ジオキューブを用いた
立方体の切断についての探求
杉 野 裕 子
皇學館大学
空間思考(狭間 2002 )
脳
心的操作
図形の性質
3次元 2次元
イメージは実物,図,言語・記号への行き来の橋渡し 具体物による操作活動はイメージ形成に必要
イメージ
事物 図 言語・記号
空間図形学習の困難性
網膜に映る像は2次元
どのように3次元空間を認識するのか
空間内を動いた体験・空間図形を触った体験 3次元 ↓
個人の中に作られたイメージ ↓
図(表現・読み取り)2次元,言語・記号(表現・読み取り)
「立体の切断」学習の現状
• 平成10年学習指導要領 削除
• 平成20年学習指導要領 発展的学習
5社の教科書に
三平方の定理や三角比などの学習において,立体 の切断面の辺や角度や面積を求める課題は頻出
・具体物による操作の煩雑さ
・切断から得られたことの意味づけや関連付けが,
指導過程の中に位置づけられて来なかった。
これまでの「立方体の切断」
• 具体物の切断
• コンピュータシミュレーションでの観察
• キャビネット図に切断面をかき込むこと
具体物の切断
最初に,一度は具体物を切断する体験が 必要である。
・どの方向からも切断できる。
・いくつも準備するのが大変である(切り直しができない)。
・どこをどう切ったのか,正確に把握しにくい。
・切断されていないと,切断面が見えない。
・幾通りかの切断について,それぞれの間の関連がつけにく い。
補助的に,図などに表現する必要がある。
コンピュータシミュレーションでの観察
・ 切り直しができる。
・ 切断した立体を回転して表示できる。
・ 平面上での表示である。
・ 一時的な納得はある。
しかし,学習者が具体物やイメージを切断するとい う活動を奪う危険性がある。
キャビネット図に切断面をかき込むこと
・学習者がかき込むことができる。
・立方体と切断面の両方を示すことが できる。
・空間図形を平面の図に表現したり 読み取ったりする力があることを前 提とする。
・一定方向からの切断に制約される。
(回転できない)
これまでの「立方体の切断」
• 具体物の切断
• コンピュータシミュレーションでの観察
• キャビネット図に切断面をかき込むこと
これらの長所と短所を補うよう,3つの方法 を適宜取り入れてきた。しかし,3つの方法間 の移行はスムーズとは言いがたい。
↓
3つの方法の長所を取り込んだ教具の開発
教具 ジオキューブ
透明アクリルの立方体
辺上に等間隔に突起をつけ,輪ゴムを引っ掛 けて切断面を表現
ジオキューブの利点
・3次元立体での操作ができる。方向を変えて観察できる。
・何度も輪ゴムの掛け直しができる(多数の立体を用意する必 要がない)。
→切断面の変化の様子がとらえやすい。
・2次元(網膜に映ったもの)として観察できる。
→置いて,見えたままをキャビネット図にかき込める。
・立方体の面上を,切断面の辺が通る様子を観察できる。
切断面の,動的連続操作による捉え
ある一定の決まりによる切断によって,
・切断面の形がどう変化するか
・面上を切断面の辺がどのように通るか
これらを連続的に捉える活動が可能になる。
図形概念の理解の様相モデルⅣ(川崎2006)
イメージを動的に捉える
切断面の平行移動
切断面を平行移動することによって,切断面 の形や大きさの変化する様子を捉える。
小さな正三角形
正三角形が大きくなる
正三角形が大きくなる
最大の正三角形
六角形
正六角形
六角形
最大の正三角形
正三角形が小さくなる
正三角形が小さくなる
小さな正三角形
正方形
正方形
正方形
切断面の回転移動
切断面を回転移動することによって,切断面 の形や大きさの変化する様子を捉える。
切断面の,上の2点を固定
小さな正三角形
二等辺三角形
二等辺三角形
最大の二等辺三角形
長方形
台形
台形
最大の台形
六角形
六角形
六角形
五角形