• 検索結果がありません。

運動習慣と学校生活との関連に関する研究報告 谷川尚己

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "運動習慣と学校生活との関連に関する研究報告 谷川尚己"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

アカデミックアワー研究報告 163

運動習慣と学校生活との関連に関する研究報告

谷川尚己1)

A study about the relation between habitual exercise and school life

Naomi TANIGAWA

1.はじめに

 近年,子どもの体力低下,二極化1,2)が指 摘されている。高校生が学校生活を充実した ものにしていくには,心理面,身体面,さら には,生徒間や教員間などの人間関係(社会 面),学習面などが総合的に関わってくる。

基本的な生活習慣の確立もその1つである。

今回,健康の増進,自己実現の達成など多くの 効果が期待される運動・スポーツに着目した アンケート調査を実施することによって運動 習慣と学校生活との関連について検討した。

2.研究方法

 対象は,滋賀県内高等学校全日制10校,定 時制1校の1年生760名,2年生772名の合計 1,532名(男子786名,女子746名)で,運動習 慣(体育授業を除く1日当たりの運動時間)

が,学校生活(運動に対する意識,遅刻,欠 席など)に及ぼす影響など29項目について調 査した。調査は,各学校の保健体育の授業時 間内に無記名質問紙法により実施した。

3.結果及び考察

 被検者を,男女別,1日の運動時間別に  非運動群(1日の運動スポーツ時間が0分)

 運動群Ⅰ(同時間が90分以下)

 運動群Ⅱ(同時間が91分以上180分以下)

 運動群Ⅲ(同時間が181分以上)

の4群に分類し,その差異について検討した。

 今回調査した高校生男女の運動時間別比率 は図1のとおりである。男子の非運動群は 28.7%,女子は57.2%とともに非常に高く男 子は4人に1人,女子は2人に1人もいるこ とがわかる。女子の高い要因として部活動離 れ,特に運動部を敬遠する傾向があるものと 考えられる。文部科学省の報告3)では,小学 生(5年生),中学生では(2年生)1日の運 動時間が30分未満と答えた者が,男女とも5 人に1人であった。高校生になると一気に増 加しており,今後,高校生が運動するには,

どのような取り組みをすればよいのかを考え ることが大切だと思われる。また,体育の授 業に加え,毎日少なくとも1時間以上の運動

・ スポーツが,体力の向上に効果があるとし ている。伊藤等4)は,運動部活動の練習時間 の変遷(1966、1996、2002年)について調査 し,2~3時間が最も多く50%を超えている

女子

男子

427人 98 173 48

226人

0% 50% 100%

109 359 92

非運動群

Ⅰ群

Ⅲ群

図1 運動時間別男女比率  Key words:運動習慣,学校生活,運動好き,体力の自信,基本的生活習慣

1)生涯スポーツ学科

(2)

びわこ成蹊スポーツ大学研究紀要 第8号 164

と報告していることから,2~3時間当たり が1日の適切な運動時間と考えられる。本研 究でも,適切な運動時間については,ほぼ同 様の結果が得られた。

 「運動が好きですか」については,運動群は 男女とも非運動群に比べて運動が好きであ り,運動時間が長くなるにつれて(運動群

Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの順)その傾向は強くなってい る。また,「運動が嫌い」と答えた者は,非運 動群で男女とも3人に1人もいることがわか った。運動が好きな者ほど運動時間が増加す ることから,まず運動好きにさせることが重 要だと考える。

 「体力に自信がありますか」についても,運 動群は,非運動群に比べて体力に自信を持っ ており,「運動好き」の問いと同様に,運動群

Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの順に,その自信の割合は高くなっ ている。また,非運動群は男女ともに40%余 が体力に自信がないと答えていることに注目 したい。すなわち,男女ともに,運動習慣が体 力への自信を裏付けているといえるだろう。

 以上,2つの問いからは,まず運動を好き にさせることが運動習慣の定着につながり,

それが体力への自信となってあらわれると言 えよう。運動好きの生徒を育てる方策,運動部 の活動内容が重要となってくると考えられる。

 「朝の遅刻は」については,週に1~2回の 者は,非運動群と運動群Ⅲの割合が高く,運 動群Ⅰ,Ⅱの割合が低い。

 次に,「欠席の有無」については,男子では,

欠席ありは,非運動群が多く,女子では非運動 群,運動群Ⅲが多くなっている。(図2-1,2)

 この2つの結果から,適度な運動習慣(運

動群Ⅰ,Ⅱ)は,遅刻,欠席を減らすと言う ことができる。また,運動をしない者(非運 動群)や長時間の運動(運動群Ⅲ)は,遅刻,

欠席増につながると思われる。つまり,適度 な運動習慣が生活リズムを安定させ,健康増 進につながると考えられる。「学校生活が楽 しいですか」について,男子では「楽しくな い」が運動群Ⅲ(14.1%)に比べて,非運動群 では30.5%とほぼ2倍にもなっていた。これ らのことからも運動習慣の重要性を認めるこ とができた。

4.まとめと今後の課題

 今回,運動習慣が,学校生活に及ぼす影響 など29項目について調査したが,適度な運動 習慣が学校生活にプラスに働く結果が認めら れた。「運動好き」「体力の自信」などの健康 度,「遅刻」「欠席」などの基本的生活習慣。

そして,何よりも,学校生活を楽しくさせる 結果をも見出すことができた。今後は,これ らを生徒に還元し,より一層の学校生活の充 実,健全育成に結びつけることが重要だと考 える。

参考文献

1)豊島広之:子どものスポーツ運動実施動態.

体育の科学,56:344-348,2006

2)加藤謙一:子どもの走能力の発達.体育の科 学,52:34-38,2002

3)滋賀県教育委員会:平成20年度児童生徒の体 力・運動能力調査報告書 15-16,2009 4)伊藤静夫他:スポーツ少年団活動における運

動量.体育の科学,58:626-631,2008

非運動群 運動群 Ⅰ 運動群 Ⅱ 運動群 Ⅲ

0 20 40 60 80 100

なし あり

(%)

87.8 93.6

82.4 83.3

17.6 12.2 6.4

16.7

図2-2 欠席の有無 女子比率

0 20 40 60 80 100

(%)

非運動群 運動群 Ⅰ 運動群 Ⅱ 運動群 Ⅲ

80.1 87.2

90.8 90.2

19.9 12.8 9.2

9.8

なし あり

図2-1 欠席の有無 男子比率

参照

関連したドキュメント

大学教員養成プログラム(PFFP)に関する動向として、名古屋大学では、高等教育研究センターの

児童生徒の長期的な体力低下が指摘されてから 久しい。 文部科学省の調査結果からも 1985 年前 後の体力ピーク時から

 映画「Time Sick」は主人公の高校生ら が、子どものころに比べ、時間があっという間

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

スペイン中高年女性の平均時間は 8.4 時間(標準偏差 0.7)、イタリア中高年女性は 8.3 時間(標準偏差

● 生徒のキリスト教に関する理解の向上を目的とした活動を今年度も引き続き

● 生徒のキリスト教に関する理解の向上を目的とした活動を今年度も引き続き

今年度は 2015