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ソリトン相互作用と転移の次数の傾き角依存性

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(1)

強誘電性液晶SmCα*の電場誘起相転移に於ける ソリトン相互作用と転移の次数の傾き角依存性

平成20年度

三重大学大学院工学研究科 博士前期課程 物理工学専攻

木全 慶輔

ノ」: )、 . i,I;i i

I‑'川1LL手蔓

(2)

目次

第Ⅰ章 序論

第Ⅲ章 ソリトン

第Ⅲ章 電場誘起SmC☆‑SmC相転移

第Ⅳ章 電場中のSmCα☆の定式化

1電場中のSmCα☆の自由エネルギー

2 電場誘起SmCα☆‑SmC相転移(傾き角0を一定とした場合)

3 電場誘起SmCα*‑SmC相転移(傾き角0の変動を許す場合)

第Ⅴ章 数値解析結果

1 SmCα☆相での6‑27T/4における計算結果(t‑‑8)

2 SmCα☆相での6=27T/4における温度依存性

3 SmCα☆相での6‑27T/8における計算結果

4 SmCα☆相での∂依存性

第Ⅵ章 まとめ

参考文献

:.

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(3)

第Ⅰ章 序論

液晶とは一般的に棒状や円盤状などの異方的な形の分子で構成された体系で、液体と結晶 (固体)の中間の秩序を持つ状態である。液体は分子の重心位置に秩序が無く、分子の方向秩 序も無い。一方、結晶は分子の重心位置に3次元的な秩序を持ち、さらに分子の方向秩序

も‑般的に有している。特例として棒状分子の結晶で方向秩序を持たないものがあり、そ れは柔軟性結晶と呼ばれ、極めて低温でのみ方向秩序が出現する。これらの液体と結晶の

中間の秩序を持つ液晶は分子の方向秩序は有しているが、分子の重心位置に3次元的秩序 はなく2次元以下の秩序となっている1,2)。結晶・液晶・液体の分子の重心位置秩序と分子 の方向秩序の模式図をFig.1.1、に示す。

結晶 液晶 液体

位置秩序

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方向秩序

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Fig.1.1結晶・液晶・液体の位置秩序と方向秩序の模式図

液晶には分子配向や分子配列の秩序の様相は多種存在する。液晶分子の重心位置秩序が 無いが、分子の配向には秩序が存在するものがネマティック相(N相)[Fig.1.2】、このN相が 配向方向に垂直な方向にねじれた状態となり螺旋構造を成すものがコレステリック相(Ch 相)【Fig.1.2】である。Ch相となる場合、液晶分子は鏡映面を持たずカイラル分子と呼ばれる。

本研究で注目する液晶相であるスメクティツク相(Sm相)では、 N相と同様に分子に配向秩 序が存在するだけではなく、分子の重心位置に1次元的な秩序が存在し、その構造は分子 位置が層状に配列する層構造となっている。そのSm相の配向秩序の様相も多種存在し、

1

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7TTl,:人′、;;:)(ノ、j::l';,‑i I‑.1、;:桝J,I/ti約

(4)

分子が層法線に対して平行に配向する秩序を持つスメクティツクA相(SmA相)【Fig.1.3】や、

分子が層法線に対してある角度傾いて配向する秩序を持つスメクティツク C相(SmC 相)【Fig.1.3]などが存在する。

Fig.1.2ネマティック相(N相)とコレステリック相(Ch相)の構造

smc!室喜

Fig.1.3スメクティツクA相(SmA相)とスメクティツクC相(SmC相)の構造

ここでSmC相を発現する液晶分子がカイラルである場合、分子が電気双極子モーメント を帯び強誘電性を示し、さらに隣合う層の方位角が少しずつ回転し螺旋構造となる。これ らの構造と特性を持つ液晶相がカイラル・スメクティツクC相(SmC☆相)やカイラル・スメ クティツクCα(SmCα☆相)である【Fig.1.4]3)。このような強誘電性を持つ液晶相に電場を印 加することで強く作用し螺旋構造が解け一様に配向する SmC相‑と相転移を起こす。

SmC'相は螺旋構造のピッチpが大きく、螺旋構造が一周するのに必要な層数は数百層ほど であるのに対し、 SmCα☆相では螺旋構造のピッチが小さく、螺旋構造が一周するのに必要 な層数は数層ほどの螺旋構造となっている4・5,20,21)0

2

fTl.:人一、j::人̀、jヱ:I;I,こ J'i::桝光村

(5)

SmC★相・SmC。★相

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≡≡済喜傾き

膚法線方向から見た園

Fig.1.4 SmC'相・ SmCα☆相の螺旋構造

方位角甲

SmC*相では螺旋構造のピッチは大きいために隣り合う層ごとの分子の方位角の差が小 さく、電場印加による構造変化は連続記述が可能であるため、電場誘起SmC☆‑SmC相転移 はソリトン励起の観点から解析が成されてきた。即ち現れるソリトンはサイン・ゴルドン (Sine・Gordon)方程式のソリトン解であり、その周期構造はソリトンが等間隔に並んだもの (ソリトン格子)と呼ばれる。電場誘起SmC*・SmC相転移において傾き角0を一定として取

り扱う場合、ソリトン間に働く相互作用が斥力的に働き、連続転移(二次転移)となる6 8)0 一方、電場印加による傾き角0の変動を許した場合はソリトン間相互作用が引力的に作用す

るケースが存在し、結果として転移は一次転移となる6 8)。これに対して、 SmCα☆相の螺 旋構造のピッチは小さいために隣り合う層ごとの分子の方位角の差が大きく、ソリトンの 連続記述が不可能であり離散的となる9 11)。

本研究では電場誘起SmCα☆・SmC相転移を離散ソリトンの観点から解析を行い、さらに その離散ソリトン間に働く相互作用に注目していく。傾き角β一定の条件における電場誘起 SmCα*・SmC相転移に解析はすでに行われており、無電場状態における螺旋構造の波数q.

