<論説>経営戦略と組織間関係
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(2) 28@ (216). 第 3 号 (1987). 第 Ⅷ巻. 横浜経営研究. と 関連した企業間の. 関係づくりやそのマネジメ. ことであ る以上,企業と環境との相互作用を 積 極的にとり扱わなければならない・ それとともに ,経営戦略論と組織間関係論と は 若 千の例外をのぞげば ,ほとんど接触するこ となく,独立に理論展開が行われてきた 現状を. 課題や方法は 日本企業にとどまらず ,欧米企業 でも同様であ り,戦略的提携や戦略的パートナ 一シ,プとして注目されている ").. 若干改善しようとする 努力の一環として 位置づ. 第二には,企業間連合や提携が企業と 他企業. げられる。, .. と 経営戦略論,③企業発展と組織 問. 関係. という三つのテーマに 注目することにする ,。,. ・. 11. 経営戦略と企業連合・ 提牡 経営戦略論は ,経営戦略の形成 (Formul か . コント Ia 一ル. 一つで. ることであ る・組織間調整メカニズムの 解明 は組織間関係論の 中核的テーマであ るが,連合 ・提携以覚に ,合併に代表される2 5 に 他 企業 を内部的に吸収する 方法やょり上位機関に 働き かけろといった 政治的に調整する 方法があ る ",. しかし連合・ 提携といった , 互いに自主 あ. 性を保持しながら tion) . 実行 (Implementation). こうした. との関係を調整するためのメカニズムの. そこで三つのテーマにしぼりなが. ら,かかる課題に答えていくことにしたい・① 経営戦略と企業連合・ 提携,②利害関係者アプ ローチ. ント こそ求められているといえよう・. ,協力をつうじて,相互依存. に対処する方法こそ 最も興味のあ るテーマとな るからであ るⅥ. 企業間の連合 ( 。0"lition) は , 二 つ 以上の企業. (Control) を研究対象としている ",. したがっ コントロールされるのかは 重要な課題を 構成し ている.すでにのべたように,プロセス研究の. がむすびついて ,個別企業ではできないことを 行 ことに他ならない.企業間の連合・提携に ほ,合弁のように資本関係をともな ものとと. 台頭は戦略論と 組織論との接合をもたらした・. もに,技術提携・ 販売提携・共同生産のような. 本節では,戦略論と組織間関係論との 接合を もたらすテーマとして ,企業間の連合・ 提携. 必ずしも資本関係をともなわないものなどが 含 まれ,多岐にわたっている・また大企業を中心. (Coalition,A Ⅲ 皿 ce) といった問題をとりあ げ. として展開されている 連合の組み合わせも 多様. ることにしたい ").. 化している.異業種間連合,国際的連合,大企. て,なぜ,どのように 経営戦略が形成・. 経営戦略の実行との. 実行・. 関連では,すでに流通チ. ャネルや労使関係の 問題としてとり 扱われてい る. .しかし経営戦略の 形成との関係で ,組織. 間関係の問題を 充分とりあ げてはいないのが 現. 状であ る.経営戦略の形成とむすびつけて ,組 織間関係論の 重要性を喚起したい・そこで 組織 間関係論の適用として. ,経営戦略の形成に焦点. をあ てる.新事業展開や国際化との関連で 新た な脚光をあ びている合弁・ 提携などの企業間の 連合に注目することにしょう・ まずなぜ企業間の 連合・提携に 注目するのか について明らかにする・ 第一には現実の 企業の. 動きであ る・現代企業の 課題に, リストラクチ ャリングと国際化があ る.かかる課題に対処す るためには,企業の新たな Domain 設定とそれ. う. う. 業と中小企業との. 連合,系列をこえた連合も活. 発化している. 一般的に,企業は他企業 ( 他 組織 ) と次のよ うな場合には ,連合・提携に参加するといえよ .組織間関係論の支配パースペクティブであ う. る資源依存 " 一 スペクティブ (ResourceDependencePe,spective) に基づいて検討すること にしたいⅢ.企業が存続・成長するために 自ら. 必要であ るが,保有していない資源を獲得する ためであ ると考える. ここでい. う. 資源とは, ヒト,モノ・カネ・ 情. 報 ・技術など様々なものを 含むが, それを獲得 するためには ,. こうした資源を 保有している 企. 業との関係を 形成することが 必要になる. その意味で,企業間の連合・提携は 他企業へ.
