第 10 回ひびき薬剤耐性菌シンポジウム
日時: 2013 年 6 月 22 日(土)12:00~24:00
2013 年 6 月 23 日(日) 9:00~14:00
場所:
民営国民宿舎ひびき
〒811-3512 福岡県宗像市鐘崎 79-6 TEL.0940-62-1288
第 10 回学術集会会長 村谷 哲郎 ひびき臨床微生物研究会会場までのアクセス
JR 鹿児島本線赤間駅、東郷駅より鐘崎行きバスで 30 分、鐘崎車庫前下車徒歩 10 分 6 月 22 日(土)JR 11:20 JR 赤間駅に送迎バスを準備します。 6 月 22 日(土)11:30 より、民営国民宿舎ひびきで受付を開始します。 2013 年 6 月 22 日(土) 12:00~ (11:30 受付開始) 2013 年 6 月 23 日(日) 9:00~14:00 (8:50 受付開始) 〒811-3512 福岡県宗像市鐘崎 79-6 TEL.0940-62-1288 ゼンリンいつも NAVI より転載 民営国民宿舎ひびき JR 赤間第 10 回ひびき薬剤耐性菌シンポジウムプログラム
1 日目 6 月 22 日(土)
時間 プログラム 座長/司会 11:30~ 受付 (記名後、名札と部屋割りを取る) セルフ受付 12:00~ 開会の辞 広瀬美和子 篠崎久輝 ランチョンセミナー1 12:05~12:50 L1 菌名表記と読み方および変更となった主要な菌種名 村谷哲郎 木戸直徳 一般演題 1 12:50~13:05 G1 北部福岡・山口地区で分離された Candida 属の薬剤感受性 小林とも子 長崎雅春 13:05~13:20 G2 感染制御における検査技師の役割(仮題) 本田雅久 13:20~13:35 G3 接触者検診における QFT と T-SPOT について 芳賀由美 教育講演 1 13:45~14:30 抗菌薬の分類とスペクトル 村谷哲郎 本田雅久 企業セミナー1 14:30~14:45 C1 全自動微生物検査装置ライサスシリーズを用いた嫌気性菌薬 剤感受性試薬のご紹介 日水製薬 岩脇研次 芳賀由美 14:45~15:00 C2 Clostridium difficile 感 染 症 ( CDI : Clostridium difficileinfection) アリーアメディカル 原 哲郎 ~15:15 会長講演 15:15~16:00 ひびき臨床微生物研究会のあゆみ 村谷哲郎 石田雅巳 企業セミナー2 16:15~16:30 C3 これからの微生物検査に求められる課題と BD KIESTRA システ ム 日本 BD ウドウゲ チンタカ 重高正行 16:30~16:45 C4 クイックチェイサー IMP について (株)ミズホメディ 田中雅士 教育講演2 16:45~17:30 ブレイクポイントと PK/PD 村谷哲郎 有馬純徳 ~17:45 写真撮影 玉置ゆう子 17:45~18:15 ひびき臨床微生物研究会総会 18:45~ 懇親会 次期会長挨拶、参加者自己紹介 村上直行 ナイトセミナー 21:00~ N1 非好中球減少時のカンジダ感染症治療における アムビゾーム®の位置付け 大日本住友製薬 村岡正浩 村谷哲郎
2 日目 6 月 23 日(日)
時間 プログラム 座長/司会 教育講演3 9:00~9:45 VRE の現状とスクリーニング方法、同定の問題点 村谷 哲郎 永原千絵 企業セミナー3 9:45~10:15 C5 ドライプレート‘栄研’を使用した第 5 回 EQCS-MIC(九州)精度 管理の結果 栄研化学 田村 俊 大久保孔平 10:15~10:30 C6 新パネルの紹介 シーメンス 西間貞二 10:30~10:45 C7 シスメックス 西野 拓 サーベイ結果報告 10:45~11:15 S2 第 6 回ひびき臨床微生物研究会サーベイ結果報告 村谷 哲郎 小林とも子 一般演題3 11:15~11:30 G4 学内実習の実情について。(習得すべき内容とは?) 木戸直徳 篠崎久輝 11:30~11:45 G5 Helicobacter cinaedi による膿胸の一症例 川上 洋子 ~12:00 弁当配布 ランチョンセミナー2 12:20~ 知っておきたいβ-lactamase とその検出法 村谷 哲郎ンチョンセミナー 川上洋子 ~13:50 閉会の辞第 10 回ひびき薬剤耐性菌シンポジウム開催にあたって
村谷哲郎 (ひびき臨床微生物研究会 会長) ひびき臨床微生物研究会の学術集会 「ひびき薬剤耐性菌シンポジウム」は第 10 回を迎えることとなりま した。今回は第 10 回記念大会として、臨床微生物学と薬剤耐性菌の基礎に関する教育講演を中心にプロ グラムを組みました。世の中が感染対策に関する話題に興味が移行する中、その基礎となる部分に焦点を 当てております。会員の皆様に限らず抗菌薬耐性菌にご関心をお持ちの方々の多くのご参加をお待ちし ております。 8 年間使用してまりましためかり山荘が閉鎖となったため、昨年より鐘崎にあります民営国民宿舎ひびき での開催となります。本会場は、懇親会と会場が同じ施設で実施可能なため、昨年は大変効率よく執り行う ことが出来ました。JR の駅より遠いという問題点はありますが、総合的に便利であると判断して今回も同様の 形式で行います。 本会の運営は、有馬純徳会計責任者、プログラム委員の皆様の努力によるものであります。また、第 1 回 から準備に関してはアビオスの山田氏、家入氏には個人として、多大なご協力をいただいており、抄録集 作成は、キューリン検査部微生物検査課の皆様のご協力によるものであります。この場をかりて感謝を表し ます。参加者の皆さまへ 本学術集会は、全員参加でディスカッションを行いやすいフランクな会を目指しておりますので、カジュア ルな服装を原則とさせていただきます。ヨーロッパの学会のようなスーツ姿はめったにみないような会にした いと考えておりますので、企業の方も含めてご協力ください。しかし、スーツ禁止というわけではありません。 土曜日は軽食、日曜日はお弁当(天むす弁当を予定)をご用意しますので、ご利用ください。 発表者の皆さまへ 機材は、Windows 7/Powerpoint 2010 を用意します。 6 月 22 日(土)の 11:45 までに USB フラッシュメモリーなど USB 対応媒体で持ってきてください。この時 間に間に合わない場合は、自分の発表前の休憩時間などを利用して準備をお願いします。CD の場合 は、読み込めない場合があります。その他のメディアの場合は、事前にご相談ください。 一般演題・企業セミナー 質疑応答を含めて1人 15 分です。通常の学会発表より時間はありますので、方法などを解説的にプレゼ ンテーションしてください。時間が短い分には構いません。無理に長くする必要はありません。 質問などをされる場合 質問のある方は、マイクのところに立って手を挙げてください。複数の場合は後ろに並んでください。 会費 完全事前登録制です。準備の都合がありますので、なるべく早くお申し込みください。 