がqo <1/4の条件下ではソリトン間相互作用は斥力的に働き、 SmCα☆‑SmC相転移は二次 転移となることが明らかとなっている10,12)。本研究では傾き角βの変動を許し、 SmCα

3

前人J、;,':人苧院 L'/、i三:研究科

(6)

☆‑smc相転移のソリトン間相互作用の特性や∂依存性、温度依存性などを明らかにしたい。

4

・T;̲:人一、i::人′?':F:',I; l'.I?I:研究科

(7)

第Ⅱ章 ソリトン

ここではソリトン(s。1it。n)について述べる7,13)。ソリトンとは一般的に時間がどれだけ経過 しても、もしくは衝突が起きてもその形を崩すことが無い安定した孤立波である。また孤 立波とは有限な振幅を持つ領域が狭い範囲に治まっている波のことである。一般的に線形 波では波の進行速度は波の波数に依存し,この性質を分散と呼ぶ。この性質によって、波 が重ね合わせによって波束を形成してもやがて形が崩れてしまう。しかしソリトンを解と

して持つ方程式には非線形項が存在し、この非線形項の効果と分散性を与える項の効果が っりあい孤立波が安定化される。ソリトンを解として持つ方程式にはKdV方程式、サイン

・ゴルドン(sine・Gordon)方程式、非線形シュレ‑ディンガ一方程式、戸田格子などが知られ ている。本論文では後のつながりのために次のサインーゴルドン方程式について述べる。

砦一言砦‑sinp '2・1'

(2.1)式で示される式がサイン‑ゴルドン方程式であり、 p全体が形を変えずにある速度で並 進する解を定常解といい、この定常解がサイン・ゴルドン方程式の1・ソリトン解である。以 下でこのソリトン解を求めてみる。速度cで並進する座標f‑x‑ct (lcl<1)を導入する

と、 (2.1)式は次式の常微分方程式に変形される。

穿古sinp '2・2'

この式から積分定数Cを用いて次の積分を得る。

喜(富)2‑古(c‑cosy) (2・3,

ここでx‑‑‑の極限でp‑0(または2方,、富‑oの条件を‑けるとC‑1となり、(2・3'

式は

d甲. 2

^..dq)

df ⊥Ji7】‑‑ー2

と変形され、ここから解として

p 4tan‑1

Sln (2.4)

(2.5)

が得られる。 (2.5)式においてxぅー∞の極限でp‑0(または22T)、 Xう+∞の極限で p‑27T(または0)となる。ここで甲=0とp‑27Tも(2・1)式の解であり(一様解)、即ち(2・5) 式の解はこの2つの一様解を一捻りしてつなぐ状態を表した解となっている。このことか

5

:.亭大学人J、;fl‑I;;i l1.予研究科

(8)

ら(2.5)式の解はキンク(kink)解と呼ばれる。また(2.5)式の符号が負の解は反キンク (anti‑kink)解と呼ばれる。さらに(2.5)式をfで微分した式は

d甲. 2

^^^.̲ f

df r ⊥Ji二子uvy'pJi7 (2.6)

となる。 (2.5)式のキンク解と反キンク解をFig.2.1に、 (2.6)式をFig・2・2に示すo Fig・2・2 を見るとこの解が孤立波の様相を呈していることがわかる。

Fig.2.1キンク解(実線)と反キンク解(被線) Fig・2・2キンク解(実線)と反キンク解(破線)

のdp/df

電場誘起SmC☆・SmC相転移において上述のようなキンク解が重要な役割を果たすが、それ について次章で述べる。

6

二.

FfT7:.人一ツ'一人Jl;三:醍I‑.JT・:研究科

(9)

第Ⅲ章 電場誘起SmC☆‑SmC相転移

smc*相では分子のディレクターnと層法線を含む面に垂直な方向に電気分極が現れ螺旋構 造に従って回転している。ここで層に平行方向に電場を印加することでこの電気分極との 結合により螺旋構造が解かれて一様なSmC相‑と転移する。

電場中におけるSmC*相のGinzburg・Landauの自由エネルギーは分子のディレクターn の傾き角0と方位角q)を用いて次のように表される6 8).

F‑4;ao2・去bO4・;k・(=)2・喜kO2(=‑qo)2‑EOcospfz

(3・1,

ここでa‑a.(T‑TA)‑a.t (t‑T‑TA)、 Tは温度、 TAはSmA相転移温度を表してい

る。 k・、 kはそれぞれ傾き角0と方位角pの変化に対する弾性定数を表し、 qoは無電場状態

におけるSmC*相の波数、 Eは電場の強さを表している. (3.1)式のオイラー‑ラグランジュ 方程式は次の2式となる。

aoto・bO3

‑k・砦.kO(雷‑qo)2‑Ecosp‑0

kO砦.・2k雷(雷‑qo)‑Esi叩‑0

(3.2)

(3.3)

ここで傾き角βは温度=こ依存しており低温になるにつれて大きくなる。温度Jが十分低温 の時、酌まかなり大きくなり電場印加による0の変化がSmC相‑の転移に対してあまり影 響を与えることがなくなるため、傾き角0を一定と取り扱っても現象の大筋を捉える事が出

