国民主権と法の下の平等に基づく民主制 国家において、その地位と権限はすべて国民に由来し、①公務員は職務の遂行に当たり、す べての国民に対し平等に対応しなければならず、②公務員は公務員であることにより、特権 的立場に立つことは許されない。公務員が「全体の奉仕者」であることの本質的な意味は、 ここにあると考える。なお、国家公務員倫理法第 3 条の「職員が遵守すべき職務に係る倫理 原則」や国家公務員倫理規程第 1 条の「倫理行動基準」も、このような趣旨で書かれている と思われる。 【国家公務員法】 憲法思想に基づいて、国家公務員法は、次のように規定している。 (この法律の目的及び効力) 第1条 この法律は、国家公務員たる職員について適用すべき各般の根本基準(職員の福祉 及び利益を保護するための適切な措置を含む。)を確立し、職員がその職務の遂行に当り、 最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、選択され、且つ、指導さるべきことを 定め、以て国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。 (服務の根本基準) 第 96 条 すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務 の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。 民主制国家における公務員は、国民に対し、公務の民主的で能率的な運営を保障するため、 国民全体の奉仕者として、「公共の利益」のために勤務しなければならない。これが、憲法 及び国家公務員法の趣旨である。その「公共の利益」とは、民主制国家における公務員の本 質からすれば、基本的に「全国民に共通する社会一般の利益」であると理解するほかない。

(6)

立法と調査 2008.1 No.275 15 しかし、「公・私・公共三元論」との関係では、その点に重大な問題が生じることになる。 なぜなら、「公・私・公共三元論」では、「政府の公」と「市民の公共」を論理上明確に区 別するため、それに整合する形で国家公務員法を解釈するとすれば、「全国民に共通する社 会一般の利益」(=「市民の公共」)とは別の「政府の公」を追求するのが国家公務員であ る、ということになるからである。当然、「全体の奉仕者」や「公務の民主的運営」の解釈 も、そのような「政府の公」の意味に合わせて行われることになる。これは結局、民主制原 理・国民主権原理の否定につながり、到底容認できる議論ではない。 なお、この点については、武田康弘氏(白樺教育館館長・哲学者)が、金泰昌氏との対談2 の中で、問題の本質を明らかにする、次のような極めて重要な指摘をしている。「公と公共 の区別ですが、わたしは原理次元でこれを区別する思想は、国民(市民)主権の民主主義社 会においては成立しないと見ます。国民(市民)的な公共性とは異なる公を担う「官」(行 政機関)を認めることは、原理に反すると思うからです。」、「わたしは、民主主義社会の 原理につくならば、「公」とは幻想に過ぎず、原理上は、市民的公共以外に「公共」はなく、 「官」の仕事は、国民からの委託で「公共」を支え、実現するものであり、官僚は国民のサ ービスマンである、と考えているのです。」

4. 「公・私・公共三元論」とは

公共哲学の通説的見解である「公・私・公共三元論」を用いて憲法や国家公務員法を合理 的に説明することは困難である。これは「公・私・公共三元論」が公共哲学の原理となり得 ないことを示している。民主主義思想の大元をなす考え方であるならば、憲法思想や国家公 務員法の理念・目的と矛盾することはあり得ないからである。では、「公・私・公共三元論」 とは何か。私は「現実問題の重要な側面を際立たせて説明する理論の一つ」であると考えて いる。特に「公・私・公共」に対応する「滅私奉公、滅公奉私、活私開公」などの議論は、 日本国内の諸問題を考える際に非常に有用な視点を提供すると思われる。例えば、最近、重 大事件に発展した防衛省の公務員倫理違反の問題では、「国民主権(憲法前文)→全体の奉 仕者(憲法 15 条)→公務員倫理法」という発想で思考し、行政運営を行うことの重要性を痛 感する。なぜなら、個々の公務員(特に霞ヶ関キャリア)が、憲法の依拠する民主制原理を 深く理解し、「活私開公」を徹底的に実践すれば、当然、「私」から「公共」が開かれ、そ の結果、「真の全体の奉仕者」となり、「市民の公共」である「良き公」(=公務の民主的 で能率的な運営)が実現することになるからである。このように考えて、はじめて「公・私・ 公共三元論」は、公務部門において有用性を発揮できると思われる。 「公・私・公共三元論」を民主制原理との関係で整理し、正しい位置付けを行うとともに、 民主制原理を柱とする公共哲学に基づき公務員倫理を構築することは、今日の人事行政にお ける喫緊の重要課題なのである。 1 山脇直司「公共哲学の現状と将来」『UP』第 406 号(東京大学出版会)2頁 2 「公共的良識人(京都フォーラム)」における「武田康弘と金泰昌の往復書簡」

(7)

国家公務員制度改革とキャリアシステム

∼参議院による行政監視の意義∼

行政監視委員会調査室 荒井

あ ら い

達夫

た つ お 本年6月6日、キャリアシステムの廃止等を目的とする国家公務員制度改革基本法(以 下「基本法」という。)が成立した。 「行政に対する信頼を回復し、行政の運営を担う国家公務員が常に国民の立場に立って その職務を遂行することを徹底するためには、国家公務員に関する制度の在り方を原点に 立ち返って見直し、国家公務員の意識を改革することが必要である。」(提案理由) 官製談合の蔓延、年金記録の消失、年金保険料の横領、厚生労働省の薬害肝炎問題、防 衛省事務次官の汚職など、重大な公務員不祥事が続発している行政の現状を直視すれば、 提案理由に示された国家公務員に対する認識は極めて真っ当で重要と言える。しかし、私 は、提案理由には大いに賛同しつつも、基本法が定める具体的施策については疑問があり、 同法の実施には特段の注意が必要と考えている。法の目的(キャリアシステムの廃止)と 手段(採用試験制度の再構築)に整合性を欠くところがあると思われるからである。 以下、国家公務員制度改革とキャリアシステムの関係について、民主制国家を支える国 家公務員の育成という観点から意見を述べることにしたい。

