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0. 耐久消費財と消費者行動

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(1)

耐久消費財 と消費者行動

0 .

は じ め に

耐久消費財 (例えげ,自動車や冷蔵嵐 洗濯楓 エアコン,テ レビ, ビデオ, ステ レオなど) は,一度購入すると購入価格 に比 して若干のランニ ングコス ト をかけると,何期問にもわたって使用でき,便益の流れiあるいは;効用を得 ることがで きる.新製品が出現 して,相対的に能率が悪 くな らない限 り,購入 期 日にほとんど無関係な能率を持 っていることを考慮す るとき,消費者 は,い つ耐久消費財を購入す るのが有利 になるだろうか.1)

・このような問題 は,.耐久消費財を供給す る寡 占企業にとって も非常 に重要で ある.なぜな らば,寡占企業 といえども,消費者の行動を前提 にして,即 ち, 市場需要曲線を与件 として供給量を決定す る必要 に迫 られるか らである.従 っ て,消費者 の耐久消費財 に対す る需要 についてなん らかの情報 が手 にはいれ ば,それに基づいて生産計画をよりいっそう正確 に立てることが可能 となるで あろう. しか しなが ら,耐久消費財を供給す る寡占企業の行動 については別の 機会に触れることに して, ここでは,耐久消費財を含む場合の消費者行動 につ

いて検討することにす る.

1節で耐久消費財を含む消費者の選択問題を特定の効用関数 に基づいて設定 し,その性質 について論 じる.2節では,お もに10期間モデルの数値例を紹介

1) 昭和 56年 一昭和60年 にか けてわが国の耐久消費財購入性向 は, およそ 4%か ら 5%の間 を変動 して い る. ちなみ に, 同期 間 にお け る平 均 消費性 向 は, お よそ

78.5%か ら80.5%の間 を変動 している.(昭和60年 『経済 白書』(経済企画庁編,昭 609月)p.69の第1‑313を参照せ よ)

149

(2)

150 38 3・4

す る.最後 に, 3節で結語が述べ られる.証明の一部分 は∴付録 に集 め られて いる.

1.モ デ ル

1

耐久消費財 とは,一度購入 した ものは,購入価格 に比 して若干 の ランニ ング コス ト (ここでは, ゼロと仮定)をかければ,消費計画期間全体 にわたって使 用でさ2),便益 の流れ,あるいは,効用を得 ることがで きる財を言 う.

以下では,話を簡単 にす るために,耐久消費財 は 1単位購入するか,購入 しJ ないかの選択 しか消費者 には許 されない ものとす る.耐久消費財以外 の財 は, 各期間において1種類 とし, それ らを一般消費財 と呼ぶ. 消費計画期間 は,T

(≧ 2)期間 とす る.

従 って,消費者 に可能 な選択 は,、いっ耐久消費財を購入す るか, まった く, 耐久消費財を購入 しないか,そ して,・一般消費財でどの くらい代替す るかの選 択 となる事がわか る.

効用関数 を特定化 して,yl,y2,‑‑,yTに関 してCES型の効用関数3)

U (Ⅹ1,Ⅹ2,‑‑・,ⅩT;yl,y2,‑‑・,yT)

2)新製品が登場 して,相対的 に能率が悪 くな らない限 り,購入期 日に無関係 な能率 を 持っ ことを仮定す る.一定の率で能率が陳腐化す るケースを扱 うことは容易 にで き

る.

3)CES型 (代替の弾力性 が一定)の効用関数 であることは次の ことか ら明 らかになる.

また この ときの代替 の弾力性 の値 αは1/(k‑1)に等 しい.

本文 の式 (8)よ り

(

)菖 ( )

この式を対数微分すれば,

d(i

) / ( i) ‑

・d(

%) / ( %)

(3)

‑A∑T Ⅹ S

S±1 (1+〟)S‑1

+B∑T

耐久消費財 と消費者行動

(ys)k SLl(1+p)S‑1

151

(1)

とお く. ここで,

S:第S期 に利用可能 な耐久消費財の数量, ただ し,Xs‑1な らば,ⅩS+7‑1

(7‑1,2,‑‑・,T‑S) それ以外 は,ⅩS‑0.

ys:第 S期 の一般消費財 の数量, A,Bは正 のパ ラメーター,

k0<k<1なるパ ラメーター,

pは,時間選好率 を表わ し,非負のパ ラメーターである.

