経営戦略 とシステム監査
‑ 戦略的情報 システムの基本的視座‑
山 田 童 生
Ⅰ.
現代企業 における環境適応‑の必然性 は,新 しい 「企業概念」 の登場 を求 め るほどに,急進 的であ る。 とりわけ,組織 構 造 と情報 システ ム との あ いだ に,
「組織 ネ ッ トワーク」 と 「情報 ネ ッ トワーク」 との有 機 的 な関連 性 を,か ぎ り な く人間組織体 と神経系 とのあいだに形成 され る,DNAの連鎖 のよ うに捉 え ることは,組織 サイバ ネテ ィックスの具体的発展方向を探 る意味 で も,興 味深 い課題であ る。 すなわち,組織変革 と情報 システムとの関連 で,現 代 の マ ネ ジ メ ン ト・フィー ドバ ック ・コ ン トロール ・システムを再構築す ることこそ,現 代企業 に共通す る最優先 の経営戦略 とな っているのであ る。
ここで,経営戦 略 は,企業 の環境変化への適応 の意思決定 と約言 で きる。 ま た,企業 の財務戦略 も,経営戦略 の一翼 を担 うもので あ る以上 , これ は,企業 資本 の動 きを通 しての環境変化 への適応 のプロセスと定義 され る。1)この財務 戦略 の目的 は,当然経営戦略 の狙 い とす るところと極限的 には一致す る。 2)
いま企業 目的を,企業 それ 自体 の利益極大化 と規定す る と,財務戦 略 は,各 種 の リスクを考慮 しなが ら (安定性志 向) で き るだ け多 くの戟 果 な い し利益 (収益性志 向) を実現す るよ う戦略的,環境 適 応 的行動 を と る こと, とい うこ とがで きる。 3)このよ うな財務戦略への大 きな期待 は,後 藤幸男 氏 に よれ ば, (1)国際財務環境 の激変,(2)国内 におけるいわゆ る 「金 余 り現象 」,(3)投 資対象
1)後藤幸男編,『現代の企業財務戦略 』,税務経理協会,1988,p.3.
2)Ditto.,ibid.,p.3.
3)Ditto.,ibid.,p.3.
〔1 〕
の変化,(4)高度情報化 の進展 ,に要約 され る。
この収益 性 と安 定 性 を同時 にで き るだ け大 き くす るた め に は, (1)Risk Management,(2)BalanceSheetControl,(3)Tax Control,(4)Restructllring を中心 とす る財 テク戦略を要 す るのである。 4)そ して,高 度 情報 化 の進展 方 向 のなかで も,企業財務 の戦略的方策 の一つ として,EDP化が促 進 され て きた 事実 に注 目す るのである。 さ らに,企業 の財務戦略 は常 に進化 している こ とか ら,経営戦 略展 開 に成功す るか否 か は,結局戦略策定者 の人 間的資質 や能 力 に 大 き く依存 していることをあげてい る。 5)
このよ うな観点 か ら,現代企業 に要求 されている経営戦略の方 向性 は,ただ 単 に環境 の変化 に適応す るばか りでな く,よ り積極的なネットワーク組織 とネッ
トワーク情報 とを連結す る観点 よ り,組織構造 と情報 システムとの リス トラク チュア リングを必然的な帰結 とす るもの と考 え られ よ う。
N.ウイナー (NobertWiener)によれば,「情報 とは,われわれが外界 に対 して 自己を調節 し,かつその調節行動 によ って外界 に影響 を及 ぼ してい くさい に,外界 との間で交換 され るものの内容 を指す言葉 である。」6)と定義 され る。 さ らに,A.マ グ ドノウ (A.M.McDonough)によれば,外 界 との あ いだで 交換 され るものにつ いて,それをメ ッセージと呼 び,さ らに3つ の種類 に細 分 した定義 をな している。 す なわち,交換 され るメ ッセー ジそ の もの をDataと 呼 び,それ に何 らかの立場 か らの評価 を加 えた もの を Information とす るの であ る。 つ ぎに,メ ッセー ジ (Data)あ るいは情報 (Ⅰnformation)に将来 の 利 用 の た めの一 般 的評価 を加 え た もの を知 識 (KollWledge) と呼 ぶ q)で あ
る。 7)
ここにデ ータ処理 (DataProcessing)と情報処理 (ⅠnfomationProcessing)
4)Ditto.,ibid.,p.8.
5)Ditto"ibid.,p.12.
6)N・Wiener,鎮 目恭夫 ・池原止文夫訳,『人間機械論』 みすず書房,1986 第 2版 , まえが さ.
7)A・M・McDonough・長坂精三郎訳 , 『情報 の経済学 と経営 システム 』好学社, 1966,p.72.
経営戦略 とシステム監査 図1‑ 1
普偏化
(理 論化 ) 概 念化 (体 系化 ) 整理
認知 (人 間 ) また は認 識
(知識 の な い機 械 )
3
とを区別 し,さ らに知識処理 (KnowledgeProcessingorlntelligenceProcess‑ ing)とい うことにな って くるのである。 す なわ ち,情報 処 理 で は,何 階層 も の付加価値 を加 え るための情報要求 の分析がな されてお り,その結 果 と して, 知識 データベース (IntelligenceDataProcessing)が形 成 され る もの と考 え
るのが一般的で あろ う。
図 1‑ 1は,それ らの関連 を理解す る上 で,参考 とな りうるものである。 8)
ここで,イ ンテ リジェ ンスとは,戦略情報 とい う語意で あ る ことは,興 味深 い事実であ る。 よ り積極 的 に捉 えれば,IntelligenceProcessingとは,戦 略情 報処理 とな るか らである。 戦略情報 とい うものは,一般的 には次 のよ うな特 性 を もつ ものであろ う。 (1)時間的 に遠 い将来 の出来事 を取 り扱 うとい うこと,(2) 情報 の加工 された度 合いが高 い こと,(3)その影響 の及ぶ範囲が広範であること, (4)その対象 とす る範囲が不確実性 や非連続性 をたぶん に持 っていること,な ど であ るC;
図 1‑2は,それ らの関連性 を図解 した もので あ る。 9)す なわ ち,組織 の階
8)和多 田作一郎,『ISDNの基礎の知 る事典 』,実数教育 出版,1989,p.219. 9)石川昭,『戦略情報 システム入門 』,日本経済新聞社,1986,p.111.
