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インターネットとデジタル経営戦略-香川大学学術情報リポジトリ

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第72巻 第4号 2000年3月 1-47

インターネットとデジタノレ経営戦略

1 . は じ め に

原 田

守 屋 康 正

インターネットや

IT

の急速な普及と進化は, トラディショナノレな経営を続 けてきた多くの企業の経営戦略に対しても,大きな影響を及ぽすようになって きた。そこでは長号│く不況により低迷する業績を回復させる業務プロセス改善 の手法や,激化する市場競争においての,より優位なポジションを確保する手 段としての認識の高まりがその背景にある。 しかしながら,インターネットはあまりにも多くの業種・業務とサービスや アプリケーションを同時平行的に巻き込んで膨張しているために,その実態把 握や成長予測が把握しづらく,各企業におけるインターネットを基盤とした経 営戦略の立案や取り組みが行いにくい状況である。またこうした不透明な状況 下では,活発な活動を行う先端企業の事例紹介などが数多くなり,かえって企 業内での混乱を増幅させる結果を招きかねない状況でもある。こうした刺激に 触発されて,いたずらに追随するような,認識をたがえた判断を行う懸念さえ 考えられる。こうした認識を一概に誤りであるとは断定できないが,少数精鋭 による知的財産を経営資源とするいわば持たざる企業としてのベンチャー企業 の経営手法と,人,物,金に代表される経営資源を延々と築き上げてきた,い わばもてる企業としての経営的ポジションの違いを認識する必要がある。 今日,各企業の情報システム部門が抱える課題は深刻である。それらは従来, ( 1) IT: Information Technology,インターネットを中心として進化する情報技術の意味 である。

(2)

--2- 香川大学経済論議 1198 ホストコンピュータを主体とした経営情報システムや基幹情報システムの構 築・運用をつかさどっていた立場が,システムの部門分散や個人分散の現象に よって,情報資源のオーナーシップが不明確になった点やインターネットなど の急速な普及により,企業を取り巻く経営環境が劇的に変化しているという事 実があげられる。すなわち,経営を取り巻く環境の変化として, ① グローパルで組織を超越するボーダレスな経営環境における,自社のコア コンビタンスの確保と企業提携組織の構築 ② 第2にインターネットの普及に伴う潜在的市場の顕在化と事業領域の確保 ③ 第

3

に変化の激しい

IT

への取り組みと業務プロセス改革 の3点であり,情報システム部門の役割と方向性と言う点においては, ① 情報システム部門の経営への貢献方法と,評価尺度の明確化 ② 情報機器や資源の部門分散やパーソナル化にともなう情報資源のオーナー シップの変化と混乱 ③ 第3に構造改革の波の中での,業務のアウトソース化や分社化による情報 子会社化 の3点が課題としてあげられる(図表1-1)。 このような混沌とした環境の中で,今後の方向性を形成するための経営と情 報システムの共通のフレームが必要である。 商用利用が可能になって

1

0

年という,どの企業にとっても未知の領域である インターネット社会への参画においては, トラディショナルな手法にとらわれ ない経営情報の分析と,不確定な状況下における経営判断をベースとした戦略 立案が求められる。さらには,このような方向性やコーポレートビジョンの提 示は,組織のコンセンサスの獲得と,それに基づく組織体制や業務プロセスの 構築が必要でトある。 こうした認識に基づき,本論説では企業が目指すインターネットをパック ボーンとする経営情報環境の構築に向けて,各企業の経営的重点、領域をあらわ すフレームを考案することで,フレーム内の各領域の特質を述べ,それらを支 える経営情報システムの役割を論じたい。

(3)

1199 イ ン タ ー ネ ッ ト と デ ジ タ ル 経 営 戦 略 図表1ー 1 イ ン タ ー ネ ッ ト 社 会 に お け る 経 営 情 報 戦 略 の 課 題 課 題 認 識 : ボーダレス環境下でのコアコンビタンス確保と 経営ビジョン 戦略 ; 企業問提携型組織 との整合が必要 J h インターネyト市場の台頭と事業領域の確保 h変化の激しいITへの取り組みと 業務プロセス改革 2.情報システム部門の役割と方向性 情報システムの経営への貢献ワ }情報資源のオーナーシyプの変化と混乱? 情報子会社,アウトソース化?

ι

1 共通認識のための

i

j フレームが必要 l

2

.インターネット環十境への取り組みと経営情報

システムの?昆舌

L

-3ー 今日,企業が直面する経営課題の一つには,インターネットに対する今後の 経営戦略の取り組み方があげられる。これは企業規模に比例して拡大する事業 領域や,複雑化する業務プロセスの効率運用に向けて,システムソリューショ ンベンダーやコンサルティング企業から提案されるインターネットの適応事例 も多岐に渡仏結果的には各分野を統合的に捉えて判断しづらい状況でもある。 すなわち,システムソリューションベンダーからは,それぞれのレベルや用 途に応じたソリューションパッケージとその活用の成功事例が数多く紹介され ているが,それらの導入が必ずしも企業の抱える課題を即刻解決する手法であ るとは言い難い。そこには,目指すべき経営の意志やビジョンと,それらを具 現化するための業務プロセスやシステム上の課題を認識して,課題解決のため の最適化やシステム連携の検討が必要なのである。 クライアント・サーバーモデノレなどの普及によって,企業内では各部門がシ

(4)

-4ー 香川大学経済論叢 1200 ステムのオーナーシップを獲得し,直面する自部門の課題解決を目指したそれ ぞれに最適なシステムの構築が可能となった。しかしながら,これら各部門の 自律的な活動は,経営的視点、での情報化投資の状況把握やシステム統制を行い にくい状況としてしまう。 各部門の独自判断でそれぞれに最新技術が採用されるようなシステム構築 は,マクロ的にはそれぞれの部門システムが,少しずつ時聞をずらしながらシ ステムの構築を行うことによって,部門間のシステムの互換性を徐々に失わせ, こうした積み重ねが企業内に実態把握が困難な,複雑かっ硬直した情報環境を 創り出してしまう。多くの場合,こうした社内的な課題解決のための部門間調 整は,もはや各業務システムに対するオーナーシップを失いつつある情報シス テム部門である。したがって,その情報システム部門が行う調整のよりどころ は,経営のビジョンであり戦略となる。 今日,インターネットは企業にとっての外的な情報環境を提供する役割をに なっているが,このような状況に対応するために,各企業は外的な情報環境と 社内の情報環境との整合が必要となり,多くの場合は企業内の業務プロセスな どの再整備を行わざるを得ない結果となる。こうした情報環境の湾整備を行う 上では,企業は自らの経営ビジョンや経営戦略の社内やパートナー企業への提 示を行うことで,コンセンサスを獲得して,システムの柔軟性,システムの接 続性,システムの永続性,情報の透過性,情報の流通性などを確保することが システム構築上の課題となる。

3

.