(3) 経営戦略と組織間関係. (山倉健嗣 ). (217) 29. の 「資源依存」から 導かれるのであ り,互いに. えよう .. 欠けている資源を 補. 最後に,連合が新たな競争者を 作りだすとい う問題点も指摘しておきたい・すなわち ,連合 ・提携に よ る資源移転を 通じて,企業の競争上 の優位性が失われ ,それまでの関係が変わる 可. う. といった,相互依存性を. べ ー スとした関係に 他ならない・. こうした資源. 依存に対処するための 手段が企業間の. 連合・. 提. 携 であ る. 個別企業にとって , 他 企業との連合・ 提携は. 能 性をもっていることであ. る.. との合弁のねらいは ヵン,ン方式に代表される. このように企業間の 連合・提携は ,利点とと もに問題点ももっている・そこで ,企業の現代 的戦略課題であ る新規事業の 展開や国際化の 推 進 と関連づけて ,企業間の連合・提携を展開し ていく場合の 留意点について 検討したし 剖 '. し たがって,企業間の連合をいかに 推し進め,管. トョタ 式生産方式であ った.. 理していくのかを 問うことになる.. 次のような利点をもっているⅢ.第一には,. 自. らの必要とする 資源・情報を 容易に獲得するこ とができることであ る. 他 企業との連合によ り. ,. 内部開発よりは 早い時間で ,. 自らに欠けて. る・ GM. いる資源を獲得するわけであ. の トョタ. これに は 二つの課題が 含まれる.連合ネット. 第二の利点は , 他 企業との連合によって , 新. しい企業行動や 思考様式について 学習すること であ る⑥・ 他 企業と組むことによって ,従来に はなかった行動や 思考様式を実際の 経験をつう じて知ることができる.味の素は CPC との 合 弁 により,新たなマーケティンバ手法を獲得し ている.. 第三の利点は , 他 企業からの継続的支持を 獲. 得することの 一助となることであ る・企業間遠 合 が企業間の協力体制をつくりあ げるからであ る.. また 他 企業との連合が 当該企業の「威信」を. 高める効果をもっている.. とりわけ,欧米企業. との国際的提携は ,その地域ではあまり知られ ていない日本企業に 事業展開の正当性を 与え, PR 効果をもっ点は 無視しえない , しかしながら ,企業間の連合・ 提携には問題 点も含んでいる⑨.一つは,企業自らの 自主性 が 失われるという 危険があ る点であ. る・. との連合は他企業からの 制約を意味し 量の余地を少なくするからであ. 他 企業と共同で 事業展開を行 を内. ヰこ. う. 換えれば,連合構想とその実行といえる. 企業間連合形成の 第一の問題は ,連合の戦略 的方向を定めることであ り,連合の方針を決定 することであ る. しかも企業の 全社的戦略のな. かに連合を位置づけることであ る. こうした連合構想によって ,連合の目的も明 確になるのであ る.パートナ一の選択において. も「何のために 連合するのか」が 重要であ るが, その場合でも 一定の方向性に 導かれなければな らない "'. 特に,企業間連合が多様で多角的に なればなるほど ,連合構想の明示が必要となろ ・いわば戦略思考にもとづく 連合の樹立が 急 務であ る. う. それと関連し ,. ト,プ・マネジメントの 支援. やコ、 ッ トメントこそ 重要であ る.連合はまさ. に戦略そのものであ り,最高経営層 がいかにか じとりをしていくのかが 連合の成否をきめ. 自由裁. ,たしかに連合に関する具体案は 企画部門や 業務部門よりもたらされるが ,それを一般化し 全社的な方向 づ げを与えるのがトップの 任務で あ る・新規事業の 展開が企業の 基軸から離れれ ば 離れるほど,連合の必要性は高まるが ,それ. る・. ことは利害対立. 含むので,いかに利害調整をはかるのか. が常に問題となってくるのであ る・企業連合で は相互信頼が 強調されるが ,それは当事者間で 対立という根をもっていることの. る.言い. 他 企業. る.. もう一つは当事者間のコンフリクトであ. ワークの形成とそのマネジメントであ. 現われともい. よ. ぅ. に 応じた連合の 意味 づ げや解釈、も重要になるか らであ る "). 次の問題 は ". 一. トナ一の選択であ る.連合を.
