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地域外からの頻繁な訪問に必要な地域の要素

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山形県立米沢女子短期大学

『生活文化研究所報告』

第48号 抜刷 2021年3月

Regional Elements Needed for Frequent Visits from Outside the Region

西川 友子・成田 未帆

NISHIKAWA Tomoko and NARITA Miho

(2)

地域外からの頻繁な訪問に必要な地域の要素

Regional Elements Needed for Frequent Visits from Outside the Region

西川 友子・成田 未帆

NISHIKAWA Tomoko and NARITA Miho

要 旨

 現代の日本は数多くの問題を抱えているが、その中の一つに地方での人口減少・地方からの人口流出が 挙げられる。人口減少・人口流出により生まれる地方の問題を解決する1つの考え方として、「関係人口」

を増やす取り組みがある。関係人口という言葉が指し示す人々は、地域へのかかわりの度合いに応じて段 階分けがなされている。本研究では、関係人口の複数ある段階の中でも「頻繁な訪問」に着目して、都市 部の人が頻繁に訪れる地域に共通する要素を明らかにするため、関係人口創出の取り組みを行っている団 体の運営者と参加者に対して聞き取り調査を行った。参加者たちに共通する要素として、「魅力的なリー ダーとの出会い」「魅力的な同世代との出会い」が浮かび上がった。また、団体の運営者たちにとっては、

運営者自身が理想とする魅力的な人が地域内に存在していることが必要であることが分かった。地域内に 存在する魅力的な人の掘り起こしや支援、地域外へのメディア発信を長期的に行う団体を設立し、関係人 口を増やす取り組みの枠組の中に加えることで、関係人口を増やす取り組みがより循環していくだろう。

キーワード:関係人口、頻繁な訪問、地域、地域外、団体運営者、団体参加者

1 はじめに

現在の日本の地方では、様々な問題を抱えている。中でも、人口減少・人口流出という課題は、早急に 解決すべき課題の一つであると言える。国土交通省「平成26年度国土交通白書」(2014)によると、人口 減少が進行した場合に想定される地方のまち・生活への具体的な影響には「(1)生活関連サービス(小売・

飲食・娯楽・医療機関等)の縮小、(2)税収減による行政サービス水準の低下、(3)地域公共交通の撤退・

縮小、(4)空き家、空き店舗、工場跡地、耕作放棄地等の増加、(5)地域コミュニティの機能低下などが ある」と述べている。これらの影響は、その場所に住む人達の生活を脅かすことに直結している。

地域から人口が流出する状態の改善のために、これまでも主に行政が取り組みを行っている。山形県で は若者が県内で就学し、その後若者の地元定着を図る役割が県内の高等教育機関に期待されているため、

県内高校生を対象とした「地元大学進学促進セミナー」を実施している。他にも、地元大学の教育内容や 進路情報などの情報提供を行い、地元大学への進学支援を行っている(山形県総務部 学事文書課・山形 県教育庁 高校教育課,2019)。「地元大学進学推進セミナー」は2015年度から開催されているが、人口増 減のデータ上には変化が見られず、人口は毎年流出し続けている。山形県企画振興部統計企画課「山形 県の人口と世帯数(推計)」によると、セミナーが始まった年の2015年(平成27年)4月1日現在の人口 は1

,

122

,

986人となっており、2019年(平成31年)4月1日現在の人口は1

,

081

,

285人であった。2015年か ら2019年までのデータからは、約40

,

000人の人口減少が数値から読み取れ、セミナー実施の効果が数値か らは読み取ることができない。また、社会動態でみると、2015年(平成27年)は3,061人の減少であった が、2019年(平成31年)は3

,

277人の減少であり、死亡と出生を除いた人口増減の数値からも、県内から の人口流出に歯止めがかかっているとは言えない(山形県企画振興部統計企画課,2015,2019)。人口流 出を食い止めようとする対策のほかにも、県外からの流入を増やす取り組みも行われている。山形県では、

(3)

他地域から山形県へ移住し、就業した人へ最大100万円の支援金を支給する事業も行っている(山形県移 住・定住推進課,2019)。しかし、この取り組みにおける効果もデータ上の数値からは読み取ることがで きないのが現状である。

人口流出・人口流入に対する取り組みは、山形県だけの取り組みだけでなく、全国の各都道府県で行わ れている。しかしながら地方自治体は、若者の就職・進学を理由とした地方自治体外への人口流出を止め ることができていない状態にある。同様に、地方自治体は自治体外からの人口流入により自治体内の人口 を増やそうとする取り組みも難航している。しかし、山形県での取り組みからもわかるように、県内へ残 ることや他県からの移住は、生活圏をその場所に限定してしまう取り組みであるため、成功させることは 簡単ではない。そのため、今地方にいる人をいかにその場から流出させないようにすることや、地域外の 人をいかに定住させるかを狙った取り組みだけでは、地方の人口流出を食い止めることは難しいのだろう。

今後の地域のあり方について、田中(2017)は「たとえ住んでいなくても地域を元気にしたいと思っ て実際に地域を応援し、関わる仲間が増えれば、地域は元気になる。」(

p.

7)と述べている。そして近年、

地域にかかわる人を指す言葉として、「関係人口」という言葉が使われている。「関係人口」という言葉は、

雑誌「ソトコト」編集長の指出一正氏と、「東北食べる通信」編集長の高橋博之氏によって使われはじめ た言葉である。指出(2016)によると、「地方の課題は、人口減に歯止めをかけることではない。そこに いち早く気づいた地域が、真っ先に取り組んでいるのが『関係人口』を増やすことです。」(

p.

219)と述 べている。さらに、指出(2016)は「関係人口とは、言葉のとおり『地域に関わってくれる人口』のこと。

自分のお気に入りの地域に週末ごとに通ってくれたり、頻繁に通わなくても何らかの形でその地域を応援 してくれるような人たち。」(

p.

219)と意味づけている。同様に高橋(2016)は、関係人口について以下 のように述べている。

 地方自治体は、いずこも人口減少に歯止めをかけるのにやっきだが、相変わらず観光か定住促進し か言わない。しかし観光は一過性で地域の底力にはつながらないし、定住はハードルが高い。私はそ の間を狙えと常々言っている。観光でも定住でもなく、「逆参勤交代」で地方を定期的に訪ねるとい うニーズは、広がる一方だと思う。交流人口と定住人口の間に眠る「関係人口」を掘り起こすのだ。

日本人自体がどんどん減っていくのだから、定住人口を劇的に増やすのは至難の技だ。しかし関係人 口なら増やすことができる。(

p.

