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(且) - 法規命令 ・行政規則二分論の再検討 をめざして - 今 春 啓 介

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(1)

アメ リ索禽東園における行政機関による 制定法解釈 と司法審査 ( 且 )

‑ 法規命令 ・行政規則二分論の再検討 をめざして ‑

は じめに

1 アメ リカにおける行政機 関の制定法解釈 の発現形態 1 規則制定 (rulemaking)

2 審決 (adjudicaLio1)

2 ク リステ ンセ ン判決及 び ミー ド判決前 の行政機 関の 制定法解釈 に対す る謙譲法理

1節 スキ ッ ドモア法理 1 スキ ッ ドモ ア判決

2 スキ ッ ドモ ア法理 の位置づ け と問題点 3 立法親 別の場 合 の適用状 況

4 非立法規則 の場合 の適用 状況 5 小 括

2 シェヴロ ン法理 1 シェヴロ ン判決

2 シェヴロン判決の位置づ け と問題点 (以上本号) 3 シェヴロ ン判決以 降の展 開

4 /ト 括

3 ク リステ ンセ ン判決 ・ミー ド判決 とその後の展開 第 1節 ク リステ ンセ ン判決 とミー ド判決

2節 ミー ド判決以降の展 開及 びその位置づ け むすぴに

99〕

(2)

は じ め に

アメ リカ合 衆 国で は,1984年 の シェヴロ ン社 対 天然 資源保 護 団体判 決 (以下 、

「シェヴ ロ ン判 決」と し,シェヴ ロ ン判 決 の法理 を 「シェ ヴ ロ ン法 理」とい うO)1)

にお い て,行政 機 関 に よる制 定法解釈 を示 す規 則 (rulesandregulations) つ いて, いわ ゆ る行政解釈 に対 す る謙譲 の 原則 が打 ち出 され た こ とが ,既 にわ が国 で も広 く紹介 されてい る2)}この シェ ヴロ ン判決 は,「反 マ ‑ベ リー判決3) 的 な判 決 とされ る こ とが あ った り4)分水 嶺 とな る判 決 と評価 され た り す る5)な ど, その後 の下級 裁判所 の判 決 や論者 に大 きな影響 を与 えて きたC,

しか し,2000年 に,労 働 省 の見 解 書 (opinionletter)に対 して シェ ヴ ロ ン 判 決 的 な謙譲 は適用 されず ,別 の タイプの謙譲 (ス キ ッ ドモ ア対 ス ウ イフ ト社 判 決6)(以 下. 「スキ ッ ドモ ア判 決」 とい う。) 的 な謙譲) が適 用 され る可 能性

1)Chevron,U.S.A.Inc.V.NaturalResourcesDefenseCouncil,Inc"467U.S.837 (198

2)た とえば,竹中勲 「規則制定の司法審査の基準」判例 タイムズ56473(1985年), 鵜野健二 「アメリカにおける謙譲的司法審査理論の構造大阪経済法科大学法学研 究所紀要1579 (1992),同 lァメリカにおける謙譲的司法審査理論の展開裾 ・ (ZL)」大阪経済法科大学法学論集2817 ・29135貢 ぐ1992年),常問孝好 「解釈規 (interpretiverules)について塩野宏先生古稀記念 『行政法の発展 と変革 .上 』(有斐 閣.200年)511頁,黒川曹志 『環境行政の法理 と手法』(成文堂 ・2004年) 239‑264頁,筑紫圭一 「アメ リカ合衆国における行政解釈 に対する敬譲的司法審査

Chevron原則 の意義 とその運用 ‑ (上) ・ (下 ・完)上智法学論集48 1113 ・48239 (2004‑2005年),高橋正人 「規制に対する合理性審査の 二面性 ‑ 厳格審査手法 と fF非民主的』 な裁判所 としての審査手法 法学25 号91 (2005年) を挙 げてお くO なお,拙稿 「行政機関による制定法解釈 と司法審 査 ‑ 葦掩え法の場合 との比較 を視野 に入れて 早稲 田政治公法研究72249 (2003年) も参照 されたいC

3)Marburyv.Madison.5U.S.(iCranch)137(1803).