デジタル経営実現の為の共通フレームワーク

今日,インターネットの普及は企業に対して新しい事業創造の場を提供して いる。多くの企業では最新の

IT

技術の効果的な活用や,異業種間提携などによ る新しいサービス創造が求められる一方で,話題性が高く急速に成長を遂げる ベンチャー企業や競合企業の動向など,絶えず、インターネットを中心とした革 新的な市場動向を把握しながら,経営戦略へ反映する必要性に迫られている。 このようなカオス的に混沌とした状況の把握と分析・判断には,一般的に大き

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1201 インターネットとデジタル経営戦略 - 5ー な労力とリスクをともなう。 このような状況下において,企業の経営戦略と連動した客観性ある情報ネッ トワーク環境の構築を行うために,本項においてはインターネットなど仮想的 な事業の特質を前提とした,デジタル経営実践のための,企業経営と情報シス テム部門が共通に認識すべきデジタル経営のフレームワークについて論じる。 3..1 インバウンド・アウトバウンドの境界 低迷する経済環境を乗り切るために,各企業では拡大した事業領域や複雑化 した業務プロセスを見直すことで,コアコンピタンスの確保に向けた,経営資 源の再配置や重点、投資が活発である。すなわち,企業はかつての全方位的な経 営から脱却し,現業回帰による自らの強みを強化することで効率的な経営を目 指し始めている。このため, ① 企業内業務のアウトソース化や分社化 ② 新たなる事業創造のための異業種間提携 ③ 企業系列を超えた業界再編 など3点の動きが活発化している。 すなわち,各企業はこれまで内的組織でまかなっていた業務や事業をインバ ウンド,アウトバウンドを意識した業務プロセスや事業の見直しと,重点領域 への経営資源の再配置など一連の構造改革を行い,両者の境界を超えて外的な 組織との融合によって,これまで以上に競合力のある事業展開を試みている(図 表

3-

1)。 32 バーチャル・リアルの境界 インターネットは我々の目の前に忽然とその姿をあらわし,ここ

1

0

年間であ らゆる人々に浸透しだした仮想的な情報空間である。この仮想的な情報空間は, 時間や距離さらには組織や国境の壁を取り払いそれらの境界を融合させる,こ れまでには考えられなかったようなパワーを発揮し始めている(図表

3- 2

)

。 インターネット上の情報空間では,社会的な見地で以下の特徴を有している。

(6)

- 6ー 図表3ー1 インバウンド・アウトバウンドの境界 香川大学経済論叢 1202 [内的組織]

4

インバウンド・アウトバウンドの境界 {外的組織] "業務プロセスの アウトソース化や分社化 。異業種間提携と新規事業創出 。業種や系列を超えた業界再編 すなわち, ① インターネットはその所有者や品質保証者が不明であるにも関わらず,仮 想的な空間の広がりや安定したサービスを提供している ② 誰に対してもインターネット社会への参加権,情報アクセスの権利,情報 発信の権利や事業参入の権利を提供している ③ 時間や距離そして組織の境界をこえたコラボレーションの場を提供してい る ④仮想的な空聞においてのみ提供が可能な経済的特質による,新たなる市場 創造の場を提供している 以上

4

点の特徴である。 一方で,このようなインターネットのもつ特徴や情報空間の広がりを支える 情報基盤が

IT

であり,その急速な技術的進化があらゆる事柄をインターネッ トの中に移行させる,いわばデジタノレ・トランジションをひきおこす手段となっ ている。たとえば,紙に記された情報はスキャナや認識機能によって,デジタ 1レ'情報へ変換され,音声情報も量子化機能と認識機能をもってデジタル情報へ

(7)

1203 インターネットとデジタノレ経営戦略 - 7 変換されるが,今日ではそのようなメディア変換技術に留まらず,電子マネー, 情報提供サービスや,商品や商品販売チャネルなどのデジタlレ的シミュレー ションによって,より複合的な価値の創造が可能となった。 すなわち,

IT

のデジタル・トランジション機能を活用することで,既存組織 はバーチャル・リアルの境界の壁を超えた仮想的な組織や社会への移行や融合 が可能となり,インターネット自体が有する経済的特質や経営的メリットを享 受するようになってきた(図表3- 2)。 図表3-2 バーチャル・リアルの境界 {仮想、組織

I I

内的組織] -所有者無き運用品質の安定と 拡張の保証 ・聞かれた平等なー参加権 -時間・空間・組織の境界融合 .サイバーな経済的特質 バーチャル・リアルの境界 3..3 知識の境界 企業は現有の事業形態や取引き関係及び内的な業務プロセスをデジタルに置 換して,電子的プロセスを実現することによって,迅速かつ高効率な経営情報 システムの実現が可能である。しかしながら,企業がプライベートなネットワー クシステムをベースにしている限りでは,システムに対する企業の統制力の保 持が可能である反面,インターネットが有する極めてオープンなメリットを享 受することは困難である。たとえば,インターネットを活用した顧客との直接

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- 8ー 香川大学経済論叢 1204 的な取引きや対話,柔軟で拡張可能な企業間取引き,イントラネットによる企 業内の処理プロセスの迅速化と情報流通性,モパイルやサテライト・オフィス などのテレワークによるヘッドオフィスのオーバーヘッドを低減し機動性の高 いワークプレースの実現などにおいては,インターネットをパックボーンとし てこそ享受できるメリットである。 一方で,これまで培われてきた企業の経験的な知識では予測のできない未知 なる空間創造が,インターネット上に出現している。たとえば,これまで直接 的な関わりを持たなかった企業同士が結びついて新たな事業創造を行ったり, インターネット内の個人利用者が組織を形成して社会的に大きな影響を及ぽす ようなケースは,これまで単一の企業が培ってきた経験的な知識の延長では到 底考えつかないような事態である。 このように過去の企業活動を通じて企業が蓄積してきた経験的な知識やノウ ハウを形式知と捉えれば,インターネット社会での企業活動を通じて,現在あ るいは今後蓄積して行くであろう未知なる知識やノウハウは,暗黙知と捉える ことができる。これらは個人やごく少数の人々の頭中にあったり,他社からの 突然の働きかけで生まれたりするようなアイデアであり,それらがさまざまな 知識や価値を持つ集団と結び、ついてスパイラル的に成長し,徐々に形式化する ような知識となる。このような暗黙的知識こそが,今後の企業のユニークネス とコアコンピタンスを高める源泉となるわけであるが,それぞれの企業風土に よる暗黙知に対する受容性の違いが,企業の将来の勝ち負けを決定する要因と もなりかねない。したがって,幅広い企業組織層の人々が日ごろよりインター ネット社会と接し,企業としての共通の課題認識を有することこそが,集団と しての理解力とすぼやい判断力となり,企業内の個人や組織の情報リテラシー の違いやぱらつきの大きさが,インターネット社会においては暗黙知を育成す る企業創造力の格差となる。持たざる企業と言われる

IT

型のベンチャー企業 の成長の要因の一つには,このような暗黙知をすばやく形式知に変換する決断 (2 ) 情報リテラシー:コンビュータやネットワークをベースとした情報活用能力の意味で ある。

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1205 インターネットとデジタル経営戦略 9-力と均整のとれた情報リテラシー,それらを組み合わせた展開力があげられる。 すなわち,既存組織は知識の境界の壁を超えた暗黙的な知識や新たなる組織と の融合によって今後の企業競争力や事業展開力を高めることができる(図表3

-3

。) 図表 3- 3 知識の境界 .Web型のオープンな企業提携 .EUCによる革新的な業務プロセス "SOHO"テレワークなど 新しいワークスタイル -サイパーシチズンによる コラボレーション { 暗 黙 知 未 知 知識の境界 { 形 式 知 匹 匂 H H 昨日ヤルサハ 既存組織 3 ..4 経営と情報環境の共通フレーム 図表