1. キャリアシステムとは

キャリアシステムとは、採用時の1回限りの試験で中央省庁等の幹部要員の選抜を行い、 同期の者はほぼ同時期に昇進していくことを原則とする人事管理の方法であるが、これは 法制上の正規の仕組みではなく、単なる人事慣行と言うべきものである。 中央省庁等の幹部職員人事が法制上の正規の仕組みでなく、単なる人事慣行によって行 われているのは、実に不明朗で好ましくないことである。しかし、キャリアシステムの本 質的問題は、本来職務遂行を通じてしか適正に行えないはずの幹部要員の選抜を採用試験 に著しく重点を置いて行っている点にある。このような人事管理は一種の身分制度のよう に機能しており、明らかに非合理的で非民主的、時代遅れのものと言わざるを得ない。 国家公務員法は、「職員が、民主的な方法で、選択され、かつ、指導される」(第1条 第1項)、「すべて職員の任用は、能力の実証に基づいて、これを行う」(第 33 条第1項) と、職員の民主的な任用のために能力実績主義を根本原則としており、採用時の1回限り の試験で幹部要員の選抜を行う人事管理は、元々想定していない。過去の国家公務員採用 上級甲種試験も現在のⅠ種試験も、人事院規則により創設された大学卒業者を採用するた めの試験の一つに過ぎず、それに合格し採用されることは、幹部要員としての資格を法制 度上与えられるものではない。 我が国の戦後の国家公務員制度は、公務員制度の完全な民主化のため、戦前の身分制的

(8)

立法と調査 2008.11 別冊 101 な旧官吏制度の中核をなす高等文官試験の廃止から始まっており、キャリアシステムは民 主的性格の強い国家公務員法には、まったくふさわしくない人事管理の方法と言わなけれ ばならない。また、そうであるからこそ、キャリアシステムは戦後、単なる人事慣行とし て発生することになったと思われる。しかし、我が国社会に根強く残る学歴主義と試験信 仰(有名大学に入って難しい国家試験に合格した者は、優秀な公務員になれるはずだとい う信念)のためか、国家公務員法の原理・原則が従来深く意識されることはなかった。 キャリアシステムの見直しの必要性については、人事院が数年前から指摘する1ように なり、閣議決定で言及される2こともあったが、議論は活発とは言えなかった。国会審議 では、平成 18 年4月 26 日の参議院行政改革に関する特別委員会における小泉内閣総理大 臣の次のような発言がきっかけとなって、ようやく議論が本格化することになったと言う ことができる。 「役人のキャリア制度というのは、もう最初から、学校の成績、試験合格すると幹部は 決まっている。これは果たしていいのかどうか。一定の試験を経ない方でも、会社に入っ てから、役所に入ってから、試験で合格したよりもはるかに能力のある方もたくさんいる わけです。今の制度を固定化して考える必要はないと思っております。」 小泉総理の発言は、採用試験で幹部要員の選抜を行うことの合理性を否定するものと言 えるが、さらに、平成 19 年6月、安倍内閣の下で行われた国家公務員法の改正では、職員 の人事管理が採用試験の種類にとらわれてはならない旨の規定(第 27 条の2)が加えられ た。これにより、採用試験に著しく重点を置く幹部要員の選抜は「違法」であることが明 らかになったと言える。キャリアシステムは法制上の仕組みではなく、単なる人事慣行で あるから、その廃止に立法は不要であり、この法改正を踏まえて、直ちにキャリアシステ ムの廃止に着手できたはずであったが、現実は変わらなかった。

2. キャリアシステムの弊害

人事院は「平成 19 年度年次報告書」で、キャリアシステムについて次のように指摘し ている。「いわゆる『キャリアシステム』については、幹部要員の確保・育成に寄与して きた側面があるとの見方がある一方、従来から、『採用時の一回限りの選抜で、生涯にわ たる昇進コースまで決定されるのは不合理である』、『閉鎖的なキャリアシステムが特権 的な意識を生じさせている』などの批判がなされてきた。」 ここで「幹部要員の確保・育成に寄与してきた側面がある」と、キャリアシステムのメ リットのように述べられているが、幹部職員人事がキャリアシステムを固く維持してきた ために、人事管理全体が能力実績主義の実施に著しく怠慢になってしまったことを考えれ ば、到底妥当な見方とは言えない。能力実績主義は国家公務員法の根本原則であるから、 その実現を妨げてきた要因にプラスの評価をするのは、本末転倒と言うべきであろう。ま た、キャリアシステムは典型的な年功序列システムであるため、ピラミッド型の行政組織 において職員の早期退職を促すことにより、天下りの温床となっており、さらに、各省独 立人事の中核として機能することにより、いわゆる省庁割拠主義の原因にもなっている。 そして、天下りと省庁割拠主義は、行政改革の最重要課題である独立行政法人の整理合理

(9)

化の障害となっている。このようにキャリアシステムの行政運営への悪影響は甚大である。 しかし、最大の弊害は、キャリア職員が持つ「特権的意識」であると私は考えている。 「特権的意識」は、公務員の存在意義を否定しかねないほどの深刻な倫理問題と言えるか らである。そもそも国民主権と法の下の平等に基づく民主制国家において、すべての公務 員の地位と権限は主権者である国民に由来し、公務員は職務の遂行に当たり、すべての国 民に対し平等に対応しなければならず、公務員は公務員であることにより、特権的立場に 立つことは許されない。「全体の奉仕者」(憲法第 15 条第2項)である公務員は、この民主 制原理・国民主権原理を深く自覚しなければならないが、「特権的意識」はそれに真正面か ら反するものであり、公務員倫理における根元的な害悪と言ってよい。 キャリアシステムでは、幹部要員の選抜を採用試験に著しく重点を置いて行い、結果的 に有名大学卒業生について公務員の特権者を生み出すという身分制的仕組みとして機能し ている。この特権者の意識が、一般市民の常識・利益(市民的公共)とはかけ離れた「官」 の歪んだ想念(官の公)を形成し、民主的運営を第一とする公務に深刻な悪影響を及ぼし ていると考えられる。官製談合等の続発する公務員不祥事と関係機関の責任意識に欠ける 対応を見るたびに、私は、「市民的公共」に反する「官の公」という世界が広がりを増し ているのではないか、と危惧するようになった3 公務の善し悪しは、結局は公務員の資質によって決まるが、キャリアシステムの最大の 弊害は、公務員に求められる民主的資質が、「特権的意識」によって精神の深部において 破壊されていることであると考えられる。キャリアシステムは、民主的公務員制度の根幹 をなす公務員倫理と本来相容れない人事管理の方法とも言えるのである。