原則として当日参加費は集めません。受付に人を割かずに、全員が会に参加できるようにするためですの で、ご理解とご協力をお願いいたします。事前に下記口座へ振込みをお願いします。不明な点はメールで 事務局までお問い合わせください。 参加のみ ¥5,000 (ひびき臨床微生物研究会 個人正会員は ¥3,000) 宿泊参加 (夕食を含む) ¥12,000 (ひびき臨床微生物研究会 個人正会員は ¥10,000) 懇親会まで参加(宿泊せず) ¥10,000 (ひびき臨床微生物研究会 個人正会員は ¥8,000) 参加費割引は、個人正会員のみとさせていただきます。ご了承ください。 銀行名:西日本シティ銀行 湯川支店 種別:普通 口座番号:3000276 口座名:第 10 回ひびき薬剤耐性菌シンポジウム 会計担当有馬純徳 名札について 記名式といたします。ネームフォルダーは回収しますので、ご協力ください。領収書付きですが、他の書式 の領収書が必要な場合は、有馬 純徳(北九州総合病院)までお申し出ください。
1 日目 6 月 22 日(土)
ランチョンセミナー1菌名表記と読み方および変更となった主要な菌種名
村谷哲郎 臨床微生物学は、医学部、薬学部、看護科、臨床検査科などで教育が行われているが、表記法や読み 方について、しっかりと教えていないと思われる。もちろん教育しているところもあるかもしれないが、少なくと も国家試験に出るところではないので、卒業生が覚えていないだけかもしれない。しかしながら、少なくとも 私が知る限り、これらの学部学科で微生物の講義を行っている教員の多くの理解が浅く、重視していないこ とも事実である。 菌名に限らず生物名は学名で表記され、全世界共通である。また、学名はラテン語で記載されるが、現在 ラテン語を母国語としている人種はおらず、その文法を正確に理解している人はほとんどいない。そのため、 細菌名の登録は、International Code of Nomenclature of Bacteria (国際細菌命名規約)が管理しているに もかかわらず、まちがった文法で菌名が多く登録されていた。1997 年および 1998 年に Truper と De’Clari により、間違った文法により命名されている 34 菌種が正しい文法に沿って修正された。我々が時々分離す る菌としては、Shewanella alga → Shewanella algae
Stretptococcus sanguis → Streptococcus sanguinis
に変更された。 この名称に何ら違和感を持たずに丸暗記してきたわけだけが、それはラテン語である学名を覚えるという 作業をしているにもかかわらず、ラテン語の勉強をしていない教育方法に問題があるからであろう。 しかしながら、私もラテン語を勉強したことはなく、インターネット上で少しかじった程度である。また、分類 学についてもさほど興味がなく、分類学者がしっかり決めて、頻回の名称やグループの変更は行ってほしく ないと思っている輩の一人である。 ラテン語をイタリック表示するのは、英語の文章中で容易に区別することが目的である。菌名を表記する 時には、subsp., serobar, biovar, sp., spp.なども用いるが、これらは英語なのでイタリックにしない。試験管内、 生体内という意味で、in vitro, in vivo という言葉を使用するが、私が卒業したころは、これらはラテン語なの で、使用する時はイタリック表示にしなければいけなかったが、長く使用され現在では英語という解釈でイタ リックにする必要はない。腸内細菌科という意味の Enterobacteriaceae はラテン語の学名であるが、この言 葉も既に英語でもあるという解釈でイタリックとせずに用いているケースも多く見かけるようになった。この時 にラテン語学名と英語で異なることは、イタリックかそうでないかだけでなく、英語であれば文中で使用した 場合は、先頭が小文字になるが、ラテン語学名であればいかなる場合も先頭は大文字でイタリック表示とな る。 細菌の分類は、かつての表現型中心の分類から、細胞の構造、遺伝子配列特に 16SrDNA の配列を基 に分類されるようになり、私が卒業した 1980 年代後半以降大きく、属名や分類が変更された。旧名称に慣 れている菌種ではなかなか新名称になじめなかったりする。また、Achromobacter denitirificans のように何 度も名称変更が行われると、現在どれが正しいのかわからなくなる。HACEK から H がつく菌種が無くなって しまったなど、分類学はまだまだ落ち着かない。私は、分類学素人であるが、わかる範囲で解説したい。
一般演題1
北部福岡・山口地区で分離された Candida 属の薬剤感受性
(株)キューリン 小林とも子 【はじめに】酵母様真菌薬剤感受性検査は、2006 年 4 月に新規に保険収載された検査であり、現 在微量液体希釈法、ディスク拡散法、E-test が体外診断薬として認可を受けている。適応は、深在 性真菌症(カンジダ、クリプトコッカスに限る)であり、原因菌が分離できた患者に対して行った 場合に算定できるとなっている。近年、免疫不全を中心とする高リスク患者が増加し、それに伴っ て真菌症の発症が増加している。当センターに対しても 2011 年頃から、真菌の薬剤受精測定の依 頼や問い合わせが増えていた。当センターでは 2012 年から酵母様真菌薬剤感受性検査の受託を開 始した。 【材料および方法】菌株は2012 年 7 月より 2013 年 5 月までに、株式会社キューリンに酵母様真 菌薬剤感受性検査依頼があった検体を対象とした。期間中に17 施設から 144 検体に対して、酵母 様真菌薬剤感受性の依頼があり、同一患者同一検査材料から分離された場合は最初の1 株のみ採用 したところ、対象株数は、108 株となった。薬剤感受性は酵母様真菌感受性キット ASTY(極東製 薬)を用い、添付文書に従い、MIC を測定した。測定薬剤は AMPH-B, 5- FC, FLCZ,MCZ, MCFG, ITCZ, VRCZ の 7 薬剤である。同定は CHROM agar Candida(関東化学)でスクリーニングを行 い菌種特異的部位に設定したプライマーによりPCR にて決定した。【結果】菌種の内訳はC. albicans 50 株, C. glabrata 15 株,C. parapsilosis 32 株、C. tropicalis 6 株、C. krusei 2 株、C. famata 1 株、C. pelliclosa 1株、Candida sp. 2 株であった。
AMPH-B の MIC はCandida sp. 1、C. glabrata 1 株が 2μg/ml を示したが、その他のCandida
属に対しては0.25~1μg/ml であった。5FC はC. krusei 1 株 、C. tropicalis 1株は2μg/ml、C.