来る。しかし温度がSmA転移温度TA近傍では0が小さく、電場印加による変動を無視す

ることができないため、傾き角飢こついて考慮する必要がある(Fig.3.1)。後に詳細を述べる が、傾き角0を一定とした場合SmC*・SmC相転移は二次転移であり、 0の変動を考慮した 場合一次転移となることがある。

7

LTl:.人l、;I:人′、芦院LJ、i;:研IJ)ti附

(10)

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i

Fig.3.1 SmC*・SmC相転移の相図

まず傾き角βを一定と仮定しβ‑βoとした場合について考察するoオイラーーラグランジ ュ方程式は(3.3)式から得られる次式のみとなる。

砦‑孟sinp '3・4'

これは前述にある(2.1)式の時間に依存しないサインゴルドン方程式である(2・2)式となって

いる。 (3.4)式の解としてヤコビ(Jacobi)の楕円関数sn(z,K)を用いた次の周期解が得られる。

箸,K) (3・5,

ここでKは母数であるo (3.5)式を(3.1)式に代入し、 Kに対して自由エネルギーFを最小化 とする条件から、 Kが次式から決まる。

K 4

E(K) 7Tqo

(3.6)

ここでE(K)は第二種の完全楕円積分を表している。K→1は螺旋のピッチpう∞に相当 する。即ちKう1のおいて(3.6)式に現れる電場E 8まSmC*・SmC相転移の転移電場Ecに相

当するということであり

Ec (;)2kOoqo2

と得られる。

またK=1において、 (3.4)式から(2.2)式に倣いソリトン解を求めると

p 4tan‑1 tanh

(3.7)

(3.8)

となる(Fig.3.2)。 SmC相でのソリトンの励起エネルギーAFは(3・8)式を(3・1)式に代入する

8

:.

LT,̲:人苧人'、;三:醍 1‑.J';三:研̀'Jt朽

(11)

ことで求まり

M‑4J;kOo2qo(信一.〕‑守 (3.9)

となる(Fig・3・3)o E<EcではAFは負となり数多くのソリトンが励起されることになるが、

o‑a.(一定)の条件下ではソリトン間相互作用は斥力的に作用し、この働きによりエネルギ ーが上昇するためAFとの兼ね合いによりソリトン密度はある一定値に留まり、ソリトン格 子を形成する.即ち(3.5)式の周期解がこのソリトン格子である(Fig.3.4)。またE‑Ecでは

AF=0となりソl)トン間相互作用が斥力的に作用する時ソリトン密度は0となる。よって

0 0.(一定)の場合SmC*‑SmC相転移は二次転移となるo ソリトン密度をソリトンの波数qを用いて表すと

q 1

qo 2hK(K)

I

(3.10)

となる。ここでK(K)は第一種の完全楕円積分である。 (3・10)式で表されるソリトンの波数 の電場依存性をFig.3.5に示すが、 (3.6)式と(3.7)式及び(3.10)式からKを媒介変数とするこ

とによりソリトンの波数qを電場Eの関数として解析的に示すことができるo

!

こ、I

・:.I

iミ ニ†

鼠宅B

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こ一

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せ苛!

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Fig.3.2ソリトン解

9 二▲車人J、f:人l、;::醍

Fig.3.3 AFIE関係

lA.苧研J光村

(12)

′ヽ●

i

●■

Fig.3.4ソリトン格子

L)二:L I I/ / ILJL ■卜■二、こ・.■・ こ'

・l i

̀一二

E.・È

Fig.3.5 q‑E関係(0 0.)

次に傾き角βの変動を許した場合について考察する。 (3.2)式及び(3.3)式のオイラー・ラグ ランジュ方程式を連立させて解を導く必要があるが、解析的に解くことができないため数 値結果のみを述べる。傾き角0と方位角pによる最も励起エネルギーが小さい1・ソリトン 解をそれぞれFig.3.6に示す。ソリトン中心付近において0はOcよりも極めて小さくなって おり、この結果からソリトンの励起エネルギーが低下しソリトン間相互作用に引力的な効 果を生み出している。この場合のソリトンの波数の電場依存性(q‑E関係)をFig・3・7に示す が、ソリトンの波数qが転移電場Ecにおいて不連続にゼロ‑と飛んでいることから

smc*・smc相転移が一次転移となっていることがわかる。 0の変動を考慮した場合、これ らの結果のようにソリトン間相互作用は引力的となることがあり、転移は一次転移となる。

X i

〈顎

il

●ゃま

Fig.3.6 0とpの1・ソリトン解

10

fTl:.人・、;i:人・、i::r)I,'t I‑.,、iニ:研'J)tJt杓

(13)

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喜写

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Fig.3.7 q‑E関係(0変動)

以上のように電場誘起SmC*・SmC相転移において傾き角0の取り扱い方によってソリ トン間相互作用や転移の次数などに大きな違いが生ずる。このような特性がSmCα☆・SmC 相転移においてどのように現れるかが注目される。

ここで、ソリトンの一様解‑の緩和過程がどのようになっているかを述べる。 SmC相を表 す一様解である0‑Oc, p‑27Tからの0, pの外れ0., plを

〔:1.) (0{̲ZcH) e‑KZ〔Op:..〕 (3・.1,

とする。これらを(3.2)式, (3.3)式に代入し、 0, pが微小であるとして線形化すると次式 が得られる。

・(opt.)‑o, M‑

ここで、 Ko2とKlは

Ko2 ‑a+1+30c2

K孟‑a+1+Oc?

妥‑Ke220c孟

‑20c‑.豊妥‑Kl

(3.12)

(3.13)

である。 (3.ll)式からKに対する永年方程式(detM=0)は次式のように表され、 Kが決定 される。

11

LT,̲:人,?':人苧l;I;i L'.予研J')uL村

(14)

(K2‑Ko2XK2‑K言).4K2‑o (3.14)

なお、ここでのKは(3.5)式に表される母数Kではなく別の量であることを注意しておく.

