理科授業則の研究(5)
(「誰でもが教育の目的を達成する場をどうするか」の研究(5))
附属小学校 久賀谷 泉
㌦
?P 授業と授業則
子どもは,教育によって.人間形成される。この教育について,理想の目標をたて,理想の計 画をし,それに基づき,理想の実施(実践)をし,目標に到達したかどうか理想の評価ができる 場が設定されたとするならば,それは,授 業ということばでまとめられよう。
そして,現実には,学校教育において,
この理想の計画・実施・評価ができるので,
学校においては,学習指導の場が,授業と 目θ標 いうことばでまとめられ,表現されていると
r
@ l l 実施 [計画
↑融材 / 過程 技術
評価
考える。 ,
@従って,授業は,ひとりひとりの子ども フ人間形成の目標を前提に,どのような計 統合 施設 画をし,どのような実施実践をし,どう評 反応チック 価すれぽ,子どもがよりよくなってしまう 子ども 教師 かの研究が要求されているoそして,研究
.経験 ゜論理
受容 提示 は子どもをよくするのであるから,子ども 転化 制御 のよくなり方・子どものおかり方について,
.
しなくてはならないはずであろうo この子どものわかり方・よくなり方とい う子どもの特性に基づき・理想の人間形成を目標に決め,ここへ最適の方法で到達する計画をた て・実施し・評価するという,教師の子どもへの援助のあり方が,当然求められるであろう。そ して.ここには。過去・現在・未来におたって変わらない授業のルール(授業則)が存在するは ずで.このことの探究が求められよう。
ひとりよがりでない、論理的客観的な授業のルール(授業則)について,教師はたえず修正し.
改善し,子どもがいやおうなしによくなってしまう授業則の確立に努力をはらわねばならないで あろうo
§2 「わかる」と「わからない」 ・「よくなる」と「よくない」
わかるためには, 「わからない」を前提とするoよくなるためには.「よくない」を前提とす るoだから,よくするためには。よくないのだという意識からはじまるし.おかるためには.お からないという意識が前提となるo
つまり,子どもをよくしたり。子どもにわからせるためには.わからない,よくないという意 識が出発点となるはずである。そうすると,どうしても、 「子どもの意識」ということを授業で は考えなくてはならなくなるし,この意識から.教師は,どのように働きかけることによづて,
人聞形成をするかという,「教師のはたらきかけ」が問題となってくる。
そして,「わかる」とは,子どものもつ既 子どもの体外 有の経験や知識は完全とは言えないが.とに かく調和状態を保っている。ここへ.未経験,
未知の情報(教材)にであい,これが既有の
葡嘉雛窺_騰
知識や経験に結びつく。関係づけられg意味 テけられるoこのことが「おかる」というこ転化受容 統合
とであり,もし,結びつかなければ「わから ない」 「不思議だ」ということになろう◎も し,あまりにも.結びつきが容易であれぽ,
「わかりやすい」ことになり.困難であれば,
「わかりにくい」ことになろうo
このことは,「よくなる」という場合も同じで,子どものもつ性質・特質に合っていて,結び つくなら,よくなるし,合わなけれぽ.よくならない。結びつきが容易であれば。すぐよくなり,
結びつきが困難iであれば,よくなりにくいo
§3 子どもの体内にもつものと結びつけるもの
子どもが,よくなったり,わかつたりするということは・子どもの体内にもつ,既有の経験や 知識に,新たな知識や経験が結びつき,子どもの体内のもつものに加えられ.子どもが変容する
ということであるはず・
そうすると,新たなものが結びつけられ,加えられる場合、適当であることが求められる。低 すぎれば。容易ではあるが.子どもはよくならないし,高すぎれば困難となり.これも,子ども はよくならないo最適な結びつけるものが当然問題となる。この最適な子どもに結びつけるもの が教材ということになろうo
わかるはずがわからなかったり・よくなるはずがよくならなかったりするのは.結びつけるも の(教材)が最適でなかったこととなるo
そこで,子どもに結びつくもので,しかも,子どもがよくなる、しかも、最少の労力で最大の 効果のあがるもの,つまり,わかりやすくもなく,わかりにくくもない.わかるもの・よくなる
もの精選がされなくてはならないはずoこの精選されたものが教材であるはず。
一40一
」
教師のはたらきかけ
噸
@ .