図 1‑2
層構造 にお ける情報 が, トップ ・ミ ドル ・ローワ‑それぞれ に,高度 に抽象 化 された戦略情報 ,主 と して管理的情報 ,さ らには業務 的情報 とい うよ うに,そ れぞれの情報 の内容 が説 明 され る。
以上 のよ うに捉 え ることによ り,管理 的情報及 び業務 的情報が,合理 的推 論 や科学 的思考 を要求す るのに対 して,戦略的情報 は科学 的および合理的 な推 論 が不可能 な部分 が非常 に多 く,先見性 や洞察力 とい った人間的要素 を含 む内容 で あ ることが特徴的であ る。 そ こで,情報 のネ ッ トワークと組織 のネ ッ トワー クとの間 に,よ り人 間的な有機的関連枠 を再構築す るとい う積極 的課題 へ の挑 戦 が あろ う。
現代 にお ける情報処理技術 の革新的発展 は,企業 に形成 され る組織構 造 の情 報化 とネ ッ トワー ク化 を通 じて展開 され る ものである。実際 にコ ンピュータ及 び端末機器 の普及 は急速 に展開 さてお り,企業間での通信回線 によるオ ンライ ン化 の比率 も上昇 し,と くに,金融業界 で は第 3次 オ ンライ ン化 が進 行 中で あ る。 このよ うに,コ ンピュー タを通信 回線 で結合す る方式 でのデー タ通 信 が可 能 とな り,その利用状況 は,図1‑3のよ うに飛躍 的な増大傾向を示 して いる。10'
5
50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 6061 (辛) (備 考 )郵政 省 「通 信 に関す る現 状 報告 (賓料 編)」に よ り作成
さ らに,国際 デー タ通信 を も急拡大す る国際化 の波 の影響 は,注 目す べ き事 実 であろ う。
我国の産業界 は,国際通貨 の変動 ,貿易摩擦,石 油価 格 の低下 ,ア ジアN I
ES(新興工業経済地域) の台頭 とい った国外情勢 の変化 や,国際化 ,高齢化 , 地域化 とい った国内情勢 の変化 によ って,激変す る環境変化‑の適応 を迫 られ ている。 と くに,情報処理技術 の発展 に もとづ く情報社会への移 行 は, フ ィー ドフォワー ド的な組織 の環境適応 を求 め るほどに,急進的で ある。 その た め に は,組織 を外界 に開 いたオープ ン ・システムと して捉 え,情報 ネ ッ トワー クを
10)経済企画庁,『昭和63年度経済 白書 』,1988,p.162.
促進 し,組織 自体 も柔軟 な システムとな って,ネ ッ トワーク型組 織 と呼 ばれ る ものへ と変化す るのであ る。
そ こで,ネ ッ トワーク組織 とい う概念 は,組織 内の各事業単位 を連 結 す る方 式 でのVAN (ValueAddedNetwork)や LAN (LocalAreaNetwork) な どの実現 によ って,情報 ネ ッ トワークと一体化す るのであ るO しか しなが ら, 組織 が 自己保存 システム (HomeostaticOrganization)と して存 続 す るた め
には,そのよ うなネ ッ トワーク形成 によ ってデータ ・情報 を集 め ることで はな く,処理 された情報 を再加工す ることによ って,環境への適応戦 略 を導 出す る ことに,最大 の 目標がおかれ ることになろう。 それゆえに,組織 戦 略 が再重 要 課題 とな って くる。 組織戦略の情報 システム的課題 は,(1)情報伝達 の迅 速化 と 効率化,(2)ネ ッ トワークによる利便化 ,(3)情報 の共有 による相対 的 な情 報 コス トの削減効果 な どが あげ られ よ う。 すなわち,情報 の もつ ダイナ ミズムを生 か したネ ッ トワークの形成 と展開を はか ることになろ う。 このよ うな組織構造 か ら生 ず る多様性 と不安定性 に生ず る 「ゆ らぎ」 こそが,組織戦略を生ず る源泉 とな るのであろ う。11)したが って,そのよ うな 「ゆ らぎ」 こそが,組 織戦 略 を 形成 し,組織構造 の 自己革新 を促す もの となろ う。
本稿で は,経営戦略 とシステム監査 とい うテーマの もとに,以上 の通 りの認 識 にた って,その有機的関連枠への実践 的 アプローチを試 み ること と もに,戟 略的情報 システムの基本的視座 につ いて,と くに システム監査人 を想定 した ェ キスパ ー ト・ワークステー シ ョンを中心 に,その現状 と将来像 をさ ぐる と ころ に,第一義的課題 を求 めた もの となろ う。
ⅠⅠ.