固有値Kの値は各パラメータa(‑a.t), b, k, k', q., Eの値によって実数,複素数, 純虚数になり得て、その様子をFig.3.1に加えたものがFig.3.8である。 Kは点線で区切ら れた領域Rでは実数であり、領域Cでは複素数、領域PIでは純虚数である。領域Rでは

ソリトンの一様解‑の緩和は指数減衰となり、領域Cでは振動減衰となる。領域PIでは(3.8) 式のe KZは減衰しないため、この領域ではソリトンは存在しえないことがわかる。

ソリトンの緩和が指数減衰の場合(領域R)には傾き角βの変動がソリトンの励起エネルギ ーを減少させる効果があるがそれ以上の新たな性質は現れず、ソリトン間相互作用は斥力 的に働き、二次転移である。しかしソリトンの緩和が振動減衰の場合(領域C)には傾き角β の変動に起因してソリトン間相互作用は引力的に働き、一次転移となる。さらに高温領域 では三重臨界点(TC)が現れ相転移は再び二次転移になるが、そこではソリトン問題から外 れるのでここではこれ以上論及しない。

‑J ‑25 Jl 1.5 ‑1

t ‑05

C3 05

Fig.3.8固有値Kの虚実と相図

12

車人Jl‑;':大字院 1‑̲Jt;::i)r・究杓

(15)

第Ⅳ章 電場中のSmCα☆の定式化

1.電場中のSmCα☆相の自由エネルギー

smcα*相もSmC*相と同様に螺旋構造を持ち電場を印加することで一様なSmC相‑と転

移を起こすが、 SmC☆相と異なりピッチが短いために4 5)ソリトンの連続記述が不可能であ る。ここでSmCα*相のソリトンが離散的に現れると仮定し、数値計算による解析が求めら れる。本研究ではGinzburg・Landauの自由エネルギーである(3.1)式を離散化した次式を SmCα'相の自由エネルギーとして用いる9 11)

F

;[;aoi2・ibO,・4・喜K・'OL‑I.‑Oi'2I;oi・10,・cos(pt・・1‑Pt・ ‑♂,‑EOi COSPE・](4・.,

ここでα、b、K'、K、Eで表される各パラメーターは(3.1)式のものと同様であり、 6は無電 場状態における螺旋構造の波数に27Tを掛けた値となっており、即ちSmC*相におけるqoに 対応したものである。そして0,‑、 p,・はそれぞれi番目の層の傾き角と方位角を表している.

傾き角0を一定(0,A ‑0.)と仮定した場合の計算結果はすでに得られており9 11)、本研究の 本筋とも言える傾き角βの変数として取り扱う場合との比較が重要であるため、まずはβを 一定(0,A 0.)として取り扱った場合の数値解析及び数値結果について述べるo

13

・TTT.:人J、i・':人′?I:院】A.I;:LT')i'')tli村

(16)

2.電場誘起SmCα☆‑SmC相転移(傾き角βを一定とした場合)

始めに傾き角βを一定とした場合について論ずる。 Oi ‑0.とすると(4・1)式の第一項から第 三項は定数項となり数値結果に影響を及ぼすことがなくなるために省略する。よって(4.1) 式は次式のように簡略化できる。

f ∑トcos(p什1̀ ‑PE‑6)‑ecospi] (4・2)

F

ここで′‑両、e

(4.2)式から

∂pL・

である。 ′が最小となる時が平衡状態の条件となることから

sin(p,I..‑Pi ‑6卜sin(pE.‑Pt̲I ‑♂)‑eSinpi

0 (4.3)

(4.3)式には様々な解が存在するが, (4.2)式が最小となる解が求める平衡解となる。また離 散ソリトンの波数qはpLim ‑Pi+27mとした時q‑n/mとなるo Fig・4・1に6=27TXl/4

におけるSmCα☆相での波数q‑1/9における離散ソリトンの構造を示す。

e=ec‑、

.●

+ I‑

.I

I mar

e‑0

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

t

Fig.4.1 q‑1/9における離散ソリトン構造

さらに6= 1/4×27Tにおける波数の電場依存性をFig.4.2に示す8)。図中の階段状に記述さ れるものが6=1/4×27TにおけるSmCα☆相の波数の電場依存性であり、曲線で記述されて

いるものはSmC*相の波数の電場依存性である。 Fig.4.2からSmC*相の波数の電場依存性 は連続的な曲線で記述されるのに対して、 SmCα☆相では階段状に現れSmC相(q ‑0)‑と 連続的に転移(二次転移)している。さらにFig.4.2のSmCα☆相の波数の電場依存性の

q‑2/9‑I/5付近を拡大したものをFig.4.3に示すが、統計的に元の波数の電場依存性の 階段状構造と似ており、即ち自己相似的な階段構造となっていることがわかった。またSmC α☆相の波数の電場依存性はSmC*相のものと比べて転移電場ec近傍での波数の凝縮が急激

14

・Tt:人下人J、羊院 IA/、;I:研究村

(17)

となっていることから、離散ソリトンでの斥力的なソリトン間相互作用は連続ソリトンで のものよりも短距離的に作用していることを示している。

t=! く.: こ1 こ̲1 こミ :E I;: :l こf ! 1.I

爵<Q

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C.'e

Fig・4・2 6‑1/4×27TにおけるSmCα☆相の Fig.4.3波数q‑2/9‑1/5付近の拡大図 波数の電場依存性(階段状の線)と

SmC☆相の波数の電場依存性(実線)10)