krusei 1 株は 8μg/ml を示す株が存在し、その他は< 0.12~0.5μg/ml であった。FLCZ は C. tropicalis 1株 >64μg/ml,C. krusei 1 株は 64μg/ml、C. glabrata 15 株 8~32 μg/ml、C.
albicans 1 株 16μg/ml 、C. parapsilosis 1株が16, 32 μg/ml であった。MCZ はC. tropicalis 2 株 >16μg/ml、3株は 8μg/ml、1株は 4μg/ml、C. krusei , C. parapsilosis 1 株は 4μg/ml、C. famata 1 株は >16μg/ml, その他のCandida属は<2μg/ml であった。ITCZ はC. tropicalis 2 株は>8, 1 μg/ml、C. famata, C. krusei , C. albicans 1 株は 1μg/ml ,C. glabrata 15 株は1~2 μg/ml、そ の他のCandida属は0.12 μg/ml 以下であった。VRCZ はC. tropicalis1 株は>8μg/ml,C. glabrata 1株は2 μg/ml を示したが、その他Candida属は1 μg/ml 以下であった。MCFG はすべての株 の発育を2 μg/ml 以下で阻止した。
【考察】CLSI は AMPH-B および MCZ のブレイクポイントは設定していない。 EUCAST では AMPH-B、FLCZ が設定されている。CLSI と EUCAST では測定培地も異なっているが今回は AMPH-B のみ EUCAST ブレイクポイントを使用した。FLCZ 耐性C. albicansを1 株認めた。C.
glabrataはFLCZ および ITCZ に耐性を示したが、他の薬剤では全株感受性を示した。
一般演題 2
感染防止対策加算の新設から 1 年経って ―感染制御チームの動向を中心に―
産業医科大学病院 病理・臨床検査・輸血部 本田雅久 平成 24 年度の診療報酬改定において、感染防止対策加算が新設され、1年が過ぎた。 各地域において「地域連携型のチーム医療推進」を目的に様々な形式で感染防止カンファレンスが開催さ れている。 北九州西部地区においても、「KRICT カンファレンス」が 6 回実施された。カンファレンスの中で、その回 のテーマにもとづき、医師、看護師、薬剤師そして臨床検査技師が討議を行い、多少なりとも情報の共有化 が深まっていると感じる。 一方、もうひとつの目的「院内のチーム医療の推進」はどうであろうか。 今回は当院の感染制御チームの動向を中心に、若干ではあるが報告したい。 一般演題 3接触者検診における QFT と T-SPOT について
九州厚生年金病院 芳賀由美 従来より、結核の免疫学的感染診断法としてツベルクリン反応が用いられてきたが、BCG 接種や非結核 性抗酸菌症などでも影響を受けるため結核の診断は困難であった。近年、これらの影響を受けないより特 異度の高い診断法として、結核菌特異抗原である ESAT-6、CFP10 による抗原刺激によってリンパ球から産 生されるγインターフェロンを測定する Interferon Gamma Release Assay (IGRA)が開発された。日本では、クォンティフェロンⓇTB-2G(QFT-2G)がまず認可され、接触者検診のガイドラインにおいても 使用が推奨されてきた。さらに QFT-2G の次世代としてクォンティフェロン®-TB Gold が開発され、検体搬送 上の問題点の克服や、感度が上昇したといわれている。さらに 2012 年 11 月 T-SPOTⓇ.TB が日本での承 認を取得、保険適用となり検査可能となった。
教育講演1
抗菌薬の分類とスペクトル
村谷哲郎
抗菌薬の発見というと、1928 年の A. Fleming のペニシリンの発見をイメージされる方が多いと思いますが、 ヒトには作用せず、微生物だけを殺す物質をつくるという概念は、それより以前に Paul Ehrlich により、もたら され、chemotherapy (化学療法)、magic bullet (特効薬)という概念が作られた。抗菌薬最初の成功例は 1908 年秦佐八郎による魔法の弾丸と呼ばれたヒ素化合物 606 号、後にヘキスト社から発売されたサルバル サンである。現在ヒ素を使用するということはありえないが、当時としては画期的なことであったことは容易に 想像できる。梅毒の特効薬として使用され、1911 年には治療例が報告されている。1935 年には Gerhard Domgk のよるサルファ剤の元となる Prontosil ruburum が実用化され、1939 年には単離されたスルファセタミ ドが、そして 1941 年のペニシリン実用化につながる。1944 年に抗結核薬としてストレプトマイシンを発見した Selman Abraham Waksman は、Antibiotics (抗生物質)という言葉を作った。
その後、土壌の生息する真菌、放線菌から数多くの抗生物質が発見され、それらを基に化学修飾が行わ れ、数多くの抗生物質が上市された。一方、抗菌薬の適正使用が定着してきたことで、多くの抗菌薬が販 売中止となっている。経口薬、注射薬の主力剤型が販売中止となっても、坐薬や点眼・点耳薬が残ってい たりするケースもあり、現在残っている薬剤を把握することはなかなか難しい。
企業セミナー1
全自動微生物検査装置ライサスシリーズを用いた嫌気性菌薬剤感受性試薬
のご紹介
日水製薬(株) 研究部 診断薬チーム 岩脇 研次 【目的】 嫌気性菌感染症に対しては、検査に要する日数が長いため経験的な抗菌薬療法が行われ ている。また、近年多剤耐性菌も検出されており、耐性菌の検出率は施設により異なることが知ら れているため、日頃から感受性試験を実施し菌種ごとの感受性率を把握しておくことが望ましい。 嫌気性菌の感受性試験は、CLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute)では希釈法が推 奨されており、微量液体希釈法ではBacteroides fragilis group に限り使用が推奨されている。そこ で我々は、全自動微生物検査装置ライサスシリーズにて分注及び判定を行う嫌気性菌感受性測定専 用パネル(以下ライサス法)を開発し、Bacteroides fragilis group に対する薬剤感受性試験の基本性 能評価を行った。