私 には一昨年 の経営学会全国大会 において,「意 思 決定 支援 システ ムへ の実 践的 アプローチ」 を,また昨年 の同上大会 で は,「人工知能 システム監査‑ エ キスパ ー ト・ワー クステー シ ョンの開発条件‑ 」 とい う論 題 で,報 告 す る機
ll)野中郁次郎 ,今井賢一 ・塩原 勉 ・松岡正剛監修 『ネ ッ トワーク時代の組織戦略 』, 第‑法規,1988,p.85.
経営戦略 とシステム監査 7 会があ りま した. これ らの研究題 目につ いて は,筆者 の これ までの研究 テーマ であ る経営情報 システム (ManagementinformationSystems)に関 す る体 系的研究 とい う観点 よ り,業務活動支援情報 システム (OperationalManage一 mentInformationSystems)‑ 管 理 活 動 支 援 情 報 シ ス テ ム (Managerial ManagementInformationSystems)‑計画活動支援情報 システム(Planning ManagementInformationSystems)へ と展望 され る研究課 題 で あ り, これ
までの研究成果 の牛歩 をあ とづ けるものであ った。 もとよ り,極 めて今 日的課 題 である人工知能 システム (ArtificalIntelligentSystems)と知識データベー
スシステム (intelligentDataBaseSystems),さ らにはエキスパ ー ト ・シス テ ム (ExpertSystems) とを,意 思決 定 支 援 シ ス テ ム (Decision Support Systems)の具体的構築活動 を通 じて実現す るものであ り,究 極 的 に は1990年 代へ向 けての戦略情報 システム (StrategicInformationSystems)を も展望 す る研究 テーマで もあ ったのであ る。 その報告要 旨について は,すで に最 近 の 報告論文集 に収録 されているため,その詳細 につ いて は,説明を省 略 させ て戴
きたい。12)しか しなが ら,そ こでの中心課題 は,企業 環 境 の変化 に適 応 す るエ キ スパ ー ト ・ワークステー シ ョンの開発 モデルをめ ぐって,第 1にスキ ャ ンニ ング ・イ ンフォメーシ ョン ・システ ム (ScanningInformation Systems) と も連動す るモデル ・イメージの必要性 ,第 2に会計情報 の概念 を拡大解 釈 す る 方式での階層型 デー タ ・ベースのネ ッ トワーク構造 の形成 ,第 3にネ ッ トワー ク型組織運用 を可能 な らしめ るコンピュータ ・システムに象徴 され る情報 シス テムの柔軟性 の追求 ,第 4に意思決定支援 システムへの具体的 アプローチ と し てのプロ.ト・モデルの提案 な どであ ったので あるo
さ らに,人工知能 システム監査 とい う研究 テーマのなかで は,情 報 システ ム の柔軟性 を追求す るための具体的 アプローチの1つ として,エキスパ ‑ ト ・シ ステムを実現す るための目棲 イメー ジとしての 「システム監査人」 を想定 した アプローチを展開 したのであ る. すなわち,(1)人工知能 と(2)システム監査 とし
12)山田童生 ・日本経営会編 ,経営学論集58『企業経営 の国際化 と日本企業 』,千倉 書房,1988,pp.204‑210.
て連動す るワークステーシ ョンにつ いて,エキスパ ー ト・システムの開発条 件 を求 め るもの̀であ ったが,あ る種 のエ ンデ ィング ・ス トー リーとな る恐 れ さえ あ る。 それで も時代 の要求 は,確実 に企業経営戦略情報 システムへ と動 いて お り,やがて は,ここでのメイ ン ・テーマを歓迎す ることさえ予知 され るので あ る。 しか しなが ら,システム監査人 とい う職業像 さえ,きわめて新 しい概 念 で あ る以上 ,当初 は業務監査 中心 に活動す ると して も,例 え ば公認 会計 士 とは, 外部監査 に関 して どのよ うな職務分担 とな るのかな ど,必ず しも明確 な共通 認 識 を持つ もの とはな っていないであろ う。 現在 の ところ,システ ム監査 人 は, 情報処理技術者 の きわめて高 い グ レー ドに位置 されてお り,その意味で は シス
テム ・アナ リス トにかな り近 い ものであ る。
さ らには,システム監査 の社会性 に照 らして,コンピュー タ犯 罪 や リス ク ・ マネ ジメ ン トなども取 り上 げてお り,そのテ リ トリーはかな り複雑多岐 にわ た る見通 しである。 ところで,当面 の システム監査 の業務 内容 は,ほ とん どED P監査 と重複す るのが,現状 であ り,そのテ リ トリーの拡 大 を含 めて,今後 の 課題 もかな り大 きな もの となろ う。 とりわけ,情報 ネ ッ トワーク社会 の近 い将 来での実現 な ど考 え合 わせ ると,システム監査人 の将来像 は,ます ます不 明確 であるとともに,その反面 で きわめて重要 な もの とな って くるであろ う。 さ ら に,最近 で は社会監査 とい う概念 さえ登場 してお り,システム監 査人 の テ リ ト リーとな る可能性 さえ示唆 されて いる。 た しか に,今 日のよ うに情報 とい う資 産 さえ認識 され る時代 を,情報化社会 と呼ぶ とすれば,情報 の氾 濫 現象 さえす でに始 ま っていると考 え られ るのであ る。すなわち,情報 の取拾選択 の能 力 こ そ,現代人 の必須 の課題 となろ う。
