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このような分子の機能連動には、分子 配置・配向の制御が肝要である

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Academic year: 2022

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(1)九州大学学術情報リポジトリ Kyushu University Institutional Repository. リポソームのドメインを基盤とした、分子配置・配 向の制御による光反応の制御 波多江, 達. http://hdl.handle.net/2324/1806816 出版情報:Kyushu University, 2016, 博士(理学), 課程博士 バージョン: 権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3).

(2) 氏. 名. :波多江. 達. 論 文 名 :Photochemical Reaction Regulation by Control of Molecular Configuration and Orientation on Liposome Lipid Domains (リポソームのドメインを基盤とした、分子配置・配向の制御による光反応の制御) 区. 分. :. 甲. 論. 文. 内. 容. の. 要. 旨. 生体内では多様な機能性分子が協同的に働くことで、複雑かつ多段階の化学反応を達成している。 光合成システムでは、光捕集・電子移動・酸化反応・還元反応といった異なる反応を担う機能性分 子群が協同的に働くことで高効率な光反応を実現している。このような分子の機能連動には、分子 配置・配向の制御が肝要である。人工的に光合成システムのような多段階反応を高効率で達成する には、個々の機能性分子の開発だけでなく、それらの分子配置・配向を制御して機能連動させる仕 組みの構築が不可欠である。これまでの人工光合成の研究では、光増感剤と触媒を化学結合により 直接連結して分子配置を制御した例が数多く報告されている。分子を近接させることで、単純に二 成分を混合しただけの場合と比べて、電子移動効率を大幅に向上させている。しかし、連結させる 分子の数が増えるほど合成が複雑で多段階になっていくため、天然の系のような多種多様な分子の 集積化は達成されていない。一方で、機能性分子をシリカゲル、ポリマー、DNA、タンパク質など を基盤として集積化させた、光捕集・光触媒反応系が報告されている。これらの例では複雑な合成 の必要がなく、多くの分子の集積化が可能である。最近の研究では、光捕集・電子移動・CO2 の還 元反応が連動した反応システムも報告されている。しかし、この手法での分子配置・配向の精密な 制御方法は確立されておらず、光増感剤と触媒を直接連結した系と比べると、触媒反応効率は低く なっている。 そこで、本研究では機能性分子の配置・配向を制御するための分子集積場として、両親媒性リン 脂質が形成する球状二分子膜リポソームに着目した。リポソームは、親水的な膜表面、内水相、疎 水的な膜内部といった性質の異なる複数の領域を有し、それぞれに異なる分子を組み込むことが可 能である。構成するリン脂質の種類によって膜表面の電荷を制御することも可能である。また、飽 和リン脂質、不飽和リン脂質、コレステロールから調製されたリポソームは、相分離によって特定 の脂質が集まったドメインを形成する。このドメイン形成の性質を利用して、目的分子のリポソー ムへの合理的集積化を発案した。リポソームの疎水場・親水場ならびにドメイン利用して、分子配 置・配向の制御による光捕集・触媒反応系の反応効率制御を検討した。 一章では、Ru 錯体触媒と Ce4+ 酸化剤の膜表面上での分子配置を制御して、酸素発生触媒反応の 高効率化を検討した。酸素発生型水分解触媒として機能する [Ru(terpy)(bpy)(OH 2)]2+ を、コレステ ロールの親水部分にリンカーを介して結合させた親脂質性 Ru 錯体触媒を設計した。膜表面からの 位置を制御するために、リンカーの長い錯体 1 と短い錯体 2 の二種類を合成した。また、親水部 分の異なる三種類のリン脂質を用いて、膜表面電位の異なるリポソームを調製した。これらのリポ ソーム表面に錯体 1 または錯体 2 を組み込み、Ce4+ 酸化剤を加えて、触媒反応によって発生する酸.

(3) 素量を測定した。それぞれの結果を比較したところ、リンカーの長い錯体 1 は錯体 2 と比べて約 3 倍の触媒回転数に達した。リンカーの長さの効果を考察すると、錯体 2 では触媒部位が膜に埋没し ているため、Ce4+ が接近しにくくなった結果、反応効率が低下したと考えられる。また、膜表面電 位に関しては、負電位が大きくなるほど反応効率が向上することがわかった。これは静電相互作用 による Ce4+ の膜表面への局在化が反応効率の向上に寄与したと考えられる。以上、Ru 錯体触媒を リポソームに組み込み、膜表面からの触媒位置と膜表面の電位を制御することで、反応効率の制御 に成功した。 二章では、ドメイン形成による分子近接と補助配位子を用いた膜内部での分子配向制御によって、 エネルギー移動の高効率化を検討した。エネルギー供与体には不飽和リン脂質 DOPE の親水部分に フルオレセインを修飾した蛍光分子 (Flu) を用いて、膜表面に配置した。エネルギー受容体には亜 鉛ポルフィリン錯体 (ZnP) を用い、ピリジンを修飾したステロール pregnenolone-pyridine (pregpy) を軸配位させることで膜内部の疎水領域に固定化した。顕微鏡観察によって Flu および ZnP が不 飽和リン脂質のドメイン (Ld 相) に集積化していることを確認した。蛍光スペクトル測定からエネ ルギー移動効率を算出したところ、ドメイン形成と pregpy の配位によって、エネルギー移動効率が 約 10%から約 60%に大きく向上していることがわかった。更に、エネルギー移動効率と ZnP の分子 密度との関係を Förster 理論を使い解析したところ、ドメイン形成によって ZnP の分子密度が増大 し、エネルギー移動効率が向上する機構が明らかになった。また、pregpy の有無に関わらず、蛍光 共鳴エネルギー移動に関係する Flu と ZnP 間の距離と発光および吸収スペクトルの重なりが大き く変化しないことから、分子配向の変化によるものと考えた。結晶構造解析から pregpy の疎水部分 はステロール骨格に対して屈曲しており、pregpy が ZnP へ軸配位することで ZnP が膜のリン脂質 分子に沿った配向となる。この配向のとき Flu と ZnP の双極子モーメントが平行に近くなるため、 エネルギー移動効率が向上すると考えられる。以上、ドメイン形成による分子密度の向上と pregpy による分子配向制御により、エネルギー移動効率の向上に成功した。 三章では、光増感剤と触媒分子をドメイン表面に集積化させ、二種類の機能性金属錯体による CO2 の光還元反応を検討した。光増感剤となる [Ru(bpy)3]2+ 錯体と触媒である [Re(bpy)(CO)3Cl] 錯 体を不飽和リン脂質 DOPE (Ru1, Re1) と飽和リン脂質 DPPE (Ru2, Re2)の親水部分にそれぞれ修飾 した 4 種類の錯体を合成した。Ru1 と Ru2 をリポソームに組み込み、共焦点レーザー顕微鏡による 錯体由来の蛍光観察から、Ru1 はドメインに集積するが、Ru2 ではリポソーム全体に非局在化する ことが確認された。飽和リン脂質が形成する Lo ドメインは分子密度が高いため、分子サイズの大 きな [Ru(bpy)3]2+ は集積化できなかったと考えられる。Ru1 と Re1 を複合化したリポソームについ て光触媒反応の評価を進めている。 以上、本研究では光捕集・光触媒反応効率の制御において、機能性分子のリポソームへの組込み、 リポソーム膜表面電位とドメイン形成、および補助配位子による分子配向制御が有効であることを 示した。.

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