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密教研究 Vol. 1928 No. 31 004中野 達慧「興教大師御撰述に對する書史學的研究 (接前號) P50-84」

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全文

(1)

興 敏 大 師 御 撰 述 に 對 す る 書 史 學 的 研 究 五 ○

(接

二前

一)

一 か た 興 敷 大 師 は 上 記 の 如 く 密 敷 修 定 に 重 き を 置 か せ ら れ し が な る に も 關 ら す 、 二 百 部 に も 垂 ん と す る 著 述 あ り し こ と は 、 我 々 の 最 も 敬 嘆 す る 點 で 、 其 一 々 の 御 撰 述 が 復 皆 偉 大 な る 人 格 と 、 御 巳 證 の發 露 と し て 、 金 玉 の 響 き あ る こ と は 、 げ に 奪 き 費 と 稽 せ ざ る を 得 す 、 若 し 夫 れ 普 通 租 師 の 製 作 な ら ん に は 、 大 都 末 釋 訓 話 の 類 に 非 ざ れ ば 、 ラ ク キ ヨ ゥ の 皮 剥 に 偉 し か る へ き 抄 物 類 に 過 ぎ す し て 、 さ ま で 問 題 の 核 心 に 觸 れ ざ る の み か 、 實 修 に 對 し て 効 果 少 な き 義 學 の 笙 蹄 な る に 、 唯 猫 り 今 大 師 の 御 製 作 の み に 局 り 、 些 か 此 弊 無 き を 以 て 之 れ を 推 す も 、 着 想 の 高 遠 な る 片 鱗 を も 拝 す る に 足 り 、 且 っ 其 措 僻 に 至 る 迄 殆 ん ご 何 等 か の 典 篠 あ る 文 字 に て 織 出 さ れ た る 錦 繍 な る か を 思 へ ば 、 其 博 渉 の 程 も 伺 は れ て 洵 に 曾 く 復 其 行 丈 に 温 り あ り て 奥 床 し く 、 且 つ 華 麗 に し て 雄 大 の 氣 品 に 富 み 舞 學 意 に 添 ふ の 概 あ り 、 讃 む 者

(2)

や あ も を し て 不 知 不 識 の 間 に 、 其 敷 化 に 潤 ふ の 盆 あ る を 覺 ね し む 、 然 る に も 關 ら す 、 今 日 宗 侶 の 趨 勢 が 、 動 も す れ ば 俗 化 し 若 く ば 悪 化 し て 、 頽 敗 氣 分 あ る は 、 是 れ 恐 く 祀 諮 研 讃 の 方 法 を 忽 緒 に 伏 せ し が 爲 め に は 非 ざ る 無 き か 。 否 か。 二 併 し 又 翻 て 深 く 之 れ を 考 察 せ ん か 、 禪 ・ 浮 土 ・ 眞 ・ 日 蓮 等 、 後 進 鎌 倉 佛 敷 の 如 く 租 典 編 纂 の 事 業 が 昔 時 よ り 租 や 整 備 せ る 宗 派 な ら ば 、 宗 組 の 御 撰 述 を 拝 見 す る の 便 宜 も あ り て 、 恒 に 租 師 の 遺 訓 に 親 し み 、 其 宗 意 を 不 知 不 識 の 裡 に 領 解 し 得 た ら ん も 、 台 東 二 門 の 如 き 其 初 め は 南 郡 六 宗 の 本 質 的 信 仰 を 忽 に し て 、 支 那 直 傳 の 空 疎 な る 學 究 に 大 革 新 を 唱 へ 乍 ら も 、 其 所 謂 敷 相 な る も の は 、 殆 ん ご 哲 理 の 思 索 に 階 り 、 若 く ば 字 句 の 詮 索 を 誇 り 、 或 は 傳 統 の 相 傳 に も 縛 せ ら れ て 、 自 由 の 研 究 を 途 げ 得 ざ り し 等 、 其 甚 し き に 箪 て は 培 壁 を 構 へ て 匿 惜 自 衿 の 結 果 、 自 宗 の 御 組 師 様 に す ら 果 し て 如 何 許 り の 御 撰 述 あ り し も の か 、 そ れ す ら 十 分 に 辮 へ る こ と を 得 す 、 又 假 令 ひ 其 幾 分 を 獲 度 く と も 、 之 れ を 秘 惜 し て 示 さゞ り し 爲 め 、 糠 ろ 無 く 之 れ を 獲 る に 由 な く 、 又 假 令 ひ 之 れ を 獲 す と も 、 さ ま で 差 支 へ 無 き 有 様 に て 濟 ま し 得 た の で あ り し 、 右 の 事 情 故 へ 後 の 鎌 倉 佛 敷 よ り も 先 き の 季 安 佛 教 の 方 が 、 肝 心 の 祀 詰 に 疎 く 、 修 徳 の 點 に 於 て 大 分 鋏 階 あ り し や に 思 は る 、 這 は 畢 覧 台 東 の 如 き 所 疇 宗 は 、 拝 ん で 居 り さ へ す れ ば 、 大 宇 の 能 事 足 り し を 以 て 各 本 山 に 何 年 間 勤 め て 居 る 春 公 人 で も 、 只 の 一 回 も 法 門 を 聞 か せ て 貰 ふ た 事 の 無 い 興 教 大 師 御 撰 述 に 對 す る 書 史 學 的 研 究 五 一

(3)

興 敏 大 師 御 撰 述 に 對 で る 書 史 撃 的 研 究 五 二 の に 反 し 、 禪 澤 土 等 の 滅 罪 宗 は 道 義 を 宗 の 本 領 と し て 修 養 を 曾 び 、 特 に 眞 宗 の 如 き 法 挽 宗 に 在 て は 、 佛 化 助 揚 の 化 導 を 重 せ し 爲 め 、 門 徒 物 知 ら す に て は 、 到 底 末 門 の 布 激 も 繊 來 す 、 一 合 一 勺 の 寺 職 無 き 關 係 上 自 衛 的 に も 曲 り 乍 ら 積 徳 と 勤 學 と を 絵 儀 無 く さ れ し 内 情 も 潜 在 せ し こ と 、 て 、 普 し よ り 相 當 學 問 も し た ら し く 、 特 に 寺 厩 と 門 徒 と に 法 義 を 聞 か せ て 居 元 習 慣 が あ り し 爲 め 、 現 時 佛 敷 著 述 の 六 七 割 迄 が 眞 宗 物 で 占 め 、 其 印 刷 部 敷 が 遙 か 数 桁 も 違 ふ て 居 る 結 果 を 來 た せ し は 、 職 と し て 此 理 由 で は 無 か ろ う か。 又 眞 宗 俗 侶 が 得 度 ( 入 宗 式 ) の 際 に は 、 本 山 よ り 黒 染 の 袈 裟 と 組 典 と を 授 與 す る 爲 め 、 該 宗 々 侶 ( 實 は 優 婆 塞 ) た ら ん も の は 、 誰 一 入 と し て 此 二 物 を 所 藏 せ ざ る も の 無 き に 反 し 、 台 東 二 門 の 宗 侶 は 其 十 中 の 八 迄 は 、 租 典 を 持 て 居 ら ぬ と 聞 か さ れ て は 、 そ こ に 所 疇 宗 の 眞 面 目 が 表 は れ て 居 る と は 云 へ 、 宛 も 刀 を 慨 が ぬ 軍 人 に 類 せ す や と 思 は る 、 尚 又 禪 澤 土 眞 宗 等 の 租 廟 の 立 涙 に し て 恒 に 饗 者 の 絶 へ ざる反 比 例 に 、 叡 山 や 智 豊 爾 山 の 開 山 堂 に 奏 拝 者 の 稀 れ な る は 、 之 れ で も 祓 師 御 崇 敬 の 念 が 厚 い と 云 へ 様 か 切 に 巌 粛 な る 反 省 を 望 む り 三 術 一 っ 奈 良・ 李 安・ 鎌 倉 三 期 に 對 す る 著 述 の み に 就 て 之 れ を 論 ぜ ん に 、 南 都 の 六 宗 は 時 代 が 古 い 丈 に 支 那 の 新 知 識 を 吸 牧 咀 嘱 す る を 以 て 、 何 よ り の 能 事 と 爲 せ し 結 果 、 何 れ の 撰 述 を 調 べ て も、 大 都 支 那

(4)

撰 集 の 抄 録 、 若 く ば 其 學 説 の 紹 介 が 主 と な つ て 居 る に 反 し 、 次 の 李 安 佛 教 に な る と 、 傳 敷 弘 法 の 雨 大 師 は 、 堂 々 た る 態 度 に て 立 宗 の 規 誤 と な る 可 き 大 著 述 を 登 衷 し 、 そ こ に 所 謂 佛 敷 の 日 本 化 、 佛 敷 の 猫 立 濁 創 の 色 彩 が 、 洵 に 濃 厚 と な つ て 居 る 、 夫 れ が 更 に 後 の 鎌 倉 期 な る 曹 洞 ・ 津 土 ・眞 ・ 日 蓮 等 と な れ ば 時 代 の 後 る 、 に 随 て 、 從 前 の 耐 典 が 純 漢 文 で あ つ た に 反 し て 、 次 第 々 々 に 假 名 交 り 文 が 多 く な り 、 特 し ん が に 殿 り の 眞 宗 と 日 瀧 宗 と に な れ ば 、 殆 ん ご 此 假 名 交 り 文 が 主 と な り 、 而 も 其 交 章 は 生 硬 な 漢 丈 式 の 四 六 餅 列 騰 や 、 字 句 も 彫 塚 せ し 華 麗 な る 豊 章 美 詞 に て は 非 す し て 、 實 に 肺 肝 の ド ン 底 よ り 送 り 出 で し 慈 悲 熟 血 の 活 文 字 と な つ て 居 る 、 そ れ 故 へ 造 語 は よ し 不 易 で あ ろ う と も 、 一 言 の 下 に 人 を 化 す る の 力 が あ り 、 一 語 丈 を 聞 て も 救 は れ た る 確 信 を 抱 か し む る の で あ る か ら 、 そ こ に 宗 租 の 大 精 紳 と 大 人 格 と が 活 躍 し て 來 る 、 故 に 萄 も 組 書 を 拝 見 す る 者 が 、 全 く 薗 分 一 人 目 當 て に 、 態 々 お 書 き 下 さ れ た か の 様 な 暖 い 氣 分 に 打 た れ る か ら 、 純 日 本 化 の 佛 敏 が 更 に 遽 ん で 全 世 界 的 の 佛 敏 に な つ て 居 る の で あ る 、 此 等 は 爾 前 佛 激 の 懇 典 と 頗 る 其 選 を 異 に し て 居 る 點 で 、 信 徒 が 自 然 と 親 鴛 日 蓮 に 親 し み を 持 ち 、 強 烈 な る 信 仰 を 保 つ の も 、 亦 一 つ は 此 理 由 に 墓 く も の か と も 考 へ ら るゝ 、 そ れ 故 今 回 の 興 敷 大 師 全 集 の 完 成 後 に は 、 大 に 進 ん で 是 雰 と も 時 代 に 適 應 せ し 民 衆 的 租 典 の 和 謬 が 必 須 の 事 業 だ と 思 は れ る の で あ る、 上 來 吾 人 の 苦 言 は 、 次 し て 些 の 私 心 あ る の で は 無 く 、 一 に 新 義 眞 言 宗 の 隆 盛 を 望 ん だ 論 評 と 察 せ ら れ た し。 興 教大 師 御 撰 述 に 對 ず る 書 史 學 的 研 究 五 三

(5)