現代社会 のよ うに,激変す る環境 の もとで,企業組織 を維 持 ,発展 させ て い くためには,ます ます複雑化す る組織 の さまざまの レベルにおいて要求 され る 情報 を供給す る情報 システムの確立 が必要 である。 しか しなが ら,情報 システ ムは,ただいたず らに情報 を最大限 に供給 すればよい とい うもので はな く,企 業組織 内 のそれぞれの レベルよ りもた らされ る情報要求 との関連 で,情 報 の量
と質 とを選択す ることが重要 であ る。
経営戦略 とシステム監査 9 このよ うな現代認識 に もとづ いて,会計情報 システムの新 展 開‑ 戦 略 的情 報 システムの基本的視座‑ を中心 に して,論述す る。
企業組織 は,つね に環境 の変化 に応 じ,その組織構造 と情報 システ ムを変 化 させて きたのであ る。企業組織 のなかで も,もっともフォーマルな情報 システ ムに位置す る会計情報 システムは,企業 の経営活動 の全般 にわた って,(1)事 後 計算 (報告的会計),(2)現在計算 (管理的会計),(3)事前計算 (予測 的会計 ) の それぞれの情報 を提供 し,経営意思決定 に役立っ情報 システムとなるのである。
これ は,会計情報 を利用す る者 の立場 にた って,いかな る情報 を提 供 す るの が よいか,情報 の種類 と内容 の相違が意思決定者 の決定 にいか に作 用 す るか, 伝達 ない し報告 の仕方 によ って決定者 はいかな る影響 を受 けるかな どの問題 を
もその対象 とす る。 いずれに して も,情報 システムと しての会計 モデル の展 開 をめざす ことにな るのであるが,その会計 モデルの情報処理ルールの変遷 によっ て,新 しい会計職能 の領域 を もた らしたのが,今 日の会計情報 システ ムLの展 開 であ る。
会計情報 システムの具体的,実践的展開を図 るためには,企業 全体 を企 業 情 報 システムとい うフ レームワークで と らえ,その1つのサ ブシステムと して会 計情報 システムを位置づ けることを念頭 にお き,現在 ,企業 の会 計 業 務 にお い
て大 きな比重 を占め る財務会計 をベースに し,その 日常業務 のなか に,管 理 会 計 に代表 され る管理 のための手法 さ らには,戦略会計 ,行 動 会 計 ,意 思決 定 会 計 な どに代表 され る未来志 向の会計 が とけ こんでいるシステムを検討 してい く
ことが重要 で あろ う。
ここで,会計情報 システム構築 の課題 は,(1)内外 の利害 関係者 の情 報 ニ ー ズ とその意思決定 システムとの関連 を解 明 し,それ らの情報 ニーズ との適 応 プ ロ セスな どの設計 をすすめ ること,(2)会計情報 およびそれ らの関連情報 の収集 方 法 と管理方法 を確立 し,デー タ ・ベースを確立す ることの2点 に要約 され る。
第 1の課題 は,それぞれの立場 の情報 ニーズやその意思決定 システムを解 明 す ることが非常 に困難 であ り,た とえそれ らを解明 し,情報 システ ム に組 み込 んだ と して,それ らが変化す る可能性 が高 く,非効率的であ る。 そ の解 決 方 法
と して は,オペ レーシ ョナル ・レベルにお ける日常 の業務活動 を基 盤 と し,そ こで蓄積 された情報 を 目的 に応 じて 自由に加工 で きるルーチ ンや,必要 に応 じ て外部 か らの情報 を も取 り入 れて加工 で きるルーチ ンを付加 した システムの構 築 を図 ることが考 え られ る. 意思決定支援 ルーチ ンの開発 であ る。
第 2の課題 につ いて は,原始 デー タをアウ トプ ッ トの冒的 によ り各種 の トラ ンザ クシ ョン ・ファイルに振 り分 けて管理 す るので はな く,原始 デー タは原始 データのイメー ジの まま,それ も後 に検索 しやすい形 で貯蔵 し,ア ウ トプ ッ ト が必要 な場合 は,その 目的 に応 じて原始 デー タを検索 ・加工 し出力す る方 式 が 考 え られ る. 本格的なデー タ ・ベース指 向のアプローチであ る.
会計情報 システムの新展開 のための フ レームワークと して は,日常業 務 活動 によ り発生す る会計情報 およびそれ に付随す る情報 を,発生す る場所 や その タ イ ミングの時点で コンピュー タに取 り入れ,その コ ンピュー タ内 の デ ー タを, それぞれの 目的 に応 じた形 に加工 ・編集 し利用す るとい う方式 に,いか に近 づ けることがで きるかが,その構築 のポイ ン トであ る。 そ こで,コ ンピュー タや 端末機 の コ ンピュー タ ・ネ ッ トワークが,企業 内の情報 の流 れを管理 し,さ ら には企業外部 の情報 を取 り込 み,そ こか らそれぞれの 目的 に応 じで 情報 を取 り 出 し利用す るとい う,いわば,企業 内外 での コ ミュニケー シ ョンを コ ンピュー
タ ・ネ ッ トワークを通 じて行 うとい うのが理想 的な方式 であ り,そのよ うな環 境 の構築 によ って,会計情報 システムは もちろん,さ らによ り高 次 の企業 情報
システムが実現可能 となろ う。
このよ うな,いわば理想 と もいえ る,情報 システムの構 築 の ため に は,単 に
‑ ‑ ドウェアの発達 や ソフ トウェアの進展 な どの側面 か らだ けで はな く,構 造 的 アプローチ (ファームフェア),技術的 アプローチ (‑ ー ドウェア),人 間 的 アプ ローチ (ヒューマ ンウェア),機能的 アプローチ (ソフ トウ ェア) の4つ の側面 よ り考 え ることが必要 であ る。 この4つの側面 の統合的 プロセスの結果 i.して,新 たな会計情報 システムの展開,さ らには,新 た な企 業情 報 システ ム の展開がひ らけて くることになろ う。 これ らのアプローチの相互関連 を図示す れば,図 2‑1のよ うにあ らわす ことがで きよ う。
経営戦略 とシステム監査 図2‑1
(壷盲̲諒 車 重 (機能) (柵 )@
ⅠⅠⅠ.