4)CassR.Sunstein,LJa打andAdministratioJlAfterChevron.90Colum.L Rev.

2071,2075(1990);ThomasW.Merill,JudicialDeferencetoExecutiblePrecedent, 101YaleL.I.969,969(1992).

5)KennethW.StarrJudiciaiReLlie10i77thePostChevronE)a,3YaleJ.on丘eg.

283,307(1986).

6)Skidmorev.Swift&C0.,323U.S.134(194 なお,スキ ッ ドモア判決について

(3)

アメリカ合衆国における行政機関による制定法解釈 と司法審餐 (i) 101 があ る としたク リス テ ンセ ン対ハ リス ・カウンテ ィ判決 (以下,「クリステ ン セ ン判決」 とい う。)が出され7), また,2001年に,税 関の解釈回答書 (ruling letterうに対 して, シェヴロ ン判決 的な謙譲 で はな く,や は りスキ ッ ドモア判 決的 な謙譲が適用 され る とした合衆 国対 ミ‑ ド社判決 (以下,「ミー ド判決」

とい う。)8)が 出されて以 降, シェヴロン法理の位置づ けをめ ぐり, さらに様 々 な議論が展 開 されている状況 にある9)。す なわ ち, これ らの判決は, シェヴロ ン判決が明確 に していなかった行政機 関の制定法解釈 のいかなる発現形態 に対 して シェヴロ ン法理が適用 され るか とい う間墓 に対 して, シェヴロン法理が適 用 されない ものがあることを明言 し,そ もそ もある行政機 関の制定法解釈 に対 してシェヴロン法理が適用 されるか否か とい う,いわば 「シェヴロ ン法理の第 0段 階 (Chevronstepzero)」10)といわれ る問題 を惹起 させたのである。特 に, 2001年の ミ‑ ド判決 において,わが国では 「行政規則」 に分類 される税 関の解 釈回答書 に対 して,スキ ッ ドモア判決的な謙譲ではある ものの謙譲が行われた ことは,わが国行政法が従来行政立法 を法規命令 と行政規則 に分けた上で,行

既に取 り上げている邦語文献 として.常岡孝好 ・前掲論文注2 ・536‑538頁.筑紫 圭一 ・前掲論文注2(上)・118頁,高橋正人 ・前掲論文注2 ・174頁を挙げてお く 7)Christensenv.HarrisCoullty.529U.S.576(200 なお,クリステンセン判決で

は,意見書にある制定法解釈には説得力がないため,意見書に対するスキッドモア 判決的な謙譲は行われないとされた。

8)UnitedStatesv.MeadCorp.,533U.S.218(2001).なお,ミー ド判決では,スキッ ドモア判決的な謙譲が当てはまるか否かについて更なる審査を尽 くすため下級裁判 所に差 し戻 された。

9)たとえば,ミー ド判決の翌年に出された54Admin.LRev.69針834(2002)では, ミー ド判決をめ ぐりシンポジウムが行われている。 また,以下の論文 も参照せ よ。

Lis遠SchultzBressman,Hou7MeadHasMuddledJudicialRem'eu,ofAgencyAc tion,58Vand.i.Rev.i拍3(2005);AnyJ.Wildermuth,SolJingikePuzzleof

MeadandChristensenIWhatu,ollldJustl'ceSteljenSDo.P,74FordhamL.Rev.

877(200軌

10)ThoITlaSW.Merrill&KristinE.Hickman,Chevron'sDomaiJl,89Geo.LJ.833, 836(2001);seealsoCassR.Sunstein,ChevronStepZero,92Va.L.Rev.187,191 (2006).サ ンステイン教授は,従来問題 となっていたシェヴロン判決の第1段階 ・ 2段階は,近年では最 も重要な問題 とはなっていないと指摘 される。Sunstein.

suP7a,at191.