次に各電場での自由エネルギー密度AFの波数依存性をFig.4.4に示す。ここで実線で記 述されているものはSmC☆相のものであり、点でプロットされているものがSmCα☆相のも のである。Fig.4.4からSmC*相、SmCα*相ともに単調な下に凸となっていることがわかる。

つまりソリトン間相互作用が全ての波数において斥力的に作用しており、 e=0ではq‑qo が平衡状態であり、電場が大きくなるにつれて平衡状態となる波数qが小さくなり、転移電 場ecにおいてq ‑0(SmC相)‑と連続的に転移しているo

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屯J

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Fig.4.4 SmC。☆相の自由エネルギー密度の波数依存性(点)と

SmC'相の自由エネルギー密度の波数依存性(実線) 9)

15

有ノ(ノ、j‑I:人J、j,I:T,'JJ'['7‑̲ノ、;':尉F究杓

(18)

次にq‑e関係の6依存性について、 6‑1/4×27Tと6=1/5×27Tと6‑1/10×27Tにお けるSmCα☆相、そしてSmC*相における波数の電場依存性を比較したグラフをFig・4・5に 示す。

モ.I

1.0 O.曽 0、i O.フ

0・6

・富o,v<

O、4 0.3

O,2 0.I 0、0

o.o o.1 0.ヱ 0.3 0.、1 0.さ 0.6 0/ 0.8 O.9 1.0 1.1

e/ee

Fig.4.5 ♂/27T‑1/4,1/5,1/10におけるSmCα*相

(階段状の線)とSmC☆相(実線)の波数の電場依存性の比較10)

Fig.4.5から6が小さくなるにつれて階段構造を保ちつつ曲線で表されるSmC*相の波数の 電場依存性に近づいていることがわかる。

傾き角0を一定として取り扱った場合、 6<27T/4である限り10)電場誘起SmCα☆・SmC 相転移ではソリトンは離散的な記述が成され、波数の電場依存性が自己相似的な階段状構 造として現われるが、ソリトン間相互作用が斥力的に作用していることからSmC相‑の転 移は連続的に起こる。さらに斥力的なソリトン間相互作用はSmC*相のものと比べてより短 距離的に作用していることも明らかとなった。しかし、ここまでの現象が起こるのは

6<1/4×27Tの領域であり、 6>1/4×27Tの領域では新たに特異的な現象が起こるが、こ こでは論ずるのは控える10)0

16

ET,.:人′、j,I:人乍院 「Jl;:研究科

(19)

3.電場誘起SmCα☆‑SmC相転移(傾き角βの変動を許す場合)

そして本研究の本筋とも言える電場誘起SmCα☆・SmC相転移の傾き角βの変動を許す場合 について述べる。傾き角βの変動を許す場合、 (3.1)式で表される電場中におけるSmCα☆相 のLandauの自由エネルギーから平衡状態を求めるためには以下の二式を連立させて解を 解く必要がある。

aF

∂pn

A.ton +BOn3 +k(20n ‑On.. ‑Onll)‑OnII COS(Pn ‑Pn̲1 ‑6)

10n.I COS(Pn.11Pn ‑6)‑ecospn = 0 (4・4)

anon̲1 Sin(q?n‑pn̲. ‑6)‑On.lop sin(pn.1‑Pn ‑6)+eon sinpn 0 (4・5)

ここでa‑a.(T‑TA)‑a.t (t‑T‑TA)とし、

A.‑箸,B‑妄,k‑芸,e‑旦としたoK

(4.4)式と(4.5)式を連立させて得られる様々な解のうち、 (3.1)式のFが最も最小となる解が 平衡解となる。 (4.1)式から解を求めるにあたりNewton・Lapbson法を用いて数値計算を行

った。また本研究では各パラメーターの値としてA. ‑1,B‑16,k‑1を用いた。

無電場状態における傾き角βは

On.1‑On‑On̲. , On‑ (4.6)

となり温度tiこ依存する変数となる。ここでqはSmCα☆相の離散ソリトンの波数を表して

おり甲iim ‑P,・+27mとした時q=n/mである。また(4・6)式からSmA相とSmCα☆相が発

現する温度の境界を求めることができ、 27Tq‑6の時に傾き角軌は各温度において最大値 を取ることになるo即ち、このモデルの場合(On)max ±土旦となる。よってこのモデル

16

ではt<2の領域ではOn >0となりSmCα☆相が発現し、 t≧2ではOn ‑0、即ちSmA相が 発現する。つまりこのモデルにおいてはJ<2の領域で電場を印加することでSmCα☆‑SmC 相転移が起こることになる。次章ではこれらの各パラメーターを決定し計算を行い、相転 移の電場依存性やソリトン間相互作用、温度依存性や∂依存性などのふるまいについて明

らかにする。

17

有人ノ、;,I:人J、i::F:'JJi lA.J、;I:研究科

(20)

第Ⅴ章 数値解析結果

1. SmCα☆相での∂=27て/4における計算結果(t‑‑8)

i

第3章でも述べたようにSmC☆相でのソリトン解は解析的に求めることができ、導かれるソ リトン解は連続表記となる。それに対してSmCα☆相では螺旋構造のピッチpが短く、現れ るソリトンは離散的な記述となる.一例として6‑27T/4(q. =1/4),温度t‑‑8における 数値計算から得られた波数q‑1/7の方位角pの離散ソリトン格子構造をFig.5.1(a)に、離 散ソリトン構造における傾き角♂の変調をFig.5.1(b)に示す。ここでecはSmCα☆相がSmC 相‑と相転移する転移電場を表している。

1

0.9

0.8

0.7

0,8

I< 0.5 ミゴ

ミト

0.ヰ

0.3

0.2

0.t

O

.+‑

L} ‑ e‑: ‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑.