ここで,情報 システムの新展開 とシステム監査 のあ り方 を さ ぐる葛図か ら,
図3‑ 1
Organigation Structure
ll
組織変革 と情報 システムとの関連研究 の立場 か らのアプローチにつ いて,論 述 す ることに したい。一応情報 システムの新展開 とい うことに関 して は,これ ま で に も多数 の研究者 か ら見解 が公表 されているが,ここで は,図 3‑ 1に示 さ れ るよ うに,EDPの概念 を出発点 とす る発展過程 を前提 に,議 論 をす す め る
ことにす る。
筆者 はこの図 に示 されたよ うに,基本的 には,情報 システ ム とい う言 葉 を, 情報処理 ない しはEDPとい う言葉 と,その意味合 いにおいて区別 を しなが ら, 用 いている。 しか しなが ら,現実 的 には,自分 自身 もその両者 の区別 が わか ら な くな って しま うとい う実態 に陥 ることは言 うまで もない ところであ る。 この よ うな観点 か ら,情報 システムの歴史 的発展段階的な捉 え方 を示す ことを意 図
した次第であ る。
そ こで,この図 の見方 について も少 々補足説 明をす る必要 が あ り,例 え ば, 真 ん中の黒 い線 で示 された,円錐形 の部分 は,基本 的 にはEDPあ るい は体系 的 に とらえた場合 のMISとい うものの実態 を通 じて,組織構造 を階層 的 な構 築物 と してあ らわ した ものであ る。 従 って,円錐形 その ものは当然企業 組織 の 型 をあ らわ していると考 え る。 そ して,さ らに情報 システムとのかかわ り合 い において,現在盛 ん に言 われている環境 の変化 に適応 的な型 を保持 しうる もの と考 え る。 す なわ ち,環境 の変化 に対 して適応的な展開を可能 とす る考 え方 に 立 てば,基本的 には組織 の変革 とい うものが,情報 システムを操 作 的 に取 り扱
い,構築 してい くことによ って,それが十分可能 であるとの仮説 の上 に立 って, 継続研究 をすす め ることになろ う。
とのよ うな前提条件 の もとに,情報処理並 びに情報 システムの歴史的 な発展 過程 を取 り上 げる場合 には,どうして もEDPの段階か ら出発す ることになり,
EDPが一番下 の ところに位置 されているが,それ 自身が常 に最下層 に位 置 づ け られて いて,そ こに終始す ることを意味す るもので はない。最近 ,話題 になっ て̲いる言葉 で表現すれば,システム ・イ ンテ グ レー シ ョン (System lntegra二 tion)に該 当す るのであ り,EDPのネ ッ トワークも,今組織 構 造 の形 で あ ら わ した全体 の構造 を十分 にカバ ーす るよ うな段階 にな ることは,きわめて容易
経営戦略 とシステム監査 13 な ことであ る。
ただ,筆者 な りに用語 の使 い方で注意 してお きたいあは,ここでのエキスパー トに相 当す る専門職 ない しは職業像が,システム監査人 という今 日的課題 となっ てい る点 であ り,その職業像 につ いて も,大別すれば2つの立場 に分 類 され る 点である。 その1つ は,言 うまで もな く,外部監査 の立場 にあ って,例 え ば公 認会計士 な どが実施す る,外部 か らの システム監査 とい うことで,そ の詳細 は 省略す ると して も,システム監査 の基準 に照 らし合 わせ た さまざまな展 開 が あ る。 もう1つ は,システム部 門 とかEDP部 門 とい うものに何 らかのかか わ り 合 いを持 ちなが ら,業務監査 ない しは内部監査 の立場 か ら,組織 の中 にあ る人 間 と して システム監査 とい う仕事 に携 わ っている人 々であ る。 このよ うな大別 を位置づ けなが ら,その システム監査人 とい う職業像 は,いまだ に暗 中模 索 あ るいは試行錯誤 の最中 とい うよ うに見 た方 が よいとい う考 え方 を結論的 には持 つわけであ る。
そ こで,それに至 る過程 を図 3‑2で補 いなが ら説 明すれば,EDPとい う ものが次第 に成熟すれば,マネジメ ン トの フ ァンクシ ョンとのかかわ り合 い に おいて,先 はど乗 の情報 システムと組織 の構造 ,三身一体 の展 開 のなか で,悼 報 システムとしての レベルア ップが実現す るもの と,基本 的 に考 え られ るので あ る。 それゆえに,EDPの次 に登場す るのが,MISとい う考 え方 と,会 計 情報 に着眼 したAISとい うもう1つの柱 にな っていると考 え られ る。 このM
ISとい うもの自体 は,その構築 に3‑ 4年 とい う中 ・長期計画 の考 え方 が影 響 した こともあ り,種 々の論争 を経 て,MISはブループ リン トで あ る とか, 無用 の ものであるとか,いろいろ批判 された時代 もあ ったのであ る。今 日的 に は,MISとい う言葉 を使 う,使 わないにかかわ らず,これ まで の企 業組 織 で 言 えば,企業組織 の神経系的な役割 を果 たす情報 のネ ッ トワークを構築 す る と い う意味 において,多数 の企業組織 で定着 していると考 えているわ けで あ る。
ただ し,そ こにおいて,MISが具体的 にマネジメ ン トの フ ァ ンク シ ョンと ど うい うかかわ り合 いを持 ち,どうい う効果 を上 げて きたのか とい う点 につ い ての議論 は,情報 システムの効率性 とか有効性 とい う話題 にな るので はないか
図3‑2
EXPERT WORKSTATl0N
PJannlng MIS
Managerial MIS
Operational MJS
と考 え る。 それ に対 して,情報処理 と しての全体的なネ ッ トワーク自体 につ い て,その効率性 とい うものを問 う立場 もあ る。 しか しなが ら,現段 階 で筆 者 が 理解 してい る範囲内での システム監査 とい う用語 の使用方法 は,その定着率が,
システム監査 白書 の実施調査 によれ ば,20%程度 とい うこと もあ り,13)現実 的 には,EDP監査 とい う言葉 が相 当 に以前 か ら存在 し七いるので,それ に近 い 存在 と して位置づ け られているのであ る。 その多 くの担 い手 とい うの は,内部 監査 ない しはイ ンターナル ・コ ン トロールが,いわゆる組織 の中の情報 系 が コ
ンピュー タ化 され る,あ るいは情報処理 システム化 され る,また は情 報 システ ム化 され るとい うことにな っていて,その役割 ,期待 が変 わ って きて い る とい うのが現実 的で はないか,と想定 され るのであ り,それ に伴 って シス テ ム監査 とい う専門的な立場 の理解 ,解 釈 もい ろい ろあ るので はな いか と考 えて い る
13)通商産業省機械情報産業局監修 ,『システ ム監査 白書 』, コ ンピュー タェイ ジ社 ,
1989,p.24.