(4) 30@ (218). 第 Ⅷ巻. 横浜経営研究. 第 3 号 (1987). 有効に展開するためには ,良き パートナーを 選. にかかわっている 劫 ,連合ネットワークにおい. 択しなければならない・まず 考慮すべきことは ,. ては,所有をべー スとした一方的強制力による. 自社の保有している 資源の確認と ,補完しなけ. タイトな統合はむずかしい・ むしろ相互了解にもとづくソフトな 統合手段 が必要であ ろう・信頼関係を 生みだすための 仕 掛 げが求められている・ 企業内,ネットワーク 内での人の配置とも 連動している・. ればならない 資源の点検であ る. これに. 自らの強みを 発見し, しかも補完すべ. よ. り. ,. き 弱みも. わかるからであ る. すでにのべたように , 自らに欠けている 資源. の獲得 であ. る・. ( 自らの資源補完 ). こそ連合の必要条件. また連合を継続的に 管理していくためには ,. こうした資源評価にもとづいてパート. 初期の連合・. ナ一 を選択しなければならない.そのさい,パ. ートナーを調査解釈するスキャニンバ. 部門の役. 割は大きい.. 提携の経験が 重要であ る・結果が. 成功であ れ失敗であ れ,初めの連合経験から企 業が獲得した 知識が,その後のネットワークを 大きく規定していく ,。, .. また,パートナーと「ものの考え方」が共通 であ るかどうかも 重要であ る "). ビジネスに つ いて同じ考え 方をもつ企業同士の 連合 は 相互信. 合 のとり扱いにお. 頼を醸成し成功する 確率が高い.. の分離型を採用している. しかし,今後は戦略. 連合 ネ、. ッ. トワークを管理する 社内体制づくり. も求められる・. このように形成された 連合ネットワーク は 新. 従来,日本企業では,企業間適 し. 、 て ,計画部F 日 と統制部門と. 思考と連動した 部門の設置や 部門間の連携が 必. たな問題を企業に 課すことにもなる・ 特に,従 来のネットワークに 新たな連合ネットワーク を. 要となる.計画部門- 実行部門 - 統制部門が戦略. 構想のもとに 一体化した組織が 望まれる ").. つ げ加えることで ,企業は新たな調整問題に直. 形成段階と同じく. ,最高経営層の役割も無視. 日常業務遂行のためのネットワーク と 将 来 業務遂行のためのネットプークが 並列する. 連合を促進する 雰囲気づくり. ことになり,それへの対処が必要となる ,。, .. などのコンテクストづくりが 求められる・. しえない・それは 所管部門の設立のみならず ,. 面する・. ここまで戦略思考にもとづく 連合形成につい て述べてきた・ 次に連合ネットワークをいかに 管理するのかについて 若干ふれることにした. ,戦略的人材配置. I11. 利害関係者アプローチと 経営戦略論 経営戦略論と 組織間関係論との 接合の第二の テーマは利害関係者アプローチ (St荻 eholder. い. この課題は個々の 自主性を生かしながら ,. 全体ネットワークの 統合をいかに 確保するのか. の て @V つ. 者. 係 関. 利害 何か なは. 重要 仮定. く Ⅰノ. 口 ト@ ン コ. 予. 算. 略成 形. 戦. 向 方 的 略 戦. (戦略プロバラム ). ・誰が利害関係者か. ・利害関係者はどのように. ・利害関係者をとり 扱う. 事業部,事業,職能に 影. ために資源を 配分. 響を与えるのか. するのか. ( 図り. 経営戦略プロセス.