【方法】CLSI 精度管理菌株および臨床材料由来のBacteroides fragilis group 計 52 株を用い、微 量液体希釈法(以下 CLSI 法)を対照としてライサス法における MIC 値を比較した。MIC の判定は、 CLSI M11A8 及び M100-S22 の解釈基準に準拠した。CLSI 法では馬溶血液加ブルセラブロスを用 いるが、ライサス法では馬血清を添加したブルセラブロスを採用した。評価は、ABPC/SBT、 PIPC/TAZ、CTRX、CTX、CMZ、SBT/CPZ、AZM、FMOX、IPM、MEPM、CAM、CLDM、 FRPM、LVFX、MFLX、MINO、MNZ の 17 薬剤を対象とした。 【結果】CLSI 法との比較では、±1 管差で 89~100%、±2 管差で 100%を示し、偽耐性、偽感性 はいずれの抗菌薬でも認められず、良好な成績が得られた。 【考察】これまで細菌検査室の菌種同定・薬剤感受性検査に貢献してきたライサスシリーズの対象 が嫌気性菌薬剤感受性にも拡大されることで、用手法などで行われてきた嫌気性菌感受性検査が、 自動で行えるようになり検査手技の影響を受けず、より客観的に検査結果が得られ、細菌検査室の 精度向上に貢献できるものと考えられる。
企業セミナー2
Clostridium difficile
感染症(CDI:
Clostridium difficile
infection)
アリーア メディカル(株) 営業企画推進部 原 哲郎 お客様相談室:TEL 0120-1874-86
【概論】 最近増加傾向が著しく、また抗菌薬誘発性疾患という性格から、どの診療科・病棟でも遭遇する
Clostridium difficile infection(CDI)は、抗菌薬・抗がん薬・ステロイド薬等の投与により健常な腸内細菌叢が
攪乱され、C. difficile の過増殖、毒素を産生し下痢症/腸炎を発症する.C. difficile の関与は、抗菌薬関連 下痢症(AAD)で 10~30%、「腸炎」の場合 50~70%、偽膜性大腸炎(PMC)においては、ほとんどが C. difficile が原因であるといわれている.C.difficile は嫌気性のグラム陽性の有芽胞桿菌で、入院患者や老人ホ ーム入居者で施設内集団発生が頻発し、同一タイプの菌株が病棟を越えて広がっており、院内感染の原因 菌として重要である. 【臨床症状】 軽度の下痢症状から、腸閉塞、消化管穿孔さらには死に至る重篤な病態まで幅広く、抗菌薬 投与例、長期間の入院、高齢の症例では、再発例(再燃と再感染を含む)も多い.白血球増多、CRP 値上 昇、血清アルブミン濃度の低下がみられ、電解質異常や脱水を起こす重症例では、痙攣を伴い数日で死亡 する事もある. 【検査法】 C. difficile の細菌学的検査で最も感度が高く信頼のおける方法は、分離培養法であり、治療前 の下痢便(5mL 以上)検体を用い予備還元した選択分離培地で 24~48 時間嫌気培養し、大きな黄色辺縁 不整 R 型コロニーを同定する. しかしながら、無症候性キャリアーや治療経過を見るための検査、隔離解除の決 定をするための検査は必要ない.下痢便より直接 C. difficile が有するグルタメート・デヒドロゲナーゼ(GDH)を検 出するキット、トキシン A/B を検出するキットが市販され、利用されている. 【診断】 1.臨床症状(消化器症状、炎症反応所見など) 2.抗菌薬使用などの発症誘因となる因子 3.下痢・腸炎の原因となる他の原因がないか等の「臨床経過、臨床背景」 また、1.糞便検体中の毒素検 出結果 2.便の分離培養結果 3.分離菌株の毒素産生性の結果等の「細菌学的結果」を総合して診断 する. 【治療】 1.誘因となっている薬剤の投与中止が第一である. 2.2~3 日で消化管症状が改善しない場合は、 臨床症状が軽症~中等症ではメトロニダゾール(経口)1000mg/日(分4)10~14 日間、重症例ではバンコマイシン (経口)500~1000mg/日(分4)10~14 日間投与を行う. 3.内科的治療が奏効しない、あるいは消化管穿孔 等の重症例では、消化管手術が必要である. また、4.抗菌薬以外では、プロバイオティクスや毒素吸着薬が注 目されている. なお、無症候性キャリアは治療しない. 【予防】 1.抗菌薬の使用制限が最も効果的:特に抗嫌気性菌の強い抗菌薬や広域スペクトルの抗菌薬の 過剰使用の制限が必要 2.水平感染予防:芽胞状態の菌はアルコール消毒薬には耐性であることを認識し、 石けんと流水による十分な手洗いが必須 3.環境からの感染予防
【C.DIFF QUIK CHEK コンプリート】
【特長】1.抗原(GDH)とトキシン A/B が同時に検出できる 2.抗原(GDH)については高感度で培養法と 90%以上で一致⇒GDH 陰性の場合は培養を省略できる 3.トキシン A/B については既存製品に比べ高感 度である(特にトキシン B)
Ag 陰性 Tox 陰性:否定はできないが C. difficile の関与の可能性は非常に低いと考えられる
Ag 陽性 Tox 陰性:C.difficile の存在を示すトキシンに関しては非産生株の可能性とトキシン産生株だが検出感 度以下のため検出できなかった可能性の両方を考慮する
Ag 陰性 Tox 陽性:判定保留とし、再度便検体を提出してもらい検査する. 【C.DIFF QUIK CHEK コンプリートを用いての治療方針の考え方】
GDH 及びトキシン A/B スクリーニングの結果(製造元における N=1126 検体による比較データより) Ag 陰性 Tox 陰性: 除外できる(全検体の 77%)
Ag 陽性 Tox 陽性: 治療を行う(全検体の 11%) Ag 陽性 Tox 陰性: 判断が必要(全検体の 12%) ↳全検体の 89%が約 30 分で治療方針が決定できる
会長講演
ひびき臨床微生物研究会のあゆみ
