極低出生体重児の相互交渉に関する研究 −自由遊び場面における同年齢の子どもとの関わりを中心に− [ PDF
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(2) Table 1 年少群. Table 3 母親へのインタビュー内容. 対象者の内訳 人数. 極低出生体重児 6. 成熟児 4. 平均年齢. 4:01( 3: 9∼4: 4). 4:00( 3: 9∼4: 6). 105 3:11 8. 121. 発達指数 修正年齢 年長群 人数 平均年齢. 97 5:04. ②幼稚園以外でよく遊ぶ人はだれですか? ③普段、お子さんはどんなことをして遊んでいますか?. 3. 5:06( 4: 10∼6: 6) 5:09( 5: 2∼6: 2). 発達指数 修正年齢. ①親子で遊びを始めたのはいつからですか?. 97. 【結果と考察】 ①. 分析1;極低出生体重児の相互交渉について. * 極低出生体重児の相互交渉時における他児への 注視頻度による、意識・関心の検討(Fig. 1 ). 2.. 体重(極低出生体重児群・成熟児群)×年齢(年. 手続き. 初対面で、同年齢同士の極低出生体重児と成熟児. 少群・年長群)の 2 要因の分散分析を行った。. に、おもちゃ(スロットマシンとブロック)のある. その結果、年齢の主効果のみしか認められなかっ. 部屋で 10 分間子どものみで遊んでもらった。その. た(F(1,17) = 10.81,p<.01)。この結果より、極低. 様子を、対象児の行動・表情がわかるように、VTR. 出生体重児と成熟児は、他児を見る頻度には有意な. 録画した。それを心理学専攻の大学院生 3 名でビデ. 差は認められず、極低出生体重児は、他児への意識. オ評定を行った(一致率;85.0%)。. や関心は成熟児と同じように示しているといえる。. 3.. 極低出生体重児. ① 分析1;相互交渉の様子について. 45. * 他児への意識・関心を検討するために、極. 40. 低出生体重児の他児への注視頻度を成熟児 と比較する。 * 極低出生体重児からの他児への始発的な働 きかけ行動の頻度を検討する。 * 働きかけ行動を、やり取りを続けていくと. 成熟児. 35 30 25 20 15 10 5. きにどのような意図をもって他児に向けら. 0. れているかについて、分類し(Table 2)、. 年少 年長 Fig,1 10分間の全注視頻度. 働きかけ行動項目ごとに検討する。 Table 2 働きかけ行動の行動項目表 カテゴリー. 行動内容 (具体例). 誘いかけ・提案. 相手を誘う/遊びの提案 一緒に遊ぼう/これやってみよう. 共有・伝達. 遊びの説明・提示/順番・ものの分与 こうするんだよ/はい、どうぞ. 感想. 出来事・自分の行動の独り言 できた−/あたったー. 質問. * 極低出生体重児の他児への始発的な働きかけの 検討 (Fig. 2) 体重(極低出生体重児群・成熟児群)×年齢(年 少群・年長群)の 2 要因の分散分析を行った。 その結果、体重の主効果の傾向のみ認められ (F(1,18) = 3.26, p<.10)、極低出生体重児は、成熟 児よりも始発的な働きかけが少ない傾向があるこ とが明らかになった。. 自分のこと・相手のことに関する質問 極低出生体重児. これどうしたらいい?/何やってるの?. 要求・主張. 相手に何かを求める/いいわけ・説明する 取って/だって○○やもん. 相手への評価. 成熟児. 60. 50. 相手の行動に対して、賞賛・非難 すごーい/したらだめよ. 40. 30. ②. 分析2;日常場面について. * 母親に対して、子どもの対人的関わり経験 や日常場面に関するインタビューを行い、 成熟児と比較検討する。(Table 3 ). 20. 10. 0. 年少. 年長. Fig. 2. 始発的な働きかけ行動数.