107)

さらに小田切(2017)は、関係人口という言葉が指し示す人を、「①地域の特産品購入→②地域への寄 付→③頻繁な訪問(リピーター)→④地域でのボランティア活動→⑤準定住(年間のうち一定期間住む、

二地域居住)→⑥移住・定住」というように、かかわりの度合いに応じて段階分けすることができると指 摘した。このような主張を踏まえると、定住促進や観光、地方からの流出阻止に頼るだけではなく、「地 域にかかわってくれる人」を増やすことで、地方からの人口流出により生まれる課題に対しての解決の糸 口が見つかるのではないだろうか。

「地域にかかわってくれる人」つまり関係人口の中で、小田切(2017)が示した段階分けのうち③の頻 繁な訪問(リピーター)に至る人々は、定住している場所がありながらも、その場所以外へ定期的に足を 運んでいる人々のことである。そこで本研究では、③の頻繁な訪問(リピーター)に該当する人々に着目 し、「なぜ人は、定住拠点があるにもかかわらず、第二第三の場所を見つけ、何度も足を運ぶのか」「都市 部から人が訪れる地域にはどのような要素があるのか」を問いに設定し、関係人口創出の取り組みを行う 団体の運営者とその取り組みの参加者に聞き取り調査を行った。本稿では聞き取り調査の分析結果を報告 する。なお、本稿の構成は次のとおりである。第2章に調査方法について述べる。そして第3章に結果を 示す。なお考察は第4章で行う。

(4)

2 方法

2. 1 調査地及び関係人口創出の取り組みの概要

関係人口創出の取り組みを行っている2地域(山形県米沢市・秋田県鹿角市)を調査地として選定した。

そして、調査地内から関係人口創出の取り組みをそれぞれ1つ選定した。以下に調査地及び関係人口創出 の取り組みの概要を示す。

2. 1. 1 山形県米沢市

米沢市役所企画調整部総合政策課(2020a)によると、山形県米沢市は山形県の最南端に位置し、福島 県と県境を接している。人口は令和2年4月1日時点で79

,

351人である(米沢市役所企画調整部総合政策 課,2020

b

)。

山形県米沢市での関係人口創出の取り組みは、「渡米プロジェクト」というものである。この取り組み は行政の取り組みではなく、山形県米沢市出身の大学生(取り組み立ち上げ当時)が企画を発案し、山形 県米沢市の地元大学生と地元住民とが協力して活動している。首都圏在住の学生と米沢市在住の学生、地 域の人を巻き込んで一緒に活動することで、「『人』とゆるやかに繋がっていくプロジェクト」である(米 沢市役所,2020,

p.

11)。2018年の2月に第一回をスタートさせてから、これまで17回のツアーが行われ、

延べ120人を超える山形県外の学生が米沢を訪れている(米沢市役所,2020,

p.

11)。市内外に若い世代の 米沢ファンを増やしつつ、地元住民との交流を深めながら、首都圏では体験できないことをする取り組み である。これまでに実施された活動としては、地域のお祭りやイベントへの参加・運営のお手伝い、地元 大学生と地域住民とのイルミネーションオブジェ作り、地域住民協力のもとの農作業体験、山形県米沢市 の抱える課題の解決に向けたワークショップの開催、首都圏在住の学生と米沢市在住の学生と地域住民の 交流会などがある。

2. 1. 2 秋田県鹿角市

秋田県鹿角市は秋田県の最北端に位置し、青森県および岩手県と県境を接している。人口は令和2年4 月30日時点で、30,157人である(鹿角市役所,2020)。

秋田県鹿角市での関係人口創出の取り組みは、「鹿角家(読み方:かづのけ)」と呼ばれるものである。

この取り組みは、鹿角市総務部政策企画課鹿角ライフ促進班、

NPO

法人かづの

classy

、鹿角家親戚会議(移 住促進協議会会員:商工会、建築関係、農家、事業主などから構成)で構成されるメンバーで運営されて いる(総務省,2018)。また、この「鹿角家」は総務省の実施する「関係人口創出・拡大事業」のモデル 事業に採択されている(総務省,2018)。鹿角市総務部政策企画課鹿角ライフ促進班(2018)によると、「鹿 角家」は「鹿角に積極的かつ主体的に関わりたい人を家族に見立て、家族と関わってほしい人を繋ぐ交流 の場」である。鹿角に「Uターンは出来ないけど、生まれ故郷の鹿角が好き」な人、「移住はできないけれど、

鹿角を応援したい」人や、「鹿角を第二の田舎にしたい」人、「鹿角に行けないけど、鹿角の魅力を広めたい」

人など、「『鹿角』を想い、力を貸してくれる」人同士を繋いでいく取り組みである(鹿角市総務部政策企 画課鹿角ライフ促進班,2018)。「鹿角家」は「離れていても繋がり、支えあう。それは、家族のような絆」

(鹿角市総務部政策企画課鹿角ライフ促進班,2018)をコンセプトとして掲げている。これまでの活動内 容としては、「家族会議」と称して、首都圏での参加者同士のかかわりを深める交流イベントの開催や、「実 家暮らし体験ツアー」と称して、鹿角の暮らしを体験するツアーを運営している(鹿角市総務部政策企画 課鹿角ライフ促進班,2018)。

2. 2 調査対象者

関係人口創出の取り組みを行っている団体の運営者と、その団体が企画するイベントの参加者を調査対 象者とした。表1に山形県米沢市における調査対象者の概要を示す。表2に秋田県鹿角市における調査対

(5)

象者の概要を示す。

表1 山形県米沢市における調査対象者の概要

調査対象者 区分 聞き取り調査実施方法 性別 年齢 居住地

①TTさん

RK

さん

TK

さん

団体運営者 参加者 参加者

対面

オンライン(

zoom

オンライン(

zoom

男性 女性 男性

20代 20代 20代

山形県米沢市 東京都多摩市 東京都大田区

表2 秋田県鹿角市における調査対象者の概要

調査対象者 区分 聞き取り調査実施方法 性別 年齢 居住地

TM

さん

TM

さん

団体運営者 参加者

対面

オンライン(

zoom

男性 男性

30代 30代

秋田県鹿角市 東京都

2. 3 調査方法

5名の調査対象者に聞き取り調査を行った。調査は2020年10月から12月の間に実施した。なお、都市部 在住の一部調査対象者については、オンライン(

zoom

)により聞き取り調査を行った。1人あたりの調 査時間は30分から1時間弱であった。

2. 4 データ分析

本研究では、聞き取り調査で得たデータを

SCAT

Steps for Coding and Theorization

)(大谷,2007

;

大谷,

2011; 大谷,2019,pp.269-368)を用いて質的データ分析を行った。

3 結果

3. 1 山形県米沢市での調査の結果

3. 1. 1 調査対象者①団体運営者TTさんの結果

調査対象者①団体運営者

TT

さんとのインタビューの

SCAT

による分析結果を表3に示す。調査対象者は、

山形県米沢市出身の20代男性である。活動を立ち上げたのは都市部の大学に通っていた頃である。高校時 代の取り組みから、地元での活動を始めたいという思いが生まれる。その結果、生まれ故郷米沢の地域づ くりに対する湧き出る使命感を抱くようになった。地域での活動を行う中で、自分の理想の活動を思い描 きながらも、参加者の思いを取り入れた企画を発案し実行している。活動を継続させていく中で、理想の 実現に向けた企画の立案と実行並びに未来を見据えた調整を行っている。その結果、一度活動に参加した 都市部の学生が何度も活動に参加し、都市部と地方とのかかわりの種を持つようになった。つまり、都市 部からの参加学生が都市部と地方のかかわりの種を持つようになったのは、運営者である調査対象者の存 在のおかげである。調査対象者は参加者目線の企画運営を行っていく際に、地域活動に詳しい地域住民か らの提示を取り入れている。都市部と地方とのかかわりの中で過ごす濃密な時間が切り出された感動の瞬 間を作り出す可能性がある。そして心に響く瞬間の連鎖が認識できる世界の拡大をもたらすことがある。