興 教 大 師 御 撰 述 に 對 す る 書 史 學 的 研 究 五 四 四 新 義 眞 言 宗 の 大 骨 髄た る 温 典 編 纂 の 難 事 業 も 近 日 の 内 に 完 成 し 、 本 交 三 冊 約 一 千 三 百 絵 頁 と 史 傳 並 . に 全 解 題 等 合 一 冊 凡 そ 一 千 頁 と が 、 盛 装 し て 宗 門 唯 一 の 寳 典 と な り て 世 に 表 は れ 、 幾 百 歳 未 だ 曾 て 知 ら れ ざ り し 七 十 籐 部 の 秘 要 書 を 紹 介 せ し 結 果 、 頓 に 宗 侶 の 心 を 新 に し 、 租 師 に 親 し む 機 會 を 多 く す る こ と を 獲 ば 、 法 質 流 布 の 愚 願 之 れ に て 足 り な ん 、 今 は そ れ 迄 の 手 ズ サ ミ に 、 從 前 の 全 集 本 に 就 き 繁 を 煩 は す 、 毎 書 主 も な る 誤 謬 を 摘 出 し 、 更 に 総 て の 御 撰 述 に 對 す る 略 解 題 を も 施 し て 、 之 れ を 新 進 の 學 侶 に 呈 す 、 思 ふ に 誤 れ る 所 或 は 足 ら ざ る 所 あ る を 保 せ す 、 希 く ば 大 方 の 補 訂 を 仰 ぎ 、 十 全 を 期 せ ん と 欲 す 、 梅 書 終 り に 對 校 本 の 奥 書 を 掲 記 ( 原 文 は 素 本 な り し も 、 讃 み 易 き 様 反 點 句 癌 を 付 す ) せ る は 相 , 傅 を 嫁 ぶ 宗 風 に 順 ひ た れ ば な り 、 然 り 而 し て 其 傳 持 者 ・傳 領 者 ﹂ 並 に 霧 傳 者 は 、 大 抵 當 流 に 御 因 縁 淺 か ら ざ ろ 入 々 な る も 、 史 料 散 秩 の 爲 め 其 行 歴 を 詳 に し 得 ざ る も の あ り 、 痛 恨 限 り 莫 し 、 今 各 種 の 文 献 に 徴 し 、 極 め て 簡 要 な る 師 資 相 承 の 血 豚 を 略 記 し 、 柳 か 覺 者 の 便 に 供 ふ 、 其 精 細 な る 記 述 は 之 れ を 資 承 篇 に 譲 る 。 甲 教 相 血 豚

(6)

大 日 如 來-金 剛 薩 雌-龍 猛 菩 薩 -龍 智 菩 薩 -金 剛 智 三 藏 -不 塞 三 藏 -恵 果 和 尚-弘 法 大 師 -眞 雅 信 正-源 仁 僧 都 -本 覺 大 師 -寛 中 洪 皇 -寛 空 僧 正-寛 朝 俗 正 -濟 信 摺 正 -性 信 親 王 -寛 意 慣 都

っ定 奪 信 都

五 智 房

預 湯 秀

覺 顯 房 観 心 實 悟 房

道 悟 房 巳 上 高 野 學 選

俊 音 房 建 下 根 來

殿

定 俊 房 ( 印 俊 艘 日 房

日 成 房

賢 順 房 順 薩 勝 圓 房

行 心 房

定 林 房

定 俊 房

空 明 房 巳 下 略 之 次 に 事 相 の 傳 流 諸 大 事 相 承 血 豚 を 掲 録 せ ぱ 奏 考 と な ら ん も 頗 る 複 雑 に し て 紙 数 も 嵩 む 恐 れ あ り 、 仍 て 今 は 軍 に 最 要 な る 爾 部 大 法 中 、 繋 海 證 印 の 二 大 幹 線 中 の 本 線 の み を 墨 げ ん に 、 大 要 左 の 如 し 、 乙 傳 流 無 海 方 鼠 豚 御 室 系 豊 山 相 承

醗 盟 院

孚 法 房

釋 迦 院 大 夫 注 印

池 上 僧 者

吹 尋 海

眞 光 院 法 印 傳 法 院 座 圭

覺禪

金 胎 房

南 勝 院 二 位 法 印

眞 光 院 國 師 大 僧 正

中 性 院 贈 信 正

殿

定 俊 房

文 妙 上 入 號 法 住 庵

彗 提 院 大 偲 正

菩 提 院 六 僧 正

菩 提 院 大 僧 正

寳 光 院 注 印

元 尊 壽 院 心 蓮 院 法 印

心 蓮 院 法 印

心 蓮 院

仁 和 寺 律 師 僧 都

栂 尾 陶 闇 梨

心 蓮 塊 大 僑 正

菩 提 院 前 大 摺 正

置 藁 院 蘭 大 信 正

興 教 大 師 御 撰 述 に 對 す る 書 史 學 的 研 究 五 五

(7)

興 教 大 師 御 撰 述 に 對 す る 書 史 學 的 研 究 五 六

眞 光 院 大 僧 正

常 喩 伽 院 一 品

概 河 陀 一 品

後 常 諭 伽 院

庭 光 院 大 個 正

後 光 毫 院

眞 光 院 六 僧 正 肢窟 恰

眞 光 塊 信 正

眞 艶 院 大 僧 正

摩 尼 珠 院 法 印 巳下 署 之 丙 傳 流 鍵海 方 血脉 根 來 系 智 山 相 承

密 盟 院

海-隆

海-覺

尋-隆

良 悟 房

根 來

殿

構 躍 金 剛 院 定 俊 房

中 性 院 智 證 房

根 來

整根 來

中 論 塊

妙 音 院

中 性 院

中 性 院 首 博 中 性 院

知 足 院 日 雄 下 妻 觀 音 寺

智 積 院 長 存 房

小 也 坊 箋 濫 房

圧 戸 眞 幅 寺

智 積 院

江 戸 眞 旙 寺

智 績 院 吉 鮮 院

乙 寳 寺

乙 寳 寺

乙 寳 寺

智 積 院 日 下 署 之 隆 誠 -隆 道 -隆 貞-隆 潮 -快 興 -通 濟 最 勝 房 長 谷 寺 已 下 暑 之

流證印

密 巌 院

閑 觀 房

槻 想 房

金 胎 房

眞 光 院

成 助 -釋 守-灘 信 -釋 濟 -曾 海 -窟 恰 覧 っ印 玄 -道 淵 -守 融 -畳 呆 -處 深 -仲 盛 -信 嚴 -宏 盛 -齎 怜 -菊 淵 -宥 嚴

孝 源 巳 下 暑 之 頼 喩-良 殿-増 喜 巳 上 同 前 慶 長 の 末 寛 永 の 初 迄 は 、 豊 山 よ り 智 山 へ 傳 法 に 赴 き た る 邊 よ り 察 す れ ば 、 灌 頂 重 器 及 び 道 瘍 の 設 備 が 智 山 の 方 遙 に 整 備 せ る 爲 め か と も 思 は し め る 、 併 し 爾 後 龍 天 得 正 が 智 山 の 能 化 で あ り 乍 ら 、 有 名 な る

(8)

僻 流 小 卷 物 を 見 て 、 果 し て 何 の 書 物 で あ る か り 向 知 ら 漁 の み か 、 こ の 阿 閣 梨 さ ん も 知 ら の の で 、 之 を 製 の 藩 に 見 て 貰 ふ て 、 始 て 判 つ て 、 吃 驚 し た 顛 末 が 、 安 永 七 年 五 月 に 天 梁 隆 海 の 書 い た 、 傳 法 院

(

)

れ ば 、 坐 う に 法 流 の 盛 衰 が 忍 ば れ 轟 で あ る 、 智 豊 爾 山 は 遺 が に 學 山 丈 あ つ て 眞 言 宗 古 義 各 山 に 比 し て 、 割 倉 藏 書 が あ る も 、 併 し 共 に 古 い 物 が 無 い の は 洵 に 氣 の 毒 で あ る の と 、 ( 但 し 豊 山 に は 頼 喩 僧 正 の 眞 筆 等 三 十 部 位 あ る も ) 事 相 の 點 で は 常 に 古 義 の 下 風 に 立 て 居 り 、 殊 に 門 閥 家 も 無 く 徳 望 家 も 砂 な か つ た 事 は 、 新 義 振 の 地 盤 が 圭 と し て 關 東 で あ つ た が 爲 め 、 公 卿 達 に 縁 故 も 少 な く 、 且 つ 何 と な く 麓 野 な る 點 は 、 野 人 禮 に 慣 は す と で も 謂 ふ 可 き か 、 否 か。 五 密 嚴 遺 敷 録 と 諸 秘 釋 に は 、 一 貫 せ る 誤 脱 あ り 、 夫 れ は 其 儘 全 集 本 に 襲 踏 し て 居 る も 、 逐 一 之 れ を 列 記 せ ん か 、 甚 だ 繁 雑 に 堪 へ す 、 仍 て 最 初 に 畢 げ し 分 を 以 て 後 々 に 準 用 す る 省 略 法 を 探 れ り 、 又 邊 り 假 名 の 相 違 に て 、 本 有 説 と 修 起 説 と に 岐 る 、 様 な 所 も 挫 々 之 れ あ り 、 此 等 は 到 底 縷 記 す る こ と を 得 す、 翼 く ば 完 成 本 全 集 の 出 つ る を 待 た れ ん こ と を 望 む。 第 一 類 教 相 篇 一 經 論 註 疏 部 興 教 大 師 御 撰 述 に 對 で る 書 史 學 的 研 究 五 七

(9)

興 教 大 師 御 撰 述 に 謝 す る 書 史 學 的 研 究 五 八 秘 鍵 略 注 一 卷 幽 微 に し て 深 遠 無 知 に し て 無 照 、 言 語 其 詳 を 暦 く 能 は す 、 情 識 其 慮 り を 没 す る こ と 無 く 、 無 名 無 相 と 錐 ざ も 、 而 も 萬 用 歓 る こ と 無 き 教 は 、 夫 れ 唯 般 潜 の 妙 典 な る か 、 其 宗 た る 無 説 無 示 ・ 無 聞 無 得 と 禰 す 而 も 詞 宏 妙 辮 を 以 つ て 大 藏 修 多 羅 中 の 冠 た る は 實 に 般 若 部 な り 、 思 ふ に 示 す 所 無 き が 故 に 示 さゞ る 所 無 く 、 得 る 所 無 き が 故 に 得 ざ る 所 無 き か 、 六 度 萬 行 之 れ に 慧 て 圓 濾 し 、 五 眼 萬 徳 是 よ り 生 成 す 、 古 來 此 經 を 目 し て 菩 薩 の 要 藏 、 諸 佛 の 眞 母 と 讃 せ る も の 、 職 と し て 此 點 に 基 け る も の な る 可 し。 そ も 般 若 部 の 經 に 無 慮 三 十 部 あ り 、 之 れ が 部 健 を 論 す る 者 、 彼 の 大 論 を 初 め と し て 、 長 安 の 叡 法 師 等 数 家 あ り と 錐 こ も 、 此 部 の 諸 經 は 殆 ん ご 大 般 著 六 會 の 別 行 な れ ば 、 何 れ も 皆 佛 慧 を 開 顯 し て 、 法 門 修 習 の 要 と 爲 さ い る は 靡 く 、 故 に 其 揆 を 一 に せ る も の と 謂 ふ 可 き か。 大 藏 七 千 絵 卷 、 互 縦 長 篇 に 乏 し か ら す と 錐 こ も 、 而 も 卷 鉄 の 浩 溝 、 章 句 の 洋 濫 せ る こ と は 、 決 し て 大 般 若 に 匹 敵 す る 響 無 し 、 經 聞 尚 ほ 寡 し 、 周 覺 尤 も 歎 む 、 是 に 於 て か 六 百 卷 二 十 萬 頗 の 櫃 軸 を 撮 つ て 僅 に 一 十 四 行 二 百 三 十 除 字 に 縮 め た る が 即 ち 此 心 經 な り 、 是 に 知 る 詮 眞 の 激 は 廣 賂 縁 に 從 ひ 、 超 言 の 宗 は 圓 地 倶 に 顯 は るヽ こ と を 、 そ も 般 若 心 經 は 其 文 約 に し て 句 促 る も 、 而 も 能 く 大 般 若 の 精 要 を 究 め て 、 此 二 の 除 漉 を 止 め す 、 誠 に 昏 衝 を 照 ら す の 高 炬 、 苦 海 を 渡 す の 迅 航 な り 、 物 を 趣 ひ 迷 を 道 く 蓋 し 斯 經 を 以 て 最と 爲 す 可 し 、 此 れ 斯 經 が 各 宗 各 涙 に 通 じ て 依 用 せ ら るゝ 所 以 な り 。

