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高機能自閉症児を担当する

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(1)

高機能 自閉症児を担当する

5

年 目の保育士における子 どもへの関わ りと支援

Interaction between a nursery in the fifth year and a high functioning autism child, and his support

Shizuka AOYAGI Izumi YOKOYAMA

○幼児保育学科 寺島明子 鎌倉女子大学 大野和男

A k i k o   T E R A S H I M A   K a z u o   O H N O

保 育 士   青 柳 静 花   保 育 士   横 山 い ず み

要旨

寺島 ・大野

(2007)

らは、新人保育士が何年経てば一人前の保育士にな ってい くのか とい う課題 をもち, 研究に入 り 5 年 目を迎 えた 。 Y 保育土は,今回研究対象の A ・K 児が 3 歳児の時に加配保育士 として担任 を

していた経緯がある 。 A ・K 児は , 3 歳児で保育園に入 園す る前か ら高機能 自閉症 の診断が されていたが,

Y

保育士は,自閉症の特徴が現われていても気にせず,保育を行 っていることが明確にされた。

Y

保育士は保育士

5

年 目を迎 え,保育園の行事や活動を熟知 してお り

,A・K

児 にゆ とりを持 ってかかわ り成長発達 させたことが推察できた。 また, Y 保育士が

A ・K

児 に抱いていたことは

, A ・K児のことを障

害児と自覚 しつつも, 「 一人の人間として尊重しなが ら肯定的に言葉掛けをして丁寧 に関わってきた」 という 思 いや願 いや方法がA ・K児 に伝わ り,その結果Y保育士 と子 どもたちの信頼関係が構築でき,既存 クラス の友達 と集団遊びができた り,自分の困ったことをY 保育士に言葉で自分 の思 いを伝えることができたと思 われる。 しか し

,Y

保育士は A ・K 児が高機能自閉症であ り,そのすべての特徴を消滅 させ健常児 と同じよ

うな情緒をもっことはできないと感 じていたことも理解できた。

【 キーワー ド】 加配保育士 高機能自閉症 子どもの成長発達 関わ りと支援 1.問題 :保育士が専門職になっていくということ

本校の教員

2

人 と卒業生

2

人 とで研究会をスター トさせ

,201

1年 の

3

月で

4

年 目が終了 した。卒業 生は保育

土 5

年目が終了した。 この

5

年の間に卒業 生は保育士としで悩み苦 しみながら,あるいは子 ど も達の赤裸 々な姿に,疲れた思 いは癒されながら保 育士という専門職 としての階段を一歩一歩登 ってき つつある。

本研究会は,保育養成課程で学び資格を取得 し, 卒業した学生がどのように子 どもたちと関わ りなが

ら,保育士 としての専門職者になってい くのか,月 一回の研究会では面接方 と紙面質問形式で記述して もらいながら行 ってきた。この研究会の意味は,卒 業生の保育に対する悩みを聞きながら,悩みを解決 する課題の持ち方,つま り,カンファレンス的な意 味も含んでいた。

カンファレンスの必要性は,小田

(2010)

は保育 者の資質向上について,保育者は今まで自分 自身で 意識していなかった事柄を知 り,またこれまでの考 え方に変化を及ぼす 「 気づき」が必要である。そ し て,「 気づき」 を得 るために研究者相互の作用のあ るカンファレンスが有効であると感がられると述べ ている。 1 )この意味において卒業生 と教員 との研 究会は,その一端を担 ってきたのではないかと思わ

れる。

また , Y 保育士は 5 年 目の保育士であるが,専門 職 として学びつつあ り専門職者 としての力の全ては 身につけてきて いるのであろ うか。 まして本年度 は

,5

歳児 クラスで高機能 自閉症児 の加配保育士で ある。

そこでY 保育士のような加配保育士は,A ・K 児

を担任 してい く時にどのように見取 り, どのように

クラスとの関係を構築 し,また,保護者 との関係 も

どのように行 っていけばいいのか不安であったと推

察され る。いざ入園式が終了し4 月に A ・K 児を目

の前にした時に,行動を明確にイメージすることは

できなかったと思われ る。そのことを新人の担任保

育士について佐 々木

(2010)

は,子 どもの中であら

ゆる行動の感触をイメージできないままに子 ども達

と関わ ると言 っている

。 2)

そのため

,A ・K

児 の

姿が一過性のものなのか,連続性なものなのか理解

できず悩みが拡大 してしまい,イライラ感が募 り精

神的なス トレスになってしまう場合 もあると考 えら

れ る

。Y保育士が保育士 として専門職者 になってい

くということは,子 どもの姿を捉えた時に, もし問

題行動が起きていたとしても, この姿は子 どもの育

ちの中ではよ く起きることであ り,問題 にす ること

ではないと直感的に判断することができることでも

(2)

70

高機能自閉症児を担当する

5

年目の保育士における子どもへの関わりと支援 ある。そして,専門職者 としての保育士は,子 ども

に対 して自分 自身で自分の関わ りをコン トロール し なが ら関わることができることでもある。また, 佐 々 木

(2010)

は,子 どもの姿を捉 えて支援 をしてい く 時には,新人保育士にとって 「 迭巡」す ることを支 えられ る機会が,子 どもとのかかわ りの感触 を実践 知 として蓄えるための機会 となっていると述べてい る

。 3)

このことは研究会などをしてY保育士の相 談に乗 り,保育をどのようにすればよいのか

Y

保育 士の思 いに寄 り添 いなが ら行 っている当研究会は, 保育士が専門職者 となってい くことの一つの方法で

もあると言 えるであろう。

以上 のように保育士が専門職 とし育 ってい くの には, 研究会などの機会が重要であると考えられる。

また,保育の専門職者が子 ども達の保育をしてい く のは, どのようなことを考 えながら行 って行 くので あろうか。

最初 に子 ども達が育つ環境には, 人的・ 物的・ 社会 ・ 自然の四つある。人的環境 とは,子 ども達の周 りに いる 「 人間」であ り,保育所の保育士 ・乳幼児 ・保 護者 ・栄養士 ・調理員など保育所 に係 る 「 人間」の ことをいう。物的環境 とは,子 ども達の周 りにある 全ての 「 もの」であ り,保育所 にある園舎・ プール ・ 机 ・ 椅子などの施設的な 「 もの」か ら,教材 ・ 遊具 ・ 玩具など子 どもが自ら関わる全ての 「 もの」をいう。

自然環境は, 人間が全 く手を付けてないもの( 山・ 川 ・ 木 ・森など)をいう。社会環境は,人間が生活する ために必要な社会構造など人間が作 り出した状態を いう。乳幼児が育つための環境設定 として環境の以 上 四つは大切である。 この四つの中で自然環境は, 人間が手を付けることができないものであるが,他 の三つは人的環境である人間が主体 とな り,子 ども 達に提供できるものである。保育所の子 ども達 に影 響を及ぼす人的環境は,保育士 と乳幼児であると言 える。その中で特に保育士の影響は,乳幼児に絶大 な影響 を与 える。子 ども達は,誕生 してす ぐから家 庭 と言 う環境の中で大切 にされなが ら育 って くる。

