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壁面粘性 ・熱伝導境界層音響散逸の数値解析 と精密実験
ス リッ トレゾネー タ,壁面音響境界層 ,境界要素法
1
.は じめ に 壁面粘性 ・熱伝導境界層 は多孔 質吸音材 料が不向 きな給排気系お よび室 内音響の低周波数域の音 響制御 において重要 な音響散逸要素であ る。また,建築 における低周波数域の音響調整 で重要 なヘルムホルツ共 鳴器 の吸 音力 は壁面 の空気粘性 ・熱伝 導散逸 に依存 す る。そ こで,空気 粘性 ・熱伝導散逸 を考慮 した境界 要素 法 の適用 を試み,その妥 当性 を精密 な物理実験 に よ り比 戟 ,検討 した。2.
供試 ス リッ ト型共鳴器 対象 としたス リッ ト型共鳴 器 を図1
に示す。板厚1 0 m
m,ス リッ ト幅2 m
m,4 m
mのP V C
お よび真鋳製仕切板 ,また,板厚
3 0 m
m,ス リッ ト幅4 m m
の
P V C
仕切板 (共鳴器 ・ダク トね じ接合), さらに,ス リッ ト幅4 m m
の銅鉱 (共鳴器 ・ダク ト一体溶接)に よ り 実験 を行 った。測定試料 としたス リッ トの流路 長Lお よ び幅W
を表1
に示す。3.
ヘ ルムホル ツ共鳴器 の特性 あ る角周波数W
につ いて共鳴器 の単位面積音響 イ ンピーダンスzHRは,開口 前面 の複素音圧御 高をp,,
開口断面内速度 の複 素振 幅を
u
oと してZ HR=PF/uo=R+j X ( 1 )
ここでR
お よびX
はそれぞれ共鳴器の抵抗 お よび リア クタンスであ る。抵抗R
については円形 断面 (半径r o)
の開口に対 す るIngardの経験式[ 1 ]
があ る。す なわち,R‑2 R
v( l o +A
IR)/Yb と して付 加抵 抗 補 正長Al
Rは ZUR/710=2
であ る。Rvについては次項 に示す。吸音率α
については R ≡R/ ( P CO)
,k ≡x / ( P CJ)
としてα=4R/ ( ( 1+A) 2+x2)
(2) ただ し,p:
空気 の密度 ,C:
空気 の音速 ,J = A o/ AD,
Ao
'
.開口断面積 ,AD:
ダク ト断面積 であ る。4.
音響境界層 達成数値解法 数値解析 は音響 (疎密 波)モー ド場 のHelmi101t'Z‑Kirchhoff積分定理 に基づ く2
次元部分領域型境界 要素法[ 2]
に よ り,開口部壁面 で は寸法0 . 1 m m
,その他 の壁面で は1 m
mの一定要素 で離散 化 してい る。その境界条件 ,す なわち,壁面 にお ける疎 密波モー ドの音圧p
とその外向 き法線方向の勾配q
との 関係 は疎密波,粘性お よび熱伝導モー ドの合成速度 と壁 面速度 の整合条件 か ら与 え られ[ 3 ]
,R
hRv ∇2 h n
‑j w
p=【 L ⊥ +(
zwl\ ‑ 1 + J' メ) (
Lp2
C2
p2 a ) 2 ) ] p ( 3)
日本 建築 学会 大会学術講 演梗概集 (中 国) 暮9 99 年 9月
正会
員○ 文珠川 潔* 1 同 寺尾 道仁*2
同 関根
秀久* 3 同
伊藤 誠 *1ここで,zw:壁面 の イ ンピー ダ ンス,また,粘性 お よび 熱 伝 導 境 界 層 厚 を そ れ ぞ れdv=
dh= 2x:/
a
)pc
p と して,2
〃/叩
お よ びR
h/pc
≡W( γ ‑1 ) d
h/2C‑0. 96J7×1 0‑
5Rv/
pc
=a'dv/2C‑2. OJ 7x l 0
‑5 (4) ただ し,F L
お よび に :それぞれ空気 の粘性係 数 お よび熱 伝導率 ,cp :定圧比熱 ,γ:
比熱比 ,f:
周波数 であ る。∇f a n
は壁面 の接線方向成分 に関す るラプ ラシア ンで, 固体境界 面 を各 々滑 らか な境界 面 に分割 し, その面 素∇f a n p
の は これ と隣接 す る面素 間の差分表現 に変換 し, その端部面素 にたい しては音圧 が これ に一致 し面積0の 仮想面素 を境界面周辺 に付加 して処理 してい る。5.
吸音率 の観 測法 まず,ダク ト音源側pl
とp2
の2
点音圧観測 に よ り式(1)の前 面音圧
pF
お よび粒 子 速度u
oを求め,次 に式(2)に よ り吸音率α
を求 め るoここで, 音源側 ダク トでの散逸αβ
は共鳴器の散逸 に含 めてい る。6.