ニすれぽ.まず、教師のはたらきかけとし ての提示が.子どもの意識にはたらきかけ,
これはよくない.わかっていないそ.はて,
反応チヅク
と問題意識をもってしまう。しかも,既有の ものによって.こうじゃないかなと予想した
説をたてたりしてしまうものでなくてはなら ないはず。しかも,こうだと言い切れるまで 提示 制御
いかないoどうしても,もっと調づていかな くてはならないo探究しつづけないかぎり答 えがでないoわからないoよいとはいえないo
そこで,理科でいうなら実験・観察としての実証が求められ.それを実践するoそして,やっ ぱり,このことは,こうだったのかということで.わかるということになるはず。そうすると,
子どもの意識 子どもの意識としては,外界(教師のはたら きかけなど)を感覚でうけとめ,体内で思考 し,行動することによって,わかるというこ とになる。子どもが感覚でうけとめ、おや(問 子ども 題)と意識しβこうじゃないか(思考)と考 感覚 思考 行動 え.こう観察し実験すれぽ(行動)と行ろと
_一、ノ1、㌔!一_ 、
受容 転化 いうパタ轟ソによってわかるともいえるo
統合 もっと,述べるならば,おかっていれば,
問題をもつはずがないし,調べる気も,探究 する気にもなれない。つまり。わかろうとし ないoまた.もし,おやと問題をもったとしても. こうだとすぐ答えがでたとすれば.これは.
すぐ答えがでてしまったのだから,はじめから問題ではなかったはずである。
とすると, 「問題」と「わかる」の間には少くとも何かあるはずo
それは何かoもし,こうじゃないかという
思考するだけでは,こうだとおかったことに問題 .
「 ならない・とすると・こらじゃないかと思う
こうじゃないか から・こ弓だとわかるの間になにか手続きが
(予想) 求められるoこの予想とおかるの間の意識を こうすれぽわかるは 満足させるのが・理科では・観察や実験とい やってみよう ろことになうろo
(実証)
わかる(答えをだす)
@ 、 一41一
} 一『一 一 そうすると・子どもがわか 」
} るというためには・はじめに
問題1 i随が意識され,予想し実
1 叡\激 !
o 実証・ \ 証し・答えを出すということ ノなる。そして・これは立体
一一◎一一一』、一一 1
{ // 、\ ,
/ ⑪ 、黹m)<問題・ 実証2 的にはスパイヲルになり平面
Iには問題→予想→実証 ィ答えのぐるぐるまわりと
「i ・ /
・問題3 なるoそして・このような意
{ 予想紋 識の流れの連続が子どもの姿
t \\一 として認められないとレたら・
(予想3 / 子どもは・わかるということ
\
軸 がむずかしい。そこで・これ
、
らをまとめて・[問題解決の学
1
習」とまとめられているのであ
i ろうo子どものよくなり方・わかり方・認識
問題 ・理解という立場から・どうしても・このよ うな子どもの学習の過程をとらなければなら
軸 N
ないことになろう。
答え ・ 予想 中心
T そして,このような過程を満足させる教材
が用意されていなくてはならたいはずであろ 実証(実験・観察) うo
§4 教師のはたらきかけと子どもの意識
子どものわかる過程に即する教師のはたらきかけを前提とする。だったら・実際の授業ではどう か。 教育研究所紀要第5号P。77小学校5年単元「もののあたたまり方」について述べたものを
■
u教師のはたらきかけ」と「子どもの意識」という立場で学習指導案を書きなおしてみる。
そして・子どものわかり方に即した理科授業ということで・このあり方を述ぺることにする。
第5学年 組 理科学習指導案
指導者 茨城大学教育学部附属小学校 久賀谷 泉 単 元 もののあたたまり方
一42一
ア 熱は金属では伝わりやすく・水や空気では伝わりにくいこと。
イ 金属の棒を暖めると長さが変おること。
ウ 水や空気が暖まるのは・体積の変化によって起こる水や空気の移動によるこ
とo
指導の計画 第1次 水・金ものと熱・温度・暖まり方・・・… 3時間(本時は第1時)
(9時間) 第2次 水の暖まり方 … ……・…一…・・… 2時間 第3次 空気の暖まり方 …・・・… ……・・…・2時間 第4次 温度による金ものの伸び縮み…・…… 2時間
関 連 O隣接学年 4年「水・水じょう気・氷」 「空気や水ののびちぢみと温度」
6年「日光によるものの暖まり方」
本時の指導
(1) 目標 O水は・熱すると温度等があがり・水蒸気等がでることを理解させる。
0水は,熱を伝えにくいことを理解させる。
Oアルミニウムは・熱を伝えやすいことを理解させる。
(2♪準備資料 Oアルコールランプ・鉄製スタンド・マッチ・試験管立,試験管,水,アルミ ニウム・鉄・銅などの板・ろうそく・OHP・試験管ばさみ・など。
(3)展開 、
教師のはたらきかけ 子どもの意識(感覚・思考・行動) 留意事項(先行経験 磨@ 象)
L Oこの水の上部を
P乃ルールラン
@ ム プで熱したら・ 水はどうなるか。
0あれ・どんな勉強するのだろう。
nふっとうする。
n水蒸気がでる。
書フ積がます。
o水+熱→状態変化 n水+熱→体積変化 n水+熱→温度上昇 n関連単元4年の学習
£一@《
@ 念 O熱が下部につたわる。 を再構成し・子ども
6f 一 oその他 の前に事象提示し・
Oもし・熱が伝おるとすれば 先行経験をひきだす
