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【学位論文審査の要旨】

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Academic year: 2021

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【学位論文審査の要旨】

医療技術の進歩によって,日本の新生児死亡率は低下している一方,医療機器や医療的 なケアに依存して生存する子どもが急増している.こうした医療依存度の高い子どもやそ の家族への支援施策の充実が求められている.また,2012 年の児童福祉法の改正によって,

障害種別によって細分化されていた障害児入所施設は,入所児の重度・重複障害や被虐待 児への対応等を図るため,障害児入所支援に再編された.この改正によって,旧法の第一 種自閉症児施設,肢体不自由児施設,重症心身障害者児施設は,医療型障害児入所施設へ 統合されることとなった.

しかし,制度改正に伴い,施設利用がどのように変化し,施設面でどのような対応が求 められているのかについて,建築計画の視点からの検討は十分になされていない.また,

医療型障害児入所施設の施設基準には,スタッフの人員配置,床面積,所要室については 定められているものの,居室や生活空間の規模や構成方法等の施設計画に関する指針は明 確に定められてはいない.

そこで本研究は,医療型障害児入所支援を実施している全国の入所施設を対象として,

施設利用と施設整備の現状を把握し,主要な類型を導出すると共に,類型ごとの施設運営 ならびに施設計画の特徴を明らかにした.また,移転新築により旧肢体不自由児施設から 医療型障害児入所施設へ移行した施設を対象として,利用者属性の変化,施設内使用場所 の変化を明らかにした.さらに,入所児の重度化を考慮して計画された医療型障害児入所 施設Koにおける,ユニット構成,諸室構成,居室種類,交流空間,等の施設計画内容につ いて,入所児属性,使用場所の状況,施設運営の観点から分析を行い,当該施設の計画の 有用性を検証し,これからの医療依存度の高い重複障害児への支援に対応した施設計画要 件を示している.

本論文で得られた成果は以下のように要約できる.

1)全国の医療型障害児入所支援を行っている入所施設(221施設)を対象としたアンケー ト調査を行い 103 施設から回答を得た.施設の定員・入所児者数・主な障害・重症度を明 らかにするとともに,数量化Ⅲ類分析とクラスター分析による類型化を行い,8つの類型 を導出し,その特徴を示した.

2)前述の8つの類型の中で,入所児の重度障害の比率が高い4つの類型から,それぞれ の典型的な施設を選定し,訪問ヒアリング調査を行った.当該施設の入所棟・ユニット構 成,居室構成,入中生活スペースの構成,医療依存度の高い入所児に対する施設対応の特 徴を示した.

3)移転新築により旧不自由児施設から医療型障害児入所施設へ移行した医療型障害児入 所施設Koを対象として,移行前後の各1年間の利用実態を把握した.入所児の属性,使用 場所の特徴,看護師・保育士の場所別行為内容,個人別使用場所の事例分析から,当該施 設で提案されたユニット構成・居室構成・日中生活スペースの有用性を明らかにした.

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4)医療型障害児入所施設Koにおける,入所児の重度化を考慮して提案されたユニット構 成,諸室構成,居室種類,交流空間,等の施設計画内容の有用性について,入所児の重症 度(大島分類・超重症児判定スコア)別の使用場所や看護師の居室種類別の看護行為,施 設運営・感染管理等の観点から検証を行った.個室の使用理由の多様性と多床室の個室と しての運用状況から,個室の必要性を示した.医療依存度の高い重症児への頻回な医療的 ケアと看護観察の必要性から居室とスタッフステーションが近接していることの必要性を 示した.感染症対策としてユニット単位での隔離ができる空間構成の必要性を示した.

以上のように,本論文は,医療型障害児入所施設の利用実態を解明し,医療依存度の高 い重複障害児への支援に対応するための空間構成と施設計画について,有益な示唆を与え る成果を導出しており,建築計画分野における貢献は極めて大きいと評価できる.よって,

本論文は博士(工学)の学位を授与するに十分な価値を有するものと認められる.

参照

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