回復期リハビリテーション病院における 経管栄養クリニカルパス導入の意義
医療法人葵会
AOI 七沢リハビリテーション病院 栄養科 管理栄養士
小野 まゆみ
本日の流れ
①病院紹介
②当院における摂食嚥下障害プロジェクトの遷移
③摂食嚥下障害クリニカルパスの紹介とその評価
④経管栄養クリニカルパス作成の意義
⑤症例紹介
※ 本セミナーの資料およびデータは当院、 AOI 七沢リハビリテーション病院の
①病院紹介
AOI七沢リハビリテーション病院 3
医療法人葵会
AOI 七沢リハビリテーション病院
所在地:神奈川県厚木市七沢 開設:平成 30 年 8 月 1 日
病院種別:回復期リハビリテーション病棟
病床数: 245 床
入院患者特性 (2020 年 4 ⽉〜 9 ⽉ 30 日実績 )
①脳血管: 37.3 %、運動器: 38.8 %、廃用: 23.9 %
②重症度割合: 57.8 %
③在宅復帰率: 90.4 %
AOI七沢リハビリテーション病院 5
脳血管 37.3%
運動器 38.8%
廃用 23.9%
疾患別割合 ( % )
脳血管 運動器 廃用
重症度割合 57.8 %
その他 42.2%
重症度割合 ( % )
重症度割合 その他
在宅復帰率 90.4%
その他 9.6%
在宅復帰率 ( % )
在宅復帰率 その他
②当院における
摂食嚥下障害プロジェクト
の遷移
摂食嚥下障害プロジェクト チームの立ち上げ
立ち上げ時期:令和元年 5 月〜
【目的】
重症患者の意識障害改善および
3食経口移行、早期回復、社会復帰を目指す
【活動内容】
重症患者への、意識障害改善を図るために どのようなアプローチが必要なのかを検討 および実施
AOI七沢リハビリテーション病院 7
摂食嚥下障害プロジェクトチーム 構成メンバー
看護師 医師
リハビリ スタッフ
臨床検査 技師
管理 薬剤師
栄養士
MSW
摂食嚥下障害プロジェクトの 目的
AOI七沢リハビリテーション病院 9
3 食経口 移行
早期回復
社会復帰
摂食嚥下障害プロジェクトで 明らかとなったこと
①脱水患者が多い
→ 十分な水分補給が必要
②⻑期臥床による腸内ガス貯留・経管栄養後の嘔吐
→ 離床を 8 時間以上することにより軽減
→Bedup45 °以上
③咀嚼による頭頚部への血流改善
→ 咀嚼訓練実施(スルメ等を使用)
③摂食嚥下障害クリニカルパス の紹介とその評価
AOI七沢リハビリテーション病院 11
摂食嚥下障害クリニカルパス
ステップ
①
• 意識障害の改善
• 摂食嚥下障害の改善
ステップ
②
• コミュニケーション可能
• 経口摂取可能
ステップ
③
• 退院へ向けたトレーニング
摂食嚥下障害クリニカルパス ステップ①
AOI七沢リハビリテーション病院 13
① 1 日 1500ml 以上の水分摂取
② 8 時間以上の離床
③ Bed up45 °以上
④昼のみ経口摂取
( 常食が望ましい)
⑤咀嚼訓練の実施
5原則
④経管栄養クリニカルパス
作成の意義
経管栄養クリニカルパスの 作成理由
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社会復帰 早期回復 3食経口移行
①重症度割合が 57.8 %
( 2020 年 9 月 30 日時点)
②病棟で患者管理に 混乱を来していた
③リハビリテーション
の継続が困難となる
ケースも …
経管栄養クリニカルパスの 作成理由
社会復帰 早期回復 3食経口移行
④治療の統一化が必要
5原則の徹底 が不可欠
① 1 日 1500ml 以上の水分摂取
② 8 時間以上の離床
③ Bed up45 °以上
④昼のみ経口摂取 ( 常食が望ましい)
経管栄養クリニカルパスの 3つのポイント
AOI七沢リハビリテーション病院 17
• 5原則の導入
ポイント
①
• 経腸栄養の選択
ポイント
②
• バリアンス発生時の対応が可能
ポイント
③
1 日 1500 ㎖以上の水分
摂取
1 日 1500 ㎖以上の付加水の投与を 行わなかった 群の経口移行状況
47.1%
4.6%
48.3%
1 日 1500 ㎖以上の付加水の投与を 行った 群の経口移行状況
AOI七沢リハビリテーション病院 19
66.7%
5.6%
27.8%
経口移行 経口 TRY+ 経管栄養 非経口移行
付加水別経口摂取移行率
(%=付加水量ごとの経口移行者数÷経管栄養患者総数)
0 %
1.9 %
5.8 %
0 % 0 %
7.7 %
1.9 %
0 %
2.9 %
0 % 0 %
11.5 %
0.0 5.0 10.0 15.0
0 10 20 30
㎖ 日
( 名 ) ( % )
付加水量ごとの検討から わかったこと
・経管栄養の種類(容量)問わず、
付加水を 1 日 1500 ㎖以上にすることで、
経口摂取移行率が上昇した。
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1 日 1500 ㎖以上の付加水の投与を 行わなかった群 FIM 改善率平均
経口移行群 , 平均 26.1 %改善
経口 TRY+ 経管栄養 , 平均 13.3 %改善
非経口移行 , 平均 1.1 %改善
0 15 30
0 25 50
( 名 ) ( % )
1 日 1500 ㎖以上の付加水の投与を 行った群 FIM 改善率平均
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経口移行群 , 平均 28.4 %改善
経口 TRY+ 経管栄養 ,