個性的な参加者たちが場に集い、深まる相互理解が行われることで、「参加者」と「主催者」と「地域」

の関係性の変化がみられる。

3. 1. 2 調査対象者②参加者RKさんの結果

調査対象者②参加者RKさんとのインタビューのSCATによる分析結果を表4に示す。調査対象者は東京

(6)

都多摩市出身で、都内の大学に通う20代女性である。調査対象者は、田舎で非日常を体験することに興味 があった。そのような中、大学のプログラムで調査対象者①団体運営者

TT

さんとの出会いをきっかけに、

山形県米沢市に足を運ぶことになった。調査対象者は山形県米沢市で自由を謳歌した結果、山形県米沢市 の魅力に気が付き、リピーターとなる。昨今の新型コロナウィルスの流行に伴い、行動範囲の制限が課さ れると、調査対象者は自分の居住地以外の場所に足を運ぶことが困難になり、趣味の自粛を強いられる。

調査対象者は、都市部育ちであり、地方や田舎へのつながりが持てない状況であったため、地方や田舎へ のつながり不足が地方や田舎への憧れにつながるのだと考えられる。活動への参加の起点はリーダーであ る調査対象者①団体運営者TTさんとの出会いであり、魅力あるリーダーの存在がプロジェクトへの参加 意欲に大きな影響を与えている。山形県米沢市にて、活動に参加する地元大学生らとの出会いを経験し、

度重なる来訪が行われることで、仲間とのつながりの保持が可能となる。活動への参加が記憶に残る感動 として残り、成功体験の獲得につながった。首都圏在住の調査対象者にとっては、経験したことのない寒 さが、雪国での衝撃的な経験として記憶に残っている。調査対象者の他地域での活動経験は、他地域と山 形県米沢市との違いの自覚を促し、この場所だから頑張れる思いを抱かせる要因となる。調査対象者にと って、渡米プロジェクトのメンバーや山形県米沢市の地域住民は他者を受け入れる寛容な姿勢を持つ人々 だという認識から、渡米プロジェクトや米沢は自分自身の素をさらけ出せる場であり、また主体的行動の 理解を得られる場だという認識を持つようになった。都市部在住の調査対象者が感じた都市部と雪国との ギャップによるショックは、都市部居住者の非日常をより際立たせている。活動の参加者の中から、自分 のよき理解者と出会い、その結果、山形県米沢市は調査対象者にとって心の拠り所であり、かつ活力を蓄 える場所となっている。この場で自分以外の都市部からの参加者と、地域住民、地元大学生と多種多様な 内容の会話を繰り返すことで自己理解と他者への受容が進んでいる。調査対象者にとって、渡米プロジェ クトの活動は、特別な関わりに基づく優越感を抱かせ、かつ憩いの場でもある。活動に参加すればするほ ど山形県米沢市への再訪の切望が増し、仲間との再会への熱望も有するに至っている。

3. 1. 3 調査対象者③参加者TKさんの結果

調査対象者③参加者TKさんとのインタビューのSCATによる分析結果を表5に示す。調査対象者は、東 京都大田区出身で、首都圏の大学に通う20代男性である。幼少期から今に至るまで東京都大田区で生活し ている。また、両親の実家も都市部にあるため、調査対象者は地方とのかかわりがないことから田舎への 憧れを抱くに至り、田舎や地方への憧れを胸に募らせながらも、自分の地元を大切にする思いも持ち合わ せている。調査対象者は、山形県米沢市を紹介してくれた人物とは、共通の友人を介して知り合う。調査 対象者に山形県米沢市を紹介した人物は、調査対象者から見て憧れであり、魅力的な同年代であった。調 査対象者は同年代の魅力的な仲間の存在に目が留まり、都会から離れ非日常を味わう場所を知るところと なる。山形県米沢市と初めて接触したのは、「都会」の中で「地方」を体験できるイベントであった。そ のイベントに参加した際に、調査対象者は、調査対象者①団体運営者

TT

さんや、渡米プロジェクトに参 加する山形県米沢市の大学生たちとの出会いを果たした。再び山形県米沢市を訪れる際には、調査対象者 は自分1人で来るのではなく、自分の友人を連れて訪れた。調査対象者は、自分が山形県米沢市とかかわ りを持ったことだけにとどまらず、これまで山形県米沢市と関係を持っていなかった人物をも結び付けた。

この場合、調査対象者は、山形県米沢市と他者を結ぶ橋渡しをしており、つながりの連鎖の源泉となって いる。調査対象者にとって山形県米沢市は日常の生活拠点外の場所であり、山形県米沢市を訪れた際には 胸に響く手厚い歓迎と度重なる応援を授ける。調査対象者は、プロスポーツの世界の構成員を目指し、ス ポーツチームで働くことを目標にしているが、山形県米沢市と出会ったことにより、山形県のスポーツチ ームで働くことも選択肢の一つとなった。このように、これまで知らなかった場所とかかわりを持つこと で、当人の職業選択の幅を広げる可能性がある。

(7)

表3 山形県米沢市における調査対象者①団体運営者TTさんとのインタビューのSCATによる分析結果 番号発話者テクスト〈1〉テクスト中の 注目すべき語句〈2〉テクスト中の 語句の言いかえ

〈3〉左を説明す るようなテクス ト外の概念

〈4〉テーマ・ 構成概念〈5〉疑問・課題 1聞き手まあ、これまで、話したことは置いといて、普通にTTさん が、普通にてか、フランクに、教えてもらえれば。 Aさんから、ちらっと聞いたりすると、イベントでTTさ んと会ってみたいな感じで、Aさんは言うじゃないですか、 それが全てかも全てじゃないかもわからないし、それは私 にはわからないから、張本人のTTさんは、どういうこと思

ってたのかなってのが聞ければいいかなって思ってるんす けど。

2TTさんんーとね、俺はまちづくりとかは、全然興味なかったん だけど、受験するときにたまたま、うちの大学が、AOで、 学生を募集してて、うちの高校の先生と、うちの学部長が 仲良かったから、お前の学校から一人とるよ、って言って くれて、んで、俺は受けて、ん、まあ、試験はあったけど、 ちゃんと試験を突破して、試験が、米沢をどうするかって いうテーマだったから、普通に、AOだから、受験勉強は してなかったけど、米沢のことどうするっての全部地域回 って、ここはこうで、みたいなのそん時は全部聞いて、こ ういうこともあるんだなって、思いながら、大学に行って。 俺はいい意味でばかだったから、なんかやんないといけな いんだろうなってずっと思ってて、山形に関わる活動して て、先輩と出会って、Aさんと出会って、Aさんに学生連 れていきたいんだって言ったのが最初かな。

まちづくり/全然興味なか った/米沢をどうするか/ なんかやんないといけない んだろうな/山形に関わる 活動/学生連れていきたい んだ

地域づくり/関心がな い/出身地の今後につ いて考える活動/地元 の今後を考える活動/ 何か活動をしなければ ならないという使命感 /地域づくりへの参加 の必要性/出身県に関 わる活動/学生の呼び 込み/学生の呼び寄せ /友達を連れた帰省 出発点と通過点 /湧き出てきた 地元の地域づく りへの使命感

生まれ故郷の地 域づくりに対す る湧き出る使命 感 大学進学のために、高校時 代に

やったことが、「何か

やらなきゃ」というような 使命感を生み出しているの か?