(4)

政規 則 の夕摘 関与効 力 を原則 と して認 めて こなか った こ とか ら考 える と,非常 に 興 味深 い こ との よ うに思 われ る11

本稿 で は, わが 国 にお け る伝 統 的 な法 規命令 ・行政規 則二 分論 の再検 討 を視 野 に入 れ て. ア メ リカ合衆 国 にお いて様 々 な香 政 立法 の形 で現 れ る行 政機 関 に よる劉 定法解釈 の司法審査 の動 向 につ い てみてゆ きたい。第 1章で, ア メ リカ ll)法親命令 ・行政規則二分論について検討 した最近の文献 に,野口貴公美 『行政立 法手続の研究〜米国行政法か らの示唆〜』 用 本評論社,2008年)第4章 「学説に おける行政立法 (手続)請 ‑ 行政手続法の制定前にさかのぼって」(166頁以下) があるO野口氏 は,行政:揖表を法規命令 と行政親別 に分け るいわゆる伝統的二分論 は,「従兼 の整理 には収 ま りきらない行政jZ̲法 (とりわけ行政規則)が実務 におい て多相 されたこと,そ してその結果 として,司法審査の場面において従来の二分論 を用 いていては整理 しきれない G畠切な審査方法 を導 き出せない)状況が生 じたこ と」か ら再検討が促 されていることを指摘 した上で,特に法的統制 (とりわけ司法 審査)の対象 としての香政立法の整理 を試みることの有用性 を強調 している また 野 口氏は,行政立法の司法審査 を考 える際に,当該行政立法の裁判規範性にかかわ る審査 と行政立法 に基づいて行 われた行政決定の適法性の審査に分けて考えるべ き こと,従来前者の審査が後者の議論の一部 として とりわけ行政処分の裁量審餐の議 論の中に吸収 されて きた きらいがあったことを指摘 してお り.行政立法の裁判規範 性 の検討が重安であることを述べ られている 野 口貴公美 「行政立法 ‑ 裁判 規範性』 に関す る‑分析」磯部カ ・小早川光郎 ・芝池義一編 『行政法 の新構想 iI 行政作用 ・行政手続 ・行政情報法』 (有斐 閣,2008年)25頁以下参照。

特 に通達が多用 されている租税法の分野では,通達の内容の検討がほとん ど行わ れないままに,通達の裁判蔑範性 を前提 とした上で通達 に追随 した判例が しば しば み られることが大いに問題であると思われる。平 岡教授 は,こうした現象 を 「通達 による裁判と称 されるL,平 岡久 『行政法 と行政基準』 (有斐閣,1995年)240 以下参照O

最近では, ス トック ・オプシ ョンの権利行使益が給与所得ではな く一時所得 と申 告 したことについて,国税通則法65条 4項 に定め られる過少 申告加算税免除の 「 当な理 由」があるか否かが問題 となった判例が注 目される。 ここでは,少な くとも 通達 に明示 される前 については,た とえ課税庁による 「回答事例による所得税質疑 応答集」 においてス トック yオプションの権利行使益を給与所得 とする記述があっ た と して も 「正 当な理由がある とされ,「正当な理由」の有無の判定基準 として 通達が出されているか否かが基準 として用 い られてお り (最判平成19・76裁時 14394頁 ・最判平成18日 0事24民集6083128貫 ・最芋拍三18・1 16判時 195537頁等), これ ら判例 は所得税基本通達に対 して政令 ・省令並みの法的効力 を与 えているように もみえる しか し,行政規則 の本来の定義か ら考 える と,「 得税基本通達」 は 「回答事例 による所得税質疑応答集 と同株 に課税庁の見解 を示 したに過 ぎない ものであ り,通達がされたか否かを基準 に 「正当な理 由」の有無 の判定を行 うことは適当でない ように思われる(,

(5)