3. キャリアシステムの廃止のために

(1)基本法におけるキャリアシステムの取扱い 本年2月、内閣総理大臣に提出された「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」報 告書では、幹部候補を事実上固定化するようなキャリアシステムの廃止や採用試験制度の 再構築、幹部候補を総合的計画的に育成する人事・選抜制度(幹部候補育成課程)の導入 などが提言され、同年4月、この報告書を受け、「国家公務員制度改革基本法案」が政府よ り国会に提出された。同法案に対しては、衆議院において政治主導の強化、幹部職員人事 管理の内閣一元化、内閣人事局の設置等の8項目に関する修正が行われ、また、参議院に おいて内閣委員会の採決の際に、キャリアシステムの廃止や人事行政の中立公正性確保に 関する事項等 15 項目に及ぶ附帯決議が行われた上で、基本法は成立した。 ところが、基本法にはキャリアシステムの廃止について規定した条文がないのである。 それどころか、キャリアシステムの廃止を妨げるおそれのある施策が盛り込まれている。 同法では、採用試験を「総合職試験・一般職試験・専門職試験」等に分け、「総合職試験」 は、「政策の企画立案に係る高い能力を有するかどうかを重視して行う試験」(第6条第1 項第1号イ)と位置付け、さらに、「幹部候補育成課程」では「管理職員に求められる政策 の企画立案に係る能力の育成を目的とした研修を行う」(同条第3項第3号)と規定してい る。このような規定ぶりからすれば、「総合職試験」採用者が他の試験採用者よりも「幹部

(10)

立法と調査 2008.11 別冊 103 候補育成課程」の対象者に選定される可能性が格段に高いことは、法が当然に予定すると ころと考えられるが、これではキャリアシステムの廃止ではなく、法律による制度化であ るとも言えるからである。特に「総合職試験」の採用者数を現行のⅠ種試験採用者数より も絞った上、「総合職試験」を「幹部候補育成課程」に直結する人事運用が行われる場合に は、キャリアシステムの維持・強化になるおそれが極めて大きいと思われる。 この点については、国会審議において、渡辺行政改革担当大臣は、「総合職試験」の採 用者は「幹部候補育成課程」の対象者となる可能性が高いと考えられる旨の答弁を行った4 しかし、大卒採用試験を「総合職と一般職」に分けることに問題はないのか5、今以上の 「スーパーキャリア」を誕生させることになるのではないか6という疑問のほか、単に人 事慣行から法制度へ変わるだけにならないようにするため、「総合職試験」の採用者数を現 在のⅠ種試験の採用者数以上にすべきではないかとの意見7も主張された。これらは、い ずれもキャリアシステムの本質に関わる重要な論点であり、徹底した議論が必須となる。 (2)現実的・実態的な検討が不可欠 中央省庁等の幹部職員に求められる政策の企画立案や業務管理の能力は、実際の職務遂 行を通じてしか身に付かず、適正な判断もできない。公務における「政策の企画立案」は、 常に実現すべき「公共の利益」(国家公務員法第 96 条第1項)、すなわち「全国民に共通す る社会一般の利益(市民的公共)」が何であるか、を現実的・具体的に考えながら行わなけ ればならず、採用試験の段階で「政策の企画立案に係る高い能力を有するかどうか」を判 断することは不可能だからである。例えば、薬害肝炎問題でどのような救済策が妥当かを 考えるためには、行政の担当者として被害者との積極的対話を重ねる努力が何よりも重要 であるが、公共政策大学院等に学んでも、机上の専門的知識の習得や思考訓練の域を出な いため、このような意味での「高い能力」の習得は不可能である。また、業務管理能力に ついては、採用試験の段階で判定できないことは議論の余地がない。 職務遂行の実態を考えても、本府省に特に「企画立案職」というものがあるわけではな く、同じ課の中で同じ内容の仕事をするのであれば、大卒採用試験を「総合職と一般職」 に分ける合理性はない。勤務時間、勤務地等について明確な区別もなければ、尚更である。 また、「政策の企画立案」は、常に特定の行政分野について行われるから、その能力も特定 の行政分野に係る専門的知識と無関係には議論できないはずである。そうであれば、幹部 要員の選抜は、「専門職試験」の採用者についても同じ条件とすることが合理的と言える。 今後キャリアシステムと採用試験の関係を考えるに当たっては、小泉総理の答弁にある ような素朴な問題意識から、常識に基づいて判断することが大事であると思われる。

4. 参議院による行政監視の意義

参議院内閣委員会が行った基本法に対する附帯決議には、キャリアシステムの廃止に関 する次のような極めて重要な項目が含まれている。 「キャリアシステムの廃止が法制定の目的であることを踏まえ、職員の人事管理が採用 試験の種類にとらわれてはならない旨の規定を完全に実施するよう最大限の努力を行うこ

(11)

と」、「公務員が憲法第15条第2項に規定する全体の奉仕者であることを踏まえ、幹部候 補育成課程の対象者に特権的意識を持たせるものとならないよう研修等において十分配慮 しなければならないこと」 基本法の提案理由である「国家公務員制度を原点に立ち返って見直し、国家公務員の意 識を改革する」ためには、政府が附帯決議を完全に実施することが不可欠である。そこで、 行政に対する議会の統制のため、次のような監視活動を行うのはいかがであろうか。 ① 実態の調査・公表と内閣への意見表明 各府省におけるキャリアシステムの実態及び不祥事に関する事例研究や倫理研修の状況を調査 し、結果を公表するととともに、人事管理の改善について内閣に対し意見の表明を行う。 ② 専門家等の意見の聴取・公表 キャリアシステムと公務員倫理について、専門家、有識者、一般市民等から広く意見を聴取し、 とりまとめ、公表する。 ③ 附帯決議の実施状況の監視と公務員制度改革の提言 政府による附帯決議の実施状況を監視するとともに、民主制国家を支える公務員を育成するた め、さらなる公務員制度の改革について検討し、提言を行う。 キャリアシステムと公務員倫理の問題は、公務員制度の本質に関わる党派を超えて議論 すべきテーマであり、それに関する行政監視は、民主制国家の日本において良識の府であ る参議院が行うにふさわしい活動であると思われる8。参議院による行政監視は、「主権 者である国民によってつくられた『官』は、市民的公共を実現するためにのみ存在する」9 という原理(民主制原理)を徹底するための議会の活動であると言えるからである。 1 平成 15 年「給与等に関する報告と給与改定に関する勧告」平成 17 年 12 月 24 日「行政改革の基本方針」武田康弘氏(白樺教育館館長・哲学者)は、次のように述べている。 「公(おおやけ)という世界が市民的な公共という世界とは別につくられてよいという主張は、近代民主主 義社会では原理上許されません。昔は、公をつくるもの=国家に尽くすものとされてきた『官』は、現代で は、市民的公共に奉仕するもの=国民に尽くすもの、と逆転したわけです。主権者である国民によってつく られた『官』は、それ独自が目ざす世界(公)を持ってはならず、市民的公共を実現するためにのみ存在す る。これが原理です。」(白樺教育館「思索の日記」) 4 第 169 回国会衆議院内閣委員会議録第 15 号 15 頁(平 20.5.14) 第 169 回国会参議院内閣委員会会議録第 19 号 13 頁(平 20.6.5) 第 169 回国会衆議院内閣委員会議録第 15 号 12 頁(平 20.5.14) 第 169 回国会参議院総務委員会会議録第 19 号4頁(平 20.6.5) 本年1月 22 日、参議院内閣委員会調査室、総務委員会調査室及び行政監視委員会調査室の3調査室共催によ る「公共哲学と公務員倫理に関するパネルディスカッション」が行われたが、ここでの議論がキャリアシス テムの問題に直結する内容となっている。テーマは、「公共哲学と公務員倫理−民主制国家における公務員の 本質」であり、パネリストは、金泰昌氏(公共哲学共働研究所所長)、武田康弘氏(白樺教育館館長)、山脇 直司氏(東京大学大学院教授)と荒井達夫の4名であった。『立法と調査』別冊(2008.2)参照 9 脚注3参照