経営戟略 とシステム監査 15 わけであ る。
MISとい う段階か ら DecisionSupportSystems(以下DSSと略称 ) ‑ と発展す るなかで,その境界 が どの部分 とい うのは難 しいけれ ど も,簡 単 に言 えば, ミ ドル と トップの間 に引いてある線 の部分 につ いて,それ の上 下 ,例 え ば6つのセルでDSSとい うものが構築 され る。 ワ ンシ ョッ トで非常 に有効性 あ るものを構築 してい くとい う考 え方 に立 って存在 して きている。 したが って,
MISが無用 の長物的 に近 い位置づ けを されていた段階 において も,DSSに なれば具体的な効果 が上 げ られ るとい うよ うに移 って きたので はないか と考 え るわけであ る。 今 日は,言 うまで もな く StrategicInformationSystems(以
下SiSと略称),す なわち戦略的情報 システムへ の関心 が高 くな って̲い る と 考 え られ るのであ るが,こうい う段階 に到達すれば,組織 の内的 な環境 と外 的 な環境 とい う言葉が用 い られ るのだが,これ につ いて今点線 で,筆者 自身 の無 作為 な発想で環境的な要因を取 り込 む,また内的な環境 に関 して も対象 の中 に 組 み込んでい く,これ は組織 の構造がいろいろと変動 してい くとい うと ころを 図示 す るために書かれた ものであ るが,ひ ょうたんみたいな形 にな ってみたり, あ るいはつぼの形 にな ってみた りして,組織 の ダイナ ミズムを表現 したっ も り である。
このよ うな対応 の中で発展 して きて いるとい うことを前提 に しなが ら, シス テム監査人 をエキスパ ー ト・システムと して,頂点 に位 置づ けて みれ ば,シス テム監査 の対象 とい うのは,底辺 か ら最上層 に至 るまでの全体の領域 にかかわっ て くるであろ うし,今 日的な取 り組 みがEDP,EDPとい って も底 辺 だ け と い う意味で はな く,先 はど乗 の情報処理系 として は全体 の円錐形 に張 りめ ぐら され るとい うよ うに捉 え られ るのであ り,その処理体系そのものについての様々 な対応が今 日存在 しているもの と考 え られ るわ けであ る。
したが って,筆者 自身 は,情報 システムの新展開 につ いて,基 本 的 に は,E
DP‑→MIS‑‑DSS・‑SISとい う4つの フェイズを示 したのである. そ し て,それ に伴 って,組織 の構造 と組織 の情報 システムは,環 境適 応 を迫 られ な が ら,さまざまな形 を変 え,その姿 が動 いているとい うこ とを強 調 し,それ に
よ って,システム監査人 とい う職業像 が,今 まさに暗中模 索 の段 階 か ら,少 し づっ解 明 されている過程 にあ るので はないだ ろ うか と考 えたわ けである。 もし も狭義 とい う表現 を用 いるす とれば,システム監査,EDP監査 とい う区分 を 設定 した上 での,「システム監査」とい うもの は,それ りの歴史 を持 ち,広義 に 展開 されてい ることに? いて,異論 を持 っているとい う意味で はないo
ⅠV.