(10)

斯 經 支 那 に 入 て 巳 來 、 信 俗 の 講 賛 せ し 者 算 あ る こ と 無 し 、 或 は 儒 官 或 は 道 司 、 硯 を 磨 し 毫 を 染 め て 自 家 の 所 見 を 建 つ る 者 数 千 、 就 中 其 傑 出 せ る 五 十 除 家 の 章 疏 は 、 墨 て 我 績 大 藏 經 の 一 格 に 備 ふ 、 本 邦 、 の 流 傳 亦 決 し て 彼 土 に 譲 ら す 、 優 に 一 百 歎 十 家 の 訓 釋 あ り 、 元 興 寺 智 光 の 述 義 、 傳 敷 大 師 の 經 釋 、 眞 興 の 略 釋 、 慧 心 僧 都 の 經 義 、 一 休 和 術 の 經 解 等 、 三 論 ・ 法 相 ・天 台 ・臨 濟 ・ 曹 洞 ・ 黄 棄 等 十 絵 部 の 末 疏 は 、 あ.ん れ を 我 日 本 大 藏 經 に 編 入 し て 、 此 撮 爾 だ る 一 小 經 が 、 實 に 無 量 無 邊 の 深 義 を 宿 し て 、 一 月 萬 水 に 映 す る 所 以 の 幽 致 を 詳 に せ し が 、 而 も 未 だ 曾 て 麿 教 の 説 を 立 て し を 聞 か ざ り し に 、 高 組 弘 法 大 師 は 、 陀 羅 尼 集 經 三 成 就 の 義 に 依 り 、 姦 に 始 て 心 經 の 密 敢 化 を 大 成 せ ら れ し は 、 實 に 古 今 猫 歩 の 新 天 地 と し て 我 閲 藏 史 上 の 一 大 異 彩 た ら す ん ぱ あ ら す 、 由 來 顯 密 在 人 と は 稽 す る 考 の 、 大 開 呪 を 以 て 今 經 の 総 結 と 爲 し 給 ひ た る 邊 杯 は 、 是 ぞ 即 顯 即 密 、 觀 在 薩 塊 の 心 眞 言 総 持 門 の 妙 釋 と 仰 ぐ の 外 無 し 、 此 書 初 め に 梵 浅 雨 名 の 經 題 を 釋 し 、 延 て 数 本 の 異 澤 を 陳 べ 、 本 文 に 入 て 五 分 と 爲 し 、 毎 科 に 別 頚 を 係 け て 佛 意 を 閲 掻 す 、 大 師 の 他 の 開 題 等 に 較 べ て 頗 る 其 趣 き を 異 に せ り 、 故 に 尤 も 著 述 の 髄 例 を 整 へ た り 仍 て 卒 爾 の 撰 に 非 刮d る や 明 か な り 、 卷 尾 に 附 せ る 弘 仁 九 年 の 上 表 文 は 、 よ し 後 入 の 儒 作 と す る も 、 一 本 の 践 ・又 に 承 和 元 年 甲 寅 、 今 年 伸 春 三 月 作 二 般 若 心 經 秘 鍵一。 於 二 東 大 寺 一以 二 道 昌 大 法 師 一 開 演 す と あ る は 、 稽 や 徴 す る に 足 る 可 し 、 三 密 を 修 す る の 輩 、 畢 て 此 秘 鍵 を 讃 論 し 、 以 て 疫 病 を 免 るヽ の 秘 符 と な す 、 其 崇 信 や 建 に 大 な り 、 随 て 之 れ が 賛 釋 に 任 す る 者 も 亦 其 数 頗 る 膨 し く 、 略一 百 蝕 家 を 算 ふ 、 其 中 最 も 奮 き は 慈 興 教 大 師 御 撰 述 に 對 す る 書 史 學 的 研 究 五 九

(11)

興 教 大 師 御 撰 述 に 對 す る 書 史 學 的 研 究 六 ○ 簿 院 濟 遅 僧 都 の 開 門 決 三 卷 な る が 、 今 は 其 存 否 す ら 知 り 難 し 、 此 れ に 突 ぐ も の は 即 ち 今 大 師 の 略 注 、 次 は 溢 範 の 抄 、 頼 喩 の 開 藏 鉛 各 二 卷 、果 寳 の 聞 書 鉛 六 卷 等 な り 、 此 等 は 何 れ も 我 日 本 大 藏 經 に 日編 入 し て 不 朽 の 計 を 立 て し が 、 数 あ る 弘 法 大 師 の 御 作 中 、 今 大 師 が 特 に 此 一 部 丈 を 撰 ん で 、 末 注 を 書 か せ 給 ひ 陀 る 點 に 徴 し て も 、 聯 か 御 眞 意 の 存 す る 所 を 舞 す る に 足 る 、 尚 又 吋 文 一 句 を 逐 ふ て 今 大 師 特 有 の 訓 釋 を 施 し 、 以 て 租 詰 を 憲 章 し 後 學 を 開 導 遊 ぱ さ れ た る も の な れ ば 、 秘 鍵 を 窺 は ん と 欲 す る 輩 は 、 是 非 此 書 の 指 南 に 待 つ 可 き な り 、 さ れ ば に や 此 書 は 慶 安 二 ( 二 三 〇 九 ) 年 に 開 板 し て 、 廣 く 講 難 の 間 に 推 重 さ れ 、 綾 ひ て 諸 秘 釋 に 牧 録 、 大 正 の 聖 代 に 迫 つ て 、 我 日 本 大 藏 經 に 編 次 さ れ た る 所 以 な り。 本 書 は 諸 秘 釋 卷 四 牧 録 本 に 依 り て 全 集 に 韓 載 さ れ た る 者 、 今 觀 書 院 金 剛 藏 所 藏 の 呆 寳 所 持 本 、 及 び 仁 和 寺 心 瀧 院 奮 藏 古 爲 本 と に 樹 校 せ し が 、 他 書 よ り は 除 程 正 確 な り し も 、 尚 ほ 十 箇 處 の 誤 脱 あ り 、 此 書 に 限 り 細 注 本 な る を 以 て 、 誤 字 を 摘 記 す る こ と 甚 だ 煩 し 、 故 に 止 む を 得 す 之 を 省 く 、 心 蓮 院 本 の 奥 書 左 に 。 朱 害 開 因 建 長 二 ( 一 九 一 〇 )年 之 比 自 二 准 后 一傳 賜 之 沙 門 静 海

した

(12)

り 、 由 來 此 經 は 僅 に 十 紙 に 過 ぎ ざ れ ば 其 文 頗 る 簡 約 な る も 、 其 義 趣 に 至 て は 極 め て 甚 深 なり、是れ眞 言 宗 を 始 め 普 く 各 宗 諸 涙 に 亘 て 、 朝 暮 の 勤 行 に 依 用 せ ら れ 、 流 布 の 贋 き こ と 遙 に 他 經 の 上 に 出 つ る 所 以 、 目 し て 最 要 經 典 中 の 最 要 經 典 と 爲 す も 亦 此 理 由 に 基 く も の な り 。 此 經 其 さ に は 大 樂 金 剛 不 室 眞 實 三 昧 耶 經 と 稽 し 、 内 題 に は 般 若 波 羅 蜜 多 理 趣 品 と 云 ふ 、 又 此 經 は 金 剛 頂 喩 伽 經 十 萬 頚 十 八 會 中 、 彼 の 第 六 會 よ り 別 出 せ し 者 な れ ば 、 説 處 に 就 て も 十 八 會 指 蹄 に は 、 第 六 會 名 二 大 安 樂 不 空 三 昧 耶 眞 實 喩 伽一。 於 二 他 化 自 在 天 宮 噂説 と さ へ 謂 へ り 、 次 に 今 經 の 相 承 に 就 て は、 弘 法 大 師 の 指 南 あ り 、 該 開 題 に ニ レノヨリノシ玉也ノ

有二十

會一。

所二

一如 來 秘 密 藏 之 根 本。 不 レ 同 二 應 化 佛 所 ニ ハ ノ ハ モ ス ニ ク ハ ノ ノ ミ レ ノ 説一。 三 世一 切 如 來 皆 從 二 此 門 一而 成 佛。 蝕 教 説 二 成 佛 一者 竝 是 方 便 引 講 之 言 耳。

談一。

ソ バ ア ル 之 入 不 レ 可 ゾ 不 レ 知。 と 、 是 に 依 て 之 を 見 れ ば 、 大 日 金 薩 龍 智 不 塞 恵 果 と 次 第 相 承 せ る 者 と 知 ら る 、 元 來 金 剛 智 三 藏 は 十 八 會 の 廣 經 を 傳 來 せ し も 、 入 唐 の 途 次 風 波 の 難 に 遭 ひ 、 海 中 に 投 じ て 龍 紳 に 與 へ し ゆ へ 傳 來 せ し 所 の 者 は 、 只 四 千 頚 の 暑 出 經 な り し に 、 不 空 三 藏 再 度 入 竺 の 時 、 重 ね て 龍 智 に 逢 ひ て 、 爾 部 二 十 萬 頚の廣本 を 相 承 し 、 蹄 唐 の 後 、 唐 の 玄 ︹ 或 は 代 ︺ 宗 の 朝 に 此 經 を 翻 傳 せ る も の と 稽 せ らる。 此 經 に 類 本 数 種 あ り 、 乃 ち 一 に は 玄 彗 三 藏 謬 の 大 般 者 經 第 五 百 七 十 八 懇、 第 十 曾 中 の 理 趣 分 一 卷、 興 教 大 師第 撰 述 に 對 す る 書 史 學 的 研 究 六 一

