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精神科外来機能強化に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

令和元年度厚生労働行政推進調査事業費補助金

(障害者政策総合研究事業)

地域精神保健医療福祉体制の機能強化を推進する政策研究

精神科外来機能強化に関する研究

―精神科在宅患者支援管理料を算定した患者のカルテ調査―

研究分担者:川副泰成(総合病院 国保旭中央病院)

研究協力者:萱間真美,瀬戸屋希(聖路加国際大学大学院 看護学研究科 精神看護学)

要旨

都内の単科精神科病院1施設において、20194月時点で精神科在宅患者支援管理料を算 定している全ケースの診療録調査を実施した。ケース数は43ケースで、全てのケースが患 者要件の「ハ」によって算定されていた。居住形態は、介護付き有料高齢者施設に居住して いる者が最も多く、主診断名は、F0「症状性を含む器質性精神障害」が最多であった。

81.4%が合併症を有していた。近年の、認知症の増加、精神障害者の高齢化に伴い、精神症 状を有する高齢者の精神科在宅診療のニーズが高まりつつある実態を反映しているものと推 察された。このようなケースには、精神科在宅患者支援管理料「ハ」による訪問診療を提供 することで、医療保護入院を回避できる可能性もあると考えられ、今後さらなる検証をして いく必要性が示唆された。

A.研究の背景と目的

平成30年度の診療報酬の改定では、患者 の状況に応じた評価を充実させるべく、「精 神科重症患者早期集中支援管理料」は廃止さ れ、新たに「精神科在宅患者支援管理料」

(以下、本管理料)が創設された。本管理料 は、従来の精神科重症患者早期集中支援管理 料の要件に近い「イ」「ロ」の他に、24時間 連絡体制の確保や、月に1回以上の保健所ま たは精神保健福祉センター等と共同して会議 を実施することを求められない「ハ」が設定 され、これにより精神科における訪問診療の 普及が期待されていた。本管理料は、新設さ れて間もないことから、どのような患者にど のような目的で適用されるのかについての調 査が行われていない。本調査は、本管理料を 算定した患者の概要および管理料算定に至る 経緯を明らかにすることを目的として実施す るパイロット調査であり、本管理料を積極的

に算定している単科精神科病院を対象として その算定状況を調査した。

B.方法 対象:

20195月に、調査に同意の得られた都内 の単科精神科病院1施設にて調査を行った。

20194月時点で、管理料を算定して支援 をしている全てのケースについて、診療録か ら患者情報の記載を行った。

調査内容:

性別、年齢、婚姻状況、世帯状況、経済状況 等、算定した管理料の類型、対象者の診断 名、精神科病床への入院歴、服薬管理状況、

処方内容、精神障害者保険福祉手帳の有無、

自立支援医療費(精神通院)申請の有無、対 象者の状況及び支援提供に至る経緯、機能の 全体的評価尺度(GAF : Global Assessment

(2)

of Functioning)

C.結果/進捗

1)管理料算定患者の概要

①患者の基本情報

ケース数は43ケースで、全てのケースが 患者要件の「ハ」によって算定されていた。

性別は、男性が15名、女性が28名であっ た。患者の年齢は80代以上が最も多く28 名であった(図1)。婚姻状況は既婚が12 で、未婚・離婚・死別が30名であった(図 2)。GAFの値は全ての患者で測定されてい なかった。

居住形態は、介護付き有料高齢者施設に居 住している者が最も多く32名であり、賃貸 住宅が6名、自宅が5名であった(図3) 経済状況は、老齢年金を受給している者が 最も多く31名で、生活保護および障害者年 金が4名、家族の収入で生活している者が3 名、無収入が1名であった(図4)

②患者の疾患

患者の主診断名は、F0「症状性を含む器 質性精神障害」が最も多く24名だった。次

いでF2「統合失調症、統合失調症型障害及

び妄想性障害」F3「気分(感情)障害」F4

「神経症性障害、ストレス関連障害及び身 体表現性障害」が多く、いずれも6 名であ った(図5)。主診断発症の年代は、80代が 最も多く13名であった(図6)