3-4

にこれまで述べてきたインバウンド・アウトバウンド,バーチャ ル・リアlレ,知識の3つの境界を一般的な企業組織が位置するポジションを基準 に図示する。それぞれに主たる事業領域を有する企業の経営を,混沌とした

2

1

世 紀に向けての新たなる方向性を導き出すことは,各企業に共通する経営課題であ るといってもよいであろう。これはインターネットに直接関わる必要性を感じな

(10)

10- 香川大学経済論叢 1206 い既存企業においても同様である。すなわち,今日おきているグローパル経営, 金融改革,業界再編,リストラクチャリング,異業種間提携,流通革命,価格破 壊,などの一連の変革は,いずれにおいても現行の事業構造や業務プロセスの崩 壊を引き起こすと共に,これまで考えられなかった新規事業や業務プロセスを創 出しているからである。したがって,経営ビジョンの創出は21世紀に向けた企業 の方向性とあるべき姿を描き,組織やパートナーと共有することであり,経営戦 略がビジョンを実現する道のりと手段の提示であるとするならば,情報システム はその推進を行う上での重要な経営資源である。 [仮ホ,巳目ρ

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. 図

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表 1

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組境 構巻界] 〈境界 と 境 界 ノ ノ のイウアウウンンンドトドピミミ ~ ネ

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組ー織 ム { 形 式 知 ︼ 既知 ︻ 暗 黙 知 } 未知 すなわち,図表

3-4

に示された矢印と領域は経営としての目指すべき意思 の選択肢であり,情報システムはそれらを重点領域としてイネーブラとしての 情報基盤を構築・整備する責務を負うわけである。これが,経営とのフレーム ワークの共有化であるが,インバウンド・アウトバウンドの境界を越え,外的 な組織との融合を行うような方向性がBtoB であり,バーチャル・リアルの境 ( 3 ) B to B: Business to Business,企業間提携や企業関取引きの意味である。

(11)

1207 インターネットとデジタJレ経営戦略 -11 界を越えた仮想的中

E

織との融合を目指す方向性は,

B

t

o

C

となる。また内的な 組織における社内承認手続きや経営トップからの意志伝達などの従来型のシー ケンシャルなプロセスの存在は,そのまま階層的な組織構造の意思決定に関わ る権限委譲がなされない状況こそが,情報の伝達速度を鈍化させる要因を築き 上げてきたとも言えるわけである。 これにかわって,業務プロセスや情報伝達を電子的なしくみに置き換えて, シンプルなプロセスもしくはパラレルなプロセスへ移行するような社内の構造 改革の推進こそが, in

B

であり

BPR

である。したがって,垂直型組織から水平 型組織へのトランジションを図ろうとする構造改革は,情報システム部門との 密接な連携による経営情報システムの構築と表裏一体の関係となる。 以上のようなかたちで,経営と情報システム部門との共通認識が成立によっ て,情報システム部門が整備すべきネットワークシステムの環境が可能となる。 すなわち,経営情報環境を支えるパックボーンとしてのネットワークの位置づ けが明確化されるわけである。その情報基盤となるべきネットワークとは,第 1にエクストラネット,第2にイントラネット,第3にインターネットであり, 構築方法,活用方法そして運用方法がそれぞれに異なっている(図表3- 5)。 イントラネット,エクストラネットは,これまで企業が独自に構築してきた, カスタムメードによる専用ネットワークシステムとは異なり,インターネット によるスタンダードな技術と構造をとりいれながら,目的に応じたネットワー ク・システムをカストマイズすることである。こうしたオープン環境の導入メ リットとして, ① 技術開発費用の軽減 ② 構築納期の短縮化 ( 4 ) B to C: Business to Commerce,主にインタtーネットをベースとした,企業と個人顧 客の直接的な取引きの意味である。 ( 5 ) in B : in Business,主にインターネットやイントラネットを活用した,企業内業務の 情報化やコンビュータシステム化の意味である。 ( 6 ) BPR: Business Process Re-engineering,企業活動の効率化や競争力を高める為に再 構築される企業内の業務プロセス改革活動の意味である。

(12)

1208 香川大学経済論叢 -12-ビジネスフレームとシステムプレースの統合 図表3- 5 [外的組織] [内的組織] [仮想組織} ︻ 暗 黙 知 ︼ ︻ 形 式 知 } ビジネス十フレーム ワ l :"、 ~同 ワ ワ システム・エンハンスやパージョン・アップにおける柔軟性の確保と構築 コストの低減 ③ デファクト技術活用によるシステム・ライフサイクルの延命 ④ ⑤ インターネットへのコネクテティピティとビジネス・ポチュニティの確保 などがあげられる。 カストマイズが必要な項目は,以下の通りである。すなわち, 方 ネットワークや↑青幸│見のセキュリテイ ① ② ③ 情報共有化ルールとコンテンツのアーキテクチャ ネットワーク・インフラ上で構築する個別アプリケーションの構築ルール とオーナーシップの明確化 採用する最低限の標準的技術 運用と費用負担 基幹的業務に関わるシステム連携(生産,販売,経理,企業間取引きなど) ④ ⑤ ⑥

(13)

1209 インターネットとデジタノレ経営戦略 13-⑦ 基幹業務プロセスの処理能力を確保するためのネットワーク速度とシステ ムバランス などである。これらは,イントラネット,エクストラネットそれぞれに構築に 関わる設計思想、が全く臭なっている(図表 3- 6)。すなわち個々のネットワー クにおける情報共有のあり方や所有においてはそれぞれの特長を有している。 図表3- 6 ネットワーク・インフラの違い インターネ yト ワールドワイド (自由な流通) インターネyト 利用者 所有者なし 低 個々の資任 「ー イントラネyト

1

]

エクストラネyト│ 社内 (特定情報群共有) 企業 (コーポレート 又は特定組織群 ガバナンス) 個々の企業 企業 又は特定組織群」 高 やや高 企業資任 グループ資任 以上のように,企業経営が今後ますますインターネットとの関わりを深めざ るを得ない状況下においては,変化が激しくこんとんとした中での経営環境と しての企業情報ネットワークの構築が必要であり,経営と情報システム部門が ベクトル整合を行うための経営情報システム構築に向けた戦略的フレームの共 通認識が重要である。

4

.