それゆえに,外部監査人 と しての公認会計士 は,いわゆ る トップマ ネ ジメ ン トと机 を並べて,その企業 の さまざまな経営上 の諸問題 ,さ らに は戦 略上 の問 題点 な どにつ いて も意見が言 え る,そ うい う立場 に立っ 「システム監査人」と, その企業 の一部 門 にす ぎないEDP部 門 とか システム部門の中で,内部 牽 制 シ ステムの一環 と しての業務監査,システム監査 に携 わ ってい る立 場 とで は,同 じく 「システム監査人」 と して捉 え ると して も,おのずか らその対象範囲 も違 っ ているはずであ る。 その意味で筆者 の想定 す るシステム監査人 は,思 い切 りよ く トップマネジメ ン トの ところに位置づ けて,これか らの展望 をすすめた い と 考 えてい るのであ る。
その際,具体 的 には意思決定支援 システムであ るとか,人工知能 システ ムで あ るとか,知識 デー タベースで あ るとか,さ らにはエキスパー ト・ワークステー シ ョンの研究開発 に も基本 的関心 を持 ち,それ らの諸課題 を取 り込 み なが ら, 今 どうい うこ,とが システム監査 とのかかわ りで考 え られているのか,さ らに は システム監査 の発展方 向を模索 す るべ く捉 えてみた いので あ る。 図 4‑ 1は,
「システム監華人」 の将来像 をさ ぐる意味でのアプローチを措 いた ものである。
今 ,組織 の構造 を円錐形 で表 した と して も,近 い将来 にはいろい ろな形 に変 化 す る可能性 もあ り,斜線 が引かれてい るところに何 らかの弾力性 を意 図 して い ることか らも,将来 的 に戦略的な課題が非常 に多 くなるとか,その構成 メンバー の問題 とか いろんな ことを考 えれば,極端 な ことを言 えば,逆 の円錐 形 にな っ てい くか もしれないわ けであ る。 それを さ らに複雑化 してい きま して,この破 線 の部分 を拡大 して ボ ックス化 してみれば,まさ しく組織 サイバ ネデ ィック ・
経営戦略とシステム監査
図4‑ 1
円anmng MIS
ManageriaJ MIS
OperatIOnal M】S
17
アプローチの展開その もの とな って しま うのである。
ここで,なぜ システム監査人 とい うものを想定す る必要 があ るのか とい うこ とにつ いて,疑念 の生ず るおそれ もあ るが,これ は筆者 の個人 的 な関心 とのか かわ りにな るか もしれないが,筆者 は,今 いろいろな ところで想 定 され て い るl システム監査人 の職業像 とい うものに関 して,それを何 らかの形 で エキ スパ ー ト・ワークステー シ ョン化 してい くことが,と くに経営戦略支援 システ ムの全 容 の明確化 ・標準化 をめざす上で有効 と考 えたか らであ る。
ここで は,現存す る‑ ‑ ドウェアの中で も試行錯誤 を繰 り返 している もの の 中か ら,われわれの役割 ,期待 を こめて想定 されてい る。 すで に冒頭 で 申 し上 げま したよ うに,M ISとい うものの体系的 な考 え方 の中で,具体 的 に は組 織 サイバ ネテ ィックスの展開 プ ロセス と して捉 え ることが,試 み られたのである。
したが って,そ うい う展開の中で もいろいろ考 え るべ き問題 があ ると思 わ れ るが,と くにボ ックス化 を試 みた4つのアプローチにつ いて,それ ぞれ人 間的 アプローチ,構造的 アプローチ,技術 的 アプローチ,機能 的 ア プ ローチ とい う 名前 をっ けて,ヒューマ ンウェアとか ファームウェアとか‑ ‑ ドウェアとか ソ
フ トウェアとか,それぞれの分野でおな じみの言葉 が並べ られたわ けであ る。
そ うい うアプローチを同時発生 的 に駆使 しなが ら,試行錯誤 が続 け られ て い る ので はないだろ うか。 そ うい う形 でのエキスパ ー ト・ワークステー シ ョンとい うものが 目指 され ることが,絶対 的 に唯一無二 の方 向であ るとは考 えて いな い のだが,現在 われわれが抱 えている課題 に向か って挑戦すべ き重要 なテーマの
1つで はなか ろ うか。
これ はシステム概念 とい う考 え方 が非常 に広が りのあ る言葉 であることは言 うまで もない し,それか らサイバ ネテ ィックスとい う言葉 もマ ン‑マ シ ン ・シ ステムの構築 をめざす もの と して注 目され るのであ る。 さ らには,システ ム ・ イ ンテ グ レーシ ョンとい う考 え方 も重要 であ り,通産省 は,1988年 か らシステ ム ・イ ンテ グ レータ‑ とい う資格制度 を認定す るほどに,SI事業 が期 待 され ている。 このよ うに,さまざまな専門分野 の相互流通 ということでインターディ スプ リナ リー とい う言葉 も重要 であるとい う展開を しなが ら,わ れ われ は,悼 報 システムの新 しい発展 と,同時 に システム監査 のかかわ り合 いを考 えて いか なければな らないのである。
しか しなが ら,現在 われわれが活用で きる‑ ‑ ドウェア等 の装 置群 で,例 え ば,オ ブジェク ト志 向をめざす ワークステーシ ョンベースの仕事 と,オ フ ィス コ ンピュー タな り汎用型 コンピュータで全社的な ことでや って い く場合 に,そ のネ ッ トワークの展開 の中で,どうして も異機種 間結合 の問題 を解消す る必要 があ り,現在 の道具立 てで はまだまだ不十分 な点 が,種 々あ るので あ る。 さ ら に,ニ ュー ロネ ッ トワ‑クとい うよ うな,いわゆ るイ ンプ ッ トとア ウ トプ ッ ト の間をつ なげるもの 自体 ,いわば情報源 と情報要求 をっ な ぐネ ッ トワー クのつ
