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このような場合に有効な制御手法とし て適応制御がある

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Academic year: 2021

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論 文 の 内 容 の 要 旨

制御対象の動特性は様々な要因によって変化する。例えば,直流モータと回転負荷から なる系では,負荷変動が比較的小さい場合にはフィードバック制御系が低感度特性を持つ ように制御器を設計すれば満足な制御性能を得ることが可能である。しかしながら,負荷 が大幅に変動したりする場合には,固定ゲインを用いるフィードバック制御系では性能が 低下したり,あるいは,不安定になる場合がある。このような場合に有効な制御手法とし て適応制御がある。適応制御では,コントローラパラメータが直接あるいは間接的にオン ラインで自動調整され,制御系としての性能が常に最良の状態に保持される。

適応制御器にある適応則では,時刻無限大で望ましい制御系(制御系が安定で制御量が 目標値となる)となるように可調整パラメータを調整する。この際,可調整パラメータの 過渡的な解軌道を拘束するのが射影アルゴリズムである。その目的は,(1)入力の実現(零 特異問題の回避,可調整パラメータの微分の確保,(2)先見情報に基づき可調整パラメー タの探索範囲を限定して推定効率を上げる,(3)外乱や雑音に対する適応ループのロバス ト化,(4)制御系の安定性や性能確保(例:ロボットアームの適応制御における推定慣性 行列の正定性確保)などである。射影アルゴリズムはこれらの目的を達成するため,可調 整パラメータを設計凸集合に拘束する。

射影アルゴリズムは,これまでに様々な方法が提案されており可調整パラメータが常に 微分可能かどうかで二つに分類される。一つは「切換型の射影アルゴリズム」である。こ の方法は,適応則を構成する積分器の入力を凸集合の境界上で切換えることによって射影 動作を実現する。もう一つは「滑らかな射影アルゴリズム」である。この方法は,すべて の時刻で可調整パラメータの解軌道の十分な滑らかさを保証する。しかしながら従来の射 影アルゴリズムでは,制御系の安定性や性能の確保が不十分な場合がある。なぜなら,従 来の滑らかな射影アルゴリズムでは,設計凸集合が超球と超直方体の内部領域に限定され るからである。

本研究の目的は二つある。一つは,新しい高階調整則の開発である。この新たな高階調 整則によって,可調整パラメータを超平行四辺形の内部領域に拘束する。従来とは異なる 可調整パラメータの拘束集合を提案することで,適応制御系に用いる高階調整則の選択肢 を広げることができる。二つ目は,提案法を電機系制御に応用し,その有効性を検証する ことである。応用例は大きく二つに分類される。一つは,既存の制御則を活用し,適応則 として提案する高階調整則をロボットアームの適応軌道制御系や Dynamic Certainty Equivalent (DyCE) 原理に基づくモデル規範形適応制御系(Model Reference Adaptive Control System:MRACS) に応用する例である。もう一つは,リンクに十分な剛性を持た ない柔軟リンクロボットアームにおいて,新たな制御則の開発を行い,その制御則で用い るパラメータの閉ループ同定に提案法を活用する例である。実際の適応制御系や適応同定

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を行う系に適用することで,従来法と比較して制御系の実現や過渡応答の改善が図られる ことを示す。

本論文の構成は以下の7章から構成される

第 2 章では新たな高階調整則を提案する。提案法は,可調整パラメータの解軌道の滑ら かさを保証しながら超平行四辺形の内部領域に可調整パラメータを拘束することができる。

第3章では,提案法をMiddletonとGoodwinが提案した剛体リンクロボットアームの適 応軌道制御系に応用する。Middletonらの方法は,制御誤差の過渡応答の改善が期待できる 構成法である。なぜなら誤差方程式が,DyCE 原理に基づく構成法のように可調整パラメ ータの微分値に依存しない構成法となっているからである。しかしながら Middleton らの 方法では,適応則に切換型の射影アルゴリズムを用いているため,厳密に制御入力を実現 できない問題点を有する。そこで,提案法を用いてこの問題を解決する。

第4章では,提案法をDyCE原理に基づくMRACSに応用する。このとき,適応制御器 の可調整パラメータが,MRACSの安定度を劣化させる領域を通過しないように拘束するこ とで制御性能が改善できることを示す。

第 5 章では,提案法がロバスト適応則としても有効に動作することを示す。現実の適応 制御系では雑音や外乱の影響を受けることで,可調整パラメータがドリフトを生じ,望ま しい値を保持できない場合が存在する。そこで提案法を用いることで,第 4 章で述べた制 御性能の劣化を回避し,パラメータドリフトが防止できることを示す。

第 6章では,計算トルク法に基づく水平 2自由度柔軟リンクロボットアームの位置制御 法を提案する。また,この構成法がモデルベース制御であることを踏まえ,モデル化誤差 を考慮した方法に拡張する。その際,第 2 章で提案する高階調整則を用いて,制御器の可 調整パラメータを同定する。さらに,そこで得られた値をもとに位置制御系を構成し,実 機実験によりその有効性を検証する。

最後に第7章で本研究をまとめる。

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