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Academic year: 2021

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研 究 成 果 報 告 書

平成24 年 1 月 23 日 財団法人 長野県学校科学教育奨励基金 理事長 田 幸 淳 男 様 学校名 長野県岡谷工業高校 学校長名 平林 眞 印 1 研究テーマ 無電解及び電解めっきによる防錆の研究 (電解Niめっき、合金めっきの試作及び酸性雤への耐腐食性の検討) 2 研究グループ(グループ名、学校等) 長野県岡谷工業高校 課題研究めっき班 福澤勇乃介、柳澤一斗、征矢野雅史、竹林俊映、山本虎次、天野健太、稲垣 誠 3 指導者 教諭 生田憲克 4 研究の動機及び目標 近年、大気汚染の進行に伴う酸性雤が建造物の腐食、湖沼の酸性化、森林の衰退などの一因であ ると考えられている。酸性雤が発生する原因は燃料の燃焼などで発生する硫黄酸化物(SOX)や窒 素酸化物(NOX)などが大気中で反応して硫酸や硝酸を生じるからと考えられている。 このような酸性雤による金属腐食を防ぐのに、私たちはめっきなどの表面処理による耐腐食性・防錆 を実験研究していくことが、その方法の一つと考えた。またこの諏訪圏が誇る表面処理技術の一つに めっきがあり、特に装飾めっきから電子部品まで幅広く用いられ、中間層めっきとして耐食性を向上 させるニッケルめっきに注目した。また以前からの研究で溶融めっきに代表される合金めっきにも着 目し、硬貨にも使われる合金である白銅(銅-ニッケル合金)のめっき条件もテストを行った。 今回は上記の酸性雤に耐えうるニッケルめっき条件と、下地条件からの差異を検討することを目標 として、めっきの酸性雤に対する腐食性の検討を行った。 5 研究内容の概要 5.1 ハルセル鉄板へのニッケルめっきの予備実験 【実験方法】 ①事前に行ったテストで同鉄板においてファラデーの法則が成り立つことを以下のように確認した Ni めっきの厚み 3.5μm 狙い Ni の密度ρ=8.9g/cm3、原子量58.7、原子価 2 として 4.8cm 鉄板の片面の面積は 1.5×4.8=7.2cm2 めっきの面積は 7.2×2×3.5×10-4=5.04×10-3cm 1.5cm めっきの重量は 5.04×10-3×8.9=0.044856g

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ここで、電流は0.4A としてめっき時間を考えると、 Ni めっきなので、 ここから C=147.482251 クーロン よって 147.48225/0.4A=368.7056 秒/60=6 分 8 秒 実際のめっき重量は鉄板重量は1.7785g(めっき後)-1.7325g(めっき前)=0.046g であるので、全体的に ほぼ狙いのめっき厚であると考えられた。 ②ハルセル鉄板に電流条件を変えたニッケルめっき(光沢、半光沢、無光沢)を行い、それぞれのめ っきの最適条件を設定した。 【実験結果】 ハルセル試験結果 以下にハルセルテストの結果スケッチを掲載する。 図の////部分はめっきの焼け(白っぽい変色)、。°。部分はピット、####部分は焦げを示している。 1)無光沢Niめっき A B C D E 1A //////////// ///。/。/ /。/。°//°。 //////// //// 1.3A ////////// ////////// /////// // 1.6A /////// /////// /////// 1.9A /////// /////// /////// 2.2A /////// /////// /////// 2.8A /////// /////// /////// /// 2)光沢Niめっき A B C D E 1A ° ° 。° /// 。 ° 1.3A 。。 ° //// // °。 。°。°。 1.6A // ° /// ## 1.9A ## 2.2A ### °。。 2.8A ## °。 ## /////// 3)半光沢Niめっき A B C D E 1A ° ° 。° ##### 。° 1.3A // ° /// ///////// // ## 1.6A 1.9A ####### #### 2.2A 。° 2.8A 58.7 C 2 96500 × =0.44856g

