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Noriyo SUGIMORI東京医科大学病院リハビリテーション科

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Academic year: 2021

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一 72 一

東医大誌 61(1):72〜73,2003

      「フロリダ大学・フロリダ州立大学視察研修         〜嚥下障害を中心に講義と視察見学〜」に参加して

Report on Dysphagia Study Tour at University of Florida and Florida State University

杉 森 紀 与

Noriyo SUGIMORI

東京医科大学病院リハビリテーション科

期間:2002年10月12日〜10月19日

はじめに

 ここ数年、日本では嚥下障害についての議論が活発 になっており、学会での演題・新刊図書も多く見かけ るようになり、医療従事者全体が協力しチームアプ ローチすることの重要性は周知となっている。しかし ながら、実際には職種間及び職種内の格差は大きく、

言語聴覚士が行う評価・訓練でも啓蒙活動が盛んな段

階である。

 そこで、今回海外視察研修の機会を得たので、アメ リカでの嚥下障害の現状とコミュニケーション障害 のup dateについて報告し、今後の嚥下障害とコミュ

ニケーション障害に対するアプローチを検討する。

講義及び施設見学内容

 1.「発話の改善は単なる言語治療以上のものであ

   る:全人的治療の重要性」(Neila Donovan, Ph.

   D.)

 アメリカでは原疾患の急性期を脱した患者が、入院 してリハビリを受ける期間は2週間にまで短縮され、

外来でリハビリテーションを受ける割合が多くなる

傾向であるという。

 また、医療費も減少のため、ICF(International

Classification of Functioning)に基づいた患者のニー

ズに合わせた機能的ゴール設定や家族の積極的参加

が、ますます重要視されている。

 2.「嚥下障害治療の最新情報」(Jay Rosenbek, Ph.

   D.)

 現在行われている嚥下障害治療法は、あくび・ため

面白、うがい、HAWK法、 SWALLOW HARD、

SHOWA MANEUVER法、 MASAKO法、 SHAKER

法、SVTP、メンデルソン法、 SGS(Supraglottic Swal−

Iow), SSGS(Super Supraglottic Swallow)、バルサルバ、

あご引き嚥下、頭部回旋などがありそれらの訓練法に ついての再検討を文献紹介を含め紹介。これらの方法

は日本でも紹介施行されている方法であるが、

SHAKER法は近年紹介された訓練法で、上舌骨筋、二 腹筋に影響し、上部食道括約筋を弛緩させることに有 効で、唾液でも誤嚥をするほど重度な嚥下障害の患 者、頭頸部放射線治療後の患者、脳幹梗塞の患者など に有効であるという。また、アメリカでの嚥下訓練の ゴールについては三パターンあり、第一は十分な栄養 補給や安全な経口摂取が得られたとき、第二はこれ以 上の訓練効果がないと判断されたとき、第三は患者の

ゴールが満たされたときである。

 3.呼吸筋トレーニング(Chris Sapienza, Ph. D.)

 吸気筋、呼気筋両方が負荷レベルが調節可能な呼吸 筋訓練機器を用いた訓練方法を研究報告も含め紹介。

脊損、人工呼吸器管理の患者に有効で呼吸と発声、呼

吸と嚥下の相互関係の重要性を指摘。

 4.神経感覚一神経コミュニケーション研究所の

  最新の臨床研究(Leonard L. LaPointe, Ph. D.)

 以前は別々のものといわれていた認知と言語と記 憶は相互に関与しているという考えから、その関わり

についていくつかのLabで研究している。コンビュー

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(2)

2003年3月 杉森:「フロリダ大学・フロリダ州立大学視察研多〜嚥下障害を中心に講義と視察見学〜」に参加して 一 73 一

タソフトでの認知課題を利用して、ワーキングメモ

リ、視覚選択的注意、失語のタイプと重症度の関係を

研究。また、舌や軟口蓋の動きを測定できる磁場が3

つあるEMA(Electro Magnetic Articulatry)を用いて

オーストラリアのクイーンズランド大学との共同研 究も行っている。その他、誌面の都合上詳細は述べら れないが、痴呆症患者に対しメモリーブック(記憶 ノート)を利用したコミュニケーションの促進(Mi−

chelle Bourgeois, Ph. D.)、 ALSや脊損患者に需要が多

い拡大一補助コミュニケーション機器(AAC)につい て現在アメリカで市販されているものの紹介(Joan−

ne Lasker, Ph. D.)、歌声と声の問題について、 Stemple

が開発した呼吸・発声・共鳴のバランスを重視した発

声機能訓練の紹介と実演(Richard Morris, Ph. D.)、構

音障害に対し舌の強化は重要であるがそれを実証す

る報告は少ないため、口腔内圧縮測定(Iowa Oral Per−

formance Instrument:10PI)による強化訓練の定量化

を試みた研究報告(Julie A.G. Stierwalt, Ph. D.)など も受講。

 5.施設見学について

 まずシャンズリハビリテーション病院はフロリダ 大学系列の典型的リハ病院で、効果的であれば、理学

療法を行いながら言語療法も行うという方法を積極

的に取り入れている。

 次にタラハシー記念病院デイケアセンターは軽度 痴呆、パーキンソン、脳血管障害患者が主体のセン

ターで、朝7時30分から5時30分まで1日約20人、

食事の支度、運動やレクリエーションを行う。またタ ラハシー記念病院ニューロサイエンスセンターは急 性期病院であるが、特徴的なのがパーキンソングルー プ、アルツハイマーグループ、記憶障害グループなど 8つのサポートグループを作り外来患者と家族に地域

での活動を積極的に行わせていることである。

ま と め

 嚥下訓練に関してはエビデンスにのっとった訓練 効果についての報告を聞き、早速追加したい方法も

あった。また、アメリカの多くの同職種の方々と接し、

多くのヒントと活力を得ることができ大変有意義な

研修となった。

 本研1多には大川奨学金の援助で参加致しました。海 外研修の機会をいただきましたことを感謝致します。

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