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「心の教室相談員」の課題と実践的対策についての一考察
人間教育専攻
臨床心理士養成コース 高 嶋 知 子
1. 問題と目的
児童生徒の生活環境に著しい変化がみら れ,暴力行為・いじめ@不登校・虐待など 社会的にも大きな問題になっている。
文部科学省は,児童生徒の心のケアのた めに,スクーノレカウンセラーを学校に段階 的配置している。未配置の中学校には,生 徒の悩みや不安を受け止め,和らげる第三 者的存在として「心の教室相談員」を配置 することで相談活動を始めた。
相談員は,心理の専門的知識や経験を求 められず,生徒と身近にふれあうことで,
生徒が学校生活にゆとりを持って臨めるよ うに支援する。
しかし,教育現場での相談員の活動は,
立場の暖昧性・心理の専門知識の必要性・
学校側の相談員の活用への認識不足など,
改善の余地がみられる。
国の施策としては廃止されているが,相 談員の活動の意義を認めている地方自治体 では活用が継続されている。現在活動して いる相談員の抱える共通の課題を抽出し,
今後の相談活動に活かせるような実践的対 策を考察することを目的とする。
2. 対象と方法 1) 調査対象
A市の小@中学校に勤務している9名 の相談員を調査対象としたのち中学校 のみに勤務2名9小学校のみに勤務4名,
指 導 教 官 粟 飯 原 良 造
小・中学校両校に勤務3名)。 2) 調査方法
(1) 質問紙による調査
相談員の属性,相談員として心がけ ていること,相談活動で、困ったことや 悩んでいること,相談活動で印象に残 ったことの 4項目について,項目ごと に自由選択,自由記述で回答を求めた。
(2) インタビューによる調査
質問紙調査で記述された内容をもと に,任意の6名の相談員に非構造化面 接を行ったのち 4名は対面, 2名は電 話によるインタビュー)。
3. 結果
1) 質問紙調査の結果について
対象者はすべて女性である。相談員の 勤務時間,報酬など常勤職でないために 立場や収入が不安定であること,教育の 場に適する人材を考慮することなど該当 する人材の確保が難しいことが明らかに なった。
相談活動の中で,相談員は生徒との信 頼関係を築くことや生徒の気持ちを汲ん だ言葉かけをすること,また家庭の問題 に関心を持つように心がけていた。
相談活動で、困ったことや悩んだことは9
学校現場だけでは対応できない問題があ り,保護者の協力が必要と感じていた。
また教師との信頼関係を築くために互
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ていた。
2) インタピ、ュー調査の結果について 相談員から聞き取った内容の中から 課題となるエピソードを205個抽出し た。 K ]法 に よ り カ テ ゴ リ ー 化 し 相 談員JI学校JI児童生徒JI相談室JI保 護者」の 5つに集約された。
4. 考察
1) 相談員の必要性について
相談員制度は,学校側に相談員をど のように活用するかという見通しゃス クーノレカウンセラーとの役割分担が機 能していないことなど,外部の人材を 学校現場に導入するには連携を調整す る役割を担う者が必要で、あったと考え られる。
しかし,生徒の身近な存在として直 接支援できる相談員の存在が,生徒の 心理的なサポートに役立つていると考 えられる。 A市の相談活動の報告には,
不登校生徒への心理面と学習面を平行 して支援し,教室復帰を果たした例も ある。
2) 相談員の相談活動について (1) 期待される相談能力
相談員は,生徒に寄り添い,生徒 がどうしたいのかを受け止め,いっ しょに解決の道を探り,生徒が次へ のステップを踏み出せるように接す ることが望ましいと考えられる。
しかし,生徒のニーズは多様化し,
生徒の悩みや問題行動の背景には,
家庭環境や精神医学などの専門的知 識を必要とする場合があり9 相談員 の立場や認識では踏み込めない領域
もある。スクーノレカウンセラーなど の専門家と連携を取ることで,生徒 の問題を解決に導く可能性につなが ると考えられる。ただし,相談員も 生徒の状態を把握し,どうすればい いのかを判断できる基礎的な心理の 知識は必要であると思われる。その ための研修やスーパーピジョンなど に参加し,研績を重ねることも必要 であると考えられる。
(2) 相談員の抱える今日的課題 生徒の非行や不登校やいじめなど の問題が,発達障害や家庭環境を背 景にしている場合には,相談員が生 徒の不安や悩みを聴し、たり,相談室 の居場所を提供するだけでは問題が 改善されない場合が多い。相談員は,
学校・
sc . sw
・専門機関などへの橋渡しの役割を担うことが望まし いと考えられる。
3) 相談員活動のため実践的対策 (1) 相談員の位置づけ
相談員は,指導的立場でないこと を認識し,指導的立場にある教員と の違いを明確にし,教員やスクール カウンセラーではネ郎、きれない生徒 の日常の心の揺れを受け止め,生徒 に対して細やかな気遣いができる立 場にあると考えられる。
(2) 相談員の資質向上のための提言 相談員は,生徒の悩みや不安にど のように向き合うか困惑し,心理の 専門的知識を習得したいと感じてい る。実践的研修や知識の理解などは9
問題に向き合った時に解決の見通し に役立つと考えられる。