(3) * 極低出生体重児の働きかけ行動項目ごとの検討 (Fig. 3, 4). をもって他児をみているといえる。そのため、成熟 児と同じように他児と関わろうとしていると考え. 極 低 出 生 体 重 児 の 働 き か け 行 動 の 内 容 ( Table. られる。しかし、行動として他児への働きかけをみ. 2 )について、働きかけ行動カテゴリーの項目ごと. てみると、極低出生体重児は相手に、始発的に働き. に、体重(極低出生体重児群・成熟児群)×年齢(年. かけようとすることが少ない。その中でも、極低出. 少群・年長群)の 2 要因の分散分析を行った。. 生体重児は、やり取りを始めるきっかけとなるよう. その結果、誘いかけ・提案行動に、体重の主効果. な、他児を誘ったり、遊びを提案したりすることが. ( F(1,17) = 9.07, p<.01) と 年 齢 の 主 効 果 の 傾 向. 少ない。そのため、極低出生体重児は、子ども同士. (F(1,17) = 4.47, p<.10)が認められた。このこと. の相互交渉場面で、自分から遊びを始めようと関わ. から、極低出生体重児は、成熟児よりも誘いかけ・. っていくことがみられない。また、共有や伝達的な. 提案行動が少ないことが明らかになった。(Fig. 3). 行動が少なく、やり取りの中で、同じおもちゃで遊. 極低出生体重児. 成熟児. ぼうと物のやり取りをしたり、相手に自分の興味あ. 14. ることを伝えたりすることがみられない。そのため、. 12. 相互交渉場面で、極低出生体重児からやり取りを続. 10. けようとする関わりがみられないと示唆される。こ. 8. のことは、子ども同士の相互交渉場面で、他児がや. 6. り取りを続けようと関わっても、極低出生体重児は. 4. そのような関わりをしないために、他児が関わろう. 2. としなくなってしまうことにつながるのではない. 0 年少. 年長. かと考えられる。. Fig. 3 誘いかけ・ 提案行動. また、共有・伝達行動に、体重の主効果の傾向 (F(1,17) = 4.24, p<.10)と年齢の主効果(F(1,17). ②. 分析 2;日常場面について. = 7.54, p<.05)が認められた。このことから、極低. 対象児の母親に、子どもの対人経験についてのイ. 出生体重児は、成熟児よりも共有・伝達行動が少な. ンタビューを行った。インタビューの結果を以下に. いことが明らかになった。(Fig. 4). 示す。(Table 3, Table 4,5,6) 「①親子で遊びを始めたのはいつですか?」とい. 極低出生体重児. 成熟児. 35. う質問に対する母親の回答に対して、 χ2 乗 分 析を 行った結果、極低出生体重児の母親は、0 歳から(生. 30. まれてからすぐ)遊び始めたと回答する人が有意に. 25. 少なく(p<.05)、また、2 歳から遊び始めたと回答. 20. する人が有意に多かった(p<.05)。また、成熟児の 15. 母親は、0 歳から遊び始めたと回答する人が有意に. 10. 多かった(p<.05)のに対して、2 歳から遊び始め. 5. た と 回 答 す る 人 は 有 意 に 少 な か っ た ( p<.05 )。. 0. 年少. 年長. (Table 4). Fig.4 共有・ 伝達行動. その他の行動項目については、極低出生体重児と 成熟児との間に、有意な差は認められなかった。. 分析1の結果から、他児を見ることを、他児への 意識・関心ととらえると、極低出生体重児は、子ど もとの相互交渉の中で、他児を意識しており、関心. Table 4 ①親子で遊び始めた時期 0歳∼ 極低出生体重児 5名† 成熟児 7名†. 1歳∼ 2名 0名. 2歳∼ 5名† 0名† † ; p<.05.