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興 敏 大 師 御 撰 述 に 對 す る 書 史 學 的 研 究 六 二 二 に は 菩 提 流 志 課 の 實 相 般 若 經 一 窓 、 三 に は 施 護 繹 の 遍 照 般 若 經 一 巻 、 四 に は 法 賢 謬 の 根 本 最 上 大 樂 金 剛 不 空 三 昧 大 敷 王 經 七 懇 、 五 に は 金 剛 智 繹 の 理 趣 般 若 經 一 雀 等 な り 、 其 の 注 釋 と し て は 不 空 三 藏 の 理 趣 釋 、 及 び 十 七 奪 義 述 等 を 数 ふ 可 し 、 此 等 の 類 本 に 對 し 、 台 家 の 五 大 院 安 然 和 上 は 、 敏 時 義 岩 一 に 於 て 、 佛 佳 二 他 化 天 一説 二 般 若 理 趣 分 一之 時 、 顯 機 聞 爲 二 理 趣 分一。 密 機 爲 二 理 趣 經 幻 云 云 と 説 き 、 其 宗 租 傳 敷 大 師 の 同 本 異 謬 説 を 租 述 し て 同 聴 異 解 を 圭 張 せ り 、 然 に 眞 言 宗 に て は 前 三 經 を 別 本 と 判 じ 、 彼 の 理 趣 分 は 釋 尊 顯 敏 の 説 な れ ば 、 大 般 若 十 六 會 の 随 一 な る も 、 理 趣 經 は 法 身 深 秘 の 所 説 な れ ば 密 部 な り と 談 じ 、 經 と 分 と を 全 然 別 本 な り と 論 す 、 呪 や 二 本 を 比 較 す る に 、 第 一 章 段 の 多 少 、 第 二 初 段 列 衆 の 出 没 、 第 三 印 眞 言 の 有 無 等 、 重 々 の 相 違 あ れ ば 、 断 じ て 同 本 に 非 す と 圭 張 せ り 、 又 彼 の 法 賢 鐸 の 七 憲 經 は 二 十 五 品 の 廣 説 な る も 、 術 ほ 七 母 天 三 兄 弟 四 姉 妹 の 三 品 を 敏 く 、 其 他 の 諸 經 も 亦 概 ね 十 四 品 の 説 相 な れ ば 、 此 三 品 を 具 備 せ す 、 或 は 各 品 の 圭 尊 に 別 禮 の 佛 格 を 附 せ ざ る 等 の 相 違 あ り 、 然 る に 只 猫 り 此 理 趣 經 の み は 、 金 剛 薩 唾 を 諸 方 面 よ り 觀 察 し て 十 七 段 と な し 、 其 十 七 段 中 、 最 後 の 一 段 を 以 て 、 特 に 最 要 深 秘 と せ ら る 、 昭今 經 の 大 意 は 弘 法 大 師 の 開 題 に 於 て 、 ソ レ ハ ト メ リ ノ ハ ナ リ 戴 夫 阿 字 廓 然 不 生 不 滅。 灌 頂 喩 伽 無 磯 自 在 。 云 蓉 と の 二 句 に て 、 十 分 に 之 れ を 説 瀧 せ ら れ た り 、 此 上 句 は 胎 藏 界 本 有 の 理 を 指 さ し て 阿 字 廓 然 と 云 ふ 、

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是 れ 即 ち 諸 法 の 本 源 佛 法 の 自 禮 な れ ば 、 三 世 常 住 に し て 去 來 を 離 れ 、 凝 然 不 憂 に し て 生 滅 を 離 る 邊 を 不 生 不 滅 と は 云 ふ な り 、 次 に 下 句 は 金 剛 界 修 生 の 智 を 墨 げ て 灌 頂 喩 伽 と 云 ふ 、 是 れ 即 ち 艘 字 の 智 水 を 瀧 ひ で 萬 徳 の 芽 董 を 生 長 し 、 二 利 究 覧 し て 境 智 冥 合 す る 所 を 無 磯 自 在 と は 総 す る な り 、 斯 の 如 く 上 句 の 附 字 門 と 、 下 句 の 鍍 字 門 と の 二 句 に 於 て 、 理 智 の 雨 部 、 本 有 修 得 爾 邊 を 顯 し て 、 些 の 除 漉 あ る こ と 無 き を 以 て 、 叢 に 阿 鍵 の 二 字 を 用 ひ て 經 宗 と 爲 す 所 以 な り 、 這 は 他 な し 能 説 の 敏 主 に 就 か ば 、 序 贔 は 櫻 繁 。 以 て 源 と 爲 し 、 第 二 段 は 阿 字 を 以 て 宗 と 爲 せ ば な り、 然 れ ざ も 經 宗 の 禮 に 約 す れ ば 、 颪 字 を 以 て 宗 と 爲 す 可 し 、 日疋 れ 今 經 は 一 切 有 情 本 有 薩 唾 の 秘 奥 を 説 て 、 無 始 の 色 心 を 動 か す し て 、 而 も 本 有 の 因 を 以 て 源 と 爲 す が 故 へ な り 、 是 を 以 て 初 段 十 七 曾 中 に は 慾 等 の 五 尊 を 以 て 本 と 爲 し 、 後 段 の 五 秘 密 に も 四 妄 を 以 て 金 薩 と 爲 す 所 以 な り。 次 に 今 經 の 説 相 を 見 る に 、 大 凡 そ 二 分 と な る 、 共 前 宇 は 自 性 輪 に し て 、 其 後 宇 は 敷 命 輪 な り 、 即 ち 經 の 初 段 よ り 第 十 握 一 切 魔 菩 薩 段 に 至 る 迄 は 、 薩 埋 膿 上 大 日 の 八 徳 、 十 七 清 浄 の 法 門 を 顯 は し 、 第 十 一 降 三 世 教 倫 輪 段 よ り 終 に 至 る 迄 は 、 薩 唾 内 證 上 の 外 部 諸 徳 を 説 け る が 歓 へ な り 、 荷 又 初 段 の 理 趣 會 と 終 り の 五 秘 密 日段 と は 輩 に 開 含 の 相 違 に 過 ぎ す 、 仍 て 其 膿 を 究 む れ ば 乃 ち 一 な り 、 但 し 第 十 六 段 の 五 部 具 會 品 は 、 諸 段 に 日 ぞ 重 重 無 磯 の 法 門 を 示 し 給 へ る も の と 拝 せ ら る 、 然 り 而 し て 斯 一 經 が 遙 か に 自 徐 の 諸 大 乗 敷 典 に 超 越 し て 、 唯 一 無 二 の 秘 要 と 仰 が れ 、 曾 崇 措 か ざ る 所 以 の も の は 、 畢 覚 此 典 に 於 て 専 興 教 大 師 御 撰 述 に 對 す る 書 史 學 的 研 究 六 三

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興 教 大 師 御 撰 述 に 對 す る 書 史 學 的 研 究 六 四 ら 吾 等 三 毒 煩 幡 の 本 源 を 顯 は し 給 ふ に 存 す れ ば な り 。 そ も 亦 此 の 三 毒 の 煩 拶 と 稻 せ ら る 、 も の も 、 其 本 禮 を 尋 ぬ れ ば 性 海 圓 満 に し て 不 生 常 佳 、 輪 圓 具 足 せ る 四 曼 三 密 な る を 以 て 、 阿 字 の 不 生 に 達 し て 性 海 本 有 に 入 ら ば 、 世 間 の 男 女 交 曾 も 、 將 又 五 塵 六 欲 お の づ も 管 悉 く 佛 事 門 に 非 ざ る も の は 無 し と 談 す る な り 、 さ れ ば に や 和 修 蜜 多 の 多 婬 す ら も 亦 段 が ら 梵 行 の 法 門 と な る 、 是 を 以 て 理 趣 釋 第 四 段 に は 、 喩 伽 廣 品 の 文 を 引 き て 内 證 具 徳 の 法 門 を 顯 は し 給 へ り 、 思 ふ に 愚 鈍 の 衆 生 は 定 慧 二 根 の 交 會 に 依 て 諸 の 佛 子 を 生 じ 、 或 は 悲 智 二 機 の 和 融 に 依 っ て 即 身 成 佛 す る 所 以 の 深 致 を 辮 別 す る こ と 能 は す 、 姦 に 於 て か 大 悲 の 如 來 は 善 巧 の 密 意 を 以 て 、 知 り 易 き 男 女 二 根 の 交 會 に 寄 せ 、 佛 界 の 上 根 智 と 衆 生 界 の 下 根 智 と 、 此 二 根 本 來 一 如 に し て 交 會 し 、 更 に 差 別 あ る こ と な き 理 由 を 説 き 給 へ る な り 、 故 に 下 根 無 智 の 凡 夫 と 錐 も 、 此 理 を 膿 得 せ ぱ 李 等 法 界 の 無 相 無 自 性 の 清 浄 理 趣 を 開 登 し て 、 速 に 本 性 清 澤 の 般 若 理 趣 を 獲 得 し 得 る も の と 知 ら る 、 彼 の 理 趣 釋 に 所 謂 密 意 説 二 根 交 會 乃 至 疾 證 本 性 清 澤 法 門 と あ る は 、 乃 ち 此 理 を 示 し た る も の な り 、 又 此 儀 軌 に は 金 剛 計 里 計 羅 抱 二 金 剛 薩 唾 一者 表 下 澤 乙 第 七 識 妄 二 執 第 八 識 一爲 二 我 擬 我 見 我 愛 我 慢 馴我甲成中李等性智切 云 云 と 説 き 、 第 七 識 は 能 抱 末 那 の 迷 相 、 金 剛 薩 唾 は 即 ち 不 生 不 滅 金 剛 不 壊 の 禮 な れ ば 無 漏 な る も 、 男 女 婬 愛 の 娯 樂 に 寄 せ て 、 如 來 の 大 悲 與 樂 に 喩 へ 、 依 て 用 て 金 剛 薩 唾 の 大 樂 大 貧 染 の 法 門 を 顯 は し 給 ひ た る

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も の な れ ば 、 假 倉 ひ 詞 は 卑 近 な り と 錐 も 其 激 旨 は 乃 ち 秘 奥 の 實 説 な れ ば 、 深 く 意 を 注 ひ て 讃 諦 讃 仰 す 可 し と な り。 理 趣 経 の 奥 旨 は 此 の 如 く 懸 か に 常 途 の 義 趣 に 超 過 し 、 其 一 字 一 句 の 微 と 錐 ご も 、 術 ほ 無 量 無 邊 の 深 致 を 包 含 す る も の な れ ば 、 疏 鐸 の 指 南 に 依 ら す し て 焉 ぞ 克 く 斯 経 の 微 言 に 徹 せ ん 、 是 を 以 て 金 剛 薩 埋 は 大 悲 深 重 に し て 、 更 ら に 之 れ が 鐸 経 を 作 り 、 妙 に 秘 奥 を 開 示 し 給 ふ 、 然 る に 唐 の 慧 琳 和 上 此 音 義 を

蘭肇

追 幅 の 懇 請 に 應 じ 、 薙 に 初 め て 理 趣 経 開 題 四 種 と 、 眞 實 経 文 句 一 窓 と を 作 て 、 法 施 と 爲 し 給 ひ し よ り 漸 く 研 鍛 め 端 緒 を 開 き 、 績 ひ て 智 證 大 師 の 理 趣 輝 難 義 の 著 と な り 、 更 に 今 大 師 の 種 子 繹 と な る 、 今 大 師 の 書 は 一 名 ・冨 字 井 讐 字 等 繹 と も あ る 如 く 、 日維 中 に 於 け るある 等 の 種 子 の み に 就 て 、 僅 に 短 鐸 を 施 さ れ た る に 過 ぎ 古 し て 、 而 も 其 全 文 の 七 割 迄 が 、 不 空 三 藏 繹 出 の 理 趣 繹 の 文 を 引 き 給 ひ た る に 過 ぎ す 、 仍 て 思 ふ に 此 維 の 要 と す る 所 の み を 示 し 給 ふ も の と 舞 せ ら る。 其 昔 し 弘 法 大 師 が 今 経 を 將 來 せ し と 聞 く や 、 山 家 の 傳 敷 大 齢 は 詞 を 低 ふ し て 借 覧 せ ん こ を 請 ひ し に 弘 法 大 師 は ス バ ラ シ キ 椹 幕 に て 、 之 れ を 峻 拒 せ ら れ た る こ と は 、 往 復 の 書 簡 に 堪 は れ た り、 本 宗 に 於 て 斯 経 を 崇 尊 す る こ と 最 も 深 き 關 係 よ り 、 今 大 師 が 殊 に 此 繹 を 作 ら せ ら れ だ る も の と 拝 察 す る が 、 爾 後 各 家 競 ふ て 其 幽 蹟 を 釣 り 、 科 節 を 剖 折 す る 者 陸 績 踵 を 接 す 、 箪 に 知 名 の 末 繹 に て も 既 に 四 五 十 部 行 興 敢 大 師 御 撰 述 に 對 す る 書 史 學 的 研 究 六 五