アメリカ合衆国における行政機関による制定法解釈と司法審塞 (1) 103 において行政機関による制定法解釈がいかなる形で表 されるか,すなわち発現 形態 について,本稿で分析 を行 うのに必要な限 りで概観 してお きたいO第2 では,アメ リカにおける行政機関による制定法解釈 に対する2つの謙譲法理 に ついてみてお きたい。その2つは,スキ ッドモア判決で出された 「スキ ッドモ ア法理」 と,シェヴロン判決で出された 「シェヴロン法理」 と呼ばれるもので あるが,本章ではこれ らの法理 を紹介するとともに,それぞれの法理が出され て以降の展開についても検討 してお きたい。第3章では,行政機関による制定 法解釈の表明形態 とシェヴロン法理の適用 との関係が問題 となったクリステン セ ン判決及び ミー ド判決 を紹介 し,その後の展開についてみてお きたいCそ し て埴後に,アメリカでの状況がわが国における伝統 的な法親 命令 ・行政規則二 分論にいかなる示唆を与 えるかを考えつつ,若干の結びを試みたい。

1 アメリカにおける行政機関の制定法解釈の発現形態

本章では,本稿での議論の前提 として,アメリカにおける行政機関の制定法 解釈の発現形態について概観 してお きたい。

1 規則制定 (ruEemaking)

アメリカにおける行政機関の制定法解釈の発現形態の第‑が 「規則 (rule)

である。 アメリカ連邦行政手続法 (以下,「APA」 という。)では,「規則」 と

, 一 ・・一磯 的ない し特別な適用可能性や将来の効果についての行政機関の表明で,

法や政策を実施 し,解釈 し又 は命ずることを意図 し,あるいは行政機関の組織, 手続又は実際的な安件 を定めるものをいい (5514号12)),「規則制定」とは, 規則 を制定,修正文は廃止す る行政機関の手続 を意味するとしている (同条5 13)) この漁期制定 には,大 き く分 けて, フォ…マルな規則制定 (formal

12)5U.S.C.§551(

13)5U.S.C.§55日5).

(6)

rulemaking)とインフ ォーマルな規則制定 (informah ulemaking)があ る14〉O

フ ォ‑マル な規則制定

フ ォーマルな規則制定 とは,APA553粂C15)で定め られてい る もので了 制 定法 に よ り行政機関の審理の機会 の彼 に出 された記録 に基づ いて制定す る よう 求め られている時」 に行 う規則制 定の こ とであ り,「記録 に基 づ く規則 制定」

ともよばれ るC フ ォーマルな規則制定 においては,APA556粂 16)・557]7) 定め られ るフ ォーマ ルな審決 の手続が適用 されるO

インフ ォ‑マル な規則 制定

イ ンフォーマルな規則制定 とは, フォーマルでない規則制定のこ とであ り, フォーマ ルな審決の手続が適用 されない規則制定 の ことをい う イ ンフォーマ ル な規 則 制 定 と して,APAは,APA上 の 手 続 が 適 用 され る 「立 法 規 則

(legislativerules) と,APA上の手続が適用除外 となる 「非立法規則 (non‑

legislativerules)の二種類 を規定 している8)0

14)formal・informalにどのような訳語を当てるかは難 しい。というのち,インフォー マルな規則制定の手続は,本文でみるように 「告知 。コメント手続」であ り,これ はわが国では意見提出手続に相当するまさに正式なものに当たるからであるOまた, 以下で も触れるが,「インフォーマル」であるか らといって全 くの宥政裁量に委ね

られるわけではな く,一律に r略式」 と訳すのも適当でないように憩われる,,その ため本稿では,そのまま 「フォ‑マル」 ・ 「インフォ‑マル」 という訳語を当てる こととする なお,「フォーマル,」 ・ 「インフォーマJL,」 という言葉の語法に日米 間でかな りのギャップがあるとの指摘について,中日丈久『行政手続 と行政指導』( 斐閣,2000年)295頁以下を参照 されたい。

15)5U,S.C.§553 16)5U,S.C.§556. 17)5U.S.C.§557.