効用関数 は一般消費財 に関 して凹関数 にな っていると仮定す る.

耐久消費財 を第 t期 に購入 しよ うとす る消費計画か ら得 られ る,その ときの 効用 は,見か け上 は一般消費財の量 だけに依存す るが,耐久消費財の定義か ら 明ち かになるよ うに, 耐久消費財 を購入 しようとす る期間tに も依存す ること がわか る.即 ち,

U(0,‑‑・, 0, 1, 1, (1) (t‑1)(t)(t+1)

…Vt(yl,y2,‑‑, yT)

1 ;yl,y2,‑‑・,yT) (T)

(2) 従 って,Vtは,Uに関す る仮定か ら明 らかに凹関数 である.

t期 には じめて耐久消費財 を購入 しよ うとす る消費計画 を評価す る効用関数 Vtは,従 って, (1) よ り

VtV t(yl,y2, ‑‑,yT)

を得 る.従 って代替の弾力性の定義により

U=

穿 /豊

(4)

152

‑Ai i

商 学 38 3・4

T (ys)k

+B/ 、.

set (1+p)S1.〕SLl (1+p)S1 3 となる.

一方,耐久消費財の定義 と性質を考慮す ると,消費者が第t期に, は じめて 耐久消費財を購入 しようとするときに直面す る予算制約式 4)は,

T qsys pt T Ms

s=El(1+,)S1+ (1+r)t‑1=S=El雨 .(4)

となる. ここで, 1

pt:第t期の耐久消費財1単位の価格,

qs:第S期の一般消費財1単位の価格,

Ms:第S期の所得, r :利子率

である.

予算制約式 (4)のもとで効用関数Vtを最大にす る条件を求めよう.

予算制約式 に対応するラグランジェ乗数をAtとす ると,最大化の1階条件 として5)次の式を得 る.

kB (1+p)S‑i

qs (ys)k‑I‑Atてr宇戸

(S‑ 1̲,2, ・:,T)

̀および予算制約式 (4)が得 られる.

Atを消去す るために,S‑1のときの条件 kB (yl)k1‑Atql

(5)

(6)

4)毎期毎期 において,予算制約 を遵守す る消費者や計画期間全体 について予算制約 を 遵守す る消費者が実際 には存在す る.消費者の可能 な行動計画 は, それぞれに応 じ て,一般 には異 なるので,耐久消費財 に対す る市場需要量 は,各 々の家計が遵守す

る予算制的パ ター ンに も大 きく依存す ることになる.

5)Vt,yl,y2‑yTに関 して凹関数だか ら2階条件 も満た している.HalR.Varian, Micr10ccOnmicAnalysis.2nded.(1984.W.W.Norton&Company,lnc.) 3章を参照せよ.

(5)

耐久消費財 と消費者行動

を用 いると,

1

従 って,ysにつ いて求 めると,

1

ys (( ) S 1(普 ))前 ・yl

(S‑2, 3,‑‑,T) が得 られ る. これ らの関係式 を予算制約式 (4)に代入す ると,

1 l

yls=ETlて講 市 ((

i

f )S1(昔 ))前 ≧S!1 Ms丁'

従 って,Vtを最大 にす る一般消費財 の需要量 をy≦t)(S‑1,2,

おけば,

T Ms

山.A'AJtAJ pt

yt) Gel(1+r)Si (1+r)t1

真五 穀 =「((皆 )S1()‡古 〕

1

ys't)((揺 )S l( )) y l't'

153

(7)

(8)

(1+r)卜1

‑・,T)と

(9)

(10)

(S〒2,3, ・‑‑,T)

t期 には じめて耐久消費財 を購入 しよ うとす る消費者 が享受 で きる最大効用 Vt'とお けば,

1 .n (y≦t))k

Vt' AE

set(1+p)S1 l+BUsLJl(1+p)S1 となる.