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興 教 大 師 御 撰 述 に 對 す る 書 史 學 的 研 究 六 六 は れ 、 中 に も 高 野 道 範 の 秘 傳 鉛 二 巻 、 圓 光 良 含 の 口 決 鉛 七 巻 、 宥 範 の 秘 決 集 六 巻 等 の 修 生 説 に 野 し て 東 寺 道 寳 の 秘 決 鉛 六 懇 は 、 本 有 涙 の 學 説 を 饗 揮 し 、 績 て 興 國 四 年 十 二 月 に は 、 立 川 流 大 成 者 の 弘 眞 文 槻 僧 正 は 、 勅 を 奉 じ て 注 四 悲 を 撰 し 、 後 呆 寳 賢 寳 等 の 鉛 一 霧 秘 要 鉛 十 二 懇 と な つ て 、 壇 々 本 有 説 を 恢 ひ に し た る 杯 、 以 て 本 宗 濁 特 相 傳 の 眞 儂 を 宣 揚 せ り 、 此 等 著 名 の 末 注 十 三 部 を 鐸 ぴ 之 を 我 H 本 大 藏 経 に 編 次 し あ れ ぼ 、 就 て 研 討 せ ら れ ん こ と を 望 む 。 全 集 本 は 遺 教 録 懇 三 牧 録 本 に 依 り た る が 、 今 高 山 寺 古 窩 本 と 較 べ し に 、 唯 梵 字 に 多 少 の 相 違 あ り し の み な り。 法 華 經 秘 釋 一 巻 天 台 日 蓮 雨 宗 が 法 華 純 を 正 依 の 本 維 と す る の み な ら す 、 華 嚴 法 相 三 論 繹 等 の 諸 宗 に 至 る 迄 、期 経 を 讃 仰 し て 各 自 宗 の 見 解 に 依 て 一 家 の 言 を 樹 て ざ る 無 き の 観 あ る は 、 如 何 に 斯 経 が 一 切 藏 経 中 の 経 王 な る か を 察 す る に 絵 り あ り 、 然 れ ざ も 之 れ を 密 漱 化 し 泥 る も の は 、 乃 ち 我 弘 法 大 師 に 椹 輿 せ り。 今 斯 経 の 秘 繹 は 本 宗 の 立 蕩 よ り し て 、 淺 深 の 二 門 に 大 別 し 、 初 め に 淺 略 の 顯 敷 に 四 あ り と 云 ひ て 、 法 相 三 論 天 台 華 嚴 の 四 宗 々 意 に 依 て 、 経 義 の 大 概 を 説 き 、 後 に 深 秘 の 密 敷 乃 ち 諸 宗 超 過 の 奥 義 に 基 き て 五 分 し 、 其 の 初 め に 敏 興 の 因 縁 を 明 か し 、 二 に 罎 敏 の 差 別 を 彰 は し 、 三 に 今 経 の 大 意 を 演 べ 、 四 に 題 目 を 繹 し 、 五 に 経 の 本 文 に 入 て 議 理 を 審 に す 、 其 第 五 分 に 於 て 更 に 序 説 縁 起 分 、 正 説 宗 旨 分 、 及 ぴ

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流 通 激 盆 分 の 三 に 細 別 し 、 僅 々 十 数 頁 の 中 に 、 百 千 無 量 の 秘 奥 を 陳 べ ら れ た る は 、 是 れ 宛 も 大 千 界 を 佳 瓦掌 に 牧 め だ る や の 観 あ り。 此 書 は 諸 秘 繹 懇 一 牧 録 本 に 依 る 、 今 観 智 院 藏 呆 寳 所 持 本 と 對 綾 せ し に 、 梵 字 の 相 違 霧 し 、 漢 字 に て こ ご ぐ く は 、 全 集 本 二 百 六 十 三 頁 四 行 の 提 は 薩 、 同 十 三 行 の 馨 は 藩 、 次 頁 十 三 行 染 の 下 に 浄 の 字 を 脱 せ る 外 、 二 百 五 十 八 頁 三 行 の 竪 は 竪 ( 其 他 の 分 も 古 爲 本 に は 竪 と 書 せ り ) の 談 な る こ と 、 及 び 句 逗 と 返 り 點 、 並 に 途 り 假 名 に は 、 甚 し き 相 違 あ る こ と を 登 見 せ り。 眞 言 所 學 耀 摩 詞 術 論 指 事 略 云繹 講 指 事 一 巻 朱 云 書 連 日 房 繹 摩 詞 術 論 愚 案 鉛 第 一 本 末 噌 胴巻 龍 樹 菩 薩 の 造 論 一 千 絵 部 あ り と 稽 せ ら れ 、 其 現 存 書 は 悉 く 載 せ て 大 藏 経 中 に 牧 む 、 而 も 其 書 を 分 類 せ ん に 、 恐 ら く 顯 密 の 二 論 に 出 で ざ る 可 し 、 然 り 而 し て 此 繹 論 は 、 嘗 て 馬 鳴 菩 薩 の 玄 旨 を 承 て 、 眞 門 の 本 分 を 開 き だ る 者 な れ ば 、 這 般 密 敏 中 に 在 て も 、 特 に 要 中 の 要 書 と 崇 め ら る。 然 れ こ も 唐 宋 遼 に 於 け る 此 論 の 末 繹 は 、 凡 て 華 嚴 の 宗 義 に 基 き だ る 者 の み に て 、 其 現 存 せ る 七 部 の 注 疏 は 、 悉 く 之 を 績 藏 経 中 に 網 羅 せ し が 、 報 ひ 之 れ は 日 本 丈 に 有 せ し の み に て 、 支 那 に 在 て は 傳 鐸 さ れ 乍 ら 、 数 百 歳 の 間 殆 ご 隠 れ て 行 は れ ざ り し を 、 我 弘 法 大 師 は 起 信 の 顯 を 該 ね て 、 眞 言 の 密 に 轍 す る 者 と 爲 し 、 之 れ を 三 學 録 に 載 せ て 、 秘 密 の 阿 毘 達 磨 と 定 め 、 親 く 自 ら 指 事 二 岩 を 撰 し 、 或 は 盛 ん に 此 興 教 大 師 御 撰 述 に 對 す る 書 史 墨 的 研 究 六 七

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興 教 大 師 御 撰 述 に 對 す ろ 書 史 學 的 研 究 六 八 論 の 文 を 引 證 せ ら れ し 爲 め 、 此 論 の 研 討 歳 を 追 て 昌 ん に 、 世 々 傑 出 せ る 名 篇 を 出 す に 至 れ り 、 特 に 新 義 派 に 在 て は 、 大 日 経 大 疏 と 同 様 に 尊 崇 せ し 結 果 、 學 匠 等 相 集 り て 途 に 一 百 條 の 論 題 を 選 次 し 、 以 て 論 蕩 必 須 の 寳 冊 と 定 む る に 至 れ り。 本 朝 末 繹 の 濫 膓 は 乃 ち 弘 法 大 師 の 指 事 二 巻 に し て 、 之 れ に 次 ぐ も の は 興 輻 寺 菩 提 院 贈 俗 正 の 抄 、 永 久 三 年 示 寂 の 濟 逞 僧 都 が 顯 秘 鉛 十 八 蓉 、 並 に 決 疑 破 難 會 繹 抄 一 憲 ( 現 存 )な り 、 而 し て 其 次 は 乃 ち 今 大 師 の 此 書 な る 可 し 、 今 大 師 の 繹 例 は 文 梢 簡 な る も 、 此 論 の 綱 要 を 提 げ て 、 殆 ご 絵 す 所 あ る こ と 無 し 、 特 に 此 論 を 密 乗 と せ し 説 明 は 、 尤 も 到 れ り 盤 せ り 、 故 に 予 輩 は 弘 法 大 師 の 指 事 と 共 に 、 此 書 を 基 本 章 疏 と 爲 し 、 之 れ に 頼 喩 、信 堅 ・ 順 縫 ・ 宥 快 等 の 抄 物 類 を も 併 せ て 、 之 れ を 日 本 大 藏 経 に 牧 め 、 以 て 不 朽 の 計 と 、 講 學 の 便 と に 資 し た り。 前 書 は 諸 秘 糧 巻 四 牧 録 本 に 依 る、 又 國 澤 密 敷 に も 論 藏 部 に 牧 め て 大 正 十 年 刊 布 せ し が 、 今 高 山 寺 法 鼓 壷 所 藏 閑 観 房 玄 證 自 筆 の 古 寓 本 と 對 校 せ し に 、 全 集 本 三 百 二 頁 二 行 の 警 は 驚 、 四 行 の 嚴 の 字 が 無 き を 以 て 、 細 注 六 字 が 不 用 と 知 ら れ 、 五 行 の 輪 が 論 、 七 行 の 言 が 字 、 次 頁 八 行 の 聖 聖 は 賢 聖 、 十 一 行 の 海 満 果 の 海 の 字 が 剰 り 、 三 百 六 頁 二 行 切 の 下 に 佛 と 九 行 の 建 の 上 に 同 の 字 と が 脱 し た る 外 に 、 十 箇 處 め 誤 脱 あ り し こ と を 襲 見 せ り。 次 に 繹 論 愚 案 鉛 は 諸 秘 繹 憲 五 牧 録 本 に 依 れ る が 、 今 古 爲 本 と 封 校 せ し に 、 全 集 本 三 百 二 十 五 頁 五 行

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の 圓 の 下 に 満 果 の 二 字 と 、 十 一 行 波 の 下 に 之 の 字 と 、 十 二 行 の 法 の 下 に 者 の 字 と を 脱 し 、 次 頁 六 行 の ハ セ セ ナ リ 所 断 或 は 所 レ 断 惑 、 三 百 二 十 七 頁 十 三 行 の 鍵 が 飴 、 三 百 三 十 頁 六 行 の 摩 討 術 也 は 摩 詞 薩 麺 也 、 三 百 四 十 一 頁 六 行 の 答 の 下 に 、 六 字 細 注 を 挿 み し は 、 何 の 一 字 を 脱 せ し 底 本 な り し が 爲 め な る こ と を 知 る 、 ミ ニ ハ メ 又 同 九 行 の 自 の 下 に 猫 歩 二 不 二 之 一 地 一横 掘 二 三 自 三 大 一 の 十 三 字 を 脱 せ る 等 、其 他 に も 十 数 箇 處 の 誤 腕 あ る こ と を 確 め た り 、 對 照 本 の 奥 書 左 に 、 ( 不 ) 醍 醐 三 寳 院 藏 本 御 本 云 正 元 々 年 秋 比 申 二 請 仁 和 寺 眞 光 院 安 置 之 密 嚴 上 人 御 自 筆 草 本 一書 爲 畢 但 彼 草 本 或 入 レ 文 或 止 ン 字 等 之 間 愚 昧 有 二 見 俣 等 事 一欺 或 未 二 労 明 一故 如 レ 本 書 レ 之 可 レ 得 二 其 意 一突 願 以 二 一 窓 一 爲 之 功 一 必 爲 二 三 疏 三 菩 提 之 乗 齢也 求 菩 提 沙 門 豪 信 ハ ノ ナ リ ハ 同 年 十 月 上 旬 私 加 點 畢 但 朱 點 草 本 上 人 自 點 黒 點 私 加 レ 之 願 以 二 今 生 一 點 之 因 一欲 レ 得 二 當 來 三 點 之 果 一 耳 求 菩 提 沙 門 豪 信 法 印 (巳 上 ハ ロ 本 ノ 名 古 屋 實 生 院 本 モ 同 丈 ナ リ ) 天 文 十 八 年 己 酉 六 月 廿 二 日 紀 州 根 來 寺 西 石 引 成 就 院 上 間 書 爲 畢 甚 長 マ ヽ 右 本 末 抄 畳 鍵 上 人 作 也 抑 以 レ 不 レ借 二 干 他 一 加 二 彼 作 分 之 一 帳 一奉 レ 納 二 金 剛 輪 院 経 藏 一突 干 時 處 長 十 五 稔 庚 戊 月 日 法 務 義 演 華 押 興 教 大 師 御 撰 述 に 對 す る 書 史 學 的 研 究 六 九