くり方 の問題 につ いて も,直列処理か並列処理 か とい うことを含 めて,非 常 に 多 くの課題 を抱 えて いる。 したが って,新 しい タイプの コンピュー タの登 場 を 待 たなければな らない部分 も含 めて,それで も現在 あ る道具立 て を駆使 して, 一歩一歩前進すべ き状況 にあ るので はなか ろ うか. その意味で,情報 システ ム の新 しい展開 とシステム監査 のかかわ り合 い とい うもの は,非常 に重要 な課題 であ り,これか らの発展 とい うものが,大 いに期待 されなければ な らな いので
経 営戟 略 とシステ ム監査 19 あ る。
しか しなが ら,すで に明 らかなよ うに,日本 の企業 におけるシステ ム監査 の 実施状況 は,きわめて低 い ものであ り,約20%程度 に とどま っている。 しか も, 調査対象企業 のほとん どが,EDP監査 とシステム監査 とを,同一 の ジ ャ ンル
において,認識 していると考 え られ る。 た しか に,通産省 の公表 した 「システ ム監査基準」 のなかで も,両者 の区分 を厳密 には していない と考 え られるので, 一般的 には,区分す る考 え方 の方が,少数派 であろ う。 さ らには,「システム監 査 コ ンサルテ ィング」 な どとい う新 しい業務 内容 を位置づ け して,社会 的 コ ン
セ ンサ スを求 め る声 さえあ る。14)そ こで は,システ ム監査 を,外 部 監 査 と内部 監査 のいずれ に位置づ けす るか につ いて も,議論 の余地 を残 しているのである。
したが って,狭義 の システム監査 の対象範囲が,いわゆ る内部監査 に限定 され, 外部監査人 と しての公認会計士 は,マネ ジメ ン ト・サー ビスの一環 と して の シ
ステム監査 コ ンサルテ ィングを心 が けるか,あ るいは企業組織 内 にシステ ム監 査 を担 当す る人材 が不足 す る場合 に限 り,システム監査人 の役割 を代行 す る こ とにな る。 これに対 して,広義 の システム監査 の対象範囲 は,当該 企 業 がVA Nな どに参加 す る場合 の企業 間 ネ ッ トワークの形成 な どを考 えれば,監 査主 体 が誰であ るか も不明 とな る恐 れがあ り,次第 に社会監査 の必要性 に近づ くので ある。 その際,どこまでが外部監査で‑ぁ り,どこか らが内部監査 か を判定 す る の は,極 めて困難 な課題であ る。
安尾勝彦氏 は,15)「システム監査 の新 たな視点」 と して,(1)企業戦略 と して の 情報 システム,(2)情報技術 の飛躍的な革新,(3)経営効果 の徹 底 的追求,(4)利 用 部門 との協働,(5)経営者 の良 きパ ー トナー とい う5点 を挙 げてい るが, これ ら
は,いずれ もシステム監査人 をェキスパ ー トとす るワークステーシ ョンの開発 方 向 と一致す るもの とな っている。 また,増 田米二氏 は,16)(1)社会監査的側面 ,
14)松 尾 明 , シ ス テ ム監 査 学 会 レジ メ,「情 報 シ ス テ ム の 新 展 開 と シ ス テ ム監 査 」,
1989,pp.ll‑18.
15)安 尾 勝 彦 , 「こ れ か ら の シ ス テ ム 監 査 人 の 育 成 」 , シ ス テ ム 監 査 学 会 誌
『システム監査 』,vol.2‑1,1989,pp.107‑109.
16)増 田米二 ,「情報経 済学 とシステ ム監 査」 ,システ ム監 査 学 会 誌 『シ ス テ ム監 査 』,
Vol.1‑1,1988,pp.34‑36.
(2)国際社会監査 的側面,(3)技術監査的側面,(4)情報資源 の価値評 価 とい う4つ の側面 か らのアプローチを通 じて,これまでの システム監査人 のあ り方 を批 判 し,よ りグローバルな第三者的な立場か らの システム監査人 の必要性 を強調 す るもので あ る。 いずれ に して も,企業 の トップマネジメ ン トと肩 を な らべ て, 経営戦略的判断を も取 り込 む一方 で,公共性 あ る独立性 を保持す るシステ ム監 査人 の登場 が期待 されてい るのであ る。 ̲
さ らに,「システム監査人」 の育成 とい うテーマにつ いて,野 々山隆幸氏 は, 財団法人 日本情報処理開発協会 中央情報教育研究所 (CA∫Tと暗称) の育成 方針 を引用 して,システム監査人 の育成 経 路 と して,17)(1)情報 システ ム専 門家 を システム監査人 に育成す る経路,(2)経理 ・財務担 当者 や業務 ・事務管 理担 当 者 を システム監査人 に育成 す る経路,(3)職業会計人 を システム監査人 に育成 す る経路 ,とい う3つをあげて システム監査人 の育成 には,ジ ョブ ロー テー シ ョ
ンと教育 ・訓練 の組 み合 わせが重要であ ると説 明 している。
いず にれ して も,松 田修一氏が述 べているよ うに,18)「企業 の経営戦略 に占め る情報 システムの比重 が増加す るほど,システム監査担当者 の もつ,(i) マ ネ ジメ ン ト能力,(ii) システム監査遂行能力 ,(iii) 企業 理 解 力 とい う総 合能 力 が重要 にな る」 と結論 され ることにな る。 したが って,システム監査人 の育成 経路 を どのよ うにすすめ るべ きか とい う立場か らも,今後 は,第三 者 的立 場 か らの システム監査人 の必要性 が,ます ます強調 され る結果 とな ることは必 須 の 条件 であ るといえよ う。 その意味で も,われわれ は,システム監査 人 を ェキ ス パ ー トとす るワークステー シ ョンの標準化 ・適用化 をすすめ る立場 か らの,組 織 サイバ ネテ ィックアプローチに対 し,よ り確実性 の高 い大 きな期待 を寄 せ て
い るのであ る。
17)野 々山隆幸 ,システム監査学会 レジメ,「情 報 システ ムの新 展 開 と シス テ ム監 査 」,
1989,pp.41‑44.
18)松 田修一,「システム監査制度定着 の方策」,システム監査学会誌 『システ ム監 査 』,
Vol.2‑1,1989,pp.4‑12.