BIHlg

(6)

154 商 学 38 3・4

さて,耐久消費財 を どの期間 において も購入 しない ときに消費者 が得 る効用 を便宜的 にVT+1とお けば,(1)よ り

T (ys)k

v T+i‑BsEl(1

+ p )

i

‑ 1

であ り, また, その ときの予算制約式 は,

T S=1

qsys T Ms

右 テ 了 =S=Eli了市 である.

v T+1を最大 にす る一階条件 を同 じよ うた して求 めよ う.5'

1

ys

‑〈 ( 揺 ) S 1 ( 普) ) 中

yl

(12)

il

(14)

を予算制約式 に代入 し, 整頓すれば, VT.1を最大 にす る一般消費財 の需要量

y≦†+1)が得 られ る.

A Ms yl(rT+1) S=L1(1+r)S1

〔 S ! 1 7 i # ( (

皆 )S1(普))

1

ys'T'1'i(if )S‑1( ) ) yl'T十 1)

(15)

(16)

(S‑2, 3, ‑‑,T)

耐 久消費 財 を どの期 間 にお いて も購 入 しな い と き古宇得 られ る最 大 効 用 を

VT*.1とおけば,

vT・・1‑Bs=;1

とな る。

iFiE

(7)

耐久消費財 と消費者行動 155

従 って,以上の考察か ら消費者 は,

Vl*,V2*,・,VT*,VT*.1

の大 きさを比較 して一番大 きくなる期 において耐久消費財 を購入す ることが最 適 な.行動 となる (ここでは,耐久消費財をどの期 に も購入 しない ことをT+1

の記号で表わ していることに注意せよ)即 ち,いま,与え られたパ ラメーター の もとで

Max (Vl*,LV2*,・,VT*)‑Vs'

だ と仮定す る.

Vs'>VTL1な らば,第S期 に耐久消費財を購入す る.

Vs'<VT*+1な らば,耐久消費財を購入 しない.

さて,pt‑ (1‑〟)pt̲1‑ (1‑〟)卜 1pl(t‑1,2,‑,T ;0< 1) のケースを検討 しよ う.即 ち,耐久消費財 の価格 が毎期毎期一定率 〝で下落す

るケースである. この とき,(9)よ りt>Tに対 して,

yt)‑

IST

l て i T戸7‑( Ms i f)

t‑1pl

〔 真甘葦戸 ( (

)S‑1(

告) ) 古〕

従 って,(15),.(16)を考慮す ると,t>Tに対 して, ys(t)>ys(T) (S‑1,2,‑,'T)

となる.

̲三 1

ut≡∑

ut‑Se t (1+p)S ‑ 1

uT+

1

≡0

vt

S =

i

l

(t‑1,2,‑,T)

>yl(I) (18)

5ilg

(20) (t‑1,2,‑,T,T+1)

とお くと, (ll) および (17)よ り

(8)

156 商 ・ 38 3・4

Vt'‑Aut+Bvt (t1,2, ・,T,T+1)

と書 くことがで きる.

(18),(19),(20)よ り任意のt>Tに対 して

ut< uT

vt>vT

aBflg

(22)

であ る.従 って,次 のよ うな自明 な命題 が成立す る.

命題 1.耐久消費財への選好度 が充分強い消費者 は,耐久消費財 を購入す る よ うになる.・即 ち.,任意 のt>Tに対 して

Vt'<VT'

な らしめるAの値が存在す.る.

革明)(21) よ り任意 のt>Tに対 して

Vrt‑Vt*

‑A (uT‑u;)+B (vTVt)

(22)を考慮す ると, あ る数 Al(t,I)が存在 して, A>A(t,7)≡B(vt‑V‑)

ur‑ut

なるAに対 して (23)が成立す る.

(23)

(24)

命題 1とま った く向 じ内容 は,一般財への選好度 を示すパ ラメーターBにつ いて述 べ ることがで きる.

命題 2.‑般財への選好度が充分強 い消費者 は,耐久消費財 の購入 を繰 りの べ るよ うになる.即 ち,任意 のt>丁に対 して

Vt*>VT*

な らしめるBの値 が存在す る.

証明 は,命題 1と同 じよ うに してで きるので省略す る.

(9)

耐久消費財と消費者行動 157

次 に,所得が増加 したときの効果 について考察す る.命題3が得 られ る.

