一卵性双生児にみ られた 精神分裂病の症例について
渋 木 玖 次
SIBUKI‑KYUZI
蘇 荘 祐
MORI̲SOSUKE
弘 前 大 学 医 学 部 神 経 精 神 医 学 教 室 (主任 和 田豊治 教授 )
(27.)孤.1965受付)
1.ま え が き
精神分裂病 の双生児法 に よる研究は興 味深 15)16) 17) く, これ までLuxenburger,Rosanoff,Essen‑
18) 19) 20) 21)
M611er,Kallmann,Slater,井 上 等 が 発 表 してい るが ,それ らはいづれ も,形質が遺伝 と環境 に よって どの よ うに発達 し,つ くられ るか とい うことを主眼 としている.今 回,わ れ われ は一卵性双生児 の両者 に発現 した精神 分裂病 の症例 を経験 したので,付加報告の意 味 で発表す る.
Il.症 例
姉 ,妹 ,昭和23年7月9日生 まれ,17才 の 女子 (第1図).
卵性診 断 の結 果は,遺伝的 に最 も信頼性 の 第 1表 卵 性
血 液 型 学
++
高 い血液型 において同一性が認 め られ ,更 に 所謂類似性 の基 因で ある各計測 間 の比率及 び 形態学 的類似性 或 いは指紋等 に強 い類似性が 存在 していた .(表 1)
家族歴 では父 系の祖父は,短気 ・神経質 な 性格 を有 し,脳卒 中で死亡 。祖母は小心 ・Jb 酉己性 の性格 で ,胃癌 で死亡 . また ,母 系祖父 は現在60才 で健康 で あ り,大胆 ・苦 労性 の面 が み られ る.祖母 の方 は55才 で健康 ,性格 は お とな しい,無 口の方 で ある.父 は49才 ,母 は36才 で,共 に健 康で ある.性格面 では父親 は祖母 の性格 に類似 し,母親 は くった くな く 細 い所 に気 をつかわず , どち らか といえば祖 父 の性格 に近 い.
遺伝歴 においては,母親 の弟 に1人精神 分 裂病が 出現 してい る。す なわ ち,昭和39年 1 診 断 所 見
的 検 査
抗N 抗C 抗C 抗b 抗E 抗e抗Kpa抗K 抗S 抗P 抗Fya
指 紋 検 査 諸 計 測 値 間 の 比 率
左 手 右 手 身 体各部計測 値相 互 間比率 個数
指 紋価 示指 中指 環指 小指 栂指 示指 中指 環 指 小指 栂 指 両者 の差が10%以上 の もの 5
! 1!3… 9;6 7 lALIA LiW iL W
7W
6L
5L
4L
3
LA法法案倉警松
T
両者 の差が等 しい値 を示す もの 5 両者 の値が計測誤差 範 囲で類似 27
計 37
88 ‑ 渋 木 ・ 森
月頃 よ り発病 し,同年5月20日よ り昭和40年 3月10日まで当院 に入院 .入院時 の主症状 は 自閉 ・無 為で,被害妄想が強か った . 自殺 の 目的 で タバ コを10本程 ,1回に喰 ったが未遂 に終 り,その ま ゝ入 院治療 を し,寛解状態 に て退院 .現在 は外来通 院 にて経過観察 中で あ る.
家族構成 は,両親 ・姉妹4人 の計6人 .第 1子 は,現在20才 で ,無 口 弓 巨社交的 ・お と な しい.第2子 (以 下Sと記載),第3子 (以 下Tと記載)は,本報告 の双生児 で ある.第 4子 は15才 で,明朗 I,活動 的 ・快活 な性格 で
ある.
既往歴では,SもTも胎生期 ・出産 時異常 な く,出生時体重 も大差が 認 め られ な か っ た .二人 とも著息 をみず に生育 して きた .初 潮 は,S ・Tとも12才 よ り発現 ,Sの方が約 2カ月程早 い.その後 の月経 は両人 とも規則 的で ある.
生活 歴では,Sは 中学卒業,Tは高等学校 2年在学 中である.学業成績 はSが 中位,T が上位 で あ った .病前性格 はSの方が少 し勝 気 で あ るが , SもTも共 に内気 ・無 口 ・お と な し く,内向性 の面 の強 い分裂気質 で ある.