.I

,r *

一r .+'

.■

l

■・

e‑0

.■

1 2 3 5 8 7 8

J

Fig・5・1(a) 6‑27T/4における温度t=18,波数q‑1/7での離散ソリトン格子構造 における方位角p

18

・T,.:人乍人J、i::院 TL/、;:研̀光村

(21)

1 2 3 4 5 6 7 8

J

Fig.5.1(b) 6=27T/4における温度t=‑8,波数q‑1/7の離散ソリトン格子構造 での傾き角βの変調

次にt‑18での計算で得られた自由エネルギーFを螺旋構造が一周するのに必要な層数 Nで割ったもの、即ち一層当たりの自由エネルギーと電場eの関係を、 q‑1/4‑1/9のそ れぞれの波数で比較したグラフをFig.5.2(a)に示す。さらにFig.5・2(a)における転移電場ec 近傍である電場領域を拡大したグラフをFig.5.2(b)に示す。 Fig.5.2(a)及び(b)から、印加す る電場を大きくしていくと平衡状態となる波数は徐々に小さくなっているが、 ecでは平衡 状態となる波数はq‑1/5からq‑0(SmC相)‑と不連続に変化していることがわかり、即

ち一次転移となっていることを意味している。

19

・T;:人ノ、;・':人下院 L‑.I?I:研究f:L・

(22)

0.2 0.4 0.伝 0,8

e

Fig.5.2(a) 6=27T/4におけるt=‑8でのF/N‑e関係の各波数q‑1/4‑1/9の比較

‑1.68

‑1,685

‑1.69

‑1.695

‑l・7

‑I.705

0,9 1 0.92 0.93 0,94 0.95

e

Fig.5.2(b)Fig.5.2(a)の転移電場ec近傍の拡大図

20

LT7.:人苧人̀'i::院 T‑.J';I:研̀光村

(23)

以上のような計算結果が得られた6‑27T/4のSmCα☆相における温度t=‑8での波数の 電場依存性をFig.5.3(a)に示す。 Fig.5.3(a)から、第4章のFig.4.2に示される傾き角0が一 定の場合の波数の電場依存性と同様に階段状構造となっているが、転移電場ecにおいて波

数qは1/5から0(SmC相)‑と不連続に転移していることがわかる。さらに、 Fig.5.3(a)に おけるq‑3/13からq‑1/5付近の階段状構造を拡大したグラフをFig.5.3(b)に示すが、こ

れは統計的に元の階段状構造と相似的な関係にあり、この階段状構造はβが一定の場合と同 様に自己相似的な階段状構造(悪魔の階段状構造)となっている10)。

0.2 0.4 0.8 0,8

e!tec‑

Fig.5.3(a)6= 27r/4における温度tニー8での波数の電場依存性

21

前人ノt‑;・':人J、;‑,]二院r‑.J、;I:研'jt村

(24)

0.8 0.82 0.84 0.86 0.88 0.9 0.92 ejer

Fig・5・3(b)Fig.5.3(a)における波数q ‑3/13からq ‑1/5付近の拡大

さらに第4章のFig.4.4に示された傾き角βが一定の場合における自由エネルギー密度 AFの波数依存性と比較するために、 6=27T/4におけるt=‑8での自由エネ'/i,ギ‑密度の 波数依存性をFig.5.4(a)、及びFig.5.4(b)に示す。ここで、 Fig.5.4(a)は無電場状態と転移電 場におけるAF‑q関係の全体像を示したものであり、 Fig.5.4(b)は転移電場における

AF‑q関係を拡大したものであるo第4章のFig.4.4に示される傾き角0が一定の場合の

AF‑q関係は全ての電場において単調な下に凸となっていたのに対し9,ll)、 Fig.5.4(b)では 波数が小さい領域において上に凸となる非単調な形となっており、転移電場において波数

q‑1/5が最も安定な状態となっていることがわかる。これはソリトン間相互作用が引力的 に働き、ソリトンの励起エネルギーを減少させた結果である。ここで傾き角βが一定の場合 の転移電場におけるAF‑q関係は全ての波数で上に凸となり、波数の小さい領域ではソリ

トンの励起エネルギーはほぼoとなる。これと同様に波数の小さい領域でソリトンの励起

エネルギーが0となる電場e. (e.≦ec)における自由エネルギー密度の波数依存性を示した

グラフをFig・5・4(c)に示す。ここで傾き角0が一定の場合においてe. ecである。 Fig.5.4(c) によって各波数でソリトン間相互作用がどのように働いているかが明らかになる。さらに

わかりやすく解説を行うために、e=e.での波数qの逆数、即ちソリトン間距離r(‑1/q)と 自由エネルギー密度の関係をFig.5.5(a)に示す。さらにFig.5.5(a)におけるr‑6‑10付近

22

tT..:人′、j,I:人I、;:二院IA.J、i:二研究Ff・

(25)

を拡大したグラフをFig.5.5(b)に示す。 Fig.5.5(a)及び(b)より、ソリトン間距離rが近い領 域だけでなくある程度遠い領域でもソリトン間相互作用が斥力的に働いていることから、

引力的に働くソリトン間相互作用はある特定のソリトン間距離で強く作用することがわか った。

0.05 01 0.15 0.0

q

Fig.5.4(a) 6=27T/4におけるt=‑8での自由エネルギー密度の波数依存性

23

Err.:人J、デ:人一';:二E;I,'tlL.J、j,I:研究村

0.25

(26)

O OC)1

0.0009

0 〔〕008

0 000了

0、0006

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0 000ヰ

0,0003

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l

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1

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+1

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′′′

0.2 0.25

q

Fig.5.4(b)Fig.5.4(a)における転移電場での自由エネルギー密度の波数依存性の拡大図

‑0 0005

‑00015

005 01 015 02 025

q

Fig・5・4(c)転移電場ecと波数が小さい領域のソリトンの励起エネルギーが0となる電場e.