実験中手をふれてはいけない Oわかってはいるが,たしかめたい01 1
O「おかしいなへん端」
嬢ず。とにかく絶対に手をふ 「子ども自らが考え,
れないように。 O熱してみよう。 自分の力で・たしか
oでは,熱してごらん。 oやっぱり。でも・・鱒 めたい。」という場
oどうでしたか? をつくる。問題解決
2ところで・水の上部はふっ Oつたわって・温度が高くなってい が形式的にならない
ると思う。 ようにする6
にもなったけど・闇層 下部の温度はどう
0つたわらないと思うo o子どものわかり方の タ態に即す。
ソ かな?上部の熱が o問題解決が形式をふ
つたわったかな? O−・・ と思うが・やっぱりたしかめ } んでいるだけで,子 Oつたわったかどうか, どう てみたいoL Ii どもの主体性がはた
してたしかめる?もし・熱 らかないような場と
がつたおって
。うん,困った. iしない。 }
一いるとすれぽ Oもし・熱がつたわっていたら100°C o問題解決の学習が,
にもなっているし・つたおっている クラス全児童のもの っているからやけどするよ。 かどうか,手でさわれぽやけどする になるよう場づくり どうやってたしかめるの? し。どうやってたしかめようか? } をするo
1
O温度が高くなれば・とけるものがあb子どもが・本当に探 れぽよいのだがO … 。 究している姿をさぐ Oそうだ・ろうをつかったらよい。も るo
し熱がつたわつていれば・とけるは Oたえず「どのような
ず。 子どもを育てるか」
Oなるほど・ろうは・熱する (人間形成)に目を
6ととける。だから・熱がつ むけ・子ども自らが
たおっていればとけるはず。 Oあれ,とけない。 感じ・考え・行う。
oやってごらん。 Oやっぱり・ とけないo つたわりにく しかも・やる気をだ いo水は・熱をつたえにくい。 して・それが正しい
Oだったら・手でもって・ふ という方向に子ども
っとうさせる 0それは・どうかなo がいっているかどう
7 ことはできる
Oでも・水が熱をつたえにくかったら か評価する。
拶 瞭粥 ふっとうできるはずだ。でも…・ O教師が順番をつくっ て,子どもをその上 3. ところで・アルミ Oつたわると思う。しかし・水の場合 にのせるのでない。
つたわらなかったのだから・ななめ 子どものひとりひと 必 ようにななめにし にすると・下部へつたわるかどうか りが・自らしっかり ミ て上部を熱したら
うたがわしい。 問題をとらえ・主体
熱は・下部につたわるのか oもし,伝わるとすれぽ・ろうがとけ 的に解決しているか
な? るはず。ためしてみたいな。 どうか評価する。
oやってごらん。 o実験する。 o子どもがどう変容し
Oどうでしたか。 Oやっぱり・つたわる。水とちがう。 たか。ほんものの問 O水はつたわりにくいが,アルミはっ 題解決学習が成立し Oじゃ・水とちがって手にも たわりやすいのだ。 たか。子どもが教師
ってあたためられないね。 のお手伝をしたみた
Oところで・今度は・何をし o銅もやってみたい。鉄板もo いな問題解決学習と らべたい?アルミの板だけ O金属は熱をつたえやすいといってよ i ならなかったか・評 の実験で・熱をつたえやす いのではないか。 i鮒る。
島「といってよいのかな? Oとにかく・実際にやってしらべてみ O金属+熱→伝導 たいなo
一44一
教師のはたらきかけとしては・子ども茄問題として意識し・それを解決した。つまり・答え が得られた。とするなら・これは・教育目標到達でなくてはならない。
また・教師のはたらきかけとしては・子どもに意識されやすいように提示しなくてはならない。
このためには・子どもが感覚で受容しやすいようにせねばならないし・思考もでき・行動もでき ・ る見通しあるものでなくてはならないはず。
だとすれぽ・授業では・具体的事象の提示と発言ということで,これが,子どもの既有の学習 経験(先行経験)によって思考でき・行動(実験観察)もできる場づくりのための教師のはたら きかけでなくてはならないであろう。この授業では・もののあたたまり方の最初の第1時である から・当然・この単元と関連する学習経験をもとに予想し・実験し・わかる(答えを出す)もの でなくてはならないであろう。そして,もののあたたまり方を学習しないではいられない場つく
りが求められる。とすれば,たとえぽ,本時のような取り扱い方もできるはずである。
教師のはたらきかけ
・具体的事象
・発言 「ここのところを,アルコールラソプで
㌃ このよう燃したら・水はどうなるか・
1
」 こう提示すると・次のように意識する 並
子どもの意識
・温度が高くなる。
・あわがでる。
・体積がます。
・ふっとうする。蒸発する。
・上部の水の熱が下に伝わる。
・下に伝わらない。
・その他。
教師の反応チェックでおかる
蓮教師のはたらきかけ(制御)
・と「思う」の・それとも「…こうこうだ」と・言い切れるなら・の?「…だ」と 言い切れるならわかっていることだから・実験し観察してみる必要はないけどね。
・「たしかめてみたい?」 「たしかめたい」だったら・実験むてごらん。思ったとうり になるかどうか。ところで・実験を行うのだから・実際に行動するのだから,行動に は,気をつけなくてはならないことカミあるねQこれからする行動・実験で,どんなご
とに注意しなくてはならないかな?