父親 は仕 立業 を営 み,家庭 も円満 でS ・Tは 同 じ部室 で起居 し,生活様式 に も特 に変 った 傾 向はみ られ なか った .
発病以来 の症状 と経過
Sの方は,昭和35年 (小 学校6年 在学 中)初 潮 をみ る頃 よ り, 自分 の体の ことが非常 に気 にな り出 し,他 の人達 にいつ も注 目され てお るよ うで あ り,肩 巾が段 々広 くな ってゆ き, 胴が普通 よ り細 い と思 うよ うにな った .身体 的 な異常感覚 ,注察 ・関係念慮 ,悲哀感情 ,
「恥か しいか ら死 んで しまいた い」 とい う希 死念虞 を訴 えていた. しか し, 日常生活 には あま り異常行動が なか った .昭和38年9月 6 日受診 .当時 ,分裂病 を疑 って入院 をす ゝめ たが ,本人 ・家族 とも承知せず,多 くの病 院 を診察 ・治療 に廻 りあるいていた . しか し, 症状 は しだいに悪化 し,右肩が なお広 くぬけ
る,上腕 に力が 入 らない, 自分 の椀の よ うで ない とい う身体的異常感覚 を訴 え,銭湯 に行 って も他人 に じろ じろみ られ る とい って入 浴 を拒 み,元気 な く自室 に とじこも りが ち とな って きた . さ らに活動性 の低下 を来た し,勉 強や家事手伝 い もや りたが ら な くな っ て き た . 自分 の肩 については悲観 的で ,右手 で物 を掴 んで もピ ック リしない,指先 だけでつか んでい るよ うな感 じがす る, 自分で あ りなが ら自分 とい う感 じが しない な どの離人 感, 自 分 の考 えが外部 に よ り左右 され ,変 え られ る とい う作為 体験 や,その他 に注察 ・関係妄想 な どが 中心 とな り, 「始 め よ, 中止 せ よ」 と い う命令的観念が 同時 に心的 内界 に浮 び,動 きが とれ な く,困惑状態 とな る.
昭和39年1月25日に入院 .電撃療法6回 , イ ンシュ 1)ンシ ョ ック療 法 (昏睡)36回 を受 けた .電撃療法4‑/5回 日頃か らは,妄想 は 目立 た な くな って きたが ,表情 固 く, 自閉的 傾向が強か った . イ ンシ ュ リンシ ョ ック療法 に よる妄想改善 に ともない , 表 情 も柔 らか く,豊 か にな って きた . さらに Tranquilizer の併用 もお こな った.
入院一年后 よ りナ イ トホス ピタル制に入れ 昼 間は製函工場へ勤務 させ る ことを実施 し, 約4ケ月后 の昭和40年5月25日に,退院 と同 時 にその ま ゝ同工場 に勤務 .以 来 ,外来通院 の ま ゝ薬物療法 で経過 をみてい る. しか し, なお情意 の鈍 麻 をみ るが ,異常体験 は出現せ ず ,経過 は良好 で ある.
Tの方 も昭和35年 ,小学 校6年 生12才 で初 潮 発来項 よ り,Sと同様に発病 をみ てお り, 症状 には,多 少相違 は あ るよ うで あ るが ,人 前 に出た くな くな り,人 にみ られ る,‑frLlか し い とい う気持 をいだ き,希死念 膚 も有す るよ うにな った . しか し, 日常生活では 目立 った 症状 もな く, と くに支障 を きた さなか った . 昭和39年9月頃 (高校1年) よ り,次第 に 学業成績が低下 して きた .本人 も以前 の 自分 と異 な り,物 事が頭 に入 らな くな って きた と 自覚す るよ うにな った . この家庭 には,3年
前か ら女 の間借人 をおい ていたが ,注察妄想 が強 くな るに したがい,その間借人 が何時 も 患者 の様子 を覗 ってい るよ うで気 にな った.