における自由エネルギー密度の波数依存性

24

tT,̲;人J、;ご:人一?I:院7'.乍研究村

(27)

000フ

O OO6

0,005

0、004

O.DOS

0 00'L)

0,OCil

O

‑0 001

‑0.002

10 12

Fig・5.5(a)電湯e.における自由エネルギー密度のソリトン間距離依存性

0̲00〔)1

0 00005

0

‑0.00005

竜一o、ooo1

一口00015

‑0 0002

‑0 00025

‑0 0OO3

6 65 7 ?.5 8 串5 9 95 10

r

Fig.5.5(b)Fig.5.5(a)におけるr= 6 10付近の拡大

25

求人J、;;:人′、;,I:院 r.乍研究村

(28)

2. SmCα☆相での∂=27T/4における温度依存性

前節では6‑22T/4における温度t=‑8での計算結果を記述し、 SmCα*相の傾き角0の変 動を許した場合の相転移やソリトン、そしてソリトン間相互作用などのふるまいについて 論じたが、ここではSmCα☆・SmC相転移の温度依存性について論じる。

まずは6‑22T/4における各温度tでのSmCα☆‑SmC相転移が起きる転移電場ecをプロ ットしたグラフ、即ち相転移の相図をFig.5.6に示す。この数値結果はSmC☆・SmC相転移 と同様の結果と言える。

√)

▲」

1.8

1.6 14

1、2

毎1 08

0.6

04

0.2

0

‑35 ‑30 ‑25 ‑20 ‑1 5 ‑1 0 15 0 5

t

Fig.5.6 6=22T/4における相転移の相図

次に自由エネルギー密度AFの波数依存性について様々な温度で調べ、 AF‑q関係の温 度依存性について述べる。 6=27T/4における各温度t=1,0,‑1,‑2,‑8,‑32の転移電

場での自由エネルギー密度の波数依存性を比較したグラフをFig.5.7に示す。ここで●でプ ロットされたデータの温度はt‑1、 ▲はt=0、 ■はt=‑1、 ◆はt‑‑2、 ×はt=‑8、

○はt =

‑32の転移電場での自由エネルギー密度の波数依存性を示している。 Fig.5.7から、

低温になるにつれて転移電場で安定する波数は小さくなり、また上に凸となる領域も小さ くなっている。つまり低温になるにつれて引力的なソリトン間相互作用が徐々に減少し、

十分低温になるとこの上に凸となる領域は消滅し全ての波数領域で下に凸となる、即ち傾

26

:̲車人̀、;,I:人乍院 L‑.J、j,I:研究科

(29)

き角が一定の場合と同様にソリトン間相互作用は斥力でのみ作用するようになり、二次転 移となる。よって傾き角βの変動を許した場合でも、十分低温ではβの変動が相転移に対し

て影響を与えなくなることがわかり、βが一定の場合と同様のふるまいを示すことがわかっ

た。

0.0000

0.05 01 0.15 02

q

Fig.5.7 6 = 27T/4における各温度での自由エネルギー密度の波数依存性の比較

0.25

上述の数値結果をふまえて,次は6 = 22T/4における各温度での波数の電場依存性を比較 する。 Fig.5.7と同様の各温度Jでの波数の電場依存性をFig.5.8(a)に示す。ここで二次転移

となる傾き角0が一定の場合での波数の電場依存性も同時に示した。さらにFig.5.8(a)に示 された階段状構造を拡大したグラフをFig.5.8(b)に示す。 Fig.5.8(a)及び(b)から、低温にな るにつれて、二次転移となるβが一定の場合の階段状構造に近づいていることが確認でき、

即ち十分低温になると0が一定の場合の階段状構造に帰着することがわかる。

27

・T,.:人苧人̀?I:院 [‑̲・t3,I:研究科

(30)

O,2 0.4 O.6 O8

e{lcc

Fig.5.8(a)6‑ 27r/4における各温度での波数の電場依存性と傾き角0が一定の場合の波 数の電場依存性の比較

Llご tL>

1

二T1

‑‑

‑‑I

I

l'‑1'l

‑t‑i J=O

L・・・‑・・・・‑.

(‑ ‑1

‑‑・・チエ‑2

∫‑‑8

‑‑ トー32

●・ ♂‑const

l

i:‑

l

i I

0.6 0.65 (j 7 0 75 0′8 (185 0、9 0.95 1 1.05

el/et.

Fig.5.8(b)Fig.5.8(a)の階段状構造の拡大

28

求人ノ;・'‑r人J、j,I:院IL.J、j,I:研究科

(31)

このような波数の電場依存性から、転移電場ecで波数qは各温度で不連続に0 ‑と変化 するが、この転移電場における各温度での転移波数qcについてFig・5・9に示す。温度tの減 少に伴い転移波数qcは減少しているが、 Fig・5・9ではqc ‑t関係の傾向はわかりにくいため、

後述の6‑27T/8での計算結果で詳しく論ずるo

1.1 1

C?9 0∈∋

O、7 06

i..:,r.