(4) また、「②幼稚園以外の場で遊ぶことが多い人は. だけではなく、母親の児への心理的な距離がうかが. 誰ですか」という質問に対する母親の回答に対して、. われるといえる。また、幼児期までの他者との関わ. χ2. 乗 分 析を行った結果、極低出生体重児は、親と. りが極低出生体重児は家族であることがほとんど. 遊ぶことが多い傾向があり(p<.10)、また、幼稚園. であり、家庭外でのお友達との関わりがほとんどみ. 以外の友だちと遊ぶことが有意に少ない(p<.05). られない。そのため、極低出生体重児の遊びの種類. という結果が認められた。また、成熟児は、親と遊. をみても、一人で遊べるものが多く、子ども同士の. ぶことは少ない傾向があり(p<.10)、また、幼稚園. やり取りを中心とした追いかけっこや集団でのル. 以外の友だちと遊ぶことが有意に多いこと(p<.05). ール遊びがあまりみられないことが明らかになっ. が認められた。(Table 5). た。. Table 5 ②幼稚園以外で遊ぶ人 (重複回答). 極低出生体重児 成熟児. 親 + 4名 + 0名. きょうだい 友だち † 8名 2名 † 4名 7名 +. †. ` ; p<.10, ; p<.05. 【まとめ】 本研究では、極低出生体重児の子どもとの相互交 渉場面について、他児への関心を示しているかにつ いてと、働きかけという行動面からの検討を行った。 その結果、極低出生体重児は他児への関心を示して いるものの(Fig. 1)、行動としての働きかけは成熟. 「③普段、お子さんはどんなことをして遊んでい. 児と比較して乏しかった(Fig. 2)。特に、やり取り. ますか?」という質問に対しては、極低出生体重児. を続けようと、他児を誘いかけたり(Fig. 3)、相手. と成熟児とで、遊びの種類に違いはみられなかった。. の注意を自分の方に向けさせたり、共通のものを共. (Table 6)しかし、遊びの内容について細かく尋. 有しようと自分から関わることが少ないことが示. ねてみると、極低出生体重児は、追いかけっこなど. された(Fig. 4)。このような極低出生体重児の児か. があまり見られず、一人で遊べるものが多く、また、. らの働きかけが少ないことは、就園前の 2 歳児から. 構成やルールが複雑でないものが多かった。それに. もみられ続け、就園して年長児になり、発達上では. 対して、成熟児は、年少のときから、大勢の友だち. キャッチアップしても、少ないままであるといえる。. で行われる遊びが多く、遊び自体よりも友だちとの. その理由として、極低出生体重児の早期の対人経. やり取りの中で生じる遊びが多かった。. 験が影響していると考えられる。分析 2 では、母親 に児の早期の対人関係についてインタビューを行. Table 6 ③普段の遊びの種類 遊びの内容 極低出生体重児 ごっこ遊び(人形・ままごと)、 工作(ハサミ、お絵かき). ブロック、遊具、乗り物、ゲーム ルール遊び(サッカー・野球)、追いかけっこ 成熟児. ごっこ遊び、 工作、 ブロック、 乗り物、 砂場 追いかけっこ、 ローラーブレード、 シール交換. ったが、その結果から、対人関係の最初の基盤とな る母子関係において、極低出生体重児は母親との対 人接触が少ないことが明らかになった(Table 4)。ま た、母子の対人接触が少ないだけでなく、家族以外 の人との関わる経験がないために(Table 5)、関心は あっても、働きかけが乏しいという、関わり方のわ か ら な さ が あ る で は な い か と 推 察 さ れ る 。 Paster (1981)は、18 ヶ月時点で母子の愛着が安定して. 分析 2 の結果から、極低出生体重児とその母親は、. いると、仲間に対する働きかけや、仲間の働きかけ. 親子での遊びを始めるのが、成熟児と比べて、1 歳. への受け入れが高いことを示している。また、母親. から 2 歳くらい遅い場合が多い。成熟児であれば、. との関係が対人関係の基本となり、それが仲間関係. 出生直後から当たり前のように経験される母子の. を 形 成 す る と き に も 影 響 す る (Cassidy,1996) こ と. 接触が、極低出生体重児においては、少ないという. も示唆されていることから、極低出生体重児は、早. ことが明らかになった。実際に早期の分離のため、. 期の対人経験の基盤が形成されにくいために後の. 物理的に接触経験は少なくなる。しかし、極低出生. 対人行動面に影響するのではないかと考えられる。. 体重児は、出生後半年くらいまでには退院し、母親. 従って、児自身のだけでなく、母親も含めた母子. のもとへ戻ってくるので、極低出生体重児の母親が. に対する早期からの介入の必要性を検討する必要. 2 歳から遊び始めたととらえたのは、物理的な分離. があると考えられる。.
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