村谷哲郎 本研究会の前身は、北部福岡感染症研究会共同研究チームである。小林とも子さんによると、産業医 大に松本教授が赴任された 1997 年 6 月以前は、北九州での臨床検査技師が出席できる勉強会はほと んどなく、福岡や佐賀で行われる勉強会に行っていたとのことである。それでも北九州には当時北九州 市立医療センターの副院長であった瀧井昌英先生が、北部福岡感染症懇話会というのを長く続けられ ていたと伺っている。この研究会を発展的に解消して、松本教授と瀧井先生によってつくられたのが、北 部福岡感染症研究会であり、第一回が 1998 年 5 月に開催されている。私が、北九州に最初に来たのは、 1995 年の終わりごろで、その時に北九州市立八幡病院の細菌検査室に行き渡辺英明技師を紹介しても らった。この時が、細菌検査室に初めて入ったことになる。その後、化血研の正木技師のところをはじめ 熊本県内の細菌検査室には出入りした経験はあるが、その程度であった。私が産業医科大学に来たの は 1998 年 7 月で、その年の秋ごろに、松本教授と瀧井先生から、細菌検査室の技師を中心に共同研究 を起ち上げて欲しいとの要望があり、私と石田雅巳技師で、どのような共同研究を行うか、話し合い 1999 年 1 月から 8 施設にお願いして、肺炎球菌の収集を開始した。これ以降ひびき臨床微生物研究会を立ち 上げるまでは、ホームページの「発足までの経緯」に記載している通りである。 本研究会のネーミングについては、Clinical Microbiology という名称は絶対に付けたかったので、○ ○臨床微生物研究会とすることは決めていましたが、臨床検査技師の勉強会だけというスタンスではなく、 研究者のあつまりにしたい、特に企業の研究者に参加してもらいたいと考えていたこと、地域限定とせず、 全国組織も視野に入れてと考えていたことから、地域名をつけないということだけ漠然と考え、北部福岡 感染症研究会共同研究チームのみなさんに案を出してもらった。当時健和会大手町病院の大久保孔平 技師より、「玄海・ひびき」というのを一度つけてみたかったということを言われ、当時「仮面ライダー響」を やっており、また学研都市ひびきのの開発進んでおり、北部九州近辺の人にとっては、響灘をはじめ「ひ びき」というのは地域の名称というイメージはあるかもしれないが、それ以外のヒトにとっては、地域の名称 とは思わないであろうという判断から、「ひびき臨床微生物研究会」という名称とした。 発足時には、年 1 回の研究会を開催することは予定しており、2004 年 6 月発足、10 月には、第一回ひ びき薬剤耐性菌シンポジウムを大久保孔平会長の下開催された。この研究会の方向性については、私 が 20 代の時に参加させてもらった群馬で行われていた「薬剤耐性菌シンポジウム」での経験を基に決め た。少なくとも私にとっては宿泊して横のつながりを深めるということが大きかったので、当時群馬に住ん でいながら、宿泊参加していた。この方向性を生かしたかったので、参加費設定も宿泊しやすいように第 一回から変えていない。技師だけでなく研究者の参加を増やす、若手を増やす、他地域からの参加者を 増やすという点では、うまくいっていないが、会員数、シンポジウム参加者数もこの 10 年増減がないことよ り、一定の役割を果たしているのではないだろうか。この 3 年間共同研究の結果をしっかり出せていない ことが問題であるが、今後の継続および発足時の目的もすこしずつ実現していきたい。企業セミナー3
これからの微生物検査に求められる課題と BD KIESTRA システム
日本ベクトン・ディッキンソン株式会社 DS 事業部 マーケティング部 ウドゥワゲ チンタカ 微生物検査は感染症の診療及び防止、監視、対策といった医療全般において特に重要な役割を果たして おり、その重要性と期待は今後ますます増してゆくものと考えられています。今後変化してゆくべき微生物 検査に関して、下記のような課題が含まれています。 結果報告の迅速化、24 時間体制の要望 技術の標準化 報告内容の高度化 高齢化にともなう人材の減少とさらなる検査効率化 人材育成期間の短縮 これらの課題の解決の一つの手段として機器システムを用いた微生物検査の効率化が上げられています。 日本だけでなく、世界各国においても同様の事象が意見され、世界中で様々な企業や研究機関がその自 動化システムの研究開発が始まりました。BD Kiestra はその中でも先駆者であり、欧州をはじめとした世界 で約 50 施設の稼働実績があります。 今回は BD Kiestra ラボオートメーションシステムの紹介及びそのシステムがどのように上記の課題の解決に 繋がるかご紹介させて頂きます。企業セミナー3
クイックチェイサー
IMP について
株式会社 ミズホメディー 開発部 田中 雅士 メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)の中でも、IMP 型 MBL は本邦において高頻度で検出され、カルバペネムを 含むすべてのβ-ラクタム剤を分解する因子として知られています。 クイックチェイサーIMP (QC IMP)はイムノクロマト法の原理に基づいた研究用試薬です。IMP 型 MBL は現 在 IMP1~44(IMP-17, 23, 31, 36, 39 を除く)が報告されていますが、QC IMP は亜型に関係なく全ての IMP 型 MBL を簡単な操作で検出できます。blaIMP 遺伝子検査と高い一致率であることを確認しており、ディスク 法での鑑別が困難な場合にも IMP 型 MLB の検出において活用できるものと考えております。今回、この QC IMP について紹介します。 〔QC IMP 製品写真〕 〔ディスク法とQC IMP の比較〕IMP 型 MBL 産生例
QC IMP により IMP 型 MBL 産生株 と 確認できます (陽性判定)SMA IPM IPM
SMA CAZ CAZ
緑膿菌
IMP 型 MBL 非産生例
QC IMP により IMP 型 MBL 非産生株 と 確認できます (陰性判定) 緑膿菌SMA CAZ CAZ
教育講演 2
ブレイクポイントと PK/PD
村谷哲郎 耐性菌とは、消毒剤や重金属などあらゆる物質に対して使用される言葉であり、その物質により死滅させ られない、つまり耐性を示す場合に使用される語句であり、医療現場で通常使用される耐性菌とは、抗菌 薬耐性菌のことを指している。抗菌薬耐性菌には、細菌学的耐性菌と臨床的耐性菌がある。細菌学的耐性 菌とは、ある菌種に対して、ある薬剤が通常その菌種の発育を阻害できる濃度で、発育を阻害できず、その 菌の発育を阻害するためにより高い濃度が必要となるような機序を獲得した株に対して用いる言葉であり、 臨床効果とは無関係な言葉である。例えば、ある薬剤に対して、もともと自然耐性であり、MIC が 100μg/ml 程度あり、臨床的に無効な薬剤に対しても、より MIC が高くなった(例えば 500μg/ml)ものは、細菌学的に 耐性株であり、もとの MIC 100μg/ml の株は細菌学的に感受性株である。また、逆にレボフロキサシンの E.coli に対する MIC は本来 0.12μg/ml 前後であるが、キノロンの標的酵素である gyrA の QRDR に 1 変異