(12)

独立行政法人の問題の本質を考える

行政監視委員会調査室 赤 池

あかいけ

史 孝

ふみたか

・荒井

あ ら い

達夫

た つ お 主権在民(憲法第 1 条)に基づき、国会が主権者である国民に代わって政府と「官」 (=官僚機構)の活動を監視するのが、本来の行政監視である。いうまでもなく、今 日の我が国は主権在民の民主主義国家であり、政府と「官」は、「全体の奉仕者」(憲 法第 15 条第2項)として、全国民に共通する社会一般の利益である「公共の利益」(国 家公務員法第 96 条第1項)を実現するためにのみ存在する。参議院の行政監視は、こ れを担保するための「国権の最高機関」(憲法第 41 条)の活動である。 独立行政法人は、国の事務・事業の政策の実施に関する機能を担っており(中央省 庁等改革基本法第4条第4号)、「公共の利益」実現のための行政機関に準ずる機関と して行政監視委員会の重要な調査対象である。そこで、主権在民に基づく行政監視の 観点から、独立行政法人の問題の本質を考えるため、参考資料を作成するとともに、 制度の問題点についてまとめることにした。

1.独立行政法人の現状等

独立行政法人は、平成 10 年の中央省庁等改革において行政改革の有力な手段として 導入された。主に行政組織のスリム化(企画立案部門と実施部門の分離)と特殊法人 問題1の克服(改良型特殊法人の創設)という2つの別種の要請に応えようとした制度 である。平成 22 年4月1日現在で 104 の法人があり(資料1)、平成 13 年1月の中央 省庁等改革の実施に合わせ、国の機関(試験研究機関・検査検定機関・文教研修施設 等)から分離・創設された法人と、その後、特殊法人等整理合理化計画に基づいて特 殊法人、認可法人、公益法人から新たに独立行政法人化されたもの(平成 15 年から実 施)などがある(資料2)。 このように独立行政法人の前身は実に様々であり、国の機関、特殊法人、認可法人、 公益法人が複数統合されて出来た法人も少なくない。また、引き継いだ事務・事業も 種々雑多であり、そこに税金の無駄が発生している。 平成 18 年に制定された「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関 する法律」では、「独立行政法人の見直し」が重要施策の一つとして規定された。もと もと行政改革の有力な手段として導入された制度が、法律で行政改革の対象と明記さ れたことは、重大で深刻な事態であり、独立行政法人の問題は単なる法人運営の在り 方にあるのではなく、法制度そのものにあることを認識する必要がある。 1 平成 9 年 12 月の行政改革会議「行政改革最終報告」によると、主務官庁による強い事前関与・統制に よる自律性・自主性の欠如、事業運営の非効率性・硬直性の顕在化、経営内容の不透明性、組織・業務の 自己増殖、不要不急な業務の拡張、経営責任体制の不明確性などが指摘されている。 立法と調査 2010.9 No.308 89

(13)

2.独立行政法人制度の問題点

独立行政法人制度の特徴は、行政を国から法的に独立の法人に行わせるところにあ る。そのために内閣は独立行政法人に対して適切な統制ができず、法人の事務・事業 に対する国の責任が不明確となり、その結果、行政の能率的な運営、行政の公正性及 び透明性の確保が妨げられている。これが問題の本質といえるが、さらに具体的な法 制度の問題点としては、以下の事項を指摘することができる。 (1) 制度の理念が著しく不明確 独立行政法人への移行前の組織形態は、国の機関、特殊法人、認可法人、財団法人、 社団法人と実に様々であり、また、「国の機関と特殊法人」、「特殊法人と認可法人」、 「認可法人と財団法人」、「特殊法人と財団法人」など性格の異なる複数の組織を統合 して出来た独立行政法人も多数存在する。それぞれの組織形態における法人の設立を 見ても、特別な法律により国が強制的に設立したもの(特殊法人)、特別な法律の枠内 で民間等の関係者が任意設立し、主務大臣の認可を受けたもの(認可法人)、旧民法第 34 条により主務官庁の許可を得て設立されたもの(財団法人、社団法人)となってお り、その設立主体が官から民まで大きく広がっている。このように官民の様々な機関 の事務・事業を、組織の性格や設立の経緯等に関係なく、一つの制度の枠内に取り込 めるようにしたのが、独立行政法人の制度である。そのために理念が極めて不明確な 法制度となっており、定義規定(独立行政法人通則法第2条第1項)にそれが現れて いる。 なお、独立行政法人制度の導入に際しては、英国のエージェンシーが重要な参考と されたが、実は、エージェンシーは国から法的に独立した地位にある組織ではなく、 あくまでも公務部門の一部であり、組織変革ではなく管理に関する変革であった。我 が国の制度は、国から法的に独立した法人が行政の実施部門を担う点が、エージェン シーと大きく異なっており、制度設計の出発点において行政の実施部門を担う組織の 在り方について、理念を明確にするための議論を尽くすべきだったのではないかと思 われる。 (2) 公務員身分でさらに目的不明確に 独立行政法人の役職員は、非公務員(民間人)が原則であるが(通則法第2条)、公 務員身分の法人(同条第2項)を認めたことが、制度の目的をさらに不明確なものと した。これは組織を国の機関から無理に切り離したことによるが、「国が自ら主体とな って直接に実施する必要のない」事務・事業を行いながら(同条第1項)、「役員及び 職員に国家公務員の身分を与えることが必要」な法人である(同条第2項)という矛 盾した内容の規定となっている。 そして、公務員型の法人を認めたことは、後に役職員身分の非公務員化を進める過 程で深刻な問題に直面することとなった。公務員でなければ、執行できない事務・事 業があるという問題である(※1)。言い換えれば、国自らでなければ実施できない事