そして,家族以外の人に出会 う保育所の保育士 との 出会いは,乳幼児は刺激的で保育士の全てのものを 受け入れて しまう純粋な心を持 っている。 この純粋 な心をもっている子 ども達は,この保育士の姿を見 てそのすべてを受け入れて育 って行 くのである。そ の意味において保育士は,子 ども達のよい意味での モデルにな らなければな らない。

また,保育士 は保育士 の責務 として

2008

年 に告 示 された保育所保育指針を基軸 に拠 り所 としながら 保育を進めてい くことが不可欠である。まず保育士 は乳幼児の特性から 「 環境を通 して学んでい く

」 1)

ことを考慮 しつつ,乳幼児 自らが育 とうとす る環境

を,乳幼児の 「 近 自然的環境」 に位置づけているこ とが望 ましいのである。つま り,保育士は,乳幼児 が環境を通 して自然に育つように環境設定する必要 があると考えている

。 4)

寺島

(2008)

らは,新人保育士に影響を与えてい ることとして先輩保育士の存在を挙げていた。先輩 保育士が新人保育士に対 して,新人保育士が頑張 っ てやっていることを認めつつ,こうすればもっとう ま く行 くという肯定的な言い方で支援 してい くこと で成長 してい くことも明 らかにした。つま り,保育 士

2

年 目の保育士は,先輩保育士 との人間関係を構 築 しつつ保育を行 っているといえるだろう

。 5)

また,寺島

(2010)

では,

A

保育士 ( 研究対象) は,保育の中心 としては,ベテラン保育士の考案 し た保育内容を受け入れ実践 した。その保育方法は保 育活動が うま く行 ったとか言葉掛けが うま く行 った ではな く

,A保育士 (

研究対象)が心 に抱 いている

「 子 どもたちのことを大切にしている

」 2)

という思 いが子 どもたちに伝わ り,その結果

A

保育士 ( 研究 対象) と子 どもたちの信頼関係が構築でき,クラス 全員で集団遊びができた り、保育所を休んだ子ども たちのことを心配す る思 いや りの言葉が聞かれるよ うなクラス集団に成 ってきたと思われた。

しか し,保育現場では新人保育士のことを考えて 人 間関係 を構築 して くれ る職場 はほとん どないと 言 っていいだろう。新人保育士が先輩保育士に対 し て自分から人間関係を構築 しようとしない限 りでき ないものであろう。 また

Y

保育士の保育は,子 ども たちのことを大切にしているという思 いが子 どもた ちに伝わ り,その結果 Y 保育士 と子どもたちの信頼 関係が構築でき,クラスの皆で遊ぶことができるよ

うになるのであろうか。

新保育所保育指針では

, 2.

保育所 の役割

(4)

保育士の専門性 には,「 保育所の役割及び機能が適 切 に発揮されるように,倫理観に裏付けられた専門 的知識,技術及び判断をもって,子どもを保育する とともに,子 どもの保護者に対する保育に関する指 導 を行 うものである

」 3)

と保育士の専門性 に言及 している。具体的には,保育士の専門性 としては,

「 ①子 どもの発達 に関す る専門知識を基 に子 どもの 育 ちを見通 し,その成長 ・発達を援助する技術,② 子 どもの発達過程や意欲を踏まえ,子 ども自らが生 活 してい く力を細やかに助ける生活援助の知識 ・技 術,③保育所内外の空間や物的環境,様 々な遊具や 素材, 自然環境や人的環境を生かし,保育環境を構 成 してい く技術,④子どもの経験や興味 ・関心を踏 まえ, 様 々な遊びを豊かに展開していくために知識・

技術,⑤子 ども同士の関わ りや子 どもと保護者の関

わ りなどを見守 り,その気持ちに寄 り添いながら通

(3)

宜必要な援助をしてい く関係構築の知識 ・技術,⑥ 保護者等への相談 ・助言に関する知識 ・技術などが 考えられる

」 4)

と記載されている。

以上の事柄が,新人保育士に課せ られたとしても そう簡単に達成できるものではない。では,新人保 育士が保育をしてい くためには,クラス全体の子 ど も達をどのように見取 り,その見取 りからどのよう になって欲 しいのかね らいを持 ち,子 ども達 に具体 的にどのような保育活動を媒介に支援 してい くこと で,子 ども達を成長発達 させ ることができるのであ ろうか。新人保育士が専門的な保育士なって行 くの には,保育園で子 ども達や保育集団や保護者 との三 者の人的環境から育てられるのである。また新人保 育士は日々の保育の中で必要な物的環境である保育 園の書類からも育て られ るのである。

保育に必要な記録は

,

「( 1 )保育管理上の記録

①児童票,発達記録,健康診記録,身体計測記録, 出席簿,給食関係記録簿,事務処理 日誌,家庭調査 台帳 ②安全保育 と危機管理 に関す る計画 と記録

③避難訓練 に関す る記録

(2)

保育実践上の記録

① 日々の保育 日誌,延長保育 日誌,保育実践記録, 行事計画 と記録,デイ リープログラム,②保育計画 と評価 ( 教育課程),指導計画 と評価 ( 年間,月間, 週案, 日案),指導案 ③ ケース記録

(3)

家庭 ・ 地域社会 との連携に関する記録,情報関係 ① 日々

の連絡帳,園だより, クラスだよ り,保健だより, 給食だよ り

」 5)

な どがある。保育士はこれ らの保 育に必要な記録を書 くことで,子 ども達の様子や, 保育士自身の行 った保育を客観的に評価することが できる。 この善 くという行為は,特 に連絡帳を書い て保護者に子 どもの毎 日の様子を知 らせ ることは新 人の保育士で も

1

0年 目以上の保育士でも差 がな く できる, と石塚

(2008)

は述べている。また,連絡 帳に書いて伝えるという支援は,保育士にとって子 どもの毎 日の状況や連絡事項などが項目で決められ ているため,連続性,安定性があ り,抵抗な く安心 して書 くことのできるものであるとも述べている

。 6)

以上のように新人保育士が専門職者のなってい く のには,養成校を卒業 しただけでは育たないのであ る。新人保育士にとって養成校は,保育士になるた めの最低条件であって最高条件ではない。新人保育 土は子 ども達を目の前にした時に,自分の現在もっ ている感覚や力を使 い一人で決断して行 っていくし か方法はない。保育士 として子 どもの願いに寄 り添 いながら保育を行 うことは難 しいのである。逆に新 人保育士 は園長先生や主任保育士や他の保育士か ら,寄 り添 ってもらいたいのである。このようにし てもらうことで, 新人保育士は育 って行 くのである。

また,新人保育士は,保育所で保育を行 う数 々の書

類を書 くことで,保育の意識が明確になってい くこ とを,新保育所保育指針ではその必要性を記載 し告 示 しているのである。更に多 くの現場の園長先生か ら, 「 最近 の卒業生は一人前 になるのに

5

年 はかか る」 と言われている。それには,養成校 を卒業 した 学生 に現場での実態 を把握 させ実践 してい くのに は,研究会を開催 し,新人保育士が具体的に実践で きるように子 ども達の細かい見取 りから始ま り,保 育を創 りあげてい く想像性をも育てることが必要で あることを感 じている。あま りにも, 自分で考えな くても生きてきてしまった現在の学生達の環境の悪 循環がスパイラル化 している現状のように思 ってい る。つま り,社会そのものが保育士 を育てて行 くの には,あまりにも衰退 してしまった環境のように思 われてな らない。

2.