命題 3.任意 の期間 における所得 が増加すれば,耐久消費財を購入 しようと す る時期 は,早 まるか,不変である.6)

証明)t>てなる任意 の期間を選んで固定す る.(20),(21) よ り

(1+〟)S 1 同様 に して,

aVT*‑BT

∂Mh S‑1

k(ys(T))k1

(1+p )S‑I

しか るに,(9),(10),(15),(16)より任意 のt,Tに対 して aayat: aaya T: (S‑1,2, ・‑,T,

となる.一方, (19)より t>Tに対 して yt)>y三で) (S‑1,2, ・‑ ・,T) である.

0<k<1だか らk‑1<0を考慮す ると,(28)よ りt>Tに対 して (ys(t))k1 < (ys(I))k1

従 って,(27),(29)によ りt>Tに対 して

(25)

(26)

(27)

(28)

(29)

6)所得の伸び率が一定の場合には,命題3か ら次のことが言える.

命題3A.所得の伸び率が大 きくなれは,耐久消費財を購入す る時期 は早まるか, 不変 であ る.

(10)

158 商 学 38 3・4

< (h‑1, 2,・‑,T) が成立す る.

(30)

第 1期 の耐久消費財 の価格 が増加 した ときの効果 について は,命題 4が成立 す る.

命題 4. 1期 の耐久消費財 の価格 plが高 くな ると耐久消費財購入時期 を 繰 り延べ る.plが極端 に高 くなると耐久消費財 を購入 しない.

明)(18), (19), (20 ), (21) よ り

‑BT

S‑1

k(ys(t))k‑i

(1+p)sLl

(t‑ ll,2, ・:・,T) (15),(16)よ り

∂y≦T+1)/∂p1‑0

だか ら,

∂y≦T+1) T k(ys(T'1))k‑1 ∂pl

差止 =B

∂pl s‑1 (1+〟)S‑1

従 って,(31),(32)よ り

VT*.1>Max (Vl*,V2*, ・,VT') な らしめ るplが存在す る.

‑ 0

33ilg

(32)

S (Sキ 1)の一般消費財 の価格 が増加 した ときの効果 について は,命題

5が成立す る (証明 は,付録 を参照 されたい).

(11)

耐久消費財 と消費者行動 159

命題 5.任意のt>Tに対 して

< 雷 <O

である.従 って,第S (S≒1)の一般消費財の価格が上昇すれば, 耐久消費財を購入す る時期 は早 まるか,不変である.7)

時間選好率 β,利子率 r,耐久消費財価格 の下落率 〟の変化 などが耐久消費財 の購入時期に与 える効果 については,節を改めて,数値側を検討す る.

2. 8)

消費計画期間Tの変化 を考えるモデルを除いて10期間モデルを考える. 所 得の伸 び率gM,一般財の価格の上昇率gQを一定 と仮定す る.

2.1.時間選好率 pが変化 した場合 同一市場条件

r‑0.05,

q1‑1600,gQ‑0.02, (33)

p1‑4000,〟‑0.1

に直面す る3つのタイプの消費者 1,2,3を考えよう..各消費者 のデータは, それぞれ,次のように与えよう.計画期間 は,T‑10である.

タイプ 1の消費者 のデータ

7)一般消費財 の上昇率が一定 の場合 には,任意 のt>Tに対 して

Vt'/∂ql<∂VT'/ql<0

となる (証明 は,付録 を参照 せよ).

命題 5A.第 1期 の一般消費財の価格が上昇すれば, 耐久消費財を購入す る時期 は 早 まるか,不変 である.

8)計算 はBASIC言語 によってパ ーソナル コンピューターPC‑9801F2(NEC製)

‑を用 い,単精度 で行 った.

(12)

160 38 3・4 A‑0.04, ち‑ 1, k‑0.2,

M1‑2000, gM‑0.85

タイプ2の消費者 のデータ

A‑0.045, B‑ 1, k‑ 0.2, M1‑20榊, gM‑0.85

(34)

(35)

タイプ3の消費者 のデータ

A‑0.05, B‑1, k‑0.2,

M1‑2000, gM 0.05 (36)

明 らかなよ うに,これ ら3消費者 の違 いは,耐久消費財への選好度 A の値だ けである. このとき,耐久消費財への選好度の異 なる3つの タイプの消費者の 行動 は,時間選好率の変化 に応 じてどのように変わ るであろうか.

1‑1,1‑2, 1‑3にそれぞれ時間選好率の変化 に応 じた消費者 の行 動が示 されている.