共鳴者 ス リッ ト近傍 の音 の流 れ 図2
に最大共鳴周 波数 における共鳴器 ス リッ ト近傍 の音圧お よびインテ ン シテ ィ分布 を示す 。ス リッ ト幅2mm
と4mm
の場 合 と では,その様子 に差 がみ られないため,ここで は4mm
の場合 を示 した。音圧 は,ス リッ トの出入 り口周辺 で は 球面波 とな り,入 り・口の ダク ト側 に球面状 の音圧節線 が 存在 す る。これ に比べ て共鳴 に よる空洞内の音圧 は3 0d B
程度大 き く音圧節線 はス リッ ト出口付 近 に位 置す る。ス リッ ト部 の入 り口 と出口で音圧 は急変す るが特 に出口 側 で それが激 しい。ス リッ ト内で は,共鳴器側 に近づ く
につ れて漸減 し,平面波 に近 い状態 であ るが,壁面音響 境界層 に よ り壁面 の極 く近傍 でその崩 れがみ られ る。空
空
l
■ 一一 1 00「 ー 50ーl
図
1
ヘ ルムホル ツ共鳴器 と観測 ダク ト AnumericalanalysISandhighprecisionexperimentsofacousticdissipationbyviscotherm alboundary‑layeratasolidaslid surface. MONJYUGAWAKi
yoshi,TEN 0Mchihito,SEKlNEHidehisaandITOHMakoto‑ 2 5 5‑
93.8105.0
図
2
音圧 ,インテ ンシテ ィ分布100 200 300 400 500
(a)ス リッ ト幅4mm
600
7
008 0 0
周
波数 [ H z ]
100 200 300 400 500(b) ス リッ ト幅2mm
600 700
8 0 0
周波数
[ H z ]
図
3
測定値 と数値解析値 表1
流路L
お よびス リッ トの幅W
仕切板 Llmm]W[nm] 記 号 数 値 計 算
(音響 !尭界達 成法) 10 24 BEM1BEM10‑20‑4 30 4 BEM30‑4
Ⅰngard経 験 式 10 24 ⅠⅠNG1NG10‑20‑4 30 4 ING30‑4 エ ン ビ板 10 24 PVC1PVC10‑20‑4 30 4 PVC30‑4 真 鏡 板 10 42 BRS1BRS10‑20‑4
洞部 で は全 くの一様音圧 で な く,軸方向へ の若干の平面 波伝搬 が見 られ る。一方 ,音響 イ ンテ ンシテ ィは全 体 的 にス リッ ト部分 に向か ってお り,音 のエ ネルギがス リッ ト部分 で散逸す る様子 が見 られ る。さらに,ス リッ ト内 部の インテンシテ ィの流 れ をみ ると壁面音響境界層 の方 向 に流 れ込み,特 にス リッ トの空洞側壁面 での音響エ ネ ルギ散逸が大 きい もの と考 え られ る。
7 .
吸音率 の測定 お よび解析 結果 図3
に各条件 に よる ス リッ ト共鳴器 の吸音率 を示す。Ingardの経験式[ 3]
は,円断面 に等価 なス リッ ト断面 と して,roを
W
に置 き換 えて適用 した ものであ る。各 ス リッ ト幅 について,いず れ も良好 な一致 を示 してい る。Ingardの経験式 は非常 に 有効 であ る ことが わか る。PVCは金属板 に比べ音響散逸 が僅 か なが ら小 さい。これ は熱伝 導散逸 の違 い にあ る と 考 え られ る。また,共鳴周波数付近 か ら離 れた周波数で は,数値計算 に比べ実験 に よる吸音率 が大 きい。ただ し, 鋼飯溶接 の場合 には さほ どで ない。これは剛壁 条件 に よる数値計算 に対 し,実験 では ダク ト自体 の振動 が存在 し た もの とみ られ,本数値解析 法 につい ては,その有効性 が検証 で きた もの と考 え られ る。
8.
ま とめ ス リッ ト型共鳴器の音響特性 について,壁 面空気粘性 お よび熱伝導散逸 を含 む数値解析手法の有効 性 ,ス リッ ト共鳴器 の吸音率 ,ス リッ ト周辺 の音 の流 れ な どを明 らか に した。参考文献
[1]U.Ingard:Onthetheoryanddesignofacousticresonators JASA,(25),NOV,1953.
[2]寺尾ほか :境界要素法研究会論文集第4巻,1987・
[3] P.川orseandU.Ingard,TheoreticalAcoustics,P290,1968・
*
1神 奈川大学工学部建築学科 大学 院生 Graduatestudent・Dept・ofArchitecture,FacultyofEn・g・,KanagawaUniv・* 2
神奈川大学工学部建築学科 教授 ・工博 Prof・,Dept・ofArchitecture,FacultyofEng・・KanagawaUniv・*3 神奈川大学工学部建築学科 教務技術 員 Technician・Dept・ofArchitecture・FacultyofEng・・KanagawaUniv・