デジタル経営の分類

これまで述べた戦略的フレームの共有により,インターネットを活用したデ ジタノレ経営のためのビジネス・フレームとシステム・プレースの形成が可能と なる。本節ではこれをベースに戦略的フレーム内における個々の領域に関する 特徴を述べる。

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1210 香川大学経済論叢 14-戦略的フレームにおけるビジネス・フレームとシステム・プレース 4..1 図表4-1に戦略的フレームにおけるビジネス・フレームの各領域名を示す。 すなわち,図示のように第1にビジネスプロセス領域,第2にアウトソース領 域,第3にコラボレーション領域,第4にエレクトロニックコマース領域,第 5にサイバーコミュニテイ領域の5領域が存在する。 戦略的フレームにおけるビジネス・フレームとシステム・プレース 図表 4ー 1 {外的組織] 【内的組織] [{反想組千哉] ビジネスフレーム ︻ 暗 黙 知 } { 形 式 知 ︼ 一ス一一・ 一 叶 ノ -幽 圃 一ウ一一圃 一ア一一幽 一②一一一 一︾一一 インバウンド・アウトバウンドの境界

L の宇:一・湘一二ヘイン

B

時二跡一一↑/寸---K ハ 一 一 一 ・ ι 一

l i f i h -l H 仮想空間。実空間の境界

- 一

一 ・

一 一 プ 一 ム

一 一

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・ 一

. 一 引 ン ③コラボ レーション

d/7-"Y~

⑥サイバー コミュニテイ吹 ⑤エレクトロ-oOf'

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ニァクコマース 、│

B

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C

個々の領域につけられた名称はそれぞれに領域を総称するためつけた名称で ビジネス・プロセスとは現在企業が取り組む構造改革の一環 アウトソース コラボレーションは企業聞の水平的関係における協業, として行う,社内業務や情報などのデジタル化を意識しており, は外部委託や分社化, ある。すなわち,

(15)

15-インターネットとデジタル経営戦略 1211 エレクトロニック・コマースは,現事業の延長としての仮想空間への企業進出, サイバー・コミュニティはサイバー型ベンチャーやサイバー・シチズンが主導 権を握るまったく新しい事業領域をそれぞれ総称している。 以下これら各領域における特徴的なビジネス・モデノレやアプリケーション・ システムを領域毎に事例紹介を行いながら,図表

4-2

をベースに解説する。 適 応 事 例 図表4-2 [外的組織] ︻ 暗 黙 知 } SCM、webEDI One stop shop Multi“Channel ︻ 形 式 知 } EDI, CALS PFI インバウンドドアウトバウンドの境界 [内的組織} [仮想組織]

BPR

ERP

Work style Data wear house 知識の境界 バーチャル。リアルの境界 ISP、OSS NPO,NGO One to One, Mole ビジネスプロセス領域 長引く経営環境の低迷からの脱却は各企業における最大の経営課題であり, いわゆる勝ち組と言われる企業においても,経営改善のための構造改革努力が これらは高度成長期やバブル経済期において,拡大の一途をた 4,,2 行われている。 どった事業領域を支えるために構築された事業環境が,景気の低迷によって事 業損益の悪化を招いたり,株や不動産価値の下落による含み損の増加を招いた などの要因で,悪化する経営環境の建て直しをはかり,企業の市場競争力を高 めようとする企業努力に他ならない。 一方HTTF,HTME,

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技術の確立によって,

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をベースとした無

(16)

-16ー 香川大学経済論叢 1212 限の情報リンクを可能とするインタ}ネットや,パソコンのデファクト標準化 とドラスティックな価格低下の進行は,

1

9

9

5

年以降の企業情報システムにおけ るEUC化を急速に推し進める結果をもたらした。市場価格が10万円以下のパ ソコンが購入可能となった今日,かつて情報機器購入に関する承認や決済権を 有した情報システム部門を菓議対象部門とする必要性は薄れ,各部門が経費レ ベルで調達する時代となった。すなわち,情報環境のオーナーシップが部門や 個人へと分散したことで,コーポレートサイドでの情報環境の把握が著しく困 難な状況が起きている。今日,先進企業においては,もはやl人1台のパソコ ン環境や電話環境が実現され,このような情報資源が部門固有の資産ではなく, 個人に恒久的に付与された資源設備であるという考えすら定着しつつある。 ユニファイドサーバーやテレフォニーと呼ばれる,構内電話交換機とネット ワークの相互運用技術は,

PHS

などをベースとした携帯電話などとの融合によ り,コミュニケーション環境の範囲を広げ,モパイルパソコンやPDAの普及に よってネットワーク資源へのアクセスや,電子メールがいつでもどこでも経済 的に利用できるようになり,企業情報資源のパーソナル化というパラダイムシ フトを誘発している。 このように経営環境の建て直しを目的とした構造改革や情報機器のパーソナ ル化の浸透は,社内の経営情報資源の共有化や,新たな業務プロセスの構築を 可能とする状況を創り出しつつある。すなわち,経営環境を立て直し構造改革 ( 7 ) HTTP: Hyper Text Transfer Protocol, インターネット上で交信されるweb情報

を送受信する交信手続きの意味である。

( 8 ) HTML: Hyper Text Mark-up Language,インターネット上で交信されるweb情 報を取り扱う情報表現形式の意味である。

( 9) URL: Uniformed Resource Locator,インターネット上の情報資源の論理的な所在地 を指定する形式の意味である。

(10) WWW: World Wide Web,ハイパーテキストをベースとしたインターネット上の情 報提供の形式の意味である。

(11) EUC: End User Computing,インターネットなどに掲載された情報資源やアプリケー ションを中核として,個人が利用する情報環境の意味である。

(12) PHS: Personal Handy-phone System,各地に張り巡らされた中継局を介して送受信 される携帯電話の形式の意味である。

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1213 インターキットとデジタル経営戦略 -17-を実現するには,これまで各企業が延々と築き上げてきた業務プロセスを本来 の目的に立ち返って見直し,ローコストで迅速な目的にかなった処理を可能と する業務プロセスに置き換えが必要である。このような企業内努力によって, 形骸化した社内ルールの抜本的な見直しによる規制緩和や,思い切った部門統 廃合による権限の委譲並びに意思決定の迅速化が可能となる。 一方で,情報環境や情報資源の分散は,システムのオーナーシップが分散す る結果をもたらし,企業の情報ネットワーク環境全体に対するガパナンス,部 門や社員間でのシステム整合や情報共有,更には外部環境との接続時における インターフェースやセキュリテイなど,情報システム部門によるコーポレート レベルでの情報政策の見直しを行う状況をつくりだす。 したがって,企業の構造改革は社内に浸透したネットワークアクセスを通じ たプロセス連携と情報の共有化や,エンドユーザーコンビューティング環境の 有効活用に基づいて,統合的な観点、にたった情報基盤の活用と,抜本的な業務 プロセス改革を中心に進められる。このような情報環境の構築においては,イ ンターネット,イントラネット,エクストラネットなどを情報環境の基盤とし, これまで主流であった企業によるカスタム・メード型のシステムや情報資源に 代わり,市販の汎用ソフトを活用したオープンでスカラブルなシステム構築の 方向へとシフトしている。 この背景には,パソコン自体の技術革新が激しく,カスタムメードのシステ ム自体がその変革のスピードに追いつけず,ネットワークシステム全体から事 実上孤立した専用システムとなり,時代の進化に取り残されないようにする考 えが,主流化しつつあるためである。しかしながら,このようなアプローチは, 従来基幹システムの大型開発プロジェクトを組織して,独自のシステム構築を 行ってきた情報システム部門の役割を奪う懸念を生じる結果ともなり,かなら ずしも簡単に受け入れられているわけではない。しかしながら,インターネッ トやwebをベースとした情報環境構築は,いわば既知の技術によって構築され たカスタムメードシステムをはるかに凌ぐ知識と経験を要するわけであり,情 報システム部門においても,除々にではあるがこれらの意識改革が認識されつ

(18)