研究の目的

上記で,保育士が専門職 となってい く子 どもとの 関わ りや支援に関す ることについて考えてきた。そ こで,本研究では,保育士 5 年 目の Y 保育士に視点 を絞 り,果たしてどのような過程を経てA ・K 児 と 健常児の統合保育でクラスの子 ども達 と関わ り, ど のように支援 し成長発達 させてい くのであろうか。

Y

保育士が保育をしてい く過程を検討 してい く。 ま た,どのような過程で保育の専門職者 に成長 してい くのかを記述することで,保育士における保育のあ り方を明確にしようと試みる。

3.

研究の方法

高機能 自閉症A ・K児を担当する加配保育士 1 名 から情報を得た。高機能 自閉症

A ・K

児は、 5 歳男 児であった。家族構成は、父 ・母 ・兄 ・本人である。

Y 加配保育士は、M短期大学を卒業 して、 5年目の 保育士である。研究期間は、平成

22

4

月から

23

3

月までである。基本的には、月

1

1

週 目の水 曜 日に面接を行 った。面接 は

12

回行 った。面接 は およそ午後 6 時か ら 8 時までにかけて約 2 時間行わ れた。① これまでの様子、②気になること、③ よ く する遊び、④関わ りが多いお友達、( 参遊びの中での 役割、⑥来月に向けての保育士の願 いの

6

点につい て尋ねた。

本研究の対象者は、A保育園に就職 して 1年 目は 複数担任保育士で

2

歳児を

1

年担当 し

、 2

年 目は自 閉症

4

歳児のA ・K 男児を加配保育士 として

1

年間 担当した 。 3 年目に B 保育園に移動 し、高機能 自閉 症児 3 歳男児を

1

1

で担当し ,4 年 目はクラス担 任保育士で

3

歳児 を

1

年担当し

,5

年 目は高機能 自 閉症児

5

歳男児

(2010

年 と同児) を

1

1

で担 当

したものである.

(4)

72

高機能自閉症児を担当する

5

年目の保育士における子どもへの関わりと支援

4.結果及び考察

(1) これまでの様子

Y保育士のコメン トの うち, 「これ までの様子」

を整理 したのが

Table.1

である。

Y

保育士から書 いてもらったコメン トを① 「 自閉 症児 と自覚 してA児 に関わ ったこと」,② 「 健常児 と障害児の統合保育の相乗効果をね らった支援方法 について」,③ 「 A・ K 児の自閉症の特徴について」,

「A ・K

児 が楽 しんだことについて」,⑤

「A ・

K児 を見取 ったことについて」,の 5項 目について 述べ られていた。

① 「自閉症児 と自覚 して A ・K 児 に関わ った こと 」

については

, 4

回支援 していた。 4 月では話 し合い の時には言葉で話すよりも,ホワイ トボー ドを用い て知 らせ る方法を取 っていた。6 月には言葉で褒め られ ることを言われ ると A ・K 児は怒 ってしまうの で,親指 を立ててグーのサインをす ると理解でき,

A児か らも同じように返 して来 ることができた。7

月 には製作のの り付けの支援で,の りを付ける紙の 四つ角に数字を書いて迷路のように数字をたどった らゲーム感覚で楽 しくできた 。9月には,雑 巾がけ ができないため,キャラクターのピカチュウが好き なので,廊下 に付 けてあげると掛 け られ るよ うに なった。

以上 のようにY保育士 の言葉 による支援 ではな く

,A・K

児が目で見て分かるように視覚的に支援 す ることで無理な く行動ができていたことが伺 え た。

( 塾 「 健常児 と障害児の統合保育の相乗効果をね らっ た支援方法について

」4

月には大好きなT ・A 児の 近 くにいることが多かった。また

5

月にもT・

A

児 ・

・M

児 との関わ りが多 く,女児の名前入 りの絵を 描 くこともあった。

6

月 には新 しい遊びでのル‑ルを理解 したがす ぐ には遊 ばず友達 の姿 を見ていた。その後 自分 のグ ループが勝つと喜んで自分のグループの所へ行 って 喜び合いゲームに参加できた。そして給食に出た苦 手な トマ トを友達 と一緒に食べることができ,自信 がもてるようにもなった。更に 9 月には苦手な トマ

トを友達に応援 されながら3 つ食べた。

7

月 には友達に 「 ○ ○ ごっこしょう」 と声 を掛け て遊ぶようになる。また,昼食後早 く食べ終わると

H・M

児 と二人 になることが多 く「 スライダーのホー スを持 って」 と A ・K 児がH ・M 児に頼む姿が見 ら れた。更に友達にさりげな く優 しい言葉を掛ける姿 が見 られ る

。8

月 には

6

月で褒められたグーサイン を

Y保育士 に決めて もらったら

A ・K 児 は,

H ・

M 児 にもグーサインをやって」 と言 った り,昼寝の 布 団を隣に敷 いて寝 られ るようになった。その後 9

月には友達に布団を敷 いてもらっても怒らな くなっ た り,食事が遅 くなった普段関わ りの少ない友達に も 「 頑張れー」 と声を掛けていた。

10

月 にはクラスにある遠足 の地図を見て家でも 地 図を措 いて保育園 に持 って来て,遠足 に期待 を 持 って行 くことができた

。1

1月 にはグループでの 話 し合いで,自分の思 いを先に話 してしまうので聞 けるようにして行きたい, とY 保育は願いを持 って いた

。12

月 には苦手な友達 ともク リスマス会の司 会を一緒にや り抵抗な くできた。

1

月 には自分ができたことを全保育士 に見せた り,ハイタッチをした りし,喜びを共感でき,友達 か らも 「 凄いね」 と言われた。大縄跳びで皆がや り 出して

3

日目に入 りやった り, ドミノの遊びでも皆 の所 を見ていつの間にか入 りや り出す姿 もあった。

3

月には進学に期待を持 って過 ごしてお り,手洗い や歯磨 きを怠 った時に Y 保育士が,「 かっこいい一 年生は色 々なことがよ くできるんだね」, と言 うと 急いでや り出した。そして堂動 と卒業式ができた。