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【考察】 ハルセルテストは標準の1A~2.8Aで試験し、A~Eは陽極と陰極の距離を表している。こ こで赤い線で囲っている部分は焼けたり、ピンホールがない部分であるのでこの部分を最適条件範 囲とした。めっきに関して前年度より大和電機工業株式会社様にご指導を受けているが、めっき液 の添加剤のわずかな違いでしかない光沢・半光沢めっきと無光沢めっきでは表面状態の違いだけで なく、めっきの最適条件範囲にも違いが生じている。また、めっきの最適条件範囲には電流密度が かなり高い数値が含まれているが、以下の理由から実際のめっき条件は無光沢Niめっきは1.3 A、半光沢Niめっきは1.6A、光沢Niめっきは1.9Aで本試験を行う事とした。 【補足】 ・ めっき表面の錆について めっき表面自体に錆がなくてもピット※やピンホールがあればその部分からの浸食で内部腐 食が進行していく可能性がある。 前年度研究に基づいてめっきについて系統的なデータ収集をする必要がある。 ※ピット・・・めっき面に生成する穴のこと。素材表面にまで達していないが、めっき膜が薄くなっ ているため、そこから浸食していきやすい。ニッケルめっきでは高電流のとき、水素 ガスの泡が滞留してその部分に電着しなくなりピットになりやすい。 ニッケルめっき ピット 鉄素材 ※ピンホール・・・ピット同様めっき面に生成する穴だが素材表面に達しているため錆の原因になる。 主な原因は素材表面の油脂や金属酸化物等の付着。 ニッケルめっき ピンホール 鉄素材 5.2 鉄板および真鍮板へのニッケルめっきと耐腐食の本試験 本試験にあたり、予備試験で得たデータおよび前年度研究の考察から、より防錆能力の高いダブ ルニッケルおよびトリニッケルめっきを試行する。 〈実験方法〉 1)各めっき液配合 ① ニッケル光沢めっき液 (ワット浴) 硫酸ニッケル (NiSO4・6H2O) 240g/L 塩化ニッケル (NiCl4・6H2O) 45g/L ほう酸 (H3BO3) 35g/L サッカリン (第一光沢剤) 2.0g/L 2ブチン1,4ジオール (第二光沢剤) 0.2/L pH 3.8~4.5

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温度 55℃~ ② ニッケル無光沢めっき液(ワット浴) 硫酸ニッケル (NiSO4・6H2O) 240g/L 塩化ニッケル (NiCl4・6H2O) 45g/L ほう酸 (H3BO3) 35g/L pH 3.8~4.5 温度 55℃~ ③ ニッケル半光沢めっき液 (ワット浴) 硫酸ニッケル (NiSO4・6H2O) 240g/L 塩化ニッケル (NiCl4・6H2O) 45g/L ほう酸 (H3BO3) 35g/L 2ブチン1,4ジオール (第二光沢剤) 0.2/L pH 3.8~4.5 温度 55℃~ 光沢ニッケルめっきの場合だと光沢を付加するブチンジオールと内部応力を抑制するサッカリンを 使用し、半光沢ニッケルめっきの場合は光沢を付加するブチンジオールのみ使用している。 2)ハルセル鉄板の表面処理 めっきをする素材としてハルセル試験器に使用するハルセル鉄板を用いた。これはハルセルテス トと本めっきをする素材を同じにして素材からの誤差を尐なくするためである。 ① アルカリ脱脂+酸洗浄 ※ アルカリ脱脂液の主成分 苛性ソーダ、第三りん酸ソーダ、メタ珪酸ソーダ、炭酸ソーダ、界面活性剤等 50℃で使用 ※ 酸洗浄液の主成分 素材が鉄であるので、塩酸70cc/L(常温で使用) 酸洗浄(表面の亜鉛めっきを剥離するまで※)→水洗浄→アルカリ脱脂→水洗浄 →酸洗浄(短時間)→水洗浄→めっきへ ※ハルセル鉄板には酸化防止のため亜鉛めっきされている。 3)めっき試験表 A B C D E F 一層 ③ ③ ③ ① ③ ① 二層 ① ② ② ③ ① ② 三層 ③ ③ ① ① ① は光沢Niめっきで1.9A、②は半光沢Niめっきで1.6A、③は無光沢Niめっきで1. 3Aでめっきしている。A~Dの4種は三層構造のトリニッケル、E、Fは二層構造のダブルニ ッケルである。