特に主診断がF0「症状性を含む器質性精 神障害」だった者の副診断については、F2

「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想 性障害」が最も多く9名であった。次いで F0「症状性を含む器質性精神障害」F3「気 分(感情)障害」が5名、F4「神経症性障 害、ストレス関連障害及び身体表現性障害」

が2名、F1「精神作用物質使用による精神 及び行動の障害」F7「知的障害〈精神遅滞〉 が1名、その他が4名であった(図7)

身体合併症を有する患者は35名であった

(図8)。身体合併症の種類は、循環器疾患 が最も多く15名、神経系疾患が11名、内分 泌・代謝疾患が10名であった。次いで消化 器疾患と筋骨格系疾患が8名、呼吸器系疾患 2名、新生物と皮膚疾患が1名であった

(図9)

2)その他

精神科への入院経験のある患者は16名で あった(図10)。患者の服薬管理状況は、ス タッフ管理が最も多く21名であり、次いで 自己管理が9名であった(図11)。精神障害 者保健福祉手帳を有する患者は6名であっ た。また、自立支援医療費(精神通院)は 38名が申請済みであった。なお、訪問時の 交通手段は全ての患者が車であり、費用負担 者は訪問施設(病院)であった。

3)管理料算定の経緯

本管理料を活用しているケースとして、高 齢者施設で認知症の周辺症状のあるケース や、介護抵抗のある方へ精神科医が本制度を 算定して往診し、薬剤調整をするケースが最 も多く見られた。その他、定期的な通院が困 難なケースへの往診や、近隣の訪問看護ステ ーションから精神症状があるが治療につなが っていないとして相談があったケース、身体 合併症があり退院が困難であるが、地域での 単身生活を強く希望しているケースにも活用 されていた。

D.考察

今回の調査では、調査対象となった全ての 患者に本管理料の「ハ」が算定されていた。

多くは認知症の高齢者であり、身体合併症を 有する割合が高いことが特徴であった。従来 精神科アウトリーチ支援は、統合失調症をは じめとする重症精神障害者への支援提供のあ り方が検討されることが多かった。しかし近 年では、認知症の増加、精神障害者の高齢化 に伴い、精神症状を有する高齢者の精神科在

56

(3)

宅診療のニーズが高まってきているものと推 察される。施設に入所中あるいは在宅療養中 の高齢者が認知症の周辺症状を呈したり、著 しい介護抵抗、精神運動興奮等が認められる 場合、精神科外来への受診は困難であり、訪 問による精神医療の提供が望まれる。往診や 訪問診療が受けられない場合、精神科病院に 医療保護入院とならざるを得ない場合も多い ものと考えられ、このような事例は、本管理 料の「ハ」のよい適応であるといえる。本管 理料「ハ」を適切に活用することにより、従 来であればやむを得ず医療保護入院となって いたケースであっても、在宅や施設での精神 症状への対応ができるようになることも期待 できると思われた。しかしながら、本管理料

「ハ」は、その運用実態や効果の検証をされ

ることなく、令和2年度の診療報酬改定によ り、新設から2年で廃止が決定された。来年 度以降は、本管理料「ハ」の廃止による影響 も含め、精神障害にも対応した地域包括ケア を推進するうえで重要な検討課題である精神 科在宅医療のあり方につき、実態調査を基に 検討していく。

E.健康危険情報 なし

F.研究発表 なし

G.知的財産権の出願・登録状況 なし

(4)

介護付き有 料高齢者施

設, 32 賃貸:集合,

6 自宅, 5

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 人数

世帯状況

図3 患者の世帯状況

40代, 150代, 2 60代, 6 70代, 6 80代以上,

28

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 人数

年齢

図1 患者の年齢

31

4 4

3

1

3

0 5 10 15 20 25 30 35

老齢年金 生活保護 障害者年金 家族の収入 無収入 不明

図4 経済状況(複数回答)