(5) 経営戦略と組織間関係. (山倉健嗣 ). (219)@31. App,oach) であ る・利害関係者という 概念は. い る.通常,戦略策定と 実行とに 分 げられるこ. SRI (Stanford Rese 荻 ch Ins 田 ute) によって提 起され, Acko Ⅱなどによる 展開をへて, Edward Freeman によって,経営戦略論として統合・体. とが多いが, Freeman は Lorange の所説に従 い , 五つの課題を 考えている ",. ①戦略的方向 (Strategic Dire.Ction). 系化された 狗 .組織間関係論との 関連でいえば ,. 組織の方向あ るいは、. 組織セットレベルにおける 新たな展開であ り,. か. 経営戦略論に 対する組織間関係論の 貢献の一つ. ②戦略形成. と考えられる ,。, .つまり,利害関係者という 概. 念を導入することによって ,経営戦略論の活性 化を期待することができる. しかも,組織間関 係論にとっても ,行為志向的 (Action-oriented). 方法で,利害関係者を管理するプロセスを することにつたがる.. 解明. しかしながら , 今までの. ッ. ションとは 何. (Strategy FormuIation). どんな系 路 ・戦略が 、 ッシ,ンを達成す るのか.. ③予算 (Budgeting) 一一どんな資源配分が 戦略に対して 行われる のか・. ④戦略コントロール. (Strategic Control). ところ充分にその 意味が検討されていない・ 利害関係者アプローチは「経営戦略が 変動す. 一一どのように 戦略が実行されることを 確保. る環境のなかで 策定,実行される」ということ を前提としている. このことは,企業が存続・. ⑤構造 (Structure) 一一実行のために 必要なマクロなシステム・. 成長するために 対応しなければならない 利害関. 構造は何か・. 係 者が多岐・多様になってぎたという. こうした課題は. 現実があ. る・そこで組織と 多様な要求をもつ 他 組織との 関係をいかに 管理するかが 経営管理者の 重要な 任務であ る,。 ,.. この問題 は 経営戦略と深くも す びついてい. するのか・. り,. (図. ,利害関係者という概念によ. n のように拡大・ 再 解釈される・. ,経営戦略の出発点は戦 略 的方向を明らかにすることであ るが,そのた めには,まず,「組織の目的達成に 影響を与え, すでに述べたよらに. ・すなわち,経営戦略の策定・実行・コント ロールは「利害関係者」という 概念によって 再. 影響を. 解釈されるわけであ る・ 経営戦略には 次のような基本課題が 含まれて. 利害関係者かを 明らかにすることであ. り,利害. 関係者のマップを 作成することであ. ",.. る. パワー. 利害. 公式的あ るいは投票. ぅ. げる集団」であ る利害関係者を 識別し. なければならない・つまり ,組織にとって , 誰が. 経済的. 一株主 株式. 政 %き 的 一批判的株主. 一 取締役. 一少数利害. 債権 者. 一. 経済的. 一労働組合. 影響関係. 一. 供給業者. 一顧客. 一地方自治体 一 外国政府 一消費者集団 一労働組合. 一政府. EPA. 一 ライフ・ネイダー. 一SEC. OSHA. 一政府 一業界団体. 一外部取締役. ( 国初. 利害関係者グリッド. グループ. る. こ. う.
(6) 32 (220). 横浜経営研究. 第Ⅷ 巻. した識別に よ り,利害関係者に対する対応も 提 示することができよう・そのためには ,利害関 係 者の分析一一具体的にはその 行動 ( 現在・ 将 来 ) や 目的,利害関係者はどのようなパワーを 行使するのか ,利害範囲 ( 株式・市場・それは 外 ) の 識別一一を行わなけれ ば ならない ( 図 2 コ. こうして利害関係者の 識別というフレーム ヮ 一. クに続いて,組織の経営管理者 は 社会におけ. 6 組織が何であ るのか,またどんな役割を果た. 第. 3. 号 (1987). 年間の主な社会問題は 何か②社会問題はどのよ に組織と利害関係者に 影響を与えるのか ) を う. 通じて行われる 鋤. ・. こうした手続をふまえ ,. 三. 者の分析がうまく 適合する よう に,組織の社会 的 役割に対する 反応を決定しなければならぬ い とりわけ,利害関係者への対応についての 理念の確立が 重要になる ". ・. 以上の ょ 5 な利害関係者の 識別や対応のため の「ものの考え 方」の考察につづいて ,利害関. すべ き かを検討しなければならない. これは En 忙中 rise Strategy と よ ばれ, Corporate. 係 者に対する戦略 プ p グラムを提示しなければ. S 廿ategy の上位レベルの 戦略といえる・いわば ,. 其体的な問題解決プロセスであ る. (Freemm は 戦略マネジメントプロセスとよんでいる )C 図. 明示すること であ る・こうした 方向設定プロセス (Ente 印 rise Strategy の形成プロセス ) は , ③利害関係者 分 析 (①誰が利害関係者か②どんな 効果をもつの か ③利害関係者はその 効果をどのように 知覚す 組織の社会的アイデンティティを. るのか ), ⑤価値分析 ( ①組織の支配的価値とは 何か②トップの 価値とは何か③中核的利害関係 者の価値は何か. ), ⑥社会問題の 識別 (①次の 10 1, 利害関係者 行動分析. ならない・これは ,利害関係者をマネイ ジ する. 3. コ. のょ 5 に表わすことができる⑤.. このプロバラムは 利害関係者の 行動分析から. 始まる・組織と 利害関係者との 関係の現状, そ の関係が潜在的に 協調関係であ るのか,競争関. 係におかれているのかが 検討される. 次には, こうした利害関係者行動についての 説明が行われる・. 2. 利害関係者 行動説明. 利害関係者の 目的や利害・ 信. 3. 連合分析. 4. 全般戦略. 5. 利害関係者のための. 特定プロバラム. 6. 総合プロバラム ( 図 3 コマ利害関係者戦略策定プロセス. (Freemm 刊 19%) p.Ⅰ 31).