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ダブルニッケル(二層構造) トリニッケル(三層構造) ダブルニッケル・・・二層構造で各層にピットがあっても鉄層への浸食を防ぎやすいと予測できる トリニッケル・・・ダブルニッケルより浸食しにくいと予想されるが、めっき層の安定性の確認が必 要。 ここで、この層の組み立てを6種類に絞った理由を以下で説明する。 前年度研究から添加剤の尐ない、つまり無光沢が最も耐腐食性が高いことがわかっているので、 A は無光沢で光沢を挟むことで、できるだけ錆びにくいめっきができるのか? B は間に半光沢を挟み、光沢と半光沢をはさむのでは、どちらが錆びにくいめっきができるのか? C は錆びにくい無光沢を1層目において間に半光沢そして表面に見た目がきれいな光沢をつけると 錆びはつきにくいのか? D は光沢で錆びにくい無光沢を挟むことで、光沢であるが耐腐食性を上げられるのか? E は1層目に錆びにくい無光沢を置き、表面に光沢をつけるダブルニッケルでは、どれだけ錆びにく いめっきができるのか? F は下に光沢をつけ、表面に光沢をつけてみて、錆びにくい無光沢を使わないでめっきをつけるとど のくらい錆びに弱いのか?という点について検討した。 このめっき条件で被めっき素材を鉄、真鍮の2種類行い、めっき条件・素材条件の両方から検討する こととした。 6 実験結果 6.1 めっきの仕上がり状態 鉄素材に関して、A~Fのめっきの仕上がりは第三層または第二層のめっきの特性どおり、その表 面は無光沢ならば光沢が無く、光沢ならば光沢の仕上がりである。しかし、一部のめっきの光沢部分 が白く焼けた状態になったことがあったので、その場合は作り直すとこととした。この白く焼ける理 由については後の章で説明する。 6.2 人工酸性雤降雤試験 人工酸性雤の降雤 岡谷市の年間降水量は1.025mm、今回降雤させる面積を 400cm2とすると、 この面積に対して400×100=40000cm3 また、酸性雤の条件として平均的な数値がpH4.9 であったのでそれに対応できるかを試験した。 降雤量 40000cm3 pH 4.9 Ni 二層目 Ni 一層目 被めっき素材 Ni 二層目 Ni 一層目 被めっき素材 Ni 三層目

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今回試作した鉄板へのA~Fのめっき、真鍮板へのA~Fのめっきに加えて比較対照の鉄板および真 鍮板で人工酸性雤降雤試験を行った。 以下にその結果を示す。 ① 重量変化の推移 鉄板へのA~Fのめっきおよび比較対照の鉄板の結果を以下に示す。これは縦軸に重量変化(g)、 横軸に酸性雤降雤日数を示したグラフである。 重量変化のグラフから、A,Bは重量減尐し、それ以外は増加傾向にあることがわかる。これは【③ 表面状態の確認】でも述べるが、表面の腐食の状態と照らし合わせるとA,Bのめっき表面はわずか に腐食で削られ、それ以外の条件ではピンホールなどからの錆が原因でわずかずつ増加傾向にある可 能性があると考えられる。 同様に真鍮板へのA~Fのめっきおよび比較対照の真鍮板の結果を以下に示す 真鍮板では鉄板より重量が増加傾向にある。鉄板ほど目立つ腐食はみられないことから、金属酸化物 が鉄の場合の細かく剥がれやすいのに比べて、より剥がれにくい状態である可能性がある。そうであ るならば鉄板では小さなピンホール錆またはめっき面の剥がれが多く、酸性雤降雤時点でわずかずつ 剥がれているため真鍮に比べ大きく重量が増加しなかったとも考えられる。 ② 表面状態の変化 次にめっき面の状態変化について以下に示す。 各サンプルの写真から酸性雤降雤2日目にして、表面のめっきに荒れが生じているものが出てきてい る。 -0.45 -0.35 -0.25 -0.15 -0.05 0.05 0 3 4 5 27 28 29 30 鉄 A B C D E F -0.01 0.04 0.09 0 3 4 5 27 28 29 30 真鍮 A B C D E F

