︿論説﹀
︑
米 国 都 市 計 画 の 発 展 過 程 及 び 手 続 的
デュー・プロセスに関する一考察
米 国都 市計画 の発展 過程
はじめに
1地域制の発展
豆地域制決定と手続的デュi・プロセス
ー立法的行為と行政的行為
2保護される利益の存否
3手続の適法性
皿地域制決定への直接民主制の採用と手続的デュー・プロセス
ーイニシアチブとレフェレンダム
2手続的デュi・プロセスとの適合性
3合衆国最高裁国9ωけ冨評⑦判決
まとめに代えて 藤田尚
則
はじめに
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アメリカにおける都市計画の最も普通の型は︑地域制(N8ぎαq)と呼ばれるものであるρ地域制とは︑財産の価値
及び有益性を保護し︑秩序ある都市の発展を保障する土地利用統制の包括的体系を通して︑都市の一般の福利を促進
( 1 )
させるために州警察権(2膏obo≦9)のもとで立案されるものである︒地域制権限は︑通例︑州警察権の明白な委任に基づき︑自治体(市町村)により行使されるが︑狭義にとらえるならば︑地域制は︑自治体を地区(血簗吋§ω)に区
( 2 )
分すること及びこれらの地区内にある土地の利用に予め制約を課すことから成立している︒かかる地域制は︑都市の中心部が急速に発達しだしたとき︑都市生活の快適性を求めて考案されたものである︒サ
( 3 )
ザランド判事(一窪のけ凶6ΦωOけげΦ﹃一螢昌ユ)は︑≦一一⇔σq︒︒馬国琴一一辞○ぼP︿・﹀目匡2閑$一受OPの中で﹁近年に至るまで都市生活は︑比較的単純であった︒しかし︑人口の増大と集中に伴い︑都市地域社会における私有地の使用や占有に特
( 4 ) ( 5 )
別の制約を課さざるを得ない諸問題がでてきている﹂と述べ︑09①びく.男o×の中で︑地域制の正当性を﹁現代の都( 6 )
市生活における諸問題の領域とその複雑性にみられる大きな変化﹂の中にみいだしているρ警察権の行使に基づく地域制をめぐる諸問題は︑複雑多岐にわたる︒第一に︑自治体は︑地域制を通して一定の目
標を追求するが︑地域制権限付与法(No菖口σq国呂げぎαq︾9)及び警察権それ自体への憲法上の制約が働くため︑いか
なる目標が地域制の正当な目的となるかの問題が存在する︒第二に︑従来︑適切な警察権に基づく規制は︑たとえそ
れが自由又は財産の使用を侵害するとしても︑憲法に抵触するものではなく︑補償の支払いを請求し得る財産の収用
を構成するものではないとされ︑﹁規則﹂と﹁収用﹂が概念的に区分されていたが︑社会構造の変化に伴い︑警察権
と土地収用権を相関的にとらえる考えが主張されはじめている︒ここに︑地域制と合衆国憲法第五修正との関連をい
( 7 )
かに把握するかの問題が存在する︒第三に︑ここ数年︑自治体は︑大人向け書店や劇場の統制に地域制を使用しだし( 8 )
てきているが︑ここに合衆国憲法第一修正の表現の自由と地域制権限の抵触の問題が存在する︒第四に︑地域制は︑しばしば︑低所得者や少数民族の移住を抑制する結果を引き起す︒とするならば︑地域制は︑合衆国憲法第一四修正
( 9 )
の平等保護条項を侵害しているのではないかという問題が生ずる︒ところで︑今日の地域制法令の施行につきまとう問題の一つに︑地域制政策の意思決定(血o︒匠3ヨ鴇ぎαq)段階に
おける手続のそれがある︒この手続は︑最近のデュー・プロセス(一)OΦ]℃畦OOΦωω)概念の活発な理論的展開により︑再
吟味されなければならないといわれている︒
本稿は︑かかる観点から︑最初に地域制の発展過程を鳥敵し︑次に地域制とデュー.プロセス︑就中手続的デュ
ー・プロセス(真08匹霞巴9①寓08ωω)の関連を考察し︑日本の都市計画法との比較研究の一助としようとするもの
である︒
米国 都市計 画 の発 展過程
( 1 ) O o ヨ ヨ 窪 ♂ N 8 ぎ αq ℃ ︾ Φ ω 昏 o 江 o ρ g凸 巳 夢 Φ 国 話 叶 ︾ 日 窪 島 日 ① 口 ♂ 2 0 0 罫 曇 い ● 閑 ① < ・ ︒︒ 一 ℃ ○︒ 卜Ω ( ち 罐 ) ・
( 2 ) 夷 ● ︾ 民 ︒ 目 ω ︒ p ︾ 日 巴 ︒ 碧 ピ 署 ︒ 脇 N ︒ 巳 畠 資 δ ( N 山 L ㊤ ♂ ) .