(7) で,. こ. と. が選. る. ). し. 型,防御型,ルール 変更型・現状維持型 択される.. ( 攻撃. ノコ. のような 4 つの戦略. て. コ. 扱. 4. り と. (図. @. かによって ,. IV.. よ. ンや. 占I Ⅹ@@ 視 的 本. ちる. 現実可能な行動範囲の 説明が行われる. それとともに ,他の利害関係者との連合分析 も試みられる.両者の行動の共通性や 目的の共 通性の検討が 行われる. 戦略に影響を 与える 諸力 ともいうべき 利害関 係者に関する 考察をふまえ ,組織の利害関係者 に対する全般戦略が 組み立てられる.利害関係 者との関係において ,協調ポテンシャルが高い のか低いのか ,競争上の脅威が高いのか低いの. 立あ. 念 についての分析をし 利害関係者のポジシ ,. (221)@33. (山倉健嗣 ). 統. 経営戦略と組織間関係. 企業の発展と 組織間関係. 企業発展は経営学の 重要な課題であ る.企業 発展については ,種々の論者が多様にとらえて. いる・本稿では ,企業発展を利益・売上高・ 資 本金といった 量的変化ではなく ,何らかの質的 変化として把握することにしたい・そこで. , 企. 業 発展を経営戦略と 組織の変化 0 組織形態の変 化 ) としてとらえることにする.この考え方は Chmdler 以来の伝統におっていることは 明ら かであ る ",. 「戦略と組織」を 中心として経営学 を 構成しょうとする 思考様式と連動しているこ. 高. とはいうまでもない⑨. したがって企業発展 は. 攻撃. ルール変更. 経営戦略の変化とむすびつげて 考察されること. 相対的協調 ポテンシャル. になる. 防御. J氏. しかし今までの 研究でほ,企業発展が経営 戦. 現状維持. 略 と組織の変化を 意味するとしても ,組織間関 吉岡. 相対的. f氏. 競争上の脅威 (図 4. 利害関係者全般戦略. コ. かかる手続をへて ,利害関係者のための特定. プロバラムが 策定され,統合利害関係者マネジ. 係のパターン. ( 組織間構造 ). との関連について. はほとんどとりあ げられていなかった. ところ が企業発展と 組織間関係とを 接合しょうとする 試みが行われるようになった.そこでこうした 研究について 検討することにしよ 5.. マネジメントいいかえれば 組織間マネジメント. この議論は AstIey と Fombrun によって展 開されている⑨・ 彼らは,企業が環境との相互 依存性のなかで 存続・発展していることを 前提 とし,企業発展を経済的相互依存性に 対する対 応とみている・そこで ,経済的相互依存性に対 処するための 方法として,組織形態や組織間調. が戦略論の中枢的課題であ ることを明らかにし. 整メカニズムが 考察されることになる.. たことであ る.. 経済的相互依存性は 水平的相互依存性 (Horizontal Interdependence), 垂直的相互依存性. メントプロバラムがつくられる. ",. 利害関係者アプローチの 第一の貢献は ,利害 関係者を キ 一概念として ,経営戦略論と組織間 関係論との結合をほかるとともに ,利害関係者. また単に抽象的レベルで 組織間マネジメント を 抱え ろ のではなく,利害関係者との関係を具. (Verti 。田 Interdependence),. 体 的に実践的に 行. (DiagonalInterdependence) に大別すること. う. ためのプロセスを 明確にし. 対角的相互依存性. たことも第二の 貢献であ る.. ができる " . 水平的相互依存性は 同一産業内の. 第三の貢献は ,組織はいかに環境からの多様 な 要求に対応するのかという 組織間関係論にお. 競争関係であ り,垂直的相互依存性は同一産業 における共生関係であ る・対角的相互依存性は 異なった産業間の 関係であ り,競争関係と 共生. いて主要な課題に 対して, M ㎝ ageni 目な観点に.