・「熱が下部に伝おるという人もいるのだから・ここ(下部)には・手をふれてはいけ ないよね。やけどをしては困るもの。だから・ここ(下部)には・絶対に手をふれな
;いことね・じゃや妊ごらん・
G
子どもが実験するo 》 子どもの意識
・あおはでる。
・蒸発する。
・体積がましたかどうか・この実験ではわからないが・体積はましているはずだ。
・ふつとうしている。だから温度は100°C になっているはずb
・でも・下部があたたまったかどうか。
L工竺熱が嘱わったかどうか・下纈水莇燥められたかどうか賄力励い・
ψ 教師のはたらきかけ
・どうでしたか。
あおはでる。温度はあがる。体積はます。ふっとうはする。でも・下部に熱が伝わ ったかどうか。下部の水があたためられたかどうかわからない。
・「下部に熱が伝わったか。」 「下部があたためられたかo」これは・この実験でわか らないとすると・どうする?
1(おからないことの意識化)
Ψ 子どもの意識
・「熱は・伝わるか。」 「下部の水はあたためられたか。」わからない。わからないで はよくない。
・「どうしよう?」 「調べたい。」 「探究したいo」
・ところで・どうすれぽわかるか。
教師の反応チェックによってわかる 夢
教師のはたらぎかけ
・「下部に熱が伝わり,水はあたためられているのか。」調べたい。ところで,どうす る?手でさわって調べるわけにはいかないし。
・どうしても・調べる方法・実験観察のし方がわからなければ・わからないで・そのま まにし・別の何かをせねぽならないね。でも,よく考えてもみないでわからないまま にすることはよくない。考えてごらん。
子どもたちは話し合ったりしてψ考える。
子どもの意識
・そうか・温度計を使えばよいね。だけど今ここにないo
・困った。やっぱりだめか。 ・・… あっそうだ。ここにろうそくがある。これをぬって
おけば・もし・あつくなり・熱が伝おっていれば・ろうがとけるはずだ。たしかめた いなo
.
・その他。
き , Ψ
教師のはたらきかけ
・うん。なるほど・熱が伝わらなければ・ろうがとけないはずというわけ耗もし,と ければ,熱がつたわるというわけだねo
・たしかめてごらん。
蓮 子どもの意識
・やっぱり・ろうはとけないo水は熱を伝えないらしい。
・でも・伝えないではおかしい。水は実際には・あたたまるのだから。水は熱を伝えに くいのではないかなo
・水は熱を下部に伝えにくい。水は熱を伝えにくい。角度によるのかな。下から熱すれ ぽ・上部に熱を伝えるのかな。
・その他。
渉 ウ師のはたらきかけ
・どうでした?
「水は熱をつたえにくい。」ということがわかったの?
だったら・先生が・下部をもって上部を熱してもよいというおけですね。手でもつ てふっとうもさせられるというわけだね◎熱を伝えに 池. くいというのだからo
越・ 手でもつ
・実際に子どもの前で行う。子どもは・びくびくしながらみる。
Ψ 子どもの意識
・やってみたい。
・やっぱり,たしかめた通り,水は熱を伝えにくい。
・そうすると・熱は上に行くのかな。ここにある・アルミ板など・ななめにして上部を 熱したら・下部へ熱は伝わりあたたまるのではないか。
・その他。
並
卜
教師のはたらきかけ
。ところで・ここにあるアルミ板などは・試験管の水のように・ななめにして・上部を 熱したら・下部へは熱は伝わらないのかな?