以上のようにA ・K 児 と他児 との統合保育形態では メリッ ト面がその全体 を占めていたことが確認でき た。

③ 「 A

・K児の自閉症の特徴 について」7

回支援 していた

。4

月には,ルールが複雑になった り,杏 定 され るとパニ ックになった り,昼寝の布団を友達 に持たれることが嫌いで自分で敷いていた

。5

月に は

Y

保育士が A ・K 児 に活動を伝える時に怒ってし まうこともあった。また,言葉では褒められている のにその意味が分か らず怒 って しまうこともあっ た。6 月には周 りの音や扇風機を気にして しまい集 中力が続かなかった。7 月にはいつも同じ友達の側 にいるので

, Y

保育士が他の友達 といるように伝え ると 「 困ったな‑」 と言 っていた。その後友達に誘 われたが行かず,保育補助員のおじいちゃん先生と ペアになった

。12

月 にはハンモ ックがお気に入 り で安心する場 となっている。 9 ・ 1 0

・11・1・2

3

月には自閉症の特徴は捉 えられていなかった。

以上のように見て来 るとY保育士は自閉症の症状 も 把握 しながら保育に当たっていることが分かる。

A ・K

児が楽 しんだことについて」 は

4

回支 援 していた

。4,5

月 にはお年寄 りとの交流を楽 し んだ

。6

月 には泥で抵抗な く遊んでいる。 プールで は水に顔を付けられ楽 しんでいる

。8

月には運動会 のダンスの練習を楽 しんでいるであった。

これ らは,保育の行事活動であると思われ るが,

Y保育士はそれ らを日々の保育の中に意図的に入れ

ながらA児に支援 していた。そのことに対 してA 児 は楽しく参加 して遊んだことが伺えた。

⑤ 「 A ・K 児を見取 ったことについて」 は 4 月で

(5)

は,朝の会や帰 りの会などで話が聞けるが長時間同 じ姿勢のお山座 りはできない。 しかし運動遊びが好 きで,その時にY保育士が言葉で指示す るとA児が 受け入れ ることを把捉 している。 トマ トが苦手だが 好きなおかずのおかわ りがあると食べることや,初 の準備や片付け,お昼寝の用意などスムーズにでき ることも理解 している。午睡は一定時間眠れるなど 保育での基本的生活習慣は身についていると確認 し ている。また, 手先の力が弱いことも見取 っている。

5

月には簡単なルールのある遊びはす るが,ルール が変わった りするとやらないこともあると見取って いる。 しかし,文字 に興味を持 って書 いている。6 月には音に合わせて歩 くことはできるがジャンプは ジャンプをした下に決められた位置に降 りることが できずずれてしまう

。 7

月には製作での り使 いは上 手いが,ハサ ミで丸 く切れることは難 しい。同年齢 の友達 とはペアには成れないがおじいちゃん先生 と スムーズにペアになることができた 。 A ・K 児が毎 朝今日の活動を Y 保育士に聞いて くるので話 してや ると一 日期待をもてた り,安心 して過 ごせていた。

8

月には保育士に注意 されてもパニ ックにな らない ほど成長 したことを見取 っている。また怪我をした ことを保育士に伝えることができた り,更に

9

月に は運動会の競技の竹馬やダンスを上手にできた。

1 0 月 にはハロウインパーテ ィを楽 しみに し , Y 保育士 と一緒に A ・K 児の措いた図案で衣装を作 る がハサ ミが上手 く使 えなかった 。1 1月 には 自由遊 びの時にサ ッカーをしていた り,運動遊びでは片足 のつま先上げのバランスは取れ るようになってきた り,プランコに喜んで乗っている姿を目撃 している。

またパ‑ トの先生 と午後お兄ちゃん役にな りごっこ 遊びを楽 しんでいるがケンパはできない

。12

月 に クリスマスの劇を大きな声で台詞を言 うことができ 楽 しんだ

。1

月にはかるた,すごろく遊びを楽 しみ, サ ッカーを自由遊びの時にす るようになった。6 月 にできなかったジャンプも自分からジャンプの練習 もしている

。 2

月 にはコマまわしを参観 日にや り, 自信を持 ってできた。また歌を楽 しく歌 った り,舵 鉄砲を音が出るように保育士 と作 った。更に卒園式 の練習を

2

月からや り当日は皆 と一緒に堂 々とでき た。

このように全体の月ごとのクラスの様子を見て く ると , Y 保育士は A ・K 児の 3 歳児の時にも加配保 育士で担当していたため

,A・K

児の支援方法を迷 うことな く,園の行事や活動を取 り入れなが らゆと りを持 って行 い,成長発達 させていたことが分かっ た。支援方法 として A ・K 児の好きな遊びをさせな が ら,健常児の集団遊びにも意図的に閑わらせ,両 者の関わ りを巧みに入れた統合保育の良さを取 り入

れながら行っていることが推察できた。

また,Y 保育士は自閉症児の特徴である耳で聞いて 行動することよりも,目か ら入 って行動できること が分かっていたことも理解 してお り,それ らを巧み に使 っていたことが伺えた。

更 にY保育士は保育士 5年 目にな り自閉症児の特 徴や A ・K 児 の状態 に合わせなが ら支援 していた。

以上のように見て来 るとY保育士はA ・K 児のあら

ゆる面か ら丁寧に関わ り見取 っていることが分かっ

た。

(6)

74

Table

1.これまでの様子

高 機 能 自閉症 児 を担 当す る

5

年 目の保 育士 にお け る子 どもへ の関 わ りと支援

4

5

6

7

8

9

朝 の会 や帰 りの会 世 代 間 交 流 で来 園 褒 め られ る こ とを 製作 で の り使 いは 運動会 のダンスの 苦手 な トマ トを友 な ど お 山 座 り で す るお年 寄 りと の グ ー のサ イ ン に決 上手 いが, ハ サ ミ練習 を楽 しんで い 達 の援 助 で

3

つ食 座 って 話 が 聞 け る 交流を楽 しむ. め られ ると, A .Kで線 の上 の丸 を切 る。 ぺ る こ と が で き ことが多い。 児 か ら も同 じ よ う にや り出 した. ることが難 しい。 た.