既婚, 12 未婚・離 婚・死

別, 30 不明, 1

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

図2 婚姻状況

既婚 未婚・離婚・死別 不明

介護付き有 料高齢者施 設, 32 賃貸:集合,

6 自宅, 5

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 人数

世帯状況

図3 患者の世帯状況

40代, 150代, 2 60代, 6 70代, 6 80代以上,

28

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 人数

年齢

図1 患者の年齢

31

4 4

3

1

3

0 5 10 15 20 25 30 35

老齢年金 生活保護 障害者年金 家族の収入 無収入 不明

図4 経済状況(複数回答)

既婚, 12 未婚・離 婚・死 別, 30 不明, 1

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

図2 婚姻状況

既婚 未婚・離婚・死別 不明

介護付き有 料高齢者施 設, 32 賃貸:集合,

6 自宅, 5

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 人数

世帯状況

図3 患者の世帯状況

40代, 150代, 2 60代, 6 70代, 6 80代以上,

28

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 人数

年齢

図1 患者の年齢

31

4 4

3

1

3

0 5 10 15 20 25 30 35

老齢年金 生活保護 障害者年金 家族の収入 無収入 不明

図4 経済状況(複数回答)

既婚, 12 未婚・離 婚・死 別, 30 不明, 1

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

図2 婚姻状況

既婚 未婚・離婚・死別 不明

58

(5)

介護付き有 料高齢者施

, 32 賃貸:集合,

6 自宅, 5

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 人数

世帯状況

図3 患者の世帯状況

40, 150代, 2 60代, 6 70代, 6 80代以上,

28

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 人数

年齢

図1 患者の年齢

31

4 4

3

1

3

0 5 10 15 20 25 30 35

老齢年金 生活保護 障害者年金 家族の収入 無収入 不明

図4 経済状況(複数回答)

既婚, 12 未婚・離

婚・死 別, 30 不明, 1

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

図2 婚姻状況

既婚 未婚・離婚・死別 不明

9

5 5

2

1 1

4 4

2 3 4 5 6 7 8 9 10

図7 主診断がF0だった者の副診断

F0, 24 F2, 6 F3, 6 F4, 6 F6, 1

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

図5 主診断

10代以下, 7 20代, 3 30代, 1 50代, 2 60代, 1 70代, 6 80代, 13 不明, 10

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

図6 主診断の発症年代

10代以下 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代 不明

59

(6)

9

5 5

2

1 1

4 4

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

F2 F0 F3 F4 F1 F7 その他 なし

図7 主診断がF0だった者の副診断

F0, 24 F2, 6 F3, 6 F4, 6 F6, 1

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

図5 主診断

10代以下, 7 20代, 3 30代, 1 50代, 2 60代, 1 70代, 6 80代, 13 不明, 10

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

図6 主診断の発症年代

10代以下 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代 不明

15

11

10

8 8

2

1 1

11

0 2 4 6 8 10 12 14 16

図9 身体合併症の種類

あり, 35 なし, 6 不明, 2

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

図8 身体合併症の有無

60

(7)

15

11

10

8 8

2

1 1

11

0 2 4 6 8 10 12 14 16

図9 身体合併症の種類

あり, 35 なし, 6 不明, 2

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

図8 身体合併症の有無

あり, 16 なし, 27

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

図10 精神科の入院の有無

スタッフ管理, 21 自己管理, 9

不明, 9 その他, 3 処方なし, 1

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

図11 服薬管理状況

スタッフ管理 自己管理 不明 その他 処方なし あり, 16

なし, 27

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

10 精神科の入院の有無

スタッフ管理, 21 自己管理, 9

不明, 9 その他, 3 処方なし, 1

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

11 服薬管理状況

スタッフ管理 自己管理 不明 その他 処方なし

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