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鉄板素材では、被めっき鉄板および、C,D,Eにすでに錆びが発生しているが、真鍮素材ではまだ 錆びは発生していない。 継時変化が進み、酸性雤降雤20日目では、鉄素材はA,B,(F)以外は激しく腐食し、真鍮素材 はA,B,(F)以外で一部腐食がみられるようになった。 酸性雤降雤24日以降確認したが大きな変化はなく、総じて銅と亜鉛の合金である真鍮素材はその素 材自体が腐食に強いことが示された。 これらの結果から、鉄・真鍮素材にニッケルめっき単体で防錆を行う場合には、A、Bのトリニッケ ル条件が有効であろうことが示された。 ③ 表面状態の確認(電子顕微鏡での確認)

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①②で言えることはあくまでも目視および重量データからであって、表面状態を確認しているわけで はない。ここで、本当に表面状態がどうなっているのかを確認するため電子顕微鏡写真を以下に示す。 左が酸性雤降雤終了後の比較対照の鉄板の状態を撮影したものである。鉄素材表面にかかった酸性雤 の水滴が鉄表面をイオン化し溶解することでこのようにえぐれ、えぐれた部分は空気との接触面積が 広がって錆が余計に生じているように見える。この穴から広がっているひび割れにより、衝撃などが 加わると錆が崩れ、鉄板がどんどん脆くなっていくことが予想できる。 では鉄素材・真鍮素材に共通して錆が生じにくかっためっきAからその表面を確認していくと、下の 左図のように一見滑らかな表面に黒いシミのような部分があり、さらにその部分を拡大すると細かく めっき表面が溶かされ、下地のめっきが出てきているのがわかる。また、黒くなった部分付近からは 大きな金属片のようなものが飛び出してきているように見える。 これはめっきBにおいても同様であり、下の【Fig ピンホールの拡大図】はその析出した物質を撮影 したものだが、これがめっき層を突き破って析出した錆なのかどうかは、その成分を分析できていな いので判断することができない。めっき表面のピンホール部分に焦点を当てているので、鉄板の表面 処理の際に酸化被膜が残っていたか油脂が残っており、めっきが着かなかった所をピンポイントで酸 性雤が酸化して生じたものの可能性がある。A,B共に表面のめっきが細かく溶出している箇所があ るが、金属酸化物であろうものが出来ている箇所は尐ないため、A,Bが酸性雤降雤のたびに重量が 減尐する傾向になったことと一致する。