18- 香川大学経済論叢 1214 つある。 半導体製造テスタメーカーとして,しばしば勝ち組として紹介されるアドパ ンテスト社は,経営トップの強い指導力によって,社内情報の徹底した電子化 と生産,営業,経理のためのERPパッケージの導入検討をプロジェクト化に よって推し進めている。そこには徹底した汎用パッケージ活用によるシステム 構築のためのコスト削減と,納期短縮へのこだわりがある。 これからのシステム形態は結果的にネットワークセントリックな情報環境に よって, web型の情報共有やプロセス業務を構築し, EUC側に搭載する個別の アプリケーションを極力排除する,いわゆる thinclient化の方向へ向かってい ると言える。このような環境下においてのソフトのインストールは,社内標準 化や推奨されたソフトを格納するデリパリサーバーからダウンロードするわけ であるが,情報システムの国際的な調査・コンサノレティング会社であるガート ナーはwebブラウザ上での操作のみで行えるようなメーカーやパージョンに 影響されない thinclientによるエンドユーザーコンビューティングを提唱し ている。 BP貨は略称としてリエンジニアリングとも呼ばれ, 1990年代から注目され ている経営改革手法であり,現行のビジネスプロセスである業務のあり方や仕 事の流れを,本来あるべき姿に戻すために根本的な再設計や組み替えを行い, コスト削減,商品・サービス品質の劇的な向上をはかろうとする手法である。 そこでの特徴は ① 顧 客 の 視 点 に た っ た 顧 客 第l主義 ② 情報技術の最大限の活用 ③ 第3に強力なトップダウンによる改革推進 の

3

点である。 またERFは,企業内に存在する生産,販売,会計やそれらに個別に存在する (14) BPR: Business Process Reengineering,仕事のやり方を抜本的に見直し,再編成す ること。 (15) ERP: Enterprise Resource Planning,全体的な業務を統合的に管理すること。

(19)

1215 インターネットとデジタル経営戦略 -19ー システム聞を共有データーベース上でリンクさせることにより,受発注の簡素 化,需給供給バランスの最適化やリアノレタイムな売り上げ管理を行うような, 基幹業務プロセスを支える重要なアプリケーションであるが,これらにおいて も企業環境のグローパル化の進展に伴い,効果的な運用システムの構築が求め られている。 トランザクションなどの大量データーを超並列的に格納して処理するよう な,情報セントリックな機能を提供して,各種の基幹システムを統合するデー ターウエアハウスは,このようなシステム連携の要求に対応するだけでなく, データーマイニング技術との連携により,各種の顧客ニーズや市場分析を可能 とする手段として注目されている。構造改革は基本的には社内の業務環境の抜 本的な見直しであるが,その改革努力は次節で述べるアウトソース化など,関 係企業との協力関係のために必要なシステム構築と運用展開と密接な関わりを 持っている。 一方で,企業に働く社員のワークプレースやワークスタイルにも大きな変革 が起きている。すなわち,テレワ}クやモバイノレワークの本格的な実施である。 こうした新しい労働形態の実現には以下のような条件の充足が必要であった。 ① 情報通信技術の発達に伴いネットワークを介して街中,サテライトオフィ ス,自宅など遠隔地聞の情報通信環境 ② 個人が持ち歩くパソコン, PDA,携帯電話などのモバイノレ機器や,家庭用 のパソコンなどが容易に入手可能となる,オフィス外での同様の勤務環境 ③顧客要求への営業やサービスの迅速な対応,通勤コスト削減,ヘッドオフィ スコストの削減を目的とした,都心にいくつかの情報と電源などのエネル ギー供給を行うような新しいワークプレース ④ 労働意識の向上や労働賃金の見直しなどを目的とした,年俸制の導入によ り目標達成の成果を評価する人事効果制度への移行と,勤務態度などの評価 ウエイトの f~下 ⑤ テレワーカーへの勤務制度や評価制度の見直しと実用面での整備 などがあげられる。

(20)

20 香川大学経済論叢 1216 4..3 アウトソーシング領域 企業を取り巻く経済環境が一段と厳しくなりつつある今日,各社は経営効率の 改善を目的として,さまざまな企業努力を行っている。このような動きの中で顕 著な事例にアウトソーシングがあげられる。アウトソーシングは,本来の社内業 務や事業を経営効率や将来性の面で見直し,外的なパワーに依存することで,経 済的な利益や本来業務への重点投資を行うことを目的とした行為である。 しかしながら,当初の経営環境にさほどのかげりが見られない状況下におい ては,機密情報の社外漏洩,プロセスの切りだしが困難,なによりもステーク ホルダーとしての社員の職を保証するなどの理由により,理論的には理解でき ても,なかなかスムースな実現にはいたらなかった。先行きの見えない経済環 境の冷え込みが一段と加速する今日においては,経営の合理化が迫られるよう になり,アウトソース化が当面の課題として現実化してきたと思われる。この アウトソース化には,第

1

に現行業務プロセス,材料,商品,ソフトウエアな どの開発を外部企業へ委託する形態,第

2

に自社内の業務などを組織的に切り だして分社化し,専業種としての事業性を高める形態が存在する。後者は特に 情報システム部門において顕著であり,多くは情報システムの計画機能,予算 立案機能を残してオペレーションを分社化する傾向にある。 こうした中で,情報子会社が本社以外の受注比率を高める外販化に成功し, 結果的に本社からの受託業務を行いながら, 1999年 9月にパイオニアから

NTT

データに

70%

の株式が売却された

NTT

データサイエンスの企業努力は 特筆される。同社は1993年パイオニア本体から情報システム子会社として分社 し,以後用途毎に異なっていた

7

機種のメインフレームを

1

機種に絞り込むこ とに成功し,企業競争力のバロメータである

MIPS

当たりの単価を約

1/5

と 先端欧米企業のサービスレートを上回るコストダウンに成功した。さらにこう した強い競争力を武器に外販比率が

50%

以上の売り上げ構成を占めるにいた (16) MIPS: MiIlion Instruction Per Second,コンピュータの性能をはかる上で,規定さ れた一連の命令ゼツトを行う回数であり 1秒間に何百万四の命令を実行するかを指し 示す性能指標の意味である。

(21)

1217 インターネットとデジタル経営戦略 21-り,パイオニアの受託業務を抱えたままでオーナー企業が代わった。 アウトソースの領域においては,中心となる委託企業と受託企業との聞での 取引関係を円滑化するネットワークシステムの構築が不可欠であるが,イン ターネットの普及に伴い専用線を介したカスタムメード型のシステムからエク ストラネットを介した柔軟で拡張性の高い汎用型システムへの移行が行われて いる。この背景には

VPN

技術の発達によって,ネットワークに対するファイア ウオールや,中継サーバレベルでのデータの自動暗号化や電子認証などによっ て,インターネットをパックボーンとしたパブリックネットワーク上で,安全 性の高い企業間ネットワークシステムが実現可能となった点が上げられる。 しかしながら,信頼できる企業間取引きシステムの構築においては,

VPN

に よる企業聞のプライベートネットワークへの参加企業同士が,アプリケーショ ンのみならずjこうしたセキュリティ面での技術レベルや運用方式において, エクストラネット全体のセキュリテイレベルを維持するセキュリティ機能のコ ヒーレンシが必要である。 アプリケーションとしては企業間での見積もり,受発注などの情報伝達を電 子化し,ネットワ}クを介した企業間取引きを行う