3聞き手その時はこういうことやりたいが明確にある感じでもなく、 っていう感じだったんですか? 4TTさんいや、やりたいことはあったんだけど、普通に今のかたち じゃなくて、これまでやってきたかたちじゃなくて、ワー クショップとかして、課題を解決する、ってのをやりたか った。

やりたいことはあった/今 のかたち/これまでやって きたかたち/ワークショッ プ/課題を解決する ワークショップの実施 /課題解決の実行 理想に向けての 実行 理想の追求への 意欲

なぜ、課題を解決すること を、都市部から来た人たち とやろうとしていたのか? 地元の課題は地元の人が当 事者なのだから、当事者が 一番理解していそうなのに、 地元住民や米沢市内の大学 生とやるのではなく、都市 部から参加した人とやろう としていたのか?

5聞き手なんか、それが何をきっかけに、私がこれまで参加させて もらってた活動内容になってったんですか。 6TTさん最初は、一緒に企画する人集めたんだけど、みんなまじめ だから、何のためにやんの?とか、なんで東京からわざわ ざ米沢まで行ってなんかそれやんないといけないの?って 言いだして、ああ難しいなって思って、俺はただ連れて行 きたかっただけだから、まあ、答えらんなくて。俺のゴー ルは連れてくることだったから、連れてけばいいやって、

一緒に企画する人集めた/ みんなまじめ/何のために やんの?/なんで東京から わざわざ米沢まで行ってな んかそれやんないといけな いの?/ただ連れて行きた 企画メンバーの勧誘/ コアメンバー/仲間の 勧誘/企画の実行性の 確認/最終目的の設定 /参加者/企画の定番 化/企画の安定化 企画実施に向け た参加者の勧誘 /企画の最終目 的とその実現可 能性/持続性の 高い企画 理想の実現に向 けた企画の立案 と実行 自分の理想を実現するため に参加者を変えるのではな く、なぜ、イベントの内容 の変更の方向に進んだの か?

(8)

連れてきて、んでだから後は、参加してくれた人がまた行 きたいって言ってくれたから、だからあの形で落ち着いた って感じかな。

かった/俺のゴールは連れ てくることだった/参加し てくれた人/また行きたい って言ってくれたから、だ からあの形で落ち着いた

7聞き手じゃあ特に、TTさんがああいう形でやりたかったわけでは ないんですか。 8TTさんまあ、今だったらやりたいけど、あんときはそういう活動 として、言ってもさ、俺が友達呼んできて、俺がこっちの 友達と会って、遊んでるだけだからさ、まあそれが、なん だろ、まあ、それがやりたかったのかもしれないけど、で も、周りの人たちみんな意識高いから、ただ、遊びに、米 沢まで2万も払って行く意味は分かんないって。俺だって 東京から2万払って知らないやつの地元行って、何が楽し いんだって。だから俺はあんまり人のところ行かないんだ けど、俺が連れてきて、一緒に来てくれた人は、そういう のが好きで、好きだったから、ま、また来るよって言って くれたのが最初かな。

俺が友達呼んできて、俺が こっちの友達と会って、遊 んでるだけだから/それが やりたかったのかもしれな い/周りの人たちみんな意 識高い/知らないやつの地 元行って、何が楽しいんだ って/俺はあんまり人のと ころ行かない/俺が連れて きて、一緒に来てくれた人 は、そういうのが好きで、

好きだったから、ま、また 来るよって言ってくれた 都市部の友達と米沢の 友達との交流/会食/ 歓談/理想の追求/理 想の断念/自分と周囲 との考え方のギャップ /共感できない/活動 範囲の限定/仲間の獲 得/共感/リピーター /再訪の約束

都市部と地方の 人の交流/理想 と現実のギャッ プ/関係の構築 理想と現実のは ざまで獲得した 都市部と地方と のかかわりの種 自分の地元に進学先の友達 を呼んでくることで、自分 の中での心境の変化はなに かあったのか?

9聞き手それが、これまで、大体10回以上続けてきたわけじゃな いですか、それはみんなのまた行きたいの声で続けてきた 感じですか? 10TTさんうん、また行きたい、かな。あとはいつ来るの?っていう ところかな。また行きたい/いつ来るの再訪/日程の調整 次の展開への準 備 未来を見据えた 調整

「いつ来るの?」を調整する 上で気をつけていたことは? 11聞き手いろいろあるじゃないですか、活動、たとえば、イベント 竹あかりみたいに参加してもらったりとか、上杉の合戦に きてもらったりとか、あとピザパーティーとかもしてたじ ゃないですか、なんかそういう活動にこういうコンテンツ を準備しようっていうのはTTさんのなかで、こだわりじゃ ないですけど、一個TTさんのなかで芯というかぶれない軸 みたいなのってあったりします? 12TTさんいや、みんながやりたいことをやるっていうのは軸だった けど、俺の中ではどれも知らないから、米沢のこと。Aさ んにこの日なにありますか?って聞いて、これあるから一 緒に出よ、って言われて、って感じ。

みんながやりたいことをや るっていうのは軸だった/ どれも知らない/

Aさん/ 一緒に出よ

イベントの企画/明確 な意図/知識不足/地 域住民/誘い/誘い文 句 参加者の満足度 の追求/地域に 対する理解不足 /地域活動への 参加 参加者目線の企 画運営/地域活 動に詳しい地域 住民からの提示 地域の人と都市部からの参加 者とが参加するイベントを行 っていく中で

、新たに出てき た理想「こんなことやりたい」 は何かあったりしたのか? 13聞き手じゃあ、みんなのこれやりたい、と、Aさんの米沢でその 時なにあるか、で活動の内容組んでたって感じなんですね。 なるほどなるほど。 14聞き手何が一番印象に残っていますか?いろいろ楽しことあった と思うんですけど。 15TTさん最初の時の初日の夜に、向こうから来てくれた友達と、A さんと、お酒飲んだ。

最初の時の初日の夜/向こ うから来てくれた友達/

A さん/お酒

初会合/都市部の友達 /地域住民/会食/交 流/語らい 都市部と地方の 人の交流 都市部と地方と のかかわりの中 で過ごす濃密な 時間 自分の地元に進学先の友達 を呼んできたかったのは、

分の地元の人と会わせたか ったからなのではないか?

(9)

そのような思いがあったか ら、涙を流すほどの感動に なったのではないか。

16聞き手

やっぱ最初っていうことでずっと思い出に残ってたってこ とですか?