18)アメリカにおける規則の類型については,わが国でも多数紹介 されている。たと えば,常岡孝好 ・前掲論文注10の他に.大浜啓吉 「アメリカにおけるル‑ルメイキ ングの構造 と展開くつ」 自治研 究6212鍍ユ07頁以下 (1986年),荏原明別 「行政機関 による 『規則の制定 実 質 的影響 (substantialimpact)の基準

神戸学院法学1741頁,7頁以下 (1987年),酉鳥/;j西口明 「規則の類型 と非止

(7)

アメリカ合衆国における行政機関による制定法解釈 と司法審餐 (1) 105 (a) 立法規則

立法規則 とは,法的効力並 びに法的効果 を持 ち,議会 による権 限付与 に基づ き制定 された ものであ る19)O ァ ンソニ‑教授 に よる と†あ る規則が立法規 則 とされ るためには次の要件 を満たす必要がある。その要件 とは,①行政機 関は, 当該規則の対象 とす る問題 について活動 を行 うとい う委任 された制定法上の権 限をもたなければな らない こと,② 当該規則の公布がその ような委任 された権 限の意図的な行使 であること,(3)行政機 関はまた,法的効力 を持 った規則 を制 定す る制定法上の委任 された権 限をもたねばな らないこと,⑥ 当該規則 の公布 が法的効力 を持つ規則制定権 限の意図的な行使でなければな らない こと,⑤ 当 該規則の公布が結果的にその ような権限の行使 でなければな らない こと,⑥ 当 該公布が,行政機 関の組織法やAPAによ り命 じられた手続 に従わなければな らない ことである20)。そ して,立法規則 は告知 .コメ ン ト手続 によ り制定 され, 連邦行政命令集 (FederalRegistei に掲載 される (APA552 a 121り O

特 に,⑥ は重要 な要件 であ り,立法親別 に適用 される手続 は 「告知 コメ ン ト 手続」 とよばれる。ただ,告知 コ メン ト手続 を経 た立法規則 は全体か ら見 ると 多 くはな く,た とえば1987年前期では,立法規則 は全 ての規則の うちの6割足 らずであ り,その数がそれ以降増 えた と考 える理 由 もない といわれている22)

式手続の通園除外 ‑ アメリカ行政法における規則制定の現代的展開 早稲 田政治公法研究19149(1986年),越智敏裕 『ァメリカ行政訴訟の対象』(弘文堂, 2008年)370頁等を挙げてお く。

また,インフォーマルな蔑則制定とインフォーマルな審決の意義について言及し た邦語文献 として,中川丈久 ・前掲書注14・307頁以下を挙げてお く

19)ERNRSTGF.LI.汀ORN&RoNAu)M.LF,VTN,AnMTNTSTRAT‡VFJLAWANl)PRO‑

cESS.302(4THED..1997),なお,第3版の邦訳である,E.ゲルホーン/A.M .レヴ イ

ン (大浜啓富 ・常岡孝好訳)『現代アメリカ行政法』(木鐸社,1996年)234頁も参照。

20)RobertA.Anthony.hlterPretiveRules,Polic5,Statements.Guidances,Manuals, andtheLike‑ShouldFederalAgenciesUseThem toBindthePublicP.射 Duke L.I.1311,1322(1992),

21)5U.S.C.§552(a)(1).

22)DavidJ.Barron&ElenaKagan,Chevron'sNondelegatioJlDoctrine.2001SLIP.

Ct.Rev.201,207(2001).

(8)

また,立法規則 は法 的効力 を持 ち,法 的に裁判所 ・行政機 関 。公衆 に対 して拘 束力 を持つ とされ る23)0

非立法規則

(1)に射 して,規則 にはAPA上 の手続が適用 除外 となってい る24非立法規 とよばれ る規則 があるcJ非立法規則 は,立法規 則 とは異 な り,定義上 は法 的に裁 判所 ・行 政機 関 ・公衆 を拘 束す るこ とはない とされてい る25)。 ただ, 行政機 関は非立法規則 と同株 に扱 うことが多いため,実際問題 として拘束力 を

23)Anth()ny,Supranote20,1327.