ところが 昭和40年4月 中旬頃 の こと,学校か ら帰 って 自室 に入 ったが ,例 の女 の間借人が 自分 を観察 してい る と言 って急 に興奮 し,そ の女の人 の部室 に行 き, ノ ックもせず に開 け て しま った . しか し相手か ら声 をか け られ , その部室 に入 られ な く, また立去 るわ けに も ゆかず ,困惑 して泣 き出 して しまった ,その 后 , 「人 の ことが気 にな るのは病気 だ.」 と 自覚 し,両親 と相談 の結果 ,某市 の精神病 院 に外来通 院 し,投薬 と電撃 シ ョ ック療法8回 を受 けたが ,荘然 としてい る事が多 く, 自重 に閉 じこも り,通学 もせず , 自宅静養 してい た .そ して昭和40年7月2日,当院 に転 院 し
た .
入院時 には,注察妄想 ,離人体験 ,思考奪 取等が認 め られ た .以来 ,Tranquilizerで経 過 を観察 してい る.最近では,前述 の異常 体 験 は殆 ん ど消失 し,多少感情 の鈍麻は認 め る が ,病院 内の作業 に も積 極 的 に 参 加 し てい
る.
性格 :両症例 とも内気 ・無 口,お とな し く て内向性 で あ り,分 裂気質 を示 してい る.
S
の方が少 し勝気 で ある.心理検査 では,まず 淡路式検査 (表2)では向性 指数でSが98, Tが74を示 してい る.三宅式検査 の結果 は, Sの方が抑 うつ ・無力 ・過敏の3点 に,Tで は意志欠如 ・気分易変 ・内閣 ・粘着 のそれ に 高 い値 を示 してい る.
第2表 心 理 検 査 成 績 淡 路 式 向 性 検 査
見 S T
rJLi答数
指」叫」,ir「hノ性
三 宅 式 向 僅 検 査
イ T.j ・、 J‑
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第 3表 ロ ー ル シ ャ ッ ‑ テ ス ト 成 績 所 見 S (柿) T (妹)
Total‑R ; 18 Rejection ll T/̀R Ar.allcard 126.0 1ソRIAr.allcard 84.1 mostdelayedcard
W %
D Dm FM
FF+
ど:FK%%M%%叩 C
Ⅸ (2′45) 33 670
2‑2
83 67 12‑0
17 (18) 0 60.8 21.0 rV ll(1′5)
17 72
11 FE1 178(X) 18‑0
所 見 S(捕) T (妹) FC :CF+C
1'C :M
llc:FM +m (lⅦ+Ⅸ 十Ⅹ)%
CuntRange H‑A :Hd+Ad
A %
Successun P BRS RSS
0‑2 1.5‑0 2‑2 0.8‑1 3.8‑2 0.8‑i
33 39
4.5 5,5 14‑2 1二2‑3
61 56
Orderly order一y 5 (i)8) 3 (17)
‑34 ‑29
‑6.0 ‑4.5
90 ‑
第4表 ロ ール シ ャ ッノ\テ ス 十成 績 に よ る 所 見 の比較
渋 木 ・ 森
想 像 力 の 貧 困
反応数 ・人間運動 ・内容範囲の低下.
動物内容の増土 大
現 実 吟 味力 ・注 意集 中力が あ る.
形態水準 は良好 . 愛情欲求 ・内省力の貧 困 .
通景反応 (FK)・材質反応 (FC)の 合的知的解釈は少なく,具体的実際的思考欠如 多 い .
部 分反応 (D%)が いず れ も50%以上 .
・ 反応時間 ・始発反応時間の遅れ Rejection.
S:
i
lr体験型は等価型 (Iq二ハヽT lLr、】」l…‑1.‑‑‑普通) 相 圭註姉) 衝 動性 .緊張 感L利発JLcFL 邪ユ1J八'c c'E:'''Fの 出現やゝ弾 力性 ・融 通性 が あ る 知能はやゝ劣 る.
異
協 力 的
反応時間 ・始発反応時間は普通 体験型は収縮型 (普通)
感情 の統制 がやゝ認 め られ る
FCの出現 常 同的・rigid 知能は普通.
知能 は学業成績 では, Sが 中位,Tが上位 で あ った.標準知能検査 の結果 をみ ると,
S
は得点61,Tは59で,多少Sの得点が多 い.