17TTさんシンプルに一番何でもないけど、一番感動した。卒業式と かで泣くのは、まあ、当然とは言わないけど、俺は涙もろ いし、感情的になるから、ぜんぜんあるけど。俺はお酒飲 んでるの見てるだけで感動するってないから、ずっとその 景色を見たかったから、印象には残ってるかな。

シンプル/一番何でもない /一番感動/涙もろい/感 情的になる/お酒飲んでる のを見るだけで感動するっ てない/ずっとその景色を 見たかった 単純/分かりやすい/ ありふれた日常/何で もない日/これまでに ない感動/感極まる出 来事/涙腺が緩い/泣 き虫/共感/継続/永 遠 平凡の中から生 まれる感動/心 の風景の切り取 り/感動の切り 取り 切り出された感 動の瞬間/心に 響く瞬間の連鎖

最初に企画した時にずっと その景色を見たい、って思 ってから、10回以上企画 を継続してきて、毎回その 景色を見てきた時に、會を 重ねたことで新たに思うこ とがあったりしたのか?

18聞き手それはTTさん自分で思うに、自分でやりたかったことがや っと第一回目形になったことに感動したのか、こう、自分 が連れてきたかった場所に、友達を連れてこれてそのAさ んとしゃべってる光景に感動したのか、どういう感じの感 動だったんですか? 19TTさんその二択でだったら後者のほうで、こういう景色があるん だなって。こういう景色があるんだ新しい光景の発見別世界の発見 認識できる世界 の拡大 世界のひろがりは、参加者 にも味合わせてほしい。

20聞き手なるほど、わかりました。なんか、これまでやってきた渡 米のモットーじゃないけど、渡米の活動をする中で大事に してきたこと、ありますか? 21TTさんなんだろ、いっぱいいあると思うけど、なんだと思う? 22聞き手え、なんだと思う?んー、何回か参加させてもらった時 も、学生だけで完結することだけじゃなくて、なんか一個 は地域の人となんかするとか、地域の人に教えてもらうと か、地域の人のお話聞くとか、そういう活動が入ってたか なって思ってて、だから、その、米沢の地域の人とも楽し んでほしいって思ってたのかなっては、思ってるんですけ ど、主催者的にはどう思ってたんですか? 23TTさんそれは企画を組むうえでは大切にしてたことではあるよ、 やっぱり学生とはいえ、学生はいなくなるから、学生いな くなったら終わりってなっちゃうから、地域の人入って くれてたら、まあ、地域の人に会いに来る、ってできるし。 面倒見良いから。米沢の人は。俺は米沢の人しか知らない けど、ま、一緒に楽しんでくれるから。そういう場所にし たかったし。あとは、話すこと。

企画を組む/大切にしてた こと/学生はいなくなる/ 学生いなくなったら終わり /地域の人に会いに来る/ 面倒見良い/一緒に楽しん でくれる/話すこと イベントの企画/重要 /モットー/参加者/ 主催者/継続困難/地 域住民への再訪/話し やすい人/気にかけて くれる人/応援してく れる人/会話 参加者と主催者 と地域とのつな がりの確保/関 わりのある地域 住民の特徴

「参加者」と「主 催者」と「地域」 の関係性の変化

多様な立場の参加者が関わ ることで、より人間関係も 複雑になり、参加者たちの つながりもより広範囲にひ ろがっていくのではない か?

24聞き手学生同士でですか? 25TTさんなんか、なにやりたいとかってのもそうだし、結構ぼくら、 ぼくらってか、TY大からきてたメンバーって、海外研修 に行って、参加してくれてる子が多くて、その海外研修っ て自分の気持ちとかを素直にまあ表現して、それを全部 受け入れるっていう研修だったんだけど、そん中で、まあ、 海外の課題を解決するみたいなのはあるけど、自分と向き 合うってのもあって、んで、なんだろ、結構、ま、それに

なにやりたい/TY大からき

てたメンバー/海外研修に行 って

、参加してくれてる子/

自分の気持ちとかを素直にま あ表現して

、それを全部受け

入れるっていう研修/自分と 向き合う/結構しゃべるのが 希望/進路/目標/都 市部からの参加者/活 動的な大学生/自己表 現と他者理解/自己理 解/自己分析/中身の 濃いコミュニケーショ ン/終わりのない対話 都市部からの参 加者の特徴/自 己と他者の相互 理解に基づくコ ミュニケーショ ン 個性的な参加者 /深まる相互理 解 他者との対話という内容が、 意図せずともこのプロジェ クトが持つ特徴になってい たのではないか?

(10)

参加してくる人だから、結構しゃべるのが好き、だし、自 分の思いとか夢とか、自分のことをちゃんと語るし、その 分相手のこともちゃんと聞くし、なんでもしゃべれる関係、 夜中とか5時とかまでずっとしゃべってるし、みんな、俺 は序盤で寝ちゃうけど。

好き/自分の思い/夢/自 分のことをちゃんと語る/ 相手のこともちゃんと聞く /なんでもしゃべれる関係 /ずっとしゃべってる

26TTさん自分の立場、難しくて、みんながいる状態の自分と、プロ ジェクトをやってるっていう自分と、場を回したりとか、 いろいろ役割があるじゃん、っていうときに、少なくとも、 いい顔はしてないといけないじゃん、来てもらってるしっ ていうのもあるし、一番うまく回ってた時まで、自分の中 で決めてたのは、その界隈で絶対恋愛はしないって決めて て、なんでかって言ったら、だいたい組織壊れるのってだ いたい恋愛だから、っていうのも知ってたし、それで失敗 してる団体とか、それで壊れてるのも見てたから、自分こ れ終わるまではしないって思ってたんだけど、いや、まあ、 それは、それは俺にとって大切にしてたし、あとはまあ役 割を配る、配るというか、できないことはできないって言 う。いっぱいある。こんなんじゃ話しきれないけど。そろ そろいいかな。

自分の立場/みんながいる 状態の自分/プロジェクト をやってるっていう自分/ 場を回したり/いろいろ役 割がある/いい顔はしてな いといけない/来てもらっ てるし/自分の中で決めて たのは、その界隈で絶対恋 愛しない/だいたい組織壊 れるのってだいたい恋愛だ から/それで失敗してる団 体/それで壊れてるのも見 てた/自分これ終わるまで しないって思ってた/それ は俺にとって大切にしてた /役割を配る/できないこ とはできないって言う/い っぱいある 主催者としての自分/ プライベートの自分/ 参加者/自分に課した ルール/決め事/破壊 /破壊の条件/人間関 係/解散/仕事の采配 /大切にしていたこと

異なる自分の側 面/ルールの設 定とルールの遵 守/円滑な人間 関係の破綻/ト ップの立場 トップの立場に よる公私の曖昧 な使い分け/プ ロジェクトの機 能停止 組織を円滑に回していくた めに、人間関係をないがし ろにしてはいけないという ことが新たな気づきとして 残った。