(14)

務・事業ということであり、国から独立した法人の役職員に公務員身分を与えること は、制度に自己矛盾を生じさせている。 ※1 従来国の施設等機関であった消防研究所は、公務員型の独立行政法人に移行し たが、権力行使を伴うという業務の特殊性から非公務員化が困難とされ、再び国 の機関(消防大学校附属の消防研究センター)に戻されることとなった。また、 独立行政法人国立公文書館(公務員型)は、国の行政機関から移管を受けた歴史 資料として重要な公文書等の保存管理を行っているが、本来国が直接責任を負う 形で行われるべきで、国の機関に戻すべきではないかとの意見がある。 独立行政法人通則法(平成 11 年法律第 103 号)(抄) (定義) 第2条 この法律において「独立行政法人」とは、国民生活及び社会経済の安定等 の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が 自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた 場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせ ることが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として、この 法律及び個別法の定めるところにより設立される法人をいう。 2 この法律において「特定独立行政法人」とは、独立行政法人のうち、その業務 の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められ るものその他当該独立行政法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して、その 役員及び職員に国家公務員の身分を与えることが必要と認められるものとして個 別法で定めるものをいう。 (3) 財源措置と弾力的運営が問題 政府による財源措置(通則法第 46 条)があるため、関係府省庁の予算権限を背景と する公務員の天下りが行われ、経営の自主性を著しく阻害している。国から運営費交 付金等を受けながら、官庁会計とは異なる会計処理で各独立行政法人が弾力的、効果 的に使用できることが制度のメリットであるが、有効に機能しているとはいえない(※ 2)。むしろ、多くの非公務員型の法人に無駄に税金が投入され続けている点が大きく 問われており、現在進められつつある独立行政法人への国家公務員の現役出向に関し ても、問題を深刻化させる危険性がある。今日、各独立行政法人の目的や業務が広く 解釈され、本来行う必要のない事務・事業(通則法第2条第1項)まで行われること となり(※3)、政府による財源措置の規定と相まって、行政の実施部門として独立行 政法人が無駄に行う事務・事業は、自己増殖するおそれがある。 ※2 国立美術館、国立文化財機構(国立博物館等)のように、業務の維持向上のた めの必要な運営資金を確保できず、存続の危機に瀕している独立行政法人もある。 立法と調査 2010.9 No.308 91

(15)

これらの法人には、本来、業務の性質として採算や効率性を度外視して追求すべ き公共性があり、独立行政法人制度の問題の典型例ともいえる。 ※3 新エネルギー・産業技術総合開発機構は、特定の財源にもかかわらず、様々な 種類の業務を拡大してきている。 (財源措置) 第 46 条 政府は、予算の範囲内において、独立行政法人に対し、その業務の財源に充 てるために必要な金額の全部又は一部に相当する金額を交付することができる。 (4) 不透明な勤務条件等の決定 非公務員型の独立行政法人の給与と退職手当については、各法人が独自に支給基準 を定める(通則法第 63 条)ことになっているため、公務員の一般的水準を超える給与 等が支給されているが、適正に業務の実績が反映されているのか疑義を生じさせてい る(※4)。また、各独立行政法人に係る給与と退職手当以外の勤務条件や福利厚生に ついても、非常に不透明である。 ※4 総務省政策評価・独立行政法人評価委員会作成の「独立行政法人評価年報(平 成 20 年度版)」によれば、沖縄科学技術研究基盤整備機構の収入は、その9割(平 成 20 年度予算額)以上を運営費交付金等の税金に頼っている一方、職員の給与は 国家公務員(行政職(一))との比較で、その指数が 141.9(平成 20 年度、年齢・ 地域・学齢勘案)にも達している。 (職員の給与等) 第 63 条 特定独立行政法人以外の独立行政法人の職員の給与は、その職員の勤務成績 が考慮されるものでなければならない。 2 特定独立行政法人以外の独立行政法人は、その職員の給与及び退職手当の支給の 基準を定め、これを主務大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。これ を変更したときも、同様とする。 3 前項の給与及び退職手当の支給の基準は、当該独立行政法人の業務の実績を考慮 し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定められなければならない。 (5) 業績評価システムの矛盾 独立行政法人の業績評価は、各府省の「独立行政法人評価委員会」が下した専門的 判断の結果を、さらに総務省の「政策評価・独立行政法人評価委員会(通則法第 32 条 第3項)」が評価を行う(同条第1項、3項及び5項)という2段階の評価システムと なっている。しかし、各府省設置の「独立行政法人評価委員会」では、専門家であっ ても各府省の影響を受けず評価することに限界があるのではないか。また、その専門

(16)