,
轟
ヘ・・板 そ蚕
並 子どもの意識
・水とはちがって熱は・伝わるのではないかo下部もあたためられるよ。
。でも・・。・。・と思うので・あたたまるとは言い切れないoやっばりたしかめてみたい。
(主体的学習意欲・探究意識・問題解決の意欲)
夢 教師のはたらきかけ
・そう・では・やってごらん。といいたいが・この実験で注意することは?「熱が伝お ると考えるのだから・手でもってはできない。試験管ばさみなどではさんでおいて・
ろうをぬって調べればよい●」というようなことを意識させる。
漸 子どもの意識
・やっぱり・水とちがうo
・熱をつたえる。水のように伝えにくいものと・アルミのように伝えやすいものがある ようだ。
・ところで・伝えやすいものはアルミばかりか。伝えにくいのは水ばかりか。アルミの ほか,ここにある鉄や・その他の金属でもしらべてみたいな。
・その他。
教師の反応チェックでわかる
§5 子どもが「わかる」と「教師のはたらきかけ」
子どもがわかるというとき・「ひとりでにわかる」 「努力してわかる」 「無理にわからせられ る」の3っの場合があろ㌔
教師は,授業において・計画し・実施し・評価する場合は・はたらきかけとして・子どもがひ とりでにわかってしまうことを前提としよう。しかも・子どもは努力してわかつた・無理におか らせられたのではないという意識での授業をせねばならないはず。また・教師としては・無理と は思ってもわからせたい。努力してわかってほしい。それほどまでに・この子にとって大切なご とを教育内容としているはず。
」−48一
そこで・教師のはたらきかけとしては・無理でもおかつてほしい・努力してもわかってほしい しかも・論理的客観的に重要な教育内容の精選に努力せねばならないから・教育研究にはげまな ければならな喚のであろうo
子どもがわかる場合
子ども ①ひとりでにわかってしまう。
受容 統合 転化 ②努力してわかる。
一一^一一.
感覚 思考 行動 ③無理にわからせられる。
一一}−}
そして・具体的には・教師のはたらきかけは・理科でいうなら具体的事物現象の提示と発言の 提示ということになる。さらに・この提示に対して子どもが目標の方向にいっているかどうか,
子どもの反応をチェックするというはたらき・しかも・目標の方向に制御して目標へ到達させる。
そして,次の提示をしていく。
ここには・子どもの人間形成ということで・この子らが「おたがいにどうふるまえぱよいか」
を自然を通して教育することが理科教育であるとするなら・当然・教師が教えるひとりの子ども に・どう教師と・他の友人と自然とをはたらきかければよくなるかが問題となる。そうすると,
どうしても・子ども同志の話し合いの場・教師の話をきく場・自然にはたらきかける場がつくら れなく℃はならなくなるo
この場が・授業の分節というものであろう。そして・この分節で子どもがわかるのであるから,
わからないことを出発点として・しかも・よくなるのだから・今ではよくないを出発点とせねば ならないはず。しかも・わからない・よくないだけではだめなので・ここに教師の提示を必要と
するわ牡。しかも・それは・子どもがおかる前提である感覚・思考・行動をはたらかせてしまう 7ものでなくてはならないはずであろう。
だとすると・子どもに具体的事象と発言の同時提示によってというように考えを進めていくとワ 自然や他の友人と・ひとりの子どもの人間形成ということから・次のようなパターソが考えられ るであろうo
教師・自然・子どもの授業のパターン
一49−一
丁 問いかけ
、 C 問題
発言する
Cグループで話L合う
Tどうまとまりましたか◎どう答えがでましたか。
理解
囃嘯ヌうでしたか・ 刀@予 T じゃ,実験してごらん,ちょっとまって,こ
@の実験で,どうしても,注意Lなくてならな え C やっぱり……でした 想
いことは何か。
TC でも,これは……わからない。 このことに注意して,はじめてごらん。
昌 ……1ノらべたいな!