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興 教 大 師 御 撰 述 に 對 す ろ 書 史 學 的 研 究 七 〇 ( ロ ) 名 古 崖 寳 生 院 藏 本 弘 治 二 年 三 月 晦 日 於 二 甲 州 加 賀 美 山 法 善 寺 一書 レ 之 右 筆 者 下 総 國 臼 井 庄 宇 内 谷 空 印 房 因 に 此 書 を 初 め に 寓 せ し 豪 信 は 、 仁 和 寺 翼 乗 院 畳 教 方 印 信 の 細 注 に 依 り 、 頼 喩 賠 偲 正 の 初 名 な る こ 、 と 、 及 び 同 僧 正 の 大 日 経 疏 愚 艸 憲 二 七 下 十 九 紙 に 、 此 等 義 如 二 菩 提 心 論 私 鉛 一 と あ り 、 其 私 鉛 の 古 本 の 奥 書 に 文 應 元 年 庚 中 八 月 七 日 依 二 或 鋤 進 一柳 以 抄 記。 是 則 呈 二 初 心 之 披 覧 一爲 二 後 生 之 資 糧 一而 已 高 野 山 傳 法 院 隠 侶 豪 信 と あ る よ り 推 し て 、 中 性 院 頼 喩 賠 俗 正 な り し こ と を 知 り 、 い と も 有 難 き 思 ひ せ ら る。 金 剛 頂 喩 伽 中發 阿 褥多 羅三 貌 三 菩 提 心 論 題 繹一 巻 此 論 略 し て 菩 提 心 論 と 稽 す る が 、 別 に 喩 伽 総 持 敷 門 説 菩 提 心 観 行 修 持 義 論 と も 云 へ り 、 龍 樹 菩 薩 の 造 に し て 、 不 空 三 藏 の 課 と 傳 ふ 、 然 る に 此 論 を 不 塞 三 藏 の 集 と 爲 す も の あ り 、 智 證 大 師 の 雑 記 に は 、 菩 提 心 論 愚 案 二 貞 元 拾 遺 録 一云 二 不 空 三 藏 集一。 此 言 甚 好 と 評 し 、 此 の 論 中 に 一 行 和 尚 の 記 し た る 大 日 経 疏 と 、 善 無 畏 三 藏 戚 得 供 養 法 の 文 と を 引 用 せ る 點 を 墨 げ て 、 其 證 と な せ り 、 而 る に 五 大 院 安 然 和 上 の 善 提 心 義 巻 一 、 及 び 数 時 義 憲 三 に は 、 不 空 集 の 説 を 駁 せ り 、 我 眞 言 宗 に て は 之 れ を 會 通 し て 龍 猛 菩 薩 の 所 造 な り と 決 す 、 由 來 龍 猛 菩 薩 の 撰 述 中 に は 、發 菩 提 心 論 二 巻 あ り て 、 鳩 摩 羅 什 之 れ を 繹 せ る も 、

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其 内 容 は 甚 だ 異 れ り。 次 に 一 部 の 所 明 は 菩 提 心 の 向 上 径 路 を 説 明 指 示 し た る 者 に て 、 其 菩 提 心 の 行 相 に は 、 行 願 勝 義 三 摩 地 の 三 門 あ り と し 、 諸 の 佛 菩 薩 は 曾 て 因 位 に 在 り し 時 、 菩 提 心 を 登 し 、 此 三 門 を 以 て 戒 と 爲 し 、 乃 至 成 佛 に 至 る 迄 、 時 と し て 暫 も 忘 る 、 こ と 無 し と 云 へ り。 所 謂 三 門 の 行 相 と は 、 一 に 行 願 、 謂 く 大 悲 の 書 願 に 住 し て 一 切 衆 生 を 救 濟 し 、 巳 れ と 等 し か ら し め ん と す る 利 他 の 妙 行 を 云 ふ 、 二 に 勝 義 と は 、 一 切 法 無 自 性 の 空 観 を 修 し て 、 無 上 菩 提 の 妙 果 を 證 得 す る の 行 相 を 云 ふ 、 第 三 に 三 摩 地 と は 、 眞 言 密 行 の 秘 要 陀 る 五 相 成 身 の 三 密 観 を 凝 ら し 、 父 母 所 生 の 即 身 に 、 本 尊 身 の 大 畳 位 を 現 證 せ し む 可 き 極 意 を 示 し て 、 眞 言 特 有 の 秘 密 利 盆 を 縷 述 せ り 、 而 し て 此 三 門 中 、 初 め の 二 門 は 激 相 に 就 て 之 れ を 談 じ 、 後 の一 門 は 事 相 に 於 て 之 れ を 習 ふ 、 故 に 第 三 段 は 未 灌 頂 の 者 に 授 け ざ る を 例 と せ り。 弘 法 大 師 は 其 御 作 に な れ る 顯 密 二 敷 論 に 於 て 、 此 論 は 龍 樹 大 士 所 造 千 部 の 論 中 に あ つ て 、密 藏 肝 心 の 論 な り 、 是 故 に 顯 密 二 敷 の 差 別 淺 深 及 び 成 佛 の 渥 速 勝 劣 、 皆 此 中 に 説 け り と 述 べ 給 ひ 、 今 大 師 は 三 密 の 秘 藏 に 依 て 、 爾 部 の 肝 心 を 抽 っ 尖 、 更 に 華 嚴 経 を 引 く こ と は 、 是 れ 顯 論 に す と の 給 へ り 、 安 然 和 尚 は 此 義 を 注 し て 、 若 し 教 相 に 約 し て 不 同 を 辮 ぜ す ん ば 、 何 ぞ 今 敷 菩 提 心 の 功 能 廣 天 な る こ と を 知 ら ん や と 論 ぜ り 、 以 て 此 論 の 大 綱 を 明 む に 足 る 。 興 教 大 師 御 撰 述 に 對 す る 書 史 學 的 研 究 七 一

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興 敏 大 師 御 撰 述 に 對 す ろ 書 史 學 的 研 究 七 二 次 に 依 経 を 尋 ね ん に 、 此 論 に は 爾 題 を 立 て 、 各 其 所 依 を 畢 げ て ﹁ 金 剛 頂 喩 伽 し ﹁ 喩 伽 総 持 教 ﹂ と 云 へ る 邊 よ り 伺 へ ば 、 必 ら す や 金 剛 頂 経 に 約 す る も の と 拝 す 可 し 故 に 彼 の 貞 元 録 に 金 剛 頂 喩 伽 経 及 箆 盧 遮 正 那 惣 持 陀 羅 尼 法 門 と あ る 後 の 題 は 、 決 し て 大 日 経 に 約 し た る も の に 非 ざ る か 、 何 と な れ ば 喩 伽 及 び 遮 那 の 信 は 、 假 命 ひ 其 義 二 界 に 逓 す と も 、 爾 部 に 分 ち て 名 け ら れ た る 書 目 よ り 推 察 し て 、 此 題 は 彼 の 惣 持 と 別 な る こ と を 畳 る べ き な わ 、 又 彼 の 官 符 に 於 て 此 論 を 二 界 の 業 に 入 れ し も 、 畢 覧 兼 學 に 約 し た る 泡 に て 、 爾 題 に 依 る も の と は 思 ひ 難 し 、 更 に 又 此 論 の 圭 意 に 基 く も 、 通 別 爾 依 あ る 中 、 通 依 は 爾 郡 の 秘 藏 な る も 、 別 依 は 全 く 金 剛 頂 部 な れ ば 、 且 ら く 別 依 に 就 て 此 論 の 題 を 立 て し も の と 窺 は る。 次 に 此 論 の 部 燐 に 就 き 、 貞 元 録 巻 廿 九 に は 諸 大 乗 論 に 對 し 繹 と 集 義 と 勢 別 し て 、 繹 論 に 廿 一 部 あ り 智 度 論 等 即 是 な り 、 集 義 論 に 七 十 八 部 あ り 、 喩 伽 論 等 即 是 な り と 判 じ 、 以 て 集 義 の 中 に 牧 め た り。 又 合 論 と 大 日 経 と の 異 る 點 は 、 彼 経 は 第 一 句 を 菩 提 心 、 第 二 句 を 大 悲 行 願 、 第 三 句 を 方 便 と 爲 せ る に 反 し 、 此 論 は 大 悲 行 願 を 第 一 菩 提 心 、 勝 義 諦 観 を 第 二 菩 提 心 、 自 證 親 法 を 第 三 菩 提 心 と 爲 し た る の 相 , 違 あ り 。 大 凡 そ 佛 道 に 入 る の 機 根 に 、 縦 使 ひ 千 差 萬 別 あ ら ん も 、 何 れ も 皆 螢 菩 提 心 を 以 て 出 登 點 と 爲 さ ゾ る 事 無 き や 論 無 し 、 是 故 に 経 律 論 の 三 藏 に 亘 て 、 菩 提 心 を 説 く 所 畢 て 歎 ふ 可 か ら す 、 出 生 菩 提 心 維 、 登 菩 撮 心 破 諸 魔 経 、 婁 菩 提 心 経 論 、 菩 提 心 観 繹 、 廣 繹 菩 提 心 論 等 の 類 、 並 に 績 藏 経 に 牧 め し 唐 の 潜 眞 の 菩