が生ずるとレボフロキサシンの MIC は 0.5μg/ml 前後まで上昇する。この場合細菌学的耐性株であるが、 臨床的にはブレイクポイント以下であり、感受性株と判定される。 臨床現場で問題としているのは、臨床的耐性菌である。臨床的耐性菌とは、その抗菌薬を使用して、治 療が可能であるかという観点から、治療できないレベルであるのもののことをいう。この基準は本来、臨床効 果との兼ね合いから決められるべきものであるが、現実にはそれだけで設定することは難しい。臨床効果は もちろんであるが、細菌学的耐性と PK/PD も考慮し判定基準であるブレイクポイントは決められていると思 われる。 ブレイクポイントについては、国内のほとんどの施設は CLSI のものを採用しているが、CLSI は米国での 抗菌薬の用法用量を元に決められている値であり、投与量の異なる日本にそのまま当てはめることには無 理がある。また、CLSI はこの 5 年間で大幅な変更を行っていることも現場を混乱させている。その他に、欧 州の EUCAST、イギリスの BSAC、抗菌薬開発時に設定される FDA のブレイクポイントがあり、日本化学療 法学会のブレイクポイントも存在する。日本の抗菌薬の用法用量を考えると EUCAST の方があっているの かもしれないが、設定がない薬剤が多くあることやかなり不可解な値が示されている薬剤も存在しており、一 長一短がある。我々は、肺炎球菌に関しては、CLSI の変更が大胆すぎたので、以前の基準と新しい基準 の中間に相当する EUCAST の基準を使用している。各ブレイクポイントについては、今回マルシャン桜子さ んが、2 日目に解説してくれるので、期待している。 PK/PD についても単純な理論では矛盾が生じる点についても含めて、私見を述べたい。
ナイトセミナー
非好中球減少時のカンジダ感染症治療におけるアムビゾーム®の位置付け
大日本住友製薬(株)西日本地域統括部 村岡 正浩 近年の医療技術の進歩により、日常診療において深在性真菌症と遭遇する機会が増加し、特に三大真菌 と言われるアスペルギルス属、クリプトコックス属、カンジダ属による深在性真菌症は、もはや稀な感 染症ではないと言われています。中でもカンジダ属は、ヒトにおける侵襲性真菌感染の最大の原因真菌 であり、生命に危険のない粘膜皮膚感染症からあらゆる臓器を侵しうる感染症まで様々な病態を引き起 こすことで知られています。 カンジダ症の診断および治療に関して、国内外で既にいくつかのガイドラインが公表されており、最近では、2012 年 11 月 Clinical Microbiology and Infection に欧州臨床微生物感染症学会 European
Society for Clinical Microbiology and Infectious Diseases(以下 ESCMID)で策定したカンジダ症の診 断と管理ガイドラインが発表されました。
ESCMID から発表されたガイドラインは、主に ICU 患者、小児、HIV/AIDS、造血幹細胞移植を含
む悪性腫瘍患者という4 項目の患者状態に分けて構成されており、今回はその中から成人の非好中球減
少患者におけるカンジダ症の診断と管理のガイドラインのパートについてご紹介させて頂きます。
抗真菌薬は、一般抗菌薬に比して薬剤数が少ないとされていますが、2002 年以降、新規薬剤が次々に
発売され、それに伴い、国内外のガイドラインも改訂されています。
本邦では2007 年に「深在性真菌症の診断・治療ガイドライン」が改訂されており、米国では 2009 年
に米国感染症学会Infection Diseases of Society of America(IDSA)においてもカンジダ症のガイドラ
インが改訂されています。 注射用抗真菌薬アムビゾーム®は、リポソームというドラッグデリバリーシステムの技術をアムホテリ シンB に応用したリポソーム製剤(以下 L-AMB)として、本邦では 2006 年 6 月に発売されました。 最も強く幅広い抗真菌活性を有し、カンジダ症に対しても殺菌的な作用を示すと同時に、脂質製剤化す ることで臨床的に問題となっていた安全性は大幅に緩和されたことから各種ガイドラインにおける推奨 範囲は拡大されています。 国内外で取り巻く医療環境や治療方針、承認されている薬剤や用量が異なる上、様々な面で相違点は ありますが、ESCMID を初めとするカンジダ症診療の各種ガイドラインにおける L-AMB の位置付けお よび有用性についてご紹介させて頂きます。
教育講演 3
VRE の現状とスクリーニング方法、同定の問題点
村谷哲郎 バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)はまれな耐性菌であったが、2008 年ぐらいから、それほど珍しくない 存在になりつつある。決して好ましいことではないが、いつどこの施設で検出されても不思議ではない状況 となったということであり、検出および早期報告を行う体制が重要であるということである。2013 年 4 月の感染 症予防法の改正により、5 類感染症全数把握の届け出対象菌であることに変わりはないが、届け出基準が 変更となった。 これまでの「血液、腹水、胸水、髄液など通常は無菌的であるべき臨床検体から分離された菌(当面は、便 や尿から分離されるなど定着例が疑われるものを含む)で、以下の検査室での判断基準を満たすもの バ ンコマイシン(VCM)の MIC 値が≧16 μg/ml、あるいは分離菌における VanA, VanB 遺伝子の検出」 から、遺伝子検出がはずれ、 「血液、腹水、胸水、髄液、その他の通常無菌的であるべき検体では、分離・同定による腸球菌の検出かつ 分離菌に対するバンコマイシンのMIC値が 16μg/ml 以上。喀痰、膿、尿、その他の通常無菌的ではない 検体では、分離・同定による腸球菌の検出かつ、分離菌に対するバンコマイシンのMIC値が 16μg/ml 以 上、かつ分離菌が感染症の起因菌と判定された場合。」 へ変更された。遺伝子の検出が不要であり、VanB 保有株であってもバンコマイシンの MIC が 8μg/ml 以下 であれば、届け出対象ではないと解釈される。もちろん届け出対象であるかどうかと、感染対策を行うかどう かは全く別次元の問題であり、検査室の役割が変わったわけではない。現在北部九州、山口地区で分離されている VanB 型 E. faecium のバンコマイシンの MIC は、1~128μ g/ml であり、多くの株は、2~8μg/ml であることから、届け出対象ではないことになる。また、この株の MIC は菌量の影響を大きく受け、測定法により、大きく異なることも問題である。具体的には、VITEK-2 で測定す ると 16μg/ml となる株が、栄研ドライプレートで測定すると 2μg/ml となってしまう株が多数存在する。 また、vanC1 を染色体上に保有している E. gallinarum は、バンコマイシンに対して 8~32μg/ml を示す が、多くの自動機器では E. faecium と E. gallinarum の鑑別が一定していないことも問題であり、運動性試験 による鑑別に慣れておくことも重要である。この報告により感染対策の度合いが大きく変わるので検査室の 責任は大きい。 現在北部九州・山口地区で問題となっている vanB 遺伝子を保有しているが、バンコマイシンの MIC が低 い株であるが、この株もバンコマイシンと接触するなどにより 128μg/mL 程度まで上昇した株も存在するの で、感染対策は必要である。バンコマイシンの MIC が低い株と高い株の PFGE パターンが同じであることか ら、同一株であることを証明できている株も存在ている。