家が行った判断について「政策評価・独立行政法人評価委員会」の専門外の有識者が 2次的な評価を行うこと自体にも問題があり、その結果、独立行政法人の業績評価は うまく機能していないと考えられる。先般、政府が行った独立行政法人に係る事業仕 分けなどを見ても、業績評価システムが十分に機能してこなかったことは明らかであ る。逆に評価した独立行政法人に対して、適正な運営がなされているとの不公正なお 墨付きを与えてきたといえるのではないか。いずれにしても、政府による財源措置(通 則法第 46 条)とともに、このような業績評価システムが事務・事業の無駄、税金の無 駄を放置する原因となっていることは否定できない。 (各事業年度に係る業務の実績に関する評価) 第 32 条 独立行政法人は、主務省令で定めるところにより、各事業年度における評価 委員会の意見を聴かなければならない。 3 評価委員会は、第1項の評価を行ったときは、遅滞なく、当該独立行政法人及び 政令で定める審議会(以下「審議会」という。)に対して、その評価の結果を通知 しなければならない。この場合において、評価委員会は、必要があると認めるとき は、当該独立行政法人に対し、業務運営の改善その他の勧告をすることができる。 5 審議会は、第3項の規定により通知された評価の結果について、必要があると認 めるときは、当該評価委員会に対し、意見を述べることができる。 (6) 業績評価に関する大臣権限の問題 独立行政法人の組織と業務の在り方については、主務大臣は、中期目標期間終了時 に、評価委員会の意見を聴いて、「全般にわたる検討を行い、所要の措置を講ずる」(通 則法第 35 条)、とされているだけである。主務大臣の権限としては弱く、無駄が放置 されてしまう結果となっている。「行政権は内閣に属する」(憲法第 65 条)という憲法 の建前からすれば、独立行政法人が明らかに行政を担う組織である以上、所管の大臣 は法人による無駄の防止と排除に関し効果的な監督の権限を有しなければならないは ずである。 (中期目標の期間の終了時の検討) 第 35 条 主務大臣は、独立行政法人の中期目標の期間の終了時において、当該独立行 政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般に わたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置を講ずるものとする。 2 主務大臣は、前項の規定による検討を行うに当たっては、評価委員会の意見を聴 かなければならない。 (7) 不正不当行為に関する大臣権限の問題 行政の実施部門でありながら、国から独立した地位に置かれているため、役職員に 立法と調査 2010.9 No.308 93

(17)

よる不正不当行為が明らかである場合にも、主務大臣は監督上、必要な命令をするこ とができず、是正要求等ができる(通則法第 65 条)だけであり、十分な責任追及がで きない仕組みになっている。法人運営について税金に頼っていながら、役職員の不正 不当行為について十分な監督を受けない仕組みでは、法律の誠実な執行を確保できる はずがない。主権在民に基づく行政監視の観点からは、独立行政法人の役職員であっ ても、職務遂行に関し国家公務員と同等の責務を負っていると考えるべきであり、役 職員の職務上の不正不当行為に関する現行の弱い大臣権限は、不適切といわざるを得 ない。 (違法行為等の是正) 第 65 条 主務大臣は、独立行政法人又はその役員若しくは職員の行為がこの法律、個 別法若しくは他の法令に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、当該 独立行政法人に対し、当該行為の是正のため必要な措置を講ずることを求めること ができる。 2 独立行政法人は、前項の規定による主務大臣の求めがあったときは、速やかに当 該行為の是正その他の必要と認める措置を講ずるとともに、当該措置の内容を主務 大臣に報告しなければならない。 以上のように、独立行政法人は、法制度そのものに重大な問題があり、国民に対し 行政に関する内閣の責任を明らかにし、国会がそれを統制するという憲法の主権在民 の観点からは、制度の廃止(通則法の廃止)を含めた根本的な検討をすべきではない かと思われる。 (内線 3107・3102)

(18)

資料1 独立行政法人一覧(平成22年4月1日現在) 所管府省庁 独立行政法人の名称 所管府省庁 独立行政法人の名称 【内閣府】 ◎国立公文書館 国立国際医療研究センター 北方領土問題対策協会 国立成育医療研究センター 沖縄科学技術研究基盤整備機構 国立長寿医療研究センター 【消費者庁】 国民生活センター 【農林水産省】◎農林水産消費安全技術センター 種苗管理センター 【総務省】 情報通信研究機構 家畜改良センター ◎統計センター 水産大学校 平和祈念事業特別基金 農業・食品産業技術総合研究機構 郵便貯金・簡易生命保険管理機構 農業生物資源研究所 農業環境技術研究所 【外務省】 国際協力機構 国際農林水産業研究センター 国際交流基金 森林総合研究所 水産総合研究センター 【財務省】 酒類総合研究所 農畜産業振興機構 ◎造幣局 農業者年金基金 ◎国立印刷局 農林漁業信用基金 日本万国博覧会記念機構 【経済産業省】経済産業研究所 【文部科学省】国立特別支援教育総合研究所 工業所有権情報・研修館 大学入試センター 日本貿易保険 国立青少年教育振興機構 産業技術総合研究所 国立女性教育会館 ◎製品評価技術基盤機構 国立科学博物館 新エネルギー・産業技術総合開発 物質・材料研究機構 機構 防災科学技術研究所 日本貿易振興機構 放射線医学総合研究所 原子力安全基盤機構 国立美術館 情報処理推進機構 国立文化財機構 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 教員研修センター 中小企業基盤整備機構 科学技術振興機構 日本学術振興会 【国土交通省】土木研究所 理化学研究所 建築研究所 宇宙航空研究開発機構 交通安全環境研究所 日本スポーツ振興センター 海上技術安全研究所 日本芸術文化振興会 港湾空港技術研究所 日本学生支援機構 電子航法研究所 海洋研究開発機構 航海訓練所 国立高等専門学校機構 海技教育機構 大学評価・学位授与機構 航空大学校 国立大学財務・経営センター 自動車検査独立行政法人 日本原子力研究開発機構 鉄道建設・運輸施設整備支援機構 国際観光振興機構 【厚生労働省】国立健康・栄養研究所 水資源機構 労働安全衛生総合研究所 自動車事故対策機構 勤労者退職金共済機構 空港周辺整備機構 高齢・障害者雇用支援機構 海上災害防止センター 福祉医療機構 都市再生機構 国立重度知的障害者総合施設のぞ 奄美群島振興開発基金 みの園 日本高速道路保有・債務返済機構 労働政策研究・研修機構 住宅金融支援機構 雇用・能力開発機構 労働者健康福祉機構 【環境省】 国立環境研究所 ◎国立病院機構 環境再生保全機構 医薬品医療機器総合機構 医薬基盤研究所 【防衛省】 ◎駐留軍等労働者労務管理機構 年金・健康保険福祉施設整理機構 年金積立金管理運用独立行政法人 (計) 104法人(うち特定独立行政法人(公務 国立がん研究センター 員型法人)は、◎印の8法人 国立循環器病研究センター 国立精神・神経医療研究センター (注1)特定独立行政法人とは、役職員が国家公務員の身分を有する法人。 (注2)法人の名称の冒頭の「独立行政法人」は省略している。 (出所)総務省「独立行政法人一覧」より作成 立法と調査 2010.9 No.308 95