実証
C実験する T:教 師 C記録する C:子ども
はじめに・子どもに問題意識をもたせる◎そして・感覚・思考・行動をはたらかせるよう・具 体物・話し合い等の場が用意され・予想をする。そして・この予想した・「こうではないだろう か」と思う(想う)ことを・ 「こうこうだ」と言い切るための実証の場が用意され・それも,子 ども自身の感覚と思考と行動で行う。そして・やっぱり・このことはこういえるよ。だけど・こ のことはわからない。これをわからないままでおかないで・調べたいということで・次の問題意 識へと連続する。
ものわかり方を研究し・子どもが自己のもつ能力を発揮し・意欲をもって自ら学習にとりくむ授 業でなけれぽならないであろう。
§6 子どものわかり方に即した理科授業
きびしい指導である。しかし・成果は子どもの中にたくわえられる。子ども自らが未知の問題 にいどみ・自らの力で知識を創造する能力が育っているoこの知識も,次の知識の創造のための ものである。
理科授業において・自然科学的な知識を与えるのではない。自己の現在ある能力をもとに,新 しい自然科学的知識を創造していく能力を育てるのである。
ここには・当然・子どものわかることを前提とした・真の子どもの問題解決が重視されなくて ■ ヘならない。教師中心の子どもにとって無理にやらされ・努力したくない・などの問題解決でな い。ただ・実験観察をしたという授業でもないo
子どもの姿の中に・自らの力で新しいものを創造する能力が育つように教えなくてはならない 一50一
σ
であろう。子ども自らが自然にはたらきかけ・未知なることを解明しようと努力している姿が授 業の中にただよっていなくてはならないであろう。
ひとりの子どもに・こう教師がかかわり合う・他の友人がこうかかわり合う・そして・こんな 自然をえらぶならば・この子が・ひとりでによくなる(人間形成できる)というものを・ひとつ ひとつ自信をもって・実際の授業の中からとりだす研究をせねばならないであろう。しかも・こ の「自信をもつ」の前提には・「独善性」をゆるさない。授業則としての吟味をともなうはずで あるo
こうすることによって・子ども自身のわかり方に即した・子ども自身の問題解決になり・この ことによって・成果が子どもの中にたくわえられるようになろう。
このため・授業研究は・教師側にたって・指導のあり方を論ずるのではなくて・子どものわか り方によって授業を論じ・ 「子どもが生き生きと問題をとらえ・解決しているか」しかも, 「子 どもが・学習の目標にむかって・どう感じ・どう考え・どう行うか」ということをきびしく探究 していかなくてはならないであろうo
§7 教師のはたらきと子どもの選択・受容・問題解決
教師は・物やことばで・子どもにはたらきかける。子どもが・これを受容したとすれば,教師 の提示した物やことぽについて・ 「…・・だろう」というかたちか・ 「…鱒だ」というかたち で受容しよう。
「・・…だ」という事実認識の場合,
幽 もし・違うとすれば・具体事象に対
教師のはたらきかけ 子ども する,ことばの対応のまちがいであ ろう。そして, 「・・…だろうと想
・も の
事実認識
黶^曽\_ノδ\_/へ誇
転化→ う」ときは・ ワちがいとか正しいと
受容酬ことぽ
想う認識 かいうより・発想の自由で・いろい ろあった方がよいし・それより何よ り・想ったということにあまりとら われて・こう想ったことは正しいこ とだなど言い切らないことが大切であろう。
想ったことは・理科では実証(実験観察等)によってはっぎり言い切れる。そして・実験は,
それなりの必然性があっておこなわれることになる。つまり・想うことが正しければ・(想うこ とが正しいとすれば)こういうことがおこるはず・ではやってみよう。やっぱり想ったとうりだ ということになろうo
ところで・子どもが・これは悪い・これはいいといって・選択するもとになっているものは何 か。子どもの受容部分に物理的に入れるものは・多数ある。にもかかわらず・受け入れるものは・
ごく少しである。
一51一
,
とすると・子どもは・体内で何か選択する力がはたらいて・これを選ぼうということで受容す る。この選択力というのは・どういうことでつくのであろうか。
もし・この選別力を教育で養うことができるなら・人間としてよいものだけ受容し・わるいこ とをするようなものは受容しないようにす九ばよいはず。ところで・私たちが・教育をするとい うことは・この選別力・選択力をつけているわけで・よいことをするものだけを受容するように しているともいえるo
こうして・考えてきたとき・子どもの問題解決力ということがどうしても問題となってくる。
そして・問題解決力をつけなくてはならないであろう。
で・問題解決する力をつけるには・問題解決の場を用意し・このくりかえしをすればよい。と すると・理科における問題解決とはどんなことか。
qどもが自然にはたらきかけ・自分の体験と関係づけることからはじめよう。ここでは・感覚 がはたらき・選択がはたらき・これがいい・これにしようという生命力がはたらいているはずで あるo
● 教師のはたらきかけ
■ 子ども
関係づける 一→意味づける ・行動する
自然 . 〉
受容 統合 転化
選択 結合 →汎化 転移