大 好 き な友 だ ちが 散 歩 に 出 か け る 新 しい遊 び で ル ー の りず け の支 援 で A .K児からH .M 雑 巾が けがで きな いて主 に

T.A

児 と 時、 年 長 児 が車 道 ル を理 解 した が, の りを付 け る紙 の 児 への関わ りが見 いため ピカチ ユウ 座 って 話 を聞 く時 側 を歩 くこ とを伝 す ぐに は遊 ば ず友 四つ 角 に数 字 を書 られ, 「 M ちゃん の マー クが好 きな は ,近 くに い る こ え る際 、 自分 で 気 達 の 姿 を 見 て い いて 迷路 の よ うに に も、 グー のポー ので廊 下 にマーク とが多 い. づ い て手 を繋 ぎ 変 た. そ の後 自分 の 数字 を た ど った ら ズ を や つ て 」 と をつけて雑 巾がけ え る こ と が で き グル ー プが勝 つ と の り付 け が で き, 言 った り昼寝 の布 が で き る よ う に

る。 喜 ん で 自 分 の グ ル ‑ プの所 に行 っ て喜 び合 いゲ ー ム に参加できた。 ゲ‑ ム感 覚 で 楽 し くできた. 言 って敷いた. 団を隣 で寝 たいと なった。

大 き くな った お祝 簡 単 なル ール あ る 並 み歩 き は, 音 に 毎朝 , 今 日の活 動 片付 けな ど時間 に 布 団を敷 く時の拘 い の会 で, 司 会 を 遊 び は 楽 し め る 合 わせ て 歩 くこ と を聞 いて くる。 聞 気 づいて保 育士 に りがな くな って, した り, 皆 の前 で が 、 ル ー ル が 変 が少 しず つ 出来 て くこ とで や る こ と 知 らせ た り,何 時 折番 に敷 くことが 飛 行 機 の飛 ば し方 わ つた りす るとや き て い るが, ジ ヤ が分 か り, 期 待 を まで遊 べ るかを保 出来 た り,友 だち の見 本 をや って く りた が らな い こ と ン プはず れ て しま 持 つた り安 心 して 育士 に聞いて くる に敷 いて もらって れた. もある. う. 過ごせた. た。 よ う に な っ て き た。 も 怒 ら な くな っ 朝 の 準 備 や 片 づ

T.A

児 .

.M

児 との 給 食 に 出 た苦 手 な 夏 の 遊 び で もス ラ 製作 な ど,余 り好 食 事 が遅 くな った け, お 昼 の用 意 な 関 わ りが多 く, ま トマ トを友 達 と‑ イ ダ ‑ の 「ホ ‑ ス きでな いこ とで も 時 に普段 関わ りの どス ム ー ズ に で き た, 女 の子 の名 前 緒 に食 べ , 自信 が を持 って」 と

A

児が 途 中で止 めた りせ 少 な い 友 達 に も る。 入 りの絵 を措 こ と もて る よ うに な つ Ⅰ .M児 に頼む姿が ず に最 後 までや り r 頑 張れ ‑」 と声

もある. た. 見られた. 切れる. を掛けていた.

ル ー ル が 複 雑 に Y保育士の指示に プ ‑ル は水 に顔 を 友 だ ち に l○ ○ 保育士 に注意 され 運 動会 の競技 の中 な つた り, 否 定 を 対 して褒められて 付 け られ 楽 しん で ご つ こ し ょ う」 と て もパニ ックにな に竹馬 を上手 にで され る とパ ニ ック いるのに褒められ いる. 友 だ ち に声 を掛 け らず に いられ るこ きた。

になってしまう. ていると取れな い . て 遊 ぶ よ う に な る。 とができた。

保 育 士 と一 緒 に遊 A .K児 に活動を Y 周 りの音 や扇 風 機 保育 補 助 員 の お じ 怪我 を した ことを 運動会 の ダンスを ぷ が少 しず つ友 だ 保 育 士 が伝 え る時 を気 に して しま い いち やん先 生 とぺ 保育士 に伝 えるこ 運動会 当 日楽 し く ち と 遊 ぶ よ う に に怒 って しま う こ 集中が続 かない。 ア に成 って触 れ 合 とができた. 自分でできた.

なってきた○ ともある。 い遊びをした○

話 し合 いな どは, 文 字 に興 味 を持 つ 泥 に抵 抗 な く遊 ん 友 だ ち に さ りげ な ホ ワイ トボ ー ドを

用 いて 知 らせ る と

伝わ りやすい. て書 いている. でいる。 け る 姿 が 見 ら れ く優 しい言 葉 を掛 る。

トマ トが食 べ られ な いが ,好 き な お か ず の お か わ りが

あると食べる. 達 と い る よ うに伝 いつ も同 じ友 だ ち の側 に い るの で, Y保 育 士 が他 の友 え る と 「困 つ た な‑」 と言 って い た.

昼 寝 の布 団 を友 だ ち に持 たれ る こ と が 嫌 で 自 分 で 敷 く.

運 動 遊 び が好 き で あ り, 来 この 時 に は 指 示 が 入 り 易 い.

長 時 間 姿 勢 を保 つ ことが難 しい。

お 年 寄 りとの 交 流 を楽 しんだ.

午 睡 は 一定 時 間 眠 れ る.

手先の力が弱い.

(7)

10 11 12 1 2 3 遊 び の ル ‑ ル が 分 少 しの 時 間 だ が 、 ク リス マ ス 会 の劇 ドミ ノの 遊 び で も

Y

保 育 士 と遊 び な 卒 園式 の練習 を2 か らな い の で , 遊 自 由遊 び の 時 間 に 発 表 で 大 き な声 で 皆 の と こ ろ を 見 て が ら次 に友 達 と遊 か ら行 い卒 園式 は び な が らル ー ル を サ ッ カ ー をす る姿 台 詞 が 言 え 楽 し く い つ の 間 に か 入 り ぺ るよ うに支援 し 上手 にできた.

知 らせてい く. が見 られた. できた. や り出した○ てい く.

ク ラ ス に あ る遠 足 運 動 遊 び で は、 片 苦 手 で あ っ た友 だ 自分 で で き た こ と 個別支 援 保 育 か ら 堂 々と卒 園 式 が で の 地 図 を見 て 家 で 足 の つ ま先 上 げ で ち と も ク リス マ ス を全 保 育 土 に見 せ 口周 りの筋 肉 が弱 き た. 式 の 後 の謝 も地 図 を措 い て保 の バ ラ ン ス が 取 れ 会 の 司 会 を 一緒 に た り. ハ イ タ ッチ いとの話 が あ り、 恩 会 で は式 の頑 張 育 園 に 持 っ て 来 る よ うに な って き や り, 抵 抗 が な く を し た り, 菩 ぴ を に らめ っこや ドミ り か ら か 、 テ ン て ,遠 足 に期 待 を た. ケ ン パ は リス なってきた. 共 感 で き , 友 達 か ノを ろ うそ くに見 シ ヨン が高 く成 つ 持 って 行 くこ とが ム に合 わ せ て で き ら も 「凄 いね 」 と 立 てて 吹 く遊 び を て しま う様 子 が見

できた. 難 い。 言われた. 取 り入れた. られた.

ハ ロ ウ イ ン パ ー 言葉の接続詞の使 ハ ン モ ッ ク が お 気 か る た, す ご ろ く 参観 日で コマが

上 進 学

に期待 を も つ テ ィ を 楽 し み に い方や,手遊びで に入 りで安 心 す る な ど, お 正 月 遊 び 手 にで き発 表 が で

過 ご して お り.