(19)

資料2 これまでに設立された独立行政法人一覧 平成13年4月に独立行政法人が設立されて以降、これまでに設立された法人の移行前の 組織等を示したものである。このため、独立行政法人の中には、その後、廃止や名称変更 等がされたものもある。また、法人の名称に付記している、「○」は特定独立行政法人(公 務員型)として設立され、現在は非公務員型に移行した法人を示し、「◎」は22年4月1 日現在においても特定独立行政法人(公務員型)である法人を示している。 なお、資料2の各表は、政策評価・独立行政法人評価委員会「独立行政法人評価年報」、「独 立行政法人評価年報」等から作成した。 ① 国の機関から分離・創設された独立行政法人(平成13年4月設立) 独立行政法人の名称 移行前の組織等 【内閣府】 ◎ 国立公文書館 施設等機関 【総務省】 ○ 通信総合研究所 施設等機関 ○ 消防研究所 施設等機関 【財務省】 ○ 酒類総合研究所 施設等機関 【文部科学省】 ○ 国立特殊教育総合研究所 施設等機関 ○ 大学入試センター 施設等機関 ○ 国立オリンピック記念青少年総合センター 施設等機関 ○ 国立女性教育会館 施設等機関 国立青年の家 施設等機関 国立少年自然の家 施設等機関 ○ 国立国語研究所 施設等機関 ○ 国立科学博物館 施設等機関 ○ 物質・材料研究機構 施設等機関 ○ 防災科学技術研究所 施設等機関 ○ 航空宇宙技術研究所 施設等機関 ○ 放射線医学総合研究所 施設等機関 ○ 国立美術館 施設等機関 ○ 国立博物館 施設等機関 ○ 文化財研究所 施設等機関 教員研修センター 国の事務 【厚生労働省】 ○ 国立健康・栄養研究所 施設等機関 ○ 産業安全研究所 施設等機関 ○ 産業医学総合研究所 施設等機関 【農林水産省】 ◎ 農林水産消費技術センター 施設等機関 ○ 種苗管理センター 施設等機関 ○ 家畜改良センター 施設等機関 ○ 肥飼料検査所 施設等機関 ○ 農薬検査所 施設等機関 ○ 農業者大学校 施設等機関 ○ 林木育種センター 施設等機関 ○ さけ・ます資源管理センター 施設等機関 ○ 水産大学校 施設等機関 ○ 農業技術研究機構 施設等機関 ○ 農業生物資源研究所 施設等機関 ○ 農業環境技術研究所 施設等機関 ○ 農業工学研究所 施設等機関 ○ 食品総合研究所 施設等機関 ○ 国際農林水産業研究センター 施設等機関 ○ 森林総合研究所 施設等機関 ○ 水産総合研究センター 施設等機関 【経済産業省】 経済産業研究所 施設等機関 ○ 工業所有権総合情報館 施設等機関 日本貿易保険 国の事務 ○ 産業技術総合研究所 特別の機関

(20)

独立行政法人の名称 移行前の組織等 【国土交通省】 ○ 土木研究所 施設等機関 ○ 建築研究所 施設等機関 ○ 交通安全環境研究所 施設等機関 ○ 海上技術安全研究所 施設等機関 ○ 港湾空港技術研究所 施設等機関 ○ 電子航法研究所 施設等機関 ○ 北海道開発土木研究所 地方支分部局 ○ 海技大学校 施設等機関 ○ 航海訓練所 施設等機関 ○ 海員学校 施設等機関 ○ 航空大学校 施設等機関 【環境省】 ○ 国立環境研究所 施設等機関 (計) 57独立行政法人(うち公務員型52法人) ② 国の機関から分離・創設された独立行政法人(平成14年4月以降設立) 独立行政法人の名称(設立年月日) 移行前の組織等 【内閣府】 ◎ 駐留軍等労働者労務管理機構(平成14年4月1日) 国等の事務 【国土交通省】 ○ 自動車検査(平成14年7月1日) 国の事務 【総務省】 ◎ 統計センター(平成15年4月1日) 施設等機関 【財務省】 ◎ 造幣局(平成15年4月1日) 特別の機関 ◎ 国立印刷局(平成15年4月1日) 特別の機関 【経済産業省省】 原子力安全基盤機構(平成15年10月1日) 国等の事務 【厚生労働省】 ◎ 国立病院機構(平成16年4月1日) 施設等機関 【文部科学省】 国立高等専門学校機構(平成16年4月1日) 施設等機関 大学評価・学位授与機構(平成16年4月1日) 施設等機関 国立大学財務・経営センター(平成16年4月1日) 施設等機関 メディア教育開発センター(平成16年4月1日) 施設等機関 【厚生労働省】 医薬基盤研究所(平成17年4月1日) 施設等機関、独立行 政法人の業務の一部 国立がんセンター(平成22年4月1日) 施設等機関 国立循環器病研究センター(平成22年4月1日) 施設等機関 国立精神・神経医療研究センター(平成22年4月1日) 施設等機関 国立国際医療研究センター(平成22年4月1日) 施設等機関 国立成育医療研究センター(平成22年4月1日) 施設等機関 国立長寿医療研究センター(平成22年4月1日) 施設等機関 (計) 18独立行政法人(うち公務員型6法人) 立法と調査 2010.9 No.308 97

(21)