さ らに性格面の差異 を詳細 にみ るために, ロール シ ャッハ テス トを両者 に施行 し,比較 した ものが表3,4で ある. この テス T‑の結 果 をみ ると,類 似点 としては,想像力 の貧 困 が あるが ,現実吟味力 ・注意集 中力は あ る.
しか し,その反面 ,愛情欲 求 ・内 省 力 の 貧 困 ,統合的知的解釈 は少な く,具体的 ・実際 的思考 が多い.木目異点 としては, Sにおいて 反応 時 間 ・始発時 間の遅 れが 目立 ち,体験型 ではSが等価型 (普通),Tは収縮 型 (普通) を示 し,感情 の統制 ではTはや ゝま とま って い るのに反 し, Sの方 は衝動的 ・緊張感が高 い. しか し弾力性 ・融 通性 の面 で, Sには柔 軟性 がみ られ る.Tの方 は常 同的で,固い一 面 を もってい る.反応 時 間 ・反 応 内 容等か ら,知能 の面 ではSがや ゝ劣 り,Tの方が普 通 と思 われ る.
Ⅲ.考 蕪
本2症例 は同 じ家庭的 ・地理的環境 に育 て られ , しか も両者 に精神分裂病 を発現 した一 卵性双生児 で ある.
S
(柿) に発呈 した症状 は,初潮 をみ る頃か ら,身体的異常感覚 ,荏 察 ・関係妄想 ,悲哀感情 ,希死念慮等 の異常 体験 を有 し,やが て 自閉 ・無為 等 の情意 の障 害 も著 明 にな って きてい る.入院時 ,作為体 験 ,注察 ・関係妄想 ,命令 的観 念が主症状 で あ った .一方 ,T (妹) の症状 も初潮 発来頃 よ り, Sと同様 の症状 を有 す る よ うに な っ た . しか し, 日常生活 には変 りがみ られず , Sよ り症状 が表面化す る事 は少 なか った .両 症例 においては ,いづれ も妄想 を主体 とし, 情意 の鈍麻がみ られ る破瓜妄想型分裂病 の範 囲 に入 るもの と考 え られ る. しか し,発病 に 時間的差が認 め られ る .即 ち,Tの方が約 1 カ年遅れ ,医師 の診 断 ・治療 を受 けてい る.ところで, SとTともに,胎生期 ・出産 時 に異常 は な く,入院后 の脳 波 ・頭部 Ⅹ線等 の 検査 で も差異はほ とん どみ られ なか った. こ れ らの ことか ら生 物学 的環境 には相違 は なか った と考 え られ る. され に生后 ,身 体的 ・精 神 的 に大 きな差 もな く発育 していた両人 で あ ったが ,小学校入学后 の学業成績 では, Sは 中位,Tは上位 と差 を認 め,入院后 の標準知 能 検査 で もSが61点 ,Tが59点 でSが高 い (しか し, これは積極 的症状 の消過 したSと, まだ症状が不安定で動揺 し,時 に悪化 をみ る Tで あ った とみれば ,他 の因子が働 らき,得 点の差 の出た ことで もあろ う.) 一方 , ロー ル シ ャツ/、テス T‑では,反応 内容 ・反 応時間 では, Sがや ゝ劣 り,Tは普通 と思われ る.
15)16)
Luxenburger等 は症状発現 お よび重 さと関連 す る環境要 因 として,女性 の場合 は性生活 , 結核 な どの消耗性 の疾 患 ,病前 の神経症的 ・
ヒステ リー的状態 をあげ, さらに注 目すべ き こと ゝして知能 の程 度 を あ げ て い る. こゝ
で ,症例 を比較す る と, Sの方が学業成績 が 劣 り,Tに対 して も少 なか らぬ劣等感 を抱い
た ことは容易 に推 察 され る.それ らの ことか ら,症状 発現 の時期 を早めた と考 え る ことも 出来 るで あろ う.