自然と子どもが対応し・ここにおこる現象を分栃してみれば,子どもは,何か目標があって, ノ これに価値づけをし・そして・知的体系化をはかろう。また・自分の思考のあり方(論理)に合
わす。こうしたことが生理的に結合された結果・その自然をとり入れるということであろう。
もし・その子に選択力がはたらかなかったら・物理的な刺激が・目から耳から,無数に入って しまうはずである。しかし・人はすべて入らない。とするなら・選択力がはたらいている。この 選択力・選別力をさらに強化し・人が人として・おたがいにどうふるまうかを自然を通して・ど
う教育するかが理科というものであろう。
このように考えてくると・「教師のはたらきかけ」と・「子どもの意識」を研究することによ り・よい理科援業とすることができよう。
●
?W 教師のはたらきかけと子どもの問題意識・予想・実証・答え
教師のはたらきかけが・子どもの体内にどのように入っていくのだろうか。
「 −52−一 ・
たとえば・「水の上部を熱したら下部に熱は伝 わるか。」と図のように試験管に水を入れアルコ
劉 熱は下部に り 一ルラソブも提示して・教師が発言し・子どもに 伝わるかo
るのではないかo」 「いや,伝わらないのではな いかo」 「ちょっと・おからないo」ともいうo
教師のはたらきかけ 子ども
伝わるだろう。
熱は下部に伝わるカ ● 伝わらないだろう。
受容 総合 転化
わからない。
ここには,問題意識としては, 「はっきりしたことは言えない。」といろことや, 「たしかめ ・
て調べたいo」ということがおくであろろ。そして, 「伝わる」とか「伝わらない」とか,はっ きり言い切るためには,「こんな現象を観察できればいいんだがなo」といらよちな意識がわく であろろo
「もし・伝わるとすれば・ろうをぬっておけば・ろうがとけるはず。」 「もし,伝おらないと すれば・ろうはとけないはず。」
やってみたい。調べてみたい。たしかめてみたい。つまり・実験観察という実証手段へ子ども の意識はむき・行動化して・「やっぱり・とけない。熱は伝わらないのかな。」 「あれ,とけな い。熱は伝おらない。」こうして意識は・感覚・思考・行動をともなって・自然を認識していく。
そして・「だけどp水は熱を伝えない,といっていいのかな。」 「水は熱を伝えにくいくらい にいっておいた方がいいのではないか。」とか・実験してたしかめてみても意識ははたらくoだ から・子どもは・「長い時問熱していたら・下部のろうもとけてくるよ。だから,熱は伝えにく い。」といった方がいいというような意識の流れがある。
こうした・子どもの意識の流れのとき・教師のはたらきかけにより・つまり, 「もし,みなさ
んのおかった・ 『水は熱を伝えにくい。』ということが正しければ・先生が試験管の下部を手で ・
もって・上部の水をふっとうもさせることできるはずですね。」といろことなどにより,子どもは,
自分の問題解決によりわかった自然認識・つまり・創造した知識の吟味考察がせまられる。 」
このような教師のはたらきかけにより・子どもは・実験をし・たしかに「水は熱を伝えにくい」
とわかった。しかし・こういわれると困るo 「いや・それは困る。」 「ふっとうさせることでき
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るかな。」 … 韓というように自分 の創造した認識に不安をもちはじめ 手でもって・水をふっ
琴一@ とうさせることができ る。そこで・教師が・実際にやって
a@るか みる.手でもってふっとうもできる。
S∋ 「やっぱり・水は熱を伝えにくい。」
手でもつ のだということで・認識は深められ
るo
このような,子どもの意識と教師のはたらきかけを大切にし・子どもの論理と教師の論理にく いちがいのないものとせねぽならないであろう。
ここには,当然,問題解決が形式をふんでいるだけで・子どもの主体性がはたらかないという ようなことは許されないはずである。子どもの意識は・子どもの主体性ぬきにはありえないから である。しかも・ひとりひとりの子どもの問題解決の学習が・クラス全員のもので・はじあて・
客観的論理的な自然認識が可能となろう。
ここには,子どもが・本当に自然を探究する姿があらわれているし・教師が順番をつくって・
子どもをその上にのせ・子どもは命令されるまま・いわれるままやるといったことはないはずで 血 ある。子どもが教師のお手伝をしたみたいな授業の姿はないはずである。子どもひとりひとりが・
自らしっかり問題をとらえ・主体的に解決している場が・教師のはたらきかけによって構成され ていなくてはならないであろう。
§9 授業における子ども研究のポイント
教師は子どもをよくするためにある。だから・教師の研究にはいろいろあっても・この研究で わすれてならないことは,子どもぬきでないことと・子どもをどのようによくするかの研究ぬき であってはならないはずである。
こうすれば,子どもがかならずよくなってしまうというものの開発発見が教師の研究のボイソ トともいえよう。つまり,子どもに・こういう行動をさせれば・かならずよくなってしまうとい う具体的「教師のはたらきかけ」の研究が求められる。