,Y保 育 士 一 緒 指先まできちんと 場 と成 っている. を楽 しん で い る。 きた○ 歌 が好 な の 手 洗 いや歯 磨 き を A.K児 の措 いた 伸ばす こと, どた コ マ が上 手 く回せ で楽 し くえ る よ う 怠 った 時 に

Y

保 育 図 案 で 衣 装 を 作 る どた歩 きにな らな な い た め , 練 習 を にしたい. 士 が, 「か つこい

が , ハ サ ミが 上 手 いことを日々の保 し て 上 手 に な つ い一 年 生 は色 々な

く使えない. 青でや ってい くよ た. ま た , コ マ遊 こ とが、 よ くで き

うにす る. び を 毎 日練 習 を して上 手 に な って 欲しい。 言 うと急 いで や り出した.るん だ よね .」 と

パ ー トの先 生 と午 後 に お に い ち や役に成 り外 で 遊 び をして ご っ こ遊 び を

楽 しんでいる。 サ ッ カ ー な ど集 団遊 び に参 加 す る こ自 由 遊 び の 時 間とが 多 く成 っ て きた.

Y

で遊んだ り,友 だちを入れた りして関わ りが広が るよTうにして行 きた,保育士 と一対一

グル ー プ で の 話 し 合 いで , 自分 の 思い を先 に話 して しま うの で 、 友 達 の

話 を 聞 け る よ うにしていきたい. 丸 型 の ス ポ ン ジマ ッ ト を 使 っ てジ ャ ン プ の練 習 をして いる. 紙 鉄砲 で音 が 出 る一緒 に作 った.よ うに

Y

保 育 士 と

(2)気になること

Y

保育士のコメン トの うち

,

「 気になること」 を 整理したのが

Table.2

である。

① 「 基本的生活習慣 について」,( 9 「 友達 との関 わ りにおいて」,③ 「 自分勝手な行動 とその支援方 法 について」 の

3

項目から述べ られていた。

① 「 基本的生活習慣 について」

, 4

月 には靴のか かとを踏んでしまう

。 8

月にはシャツをズボンの中 に上手 く入れ られないと気にしているがそれ以降に は気にしていない。

② 「 友達 との関わ りにおいて」

,4

月 には本を読 んでもらう時に座 っている人の間に入 ってしまうこ ともあった

。5

月 には自分が大好きな友だちに対 し て しつこいほど関わろうとするので相手がいやがっ ている姿がある

。6

月にはその半面憧れ というよう な気持ちからか

・M

児の姿の真似をすることがあ り,二人一緒 にふざけてしまうので

Y

保育士 に叱 ら れ る。更に特定の友達の傍 らにいたがることが多 く あ り,その友達がいな くなるとどうなるのか気にか けていた

。8

月には,必要以上 に好きな友だちに関 わろうとす ることが気に成 っている

。9

月には, 自

分のいる位置か ら遠い所にいる好きな友達に話 し掛 けて しまうことがある。また競争にこだわることも ある 。「 ○ ○ くんには勝つぞ。 トマ トを食べた方が 勝ち,など

。12

月にはク リスマス会の時,会食の 席 を くじ引きで決めたが ,「 ○ ○ くんと一緒 にな ら な くてよかった」 と悪気はない感 じでさらっと言 っ てしまったことがあった

。Y

保育士が

,

「 自分がT・

A

くんに言われたらどんな気持 ち?」 と聞 くと,「 や な気持 ち」 と

A・K

児は言 った 。「 ○ ○ くん もやな

気持 ちだよ」 と伝えると謝 りに行 った。そして泣き ながら謝 りに行 ったので,泣 くことまでしな くても いいのにと思 った。 もしか したら自分が言 った言葉 の意味が分かっていないのかと感 じた。その時に

Y

保育士は今後 も気をつけて見て行きたいと自分の関 わ りを客観的に見ていた。 また

,12

月 にはT ・A 君のことを好き過ぎて トラブルがあった。 原因はT・

A 君が自分にス リッパを貸 して くれなかったという

内容であった。相手の気持 ちが分か らずに、泣きな

がら自分の気持 ちを強 く伝 えようとしていた

。T ・ A

君が困っていることを伝 えると, 「ごめんね」 と

言 うが、好きな友だちということもあ り,引きず っ

(8)

76

高機能自閉症児を担当する

5

年目の保育士における子どもへの関わりと支援 てしまったのか,一 日を通 してちょっとしたことで

も ぐず りっぽかった。2 月 には物事の理解面で、一 日入園の練習で 「 女の子が先生役をやるからA ・K 児は小 さいお友達役ね」 と言 ったら, 「 ぼ く小 さい 子になっちゃうの」 と言 って

○役 と言 うことが理 解できなかった。

③ 「 自分勝手な行動 とその支援方法について」

,4

月には Y 保育士が指示を出した時に,気持ちが合わ ないと手が出た り怒 ることがあった

。5

月には保育 士に対 して攻撃的な姿 も見 られる。また都合の悪 い ことになると話題を変えようとする。田植えの活動 で田植えをやろうとするが泥が嫌 いでや らない

。 6

月には相手の気持ちが分か り難いという障害の特性

もあ り, 「 先生嫌 い」 と言 うなど相手が言われて悲 しい言葉を使 ってしまうことがあるので,相手が言 われて嫌いだと思 うことを本児が体験 して感 じられ るように知 らせてい くとY保育士は捉えている。7 月にはS 児は感情を素直に表現できることか ら,全 身で表現 してしまうので,表現の仕方や気持 ちの表 し方を知 らせてい くことにしていた。また歩 く時に ドタバタ歩きになってしまうので膝を曲げてジャン プができるように練習す るようにした。

1

0月 には保育士 を遊び に誘 って遊びたが る姿が ある。 クラスの友達は体 を動かす遊びのサ ッカーや 純跳びを楽 しんでいるが,本児はこれ らとは別の遊 びを楽 しんでいる。散歩の時に,猫や犬など動物を 怖 が る

。1

1月 にはA ・K児 に対 して, こうした方 がいいと思 うことをY保育士が言 い過ぎると,A ・ K 児の思いと反 しているからか,注意 されたことが 嫌なのか,怒ることが度 々見 られる。また,昼寝が な くな り,午後の時間に入 って くれる休憩パー トの 先生にぺった りし, 一対一で遊ぶことが毎 日である。

1

1月 には友達 に対 して意思の疎通が上手 く行かな いのか怒 り口調で話すことがある。そこでY保育士 が仲立 ちすると 「 そ ういうことか」 と納得す ること が多 い

。12

月 にはフルーツバスケ ッ トで鬼 をや り たがるので,鬼ばか りや らないことを伝 えると,鬼 にはならな くなった。 しかしこの時に A 児は Y 保育 士 に注意 されているのに怒 られたと思い,不機嫌な 様子であった。 また,ハサ ミが上手 く使えないこと を 「 月 ごとの様子」 の項 目でも4 月から捉えていた が