番号発話者テクスト〈1〉テクスト中の注目す べき語句〈2〉テクスト中の語句 の言いかえ

〈3〉左を説明す るようなテクス

ト外の概念

〈4〉テーマ・構 成概念〈5〉疑問・課題 ストーリー・ライン

生まれ故郷の地域づくりに対する湧き出る使命感と理想の追求への意欲を持つ調査対象者は、理想の実現に向けた企画の立案と実行を行っている。理想と現実のはざまで獲 得した都市部と地方とのかかわりの種を育て、未来を見据えた調整を行いながら、地域活動に詳しい地域住民からの提示を取り入れつつ、参加者目線の企画運営を行っている。 都市部と地方とのかかわりの中で過ごす濃密な時間を過ごしながら、切り出された感動の瞬間に出会い、心に響く瞬間の連鎖を作り出しつつ、認識できる世界の拡大が行わ れている。個性的な参加者たちが深まる相互理解を図ることで、「参加者」と「主催者」と「地域」の関係性の変化が促されている。しかしながら、プロジェクトの機能停止は、 トップの立場による公私の曖昧な使い分けが一因だった。 理論記述

・生まれ故郷の地域づくりに対する湧き出る使命感は、理想の追求への意欲を駆り立てる。 ・理想の実現に向けた企画の立案と実行並びに未来を見据えた調整を行っていくことで、理想と現実のはざまで獲得した都市部と地方とのかかわりの種を生み育てている。 ・参加者目線の企画運営を行っていく際に、地域活動に詳しい地域住民からの提示を取り入れている。 ・都市部と地方とのかかわりの中で過ごす濃密な時間が切り出された感動の瞬間を作り出す可能性がある。 ・心に響く瞬間の連鎖が認識できる世界の拡大をもたらすことがある。 ・個性的な参加者たちが場に集い、深まる相互理解が行われることで、「参加者」と「主催者」と「地域」の関係性の変化がみられる。 ・トップの立場による公私の曖昧な使い分けがプロジェクトの機能停止までに及ぶ可能性がある。 さらに追究すべき点・ 課題

・もともとの理想形はどのような形だったのだろうか? ・企画の立案はどのような経緯で行われたのだろうか? ・主催者側から見たときに、何度もこの場所を訪れる学生の特徴に共通点はあるのだろうか? ・なぜ生まれ故郷(米沢)の地域づくりに熱心なのか? ・プロジェクトを運営する上での困難な出来事は何だろうか? ・プロジェクトの支えてくれる地域住民との関係はどのようにして構築したのか?

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表4 山形県米沢市における調査対象者②参加者RKさんとのインタビューのSCATによる分析結果 番号発話者テクスト〈1〉テクスト中の 注目すべき語句〈2〉テクスト中の 語句の言いかえ

〈3〉左を説明す るようなテクス ト外の概念

〈4〉テーマ・ 構成概念〈5〉疑問・課題 1聞き手RKさん、これまでどれくらい米沢に来ましたか? 2RKさんそうだね、私がはじめて行ったのが、2017年の、あ、2018 年の1月だ、たぶん、だから2年3年位前か。

初めて行った/2年3年位 前

初体験/初経験/過去

好奇心/時間の 変化 好奇心に駆られ た行動

3聞き手めっちゃ前ですね。 4RKさん私今4年生だけど、1年生の冬に来た。4年生/1年生の冬大学生の冬休み長期休暇非日常

なぜ大学一年の冬にわざわ ざ米沢に来たのか?/その 時期にそもそも米沢という 場所を知り、わざわざ来た という行動についてもう少 し掘り下げるべきだった。

5聞き手わざわざこの寒い冬にきてくれたんですか、ありがとうご ざいます。 6聞き手出身はどちらですか? 7RKさん出身は東京都の多摩市です、みんなが思うたまじゃないと 思うけど。東京都の多摩市

首都圏/関東地方/都 市部

首都圏出身田舎への憧れ

都市部で育った人は田舎へ の憧れをもちやすいのか? /この人は自分で活動して 地方と関わりを持つまでは 「ふるさと難民」だったの か?

8聞き手年齢は23,22歳? 9RKさん年齢は22です。22歳若い/20代年齢自由の謳歌

よくありがちな地方へ興味 を向けるパターンの年齢層 よりも、早い段階で自分が 若いうちに地方へ目を向け たのはなぜか?

10聞き手TY大学の何学部?専攻はなんですか? 11RKさんTY大学のS学部のS学科です。TY大学のS学部のS学科 私立大学/文系学部/ 社会科学系学部

私立大学生

首都圏在住の大 学生 この人がこの大学とこの学 問系統に興味を持ったきっ かけをもう少し詳しく掘り 下げる必要があったのでは ないか?

12聞き手米沢はこれまでどれぐらい来てもらってますか、もうめっ ちゃって感じですか? 13RKさんうん、どれくらいだろう、、15回くらいかな。15回複数回/10回以上複数回の来県リピーター このように、人を何度も引 き付けるにはどんな要素が 必要なのか?

14聞き手ちなみに、今は大学生してるわけじゃないですか、実家か ら通ってるんですか?

(12)

15RKさん大学も東京にあるから、実家から通ってるよ。東京/実家から通ってる首都圏/自宅通学生 都市部の実家住 まい 地方や田舎への つながり不足/ 地方や田舎への 憧れ

実家を出て一人暮らしをし たいと思ったことはないの か?/同じような学問系統

なら他の私立大もあっただ ろうに、わざわざ実家から 通える圏内で大学を選んだ のだろうか

。 16聞き手通学には時間がかかりますね、実家は居心地いいですか? 17RKさん今はそんなによくないかな、外に行く楽しみがない分ね。外に行く楽しみがない趣味がままならない

新型コロナウィ ルス流行による 移動の自粛/移 動の壁 行動範囲の制限 /趣味の自粛 外に行くような楽しみは米 沢に来る、以外にはどんな ことがあるのだろうか

。/

この人の個人的な興味関心 をもう少し掘り下げる必要 があったのではないか

? 18聞き手ちなみに、今は大学生してるわけじゃないですか、実家か ら通ってるんですか?ご実家に住んでいるということで、 家族構成はどんな感じですか? 19RKさんお父さんとお母さんとお兄ちゃんの4人家族です。4人家族核家族家族構成

小さな社会の単 位 核家族で育ったという特性 と、地方に目を向けて訪れ るという行動の関連性はあ るのか、気になった

。 20聞き手初めて米沢に来てもらったときは、何がきっかけでとかあ りますか? 21RKさんきっかけは、ほとんど主催者に拉致られた、なんか主催者 が、「俺渡米プロジェクトとかやりたいんだけど、企画し

たら来てくれる?」って言われたから、行くって言った。 その誘 いに乗ったのも、行ったことないところに行くのが 好きだったりとか、日本の地域創生みたいな、ところに関 心があったから、行ってみたいなって最初は思って。

渡米プロジェクト/地域創 生/企画/拉致られた 学生発案のプロジェク ト/地域おこし/強引 な勧誘/強制的な誘い 学生主導のプロ ジェクトへの参 加 つながりの誕生 /緩い信頼関係 /魅力あるリー ダーの存在 あまりよくわからないイベン トに参加者を誘う際