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提 心 義 、 日 本 大 藏 経 に 入 れ し 安 然 和 上 の 菩 提 心 義 等 即 是 な り 、 而 も 日 本 大 藏 維 法 相 宗 章 疏 に 牧 め た る 筑 波 山 徳 一 の 眞 言 宗 未 決 の 文 中 に は 、 此 論 に 對 し て 四 難 、 即 ち 即 身 成 佛 の 疑 、 五 智 の 疑 、 決 定 二 乗 の 疑 、 及 び 開 示 悟 入 の 疑 を 學 げ た る が 這 は 必 す し も 輕 覗 し 去 る 可 か ら ざ る 點 な り 、 尚 ほ 同 巻 中 に 牧 め た る 宣 淳 の 明 矢 石 論 も 併 見 せ ば 、 此 論 研 究 に 資 す る 所 鮮 な か ら ざ る 畳 ゆ。 次 に 八 家 秘 録 に 依 ら ば 。 此 論 は 弘 法 ・ 宗 容 ・ 慈 畳 ・ 智 證 四 家 の 請 來 と 云 へ り 、 由 來 弘 法 大 師 の 御 作 中 に は 、 到 る 所 に 此 論 を 引 用 せ ら れ た る も 、 未 だ 其 注 疎 を 見 す 、 故 に 濟 逞 偲 都 の 私 記 四 懇 を 以 て 、 本 邦 此 論 末 繹 の 礪 矢 と 爲 す 可 き か 、 次 は 西 院 信 證 偲 正 の 私 記 な る も 、 恨 む ら く は 共 に 秩 し て 傳 ら す 、 其 次 は 今 大 師 の 題 繹 な る 可 し 、 此 書 は 佛 書 解 題 の 通 則 と し て 、 総 別 の 二 意 を 立 て 、 惣 の 義 に 就 て は 大 意 を 伸 べ 、 別 の 義 に 約 し て は 一 々 の 名 實 に 封 し 、 各 々 に 解 繹 を 施 し 、 又 其 総 の 義 の 中 に 於 て も 、 亦 略 し て 十 の 十 あ り 、 其 十 の 各 々 に 復 十 あ り 、 乃 至 十 重 無 盤 の 義 理 あ る 中 、 先 づ 其 第一 の 十 義 よ り 、 第 三 の 十 義 泡 を 書 か れ た る も 、 其 後 の 十 義 に は 及 ぼ し 給 は ざ り し は 、 惜 み て 術 ほ 惜 む 可 き 事 な り 、 併 し 此 丈 に て も 群 繹 に 数 等 勝 れ た る 點 あ る は 、 實 に 奪 き 極 み と そ 稻 す 可 し。 由 來 支 那 は 文 字 の 國 日丈 あ つ て 、 何 れ の 経 論 に 對 し て も 必 す 数 十 家 の 註 脚 あ る 例 な る が 、 猫 り 此 論 に 局 り 績 藏 経 に 牧 め し 唯 一 の 宋 の 遍 満 の 暑 記 一 霧 存 す る の み な る も 、 我 國 に て は 今 大 師 に 次 ぐ に 光 明 山 重 轡 の 教 相 鉛 三 憲 等 、 無 慮 七 十 絵 種 あ る 中 、 今 大 師 、 榮 西 輝 師 、 高 野 の 道 範 、 小 川 の 承 澄 、 中 性 院 頼 喩 興 教 大 師 御 撰 述 に 對 で る 書 史 學 的 研 究 七 三

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興 教 大 師 御 撰 述 に 對 す る 書 史 學 的 研 究 七 四 東 寺 の 果 寳 と 贋 快 法 印 の 鉛 丈 は 、 之 れ を 日 本 大 藏 維 中 に 篇 入 し 、 以 て 成 佛 の 指 針 に 供 せ り。 此 書 は 元 と 無 題 な り し を 、 諸 秘 繹 窓 八 牧 録 本 に 依 て 全 集 本 に 入 れ し 際 、 本 論 の 名 を 其 儘 此 書 の 籏 題 と 爲 せ し ば 、 當 を 得 ざ る 嫌 ひ あ り 、 古 爲 本 の 外 題 に 菩 提 心 論 題 繹 、 若 く ば 秘 繹 と せ る は 、 塞 に 穗 當 な り と 思 ふ 、 何 れ も 皆 後 人 の 命 名 な ら ん も 、 題 繹 と あ つ て こ そ 初 て 此 書 の 名 と 爲 す に 足 ら ん 、 又 古 爲 本 に 比 べ し に 、 第 一 梵 字 が 絵 程 異 れ る 外 、 全 集 本 二 百 二 十 九 頁 十 二 行 の 爾 號 次 目 何 由 が 爾 界 次 目 何 用 、 二 百 赫 五 頁 四 行 の 已 漸 故 の 下 に 但 漸 二 自 戴 一不 ン 知 レ 後 故 の 八 字 を 脱 し 、 二 百 冊 八 頁 五 行 の 徳 號 故 に て 段 落 ノ ノ と な り 、 衣 行 が 復 次 金 剛 者 三 密 金 剛 五 智 金 剛 故 の 文 に て 始 ま り 、 名 二 剥 字 幽の 文 と 連 績 す 、 傍 て 此 の 十 四 字 が 脱 文 と な れ り 、 其 他 五 十 箇 所 許 り の 誤 脱 あ る も 、 煩 し け れ ば 具 に 記 し 難 し 、 野 校 本 の 奥 書 左 に ( イ ) 醍 醐 三 寳 院 藏 本 ノ 仁 李 元 年 夏 比 以 二 巧 本 一春 二書 爲 一了 於 二 外 題 一者 非 二 根 本 事 一是 私 意 樂 也 云 云 建 久 九 季 春 大 籏 第 二 朝 於 二 金 剛 峯 ・寺 東 別 處 草 篭 訓書 了 求 法 檜 深 賢 之 本 ( ロ ) 高 野 山 寳 轟 院 藏 本 元 弘 二 年 正 月 廿 六 日 於 二東 寺 西 院 僧 坊 一加 二 愚 點 一畢 万 一 契 二 聖 意 一 者 願 以 二 此 功 徳 一 開 二 深 廣 之 智 慧 一 獲 二 無 縁 之 慈 悲 一三 密 之 敢 法 再 二興 天 下 一 五 智 之 ・ぐ 水 更 港 二 心 海 一臭 大 法 師 果 寳 雀 年 廿 七 ( ハ ) 観 智 院 藏 本 鎌 倉 時 代 古 寓

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( 二 ) 御 室 仁 和 寺 藏 本 元 懸 元 年 九 月 十 二 日 於 二 大 聖 院 御 所 部 屋 一書 爲 了 更 々 不 レ 可 ソ 有 二 外 見 一者 也 擬 灌 頂 定 深 ( 別 筆 ) 稜 本 云 御 本 云 以 三 畳 濟 儒 正 本 一書 爲 校 合 畢 重 比 二稜 膚 助 俗 正 本 一了 回 向 無 上 大 菩 提 文 治 五 年 己 酉 五 月 廿 入 日 申 時 於 二 往 生 房 警 爲 了 巳 上 癖 嚴 院 作 霧 讐 二 提 心 義 剛 巻 菩 提 心 義 ご 縛 す る 書 は 、 唐 の 不 塞 三 藏 の 弟 子 潜 眞 の 撰 述 に て 、 顯 敷 の 説 な る も 、 弘 法 恵 蓮 爾 師 將 來 本 の 關 係 上 、 密 部 の 補 助 こ し て 傳 り 居 る を 以 て 、 之 を 績 藏 経 翼 言 宗 著 遽 部 に 編 入 せ し が 、 今 書 は 其 書 を 注 繹 し 給 ひ た る も の に て は 之 れ 無 く 、 密 藏 中 に 散 見 せ る 菩 提 心 に 就 て 、 大 日 経 ご 不 増 不 減 経 ご を 暴 げ て 、 其 出 典 を 審 に し 、 更 に 字 義 繹 を も 施 さ れ 、 之 れ に 次 ぐ に 菩 提 心 の 眞 言 ご 圓 明 の 圖 ご を 以 て 、 大 疏 の 文 を 引 て 、 修 観 の 方 法 ご 観 照 の 盆 ご を 彰 さ れ る 、 故 に 此 書 ご 次 下 の 眞 言 浄 菩 提 心 私 記 ご は 、 共 に 菩 提 心 論 の 直 繹 に は 非 ざ る も 、 均 し く 菩 提 心 を 説 け る 瓢 よ り 、 姑 く 相 從 し て 編 次 せ し の み 。 興 教 大 師 御 撰 述 に 對 で る 書 史 學 的 研 究 七 五

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興 敏 大 師 御 撰 述 に 對 す る 書 史 學 的 研 究 七 六 今 書 は 遺 教 録 巻 一 牧 録 本 に 依 る 、 日 本 大 藏 経 中 に も 編 入 せ し が 、 今 観 智 院 と 高 山 寺 に 藏 す る 鎌 倉 時 代 の 古 窩 本 に 封 校 せ し に 、 全 集 本 二 百 八 頁 十 三 行 の 不 思 議 が 不 可 思 議 で あ る 外 、 別 に 文 字 の 差 升 無 き ジ ン シ セ も 、 二 百 六 頁 五 行 、 六 行 、 十 三 行 等 に 綾 出 す る 洛 双 は 洛 又 の 謬 な り 、 古 來 の 聖 激 類 に は 夜 又 を 夜 双 と 書 誤 れ る が 、 之 れ も 亦 訂 正 し て よ ろ し か ら ん。 眞 言 泉 趣 書 握 心 私 記 略 云 藻 讐 蝿 心 私 記 剛 書 大 日 維 に 於 て 浮 菩 提 心 と は 、 即 ち 衆 生 本 具 の 畳 性 を 指 し た る 者 な り と あ る を 、 一 行 和 尚 の 大 疏 に は 此 澤 菩 提 心 は 是 れ 一 切 衆 生 自 然 本 有 の 心 地 の 實 際 , 即 是 れ 一 切 の 智 々 な り と 繹 し た る を 、 今 大 師 は 此 書 に 於 て 自 性 法 身 の 心 地 法 界 に し て 、 大 日 如 來 心 王 の 具 膿 な り 、 亦 は 一 切 衆 生 の 色 心 の 實 相 、 普 門 海 會 季 等 の 種 子 な り と 陳 べ 、 自 説 を 助 顯 す る に 大 硫 第一 第 二 の 證 文 を 引 き 、 之 れ に 依 り て 世 問 出 世 間 の 一 切 悉 地 成 就 は 、 必 す 些 呉 言 澤 菩 提 心 の 盛 遽 疾 力 三 昧 に 基 く 所 以 を 明 か に せ ら る 、 期 の 如 く 要 約 せ る 大 意 を 概 叙 し 了 て 後 、 数 十 番 の 問 答 を 設 て 、 心 と 菩 提 の 繹 名 出 瞼 を 初 め と し 、 綾 て 分 位 差 別 と を 論 究 し て 、 竪 に 十 重 の 淺 深 、 横 に 塵 歎 の 廣 多 あ る こ と を 詳 論 し 給 ひ た る も の な り。 今 大 師 の 御 撰 述 無 慮 二 百 部 に 垂 ん と す る が 、 御 眞 筆 本 に て 傳 は れ る 者 は 、 唯 僅 に 此 一 書 あ る の み、 さ れ ば に や 古 來 御 室 仁 和 寺 に 於 て 、 此 眞 筆 本 を 秘 襲 珍 藏 す る こ と 頗 る 嚴 と 見 へ 、 之 れ を 爲 せ し 類 本 複