( 3 ) ミ N d ・ω ・ ω ① α ( ち b︒ ① ) ●
( 4 ) 罫 鉾 ω ︒︒ ? ︒︒ 刈 ・
( 5 ) b︒ 課 d ●ω ・ 8 ︒︒ ( δ b︒ 刈 ) ●
( 6 ) H ユ ● 暮 8 ︒︒ ・
( 7 ) 米 沢 広 一 ﹁ 土 地 使 用 権 の 規 制 ﹂ ( ﹃ 法 学 論 叢 ﹄ 第 一 〇 七 巻 第 四 号 ︑ 第 一 〇 八 巻 第 一 号 ︑ 第 一 〇 入 巻 第 三 号 ) 参 照 ︒
( 8 ) ω o ρ ① .ぴq 二 嘱 3 コ ぴq < . 諺 巳 o ユ o 餌 昌 竃 一巳 ↓ 冨 9︒ 窪 0 9 ぎ o こ 躰 卜︒ 刈 q ・ω ・ 8 ( δ 蕊 ) ・
( 9 ) 田 中 英 夫 ﹁ ゾ ー ニ ン グ と 法 の 前 の 平 等 ﹂ ( ﹃ ア メ リ ヵ 憲 法 の 現 代 的 展 開 ・ 1 人 権 ﹄ 芦 部 ・ 奥 平 . 橋 本 編 ︑ 一 九 七 入 年 七 月 )
一 八 九 頁 以 下 参 照 ︒
1地域制の発展
69
アメリカにおける最も初期の地域制規制(N8ぎσq冨αQ巳豊8)は︑空地や建築物の高さの統制に向けられていたが︑
( 1 )
裁判所は︑かかる制約を市民の安全︑健康及び福祉の促進を目的とする州の警察権行使にあたるとして受けいれている︒このような地域制は︑産業上の土地使用の集中と分離を目的とするもので︑例えば︑一九〇九年︑ロサンゼルス
は︑忌住地区と七産業地区を規定した包括的地域制(8暑尋.曇§葺︒q)を定めて馳・
地域制のその後の発展に大きな影響を与えたのは︑ニューヨーク市の地域制規制である︒一九=二年︑建築物高度
委員会(窪①国①凶αq窪ωoh切巨象ロσqOo日巳ωωδ口)が︑市を﹁居住地域﹂︑﹁商業地域﹂︑﹁非制限地域﹂に地域指定する計
画を勧告したのを受け︑ニューヨーク州は︑翌年︑当該市の地域指定を許可するために市憲章を改正し︑一九一六年
( 3 )
に=ご年勧告を具体化した決議案を採択している︒ニューヨーク市が地域制を実施した後︑計画的土地利用制限は︑急速に広がり︑一九一五年当時︑地域制と考えら
れるものを有していた都市は︑わずか五都市であったが︑一〇年後には︑ほぼ五〇〇都市がかかる計画を採用してい
る︒このような傾向は︑一九二一年︑時の商務長官ハーバート・フーバー(国①﹁げO円什困山OO<①︻)が︑後に基準州地域制権
限付与法(ω$巳①aω鼻︒N§ぎαq穿鋤げぎαq>g)を起草するに至る地域制諮問委員会(︾畠くδo蔓Ooヨ日葺80口No巳ロσq)
( 4 )
を設置することにより︑更におし進められたのである︒基準州地域制権限付与法は︑地域共同体の健康︑安全︑風紀又は福祉を促進︑助成するために︑自治体の議会に対
してω建築物の高さ︑階数︑容量︑②建坪率︑空間地の広さ︑㈲人口密度︑四商工業︑住宅その他の目的のための建
築物及び土地の立地及び用途を規制する権限を授与している︒そして︑右目的を達成するために︑自治体の議会は︑
当該自治体の区域を適当な数︑形及び広さの地域に区分し︑各地域の建築物の建設︑改築若しくは用途又は土地の用
途を規制し︑制限することができる旨︑かかる規制は各種の建築物について各地域で一様に適用されるものではない
旨を定めている︒また︑上記規制は︑ω道路の混雑緩和︑②火災その他の危険からの安全確保︑㈲健康及び一般の福
祉の増進︑ω適切な日照及び通風の確保︑㈲人口の過度の集中の回避︑㈲運輸︑上下水道︑学校︑公園その他の公土ハ
的需要の充足を達成することを目的としておこなわれるべきであるとして転祝︒
このように︑基準州地域制権限付与法は︑州立法部が地域制権限を自治体に委任する際に従うべきモデルを規定し
米国 都市計 画 の発 展過 程
71
たものである︒一九三〇年当時︑三五州が基準州地域制権限付与法に何等かの手を加えた上で各自治体に地域制権限
を付与していたが︑一九六〇年代になると︑基準州地域制権限付与法をモデルとした地域制権限付与法を有する州
( 6 )