この教師のはたらきかけの具体的あり方は・子どものわかり方・よくなり方を研究した結果か ら論じられる。そして・教師の研究は・ 「子どもをどのようによくするか。」 「どのようにすれ ば,子どもがよくなってしまう助けができるか。」 「どういう行動をとらせれぽ・子どもがよく なってしまうか。」というようなことが中心となり・ 「子どもの意識」ということが問題となろ う。そして・教師の研究は・あくまでも子どもがよくなることが中心であるはずである。
ここで,子どもの研究といえば・外国ではどうかなどの比較研究もあろう。子どもはどうある べきかの哲学的研究もあろう。子どもは・過去にどういう教育のし方でという歴史的研究もあろ う。そして・現実に子どもをよくする授業・よくする教育方法の研究もあろう。しかし・これら は,みんな子どもをよくするための研究であるはず。
一54一
〆
そうすると・子どもをどう研究するかの研究のポイソトが求められる。どこに目をむけ研究す ればよいのかが求められる。 「子どもの意識」に目をむけれぽよいはずである。 「子どもの行動」
に目をむけれぱよいはずである。 「子どもの意識」つまり,「子どもの行動」ということで述べ ることにする。
とすれぽ・子どもの行動とは何か。どう分函したら研究しやすいか。
子どもの行動(意識)
子どもの体外
子ども の体内
受容 統合 転化 ●
エじる 考える 行う 感覚 . 思考 (表現する)
行動
子どもの行動(意識)は・ 「感じる。考える・行う」の3つに分けることができよう。 どう感 じさせ・考えさせ・行なわせれぽ・受容。統合・転化がうまくいくか。このあたりの具体的研究 を実際の授業で研廃すればよいのではなかろうか。
§10誰でもが教育の目的を達成する場をどうするか(授業則の研究)
すでに行った授業については「なぜ,あのよらな授業になったのか」を問い,すでに行った授 業について「説明」を求めるoまた,これからする授業については, 「こんどは,どんな授業と なるか」と問い・これからする授業について「予想」を求めるoなぜなら,すでに行った授業に ついて「説明」ができれば・ふたたびこのよちな授業とするための方法,ふたたびこのよちな授 業をしないための方法を見出すことがでぎるからであるoまた,これからする授業についての
「予測」ができれば,それに対処する行動,つまり「制御」することができるからである。
授業の実践において・ 「誰でも教育の目的を達成する場」とするためには,どうしても,授業 にっいての「説明・予測・制御」が求められるoつまり,授業の科学が求められる。
§10誰でもが教育の目的を達成する場の研究ポイソト o説明 「なぜあのよらな授業になったのかの説明」
。予測 「こんどはどんな授業になる渉の予測」 この3つの研究が求められるo o制御 「今度行う授業に,対処する行動,つまり制御」
授業の科学化のための説明・予測・制御の研究のポイソトとなるものは,目的・目標実現のため めの創造・効率・論理であろろo
私たち教師は,ずいぶん熱心に授業を行うoしかし,誰でもが教育の目的・目標を達成させる ことはできず, 「おちこぼれの子どもがでてしまち」,「相手が(子どもが)あたまがわるい」
といってしまえばそれだけのことoしかし,目標実現に対して,創造・効率・論理という立場か ら,教師のはたらきかけが,「適確な内容・方法でなかったのではないか」 「適時に内容・方法を を与えていなかったのではないか」 「適切な内容・方法ではなかったのではないか」といちこと の説明・予測・制御の研究をするならば,やはり,子ども(相手)があたまがわるいとかたずけら られない,、重要な教育研究の必然性があろろ。
子ども自身が,教師のはたらきかけによって,目標を意識し,次々と行動し,目標実現してい ってしまろ,場をどう構成するかによって,誰でもが教育の目的を達成できると考えざるをえな い。適確・適時・適切なヵリキュラムと同時に,創造・効率・論理による子どもの自主的主体的 場をどろするか。教材をどろ構造化するかといら, 「教材と場」の研究が求められる。
そして,この研究は,教師の自分勝手な判断によるドグマは絶対に否定されなくてはならぬ・
子どもに理想を与えて,子どもが自分で目標値をっくり,生きがいを感じ,問題を解決する場の 研究をせねばならぬ。教師の提示によって,子どもはどら受容したか。子どもは何をもとに統合
したか。何をもとに応用・転化したか。これらの具体的立場の研究が求められる。
つまり,子どものわかり方の研究をせねばならぬ。そして,子どものわかり方に即して,子ども のおかり方の内容・方法をとらえ,計画・実施・評価することによって,誰でもが教育の目的を
達成する場をつくることができると考える。
@この場は,子どもと教師の論理的統一はできているし,子どもの概念は形成されているし,次 から次への時系列がととのっている授業の場であるはず。ころした観点にたって,さらにこの研
究を進め,少しでも教育の前進に役立てばと考えている。 ゆ
〈主文献〉
・文部省小中高理科指導書・広島大学教授蛯谷米司著編集・文部省教科調査官武村重和著編書・拙 筆「理科授業則の研究(誰でもが教育の目的を達成する場をどうするか」の研究)・その他略o