12

月には 「 気になる」項目でも取 りあげている。

また指先が不器用であるとも見取 っている

。1

月 コ マ回しで紐が上手 く巻けない。ジャンプのバランス が悪 くそのためケンパができ難い,と捉えていてA・

K児の体の使 い方の不器用 さをあげていた。2

月 に は好きな友だちの傍にいたがることから、友だちが 嫌がってしまうような仕草があるので,嫌なことは 本児 にきちんと伝 えるように周 りに言 っているが、

中々言 えていないのが現状である。

クリスマス会 と参観 日にやった劇はどちらも勇者 をや りたが り、そこでA 児のや りたいことをさせた が違 うものをやっておけば他者理解の面において広 が ってい くので よか ったのではないか と感 じてい た。クラス担任の保育士の話 していることが分か り A ・K児だけに言 っている訳ではないが,自分一人 に言われていると思い気にしている。自分にとって 必要な情報だけを取 り入れて生活することが難 しい のは,自閉症特有の症状である。座 っている時間が 長 いと集中力が切れてしまい、手 いたず らが多 くな るので集中できる時間を伸ばして行きたいと

Y

保育 士は気にしている。

3

月には毎週やる全体お帰 りの時に、クイズを出 したが り毎回出しているので 「 毎回はだめ」 と言わ れると怒 り出した。クイズも、 自分で考えるので意 味が通 り難いものになってしまうため、全体で発表 す る前 に保育士 にどんな問題 を出すのか話 してか ら、クイズの問題が解きやす くなるように言葉を足 すようにした。その結果

A・K

児は,小 さい友だち でも分かるように簡単な問題を考えるようになって きた。 しかし,卒園の時期になって友だちの近 くに はいるが、一人遊びが多いように思 う。また,人 に よって態度や振 る舞いが違 うことが気になる。この ように自閉症特有の症状が気になることも見取 って いる。

このように全体の月 ごとのクラスの様子を見て く

ると

,Y

保育士の気にしていることは他のクラスの

友達の姿を見取 りながら 「 皆 と違 う行動をする」 と

いう評価をしつつ

,A・K

児の自閉症の特徴 も考慮

しなが ら支援方法 として否定的な言葉 の表現 を避

け,クラス集団の力を利用 しながら上手 く支援 して

いることが伺えた。

(9)

Tabe2.

気になること

4

5

6

7

8

9

本 を読 む時座 って い 特定 の友 だちに対 し l 先生嫌 い」 など相 感情 を素直 に表現 で シ ャツをズボンの中 競争 に拘 ることがあ る人 の 間 に入 っ て て しつこいほど関わ 手 が言われて悲 しい き ることか ら,全身 に上手 く入れ られな る。 「 ○ ○ くん には 行 って しま うことが ろ うとす るので相手 言葉 を使 って しま う で表現 して しま う. い. 勝 つぞ。 トマ トを先 ある. が嫌 が って いるよう ことがあるので,相 表現 の仕方や気持 ち 食べ た方 が勝 ち, な

な姿 も感 じられる. 手が言われて嫌だと 思 うことをA児が体 感 して感 じられ るよ うに知 らせて行 く。 の表 し方 を知 らせて い く. ど

」.

指示 を出 した時.気 田植 えをや ろうとせ

Ⅰ.M

児 に憤 れ真 似 歩 く時 にどたばた歩 必要以上 に好 きな友 自分 のい る位置 か ら 持 ちと合 わないと手 ず嫌が っている.派 をす ることがあ り、 きにな って しま うの だちに関わ ろうとす 遠 い所 にい る好 きな が出た り,怒 ること が苦手. 一緒 にふ ざけて しま で膝 を曲げてジャン る。 友達 に話 し掛 けて し

がある○ Yい保育士 に怒 られ る。 プができるように練 習す る. ま うことがある。

靴 のかかとを踏 んで しまう. 都合の悪 いことにな ると話題 を変 えよう とす る. 特定の友 だちの傍 に いたが ることが多 く あ り、その友 だちが い無 くな るとどうな るのか気に成 った。

保育士 に対 して攻撃 的な姿 も見 られ る。

10

11

12

1

2

3

逃走中 とい う鬼 ごつ 友 だちに対 して意思

T .A

児 の ことが好 コマ回 しで紐 が上手 好 きな友 だちの傍 に 毎週 や る全体 お帰 り こを友 だちと楽 しむ の疎通が上手 くいか き過 ぎて トラブルが く巻けない.紐 を束 いたがることか ら、 の時 に、 クイズ を出 が.いつ もハン ター ないのか怒 り口調 で あ った。原 因は

T

.ねて しま うことがで 友 だちが嫌 がってし したが り、毎 回 出 し 役 の鬼役 をや って し 話す ことがある.YA 君 が 自分 にス リツ き難 い。 ま うような仕草 があ てい る,毎 回は だめ まい逃 げる役を しな 保育士 が仲立 ちす る パ を 貸 して くれ な る。嫌 なことは本児 だ と言 うと怒 り出 し い. 「 バ リヤー」 と と 「そ う言 う こ と か つ た と い う内容 にきちん と伝 え るよ た. クイ ズ も、 自分 言 って勝手 に自分 の か」 と納得す ること だ。相手 の気持 ちが うに周 りに言 ってい で考 え るので意 味が ル ール を創 り遊 んで が多い. 分 か らずに、泣きな るが、中 々言 えてい 通 り難 い ものにな つ い る. ゲ‑ムのル

が ら自分 の気持 ちを な い の が 現 状 で あ て しま うた め、全体

ルで逃 げ切れた ら賞 強 く伝 えよ うとして る。 で発表す る前 にY保

金が貰 えるようにす い た

。T .A

児 が 育士 にどんな問題 を

る。 困 っていることを伝 ね」 と言 うが、好 き な友 だちということ を通 してち ょっとし たことで ぐず りつ か つた. え る と, 「ご め ん もあ り,引 きず って しまったのか,一 日

す くな るよ うに言葉 小 さい友 だ ちで も分 題 を 考 え る よ う に 出す のか話 して、 ク イズの問題 が解 きや を足 す よ うに した. か るよ うに簡単 な問 な って きた よ うに思 う.

ラス の友 だちは体 A .K児

に 対

て,

フル ー ツバ スケ ッ ト ジ ャ

プの バ

ス 物 事 の理 解 面 で、‑ 友 だ ちの近 くに は い

動 かす遊 びのサ ツ こ うした

方 が

いい と で鬼 をや りたが り, が悪

. そ の た

ケ 日入 園 の練 習 で 「女 るが、 一 人 遊 び が多

ーや縄跳 びを楽 し 思 うこと

Y保 育士 鬼 ばか りや らな いこ ンパ

でき難 い. の子 が先 生役 をや る い よ うに思 う. 人 に

で い るが.本児 は が

い 過 ぎ る と , とを伝 え る

,鬼 に

A児 は小 さいお よ って態 度 や振 る舞

れ らとは別の遊 び A

.