(8) 34 (222). 横浜経営研究 組織 問 調整. 第 Ⅷ巻. 組織形態. 的 平 水. 一 カルテル. 単一製品. 一 業界団体 一 暗黙の共謀. 単一職能. 垂直統合. 企業は対角的相互依存性に 対応するために ,. 新規事業分野への 進出といった 多角化戦略を 展. 開する.それに適合した組織形態であ る複数事. ネ 目 見・. 勺 白. 間接的相互依存性に 対処する組織間手段が 新た. に求められる.それは異なった産業間のむすび. ーフランチャイズ. 複数単位. 一 合弁. (職能部別 ). 一包摂. つぎともいうべきビジネスクラスター. (Bu 武 -. ness Cluster), クラスターをサブシステムとす. るネットワーク (Network) とよばれるものであ. 一 兼任重役 的. @. 十角. る 43). 一ビジネスクラスタ 一. 一ネットワーク (図 5. コ. 多角化 複数事業部 制. AstIey と Fombrun の第一の貢献は ,企業発 展 と組織間関係の " ターンとの接合が 巧みに行. われていることであ る.それとともに経営戦略. 企業の発展段階. ・組織・組織間関係をキープードとして. 関係の両者を 含む・かかる 相互依存性は 的 相互依存性. ランチャイズ・ 合弁,兼任重役などであ る・. 業部 制 が形成される. 同じょらに. 異 産業 間の. 一 長期契約 一ライセンス. 直 垂. 存. 経 相性. め依形 済互の. 一人員の動き. 第 3 号 (1987). ,水平. - づ垂直的相互依存性一つ 対角的. ,企業. 発展を解明する 方向を明らかにしていることで あ る.. 相互依存性へと 変化している・こうした 相互依. また従来,組織間調整メカニズムとして個別. 存性の変化は 組織にとって 自らをとりまく 環境. 的にとらえて き たものが,時間的経過の中でど. 要素の相互関連性と 濃度が増加してきているこ. のように変化するかを 示しているのが 第二の貢. と ,社会そのものが組織間関係のネットワーク. 献であ る.. として構造化されていくことを 意味している・ 経済的相互依存性と 経営戦略・組織そして 組. 第三の貢献は ,組織間関係を媒介として,企 業と産業の発展との 解明の一助を 与えているこ. 織間関係のパターンとの 関係を企業発展と 連動. とであ る・つまり経済的相互依存性の 発展とそ れへの対処の 観点から,企業発展と産業発展の. させて表現したのが ,. (図. 5 コであ. る ").. ここで. は,企業発展と組織間関係の " ターン ( 組織 問 調整メカニズム ) との関連に焦点をあ ててみ よ. 両者ともとらえていることであ. る.. な す ぴ にかえて. う .. 企業は当初同一産業の 他企業と競争関係のな. かにおかれている.そこでいかに競争を制限す. われわれは,経営戦略論と組織間関係論の. るのかが重要であ る・こうした 競争企業との 関. 合を目的として ,企業連合・利害関係者アプロ. 係を調整するためのメカニズムが. ーチ・企業発展という 3 つのテーマに 焦点をあ. ,. カルテル・. 業界団体・暗黙の 共謀などであ る・そして企業 は 垂直的相互依存性という 新たな相互依存性に. 直面し,垂直統合という新たな戦略を 推進す る.それにともない,職能部制 という新たな 組 織が導入されるとともに ,原材料供給業者や販 売業者といったインプット・アウトプットサイ ド における 他 組織と直接的調整問題が 発生す る.それに対処するための手段が長期契約・ フ. 接. てて検討してきた. こうした検討により ,経営 戦略論の深化・ 拡大がほかられるとともに , 今 後の展開方向が 明らかになったよ. う. に思われ. る.. 5主. l) R.Edw. 荻d. Freem 毎land P,I刀 range,"Theory.