24)APAは,「制定法により告知又は審理が要件 とされていない限 り,〔本項で定め られる手続 は〕解釈親則,一般的政策表明.行政機関の組織 ・手続 ・慣行について の規則には適用 しない」 と規定 している0 5U.S.C.§553(b)(A).ただ,この除外 規定の是非はたびたび問題 となってきたが,非立法親別における参加は必要 とされ なが らも主 にコス トを理 由にこの除外規定は存置 されて きた といわれるC.See KevinW.Saunders.hlterPretatiyeRulesm'thLegislatiL,eEffeciIAnAjlalysisand aProPosalforPublicPariicipatilni,1986DukeL.J.3 368371.もっとも,財務 省規則 (treasuryregulations)のように.「解釈規則 と解 されているが,財務省 側は,財務省規則の制定がAPA上の告知 ・コメン ト手続には服 さないと主張 して いることか ら,実際には全ての財務省規則が告知 ・コメン ト手続に服 している例 も ある。JohnF.Coverdale,CourtReL,it7u,OfTaxRegulationsandRevejlueRulings intheChevronEra,64Geo.Wash.LRev.35,55(1995).もっとも,アメリカ連邦 税法では,財務省規則 とは別に. 歳入庁公定解釈 (revenuerulings) とよばれ る解釈規則がある。歳入庁公定解釈は,法的効力を持たないとされるが,財務省規 則 と同株,内歳入庁副主席弁護士 (Ass()ciateChiefCoLlnSel)が ドラフ トを書き†

財務省長官租税政策補佐 (AssistantTreasurySecretaryforTaxPolicy)が財務 省長官に代わって審査 し,実質的には内国歳入庁や納税者を拘束 しているとされるC,

しか しなが ら,APA上の告知 ・コメン ト手続を経 ることなしに出されることに留 意 しなければな らないであろう。Seeid.at79‑80;seealsoJohnFCoverdaie, Chevron'sRediiCedDomaiZl:JudicialRe2,iezL,OfTreasuryReglilaiioMSll)ZdRe venueRulingsafterMead,55Admi n,L Rev.i,70J71(2003).ただ.このように APAの手続を経ない歳入庁公定解釈でさえ,その手続は費月摘‡かか り,記録を取っ ておかなければならず.また内国歳入庁 と財務省が注意深い審査を行 うことか ら, 減少傾向にあることが指摘 されるo SeeMichaelAsimow,Noガiegislative戯tlemak‑

inga71dRegulatorj,Reform,1985DukeL.J.381,407.なお,拙稿 ・前掲論文注2 267頁以下 も参照されたい.

25)Anthony,siiPranote20,13271328;seealsoAsimow,sul,ranote24,383.

(9)

アメリカ合衆国における行政機関による制定法解釈 と司法審餐 (1) 107 持つ ことが 問題 とされている26㌔ 非立法規則には次の ようなものがあるC

解釈規則 (interpretiverules27))

解釈規則 とは,立法的に公布 されてお らず,何 らかの明確 な意味 を持つ制定 法の文言 を解釈す る規則 のことである28)。解釈規則 には法 的効力や法的効果 はない とされるが,中には実質的な問題 として拘束 目的や拘束力 を持つ場合が あるため,立法規則 との区別は唆味なことが多い29)0

政策表明 (policystatements)

政策表明 とは,実体法や政策,一般的ない し特別 な場合の適用可能性,将来 的効果 についての行政機関の表明であ り,立法的に公布 きれず,解釈親別では ない ものの こ とである30)。 ア ンソニー教授 による と,解釈規で はない実体 的な非立法規則 は全 て政策表明であるとし,そこには政策表明の他 に,マニュ アル ・指導書 (guidances)・覚 え書 き(memorandams)・回覧書 (circulars)・

プレス リリ‑ス,時には解釈 として出されているもの も含 まれるとし,政策表 明の多 くは統制す ることを目的 としている, と指摘 される31)。つ ま り,裁判 所は解釈規則 を新 しい法 を作 るもの と見 な していないのに対 して,政策表明は 実定法に依拠す るものではない ものであるため.その意味で解釈規則 と政策未 明の区別は重要 とされる32)C

26jLd.at1328.