これまで、ひびき臨床微生物研究会共同研究として、収集された VanA または VanB 型 VRE 株は 600 株 を超えた。これの株のデータも交えて報告する。
企業セミナー
C5
ドライプレート‘栄研’を使用した第 5 回 EQCS-MIC(九州)精度管理の結果
栄研化学株式会社 マーケティング推進室 MKT3 部1課 田村 俊
栄研化学では毎年ドライプレートを使用した感受性検査サーベイを各地域で実施しており、九州地 区では第5 回を迎えています。今回は MSSA 株である S. aureus A および MRSA 株である S. aureus B の 2 株を使用しサーベイを実施しました。 S. aureus A においては、全ての薬剤で 95%以上の正解率となっており、 良好な成績でした。S. aureus B においても、ほとんどの薬剤で 95%以上の正解率となっており良好な成績でしたが、 一 部正解率が低い薬剤 ( MPIPC,MINO) がありました。 MPIPC(正解率 78.6%)においては、 MIC 値を≦2μg/mL と判定した施設が 15 施設ありました。 今回の測定株は16~20 時間と 24 時間培養では MIC 値が変動しやすい株を使用しています。 MIC 値を≦2μg/mL となった施設は培養時間が短かったのが主な原因ではないかと推察します。 また、CFX はほとんどの施設において MIC 値は≧8 となり、 MRSA と判定されていました。 (CLSI 基準では MPIPC および CFX のどちらか一方でも「R」と判定された場合は MRSA と報告 するとなっています)このことから、 MRSA を見逃さないためには MPIPC の 24 時間培養だけで なくCFX の測定も重要であると考えます。
一方、CLSI 基準では培養温度においても、 35℃を超えた場合は MRSA が検出されにくいとな っており、これも要因のひとつと考えられます。
VCM については、今回の株では培養時間による有意差は見受けられませんでした。 しかし、上述 のMPIPC と同様に培養時間が短い場合 MIC 値を低く判定することが考えられますので、CLSI 基 準である24 時間培養を推奨致します。
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C6
新パネルのご紹介
企業セミナー
C7
抗菌薬感受性試験ガイドライン EUCAST について
~4 月 27 日から 30 日の ECCMID 参加報告も踏まえて~
結果報告
第 6 回ひびき臨床微生物研究会 サーベイ 結果報告
実施要綱 本サーベイの目的:耐性機序の明確な現在問題となっている耐性菌、およびこれから問題となると考えられ る耐性菌を配布し、同定・感受性、報告方法について解析を行う。各施設の状況を見ることにより、自施設 の検査に活かしてもらうことが目的である。また、原則個人参加とし、施設で複数人参加可能であり、個人差 などの参考としてもらう。本サーベイは個人や施設で活かしてもらうために企画するものであり、強制や参加 をお願いするものではない。また、結果を匿名でひびき薬剤耐性菌シンポジウムで公開するが、結果につ いて解説するが個々の結果を採点したり、評価することが目的ではなく、自由意志参加を原則とする。 検体数:4 形態:チャコール含有スワブ A:65 歳男性 慢性気道感染症で CAM 服用中、38 度熱発、X 線上広範囲に肺炎像を認め、喀痰を細菌 培養に出し、107 cfu/mL 分離された菌 B:91 歳女性 MRSA 肺炎の診断で VCM 投与 4 日目の気管内採痰から 106 cfu/mL 分離された菌 C:70 歳男性 長期入院中に胆管炎を発症した患者の胆汁から 106 cfu/mL 分離された菌 D:42 歳男性 胃がんのため胃部分切除後、高熱を伴う尿路感染症を発症。尿から 105 cfu/mL 分離された 菌 出題した株に関する解説A:Klebsiella penumoniae Mkp4812、KPC-2, TEM-1, SHV-1 保有株 ESBL(-)、Metallo-β-lactamase(-)、Modified Hodge Test (+) ESBL 阻害剤 CVA、メタロβ-lactamase 阻害剤 SMA を用いた時の解釈 ホッジテスト陽性だったの場合の解釈
施設により、これらの結果の解釈にずれがあった。
B: Staphylococcus aureus Msa6568 株
Vancomycin 2 μg/ml, Teicoplanin 8 μg/ml の株であったが、今回送付した株は、Vancomycin の MIC は 1 μg/ml まで下がっていた。機器によっては 2 μg/ml と報告されていた。Teicoplanin の MIC が上昇して いる株があることを知ってもらいたかった。
測定機器による違いも含めて、報告する。
C: Enterococcus faecalis Vef 2085 VanD 保有株
VRE であることを確実に捕らえ、MIC の結果から VanB type を疑えば OK。遺伝子検査まで実施していると ころは、どのような回答をするのか注意が必要。
全員問題なく回答していた。
D: Pseudomonas aeruginosa Mpa5072 IMP-1 産生、AmpC β-lactamase 高度産生株,AMK 8~16 μg/ml SMA にやや感受性有、AmpC 高度産生のため、SMA との併用効果は認められない株を出題したつもりで
一般演題 G4
学内実習の実情について。(習得すべき内容とは?)