、ある程 度強引であろうが、誘って参

加を促すという手段も有効な のではないか

。/魅力あるリ

ーダーに惹かれていって信頼 関係を構築したのはなにがき っかけだったのか。

22聞き手そうなんですね、主催者と大学は一緒だと思うんですけど、 TY大学って大きいじゃないですか、なぜそんな中TTさん と仲良くなった感じですか? 23RKさんそうだねえ、TTさんは、同じ海外研修に参加してて、なん だろ、そのコミュニテイで会った人。TTさん/同じ海外研修に 参加/コミュニティで会っ た人 リーダー/海外プログ ラムへの参加/仲間/ つながり 非日常体験への 参加/仲間との 出会い リーダーとの出 会い プロジェクトの主催者が参 加者に声をかけた際に強く 惹かれたポイントは何だっ たのか

? 24聞き手そうなんんですね。 25RKさん年齢も学年も学科とかも違うし、参加した時期とかも違う んだけど、なんかそのあとのOBOG会にTTさんがいて、知 り合ったかなって感じ。

TTさん/年齢も学年も学 科とかも違う/OBOG会 で知り合った

リーダー/枠を超えた /同窓生/つながり

つながりの獲得

リーダーとの接 触/仲間との出 会い/仲間との つながりの保持

あるイベントで知り合って、

そこでできた人間関係をさら に広げていくためにどんな要 素が必要なのだろうか

?/人

間関係のさらなる発展につな げるためには何が必要か?

(13)

26聞き手なるほど、そうだったんですね。 27聞き手一番初めに米沢に来てもらった時は、何をしましたか、米 沢で。覚えてます? 28RKさん覚えてるよ、めっちゃ感動した。めっちゃ感動した 興奮/わくわくした/ 盛り上がり/情熱 忘れられない思 い出

記憶に残る感動

なぜ記憶に残る感動になっ たのか、その要素について の深堀りが足りていない。

29RKさんその時は竹あかりじゃなくて、雪灯籠祭りのお手伝いをさ せてもらった、メインはそこだった。

竹あかり/雪灯籠まつりの お手伝い/メインはそこだ った イベント/運営/目的 /裏方/スタッフ

経験の蓄積成功体験の獲得この場所での成功体験は、

調査対象者のその後のアク ションにどのような影響を 与えたのか?

30聞き手そんな寒いときに寒いことしたんですね。 31RKさん初めて雪国に冬に行った気がする、めっちゃ感動した。

初めて雪国に冬に行った/ 感動 初体験/興奮/わくわ くした/盛り上がり/ 情熱、

記憶に残るほど の興奮

衝撃的な経験

見たことない景色を見た際 の感動が、

どれぐらい「再び

訪れたい」という気持ちに 影響を及ぼしているのか?

32聞き手なんか寒いようとかじゃなくて、感動したって言えるの素 敵ですね。 33RKさんいや、ほんとに、まあでも、寒かった、そん時大沢に泊ま って、めっちゃ寒かった、夜だけは最悪って思ったけど。

寒かった/めっちゃ寒かっ た/夜だけは最悪

極寒/暗闇/深夜日中との落差

経験したことの ない寒さ

この気候的条件は雪国の特 性として、変えられないも のだが、いかにしてこの辛 さを和らげるかが、今後の 課題であり、さらなる都市 部からの人の呼び込みにに 欠かせないのではないか?

34聞き手初めて来てもらったときのお話ききましたけど、何回もき てもらってるわけじゃないですか、RKさんには、なんか 結構強烈に印象に残ってるのはあります?絞るの大変だと は思うんだけど。 35RKさん困ったな、でも、一番すごく感化されたとかって思ったのは、 一番最初の雪灯籠祭り、ていうのも、素直に自分が驚いた のがその経験で、ちょっと話それちゃうんだけど、私結構 米沢だけじゃなくて、青森とかにも地域活動しに行ってる んだけど、そこの大人のコミュニテイにかかわったときに、 なんか、あんまり、学生を応援してくれる雰囲気じゃない なって感じたりとか、なんかその地域も自分の地域をどう やったら活性できるって考えてたんだけど、学校がなくて 学生がいなくて、ていうのがあったときに、すごい米沢っ て学生がたくさんいて、たくさんってか学生がいて、地域 のために活動したいって思っている子が多くて、それを応 援してくれる大人がめっちゃいるじゃん、でそのコミュニ ティがあるのがほんと米沢ってすごいなって、違う地域に 行ってるからこそ感じたこと、ちょっと話はそれちゃった んだけど、そういうところがあるのがすごいなって気持ち。

素直に自分が驚いた/米沢 だけじゃなくて/青森とか にも地域活動しに行ってる /自分の地域をどうやった ら活性できる/地域のため に活動したいって思ってる 子が多くて/応援してくれ る大人がめっちゃいる/違 う地域に行ってるからこそ 感じた 衝撃/地方/まちおこ し/若者への支援/経 済活動/活躍したい気 持ち

イメージの変化 /他者へのボラ ンティア活動/ 学生の受け入れ 態勢/若者と地 域住民との良好 な関係 他地域と米沢と の違い/この場 所だから頑張れ る思い/他者を 受け入れる寛容 な姿勢 米沢市の地域住民が学生を 応援する姿勢はどのように して地域住民のなかに形成 されていったのだろうか?

36聞き手じゃ、今やっぱ米沢、人そろってるなって感じですか?

(14)

37RKさんいや、めっちゃいる。他にそんなにいないんじゃないかな って思う。若い人達とかかわったのが楽しかった。

めっちゃいる/他にそんな にいないんじゃないかなっ て思う/若い人達とかかわ ったのが楽しかった たくさんの人/若者/ 学生/老若男女/交流 ふれあいの場の 誕生 素をさらけ出せ る場/主体的行 動の理解 自分の生活圏内以外の場所で の同年代との関わりが調査対 象者に与えた刺激について深 く掘り下げるべきだった。

38聞き手米沢に何回も来てもらってるなかで、これ大変だったなっ ての、あります?悩んだというか、心配というか、例えば、

「誰がいるのかよくわからない場所に行くの怖かった」と か

、ちょっとマイナスな方向で、悩んでたとか、気にして たとか、あります? 39RKさん考えてたけど、そんなになんか、この出来事が嫌だったと か、この人無理だったとか、ほんとに米沢ではなくて、外 的要因的にはなかったけど、自分的には、米沢の冬は越せ ないなって思った。

外的要因はなかった/米沢 の冬は越せないな 人間関係の悩みがない /厳しい冬/雪/豪雪 /寒さ しがらみのない 環境/都市部と 雪国との生活の ギャップ 都市部と雪国と のギャップによ るショック 育った環境がその人の耐性 を作るということが分かっ た。

40聞き手気候的条件ってことですよね、寒さ、冬の雪は大きい問題 ですよね。 41RKさん遊びに行く分にはね、雪きれいだなって思うし、雪灯籠と かもきれいだなって思うけど、まあ、住むとなると、雪下 ろしとか、雪かきとか、大変だなって思う。

雪下ろし/雪かき/大変

降雪時の仕事/苦痛/ 疲労/体力仕事

雪国の日常

都市部居住者の 非日常 育った環境がその人の耐性 を作るということが分かっ た。

42聞き手RKさん以外の人にも今調査してるんですけど、今のとこ ろ、マイナスな困ってることとか、この話私が聞いて大丈 夫なのかな、って話とか、特にないので、これからもこの 場所がそういう場所であることを祈ってます。 43RKさんいやいや、そしてそういう一部になってると思うけど。そういう一部 好きな場所/お気に入 りの場所/思い出の場 所 かけがえのない 場所

心の拠り所

未知の場所が心のよりどこ ろとなるために必要な要素 は何か?