0斗 O.3

02 0,1

0

丁..‑.・・・・・

JI一・→JA ーーI‑‑LL

I‑‑‑y‑‑〜‑.+

●・・・・‑1・・●・

・●一●

‑35 ‑30 ‑25 J20 ‑1 5 1 0 ‑5 0 5

i

Fig.5.9 6‑27T/4における転移波数qcの温度依存性

以上の数値結果から、傾き角βの変動を許した場合にはソリトン間相互作用は引力的に働き 一次転移となるが、低温になるにつれてその引力的効果が減少していることがわかり、即

ちソリトン間相互作用が斥力のみであり二次転移となる傾き角βが一定の場合における SmCα☆・SmC相転移‑と移行していることがわかった。この相転移特性の変化傾向は smc*・smc相転移と同様のふるまいと言える。しかし6=27T/4では相転移特性の移行は 確認できたが実際に傾き角βが一定の場合と同様なもの‑の変化は実証できなかったため、

次節の6‑27T/8におけるSmCα☆相の計算結果で詳しく論ずる。

29

tT7.:人ノ、if:人J、i,I:院JA.J、;,I:研究科

(32)

3. SmCα☆相での∂=27て/8における計算結果

前節では離散性が極めて顕著な6 27T/4の場合について考慮したが、ここでは離散性がや や弱い6‑2方/8における計算結果を記述し、前述の6=27T/4との比較を論ずる。

初めに6‑27T/8における各温度t‑1,0,11の転移電場ecでの自由エネルギー密度の

波数依存性をFig.5.10に示す。ここで6=22T/8での数値結果であるFig.5.10と、 6‑

27T/4での数値結果であるFig.5.7を比較すると、 6‑22T/4では凸の形が鋭角的となるの に対して、 6=27T/8では極めて曲線的となっているo さらに6‑27T/8では引力効果の減 少、即ち傾き角が一定の場合‑と帰着する温度が6‑27T/4に対して極めて高い結果が得ら れた。つまり∂が小さくなる、即ちSmCα☆相の螺旋構造のピッチが長くなるにつれてソリ

トン間相互作用が引力的に働く温度領域が小さくなることがわかった0

5 0E‑05

4 5E」〕5

4 0E‑05

3 5E‑05

3 0E‑05

笥2・5E‑05

2.OE‑O5

卜5E‑05

1.0巨‑05

5 0E‑06

0 0E+00

‑●・一丁‑1 1・A‑(=0

‑● ∠ニーI

̲‑‑‑All‑‑<I

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̲.・A・L・・‑・・‑・'

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1

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i

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j

■l▲̲ i

0 OO2 OO4

I I

+

I

I I

I

、■

I

00さ 01 0.1三

Fig.5.10 6‑27T/8における温度t‑1,0,‑1の転移電場での自由エネルギー密度の波数

依存性

ここで6‑27T/8における各温度tでのSmCa*‑SmC相転移が起きる転移電場ecをプロ ットしたグラフ、即ち相転移の相図をFig.5.11に示す。 6‑27T/8における相図である Fig.5.11と、 ∂=27T/4における相図であるFig.5.6を比較すると、 ∂が小さくなるとSmC α☆‑SmC相転移が起きる転移電場ecの値も小さくなっている。

30

車人Jl;,':人一'j,':院1‑.J、i三:1T)F究村

(33)

02

0.18 0.16

014

0.1::

〜... 0.i

L1 08

C) (J6

004

(:IO'2

0

‑1T‑.5 ‑12 ‑1.5 ‑1 ‑05 0 05 1 1 5

t

Fig.5.ll 6=27r/8における相転移の相図

さらに電場e‑e.における各温度での自由エネルギー密度AFのソリトン間距離r依存 性をFig.5.12に示す。 Fig.5.12から、低温になるにつれて引力効果の減少が確認でき、十 分低温になると全てのr領域で斥力となる傾き角0が一定の場合に帰着することがわかっ

た。

31

1T7:人/、j,I‑'人Jl‑;,'・'院T'̲'1i::研究村

(34)

10E‑05

0.OE+00

‑1.C)E‑05

‑コOE‑05

‑3 0E‑O5

‑4、OE‑05

‑5 0E‑05

‑6 0E‑05

‑7̲0巨‑05

‑8 0E‑05

10 15 20 25

r

Fig.5.12

̀ダ=27r/8における温度t‑1,0,‑1の電場e.での自由エネルギー密度のソリト ン間距離依存性

次に6‑27T/8における各温度t‑1,0,‑1での波数の電場依存性をFig.5.13に示す。

6‑27r/8における波数の電場依存性であるFig.5.13と、 6‑27r/4における波数の電場依 存性であるFig.5.8(a)を比較すると、 6が小さくなると階段状構造は曲線形に近づいている ことが確認でき、即ちSmC☆相の波数の電場依存性に近づいていることがわかった。

32

LTi:人/、j・':人J?I:院 Jt;I:[fA)F究村

(35)

0.2 0、4 O、6 0.8 e・/e亡

Fig.5.13 6=27T/8における各温度での波数の電場依存性

Fig.5.13の数値結果から6‑27T/8における転移波数qcの温度依存性を得ることができ、

その結果をFig.5.14に示す。ここでFig.5.14の実線は各数値結果の近似曲線を表している。

Fig.5.14から、 SmCα☆・SmC相転移が一次転移となる温度領域と、二次転移となる温度領 域の境界を確認することができ、 t̲=‑2.5がその境界である.即ち6‑27T/8のSmCα☆相 では‑2.5<J≦2で一次転移となり、 J<‑2.5で二次転移となると判断される。次に低温で 二次転移であることをJニー4の解析で示す。

33

LTi:人芋人ノ、;,l二院 r1̲ノ、;l二研'})t糾

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