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爲 本 の 皆 無 な り し 一 事 に て も 、 共 一 般 を 察 す 可 し 、 特 に 此 書 丈 に は 立 派 な る 別 筥 を 作 て 之 れ を 納 め 、 永 正 十 六 年 に 作 り し 包 紙 に 、 此 眞 言 宗 澤 菩 提 心 記 一 憲 鍍 上 人 眞 跡 ・也 箕 光 院 相 承 之 本 云 云 爲 レ 恐 二 紛 失 一此 一 合 所 二 加 畳 二 也 四 懇 う 畠 内 云 云 ・永 正 十 六 年 正 月 廿 八 日 ご あ り 、 頗 る 大 切 に せ し 者 ご 思 は る 、 本 書 の 表 紙 に は 著 者 と 傳 傾 者 こ の 名 を 記 し て 、 正 畳 房□□□□□□□□□ 行 兼 と あ り 、 行 兼 の 史 科 映 け て 傳 は り 居 ら ざ る 爲 め 、 確 な る 年 ・序 を 定 め 難 き も 、 包 紙 の 文 面 に あ る 眞 光 院 が 、 果 し て 後 宇 多 法 皇 の 帝 師 繹 助 大 僧 正 を 指 す 者 こ せ ぱ 、 少 く こ も 六 百 年 巳 上 、 御 室 仁 和 寺 の 寳 臓 に 秘 藏 せ ら れ た る 者 緒、 云 ふ 可 く 、 若 復 此 灘 助 國 師 が 他 の 聖 敷 重 寳 要 書 ご 共 に 、 御 室 傳 流 の 中 興 北 院 御 室 憐 持 巳 來 の 此 等 寳 綾 ご を 併 せ て 傳 領 せ し 者 こ せ ん か 、 更 に 術 ほ 一 百 年 巳 上 も 昔 よ り 仁 山 に 傳 は り し 者 こ も 云 ひ 得 る な り 、 斯 く の 如 く 永 年 秘 襲 し 察 り し 者 も 、 初 め て 之 れ を 殺 青 す る 者 出 で た り 、 其 刊 記 に 斯 } 策 也 傳 法 院 本 願 上 人 所 レ製 、 而 眞 門 之 青 藍 者 也 、 然 遺 二 逸 秘 繹 之 撰 集 一者 何 哉 、 想 謂 由 二遙 歳 流 世 之 少一 焉。 比 適 入 二 仁 和 寺 之 経 庫 唱拝 二閲 上 人 親 手 之 艸 本一。 霊 字 頗 多 奥 。 以 レ 余 見 レ 之 恐 二 疲 鐵 滅 有 噂 レ 日 也 。 故 謄 二 得 一 本一。 廼 還 雇 ゾ 工 壽 レ梓 以 誤 二領 遽 方 及 終 古一。 於 レ 弦 始 畳 物 之 行 藏 誠 繋 ゾ 運 云 。 途 記 爲 レ蹟 天 和 二 歳 次 壬 戊 仲 夏 日 興 敏 大 師 御 撰 述 に 封 す る 書 史 學 的 研 究 七 七

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興 敢 大 師 御 撰 述 に 野 す る 書 史 學 的 研 究 七 八 み あ ご あ り 、 今 日 で な ら 術 執 事 二 名 の 立 合 人 無 く ば 、 御 経 藏 を 開 け ざ る 内 規 な る に 、 昔 時 は 一 品 親 王 の 御 所 内 と て 、 庶 人 の 奏 入 は 容 易 な ら ざ り し に 、 此 寳 藏 に 入 て 而 も 秘 密 聖 敷 を 謄 寓 し 得 た こ あ り し よ り 見 れ ば 、 飴 程 身 分 あ り し 得 侶 か 、 然 ら ざ れ ば 山 内 の 信 侶 な る が 爲 め 、 己 が 名 を 表 し 得 ざ る 事 情 あ り し 者 ご 思 は る 、 又 諸 流 の 聖 敷 を 科 藏 せ る 中 よ り 、 特 に 此 書 を 揮 ぴ し 邊 よ り 推 さ ば 、 必 す や 傳 流 の 法 水 を 汲 め る 人 た る 可 し 、 然 に 弦 に 不 審 な る は 、 彼 の 豊 山 板 の 遺 敷 録 は 、 天 和 二 年 よ り 百 一 年 後 の 天 明 二 年 仲 冬 に 上 木 、 智 山 板 の 諸 秘 輝 は 其 翌 年 十 二 月 の 刊 行 序 が あ り 、 此 爾 録 巳 外 の 板 行 を 聞 か ざ る に , 天 和 二 歳 次 壬 戊 云 々 の 記 中 に 、 遺 二 逸 秘 繹 之 撰 集 一 ご あ る 文 是 な り 、 或 は 享 和 二 年 壬 戊 の 間 違 に て は 非 ざ る か、 尚 ほ 此 板 に て 明 治 二 十 一 年 十 一 月 に 、 智 山 涙 の 僧 侶 が 新 摺 本 を 出 し て 、 租 詰 の 傳 播 を 謀 れ り。 唯 此 の 一 書 の み に 限 り 御 眞 筆 本 が 残 つ て 居 る ご い ふ 黙 に て 、 末 徒 の 者 は 非 常 に 有 難 が る の も 無 理 は 無 い の で あ る が 、 全 集 本 編 纂 の 際 、 正 確 を 斯 す る 爲 め 富 田 厳 純 師 が 、 態 々 御 室 に 赴 き 、 御 遣 筆 本 を 其 儘 影 爲 さ れ だ 事 は 、 洵 に 入 念 の 次 第 で あ つ た が 、 宗 政 に 忙 殺 さ れ て 居 た 折 こ て 、 稜 正 全 部 を 部 下 の 者 に 一 任 せ し 爲 め 、 殆 ん ざ 世 聞 に 其 側 を 見 ざ る 程 、 無 茶 苦 茶 の 組 版 の 儘 に 校 了 こ な り 、 製 本 の 時 に 至 て 始 て 大 に 吃 驚 せ る も 、 既 に 豫 約 の 期 限 を 再 三 延 期 せ し 後 こ て 、 此 上 延 期 す る 事 も 出 來 ぬ 爲 め 、 涙 を 飲 で 配 本 し た こ の こ ご を 聞 い た が 、 予 輩 こ て も 、 校 了 を 濟 ま ざ る 中 に 既 に 印 刷 さ れ て 、 後 か ら 大 な る 迷 惑 の かヽ つ て ゐ る 例 も 多 々 あ る こ ご 故 へ 、 此 點 丈 は 大 に 同 情 す る が 、 既 に 天 和 板 で 正 確 に 護 め て 居 る

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耶 の 字 が、 全 集 本 に は 一 律 に 子 に な つ て ゐ る 等 々 、 此 等 は 古 書 古 草 書 を 讃 む 眼 と 、 文 意 を 理 解 す る 智 ワ ザ 識 の 無 き 者 が 遣 つ た 業 の 様 に も 見 へ 、 其 他 全 集 本 の 方 に は 随 分 誤 字 脱 字 あ る の は 、 何 こ な く 祀 典 に 封 す る 敬 慶 の 熱 誠 が 足り な い 氣 も せ ら る 、 次 に 三 百 六 十 五 頁 初 行 の 聖 人 御 自 筆 裏 書 日 の 入 字 、 三 百 六 十 七 頁 五 行 の 巳 上 裏 書 の 細 注 四 字 、 三 百 六 十 八 頁 三 行 傍 注 の 已 下 裏 書 ご 、 八 行 の 巳 上 裏 書 の 各 四 字 、 三 百 七 十 頁 十 行 の 御 自 筆 裏 書 云 の 六 字 、 次 頁 四 行 の 已 上 裏 書 の 四 字 、 三 百 七 十 九 頁 九 行 傍 注 の 御 自 筆 專 書 云 の 六 字 は 、天 和 板 開 板 者 の 注 意 書 き で 御 眞 筆 本 に は 皆 目 無 き 文 字 な り 、 然 に 此 字 を 踏 襲 せ る 邊 よ り 見 れ ば 、 決 し て 天 和 板 を 見 す ご も 云 ふ 可 か ら す 、 元 來 御 眞 筆 本 は 御 草 案 其 儘 の 者 で 、 未 だ 清 書 さ れ て 無 か つ た が 爲 、僻 句 の 修 飾 改 蜜 を 書 き 込 む 飴 地 の 無 い 箇 所 に 遭 遇 せ ば 、 行 間 に 割 り 書 き を さ れ た り 、 長 文 の 爲 め 絵 白 が な い 瘍 合 は 、 無 擦 紙 の 裏 面 に 引 績 き の 文 章 を 御 書 き に な つ て ゐ ら れ る 、 夫 れ を 普 通 の 裏 書 や 傍 註 ご 同 観 し て 仕 舞た 點 杯 は 、 ざ う 考 て 見 て も マ ズ 不 思 ひ が さ れ る。 我 日 本 大 藏 経 ご 彼 の 國 謬 密 敏 論 鐸 部 ご は 、 共 に 天 和 板 に 依 り し 故 へ 、 割 合 に 無 難 な り し も 、 此 度 始 て 御 眞 筆 本 に 接 し て 、 微 蝦 な る こ ご を 登 見 せ し 故 へ 、 深 く 閲 藏 者 諸 彦 に 謝 す る 次 第 で あ る 。 虚 室 藏 寳 鍵 又 云 虚空 藏 寳 鍵釋 一 巻 此 書 は 初 に 七 言 五 十 二 句 の 掲 頚 を 掲 げ て 、 其 大 意 を 述 べ 、 次 に 虚 空 藏 菩 薩 能 満 諸 願 最 勝 心 陀 羅 尼 の 興 教 大 師 御 撰 述 に 對 す ろ 書 史 學 的 研 究 七 九

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興 教 大 師 御 撰 述 に 醤 す ろ 書 史 學 的 研 究 八 ○ ノ 題 目 を 繹 し 、 終 り の 正 繹 段 に 至 つ て 一 明 を 偶 げ 、 淺 略 、 深 秘 、 秘 中 深 密 の 三 門 を 設 け て 、 陀 羅 尼 の 正 膿 を 詮 す る 御 意 召 な り し が 、 唯 、 淺 略 門 の 偶 碩 七 言 十 二 句 を 解 繹 し 給 ひ た る の み に て 、 全 部 完 結 し 居 ら す 、 又 霧 首 に 馨 第 一 ご あ る 黙 よ り 推 さ ば 、 除 程 の 大 作 を 遺 さ せ ら る 、 御 腹 案 だ こ も 伺 は れ 、 且 つ 現 存 の 分 丈 に て も 、 今 大 師 御 撰 述 中 、 唯 一 の 長 編 な る に 、 其 全 豹 を 揮 し 得 ざ る 邊 は 、 洵 に 以 て 遺 憾 の 極 み ご 思 ふ。 今 書 は 諸 秘 繹 憲 七 牧 録 本 に 依 る。 今 観 智 院 所 藏 果 寳 和 術 書 寓 本 ご を 比 較 す る に 、 誤 脆 は 僅 に + 籔 箇 處 に 過 ぎ ざ る も 、 全 集 本一 百 六 十 八 頁 八 行 の 先 明 淺 略 云 曇 か ら 別 行 こ な つ て 、 其 前 行 に 大 凡二 十 字 詰 三 十 六 行 飴 の 裏 書 あ り 、 普 通 の 裏 書 ご は 違 ひ 、 追 記 す る 醗 自 無 か り し 爲 め 、 巳 む を 得 す 、 紙 背 に 書 き た る 者 の 如 く 、 而 も 其 の 末 段 は 未 完 の 儘 、 筆 を 欄 か れ た る 趣 き あ り 、 叉 百 七 十 一 頁 五 行 の 四 想 茶 云 が 別 行 め 首 ( 但 し 前 文 秩 失 )と な り 、 前 交 の 遠 離 よ り 裏 書 に 移 り 、 二 十 字 詰 三 十 行 籐 の 連 績 文 あ り 、 是 も 亦 其 結 末 が 無 く 、 術 百 八 十 九 頁 十一 行 巳 下 に 於 い て 左 の 奥 書 あ り。 寓 本 記 云 右 書 聞 ゾ 名 錐 レ相 二 尋 之 一不 レ得 レ 本。 既 及 二 廿 鯨 年 一然 間 觸 レ 縁 申 二 請 大 納 言 律 師 御 房 御 本 " 天 輻 第 二 年 ( マ ヽ )

間。

審。

一正

参照

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