(9) 2. St. 経営戦略と組織間関係. (223)@35. (山倉健嗣 ). 17) Pfe は er & Salancik を参照のこと ,. 18) 従来こうした 学習効果については 充分とり扱わ れてきていなかったが ,今後の新規事業展開と. 3. Ⅰ. むすびつける 場合にはきわめて 重要なポイント となる. 9) M. E. Porter and M. B. FuIler, "Coaljtions and GlobalStrate 緩", inM.Po 「 ter(ed) COo 泡 戸etitio れ in C,iobof 血 dustries,, Harvard Busi. ness School Press, 1986. ・. 20) 連合ネットワークの 形成と管理は 重要な課題で. 4. あ るにもかかわらず ,本格的な研究が行われて いないのを打破する 試みでもあ る.. 21) 資源獲得・情報共有・ 学習効果等連合において. 5. ・. kル 経ニ. 25) ネットワークの 編成原理の問題といえる ,統合 重視 か 自主性重視かの 問題であ る.. 26) 多角化における 初期の経験の 効果と同じ内容の ものといってよい・ R.Mliles, Co 幼れ Naailsan援 Co ゆ or ㎡ e 曲 撰 f。g ノ, P,intice.Hall, 1982.. 27) 企業集団管理として 扱われることと 関連してい る,麻生 幸 " 企業集団管理 " (都筑 (編 ) 『現代. 企業経営論』新評論。 1984 年 ) 28) R .Edwa,d F,eeman, "St,ategic Management: A. Stakeholde,. App,oach,". M 沖 ogc//ze. 且 dUa れ 。,s 肋 Str は -. v0l, 1, 1983, R . Edward JM 沖 dg 。m"nf, A 5% ぬ % 。M ダ且 タ戸 ro ㏄ん , Pltman, 1984. 29) 組織セットモデルについては. W. Evan, O Ⅰ 招g. 昭. F,eeman,. 1% てa e 材. /. 3.4 1 1. れし 父 弓 n R ss. 6 7 8 9 0 Ⅰ l 上上2 Ⅰ Ⅰ・Ⅰ ヰ. 何を求めるかの 識別であ る. RS and C.A. Berry, "Entering New 22) E. Robe 「 Business", SloanI Mannage 櫛 ㎝ t RevieW, Spring, 1985. 23) Po ter 「 & Fuller, 申 ct. 24) 分離型 か 統合型かの選択の 問題であ ると同時 に ,短期問題と長期問題をいかに 調整していく のかの問題でもあ る.. Sfrof. 免 t,. 。g わ. gan ゐ afion T ん 。0 の,,Wiley, 1976. 30) Freeman の議論は経営戦略論の 拡張の側面と ともに,管理者論の 新展開としてもとらえるこ. とができる. 31) P. Lorange, Co ゆ 。Ⅰ 乙 HaIl, 1980.. Ⅰ. ど. F ⅠはれれⅠ. 竹 g,. Prentjce-. 32) 利害関係者には 株主や顧客,原材料供給者にと. Ⅱz ・ 軋. 15 116. ,れ 0田. どまらず,住民団体等の 広範なものをふくむ. 33) Freeman (1984) pp. 89-101. 34) 5 つの類型を掲げている.特定利害関係者優先 型,株主優先型,功利型, ロールズ型,社会調 和型であ る・ Freeman(1984) Pp.l01-107. 35). M. Porter の競争戦略の 一 般化としてとらえることもできる. このプロバラムは. 36) こうして作成されたプロバラムは 実行コントロ 一ルされる. この手続については , Freeman (1984) の 6 章を参照のこと.. 37) きわめて政策志向的な 色彩の強い議論であ るこ.
(10) 36 (224). 横浜経営研究. 第 Ⅷ巻. 第 3 号 (1987). oA. g 経a。 a A ou 胡8 せt, 8 舘如 3. 41) Astly and Fombrun, gク・ cit, および J. Pennines れ StrategicaIly InteIdependent Organi. zatlon ㍗, P.Nystrom and W. Starbuck(eds), Ha4 れ オみ 00 ゐ 。 / 0 Ⅰ どほ % ァ宅 atzo れ ⅠⅠ Design れ , vol. 2, OxfordUniversi ゆ Press 1981. 42) AstIey & Fombrun, g ヵ・ cit. 43) ビジネスクラスターは 同じ社会的機能を 遂行す る組織の集団であ る. ビジネスクラスタ. 一間の. 連結は第二次組織によって 行われる. ( やまくらけんし. 横浜国立大学経営学部助教授. コ.
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