次の ことが主張で きる.

主張1‑1.耐久消費財への選好度が充分低 い (消費者1のケース) と,時 間選好率の大 きさにかかわ りな く,耐久消費財を購入 しない.

1‑1 耐久消費財への選好度が低いケース

時 期 選 好 . p‑ 入 す 時 期

(荏)パ ラメー ターの値 :

T‑10,A‑0.04,ち‑1,k‑0.2, M1‑2000,gM‑0.05,q1‑1600,

gQ‑0.02,p1‑4000,〟‑0.1,r‑0.05

主張 1‑2.耐久消費財への選好度が中程度 (消費者 2のケース) なろば, 時間選好率が低 いときは, 4期 または3期 に耐久消費財を購入す るが,ある 臨界的な時間選好率 (1‑2ではβが0.0650.066のとき)を越えると, 耐久消費財を購入 しな くなる.

(13)

耐久消費財 と消費者行動

1‑2 耐久消費財への選好度が中程度の ケース

時 間 選 好 度 p 購 入 す る 時 期耐 久 消 費 財 を

0β ≦0.053 4期 に購入 ̀

0.054β ≦0.06 3期に購入

(荏 )パ ラメー ターの値 :

T‑10,A‑0.045, B‑1, k‑0.2, Ml‑2000,、gM主0.05, q1‑1600,

gQ‑0.02, p1‑4000,‑0.1, r‑0.05

161

主張 1‑3.耐久消費財への選好度が強い (消費者 3のケース) と, ある臨 界的な時間選好率 (1‑3ではβが0.3790.38のとき) 重では,時間選

1‑3 耐久消費財への選好度が高いケース

時 間 選 好 率 β. 購 入 す る 時 期耐 久 消 費 財 を

0≦ β ≦0.005 4期に購入

0.006p≦0.059 3期 に購入

0.06 p≦0.094 ・2期 に購入 .

0.095β ≦0.379' 1期に購入

(症)パ ラメー ターの値 :

T‑10, A‑0.05, ち‑1, k‑0.2, 、 M1‑2000,gM‑0.05, q1‑1600,

gQ‑0.02, p1‑4000,‑0.1,r‑0.05

好率の増加 とともに耐久消費財の購入時期 は,4期か ら順次早 まる.しか し, ある臨界的な時間選好率を超え ると, もはや,耐久消費財を購入 しない.

時間選好率がかな り大 きくなると,し将来をほとんど重要視 しない.従 って,

(14)

162 38 3・4

耐久消費財の継続的使用による便益の評価 も低 くなるか ら,主張 1‑2, 1‑

3の場合が出て くる.

2.2 利子率rが変化 した場合 2‑1 耐久消費財への選好度が高 い

ケ ース

r 耐 久 消 垂 財 を .購 入 す る 時 期

0≦r≦̲0.068 1期 に購入

0.069≦r≦0.̲09 2期 に購入

0.091≦r≦0.124 3期 に購入

0,125≦r≦0.183 4期 に購入

(注)パ ラメーターの値 :

T‑10,A‑0.04,B‑0.5, p‑0.02,k‑0.2,M1‑2000,

gM‑0.05,q1‑1600,gQ‑0.02, p1‑4000,〟‑0.1

蓑2‑2 耐久消費財への選好度が低 い ケー ス

; 耐 久 消 費 財 を購 入 す る 時 期

0.008≦ r≦0.017 2期 に購入

0.018≦r≦0.024 3期 に購入

(荏)パ ラメーターの値 :

T‑10,A‑0.04,B‑1, p‑0.02,k‑0.2,M1‑2000,

gM‑0.05,q1‑1600,gQ‑0.02, p1‑4000,〟‑0.1

2‑1,2‑2に利子率が変化 したとき,消費者の行動にどのような影響 を与えるかを示 した. ここで,市場条件 は利子率を除いて (33)を用いる. ま た,消費者 1と消費者2のデータはBの値を除いて (34)を用いる.消費者 1

Bの値 は0.5であり,消費者 2Bの値 は1である.すなわち,消費者1 耐久消費財に対す る選好度が高 く,消費者 2のそれは低い.

次のことが主張できる.