27)なお,APAはinterpretiveではなくinterpretativeという周語が用いられる (斜体は筆者)0

28)Anthony,少ranote20,1325.なお,解釈規則の種々の定義につき,常岡孝好 ・ 前掲論文注 2.516頁以下 を参照せ よL1.

29)Anthony,S種ク,anote20,1321(citingCommunityNutritionlnst.Ⅴ.Young,818 F.2d943,946(D.C.Cir.1987))(立法規則と解釈規則ないし政策表明の区別は,幾 度となく 『微妙で 暖味で 『とらえどころがなく』,おそらく最 も絵のようにい うと 『かなりの霧の坪3に包み隠されている』ものである。」),なおサウンダーズは, シェヴロン判決で立法的効果を持つ行政機関の解釈の範囲が広がったことから,立 法規則と解釈親別の区別がはっきりしなくなったことを指摘 しているoSeeSaun ders,SuPranote2包357.

30)1d.at1325. 31)〟.at1326. 32)jd.at]324.

(10)

(T);)手続規則 (proceduralrules)

手続規則 とは,行政機関の組織や手続.慣行 についての規則 をい う (APA553 bA号33)) 手続規則 は,当事者の権利 ・利益 をそれ 自体 では変 えない点 に特徴があ る といわれる3'4)。例 えば.後 に取 り上げるヤ ング判決35)で問題 と なっている規則 は,手続規則 に分類 されることもある36)0

2 (adjudication)

アメ リカにおける行政機 関の制定法解釈 の発現形態 として今一つ重要 なのが 審決 (adjudications')であ るC審決 には,APA上 の手続 を経 るフォーマルな 審決 (formaladjudications)APA上の手続 を課 されない インフォーマルな 審決 (informal adjudications)があるO フ ォーマルな審決 とは,APA554条 ・ 556 ・557条 に定め られた手続 を経 る ものであ り,「事実審塑審理 (triaHype hearing) とよばれ ることが多 い とされる37)。 これに対 して, インフ ォーマ ル な審 決 とはAPAの手 続 を経 ない審 決 の こ とで あ り,95%の審決 は イ ン フ ォーマ ルな審決であ る といわれてい る38)O もっ とも, イ ンフォーマルな審 決であって も全 くの行政裁量 に委ね られた ものではない とされてお り,APA 上の手続 を課 されないか らといって手続が全 く行われな くて もよい とい うこと ではない とされている39)0

33)5U.S.C.§553(bHA).

34)ALFREDC.AMAN,JR.&WILLIAMT.MAYTON,ADMINISTRATIVELAW,78 (2NDED..2001日CitingATTlericanH。sp.Ass'nv.Bowen,834F.2d.1037,1047(i). C.Cir.1987)).

35)Youngv.CommunityNutiritionInstitute,476U.S.974(1986).ヤング判決につ いては,次号収 予定の部分を参照 されたい。

36)RobertA.Anthony,WhichAgenc5,(71teJlnetationsShouldBindCitize7iSandthe ColirtSJ3,7YaleJ,onReg,1.53(1990).

37)GFJLuIORN&LEVTN,gulu,anoteat237.なお,E.ゲルホーン/ R.M,I,ヴイン (常岡孝好 ・大浜啓言訳) ・前掲書注19・183頁。

38)Barron&Kagan,sup7Tan()te22.at207.