は︑ほぼ五〇州にのぼるとされている︒地域制採用の初期の段階において︑多くの裁判所は地域制の採用を合憲としているが︑少数ではあるが︑憲法上の
権利の侵害にあたるとして違憲であるとする判決がみいだされる︒一九二一年︑テキサス州最高裁判所は︑ωb︑口口く・
∪岱塩暁で商業用建築物は・居住地域から排除されるものではないと判決している︒その中で︑同最高裁は﹁条例
は︑明白に公衆衛生又は公共の安全の保護を目的として規制を行なっているとはいえず︑合法的な普通の小売店事業
( 8 )
が︑公衆衛生を脅かし︑又は公共の安全を危険にさらすと論ずることは根拠のないことである﹂と判決している︒一九二五年メリ⊥フンド州最高裁判所室・︒衰︒乱塁鞠で・幾制規制霜当に簑に定義された健康及
び福祉の考慮の範躊に属さない限り︑居住地域内の包括的な使用の制約や禁示のために警察権を行使することは認め
( 10 )
られないとしている︒( 11 )
一九二六年︑合衆国最高裁判所は︑≦一﹃σq①oh国ロ島FO霞p︿.﹀巳甑巽"$ξ09で包括的地域制条例(8日づ,器冨霧凶く︒N8ぎσq霞血ぢ鋤旨8)の合憲判決を下した︒
国琴ま村は︑オハイオ州ΩΦ<Φ貯巳市の郊外にある人口約五千乃至一万人の村で︑ほとんどの土地が農地乃至未
開発の土地であった︒原告不動産会社は︑同村に六入工ーカーの土地を所有しており︑当該土地は村の西の端に位置
しており︑南側は国琴臣通りに接し︑北側はζ甘パ色コ讐o鉄道に接していた︒またこの土地に隣接して︑東西に
は住宅が建設されていた︒一九二二年一一月一三日︑村議会は︑商業用︑工場用︑アパート用︑二家族用住宅︑一家
族用住宅等の建築を規制する包括的地域制計画を定める条例を可決した︒その結果︑村の全領域は︑U11からU‑
6に渡る六用途地区(二ωO住一ω什H一〇什ω)︑H11からH13に渡る三高度制限地区(9黄算側聾鴎§ω)及びA‑1からAi
3に渡る三空地地区(①同Φ螢山一ω什﹃一〇叶ω)に区分された︒原告不動産会社所有の土地は︑二家族用住宅の建築が可能なU
12地区︑アパート︑ホテル︑教会︑学校︑公立図書館︑病院その他の公共用建築物の建築が可能なU‑3地区及び
下水処理場︑ゴミ焼却場︑工場等の建設が可能なU16地区に指定された︒
原告は︑当該土地は空閑地であり︑商業用及び工業用目的に使用されるよう開発してきている︒居住目的に土地利
用が制約されたならぼ︑一工ーカー当り一〇〇〇〇ドルから二五〇〇ドルに価値が低下する︒財産権に不利益を与え
る本件条例は︑法の適正手続なしに自由及び財産を奪うものであり︑また法の下の平等を否定するものであると主張総・
合衆国最高裁判所は︑次のように判決している︒地域制は最近始まったものであり︑それはアメリカ人の生活様式
の変化に対する反応であり︑憲法原理はかかる変化に適応する柔軟性をもたなければならない︒地域制権限は︑警察
権の一側面であり︑そしてそれ故に︑本件における地域制権限の行使は︑州警察権の正当な範囲を越えるか否かによ
む
って判断されなければならない︒Ω①<⑦一⇔鼠市の工業発展の波は︑当該村までおしよせてきているが︑本件条例の目的は︑村内の土地所有者の大きな損失を前提として︑かかる工業化の波をそらすことにある︒村は独立の自治体であ
り︑自ら制定した条例︑州憲法及び連邦憲法の制限の範囲内で自らが目指す方向に従って自らを規制する権限を有し
ている︒住民の多数を代表する村議会は︑工業発展の一定の方向性を決定した︒工業用施設を住宅地区から離れた場
所に建設するように規制することが警察権の適切な行使であるとするならば︑当該権限の行使を否定する充分な理由
はみいだしがたい︒なにゆえならば︑警察権行使の目的は︑工業化の波から村の居住者を保護するにあるからであ
( 15 )
るρ住宅用︑商業用及び工業用建築物を分離することは︑火災︑交通事故︑騒音その他の無秩序状態の防止︑減少を生じ︑適切な環境を生みだすから・適切な警察権の行使ということがでざ縛︒
国垂を羅に︑最高裁は︑翠N・ぎ二§亀導を・髄で居住磯からの粟墨築物排除の合憲