平均 2.4 %改善 非経口移行 , 平均 0.2 %改善
0.0 10.0 20.0 30.0
0 5 10 15
経口移行群 経口 TRY+ 経管栄養 非経口移行 名 改善率平均 %
( 名 ) ( % )
FIM の改善率からわかったこと
①水分摂取量と FIM の改善率は、相関関係なし
②経口移行することが、 FIM の改善には必要
1 日 1500 ㎖以上の水分摂取
経口摂取移行率の上昇
が改善
経管栄養クリニカルパス
AOI七沢リハビリテーション病院 25
パス名
パス① ➡ パス② ➡ パス③
腸管柔毛
萎縮改善 経管少量・低速開始 経管栄養基本パス
1~3日 4日目以降パス②へ 1~2日目 3~5日目 6~8日目 9日目以降パス③へ 1~4日目 5日目以降~
製品名 グルタミン粉末
➡
乳清ペプチド消化態流動食
➡
乳清ペプチド消化態流動食
速度 50ml/h以下 50ml/h以下 100ml/h以下 150ml/h以下 200ml/h以下 300ml/h以下
投与エネルギー量 108kcal/日 450kcal/日 900kcal/日 1200kcal/日
容量 1日量 3包/日 300ml/日 600ml/日 801ml/日
1回量 1-1-1包 100-100-100ml 200-200-200ml 267-267-267ml
備考 DIV併用 DIV併用 DIV併用or 付加水増量
摂食嚥下プロジェクトへ
※別途付加水必要
※当クリニカルパスは、空腸瘻・チューブ留置が幽門を越える場合は除外とする。 令和2年6月作成
1 週間以上の絶食をしていますか?
少量( 450kcal/ 日)・低速( 50ml/ 日)
で開始しますか?
YES
YES
NO
NO
1日 1500 ㎖以上の水分確保 が可能
経腸栄養の選択
乳清ペプチド消化態流動食を採用
①消化吸収に優れている
②少量高エネルギー
③投与時間の短縮 → 離床時間の確保が可能
④水分調整も行いやすい
患者様の腸管への負担軽減
下痢発生時の対応
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パス使用中 に下痢発生
栄養剤の 投与を 継続しますか?
A)速度を低速にする。
★100㎖/h以下 へ
※2~3日経過観察
経過観察をし、速度を徐々に戻す。
(★最大250~300㎖/h。付加水別途)
B)ビフィズス 菌開始。
★最大3包/日
内服コントロール検討。
主治医の指示に従う
パス②に沿って 実施。
E)パス①へ
D)パス②へ
主治医の 指示に従う。
G)パス①へ
D)パス②
H)ビフィズス菌 開始。
★最大3包/日
継続する 下痢あり
継続しない 下痢なし
下痢なし 下痢なし 下痢なし
下痢あり
下痢あり
下痢あり 下痢あり 下痢あり
⑤症例紹介
症例
【症例】 52 歳 男性
【既往歴】
膵炎、うつ病、低 K 血症による四肢麻痺、虚血性心疾 患の疑い、アルコール性疾患の疑い
【現病歴】
2020 年 7 月 16 日、自宅で倒れているところを発見。
A 病院へ救急搬送。
CT で左急性硬膜下血腫および左基底核部に脳出血を 認め、緊急で開頭血腫除去術、外減圧術を施行。
2020 年 8 月 24 日、当院へ入院。
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症例
【入院時所見】
FIM18 点(運動分野 13 点、認知分野 5 点)
GCS = 9 点( E4 V1 M4 ) 四肢麻痺 全身の異常筋緊張 基本動作全介助 経管栄養
脱水( BUN/Cre 比= 34.9 、比重 1.027 )
症例 入院後経過
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運動分野 13 点
運動分野 15 点
認知分野 5 点
認知分野 9 点
0 8 16
( 入院時 )2020/8/24 ( 最終 )2020/10/1
運動分野 認知分野 ( 点 )
8/28 〜 経口開始 昼のみ
【入院時】
・ GCS = 9 点
( E4 V1 M4)
・四肢麻痺
・全身の 異常筋緊張
・全介助
・経管栄養パス③
・脱水
(BUN/Cre比=34.9、比重1.027)
【 10/1 時点】
・ GCS = 11 点
( E4 V1 M6)
・ 3 食経口摂取
・表情が豊かに
・脱水改善
(BUN/Cre比=16.8、 比重1.016)
離床 8 時間以上
の確保
1 日 1500 ㎖以上 の水分摂取 を徹底
9/10 〜
3 食
経口移行
症例
0 1 2 3 4 5
移乗
トイレ移乗 トイレ動作
排尿管理 排便管理 浴槽移乗 清拭
食事 整容 上衣更衣
下衣更衣 移動(車椅子)
階段 理解 表出 社会的交流
問題解決 記憶
入院時FIM
0 1 2 3 4 5
移乗
トイレ移乗 トイレ動作
排尿管理 排便管理 浴槽移乗 清拭
食事 整容 上衣更衣
下衣更衣 移動(車椅子)
階段 理解 表出 社会的交流
問題解決 記憶
最終FIM 10 月 1 日時点
+2 点 +2 点
+1 点
+1 点
まとめ
①摂食嚥下障害の克服には、 1 日 8 時間以上の離床 時間の確保と共に、 1500 ㎖以上の水分投与が望ま しい
②経口摂取が可能となると、意識内容が改善する ためか、 FIM の改善がみられる
③治療の統一化の為には、積極的なパスの導入が 有効であった
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