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Fig ピンホールの拡大図 また下にめっきCの表面を拡大した写真を示す。 これらはめっきCだけでなく、他の錆が噴出しているめっきでも同様に見られた。これは見てもわか るようにめっき面が割れ、そこを中心として錆が発生している。このひび割れはめっき被膜の重なり 部分に応力が発生したのかもしれないが、このめっき層の脆さではトリニッケルやダブルニッケルと しては意味がなく、採用が難しいと考えられる。 また前年度研究から単層のめっきでは半光沢ニッケルが最も腐食しやすく、次に光沢ニッケル、無 光沢ニッケルと腐食しにくいことが判っている。この原因として考えられるのは含まれる添加剤の違 いで、ブチンジオールしか加えていない半光沢ニッケルでは応力が大きくなるとされることからめっ きの歪みや浸食を招きやすかったのに対して、光沢ニッケルは応力を抑制するサッカリンが入ってい るものの、サッカリン自体が硫黄性添加剤なので、めっき内部に硫黄を含むため腐食されやすかった。 ダブルニッケルやトリニッケルで防錆に挑んできたが、今回のめっきでもめっき表面のピットやピン ホールを完全に埋めきることはできなかったため完全な耐腐食表面とは言えず、良い耐腐食性を持つ めっきという範囲におさまる結果となった。 7 研究のまとめと今後の課題 研究のまとめとして、最適条件とまではいかないものの、良い耐腐食性を持つめっき条件を得るこ とができた。しかし、めっき層が厚くなることや環境化学科として、ものづくりの省資源化を積極的 に行っていくためには、この後の章で述べる合金めっき等を通して新しく手法を考えていく必要があ る。今回の実験でわかったことは防錆条件の一部分にしかすぎず、今後継続して研究していくことで

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防錆めっきを究明していきたいと考えている。 8 その他(企業連携授業を通して学んだこと) 今回の研究においては前年度研究から引き続き、Niめっきによる防錆の最適条件を確立すること を目的としてきたが、企業連携授業を通して判明したこと、今後学んでいくべきことを以下に報告す る。 8.1 合金めっきの試作と展望 この研究グループではNiめっきの基礎研究グループと、合金めっきの開発グループで実験を行っ てきた。合金めっきグループではNiと他の金属を合成した合金に高い耐腐食性があることから、電 解合金めっきで防錆にあたろうと考えた。実際に検討したのは硬貨にも使われる白銅(キュプロニッ ケル、銅75%、Ni25%の合金)であるが、硫酸Niと硫酸銅の組み合わせで溶液中の金属量を 3:1にしても析出するのは銅でしかなく、一成分ずつめっきして溶融めっきしか方法がないかと思 われた。 そこで前述の企業連携先である大和電機工業様に以下の質問をしたところ、連携授業を行ってもら うこととなった。 ① 硫酸銅-硫酸 Ni 混合溶液を電解しても銅のみがめっきされているように見えるのはイオン化傾 向か ら銅のみがめっきされてしまうからなのか。 ② 銅合金めっきはどのようにすれば形成されるのか?溶融めっきではなく溶液で合金めっきを行 いたいが、その溶液配合や、溶液温度、めっき時間、電流密度などを学びたい。 ③ もし白銅が非常に難しいのであれば、比較的容易な合金めっきにはどのようなものがあるのか。 授業を通して、①に関しては私たちの予想通りであることがわかった。②の質問については、白銅 は合金として析出させればステンレスには劣るものの、酸に対して腐食しやすいNiと硝酸や塩基に 弱い銅の弱点を補う合金であり、溶融では比較的容易である。しかし合金が作れることとめっきとし て合金が析出することは全くの別問題であり、様々な文献からも難しいことがわかった。めっきとし て析出させるのが難しい理由として最も大きいのはその金属特有の標準電極電位がある。ここで水溶 液から合金めっきができるためにはお互いのイオンの標準電極電位が近いこと、ある設定電位におい てそれぞれの金属の部分電流-電位曲線がその設定電位と交差していなければ合金はできないことを 学んだ。では今回の銅とNiはNiの標準電極電位が-0.250V、銅が 0.337V であり、その差は約 0.6V もあるので一緒に析出しないことが判明した。 では③としてNiと電位が近いものだと、SnがあるがSnイオンを持つ化合物を溶解させた場合、 強酸性であるため溶液のpH条件からNiめっき膜がうまくのらなくなってしまうことも示唆され た。私たちとしても、どうしてもNiの延長線上の白銅をめっき浴から立ち上げたいと話したところ、 錯化剤を検討してみてはどうかという方向が示された。標準電極電位がこれだけ離れている金属で合 金を作るためにはどちらか一方の標準電極電位をもう片方に近づけるしかない。この役割を果たすの が錯化剤である。ここで何種類かの錯化剤、めっき浴、めっき条件を示していただいた。しかし、す べて実用化には至ってないことから、今後の研究で錯化剤とその条件を研究し、その成果を大和電機 工業様に還元したいと考えている。 8.2 めっき浴のメンテナンスとNiめっきの可能性