両症例 は同 じ地理的 ・社 会的環境 の 中で育 て られ て きた .性格 は どち らか とい うと父親 に似 てお り,内向性 であ る. しか し, Sの方
25)
がや ゝ勝気 の面が強い .井上が指摘 してい る よ うに,双生児 で注意 しなければな らない こ とは,ふた ごのふた りの間の互 いの影響 の問 題 で,ふた ごで あ るための特殊 な社会的条件14) が あ るとい うことであ る.RosenthalはJack‑
13) sonの説 に反 対 してい るが,Jacksonは幼 少 の‑卵 生双生児 の場合 は,ふた りが一緒 に行 動 し,一種 のSymbiosisを形成 す る ことが多 い とい う. また ,精神 分析 学者 の 中には, こ れが egoidentityの形成 に決 定的 な影響 をあ た え,分裂病 の発病 に関係す る と記述 してい る もの もあ る.本症例 も,多分 に双 生児 間相 互 に依存 し合 っていた もの と思われ る. しか し,その依存性 ・影響性 の問題 につい ては, 日本 におけ る家族 関係 をみ る とき,封建的家 長 制度が崩解 した とはい え,まだまだ年輩者 ・ 出生順位等 の影響 は,はか り知れ ない ものが あ る. したが って, Sか らTへ の影響力 の方 が よ り大 き く働 きかけていた もの と考 え られ る. この ことか ら, Sが発病 し,続 い てTが 発病 した ことが うなづ け るよ うに思 われ る.
両症例 とも初潮 発来頃 か ら症状 がみ られ て 15)16) 17)
い る. Luxenburger,Rosanoだ 等 は統計的 に双生児 を観察 し,前者 は,一卵性双生児 で 67%,後者 で は68%の一致率 をみた と発表 し てい る. さ らに彼等 は,環境要 因 として出産 障害 ・頭部 外傷 と感染 ・性 生活 ・恋 愛等 をあ げ てい る.いづれ も性 的要 因 を と りあげ てい る. こい ことは月経 とい う生二哩的因子がす く なか らず発現 に作用 してい るもの と考 え られ18) る.また,Essen・M811erは,遺伝が分裂病 の 発病 に重要 な役割 をす るが , しか し経過 と予 后 にはあま り重要 な役割 はない と主張 してい る.本症例 において も,性格面 では父親 に類 似 し,遺伝負 因 は母親 の弟 に 1人精神 分裂病
が 出現 してい る. この こ とは,む しろ形質 の 面 では母方 の影響が大 きい と考 え られ る.井
4)
上 等のい う多面 発現効果 (Pleiotropiceだect) も, こ ゝで考慮 してお く必要が あ る と言 え よ ラ.
症状 内容 の若干 の相違 については,心理検 査 の結果 か らも解 るよ うに,両人 とも内向性 で あ る. しか し,細部 においで性格構造 に差
3)
異がみ らる.W aardenburgerは治療 ・教育 のちがい ,その影響 とい う因 子 を あ げ て い る,実際 に精神分裂病 の表現 として,即 ち症 状 発現 に微細 な性格構造 の相違 が少 なか らず 影響 す る もの と思 われ る. SとTで は,治療 内容 ・度合 も一様 でな くSは,中学時代 よ り 発病入 院 してお り,Tは高等学校入学后 に客 観 的発病 をみ てい る. この こ とか ら治療 的 ・ 教育 的 とい う環境要 因が ,本 2症例 に働 らき かけ症状 内容 に若干 の差違 を生 じさせた もの
と考え られ る.
rV.む す び
一卵性双生児 の両者 に破瓜 妄想型分裂病が 発現 した一組 につ いて報告 した.
本症例 は同 じ地理 的環境 に住み ,育 ちなが ら,症状 発現 の時 間的差 異 ,お よび症状 内容 の若干 の相違 をみた . この場合 の差 は,ふた ごにおけ る同一視 の問題 , 日本 におけ る独特 な家族制度や出産順 位等の力学的人 間関係 , さ らに知能 ・性格構造 の相違 な どに よって, 二 人 の 間 に 生 じた もの と考 え られ る. さら に,本症 例 においては,環境要 因 も意 味 を有 す るこ と ゝ思われ るが ,遺 伝的負 因 も認め ら れ るので,二人 が受継 い だ形質が よ り重大 な 役割 を もっ こ と も推論 され る.
(本論文の要 旨は第20回東北精 神神経学会に於い て報 告 した.)