E

D

I

や,米国国防省の後方 補給支援システムに端を発レて,設計から調達,生産,運用などに関する企業 や団体が保有する情報を電子化し,統合管理下において企業間取引きを行う

CALS

がある。

CALS

導入による成功事例としては,ビッグ

3

による自動車部 品の共有や開発当初よりのベンダーとの共同開発,ボーイング

7

7

7

の設計製作 に関わる,日本企業との協業による開発納期の短縮,設計変更件数の低減,開 発コストの低減などの成功事例が有名である。しかしながら

E

D

I

CALS

は (17) VPN: Virtual Private Network,インターネットをパックボーンとして構成される, 仮想的なプライベートネットワークで,セキュリティ機能などによって専用のネット ワーク化をはかる手法の意味である。 (18) EDI: Electronic Data Interchange,主に企業聞での見積もり,受発注などの情報伝 達を電子化し,ネットワークを介した企業関取引きの意味である。

(19) CALS: Commerce At Light Speed,設計から調達,生産,運用などに関する企業や 団体が保有する情報を電子化し,統合管理下において企業関取引きを行う,電子商取引き 形式の意味である。

(22)

22- 香川大学経済論叢 1218 経営規模の大きな企業や団体が,サプライアに対して公開的な調達を行うよう な 1 nの関係の事例が多い。 4..4 コラボレーション領域 アウトソーシング領域がどちらかと言えば垂直統合型の関係であるのに対し て,コラボレーション領域においては,企業聞の関係がより対等な関係となり, 企業相互が有するそれぞれのコアコンビタンスを結合することで,新たなる付 加価値を創造し消費者サービスを提供する,水平分業型の領域である。この領 域においては,これまで思いもよらなかったようなサービスが突然現れ,既存 の事業をたちまちのうちに打ち壊す破壊力をもっている。古くは,家電領域に おける専門庖により絶大な販売力を有していたいわばもてる企業が,専門底を 持たない家電メーカーと量販屈の連携によって,流通経費,大量仕入れ,マー ジンカットなどの徹底した価格破壊によって苦戦を強いられる例や,最近では 取り扱う金融商品の違いを利用して同ーの庄舗で営業を行う金融機関連携など があげられる。すなわち,この領域の特徴は ①各社のコアコンピタンスの連携により,提携関係が異業種聞による水平型 である ② 従来の企業系列にこだわらず提携関係がよりオープンかつ目的志向である ③ 企業自らのコンピタンスを高めると共に,そのウイークポイントを補完す るための企業提携をベースにしたワンストップ化を志向している ④ EDIやCALSなどのシステム構築においても, 1 nの関係からn nの 関係のシステム連携志向が強い など既成概念にとらわれずに,企業相互の暗黙的知識の融合と明示化にむけた 事業展開を行う傾向が高まっている。 以上の事実を裏付ける典型的な事例として Yahoo,セブン・イレフ、ン,ソフ トパンク, トーハンが共同出資で設立した“イー・ショッピング・ブックス" があげられる。これは既存の書屈による庖頭販売とは異なり,顧客がサイト上 の書庖を訪問して書籍を注文し,自宅への配送での代金引き換え購入やネット

(23)

1219 インターネットとデジタル経営戦略 23-上でのクレジット決済購入に加えて,全国

8

0

0

0

庖舗以上のセブンイレブンの 庄頭での受け取り購入も可能である。“イー・ショッピング・ブックス"は,各 社のもつコンビタンスの提供によって,新たな付加価値の提供を行おうとする 意図がはっきりと伺える。すなわち,トーハンは

1

4

0

万点にも及ぶ書籍データー ベースと検索・注文のサービス提供によって,既存の卸に加えた新たな販売 チャネルの構築が可能となる。通常の大型庖舗でも

3

0

万冊の庖頭販売が限界と 言われるこの業界において,サイバー空間を利用した書籍販売では,より大量 の書籍情報の提供が可能であり,情報検索,書籍注文に加えて庖頭販売までも が24時間営業を可能とする点が特徴である。ソフトパンクの参画のメリット は,活発に展開する EC戦略の一環として,それぞれの業種を融合させるコー ディネーターとしての知識ベースがコアコンピタンスであり,その戦略上の基 軸はインターネットにおけるサイバー顧客の固い込みであり,顧客のロイヤJレ ティ化であろう。すなわち,常に顧客とのリンクをはかることで,新たな戦略 商品やサービス提供の展開を瞬時に行い,新たなる提携先との新規事業をサイ ノ守一空間上に送り込む役割を担っているといえる(図表

4-3

)

。 図表4-3 書籍販売のコラボレーション事例

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:国市│一品

41

瞳(

ソフトノミンク:ビジネスコーデイネーション イー ショyピングtブyクス:ビジネスシステム運用

(24)

-24- 香川大学経済論叢 1220

Yahoo

は,本来インターネット上の登録型の

web

検索エンジンを提供する, 世界有数のポータノレサイトである。ポータ1レとは玄関口のことであり,イン ターネットにおいては,ユーザーがデスクトップをログオンして,インター ネットにアクセスする際に最初に利用する

web

サイトを指す。したがって,ポー タルサイトのポジションを確保するということは,

web

を活用するマーケティ ング展開上において重要な意味をもち,そのポジション争いは蛾烈を極めるわ けであるが,競争者同士の本業が必ずしも同じではない所に,サイバー市場に おける競争の激しさと複雑さがあらわれている。現在激しい競争を繰り広げる

Excite@home

A

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は,それぞれに

web

の検索 サービスを提供しておりほぽ開業と言えるが,月間アクセス数5,400万を誇る

AOL

はパソコン通信をベースとして発展し,ポータ1レでは競合であったブラ ウザ大手の

N

e

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c

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p

e

を買収して,インターネットに精通した新たな顧客層を 獲得している。また

MSN

は,マイクロソフトが運営するサイトであるが

OS

にバンドルされた独自のブラウザであるインターネット・エクスプローラへの お気に入りのデフォノレト値として

MSN

を登録することで,有利な展開を進め ている。 こうした激しい競争の中で

Yahoo

は,無料メーノレサイトで好評の

Four1

1

, 無料ホームページサイトで好評の

G

e

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に加えてインターネット放送の

B

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c

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などを次々に買収しているが,これらはポータルサイト獲得戦略の 一環といえる。すなわち,検索エンジンのポ、ータルサイトにおけるコンテンツ を充実すると共に,既に多くのリピータを獲得しているサイトを吸収すること で,顧客との接点、の間口を広げている。この分野は次項で説明するエレクトロ ニック・コマースの領域であり本項での解説はここでとどめるが,ワンストッ プ化に向けた顧客との接触チャネルの拡大,サービスコンテンツの充実,電子 商取決済機能の提供などが参画の狙いとなっている。 セブンイレブンは売れ筋商品のみに絞り込んだ,庖頭販売による効率的な経 営展開により,今日親会社のイトーヨーカドーをはるかに凌ぐ売り上げ高と, 利益を誇るようになっている。セブンイレブンはテナントとの聞に高速の回線

(25)