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今回Niめっきの基礎研究グループでは、上記のトリニッケルによる防錆の研究を行ったが企業連 携授業に際し、合金めっきグループと共に大和電機工業様に以下の質問をした。 ① ビーカーで連続してめっきを行った際、光沢、半光沢ニッケルめっきで素材を良く前洗浄行程を 行っていても、光沢が無い白っぽい状態になることがある。同じ時間と電流値で電極からの距離 も大きく変わったわけではないが、連続でめっきをしていく場合に何かポイントがあるのか。 ② また①の場合にめっき液の色がだんだん黒っぽくなってくるのはニッケルがめっきされる際に 素材表面の鉄が溶出しているためと思われるが、こうなってしまっては溶液を作り直すしか対処 法はないのか。 ③ 陽極にニッケル板を使っているので、めっき液は半永久的に使えるような気がしていたのが、め っき液の寿命はどれくらいなのか。めっき液のメンテナンスはどのようにしていけばいいのか。 これも授業の中で学べたことだが、光沢のめっきが白っぽくなる光沢不良にはpHだけでなく必ず 金属不純物や有機不純物が関与している。6.1 では不良品を除いて実験を行ったが、上記質問③にも あるようにNiめっき液はメンテナンスを行うことで相当の期間使用可能になる。これは省資源化を 進めていくのにも非常に重要なことで、今回はそのメンテナンス法について学んだ。 金属不純物の場合、質問の②でも述べたが、めっきが行われる際に陰極からの鉄イオンの溶出がある が、この鉄イオンは陽極にアノードバックと呼ばれる袋、陰極には真鍮の網などを用いて弱電流で長 時間電解することで取り除くことができる。有機不純物は光沢剤が分解した生成物でこれがまたピン ホールの要因にもつながっていく。これを除くための活性炭除去の条件を学び、まためっき液の再活 性の特化技術を学ぶこととなった。 これらの不純物除去に加えて最も大事になるのは、めっき液の配合比をいかに保つかであるが、こ れは私たちの最も得意とする滴定操作での方法であるので、今後学んでいきたい。 企業連携授業ではめっき液のメンテナンス法だけでなく、今後のNiめっきの方向性についても示さ れた。それは添加剤についてである。添加剤の選択・使い方で非常に薄くてピンホールのないNiめ っきをつくる可能性があることから、基礎研究グループでは基礎Niめっき液をベースに新しいめっ き液の配合とめっき膜(その構造特性や色など)を研究していきたいと考えている。 また合金めっき班同様、今後の研究で添加剤とその条件を研究し、その成果を企業連携していただけ た地元企業である大和電機工業様に還元したいと考えている。 最後に今回の研究にあたり、ご支援いただいた財団法人 長野県学校科学教育奨励基金様に感謝を 申し上げ、報告とさせていただきます。 参考文献: 1)松島 巌著 “トコトンやさしい 錆の本” 2)榎本 英彦著 “トコトンやさしい めっきの本”

Fig ピンホールの拡大図  また下にめっきCの表面を拡大した写真を示す。  これらはめっきCだけでなく、他の錆が噴出しているめっきでも同様に見られた。これは見てもわか るようにめっき面が割れ、そこを中心として錆が発生している。このひび割れはめっき被膜の重なり 部分に応力が発生したのかもしれないが、このめっき層の脆さではトリニッケルやダブルニッケルと しては意味がなく、採用が難しいと考えられる。  また前年度研究から単層のめっきでは半光沢ニッケルが最も腐食しやすく、次に光沢ニッケル、無 光沢ニッケルと腐食し

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