39)See.e.a"CitizenstoPreserveOvertonPark,I.Ⅴ.Volpe.401U.S.402(1971). なお,オ‑ヴァ‑ トンパーク判決については,たとえば,大浜啓富 「アメリカにお

(11)

アメリカ合衆国における行政機関による制定法解釈と司法審餐 (i) 109 なお†本論文は行政立法 における法規命令 ・行政規則二分論の再検討を志向 するものであるので,主に規則 に注 目することとし.審決については必要に応

じて検討するにとどめることとする

2 ク リステンセン判決及び ミ‑ ド決前の 行政機関の制定法解釈 に封 する謙譲法理

本章では,ク リステンセ ン判決及び ミー ド判決が出される前にあった,二つ の行政機関の制定法解釈に対する謙譲法理 (スキ ッ ドモア法理 とシェヴロン法 理うについて レビュー してお きたいO

1 スキッドモア法理 1 スキッ ドモア判決

(1)本判決の原告 らは消防士であ り,午前7時か ら午後3時半 まで働 き,30 間の昼食休憩 をとり,週 5日間働 くこととなっていた'iO)O原告 らの「懐 での 協定 によると,週3.5‑ 4日間夜 間に消防署か消防署の近 くで当直することと なっていた41)。当直の際は,火事や何 らかの理由でスプ リンクラーが作動 し た場合 に,火災報知器に応答する以外に仕事はなかった42'。そ して被用者には, 火災報知器 に応答 した回数によって,固定報酬 に加 えて手当が支払われてい 43)。そこで原告 らは.超過勤務 による損害賠償等 を請求 した44)0

(2滞 実審裁判所 は.このような消防署での当直が勤務時間に当たるか否かに ついての事実認定 を行わなかったが,「法の結論 (conclusionoflaw)として,

けるルールメイキングの構造と展開 (五 ・完)」自治研 究636畿64頁以下(1987年) も参照 されたい。

40)Skidmore,323U.S.at135. 41)1d.

42)1d.

43)fd.at135‑136. 44)1d.at135.

(12)

原告が火災報知器に応答すべ きとされる要請の下に消防署で待機する時間は, 行政官や裁判所が解釈 した ように,公正労働基準法 (FairLaborStandards Act)により超過勤務の報酬が支払われなければならない労働時間とはならな い」 と述べた45).,そ して,控訴裁判所 も認容 したO

(3)連邦最 高裁 は,全員一致で地方裁判所 に破棄差 し戻 した46)。法廷意見で はまず,「具体的な事例 において 〔本件の ような待機時間が〕公正労働基準法 に当てはまるか否かは事実審裁判所の適切な事実認定 により解決されるべ き事 実問題である とし47), ここには 「特定当事者 間の合意の吟味及 び解釈,特 定当事者の経営側による勤務協定の解釈の評価,役務の性質の検討,そ してあ らゆる背景的状況が含 まれる」 とした郷 。 また,「議会は行政機関の役務 を, 事実 を認定 した り,特定の事例が公正労働基準法に当てはまるか否かを第一一次 的に判断す るために用 い」ず,「代 わ りに裁判所 に対 してこの責務 を課 した」

ことを指摘 した49、)。その上で次の ように述べ,行政官が示 している解釈告示 (illterPretativebulletin)や公定解釈 (rulings)の性質 を明 らかに したので ある。

議会は,行政官職 を創設 し,この行政官に対 して.様々な義務 を課 し, 本件法律 (公正労働基準法 :訳者注) に服する産業や雇用 における状況 を 知る権限を与えてお り, また違法行為 を防止するために差止命令 を行 う権 限を付与 したO行政官が 自らの義務 を遂行することで,何 もしない時間を 含む雇周の際に労働時間を決めるとい う問題においてかな りの経験や,こ の間題 を解決するに際 しての一般的な慣行の知見が蓄積 されるC これ らの ことか ら,行政官は,行為 をやめさせ るための差止命令 を求めるために, 法のない行為 について結論に到達する義務 を負 っていた り,妨害する理由

415)1d.at136. 46)〟.at140.

47) at136‑137. 4831d,at137. 49)1d.

参照

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