1221 インターネットとデジタル経営戦略 -25ー 網を構築し,マルチメディアをベースとした売上げ管理や商品のインストラク ションを行うだけでなく,実に

1

0

0

近くの金融の取り扱う回線網を有する庖舗 仰) へと事業の拡大がはかられている。さらに,独自の

ATM

端末の設置によって, フロアコストや新たなる人件費をほぼ度外視できる,ローコストな銀行機能の 提供が可能となり,現金の取り扱いが不可能なインターネットバンキングとは, 一線を画するビジネス展開が可能である。こうしたアプローチにおいては,単 なる『決済銀行』機能を提供しても,その手数料収入や既存銀行との預け入れ 金利や将来の貸し出し金利の差別化で採算化は可能であろうし,何よりも キャッシュを持たない飛び、込み的な顧客への,現金化や口座引き落としサービ スの提供によって,商品購入の売上増が見込めると共に,顧客別売上げ管理へ の足がかりをつかむなど,ロイヤノレティ顧客獲得上のメリットは計り知れない。 今日,この回線の構築こそが顧客との接点拡大をもくろむ,金融系,チケッ ト販売,料金回収を必要とする各種サービス業の眼には魅力的な販路と映って おり,ここにコンビニ、ヱンスストアを中核としたサービスのワンストップ化を, 進行させる素地が出来上がっている。日本での事業開始当初においては,顧客 に何を行う底であるのかをブランドイメージとして定着させることから始めら れた展開は,今日では,顧客が庖舗のおおよその所在地,営業時間,庖頭商品 のロケーションに至るまでを学習し,ほとんどの顧客は事前に購入すべき物品 やサービスの種類を特定して来庖するような,きわめて効率的な営業を行う庖 舗へと成長している。今回の書籍分野提携に関連しては,既に雑誌販売におけ る売り上げが日本一となっているなど,セブン・イレブンにとってもはや書籍 販売が特別な商品ではありえないことが背景となっている。 セブン・イレブンは地域密着型の庖舗として,地元顧客が常に訪れやすい施 策を打つことがマーケティングの基本であり,ロイヤノレティ顧客の獲得を行う ために前述の金融商品に加えて,インターネットでのオーダと庖頭での商品渡 しゃ代金回収というサービス機能の提供が重要であると認識している。セブ

(26)

-26ー 香川大学経済論議. 1222 ン・イレブンのインタ}ネット・ビジネス展開は,バーチャルとリアルの市場 を融合した戦略基盤の構築を誰よりも早く実現する事を目的としている。本来 コンビニは,売れ筋商品の集中販売によって資金回転率を高める特徴を有して おり,豊富な品揃えは従来からすれば必ずしも経営方針とは異なっている。し かしながら,サイバー・マーケットとの融合によって,在庫を持たずに品揃え が可能となると共に,電子決済へのセキュリティ面にメンタル的な懸念を持つ 一般消費者が,直接的に代金決済に来庖するという点で,サイバー・マーケッ トは現行の事業を補完しながら新規市場を開拓する戦略的価値となっている。 以上,コラボレーション領域の特徴である,①コアコンピタンスの連携と異 業種間提携,②企業系列にとらわれない提携関係,③商品・サービスの補完と ワンストップ化を目的とした提携関係を説明してきた。 最後の

n n

の関係に関しては,

CALS

E

D

I

など

B

t

o

B

における進化に よる考察が有効である。図表

4-4

にその進化の過程を示す。すなわち,

CALS

においては米国国防省などが主体となり,参加企業と共に資材調達のための膨 大なデーターベースを構築した。これにより,調達コストが大幅に削減可能と なったばかりか,電子化による情報連携によって図面やマニュアルなどの膨大 な資料検索が容易となった。戦闘爆撃機F15のマニュアル類の総重量は機体の 重量以上に重く,空母カールビンソンにペーパマニュアlレを搭載すると

1

0

セン チは沈むと言われたほどに,

CALS

による電子的効果が強調された。しかしな がら,これらのシステム仕様は強力な資材調達者の統制のもとに作成されてお り,受注業者は資材調達者が変わるたびに同ーの製品であるにも関わらず,内 容を変更して情報提供を行う必要性が起きてしまう。すなわち,システムアー キテクチャー上における下位のレイヤーにおける整合はとれでも,データー表 現のフォーマットなどアプリケーションレイヤーにおいてはそれぞれに異なる 仕様が存在すると,このような現象がおきてしまう。今日, ISOなどが中心と なり,それらの整合作業が行われている。 (21) 1S0: 1nternationaI Organaization for Standardization,国際標準化機構の団体名で ある。

(27)

-27ー インターネットとデジタル経営戦略 1223 nの調達関係 図表4-4 {第 2段階} 【第

1

段階]

i

E

J

I

E

J

大手調達者 大手調達者

大手企業 政府 -複数調達者の個別仕様に よる混乱 れ基本は 1 nの関係 。大手調達者による仕様統制 1

n

の関係 すでに

E

D

I

の領域においては

web-EDI

という概念が注目され,実用化に 向けたサービスも開始されている。すなわち従来の

E

D

I

は,受発注データ,販 売情報データ,物流データなどのパッチ型のデータ転送が主流であり,企業間 取引きのためのさまざまな伝票を単に電子化したという側面が強かった。これ に対して

web-EDI

は,非定期的に情報が発生し随時変更されるような企業間 取引きに有効である。すなわち,情報交換を行うプロパイダーが仲介して情報 の提供者や情報アクセス者に対して極めてオープンな n nの企業間取引き関 これによって偶然的な結びつきも含めた バーチャル・エンター・プライゼ、スの形成が可能となる。(図表

4

-

5

)

さらには,

w

e

b

をベースにすることで,従来文字中心であった

E

D

I

にマルチ 係の場を提供するメカニズムであり, メディアを導入したり,定形的な受発注ではなく誰にでも参加できる低コスト

(28)

28- 香川大学経済論叢 1224 図表4-5 オープン化への進化 [第3

段階]

. DBを中核とした情報共有 . n nの関係 [第4

段階]

. WebとDBによるオープンな参加 n nの取引き関係 "バーチャル υ エンタープライゼズ の結成が可能 なシステム対応と,インタラクティブな商取引きが可能となる。富士通は既に 97年 11月から fTRADEX-NetJをNECは98年 2月から「インターネット EDIサービス」をそれぞれ開始し,コンテンツの充実をはかるためにスター ターとして自らの資材発注を載せると共に,取引きの場を提供している。 4れ5 エレクトロニック・コマースの領域 インターネットの普及に伴い,その市場としてのエレクトロニック・コマー スが注目されている。この市場は,従来企業が築いてきた事業の延長として捉 えるいわば既知の市場と,インターネットならではの未知の市場に大別される。 本項においては解説の都合により,エレクトロニック・コマースを既知の事業 領域として区分するが,一般的には後者もエレクトロニック・コマースと捉え

(29)