44聞き手

素敵な空間を皆様のおかげで作ってもらってるってことで すよね。

45聞き手一番楽しかったこときいたら、一番最初がやっぱり印象強 かったって言ってたじゃないですか、その印象が強かった から、その楽しさを求めて、何回も来てくれてる感じです か? 46RKさんあーそうだね、そこで、一番、友達と出会ったんだよね、 HさんとかKさんとか、あとMさんとか、あと、なんて呼 んでたか忘れたけどMちゃんとか、あとあれだねYさんと か、と出会ったから、なんかめっちゃみんないい人たちだ から、そういうつながりができたから会いに行きたいなっ て。

一番/友達と出会った/め っちゃみんないい人たち/ つながりができた/会いに 行きたい、

出会い/仲間/絆/訪 問/再会/友人関係/ 理解者/大切な人 仲間づくり/理 解者の獲得/思 いの共有 理解者との出会 い/自己理解と 他者への受容 日常的に生活する場所では ないところで理解者と出会 うことができたのは、調査 対象者とこの場所の相性が ただよかっただけなのか

それとも他の要因があるの か?/この人の意味する自 分のことを分かってくれる 理解者とは?

47聞き手次もし米沢きたらあれやりたいとか、こういう人会いたい とかあります?もしかしたらもうやりつくした感はあるか もしれないですけど。

(15)

48RKさん いやいやいや、場所に行きたいとか温泉入りたいとか山登 りたいとかはあるけど、それ以上にみんなに会いたい、米 沢のみんなに会いたい、次行くモチベーションとしては、 それこそ今次行くなら、Nさんが米沢で学生してるうちに 会いたい。

みんなに会いたい/米沢の みんなに会いたい/モチベ ーション 刺激を受ける/未知の 体験/未知の経験/や る気/動機/活力 刺激を受ける仲 間との交流/未 経験/エネルギ ーの源 仲間との再会へ の熱望/米沢へ の再訪の切望/ 活力を蓄える場 所 米沢で会う人と話すことで 自分の中でどのような変化 があるのか?

49聞き手米沢の人とおしゃべりお話しするの楽しいですよね。 50RKさんそうそう、友達がいっぱいいる場所って感じ、米沢は友達がいっぱいいる場所居場所/よりどころ安心/安らぎ憩いの場 51聞き手それが今、RKさんは今東京で生活しているわけじゃない ですか、自分が今生活してる場所じゃないところにそれが できるってめっちゃ素敵じゃないですか? 52RKさん ああ、確かに、ねえ、だから、テレビとかで米沢牛とか出 てると、ちょっと鼻が高い。鼻が高い自慢/誇らしい 再訪したい気持 ち/特別感/優 越感 特別な関わりに 基づく優越感 自慢できる、誇れる場所で あるこの場所を他人に勧め たり、自分がこの場所を訪 れるときに一緒に連れてき たりすることはあるのか?

53聞き手

これまで学外活動とか地域活動とか続けてるとかおいとい て、これまで何してました?

54RKさん

インドネシアのバリ島に海外研修は海外に行く初めの一歩 みたい なプログラムだったし、青森にインターンシップし たりとか、青森の移住体験ツアーに参加したりとか、農業 バイト単発で、長野のキャベツ収穫とか、愛媛のミカン農 家の収穫お手伝いしたりとか。

海外研修/海外に行く初め の一歩/青森にインターン シップ/青森の移住体験ツ アー/農業バイト単発/長 野のキャベツ収穫/愛媛の ミカン農家の収穫お手伝い 地方での活動/海外で の活動

地元から離れた 場所での活動

地元外の活動

地元外の活動はたくさんあ るなかで、参加する・参加 しないの基準としてあった のはどのような基準なの か?

番号発話者テクスト〈1〉テクスト中の 注目すべき語句〈2〉テクスト中の 語句の言いかえ

〈3〉左を説明す るようなテクス ト外の概念

〈4〉テーマ・ 構成概念〈5〉疑問・課題 ストーリー・ライン

この調査対象者は、好奇心に駆られた行動に基づいて、非日常を味わうことや、田舎への憧れから渡米プロジェクトに参加した。このプロジェクトに参加し自由を謳歌して いる首都圏在住の大学生は何度も米沢を訪れるリピーターとなった。地方や田舎へのつながり不足から、地方や田舎への憧れを抱いていたが、現在はコロナ禍の影響を受け、 行動範囲の制限により、趣味の自粛を強いられている。小さな社会の単位の中で生活をしているが、魅力あるリーダーの存在に触発され、渡米プロジェクトに参加すること になり、ここでつながりの誕生が生じ、緩い信頼関係が構築された。リーダーとの出会いを起点として、リーダーとの接触から仲間との出会いも果たし、仲間とのつながり の保持が可能となった。プロジェクトの活動を通して、記憶に残る感動を味わい、そこで成功体験の獲得も果たした。プロジェクトの活動の中でも特に衝撃的な経験は、経 験したことのない寒さであった。ところで、この調査対象者は他の地域にも足を運んでいるが、他地域と米沢との違いを肌で感じ、この場所だから頑張れる思いを抱いた。 他者を受け入れる寛容な姿勢を持つ周囲の人々に対して感銘を抱いている。渡米プロジェクトは自分自身の素をさらけ出せる場であり、かつ主体的行動の理解を得られる場 でもある。また、都市部と雪国とのギャップによるショックは、都市部居住者の非日常を味わうことを活性化している。渡米プロジェクトに参加したことで、米沢という場 所が心の拠り所となり、理解者との出会いも果たした。調査対象者は、理解者との対話を通じて、自己理解と他者への受容が進んだ。調査対象者にとって、米沢の地は活力 を蓄える場所となっているが、現在はコロナ禍の影響により、米沢を訪れることができない。そのため、米沢への再訪の切望の念が増しており、仲間との再会への熱望も高 まっている。そして、米沢は憩いの場となっており、特別な関わりに基づく優越感を有しており、地元外の活動に熱心に参加している。 理論記述

・首都圏在住の大学生である調査対象者は非日常を体験することや田舎への憧れが好奇心に駆られた行動を起こしている。 ・調査対象者は米沢で自由を謳歌した結果、米沢の魅力に気が付き、リピーターとなる。 ・行動範囲の制限が課されると、趣味の自粛につながる。 ・地方や田舎へのつながり不足が、地方や田舎への憧れにつながる。 ・プロジェクトへの参加の起点はリーダーとの出会いであり、魅力あるリーダーの存在がプロジェクトへの参加意欲に大きな影響を与えている。

参照

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