主張2.利子率が高 くなると,耐久消費財の購入時期を繰 り下 げてゆ くが, その調整の早 さは,耐久消費財への選好度が低ければ低いほど早 く.なる.言 い換えると,耐久消費財を購入 しな くなる利子率水準 は,耐久消費財への選 好度の大 きさの増加関数になる.

(15)

耐久消費財 と消費者行動 163

2.3 耐久消費財価格の下落率 〟が変化 した場合

耐久消費財‑の選好度が高 い消費者1と, それが低い消費者2のケースが, 3‑1と,3‑2に示 されている.

3‑1 耐久消費財への選好度 が高 い ケ ー ス

耐久消費財 の価格 耐 久 消 費 財 を 購 入 す る 時 期

0≦≦0.068 1期 に購入

o.069

≦0.087 2期 に購入

OI/O88≦p≦0.124 3期 に購入

0̲:476≦FL≦0.83 3期 に購入

0.84FL.≦01.984 2期 に購入

(荏)パラメーターの値 :

T‑10,A‑0.05,B‑0.95, p‑0.02,k‑0.2,M1‑2000, gM‑0.05,q1‑1600,gQ‑0.02 p1‑4000,r‑.0.05

3‑2 耐久消費財への選好度が低 い ケ ー ス

耐久消費財の価格 耐 久 消 費 財 を 購 入 す る 時 .

0≦≦0.ll 購入 しない

0.111≦0.337 5̲期 に購入

0.338≦≦0.57 4期に購入

(荏)パラメーターの値 :

T‑10,A‑0.04,B‑1, pgo.02,k‑0.2,M1‑2000, gM‑0.05,q1‑1600,.gQ‑0.02, p1‑4000,r‑0.05

同一の市場条件 は,ILの値を除いて (33)を用 いる.また,弓肖費者 1と消費者

2のデータとして,ABの値を除いて (34)を用 いる.その他のデータは以 下の通 りである.

消費者 1のデータ :A‑0.05,B‑0.95 消費者2のデータ :A'‑0.04,B‑1

次の ことが主張で きる.

主張3.耐久消費財価格が一定

‑0)の とき,第 1期 に耐久消費財を購入 予定の消費者 1も耐久消費財価格の下落率が大 きくなるにつれて,購入時期 を第2期,第3期,第 4期‑ と繰 りのべ る.一方,耐久消費財価格が一定な らば,耐久消費財を購入 しない消費者 2にとっては,耐久消費財価格 の下落 率が大 きくなれば,第 5期 または第 4期 に耐久消費財 を購入す るよ うにな

(16)

究 . 38 3・4

主張3か ら得 られる寡 占企業への教訓 1.

耐久消費財を供給す る寡 占企業 にとって;値引 き政策 は,最適ではない.

2.4 kの値が変化 した場合9)

4‑1,4‑2には,耐久消費財への選好度 が高 い消費者 1と, それが低 い消費者2のケースが示 されている.

4‑1 耐久消費財‑の選好度 が高 い ケ ース

k 耐 久 ■購 入 す る 時 期消 費 財 を

̲0<k≦0.329 1期 に購入

0.33≦k≦0.381 2期 に購入

(荏)パ ラメーターの値 :

T‑10,A‑0.1,B‑0.9,

p‑0.02,M1‑2000,gM‑0.05, q1‑1600,gQ‑0.02,p1‑4000, FE‑0.1,r.‑0.05

4‑2 耐久消費財‑の選好度 が低 い ケ ー ス

0<k≦0.122 1期 に購入

0.123≦.k≦0.143 ̲2期 に購入

0..144≦k≦0.166 3期 に購入

0.167≦k≦0.191 4期 に購入

(荏)パ ラメー ターの値 :

T‑10,A‑0.04,B‑1, p‑0.02,M1‑2000,gM‑0.05, q1‑1600,gQ‑0.02,p1‑4000,

〝‑0.1,r‑0.05

同一 の市場条件 は,(33)を用 いる.また,消費者 1と消費者 2のデータとし て,A,Bおよび.kの値 を除 いて (34)を用 いる.その他 のデータは次 の通 りで あ る.

消費者 1のデータ :A‑0.1,B‑ 0.9 消費者 2のデー・夕 :A‑0.04,B‑ 1

9)kが大 き くなれば,代替 の弾力性 の絶対値 は大 きくなる. (3)を参照せよ.

参照

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