③ 特殊法人等整理合理化計画に基づいて設立された独立行政法人 「※」を付記した法人は、既存の独立行政法人に認可法人等を統合したものである。 独立行政法人の名称(設立年月日) 移行前の法人名等 【内閣府】 国民生活センター(平成15年10月1日) 国民生活センター (特殊法人) 北方領土問題対策協会(平成15年10月1日) 北方領土問題対策協会 (特殊法人) 【総務省】 平和祈念事業特別基金(平成15年10月1日) 平和祈念事業特別基金 (認可法人) 【外務省】 国際協力機構(平成15年10月1日) 国際協力事業団 (特殊法人) 国際交流基金(平成15年10月1日) 国際交流基金 (特殊法人) 【財務省】 通関情報処理センター(平成15年10月1日) 通関情報処理センター (認可法人) 日本万国博覧会記念機構 (平成15年10月1日) 日本万国博覧会記念協会 (認可法人) 【文部科学省】 科学技術振興機構(平成15年10月1日) 科学技術振興事業団 (特殊法人) 日本学術振興会(平成15年10月1日) 日本学術振興会 (特殊法人) 理化学研究所(平成15年10月1日) 理化学研究所 (特殊法人) 日本スポーツ振興センター(平成15年10月1日) 日本体育・学校健康センター (特殊法人) 日本芸術文化振興会(平成15年10月1日) 日本芸術文化振興会 (特殊法人) 宇宙航空研究開発機構(平成15年10月1日) 宇宙科学研究所 (施設等機関) 宇宙開発事業団 (特殊法人) 航空宇宙技術研究所 (独立行政法人) 【厚生労働省】 勤労者退職金共済機構(平成15年10月1日) 勤労者退職金共済機構 (特殊法人) 高齢・障害者雇用支援機構(平成15年10月1日) 日本障害者雇用促進協会 (認可法人) 高 年 齢 者 雇 用 促 進 開 発 協 会 (業務の一部) (財団法人) 福祉医療機構(平成15年10月1日) 社会福祉・医療事業団 (特殊法人) 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園(平成15年10月 心身障害者福祉協会 1日) (特殊法人) 労働政策研究・研修機構(平成15年10月1日) 労働研修所 (施設等機関) 日本労働研究機構 (特殊法人)

(22)

独立行政法人の名称(設立年月日) 移行前の法人名等 【農林水産省】 農畜産業振興機構(平成15年10月1日) 農畜産業振興事業団 (特殊法人) 野菜供給安定基金 (認可法人) 農業者年金基金(平成15年10月1日) 農業者年金基金 (特殊法人) 農林漁業信用基金(平成15年10月1日) 農林漁業信用基金 (認可法人) 緑資源機構(平成15年10月1日) 緑資源公団 (特殊法人) ※農業・生物系特定産業技術研究機構(平成15年10月1日*) 生物系特定産業技術研究推進 機構 平成15年10月に認可法人を統合した。さらに、18年 (認可法人) 4月に3独立行政法人を統合し、「農業・食品産業 技術総合研究機構」に名称を変更した。 * 認可法人を統合した年月日 (農業技術研究機構) (平成13年4月1日 「施設等機関」から移行) ※水産総合研究センター(平成15年10月1日*) 海洋水産資源開発センター (認可法人) 平成13年4月1日「施設等機関」から移行し、15年 日本栽培漁業協会 10月に認可法人及び社団法人を統合した。さらに、 (社団法人) 18年4月に1独立行政法人を統合した。 * 認可法人、社団法人を統合した年月日 【経済産業省】 新エネルギー・産業技術総合開発機構(平成15年10月1 新エネルギー・産業技術総合 日) 開発機構 (特殊法人) 日本貿易振興機構(平成15年10月1日) 日本貿易振興会 (特殊法人) 【国土交通省】 鉄道建設・運輸施設整備支援機構(平成15年10月1日) 日本鉄道建設公団 (特殊法人) 運輸施設整備事業団 (特殊法人) 国際観光振興機構(平成15年10月1日) 国際観光振興会 (特殊法人) 水資源機構(平成15年10月1日) 水資源開発公団 (特殊法人) 自動車事故対策機構(平成15年10月1日) 自動車事故対策センター (認可法人) 空港周辺整備機構(平成15年10月1日) 空港周辺整備機構 (認可法人) 海上災害防止センター(平成15年10月1日) 海上災害防止センター (認可法人) 【経済産業省】 情報処理推進機構(平成16年1月5日) 情報処理振興事業協会 (認可法人) 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(平成16年2月29日) 石油公団 (特殊法人) 金属鉱業事業団 (特殊法人) 立法と調査 2010.9 No.308 99

(23)

独立行政法人の名称(設立年月日) 移行前の法人名等 【厚生労働省】 雇用・能力開発機構(平成16年3月1日) 雇用・能力開発機構 (特殊法人) 【総務省】 ※情報通信研究機構(平成16年4月1日*) 通信・放送機構 (認可法人) (16年4月に認可法人を統合し、名称を変更した。) * 認可法人を統合した年月日 (通信総合研究所) (平成13年4月1日 施設等機関から移行) 労働者健康福祉機構(平成16年4月1日) 労働福祉事業団 (特殊法人) 医薬品医療機器総合機構(平成16年4月1日) 国立医薬品食品衛生研究所医 薬品医療機器審査センター (施設等機関) 医薬品副作用被害救済・研究 振興調査機構 (認可法人) 医療機器センター(業務の一 部) (財団法人) 【文部科学省】 日本学生支援機構(平成16年4月1日) 日本育英会 (特殊法人) 日本国際教育協会 (財団法人) 内外学生センター (財団法人) 国際学友会 (財団法人) 関西国際学友会 (財団法人) 海洋研究開発機構(平成16年4月1日) 海洋科学技術センター (認可法人) 東京大学海洋研究所(船舶運 行部門) (施設等機関) 【環境省】 環境再生保全機構(平成16年4月1日) 公害健康被害補償予防協会 (特殊法人) 環境事業団(業務の一部) (特殊法人) 【経済産業省】 中小企業基盤整備機構(平成16年7月1日) 中小企業総合事業団(信用保 険業務を除く) (特殊法人) 地域振興整備公団(地方都市 開発整備部門を除く) (特殊法人) 産業基盤整備基金 (認可法人) 【国土交通省】 都市再生機構(平成16年7月1日) 都市基盤整備公団 (特殊法人) 地域振興整備公団(地方都市 開発整備部門) (特殊法人) 奄美群島振興開発基金(平成16年10月1日) 奄美群島振興開発基金 (特殊法人)

参照

関連したドキュメント

二月は,ことのほか雪の日が続いた。そ んなある週末,職員十数人とスキーに行く

睡眠を十分とらないと身体にこたえる 社会的な人とのつき合いは大切にしている

長氏は前田家臣でありながら独立して検地を行い,独自の貢租体系をもち村落支配を行った。し

○ 4番 垰田英伸議員 分かりました。.

・この1年で「信仰に基づいた伝統的な祭り(A)」または「地域に根付いた行事としての祭り(B)」に行った方で

ピンクシャツの男性も、 「一人暮らしがしたい」 「海 外旅行に行きたい」という話が出てきたときに、

子どもたちは、全5回のプログラムで学習したこと を思い出しながら、 「昔の人は霧ヶ峰に何をしにきてい

平成 28 年度は 4 月以降、常勤 2