K児 の思 い と反 ほ

な っ た 友 達 役」 と言 った いが違 うこ とが 気 に

(10)

78

高 機 能 自閉症 児 を担 当す る

5

年 目の保 育 士 にお け る子 ど もへ の関わ りと支援 嫌 な 活 動 をす る時 昼寝がなくな り,午 ク リスマス会の時, ク リスマス会 と参観

に, 「 え〜まだやる 後の時間に入って く会食の席 を くじ引き 日にや った劇はどち の〜.夜 まで ?」 と れる休憩パー トの先 で決めたが, 「 ○○ らも勇者をや りたが 言 うので見通 しの持 生にぺ った りし

,‑

くんと一緒 にな らな り、や つたがA児の て る声 掛 け を した 対‑で遊ぶ ことが毎 くてよか つた」 と悪 友達関係を広 げるた

い。 日である。 気 は な い感 じで さ 保育士が, 「自分が

T.A

持 ち」 とA .K児 は 言 った 行 った○泣きながら 謝 りに行 ったので, 意味が分かっていな 後 も気をつけて見て 行きたい. た ことが あ った と聞 くと. 「 もやな気持 ちだよ と伝 え る と謝 りに 自分が言 った言葉の いのかと感 じる. らっと言 って しまっ らどんな気持 ち ?」 くんに言われた .「 ○ ○ くん やな気 .Y .今

や っておけばよかつ め に は , 違 う役 を たと感 じた。

最近 は見 られなかっ たが びに誘 って遊びたが る。

,

Y保 育士 を遊 ハサ ミが上手 く使え ない.指先が不器用 である.

A .K

ている訳ではないが 自分一人に言われて いることを気にして とても嫌がる. 児 だけ に言 っ

自分勝手 にルールを 考え るのではな く,

皆で話 し合 って新 し うにしたい. くル ールを考 えるよ 座 って る時間が長 い い、手 いたず らが多 きたい. と集中が切れて しま る時間を伸ば して行 くなるので集中でき

(3)

よ くする子 どもの遊び

Y保育士のコメン トの うち, 「よ くす る遊び」 を 整理 したのが

Table.3

である。

4

月の遊びは 「 絵本を読む ・レゴブロック ・ホワ イ トボー ド・絵を措 く」であった。そのうち絵本を 読むは 6 ・ 7・ 1 1月で絵本は好きであることが伺 えた。

またレゴブロックも

5・12・2・3

月 と遊んでいた。

ブロックは

6 ・7

月の

2

カ月行 っていた。ホワイ ト ボー ドは

4

月だけで他の月には出てきていない。絵 を描 くのは

5 ・6

月にも行 っている。

ごっこ遊びは大好きで

6

月に 「 家族 ごっこ」 で, 8 月に 「 学校 ごっこ」で , 9 月に 「 寿司やさんごっこ」

で ,1 0月に 「 世界探検 ごっこ・ 逃走中 ( おにごっこ

)

で ,1 1月 に 「ごっこ遊び」 を行 い

5

カ月間や って いた。 自閉症児は創造する力は無いと言 うがこのこ とも該当しないように思われる 。1 1月には「ドミノ・

コマ」で,2 月には 「ドミノ」遊びを友達 と一緒 に した。 9 月には 「 粘土」を ,1 1月には 「 友達に折 っ てもらった折 り紙」で,3 月 には 「 クイズを作 って」

皆 と同じように遊んでいた。

このように, A ・K児 の 1年間のよ くす る遊び

を見て くると , Y 保育士は A ・K 児の好きな遊びを

中心に据 えながら保育方法の一つである遊びながら

A ・K 児が育 ってほしいことを願い,絵本や玩具を

設定 していることが推測された。また友達 との関わ

りで 「 ごっこ遊び」を意図的に提供 しながら成長発

達させていることも伺 えた。

(11)

Table3.

よくする遊び

4

5

6

7

8

9

絵本を読む 絵を措 く 本を読む 本を読む 学校 ごっこ 寿司やさんごつ

レゴブロック レゴブロック ブロック ブロック 粘 土

ホワイ トボー ド 家族ごっこ

絵を描 く 絵 を措 く

10

11

月‑

12

1

2

3

世界探検 ごつ

LY

ごっこあそび レゴブロック ドミノ レゴブロック レゴブロック 逃走中 ( ごっこ) おに 友だちに折 って もらった折 り紙 こま ドミノ クイズを創 る

( 4)関わ りの多いお友達

Y 保育士のコメン トの うち,「 関わ りの多 い友だ ち」を整理 したのが

Table

. 4である。

入園当初から

3

月まで

,T・A

児と

M

児 と関わっ て遊んでいることが分かった。4 月には

A ・R

児 と の関わ りがあったがその後卒園する

3

月まで関わる ことはなかった。また

,8

月には

,H・M

児と関わっ ていたが他の月にはなかった。

したがって , A ・K 児は 1 年間

・A 児 と

・M

Table4.

関わりが多いお友達

児を好きにな り関わっていたことが分かった。 この ように

,A ・K

児の友達 との関わ りを見て くると, 高機能 自閉症児は人間には興味や関心をもっことは ないとされているが

,A・K

児 に関してはそのよう なことはな く大変 よく関わっていたことが証明され た。 しかし,卒園する3 月には一人遊びが多いので はないかと Y 保育士は自閉症特有の症状を気にして いることも見取れている。

4

5

6

7

8

9

T.A

T.A

T.A

T.A

T.A

T.A

.M

Ⅰ.M

Ⅰ.M

Ⅰ.M

Ⅰ.M

Ⅰ.M

A .R

H'.M

H .M

10

11

12

1

2

3

●T.A

T.A

T.A

T.A

T.A

T.A

(5)遊びの中での役割

Y 保育士のコメン トの うち,「 遊びの中での役割 」 を整理 したのが

Table.5

である。

4

月は友達 と関わ って遊ぶ ことは少なかったが

5

月以降は好きな友達の中で一緒に遊んだ り

,7

月に は友達の中で 「 お兄 さん役で家族 ごっこ」をして遊 んだりし,人間関係が友達の中で広がっていること が分かる。また

1

0月には友達 と集団遊びはするが, 自分の遊びの中に入 りしっか りと遊び込み,友達 とは遊ばずにいた月 もあった。 このことは

1

1月 に もこの状態が続き

,12

月 には仲間の中で遊んだ り, また一人で遊んだ りを行き来きしながら

1

月には友 達の中に入 って遊び出した

。2

月には友達の真似を

し, 自分の生活の力に加 えつつ

3

月には友達の近 く で遊ぶことができるようになってきた。

以上から

A・K

児は自分の世界を持 ちつつ,友達

と関わ り合 いながら遊び,友達の遊びを真似 して身

に付けて,更に 自分を成長発達 させていることが

伺えた。

参照

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