美萩野臨床医学専門学校 木戸 直徳 現在、臨床検査技師国家資格取得のための学校は4年制大学と 3 年制専門学校があり、どちらもその特 色や学校の個性を活かした指導を行っている。3 年制の本校では 2 年次に学内のローテーション実習を 1 科目 30~32 講(1 講 90 分)行っており、各 8 種の実習を約 3 週間連続で実施している。微生物実習は主 に染色手技(グラム、チール・ネルゼン)、既知菌株を用いた各種培地の発育状況の観察、同定検査、薬剤 感受性検査。環境検体(河川水など)を用いた生菌数算出とそこから検出される菌種の同定。咽頭培養か ら雑多な集落の観察と溶血性の確認。以上の内容を中心に実習を行っている。もちろん基本となるガスバ ーナーの使い方や火炎滅菌操作、白金耳・白金線の使い分けなども内容に加えている。また院内感染対 策に必須となる手洗い手技も、器具を用いたトレーニングを今年度から実施している。特に染色は細菌検 査室の無い施設でも加算の関係上実施している施設も多く確実に行うことを目標にしている。同定検査で は基本となる試験管培地での判定を主眼に置き、簡易同定キットとの比較等も行っている。前任から引き継 ぎ 3 年目となる今年、少しずつ内容を増やしていったものもあり、それ以外にも「これもやったほうがいい?」 と思える項目は多々あるが、実習時間との兼ね合いで全てを加えることはできない。反対に、これは要らな いのでは?と思えるものもあるのかもしれない。それらを模索しながら、臨床検査技師として社会に出て行 ったときに、必要最低限の知識と技術を身に付けるためにどうすればよいのかを本校の学内実習を一例と して挙げ、真摯に考えていかなければならない。 今回の学内実習についての報告を行う上で、みなさんからの忌憚のない意見を頂き、今後の実習に活か せることができれば幸いです。よろしくお願い致します。一般演題 G5
Helicobacter cinaedi による膿胸の一症例
熊本医療センター 川上洋子 【はじめに】Helicobacter cinaedi はグラム陰性らせん状菌で,免疫不全患者の血液培養から分離される 頻度が増加傾向にある.今回,免疫能が健常な患者に発症した急性膿胸の材料から本菌が分離された症 例を経験したので報告する. 【症例】 患者;60 歳代,男性. 主訴;発熱,悪寒,頭痛 既往歴;1999 年,右肺癌の診断で右心嚢内肺全摘術,リンパ節郭清術を施行後,化学療法4サイクルを 行った.2004 年,再発し,再度化学療法を4サイクル実施した.以後,定期外来通院で経過観察中であっ た. 現病歴:歯科治療後に 38℃以上の発熱が出現.近医を受診したが,原因不明であったため,同センタ ー受診となった.なお,呼吸器症状は特に認められなかった. 【検査所見】 ① 血液検査所見;白血球 12,310/μl(うち好中球 88.3%),CRP 20.19mg/dl と炎症マーカーの上昇 を認めた. ② 胸水検査所見;外観は褐色で混濁を認めた.胸水中の細胞数 76,300/μl(うち好中球 77.0%), LDH 3,580IU/l は上昇を認め,Glu は 0mg/ml と低下していた. ③ 微生物検査所見;グラム染色では融解した白血球を多数確認したが,起因菌を示唆する所見は 認められなかった.培養はドリガルスキー寒天培地(日本 BD)を好気培養条件下,ヒツジ血液寒天培地(栄 研化学)とチョコレート寒天培地(BD)を 5%炭酸ガス条件下,ブルセラ HK 寒天培地(RS)(極東製薬)を嫌 気条件下,増菌培養としてシェドラー0.2%寒天培地(sysmex)に接種し,35℃にて培養を行った.結果,各 種平板培地は全て培養陰性であったが,シェドラー0.2%寒天培地にて上層部が混濁し,培養液から3巻き 以上のグラム陰性らせん状菌を認めた.菌の形態から H. cinaedi の可能性も視野に入れ,培養液を湿潤条 件下で微好気培養を実施した.3日培養後,微好気培養で H. cinaedi に特徴的な thin spread colony を確 認し,遺伝子検査の結果 H. cinaedi と同定された.【考察】H. cinaedi 感染症において,塗抹検査で明らかな菌が確認できない場合,GAM 半流動高層培 地などを追加すると,見落としを防ぐこともできると思われる.本菌が起因菌として疑われる場合には,培養 期間の延長や適切な培養環境の変更を働き掛ける必要もある.
ランチョンセミナー 2
知っておきたいβ-lactamase とその検出法
村谷哲郎
β-lactamase はかつては、Staphylococcus aureus, Heamophilus influenza, Neisseria gonorrhoeae が保有 しているか否かを報告すればよかったが、ESBL、Metallo-β-lactamase の増加蔓延に伴い、検査室で行う べき検査も増えてきた。また、プラスミド性の AmpC 型β-lactamase も増えてきたことや、複数種類を有する 株が出現してきたことも検査およびその結果の解釈を複雑にしている。
今回は、基本的な検査とその解釈について、今一度見直すことを目的としてプレゼンテーションいたしま す。