終 りに臨み , 御指導 と御校 閲をいた ゞいた和田 豊治教授 に厚 く御礼 申 し上 げる と ゝもに ,程 々御指 導 と御助言 をいた ゞきま した布施清一先生 ,また本 研 究の卵性診断で御 協 力いた ゞいた弘 前 大 学 法 医 学 教室の村上利助教授 ,ロー/レシャッ/\テス Tlを施 行 し て い た だいた木村美 津 子学士 に心か ら感謝致
92 ‑ 渋 木 ・ 森
します .
参 考 文 献
1)井上英二 :日本 の医学の1959年,1959,1, 409.
2)井上英二 :遺伝医学 :55,金原出版,1960.
3)W AARDEhTBURGER,P.J.:Proc.Ist∫n‑
ternationalCongressofHumanGenetics1957, 4,10.
4)井上英二 ・春原千秋 ・窒 伏君士 :精神経誌 , 1958,60,909.
5)上 出弘之 :精神経誌,1957,59,1259.
6)IITt'oUYE,E.:J.nerv.ment.Dis.19tjO, 130,40.
7)GESSELL,A.&THOMPSON,H.:Genet. Psychol.Mongr.1941,24.
8)IhTOUYEE.:IIInternationalCongresson MentalRetardation.1961,ll,147.
9)NEWMANN,H.H.,FREEMAN,F.N.良 HoLZJIT(GER,K.J∴Twi ns,astudyofheredity andenviroment.p.369,Chicago.
10)KALLMANN,F.J.:Congr占s Internatio‑
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12)井上英二 :臨床遺伝学か らみた神経症理論 , 精神医学,1963,5,859.
13)JACKSO:ヾ,D.:Schizophrenia,1960,p.456,
BasicBookslnc.,New York.
14)RosENTHAL,D. :Arch.gen.Psychiat. 1960,3,297.
15)LuxE̲Tt'BLIRGER,H.:Hb.Erbkrankh.he・
rausg.V.Gutt,1940,2,191,Thieme.
16)LuxEITtTBURGER,H.:Zbt.ges.Neuro). Psychiatr,1930,56,145.
17)RosANOFF,A.J.,HA̲TtTDY,L M.,PLESI SET,I.R.&BRUSH,S. : Am.∫.Psychiatr.
1934,91,247.
18)EssEN‑MoLLER,E:PsychiatrischeUnter‑ suchungenan einerSer主e Yon Zwillingen, p.
2(泊,Munksgaard,Copenhagen 1941.
19)KALLMANII',F.∫.:CongrさsInternational dePsychiatrie,Rapport1950,ⅤⅠ,1.
20)KALLMAhTIT<,FJ.:Am.J.Psychiat.1946, 103,309.
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22)中 情三 : 精神分裂病, 1959, 245‑274, 医学書院 .
23)熊野明夫 ・飯 田 真 :一卵性双生児の一方に のみ不安神経症 を発現 した不一致 例. 精神医学, 1964,6,424.
24)井上英二 :双生児研究 .日本精神医学全書, 1965,6,13ト164,金原出版株式会社.
25)柴田洋子 ・矢吹賀江 .佐 々木道子 ・金子耕三
・入江是清 :分裂病多発家系における双生児分裂病 の症例について.精神医学,1965,7,317.
A COtJPLE OF SCEIZOPHRENIACS IN MONOZYGOIC TW INS
By
EYUJISⅡIBUKIandSOESUJiE MORI
Departmentof 〜,ur坤.'・.vchiafry,FaculEγofMedlcille, HiroSakiUm'verSわ′(DirectorIProf.T・WADA)
Seventeen yearsold femaleschizophreniactwinsarereported.Theonsetofschizo‑
phreniaand thesymptomsweresligh tlydifferentbetween them ;theyhavelived in the samegeographicalenvironment.
Itwaspresumed thatthe differenceswere produced by "identi丘cationM,acharac‑
teristicfami一y system inJapan,an orderofbirth andthedifferencesin intelligenceand characteraswell.However,hereditary factorsofschizophreniawerepresumed to play themostimportantroleforthegenesisofthesecases.
(Autoabstract)
II :‑,Li=
第 1図 症 例 の 姉 妹