1225 インターネットとデジタル経営戦略 -29ー られている。エレクトロニック・コマースを既知の市場の延長として捉えた根 拠は,本論説の論理展開を,あくまでも従来型企業における既存事業の市場拡 大として捉えているためである。 しかしながら,エレクトロニック・コマース 領域においてのバーチャルなマーケット開拓には,本領域における独特な市場 特性とマーケティング手法を熟知する必要がある。 その主な特徴とは, ①取り扱う同一の商品やサービスであっても,販売手法は実社会とは全く異 なる ② 取引きや閲覧は顧客主導であり,企業による押し付け的な宣伝は通用しない ③ 顧客との直接的な対話が可能であり,真の顧客要求を引き出すことができる ④ 原則はパーソナルマーケティングであり,マスマーケティングとは異なる ⑤顧客に向けた市場調査では,プライパシ一保護のみならず情報提供に対す るポイント制などの明確な取引き条件を提示すれば,取引きの同意者から正 確な情報を獲得できる ⑥ 顧客の信頼を勝ち取れば,ロイヤルティ顧客を獲得するが信頼を失えば回 復は困難である ⑦ サイト訪問をした後に,庖などに現実的に来屈する顧客は既に製品知識を もち,ほとんどのケースでは購入の意志をもっている ⑧ マイクロ・ペイメントといわれるように,商品やサービスによっては小額 の取引きが可能である ⑨顧客の提供する情報の所有者は顧客であり,企業は情報掲載の場を提供し ている立場である ⑩ 顧客が顧客同士の情報連絡としてもたらされた情報は,強力な情報伝播力 をもち,インターネットにおける事業展開に大きな影響力をもっ などであり,これまで企業が培ってきた事業的概念とはかなりかけ離れており, 未だ常識といえるレベルが形成されるには至っていない。いいかえれば,競合 に先立つてこの認識と理解を知識として身につけた企業こそが,勝者となる公 算が高いと言える。

(30)

30 香川大学経済論叢 1226 このような新たなる事業展開の手法である,インターネットにおける市場特 性とマーケティング手法は,今日各種の紙面においてセンセーショナルにバー チャル・マーケットの成功事例として紹介されている。これらの事実から共通 に導きだされることは,エレクトロニック・コマースの世界が従来型の市場と は全く異なる市場であるということである。唯一従来型の事業展開と一致する 事実は,とりあえずこれまでリアル・マーケットで行われてきた商品・サービ スなどの事業展開の延長であるという点であるが,こうした事実すらもバー チャノレなマーケット展開を通じて獲得される新たな経験・知識によって,事業 展開手法や投資面におけるパラダイム・シフトを引きおこしている。 企業が仮想的な市場で事業展開を行うためには,サイバー市場にむけた独特 の情報システム環境の構築だけでなく,高度な情報発信方法や内容を企画し, 実行する能力が求められる。すなわち,リアルなマーケットの展開を行ってき た企業が,その事業の延長としてエレクトロニック・コマースの領域へ進出す ることは,とりあえずバーチャルとリアルの世界の境界融合を行うことを意味 しており,その境界融合を可能とするためには,以上の特徴を捉えた展開が必 要となるわけである。 本業の延長として,バーチャノレ・リアルの空間融合に成功している事例とし て,ヤマト運輸の市場展開があげられる。

BtoB

としての大手ユーザー企業を 主たる顧客とする大量輸送分野においては,圧倒的な強みを見せている日本通 運の狭間を縫う形で,ヤマト運輸は

BtoC

領域における個人を対象とした宅配 の輸送市場を開拓し,独特の事業展開網を構築した。これらは多分に中元や歳 暮に見られるように,個々のオフィスや個人に対しての配送を主な特徴とする 商品配送方式であり,小口の荷物がメインとなる。こうした領域においてヤマ ト運輸は,当初郵便小包の受付時間の制限,受付ける窓口迄の距離,配達速度, 到着日時,不在時の局への出頭など,顧客が抱く不満を解消する形で事業展開 を行い,顧客満足度の向上に基づいた揺るぎない事業的基盤を確立した。 結果的には,小型の配送車を主体とした配車方式と大型トラックや航空機に よる幹線輸送の組み合わせによって,迅速なドア・ツー・ドアの配送サービス

(31)

1

2

2

7

インターネットとデジタル経営戦略 31ー を実現した。デパートを中心とした盆暮れの配送はそれなりに恒常的に安定し た事業ではあるが,人・物・金の事業的資源の活用といった面では,オフタイ ム時の過剰設備の状況が発生し,結果的には全体的な配送コストを引き上げる 要因になってしまう。運送業においては空箱でのトラック輸送の減少が営業効 率を高める最大の方法であるが,宅配事業の誕生は稼働率平準化を行う有効な 解決策となっている。すなわち,盆暮れに相当する季節的なイベントの挿入な どによって多角的な事業展開が可能となり,スキー,海外旅行,ゴルフなどや 産地の生鮮食料の輸送を可能とするインフラが整備されたわけである。 これこそがヤマト運輸の有するコア・コンピタンスであるとすれば,インター ネットによる販売ルートの確保は,これらのインフラを有効利用し強化する手 段である。すなわち, ヤマトのコンビタンスは迅速かつ確実に物を届ける機能 と,必要に応じて代金を回収する機能であり,その繰り返しの回数を高めるこ とが収益の源泉となるわけである。インターネット上で顧客からの商品注文を 受注したり,ユーザーの小口の配送依頼を受注することは,ビジネス・オポチュ ニティを高める結果をもたらす。こうした背景でヤマト運輸はすでに,クロネ コ探検隊と呼ばれるサイバー・モールを開設し,全国

2

0

0

0

庖以上の加入庖舗 を有する大規模なショッピングモールへと成長させた。すなわち,在庫や情報 更新のロードワークを発生させずに,リアル世界では実現困難な巨大モールと 商品搬送仲介の事業基盤によって,各地の特産物をリアルタイムに家庭に送り とどける機能を提供している。 書籍分野においては,前述の“イー・ショッピング・ブックス"への事業協 力以外に,独自にクロネコヤマトの“ブックサービス"を開始し,好調な事業 展開を行っている。これはヤマト運輸の子会社であるブック・サービスが,何 冊注文をうけても全国一律

3

8

0

円の配送を武器に事業展開を行い,年間

2

2

万冊 の受注を受ける迄に成長している(図表

4-6

)

。 一方で日通のペリカン便も,対抗上書庖チェーンの大手である文教堂との提 携による同種のサービスを開始し,インターネット上での注文においては,売 れ筋の在庫保有により,同日の配送を可能とするまでにサービス品質の向上に

(32)

32- 香川大学経済論議: 1228

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が有名であるが,既存ビジネスの延長という意味で は紀伊国屋の“ブックウェブ"和書

1

3

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万点,洋書

2

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万点の合計

3

3

0

万点に ものぽる分野別に細分され,書籍推薦機能などを有し, 1998年時点においても 売上げ15億以上の取ヲ│き規模を誇るに至っている。 そのほか,エレクトロニック・コマース領域における,企業の進出事例は枚 挙にいとまがない。たとえば,

]AL

ANA

などの航空会社が行うチケット サ}ビスにおいては,時刻表や料金表に加えて便毎の空席情報の提供や顧客が 直接チケット予約を行えるサービスを実施しポイントサービスが受けられるよ うなまさに,本来サービスカウンターが行うべき機能の提供によって,全国ど こからでも,直接顧客へのサービスを実現しており,旅行会社ではそれらの予 約に加えて,海外の航空会社が提供する格安周遊チケットや様々な旅行パック, ホテル,レンタカー予約,さらには現地情報の提供を行っている。こうしたビ ジネスの基本は豊富なトラベル情報の提供とツアーのカストマイズと予約注文

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